説明

作業検査システム

【課題】作業者の負担を軽減させることができ、かつ作業の検査ミスが生じる可能性をなくすことができる作業検査システムを提供すること。
【解決手段】作業の対象となる作業領域1及び作業具6を撮影する撮影手段7と、撮影手段7により撮影された画像に基づいて作業領域1内の作業具6の作業位置を特定する作業位置特定手段8と、作業具6が作業したことを検出する作業状況検出手段8と、作業状況検出手段8が作業具6の作業を検出したときに作業位置特定手段8により特定された作業位置を作業完了位置として作業領域1の画像と対応付けて記録する記録手段8と、作業完了位置が対応付けられた作業領域1の画像を表示する画像表示手段8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が作業領域内で行う作業を検査する作業検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場の組立ライン等において作業員が行う作業を、デジタルカメラを用いた静止画像で間欠的に撮影し、撮影された画像を検査員が確認することで、作業が適切に行われたか否かを検査できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、トルクレンチに接点スイッチを内蔵し、設定トルク値に達すると識別信号を発信するようにして、この識別信号を受信することでトルクレンチの稼働状況を記録し、ネジの締め付け作業を管理しているものもある(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−111450号公報(第3頁、第4図)
【特許文献2】特許第3260254号公報(第3頁、第1図)
【特許文献3】特開2007−283455号公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の検査方法にあっては、検査員が目視で撮影された画像を確認しなければならず、検査員に負担が掛かるばかりか、検査員が作業の見落としをしてしまう虞があり、このような人手に頼った確認方法では、確認ミスが生じてしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載のトルクレンチにあっては、トルクレンチの稼働状況を把握できるが、そのトルクレンチがどの位置のネジを締め付けたかを把握することはできず、締め忘れの箇所があった場合にその作業ミスを把握できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、作業者の負担を軽減させることができ、かつ作業の検査ミスが生じる可能性をなくすことができる作業検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の作業検査システムは、
作業の対象となる作業領域及び作業具を撮影する撮影手段と、該撮影手段により撮影された画像に基づいて前記作業領域内の前記作業具の作業位置を特定する作業位置特定手段と、前記作業具が作業したことを検出する作業状況検出手段と、該作業状況検出手段が前記作業具の作業を検出したときに前記作業位置特定手段により特定された前記作業位置を作業完了位置として前記作業領域の画像と対応付けて記録する記録手段と、前記作業完了位置が対応付けられた前記作業領域の画像を表示する画像表示手段と、を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、作業が適切に行われたか否かの記録作業が自動的に行われ、作業者は画像表示手段を確認することで作業完了位置を把握することができ、作業が未完了である位置がある場合には、この未完了位置の発見が容易に行えるようになり、作業者の負担を軽減させることができ、かつ作業の検査ミスが生じる可能性をなくすことができる。
【0009】
本発明の作業検査システムは、
前記作業具に設けられて該作業具の位置の指標となる指標手段をさらに備え、前記作業位置特定手段は、前記撮影手段が撮影した前記指標手段の指標に基づいて前記作業領域内の前記作業位置を特定することを特徴としている。
この特徴によれば、作業具の形態や動作に係らず指標手段により作業具の位置が正確に把握され、この作業具の位置に基づいて作業位置特定手段が作業位置を特定することができる。
【0010】
本発明の作業検査システムは、
前記指標手段は、前記作業具に設けられて前記指標となる発光信号を発する発光部となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、撮影手段により発光信号を発する発光部の撮影がし易くなり、作業具の位置を正確に把握することができる。
【0011】
本発明の作業検査システムは、
前記撮影手段により撮影された前記作業領域の各部分の画像に基づいて前記作業領域の全体の画像を作成する領域画像作成手段をさらに備えることを特徴としている。
この特徴によれば、撮影手段により同時に撮影できる撮影範囲が狭かったり、撮影手段が移動されたりしても、領域画像作成手段により作業領域の各部分の画像に基づいて作業領域の全体の画像を作成することができる。
【0012】
本発明の作業検査システムは、
前記撮影手段は、作業者に取り付けるための取付手段と、該撮影手段の移動状況を検出する移動検出手段と、を有し、前記作業位置特定手段は、前記撮影手段により撮影された画像と前記移動検出手段により検出された撮影手段の移動状況とに基づいて前記作業位置を特定することを特徴としている。
この特徴によれば、撮影手段が取付手段により作業者に取り付けられて、作業者とともに撮影手段が移動できるため、撮影手段の取り扱いが容易になり、かつ移動検出手段により撮影手段と作業領域との相対的な位置関係を把握することができ、作業者とともに撮影手段が移動されても、作業位置特定手段が作業位置を正確に特定することができる。
【0013】
本発明の作業検査システムは、
前記作業領域は、配線用の複数の螺合部材が設けられた領域となっているとともに、前記作業具は、前記螺合部材の増し締めを行う道具となっており、前記作業状況検出手段は、前記作業具が前記螺合部材の増し締めを行ったときに、該増し締めのトルクが所定のトルク値で行われたことを検出するトルク検出部を有することを特徴としている。
この特徴によれば、制御盤等の配線用の複数の螺合部材が設けられた作業領域の増し締め作業を行う際に、作業具による増し締めのトルクが所定のトルク値で行われたことをトルク検出部により検出できるため、作業者は作業検査システムを意識することなく作業を行えるようになり、作業者の負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における作業検査システムを示す側面図である。
【図2】固定カメラを示す側面図である。
【図3】電動ドライバーを示す斜視図である。
【図4】管理コンピュータの表示画面を示す図である。
【図5】実施例2における作業検査システムを示す側面図である。
【図6】制御盤を示す正面図である。
【図7】変形例におけるトルクレンチを示す斜視図である。
【図8】変形例におけるグローブを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る作業検査システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る作業検査システムにつき、図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された作業検査システムの対象となっている制御盤である。この制御盤1は、金属製の筐体2内に多数の配線用の端子台3が設けられている。これらの端子台3は、筐体2内で略平面状に配置されており、各端子台3には、電気線4がネジ5(螺合部材)によって接続されている。尚、制御盤1内部が本実施例において増し締め作業の対象となる作業領域となっている。
【0017】
図1に示すように、作業者Uは、電動ドライバー6(作業具)を用いて各端子台3のネジ5の増し締め作業を行う。尚、締め忘れのネジ5があった場合に、そのネジ5を発見できるように本発明の作業検査システムが適用される。作業検査システムは、固定カメラ7(撮影手段)と電動ドライバー6と管理コンピュータ8とで構成される。
【0018】
図2に示すように、固定カメラ7は、小型のCCDカメラ9を有しており、このCCDカメラ9を制御盤1の筐体2の上端縁に取り付けるためのクランプ10が設けられる。更に、CCDカメラ9の正面側には、凸面鏡11が設けられており、CCDカメラ9は、この凸面鏡11を介して制御盤1全体を撮影するようになっている。尚、固定カメラ7は、管理コンピュータ8により無線を介して制御されている。
【0019】
また、固定カメラ7は、制御盤1の筐体2の上端縁に取り付けられて、CCDカメラ9によって制御盤1全体を斜め前上方から撮影された画像を無線によって管理コンピュータ8に送信するようになっている。更に、固定カメラ7は、制御盤1を撮影すると同時に、制御盤1の増し締め作業を行う際に、筐体2内に配置される電動ドライバー6も撮影された画像に含まれるようになっている。
【0020】
図4に示すように、管理コンピュータ8は、固定カメラ7が撮影した画像を画像処理することで、制御盤1の正面画像を作成するようになっている。この制御盤1の正面画像が管理コンピュータ8に表示される。この制御盤1の正面画像は、原点(0)と横軸(X1〜X7)と縦軸(Y1〜Y7)とで構成される平面座標軸が対応付けられた状態で、管理コンピュータ8の記録部(記録手段)に記録される。尚、管理コンピュータ8は、制御盤1の正面画像を確認する作業者Uの理解を助けるために、CG等で作成した制御盤1の部分的な画像を補足的に追加して表示させるようにしてもよい。
【0021】
また、固定カメラ7で撮影する画像や、管理コンピュータ8に表示される制御盤1の正面画像は、動画であってもよいし、間欠的に撮影された静止画像であってもよい。本実施例では、固定カメラ7で撮影された動画が画像処理された状態で、リアルタイムで管理コンピュータ8に表示されるようになっている。尚、管理コンピュータ8が本発明の画像表示手段を構成している。
【0022】
図3に示すように、増し締め作業に用いる電動ドライバー6の上端部には、平面視で略三角形状をなすマーカー部12(指標手段)が設けられる。マーカー部12の3つの角部には、LEDランプ13(発光部)が設けられている。これら3つのLEDランプ13は、赤、緑、青のそれぞれ異なる色に発光するようになっている。尚、このLEDランプ13の発光が本発明の発光信号を構成している。そして、互いのLEDランプ13の離間幅Sは、固定された同一距離となっている。また、本実施例の電動ドライバー6では、マーカー部12から工具14の先端までの距離Dは予め設定されており、工具14を違う工具14に交換しても、マーカー部12から工具14の先端までの距離Dは変化しないように各工具14の寸法が特定されている。
【0023】
固定カメラ7は、制御盤1を撮影すると同時に電動ドライバー6を撮影し、撮影された画像には、電動ドライバー6のマーカー部12が含まれる。マーカー部12のLEDランプ13は、電動ドライバー6の電源ケーブル15から電力が供給されると常時点灯されるようになっている。尚、バッテリ内蔵型の電動ドライバー6の場合には、電源が入れられた時点でLEDランプ13が常時点灯となる。このLEDランプ13が点灯することで、管理コンピュータ8によるマーカー部12の画像認識が正確に行われるようになっている。そして、管理コンピュータ8は、このマーカー部12の軌跡によって電動ドライバー6の移動状況が把握できるようになっている。
【0024】
管理コンピュータ8は、撮影された画像上において、3つのLEDランプ13の位置関係及び距離関係に基づいて、電動ドライバー6の制御盤1内における位置や、電動ドライバー6の傾き等を把握することができる。更に、このマーカー部12から予め設定された距離Dにある工具14の先端の位置を把握できるようになっている。尚、マーカー部12にLEDランプ13が設けられることで、固定カメラ7によるLEDランプ13の撮影がし易くなり、管理コンピュータ8は、電動ドライバー6の位置を正確に把握することができる。
【0025】
電動ドライバー6は、作業者Uによって作動スイッチ16が押されると、所定のトルク値で工具14が回転するようになっている。電動ドライバー6は、増し締めを所定のトルク値で行ったことを検出するトルク検出部(作業状況検出手段)を有している。このトルク検出部が増し締め作業を検知すると、増し締めが完了したことを示す作業完了信号が無線によって管理コンピュータ8に送信されるようになっている。
【0026】
尚、制御盤1等の配線用の複数の螺合部材が設けられた制御盤1の増し締め作業を行う際に、電動ドライバー6による増し締めのトルクが所定のトルク値で行われたことをトルク検出部により検出できるため、作業者Uは作業検査システムを意識することなく作業を行えるようになり、作業者Uの負担を軽減させることができる。
【0027】
管理コンピュータ8は、電動ドライバー6から作業完了信号を受信したときに、固定カメラ7で撮影された画像上の3つのLEDランプ13の位置関係及び距離関係に基づいて、電動ドライバー6の工具14の先端の座標位置(Xn,Yn)を算出する。そして、制御盤1の平面座標軸上における工具14の先端の座標位置(Xn,Yn)にあるネジ5を、増し締めが完了したネジ5として把握し、このネジ5の位置を作業完了位置とする円形状のマークMを表示させる(図4参照)。尚、管理コンピュータ8が本発明の作業位置特定手段を構成している。
【0028】
そして、これらの処理を繰り返し、作業者Uが増し締めを行ったネジ5の位置にマークMが付与され、制御盤1の正面画像と対応付けられて管理コンピュータ8に記録される。また、電動ドライバー6のマーカー部12を設けることで、電動ドライバー6の形態や動作に係らずマーカー部12により電動ドライバー6の位置が正確に把握され、この電動ドライバー6の位置に基づいて、管理コンピュータ8は、増し締めが完了したネジ5の位置を特定することができる。尚、管理コンピュータ8は、電動ドライバー6から作業完了信号を受信したときに、固定カメラ7で撮影された画像上に3つのLEDランプ13が含まれて居ない場合には、アラームなどを発生させて作業者Uに再度増し締めを行うように報知するようにしてもよい。
【0029】
図4に示すように、作業が適切に行われたか否かの記録作業が自動的に行われ、作業者Uは増し締め作業終了後に、管理コンピュータ8に表示される制御盤1の正面画像を見ることで、制御盤1の全てのネジ5にマークMがついているか否かを確認する。そして、作業者Uは管理コンピュータ8の表示画面を確認することで作業完了のネジ5を把握することができ、マークMがされていないネジ5、即ち増し締め作業が未完了であるネジ5がある場合には、この未完了のネジ5の発見が容易に行えるようになり、作業者Uの負担を軽減させることができ、かつ作業の検査ミスが生じる可能性をなくすことができる。
【実施例2】
【0030】
次に、実施例2に係る作業検査システムにつき、図5から図6を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、実施例2では、作業者Uのヘルメット17(取付手段)にCCDカメラ18を装着したヘッドマウントカメラ19(撮影手段)が用いられる。このように、CCDカメラ18がヘルメット17により作業者Uに取り付けられて、作業者UとともにCCDカメラ18が移動できるため、CCDカメラ18の取り扱いが容易になっている。
【0032】
また、ヘルメット17には、ジャイロ及び加速度センサによって、ヘッドマウントカメラ19の移動状況及びCCDカメラ18の撮影方向を検出する移動検出器20(移動検出手段)が装着されている。CCDカメラ18で撮影された画像や、移動検出器20により検出された移動検出情報は、無線によって管理コンピュータ8に送信されるようになっている。
【0033】
また、ヘッドマウントカメラ19による撮影範囲は、実施例1の固定カメラ7と比べて狭くなっており、作業者Uの手元の周囲の制御盤1を部分的に撮影するようになっている。そして、ヘッドマウントカメラ19で撮影された制御盤1の部分画像Gは、作業者Uの移動とともに複数撮影されるようになっている。これら複数の部分画像G及び移動検出器20により検出された移動検出情報に基づいて、管理コンピュータ8は、制御盤1全体の正面画像を作成するようになっている(実施例1の図4参照)。尚、管理コンピュータ8が本発明の領域画像作成手段を構成している。更に尚、作業者Uは増し締め作業の開始時に、ヘッドマウントカメラ19で制御盤1全体を流し撮影をして、各部分画像Gを取得するようにしてもよい。
【0034】
また、制御盤1全体の正面画像の作成は、増し締め作業中にリアルタイムで作成してもよいし、増し締め作業後に作業者Uが管理コンピュータ8を確認する際に作成してもよい。このように、CCDカメラ18により同時に撮影できる撮影範囲が狭かったり、CCDカメラ18が移動されたりしても、管理コンピュータ8により制御盤1の各部分の画像に基づいて制御盤1の全体の画像を作成することができる。
【0035】
実施例2における電動ドライバー6には、実施例1と同様にマーカー部12とLEDランプ13が設けられている(実施例1の図3参照)。しかし、実施例2におけるLEDランプ13は、電動ドライバー6の電源が入っても消灯されている。トルク検出部(作業状況検出手段)が増し締め作業を検知したときに、LEDランプ13が一瞬点灯されるようになっている。管理コンピュータ8は、ヘッドマウントカメラ19で撮影された画像にLEDランプ13の発光信号が含まれている場合に、増し締めが完了したこと把握するようになっている。即ち実施例2における電動ドライバー6は、作業完了信号をLEDランプ13の点灯によって管理コンピュータ8に送信するようになっている。
【0036】
管理コンピュータ8は、電動ドライバー6のLEDランプ13が点灯したときに、ヘッドマウントカメラ19で撮影された画像と、この画像上の3つのLEDランプ13の位置関係及び距離関係と、移動検出器20により検出された移動検出情報と、に基づいて、電動ドライバー6の工具14の先端の座標位置(Xn,Yn)を算出する。そして、制御盤1の平面座標軸上における工具14の先端の座標位置(Xn,Yn)にあるネジ5を、増し締めが完了したネジ5として把握する。移動検出器20によりヘッドマウントカメラ19と制御盤1との相対的な位置関係を把握することができ、作業者Uとともにヘッドマウントカメラ19が移動されても、管理コンピュータ8が作業位置を正確に特定することができる。
【0037】
尚、制御盤1全体の正面画像の作成が増し締め作業中にリアルタイムで行われる場合には、管理コンピュータ8は増し締めが完了したネジ5の位置を作業完了位置とする円形状のマークMを表示させる(実施例1の図4参照)。また、制御盤1全体の正面画像の作成が増し締め作業後に行われる場合には、管理コンピュータ8はマークMの表示を制御盤1全体の正面画像の作成とともに行うようになっている。
【0038】
図7は、変形例におけるトルクレンチ21を示している。このトルクレンチ21は、予め設定されたトルク値でクリック音が発生するシグナル式トルクレンチとなっている。また、トルクレンチ21には、予め設定されたトルク値でボルト等の螺合部材を増し締めしたときに、そのトルクを検出するトルク検出部(作業状況検出手段)が設けられている。そして、トルクレンチ21の頭部には、トルク検出部が所定のトルク値を検出したときに発光するLEDランプ22が設けられている。
【0039】
管理コンピュータ8は、トルクレンチ21のLEDランプ22が点灯したときに、固定カメラ(実施例1の図1参照)で撮影された画像と、この画像上のLEDランプ22の位置に基づいて、トルクレンチ21の頭部の座標位置を算出する。そして、管理コンピュータ8は、制御盤1の平面座標軸上におけるトルクレンチ21の頭部の座標位置にあるネジ5を、増し締めが完了したネジ5として把握する。
【0040】
図8は、変形例におけるグローブ23を示している。このグローブ23には、手の甲の部位に設けられた矩形状のマーカー部24(指標手段)と、このマーカー部24の4つの角部に設けられたLEDランプ25(発光部)が設けられている。更に、各指の部位には、作業者Uの指の動き検出する検出センサ26(作業状況検出手段)が設けられている。この検出センサ26により作業者Uの指が屈曲されたことを検出したときに、LEDランプ25が発光するようになっている。
【0041】
このグローブ23は、部品の製造工場等において出荷作業を行う際に、多数の部品収納箱(図示略)が設けられた荷棚(図示略)から荷である部品(図示略)を出荷用コンテナ(図示略)に投入するピッキング作業のときに用いられる。作業者Uは、グローブ23を装着して荷棚の荷を掴むようにする。固定カメラ(実施例1の図1参照)は、荷棚の近傍に設けられており、管理コンピュータ8により予め荷棚の正面画像が作成されている。この荷棚の正面画像には、実施例1の制御盤1と同様に、平面座標軸が対応付けられた状態となっている。
【0042】
管理コンピュータ8は、グローブ23のLEDランプ25が点灯したときに、固定カメラ(実施例1の図1参照)で撮影された画像と、この画像上のLEDランプ25の位置に基づいて、グローブ23の座標位置を算出する。そして、管理コンピュータ8は、荷棚の平面座標軸上におけるグローブ23の座標位置にある部品収納箱から部品が取り出されたものとして把握する。これらの処理を繰り返し記録することで、作業者Uの部品の取り忘れ等を、管理コンピュータ8で確認できるようにしている。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例1及び2では、管理コンピュータ8に表示される制御盤1の正面画像において、増し締めの完了後に該当するネジ5の位置にマークMを表示させているが、増し締め作業の開始前に、予め作業者Uが管理コンピュータ8に表示された制御盤1の正面画像を確認し、作業をする予定のネジ5の位置を指定してマークMを表示させ、増し締めが行われると、該当するネジ5の位置のマークMが消滅するようにしてもよい。尚、この場合に全てのマークMが消滅しない場合には、管理コンピュータ8が未完了のネジ5があることを報知するようにしてもよい。
【0045】
また、前記実施例1では、固定カメラ7で撮影された画像や、電動ドライバー6の作業完了信号が無線によって管理コンピュータ8に送信されるが、固定カメラ7や電動ドライバー6を管理コンピュータ8に有線接続し、固定カメラ7で撮影された画像や、電動ドライバー6の作業完了信号が有線によって管理コンピュータ8に送信されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 制御盤
2 筐体
3 端子台
4 電気線
5 ネジ
6 電動ドライバー
7 固定カメラ
8 管理コンピュータ
9 CCDカメラ
10 クランプ
11 凸面鏡
12 マーカー部
13 LEDランプ
14 工具
15 電源ケーブル
16 作動スイッチ
17 ヘルメット
18 CCDカメラ
19 ヘッドマウントカメラ
20 移動検出器
21 トルクレンチ
22 LEDランプ
23 グローブ
24 マーカー部
25 LEDランプ
26 検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業の対象となる作業領域及び作業具を撮影する撮影手段と、該撮影手段により撮影された画像に基づいて前記作業領域内の前記作業具の作業位置を特定する作業位置特定手段と、前記作業具が作業したことを検出する作業状況検出手段と、該作業状況検出手段が前記作業具の作業を検出したときに前記作業位置特定手段により特定された前記作業位置を作業完了位置として前記作業領域の画像と対応付けて記録する記録手段と、前記作業完了位置が対応付けられた前記作業領域の画像を表示する画像表示手段と、を備えることを特徴とする作業検査システム。
【請求項2】
前記作業具に設けられて該作業具の位置の指標となる指標手段をさらに備え、前記作業位置特定手段は、前記撮影手段が撮影した前記指標手段の指標に基づいて前記作業領域内の前記作業位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の作業検査システム。
【請求項3】
前記指標手段は、前記作業具に設けられて前記指標となる発光信号を発する発光部となっていることを特徴とする請求項2に記載の作業検査システム。
【請求項4】
前記撮影手段により撮影された前記作業領域の各部分の画像に基づいて前記作業領域の全体の画像を作成する領域画像作成手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の作業検査システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、作業者に取り付けるための取付手段と、該撮影手段の移動状況を検出する移動検出手段と、を有し、前記作業位置特定手段は、前記撮影手段により撮影された画像と前記移動検出手段により検出された撮影手段の移動状況とに基づいて前記作業位置を特定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の作業検査システム。
【請求項6】
前記作業領域は、配線用の複数の螺合部材が設けられた領域となっているとともに、前記作業具は、前記螺合部材の増し締めを行う道具となっており、前記作業状況検出手段は、前記作業具が前記螺合部材の増し締めを行ったときに、該増し締めのトルクが所定のトルク値で行われたことを検出するトルク検出部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の作業検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48510(P2012−48510A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190226(P2010−190226)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】