説明

作業機の油圧駆動装置

【課題】アンロード回路の調節による複数の油圧アクチュエータの駆動調節を適切に行わせることができる作業機の油圧駆動装置を提供する。
【解決手段】複数の油圧アクチュエータの操作弁機構30,40に圧油供給する圧油供給路26から圧油を排出するアンロード回路103、アンロード回路103を開度調節する操作弁107を設けてある。操作量検出手段151,152による検出情報、ポンプ回転検出手段153による検出情報に基いて操作弁107を制御するアンロード制御手段150を設け、操作弁機構30,40の操作量に応じてアンロード回路103を開度調節するように、油圧ポンプが低速回転であるとアンロード回路103を小開度に調節するように、油圧ポンプが高速回転であるとアンロード回路103を大開度に調節するように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ポンプから供給される圧油によって駆動する複数の油圧アクチュエータを備えた作業機の油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動される一対の油圧アクチュエータ、油圧ポンプを一対の油圧アクチュエータのメインスプールに接続する圧油供給路をタンクポートに接続するアンロード回路が備えられた油圧駆動装置があった。アンロード回路は、ロジック弁を備えて構成され、ロジック弁の背圧室に接続された一対のサブスプールが備えられている。一方の油圧アクチュエータの方向切換弁を構成するメインスプールがパイロット弁からのパイロット圧によって操作されると、一方のサブスプールがパイロット弁からのパイロット圧によって操作されてロジック弁を開度調節するように構成されている。他方の油圧アクチュエータの方向切換弁を構成するメインスプールがパイロット弁からのパイロット圧によって操作されると、他方のサブスプールがパイロット弁からのパイロット圧によって操作されてロジック弁を開度調節するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−238506号公報(図5、段落〔0076〕〜〔0081〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の油圧アクチュエータの操作弁機構に圧油供給する圧油供給路から圧油を排出するアンロード回路を設け、複数の油圧アクチュエータの操作弁機構の操作量を検出して、複数の操作弁機構それぞれの操作量に応じてアンロード回路を開度調節するように構成すれば、油圧ポンプから吐出される圧油量や油圧アクチュエータに掛かる駆動負荷にかかわらず油圧アクチュエータの駆動をスムーズに行わせることできる。
【0005】
たとえば、駆動負荷が大である油圧アクチュエータを停止させながら駆動負荷が小である油圧アクチュエータを駆動する場合、アンロード回路を大開度に調節させることにより、油圧ポンプから吐出される圧油量が大であっても、アンロード回路によって圧油供給路から排出される圧油量を大にして操作弁機構に供給される圧油量を小にし、油圧アクチュエータを小負荷にかかわらず過不足がない駆動速度で駆動することができる。また、駆動負荷が小である油圧アクチュエータを停止させながら駆動負荷が大である油圧アクチュエータを駆動する場合、アンロード回路を閉じ側に調節させることにより、アンロード回路によって圧油供給路から排出される圧油量を小や零にして操作弁機構に供給される圧油量を大にし、油圧アクチュエータを大負荷にかかわらず過不足がない駆動速度で駆動することができる。
【0006】
操作弁機構の操作量に応じてアンロード回路の開度調節が行なわれるように構成した場合でも、油圧アクチュエータの駆動不良が発生することがあった。
つまり、たとえばアンロード回路を排出量が小になるように閉じ側に調節させても、油圧ポンプの回転速度が低速であれば、油圧ポンプの吐出油量が小であることによって油圧アクチュエータの駆動圧が上昇しにくく、操作弁機構に供給される圧油量を大にするようアンロード回路を閉じ側に調節させているにもかかわらず、油圧アクチュエータの動きが悪くなる。また、アンロード回路を排出量が大になるように大開度に調節させても、油圧ポンプの回転速度が高速であると、油圧ポンプの吐出油量が大であることによって油圧アクチュエータの駆動圧が上昇し過ぎ、操作弁機構に供給される圧油量を小にするようアンロード回路を大開度に調節しているにもかかわらず、油圧アクチュエータの駆動速度が速くなり過ぎる。
【0007】
本発明の目的は、アンロード回路の調節による複数の油圧アクチュエータの駆動調節を適切に行わせることができる作業機の油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明は、油圧ポンプから供給される圧油によって駆動する複数の油圧アクチュエータを備えた作業機の油圧駆動装置において、
前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータの操作弁機構に圧油供給する圧油供給路から圧油を排出するアンロード回路、及び前記アンロード回路を開度調節する操作弁を設け、
前記複数の油圧アクチュエータの操作弁機構の操作量を検出する操作量検出手段、及び前記油圧ポンプの駆動回転数を検出するポンプ回転検出手段を設け、
前記複数の操作弁機構それぞれの操作量に応じて前記アンロード回路を開度調節するように、前記操作量検出手段による検出情報に基いて前記操作弁を制御し、かつ前記油圧ポンプが低速回転であると前記アンロード回路を小開度に調節し、前記油圧ポンプが高速回転であると前記アンロード回路を大開度に調節するように、前記ポンプ回転検出手段による検出情報に基いて前記操作弁を制御するアンロード制御手段を設けてある。
【0009】
本第1発明の構成によると、たとえば駆動操作される油圧アクチュエータが停止状態の油圧アクチュエータよりも大の駆動負荷を受けるものである場合、駆動操作される油圧アクチュエータの操作弁機構の操作量を検出する操作量検出手段による検出情報を基に、アンロード制御手段によってアンロード回路を小開度や閉じに開度調節させて、アンロード回路による圧油供給路からの圧油排出量を小や無しにし、油圧アクチュエータが適切な駆動圧を受けてスムーズに駆動されるように、油圧アクチュエータへの圧油供給を駆動負荷に応じた油量で行なわせることができる。
【0010】
あるいは駆動操作される油圧アクチュエータが停止状態の油圧アクチュエータよりも小の駆動負荷を受けるものである場合、駆動操作される油圧アクチュエータの操作弁機構の操作量を検出する操作量検出手段による検出情報を基に、アンロード制御手段によってアンロード回路を大開度に開度調節させてアンロード回路による圧油供給路からの圧油排出量を大にし、油圧アクチュエータが適切な駆動圧を受けてスムーズに駆動されるように、油圧アクチュエータへの圧油供給を駆動負荷に応じた適切な油量で行なわせることができる。
【0011】
さらに操作弁機構の開度を大や小に調節するとか操作弁機構を断続的に開くなど操作弁機構の操作量調節が行なわれた場合、操作量検出手段による検出情報を基に、アンロード制御手段によってアンロード回路を操作弁機構の操作量に適応した開度を備えるように開度調節させてアンロード回路による圧油供給路からの圧油排出を操作弁機構の操作量に応じた適切な排出量で行なわせ、油圧アクチュエータが適切な駆動速度で駆動されるように、油圧アクチュエータへの圧油供給を操作弁機構の操作量に応じた油量で行なわせることができる。
【0012】
これらのように、アンロード回路による圧油供給路からの圧油排出を各操作弁機構の操作量に対応した排出量で行なわせ、油圧ポンプの定量吐出にかかわらず、各油圧アクチュエータが駆動負荷や操作弁機構の操作量に応じた駆動速度で駆動されるように各油圧アクチュエータに対する圧油供給を操作弁機構の操作量に応じた適切な供給量で行なわせることができる。
【0013】
本第1発明の構成によると、油圧ポンプが低速回転であれば、ポンプ回転検出手段による検出情報に基づくアンロード制御手段による開度調節によってアンロード回路が小開度に開度調節されるから、アンロード回路が操作弁機構の操作量の検出結果に基づいて開度調節されるにもかかわらず、油圧ポンプの低速回転による少量吐出に起因して油圧アクチュエータの圧油供給不足が発生することを、アンロード回路の小開度への開度調節による圧油排出の抑制によって防止や抑制できる。
【0014】
油圧ポンプが高速回転であれば、ポンプ回転検出手段による検出情報に基づくアンロード制御手段による開度調節によってアンロード回路が大開度に開度調節されるから、アンロート回路が操作弁機構の操作量の検出結果に基づいて開度調節されるにもかかわらず、油圧ポンプの高速回転による多量吐出に起因して油圧アクチュエータの圧油供給過剰が発生することを、アンロード回路の大開度への開度調節による圧油排出の促進によって防止や抑制できる。
【0015】
従って、複数の油圧アクチュエータを同一の油圧ポンプからの圧油によって駆動するものでありながら、油圧ポンプの定量吐出や油圧ポンプの駆動回転数の設定不良にかかわらず、操作弁機構の操作量に応じたアンロード回路の開度調節、及び油圧ポンプの検出回転数に基づくアンロード回路の開度調節によって各油圧アクチュエータの圧油供給量を適切なものに調整させて、各油圧アクチュエータを適切な駆動速度でスムーズに駆動して能率よく作業できる。
【0016】
本第2発明では、前記複数の油圧アクチュエータが停止状態にある操作弁機構に圧油供給するよう前記アンロード回路を開度調節する与圧モードに前記アンロード制御手段を操作する与圧設定手段を設けてある。
【0017】
本第2発明の構成によると、与圧設定手段によってアンロード制御手段を与圧モードに操作すれば、与圧モードのアンロード制御手段によるアンロード回路の開度調節によって油圧アクチュエータが停止している状態にある操作弁機構に圧油が供給され、後に駆動操作された際の油圧アクチュエータの始動がスムーズとなるように操作弁機構に与圧を付与しておくことができる。
【0018】
従って、操作弁機構に予め付与してある与圧によって油圧アクチュエータをスムーズに始動させ、油圧アクチュエータによる作業装置の操作などをスムーズに行わせて能率よく作業できる。
【0019】
本第3発明では、前記複数の油圧アクチュエータとして、作業装置を走行機体に対して昇降操作する昇降シリンダ、及び前記作業装置を走行機体に対してローリング操作するローリングシリンダを備えてある。
【0020】
本第3発明の構成によると、昇降シリンダによって作業装置を昇降操作し、ローリングシリンダによって作業装置をローリング操作するものであり、ローリングシリンダに掛かる駆動負荷が昇降シリンダに掛かる駆動負荷より小になりがちであるが、操作弁機構の操作量に応じたかつ油圧ポンプの検出回転数に基づくアンロード油路の回動調節による昇降シリンダ及びローリングシリンダに対する圧油供給量の調節により、昇降シリンダ及びローリングシリンダを適切な駆動速度でスムーズに駆動することができる。
【0021】
従って、作業装置の昇降操作及びローリング操作を適切な速度でスムーズに行わせて良好な仕上がりの作業を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】トラクタの全体を示す側面図である。
【図2】リンク機構及びロータリ耕耘装置を示す斜視図である。
【図3】ローリグシリンダ及び昇降シリンダの駆動を可能にする油圧回路を示す油圧回路図である。
【図4】ブレーキ油圧回路、操向油圧回路、変速油圧回路、作業油圧回路を示す油圧回路図である。
【図5】アンロード装置を示す概略図である。
【図6】弁装置を示す平面図である。
【図7】別の実施構造を備える油圧駆動装置におけるアンロード回路を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明に係る作業機のアンロード装置をトラクタに装備した場合について説明する。
【0024】
図1に示すように、トラクタは、左右一対の前車輪1,1が操向操作及び駆動自在に装備され、左右一対の後車輪2,2が駆動自在に装備された機体フレーム3の後部側に運転座席4aを有した乗用運転部4を設けて走行機体を構成し、機体フレーム3の後部を構成するミッションケース5の後端部にリンク機構6を介してロータリ耕耘装置7を連結して構成されている。
【0025】
走行機体の機体フレーム3は、エンジン8と、エンジン8の後部にクラッチハウジング9を介して前端部が連結された伝動ケース10と、伝動ケース10の後端部に前端部が連結されたミッションケース5と、エンジン8の下部に連結された前輪支持フレーム11とを備えて構成してある。
【0026】
走行機体は、ミッションケース5の後部壁から機体後方向きに突設された動力取り出し軸12を備え、エンジン8からの駆動力を動力取り出し軸12から回転軸13を介してロータリ耕耘装置7に伝達する。
【0027】
図2は、リンク機構6及びロータリ耕耘装置7を示す斜視図である。この図及び図1に示すように、リンク機構6は、ミッションケース5の上部に設けた支持部5aに上下揺動自在に支持される左右一対のリフトアーム15,15と、ミッションケース5の下部に設けた左右一対の下部支持体5b,5bから機体後方向きに上下揺動自在に延出する左右一対のロワーリンク16,16と、左側のリフトアーム15と左側のロワーリンク16とを連結するリフトロッド17と、右側のリフトアーム15と右側のロワーリンク16とを連結する複動形のローリングシリンダ18と、ミッションケース5の後部壁に設けた上部支持体5cから後方向きに上下揺動自在に延出するトップリンク19とを備えて構成してある。左右一対のロワーリンク16,16及びトップリンク19の延出端部は、ロータリ耕耘装置7が備える連結フレーム20に連結されている。
【0028】
リンク機構6は、左右一対のリフトアーム15,15に一端側が連結され、左右一対の下部支持体5b,5bに他端側が連結された左右一対の単動形の昇降シリンダ21,21を備え、左右一対のリフトアーム15,15が左右一対の昇降シリンダ21,21によって上下に揺動操作されることにより、ミッションケース5に対して上下に揺動操作されてロータリ耕耘装置7を走行機体に対して昇降操作する。
【0029】
リンク機構6は、右側のロワーリンク16がローリングシリンダ18によってミッションケース5に対して昇降操作されることにより、ロワーリンク16と下部支持体5b及び連結フレーム20との連結箇所、リフトロッド17とリフトアーム15及びロワーリンク16との連結箇所、ローリングシリンダ18とロワーリンク16及びリフトアーム15との連結箇所、トップリンク19と上部支持体5c及び連結フレーム20との連結箇所に設けた融通の作用により、ロータリ耕耘装置7を走行機体に対してローリング操作する。
【0030】
ローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21の駆動を可能にする油圧駆動装置を図3に示す如く構成してある。すなわち、ローリングシリンダ18に一対の操作油路31,31を介して接続された操作弁32を備えて、ローリングシリンダ18の操作弁機構30を構成し、この操作弁機構30の入力ポート33と第1の油圧ポンプ25の吐出部とを圧油供給路26によって接続してある。一対の昇降シリンダ21,21に操作油路41を介して接続された上昇操作弁42及び下降操作弁43を備えて、昇降シリンダ21の操作弁機構40を構成し、この操作弁機構40の入力ポート44と第1の油圧ポンプ25の吐出部とを圧油供給路26によって接続してある。
【0031】
圧油供給路26は、第1の油圧ポンプ25の吐出部を油取出し回路50の入力ポート51に連通させるポンプ側供給路26aと、油取出し回路50に設けられた主取出し油路52と、油取出し回路50の排油ポート53をローリングシリンダ18の操作弁機構30の入力ポート33に連通させる第1のアクチュエータ側供給路26bと、操作弁機構30に備えられた給油路35及び排油路37と、ローリングシリンダ18の操作弁機構30の排油ポート34を昇降シリンダ21の操作弁機構40の入力ポート44に連通させる第2のアクチュエータ側供給路27とを備えて構成してある。
【0032】
油取出し回路50の主取出し油路52は、入力ポート51と排油ポート53とを連通させる状態で設けられている。操作弁機構30の給油路35は、一端側で入力ポート33に連通している。操作弁機構30の排油路37は、給油路35に設けられた切換弁36の排出ポートを操作弁機構30の排油ポート34に連通させている。ポンプ側供給路26aにリリーフ弁28aを有したリリーフ油路28が接続されている。
【0033】
油取出し回路50は、主取出し油路52に一対の枝取出し回路54,54を介して接続された一対の取出し口部55,55を備え、アースブレイカー等の外部装置の入力ホースが取出し口部55に接続され、枝取出し回路54に設けてある取出し弁56が操作され、この取出し弁56及び切換弁57の開き作用によって枝取出し回路54が開き操作されることにより、第1の油圧ポンプ25からポンプ側供給路26aを介して主取出し油路52に供給される圧油を外部装置に供給するよう構成されている。一方の取出し口部55に開閉弁58aを有した排油路58が接続されており、開閉弁58aを開き操作することにより、外部装置から戻ってくる油を排油路58からドレン油路59に流入させてタンクとしてのミッションケース5に戻すことができるよう構成されている。
【0034】
ローリングシリンダ18の操作弁機構30は、前記操作弁32を備える他、この操作弁32を入力ポート33に接続する給油路35と、この給油路35に設けた切換弁36を排油ポート34に連通させる排油路37と、操作弁32の一対の操作部に一対のパイロット操作油路38a,38aを介して各別に接続された一対の制御弁38,38と、一対の制御弁38,38に接続されたパイロット油路38bとを備えて構成してある。
【0035】
操作弁32とローリングシリンダ18とを接続する一対の操作油路31,31は、パイロット式逆止弁39を備えている。パイロット式逆止弁39と切換弁36とにわたってシャトル弁を有したパイロット油路39aを設けてある。パイロット油路38bは、ポンプ側供給路26aに接続されている。パイロット油路38bは、アンロード付き圧力制御弁38c、及びパイロット圧検出のための検圧ポート38dを備えている。
【0036】
従って、ローリングシリンダ18の操作弁機構30は、一方の制御弁38が駆動位置に切り換え制御され、他方の制御弁38が中立位置に切り換え制御されると、ポンプ側供給路26aからパイロット油路38bに供給されるパイロット油圧を一方の制御弁38からパイロット操作油路38aを介して操作弁32の一方の操作部に供給して操作弁32をアクチュエータ駆動位置に切り換え操作し、第1の油圧ポンプ25から圧油供給路26に供給される圧油を操作弁32から一方の操作油路31を介してローリングシリンダ18のボトム側ポートに供給してローリングシリンダ18を伸長側に駆動する。
【0037】
ローリングシリンダ18の操作弁機構30は、一方の制御弁38が中立位置に切り換え制御され、他方の制御弁38が駆動位置に切り換え制御されると、ポンプ側供給路26aからパイロット油路38bに供給されるパイロット油圧を他方の制御弁38からパイロット操作油路38aを介して操作弁32の他方の操作部に供給して操作弁32をアクチュエータ駆動位置に切り換え操作し、第1の油圧ポンプ25から圧油供給路26に供給される圧油を操作弁32から他方の操作油路31を介してローリングシリンダ18のロッド側ポートに供給してローリングシリンダ18を短縮側に駆動する。
【0038】
ローリングシリンダ18の操作弁機構30は、一対の制御弁38,38が共に中立位置に切り換え制御されると、一対の制御弁38,38によって操作弁32の一対の操作部からパイロット油圧を排出して操作弁32を中立位置に切り換え操作し、ローリングシリンダ18のボトム側ポート及びロッド側ポートに対する圧油供給を停止してローリングシリンダ18を停止させる。
【0039】
昇降シリンダ21の操作弁機構40は、前記上昇操作弁42及び前記下降操作弁43を備える他、上昇操作弁42の操作部にパイロット操作油路45aを介して接続された上昇制御弁45と、下降操作弁43の操作部にパイロット操作油路46aを介して接続された下降制御弁46と、上昇操作弁42を入力ポート44に連通させる給油路47と、上昇制御弁45及び下降制御弁46に接続されたパイロット油路48とを備えて構成してある。
【0040】
パイロット油路48は、操作油路41の上昇操作弁42と下降操作弁43が接続している部位の中間に連通されている。給油路47にリリーフ弁49aを備えたリリーフ油路49が接続されている。
【0041】
従って、昇降シリンダ21の操作弁機構40は、上昇制御弁45が駆動位置に切り換え制御されると、操作油路41からパイロット油路48に供給されるパイロット油圧を上昇制御弁45からパイロット操作油路45aを介して上昇操作弁42の操作部に供給して上昇操作弁42をアクチュエータ駆動位置に切り換え操作し、第1の油圧ポンプ25から圧油供給路26に供給される油圧を上昇操作弁42から操作油路41を介して一対の昇降シリンダ21,21のボトム側室に供給して一対の昇降シリンダ21,21を伸長側(耕耘装置上昇側)に駆動する。このとき、上昇操作弁42から昇降シリンダ21に供給される圧油は、操作油路41に並列状態で設けた絞り部41aと逆止弁41bのうちの逆止弁41bを通る。
【0042】
昇降シリンダ21の操作弁機構40は、下降制御弁46が下降操作位置に切り換え制御されると、操作油路41からパイロット油路48に供給されるパイロット油圧を下降制御弁46からパイロット操作油路46aを介して下降操作弁43の操作部に供給して下降操作弁43を排油位置に切り換え操作し、一対の昇降シリンダ21,21から操作油路41を介して下降操作弁43に圧油を排出し、一対の昇降シリンダ21,21をロータリ耕耘装置7の荷重によって短縮側(耕耘装置下降側)に操作する。このとき、一対の昇降シリンダ21,21から排出される圧油は、操作油路41における落下速度調整用の絞り部41aを通る。
【0043】
昇降シリンダ21の操作弁機構40は、上昇制御弁45及び下降制御弁46が停止位置に切り換え制御されると、上昇操作弁42が給油停止位置に切り換え操作され、下降操作弁43がロック位置に切り換え操作され、上昇操作弁42及び下降操作弁43が一対の昇降シリンダ21,21を停止させる。
【0044】
図3に示す油路ブロック5dは、ミッションケース5が備える上部カバーである。
【0045】
図4に示すブレーキ油圧回路60は、ブレーキぺダル61が踏み操作されることにより、マスタシリンダ62が操作されてブレーキ63を制動操作するようにブレーキ操作装置を構成するものである。
【0046】
図4に示す操向油圧回路65は、ステアリングハンドル66が回転操作されることにより、ステアリング弁67及びメータリングポンプ68が操作されてパワーステアリングシリンダ69を駆動するようにパワーステアリング装置を構成するものである。
【0047】
図4に示す変速油圧回路70は、走行トランスミッションを変速操作する変速装置を構成するものであり、1速ピストン71、2速ピストン72、3速ピストン73,4速ピストン74、前進ピストン75、後進ピストン76、低速ピストン77、高速ピストン78、前輪デフピストン79、後輪デフピストン80、駆動切換えピストン81、前輪増速ピストン82を備えている。1速〜4速ピストン71,72,73,74は、主変速部の1速〜4速クラッチを切り換え操作して走行トランスミッションを1速〜4速状態に変速する。前進ピストン75及び後進ピストン76は、前後進切換え部の前進クラッチと後進クラッチを切り換え操作して走行トランスミッションを前進伝動状態と後進伝動状態とに変速する。低速ピストン77及び高速ピストン78は、副変速部を低速状態と高速状態に切り換え操作して走行トランスミッションを低速側と高速側とに副変速する。前輪デフピストン79は、前輪差動機構をデフロック状態に切り換え操作し、後輪デフピストン80は、後輪差動機構をデフロック状態に切り換え操作する。駆動切換えピストン81は、走行トランスミッションを4輪駆動状態と2輪駆動状態とに切り換える。前輪増速ピストン82は、走行トランスミッションによる前輪増速をオン状態とオフ状態とに切り換える。
【0048】
図4に示す作業油圧回路85は、動力取り出し軸12に対する伝動を入り切り操作する作業クラッチをクラッチピストン86によって入り状態と切り状態に切換え操作するものである。
【0049】
ブレーキ油圧回路60、操向油圧回路65、変速油圧回路70及び作業油圧回路85は、レギュレータバルブ装置88を介して第2の油圧ポンプ89に接続されている。第1の油圧ポンプ25及び第2の油圧ポンプ89は、ミッションケース5に貯留された潤滑油を作動油として取り出す。従って、ミッションケース5が作動油のタンクになる。
【0050】
ローリングシリンダ18の操作弁機構30を構成する一対の制御弁38,38を、電磁操作部38e(図5参照)によって切り換え操作されるように電磁制御弁に構成してある。図5に示すように、一対の制御弁38,38の電磁操作部38eに制御装置90を連係させるとともに、制御装置90に傾斜センサ91を連係させてある。
【0051】
傾斜センサ91は、走行機体の左右傾斜角を検出するようにミッションケース5に設置されている。傾斜センサ91は、検出結果を電気信号で制御装置90に出力する。
【0052】
制御装置90は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、ローリング制御手段92を備えている。ローリング制御手段92は、傾斜センサ91による検出情報と傾斜設定器93による設定傾斜角とを基に、ロータリ耕耘装置7の水平に対する左右傾斜角が傾斜センサ91による検出傾斜角の変化にかかわらず傾斜設定器93による設定傾斜角に等しくまたはほぼ等しくなるように、一対の制御弁38,38を操作することによってローリングシリンダ18を制御する。傾斜設定器93は、ロータリ耕耘装置7に維持させるべき水平に対する左右傾斜角を設定傾斜角として設定する。
【0053】
つまり、ローリング制御手段92は、傾斜センサ91による検出情報及び傾斜設定器93による設定情報に基づいてローリングシリンダ18を操作することによってロータリ耕耘装置7を走行機体に対してローリング制御するのであり、走行機体の左右傾斜にかかわらず、ロータリ耕耘装置7の左右での耕耘深さを傾斜設定器93による設定どおりに一定にしながら、あるいは相違させながら作業できる。
【0054】
昇降シリンダ21の操作弁機構40を構成する上昇制御弁45及び下降制御弁46を、電磁操作部45b,46b(図5参照)によって切り換え操作されるように電磁制御弁に構成してある。図5に示すように、上昇制御弁45及び下降制御弁46の電磁操作部45b,46bに制御装置90を連係させるとともに、制御装置90に耕深センサ94及び角度センサ95を連係させてある。
【0055】
図2に示すように、耕深センサ94は、ロータリ耕耘装置7が備えるロータリ上方カバー96aにセンサボディが固定された回転ポテンショメータによって構成してある、回転ポテンショメータの回転操作軸は、ロータリ上方カバー96aに横向き軸芯まわりに上下揺動自在に枢支されたロータリ後方カバー96bにリンク機構94aを介して連動されている。
【0056】
つまり、耕深センサ94は、ロータリ後方カバー96bの耕耘装置機体に対する上下揺動角を基に耕耘ロータ7aによる耕耘深さを検出し、この検出結果を電気信号で制御装置90に出力する。
【0057】
角度センサ95は、リフトアーム15の回転支軸に回転操作軸が連動された回転ポテンショメータによって構成してあり、回転支軸の回転角をリフトアーム15の走行機体に対する揺動角として検出し、この検出結果を制御装置90に出力する。
【0058】
制御装置90は、昇降制御手段97を備えている。昇降制御手段97は、耕深センサ94及び角度センサ95による検出情報を基に、耕深センサ94による検出耕深が耕深設定器98による設定耕深に等しくまたはほぼ等しくなるように、上昇制御弁45及び下降制御弁46を操作することにより昇降シリンダ21を制御する。耕深設定器98は、ロータリ耕耘装置7に維持させるべき耕耘深さを設定耕深として設定する。
【0059】
つまり、昇降制御手段97は、耕深センサ94による検出情報及び耕深設定器98による設定情報に基づいて一対の昇降シリンダ21,21を操作することによってロータリ耕耘装置7を走行機体に対して昇降制御するのであり、走行機体の前後傾斜にかかわらず、ロータリ耕耘装置7の耕耘深さを耕深設定器98による耕耘深さと同じあるいはほぼ同じにさせながら作業できる。
【0060】
図3に示すように、圧油供給路26に開度調節弁102を備えたアンロード回路103を接続してある。図3,5に示すように、アンロード回路103は、開度調節弁102のポンプポート102Pを圧油供給路26の入力ポート33が位置する部位に連通させる上流側回路103aと、開度調節弁102のタンクポート102Tをタンクとしてのミッションケース5に連通させる下流側回路103bとを備えて構成してある。下流側回路103bにオイルクーラ109を設けてある。
【0061】
図3,5に示すように、開度調節弁102の背圧室113に、開閉弁105を備えた排油路104を接続し、開閉弁105の操作部105aにパイロット操作油路106を介して操作弁107を接続してある。操作弁107のドレンポートは、ドレン油路132を介して開度調節弁102のタンクポート102Tに接続してある。排油路104は、開度調節弁102の背圧室113と開閉弁105を接続する上流側油路104aと、開閉弁105をドレン油路132に接続する下流側油路104bとを備えて構成してある。
【0062】
操作弁107を電磁操作部107aによって切り換え操作されるように電磁比例弁に構成し、操作弁107の電磁操作部107aを制御装置90に連係させてある。制御装置90をマイクロコンピュータを利用して構成し、制御装置90にアンロード制御手段150、昇降用の操作量検出手段151及びローリング用の操作量検出手段152を備えてある。
【0063】
昇降用の操作量検出手段151は、昇降制御手段97が昇降シリンダ21を停止あるいは駆動させるべき操作信号を出力すると、昇降制御手段97が操作信号を出力したことの情報を入力し、この情報に基づいて操作弁機構40が停止操作と駆動操作のいずれの操作状態にあるかを検出し、かつ駆動操作の操作状態にあると検出した場合、昇降制御手段97からの情報に基づいて上昇操作弁42や下降操作弁43の開口側への操作量を検出する。
【0064】
ローリング用の操作量検出手段152は、ローリング制御手段92がローリングシリンダ18を停止あるいは駆動させるべき操作信号を出力すると、ローリング制御手段92が操作信号を出力したことの情報を入力し、この情報に基いて操作弁機構30が停止操作と駆動操作のいずれの操作状態にあるかを検出し、かつ駆動操作の操作状態にあると検出した場合、ローリング制御手段92からの情報に基いて操作弁32の開口側への操作量を検出する。
【0065】
アンロード制御手段150は、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151による検出情報を基に、ローリングシリンダ18の操作弁機構30及び昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にあると検出した場合、アンロード回路103を全開させるべき操作信号としての電気信号を操作弁107の電磁操作部107aに出力して操作弁107を切り換え制御する。アンロード制御手段150は、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151の検出操作量に対応する切り換え操作力が電磁操作部107aに作用する電気信号を電磁操作部107aに出力し、電気信号による操作力とリターンバネ130による操作力との強さの相違により、操作弁107を全開位置a、全閉位置b、全開位置aと全閉位置bとの中間の開き位置、及び開口量が無段階に異なる中間の開位置とに切り換え制御する。つまり、アンロード制御手段150は、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151の検出操作量が変化すると、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151の検出操作量に対応した開口量を備える中間の開位置に操作弁107を切り換え制御する。
【0066】
アンロード制御手段150は、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151による検出情報を基に、昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にあって、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が駆動操作の操作状態にあると検出した場合、及びローリングシリンダ18の操作弁機構30が停止操作の操作状態にあって、昇降シリンダ21の操作弁機構40が駆動操作の操作状態にあると検出した場合、アンロード回路103を閉じ側に開度調節させるべき操作信号としての電気信号を操作弁107に出力し、電気信号による操作力とリターンバネ130による操作力とによって操作弁107を全開位置aと全閉位置bの中間の開口量を備えた中間の開位置に制御する。
【0067】
アンロード制御手段150は、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が駆動操作の操作状態にあり、昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にあると検出した場合、操作弁107を中間の開位置であって、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が停止操作の操作状態にあり、昇降シリンダ21の操作弁機構40が駆動操作の操作状態にあると検出した場合に比して全開位置aに近い中間の開位置に切り換え制御する。
【0068】
アンロード制御手段150は、昇降シリンダ21の操作弁機構40が駆動操作の操作状態にあり、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が停止操作の操作状態にあると検出した場合、操作弁107を中間の開位置であって、昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にあり、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が駆動操作の操作状態にあると検出した場合に比して全閉位置bに近い中間の開位置に切り換え制御する。
【0069】
アンロード制御手段150は、ローリングシリンダ18の操作弁機構30及び昇降シリンダ21の操作弁機構40が駆動操作の操作状態にあると検出した場合、ローリングシリンダ18の操作弁機構30が停止操作の操作状態にあり、昇降シリンダ21の操作弁機構40が駆動操作の操作状態にあると検出した場合と同様の中間の開位置に操作弁107を切り換え制御する。
【0070】
操作弁107は、全開位置aに切り換え制御されると、操作弁機構30のパイロット油路38bからパイロット油路131に供給されるパイロット油圧をパイロット操作油路106に供給して開閉弁105の操作部105aに作用させ、開閉弁105をリターンバネ120に抗して全開位置a1に切り換え操作する。開閉弁105は、全開位置a1に切り換え操作されると、排油路104を開いて開度調節弁102における背圧室113の圧油を排油路104に排出させて開度調節弁102を全開状態に開き操作する。開度調節弁102は、全開状態に開き操作されると、アンロード回路103を開口量が最大となるように開度調節する。
【0071】
操作弁107は、全閉位置bに切り換え制御されると、開閉弁105の操作部105aからパイロット油圧を排出し、開閉弁105をリターンバネ120によって全閉位置b1に切り換え操作する。開閉弁105は、全閉位置b1に切り換え操作されると、排油路104を閉じて開度調節弁102の背圧室113に圧油を貯留させて、開度調節弁102を全閉状態に閉じ操作する。開度調節弁102は、全閉状態に閉じ操作されると、アンロード回路103を全閉状態に開度調節する。
【0072】
操作弁107は、全開位置aと全閉位置bの中間の開位置に切り換え制御されると、開閉弁105の操作部105aに作用するパイロット油圧に絞り作用して開閉弁105を全開位置a1と全閉位置b1の中間の開位置に操作する。開閉弁105は、中間の開位置に操作されると、排油路104に絞り作用して開度調節弁102を全閉状態と全開状態の中間の開状態に操作する。開度調節弁102は、中間の開状態に操作されると、アンロード回路103を開口量が最大より小になるように開度調節する。操作弁107の開側への操作量を変更調節して操作弁107の開口量が変化すると、開度調節弁102は、操作弁107の操作量に対応した開口量を備える中間の開状態に操作されて、アンロード回路103を操作弁107の操作量に対応した開口量を備えるように開度調節する。
【0073】
図5に示すように制御装置90にポンプ回転検出手段153を連係させてある。ポンプ回転検出手段153は、第1の油圧ポンプ25を駆動するエンジン8の回転数を検出する回転センサによって構成してあり、エンジン8の回転数を第1の油圧ポンプ25の駆動回転数として検出し、検出結果を制御装置90に出力する。
【0074】
アンロード制御手段150は、ポンプ回転検出手段153による検出回転数と予め入力されている設定回転数範囲の回転数とを比較して油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた低速回転であると検出した場合、昇降用の操作量検出手段151及びローリング用の操作量検出手段152による検出情報に基く操作弁107の制御とは別に操作弁107を閉じ側に制御して、アンロード回路103を閉じ側に開度調節する。
【0075】
アンロード制御手段150は、ポンプ回転検出手段153による検出回転数と予め入力されている設定回転数範囲の回転数とを比較して油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた高速回転であると検出した場合、昇降用の操作量検出手段151及びローリング用の操作量検出手段152による検出情報に基く操作弁107の制御とは別に操作弁107を開き側に制御して、アンロード回路103を開き側に開度調節する。
【0076】
設定回転数範囲としては、昇降用の操作量検出手段151及びローリング用の操作量検出手段152による検出情報に基づいてアンロード回路103が開度調節されてアンロード回路103による圧油供給路26からの圧油排出が行われても、ローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21の駆動に速度面などの支障が生じない供給量でローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21に圧油供給することができる回転数範囲を設定してある。
【0077】
制御装置90に与圧設定手段154を連係させてある。与圧設定手段154は、人為操作によってオン及びオフ操作され、オン操作されると、与圧付与の操作指令を制御装置90に出力し、オフ操作されると、与圧解除の操作指令を制御装置90に出力するよう構成してある。
【0078】
アンロード制御手段150は、与圧付与の操作指令を入力した場合、与圧モードに切り換え操作され、ローリングシリンダ18の操作弁機構30及び昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にある場合でも、開度調節弁102を全開状態に操作させるのではなく、全開状態と全閉状態の中間の全開状態に近い開状態に操作させてアンロード回路103を全開状態と全閉状態の中間の開口を備えるように開度調節させ、油圧ポンプ25からの圧油の一部を停止操作の操作状態にある操作弁機構30及び操作弁機構40に供給して操作弁機構30及び操作弁機構40に与圧を付与しながら、残りの圧油をアンロード回路103によって圧油供給路26から排出させる。
【0079】
アンロード制御手段150は、与圧解除の操作指令を入力した場合、アンロードモードに切り換え操作され、ローリングシリンダ18の操作弁機構30及び昇降シリンダ21の操作弁機構40が停止操作の操作状態にある場合、開度調節弁102を全開状態に操作させてアンロード回路103を全開状態に開度調節させ、油圧ポンプ25からの圧油の全量をアンロード回路103によって圧油供給路26ら排出させて、操作弁機構30及び操作弁機構40に対する与圧付与を解除し、かつリリーフ油路28による圧油排出の回避を図る。
【0080】
つまり、ローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21が停止操作されている場合、与圧設定手段154をオフ操作してあると、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151による停止操作の検出情報を基に、アンロード制御手段150が操作弁107の全開位置aへの制御による開閉弁105の操作によって開度調節弁102を全開状態に操作してアンロード回路103を全開状態に開度調節し、油圧ポンプ25から供給される圧油の全量がアンロード回路103によって圧油供給路26から排出されてリリーフ油路28による圧油排出を回避できる。
【0081】
ローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21が停止操作されている場合でも、与圧設定手段154をオン操作してあると、ローリング用の操作量検出手段152及び昇降用の操作量検出手段151による停止操作の検出情報にかかわらず、アンロード制御手段150が与圧付与の操作指令を基に操作弁107を全開位置aと全閉位置bの中間の開位置に制御し、開閉弁105を介して開度調節弁102を全開状態と全閉状態の中間の開状態に操作して、アンロード回路103を全開状態と全閉状態の中間の全開状態に近い開状態に開度調節し、油圧ポンプ25から供給される圧油の一部が停止状態にあるローリングシリンダ18の操作弁機構30及び停止状態にある昇降シリンダ21の操作弁機構40に供給され、操作弁32が駆動位置に切り換え操作された際のローリングシリンダ18の駆動及び上昇操作弁42が駆動位置に切り換え操作された際の昇降シリンダ21の駆動を迅速に開始させることができるように操作弁機構30及び操作弁機構40に与圧を付与しながら、油圧ポンプ25からの残りの圧油がアンロード回路103によって圧油供給路26から排出される。
【0082】
昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合、油圧ポンプ25から圧油供給路26に供給される圧油の一部が操作弁32からローリングシリンダ18に供給されて、操作弁32の操作量に適応した速度でローリングシリンダ18が駆動され、ローリングシリンダ18に供給される以外の圧油供給路26の圧油がアンロード回路103によってミッションケース5に戻される。
すなわち、昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合、昇降用の操作量検出手段151による停止操作の検出情報と、ローリング用の操作量検出手段152による操作量の検出情報とを基に、アンロード制御手段150が操作弁107を制御して開閉弁105を制御することによって開度調節弁102の開口量調節を行い、アンロード回路103を操作弁32の操作量に適応した開口量を備えた開状態(全開状態と全閉状態の間の開状態)に開度調節する。これにより、油圧ポンプ25から供給される圧油の一部が操作弁32からローリングシリンダ18に供給され、油圧ポンプ25からの残りの圧油がアンロード回路103によって圧油供給路26から排出される。
【0083】
このように昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合、油圧ポンプ25の回転数に過不足があっても、操作弁32の操作量に適応した速度でローリングシリンダ18を駆動することができるように、アンロード回路103によって圧油供給路26からミッションケース5に戻される圧油量が調節される。
すなわち、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた低速回転になっていると、アンロード回路103によって圧油供給路26から排出される油量を、油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合の油量より減少させる。
つまり、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた低速回転になっていると、ポンプ回転検出手段153による検出情報を基に、アンロード制御手段150が、操作弁107を制御して開閉弁105を制御することにより、開度調節弁102を油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合より開口量が小の開状態に開度調節する。したがって、アンロード回路103は、油圧ポンプ25が設定回転数範囲にある場合より開口量が小の開度状態になる。
【0084】
油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた高速回転になっていると、アンロード回路103によって圧油供給路26から排出される油量を、油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合の油量より増加させる。
つまり、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた高速回転になっていると、ポンプ回転検出手段153による検出情報を基に、アンロード制御手段108が、操作弁107を制御して開閉弁105を制御することにより、開度調節弁102を油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合より開口量が大の開状態に開度調節する。したがって、アンロード回路103は、油圧ポンプ25が設定回転数範囲にある場合より開口量が大の開度状態になる。
【0085】
ローリングシリンダ18を停止させた状態で昇降シリンダ21が駆動される場合、油圧ポンプ25から圧油供給路26に供給される圧油の一部が上昇操作弁42から昇降シリンダ21に供給されて、上昇操作弁42の操作量に適応した速度で昇降シリンダ21が駆動され、昇降シリンダ21に供給される以外の圧油供給路26の圧油がアンロード回路103によってミッションケース5に戻される。ローリングシリンダ18を停止させた状態で昇降シリンダ21が駆動される場合、アンロード回路103によってミッションケース5に戻される油量を、昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合より少量に調節される。
すなわち、ローリングシリンダ18を停止させた状態で昇降シリンダ21が駆動される場合、ローリング用の操作量検出手段152による停止操作の検出情報と、昇降用の操作量検出手段151による操作量の検出情報とを基に、アンロード制御手段150が操作弁107を制御して開閉弁105を制御することによって開度調節弁102の開口量調節を行い、アンロード回路103を上昇操作弁42の操作量に適応した開口を備えた開状態(全開状態と全閉状態の間の開状態)に開度調節する。アンロード回路103の開口量は、昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合より小に調節される。これにより、油圧ポンプ25から供給される圧油の一部が上昇操作弁42から昇降シリンダ21に供給され、油圧ポンプ25からの残りの圧油がアンロード回路103によって圧油供給路26から排出される。
【0086】
このようにローリング18を停止させた状態で昇降シリンダ21が駆動される場合、油圧ポンプ25の回転数に過不足があっても、上昇操作弁42の操作量に適応した速度で昇降シリンダ21を駆動することができるように、アンロード回路103によって圧油供給路26からミッションケース5に戻される圧油量が調節される。
すなわち、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた低速回転になっていると、アンロード回路103によって圧油供給路26から排出される油量を、油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合の油量より減少させる。
つまり、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた低速回転になっていると、ポンプ回転検出手段153による検出情報を基に、アンロード制御手段150が、操作弁107を制御して開閉弁105を制御することにより、開度調節弁102を油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合より開口量が小の開状態に開度調節する。したがって、アンロード回路103は、油圧ポンプ25が設定回転数範囲にある場合より開口量が小の開度状態になる。この場合のアンロード回路103の開口量は、昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合の開口量より小になる。
【0087】
油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた高速回転になっていると、アンロード回路103によって圧油供給路26から排出される油量を、油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合の油量より増加させる。
つまり、油圧ポンプ25が設定回転数範囲を超えた高速回転になっていると、ポンプ回転検出手段153による検出情報を基に、アンロード制御手段108が、操作弁107を制御して開閉弁105を制御することにより、開度調節弁102を油圧ポンプ25の回転数が設定回転数範囲にある場合より開口量が大の開状態に開度調節する。この場合のアンロード回路103の開口量は、昇降シリンダ21を停止させた状態でローリングシリンダ18が駆動される場合の開口量より小になる。
【0088】
ローリングシリンダ18及び昇降シリンダ21が駆動される場合、アンロード制御手段150は、ローリングシリンダ18を停止させた状態で昇降シリンダ21が駆動される場合と同様に、昇降用の操作量検出手段151による検出情報に基いてアンロード回路103を開度調節し、油圧ポンプ25から供給される圧油を操作弁32からローリングシリンダ18に供給し、上昇操作弁42から昇降シリンダ21に供給する。つまり、アンロード制御手段150は、駆動負荷がローリングシリンダ18より大である昇降シリンダ21を支障なく駆動できるように、昇降用の操作量検出手段151による検出情報に基いてアンロード回路103を開度調節する。
【0089】
図6は、弁装置を示す平面図である。この図及び図5に示すように、開度調節弁102は、ポンプポート102P及びタンクポート102Tが一端側に開口する弁室110と、弁室110に摺動自在に収容された弁体111と、弁体111の背後側に押圧作用するスプリング112と、弁室110のうちの弁体111の背後側に位置する部分で成る背圧室113とを備えて構成してある。
【0090】
開度調節弁102は、背圧室113に作用する圧油が排油路104に排出されると、圧油供給路26から上流側回路103aを介して弁室110に流入した圧油の弁体頭部に対する作用よって弁体111がスプリング112に抗して摺動操作され、弁体頭部が弁座114(図6参照)から離間して開き状態に切り換わる。開度調節弁102は、背圧室113からの圧油排出が停止されると、圧油供給路26から上流側回路103aを介して弁室110に流入し、弁体111に設けてある絞り付き油路115から背圧室113に流入して作用する圧油とスプリング112とによって弁体111が摺動操作され、弁体頭部が弁座114に圧接されて閉じ状態に切り換わる。
【0091】
開度調節弁102は、開き状態に切り換わると、ポンプポート102Pとタンクポート102Tとを連通させて圧油供給路26から上流側回路103aを介して弁室110に流入する圧油をタンクポート102Tから下流側回路103bへ流出させることにより、圧油供給路26からアンロード回路103への圧油流出を許容する。開度調節弁102は、弁体頭部と弁座114の間隔が大にされるほど、アンロード回路103の開口をより大に調節する。開度調節弁102は、閉じ状態に切り換わると、ポンプポート102Pとタンクポート102Tの連通を絶つことにより、圧油供給路26からアンロード回路103への圧油流出を停止する。
【0092】
図6に示すように、弁装置を構成する弁ケース140の長辺方向での一端側に、開度調節弁102を装備し、弁ケース140の長辺方向での他端側に、操作弁107と開閉弁105を弁ケース140の短辺方向に並べて装備してある。
【0093】
開度調節弁102の弁体111と操作弁107のスプール133とは、開度調節弁102の弁体111の摺動方向に並んでいる。開閉弁105のスプール121は、操作弁107のスプール133に対して開度調節弁102の弁体111の摺動方向と直交する方向に並んでいる。
【0094】
弁ケース140の表面側に、開度調節弁102のポンプポート102Pを操作弁107と開度調節弁102の弁室110との間に配置して設けてある。弁ケース140の横端部に、操作弁107にパイロット油圧を供給するパイロット圧入口141と、開度調節弁102のタンクポート102Tとを弁ケース140の長辺方向に並べて設けてある。開閉弁105の操作部105aと操作弁107の出力ポートとを連通させるパイロット操作油路106は、弁ケース140の内部に形成されている。排油路104の上流側油路104a及び下流側油路104bは、弁ケース140の内部に設けてある。排油路104の下流側油路104b及びドレン油路132は、弁ケース140の内部に開度調節弁102のタンクポート102Tに連通させて設けてある。
【0095】
〔別実施形態〕
図7は、別の実施構造を備える油圧駆動装置におけるアンロード回路103を示す油圧回路図である。この図に示すように、別の実施構造を備える油圧駆動装置では、アンロード回路103に操作弁107が設けられている。操作弁107は、電磁比例制御弁によって構成してある。操作弁107の電磁操作部107aがアンロード制御手段150を備えた制御装置90に連係されている。
【0096】
操作弁107が電磁操作部107aにアンロード制御手段150から入力する操作信号としての電気信号によって全開位置a、全閉位置b、全開位置aと全閉位置bの中間の開位置、及び開口量が無段階に異なる中間の開位置に切り換え制御されることにより、アンロード回路103を全開状態、全閉状態、及び全開状態と全閉状態の中間の開口量が異なる開口を備えた種々の開状態に開度調節する。
【0097】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、アンロード回路103を開度調節するのに、操作弁107を開口量が変化するよう制御する例を示したが、デューティサイクルが一定や異なる電気信号によって操作弁107を全開位置aと全閉位置bに繰り返して切り換え制御し、かつ繰り返し回数を変更して切り換え制御する構成を採用して実施してもよい。
【0098】
(2)上記した実施例では、作業装置を昇降及びローリング操作する昇降シリンダ21とローリングシリンダ18を採用する実施例を示したが、複数の油圧モータを採用するとか、油圧モータとシリンダの両方を採用して実施する場合にも適用できる。
【0099】
(3)上記した実施例では、昇降操作とローリング操作の2種類の操作を行う油圧アクチュエータ18,21を備える例を示したが、3種類以上の操作を行なうよう複数の油圧アクチュエータを備えて構成する場合にも適用できる。
【0100】
(4)上記した実施例では、ロータリ耕耘装置7を備えた例を示したが、草刈装置、薬剤や肥料等の散布装置など各種の作業装置を備えて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、トラクタの他、コンバイン、バックホウ等の建設機械など各種の作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
7 作業装置
18 油圧アクチュエータ(ローリングシリンダ)
21 油圧アクチュエータ(昇降シリンダ)
25 油圧ポンプ
26 圧油供給路
30,40 操作弁機構
103 アンロード回路
107 操作弁
150 アンロード制御手段
151,152 操作量検出手段
153 ポンプ回転手段
154 与圧設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプから供給される圧油によって駆動する複数の油圧アクチュエータを備えた作業機の油圧駆動装置であって、
前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータの操作弁機構に圧油供給する圧油供給路から圧油を排出するアンロード回路、及び前記アンロード回路を開度調節する操作弁を設け、
前記複数の油圧アクチュエータの操作弁機構の操作量を検出する操作量検出手段、及び前記油圧ポンプの駆動回転数を検出するポンプ回転検出手段を設け、
前記複数の操作弁機構それぞれの操作量に応じて前記アンロード回路を開度調節するように、前記操作量検出手段による検出情報に基いて前記操作弁を制御し、かつ前記油圧ポンプが低速回転であると前記アンロード回路を小開度に調節し、前記油圧ポンプが高速回転であると前記アンロード回路を大開度に調節するように、前記ポンプ回転検出手段による検出情報に基いて前記操作弁を制御するアンロード制御手段を設けてある作業機の油圧駆動装置。
【請求項2】
前記複数の油圧アクチュエータが停止状態にある操作弁機構に圧油供給するよう前記アンロード回路を開度調節する与圧モードに前記アンロード制御手段を操作する与圧設定手段を設けてある請求項1記載の作業機の油圧駆動装置。
【請求項3】
前記複数の油圧アクチュエータとして、作業装置を走行機体に対して昇降操作する昇降シリンダ、及び前記作業装置を走行機体に対してローリング操作するローリングシリンダを備えてある請求項1又は2記載の作業機の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−108591(P2013−108591A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255336(P2011−255336)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】