説明

作業機の運転キャビンにおける排水構造

【課題】 排水管の配置位置を合理的に設定して、作業負担の少ない配置構成が採れる作業機の運転キャビンにおける排水構造を提供する。
【解決手段】 ウインドー部39を、前面ウインドー部分39aと、前面ウインドー部分39aの両横側端に位置する左右の横側面ウインドー部分39bとで構成する。天井部42に収納したエアコン装置46から排出される排水を運転部外に誘導する排水管36を、前面ウインドー部分39aの両横側端と横側面ウインドー部分39bとをつなぐ角部39cの内面に沿って配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転フレーム台から立設したフレーム部によって天井部を支持し、前記天井部と前記運転フレーム台との間にウインドー部を装着し、前記天井部に収納したエアコン装置から排出される排水を運転部外に誘導する排水管を設けてある作業機の運転キャビンにおける排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の一例であるコンバインでは、エアコン装置から排出される排水を運転部外に排出するに、キャビンの天井部を支持するフレーム部に沿って排水管を配置していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−11144号公報(段落〔0031〕、図1及び図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1で示された従来構造では、キャビンの天井部を支持するフレーム部の内部空間に、上下向き姿勢で排水管を配置していた。
そうすると、排水管を配置する作業としてフレーム部内に挿入する作業等が煩雑になり、作業性の悪化することも考えられた。
【0004】
本発明の目的は、排水管の配置位置を合理的に設定して、作業負担の少ない配置構成が採れる作業機の運転キャビンにおける排水構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、運転フレーム台から立設したフレーム部によって天井部を支持し、前記天井部と前記運転フレーム台との間にウインドー部を装着し、前記ウインドー部を、前面ウインドー部分と、前記前面ウインドー部分の両横側端に位置する左右の横側面ウインドー部分とで構成し、前記天井部に収納したエアコン装置から排出される排水を運転部外に誘導する排水管を、前記前面ウインドー部分の横側端と前記横側面ウインドー部分とをつなぐ角部の内面に沿って配置してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
排水管を、前面ウインドー部分の横側端と前記横側面ウインドー部分とをつなぐ角部の内面に沿って配置してあるので、直交する方向から排水管を挟み込む状態で保持可能な角部を使用して配置できる。
【0007】
〔効果〕
したがって、特にフレーム部の内部空間内に位置させるという、排水管の配設に手間のかかる方法を採る必要がなく、また、フレーム部の外側面に沿って取り付ける場合のように、多数の固定金具等を使用する方法を取ることもなく、簡易な取付が可能である。
【0008】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記ウインドー部を、前面ウインドー部分と、前記前面ウインドー部分の両横側端に接続される左右の横側面ウインドー部分とで構成し、前記排水管を、前記前面ウインドー部分の両横側端と前記左右の横側面ウインドー部分とをつなぐ角部の内面に沿って配置してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
排水管を左右両方の角部に沿って配置するので、作業機が左右に傾いた場合であっても、いずれか一方の排水管から排水が可能であり、排水不良を招来することが少ない。
【0010】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記前面ウインドー部分が、前記天井部に近い高部側ほど機体前方側に位置する傾斜面状に設置されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
〔作用効果〕
つまり、前面ウインドー部分が傾斜状態となっているので、排水管を配置すべき、前記前面ウインドー部分の両横側端と前記左右の横側面ウインドー部分とをつなぐ角部部分も、傾斜状態となっている。
したがって、角部における傾斜状態となっている前面ウインドー部分側において載置しながら側方から横側面ウインドー部分で保持するので、排水管の支持状態が、前面ウインドー部分が垂直な上下方向姿勢の場合に比べてより安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
コンバインの構成について説明する。図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ装置1を備えた走行機体2の前端に、分草杆32、引起装置33、刈取装置34、及び、刈取穀稈を後方に搬送する縦搬送装置31を備えた刈取前処理装置3を横向き軸芯X周りで昇降自在に取り付け、刈取前処理装置3の後方走行機体上に脱穀装置5、脱穀装置5の横側方に穀粒貯留タンク6、穀粒貯留タンク6から機外に穀粒を搬出する穀粒搬出装置7、穀粒貯留タンク6の前方側で刈取前処理装置3の横側方に運転操縦部4を配置し、運転操縦部4にキャビン40を設けて、構成してある。
【0013】
キャビン40の構成について説明する。図1及び図2に示すように、キャビン40は、キャビン載置用の運転フレーム台44と、その運転フレーム台44から4隅に立設されたフレーム部45と、そのフレーム部45で支持される天井部42とを備えている。
また、キャビン40は、天井部42内にエアコン部46を備えて空調可能に構成し、前面に天井部42に近接するほど前方に突出する前ウインド部39を設け、右側面に乗降用ドアAを設けて、構成してある。
【0014】
乗降用ドアAについて説明する。図1に示すように、乗降用ドアAは、ドアフレーム8を配置し、このドアフレーム8の後端側の後ドアフレーム部8Bに取付けた上下一対のヒンジ9を介してキャビン40の側壁に揺動開閉自在に取付けてある。
【0015】
図4に示すように、ドアフレーム8の四辺に沿った状態で、窓枠フレーム10が配置してあり、この窓枠フレーム10の四辺が夫々ドアフレーム8の四辺に取付固定される。つまり、窓枠フレーム10は、ドアフレーム8のキャビン外側に向かう面に接着固定される板状の取付部10Bと、その取付部10Bから内向きに延出されたレール部10Aとからなる。
【0016】
図4に示すように、レール部10Aは、チャンネル状に配置された壁面で囲まれた凹入部を形成し、凹入部を、可動窓ガラス11をスライド移動可能に支持するガイド溝aとして機能させている。
ガイド溝aを構成する凹入部には、シール材14が装着固定してあり、この凹入部内に可動窓ガラス11の前後端11Aを差込装着してある。これによって、可動窓ガラス11は、ガイド溝aに沿って上下にスライド移動可能であり、シール材14によってガタツキのない状態に構成してある。
【0017】
図1及び図4に示すように、固定窓ガラス12に、開閉ドアハンドル13を装着してあり、この開閉ドアハンドル13に乗降用ドアAの閉塞状態で係合して乗降用ドアAをロックするキャッチャ(図示してはいない)に係合するように構成してある。
【0018】
固定窓ガラス12の取付構造について説明する。ドアフレーム8の断面形状としては、四角筒状のものに変形を加えてL字型断面のドアフレーム8に構成してある。
図4に示すように、固定窓ガラス12は、前記したL字型断面のドアフレーム8におけるキャビン内部に向かう内向き面8Cに接着剤17を介して取付固定される。このような構成によって、固定窓ガラス12の取り付け固定状態が安定する。
【0019】
図2に示すように、運転フレーム台44と天井部42の間に、ウインドー部39を配置してある。ウインドー部39における、運転操縦部43より前方に配置された左右二本のフレーム部45との間に前ウインドー部39Aを配置するとともに、運転操縦席35の横側方に横ウインドー部39B、及び、後面ウインドー部39Cを設けている。前ウインドー部39Aを、前面ウインドー部分39aと前面ウインドー部分39aの両横側端に接続される左右の横側面ウインドー部分39bとで構成する。
【0020】
図2及び図3に示すように、前面ウインドー部分39aは、天井部42に近い高部側ほど機体前方側に突出する傾斜面状に設置されており、この前面ウインドー部分39aの両横側端につながる横側面ウインドー部分39bは上下向き姿勢の平板状に形成されており、側面視で逆三角形状を呈している。
この前ウインドー部39Aは、前面ウインドー部分39aと両横側面ウインドー部分39bとは一体物として形成されており、前面ウインドー部分39aと両横側面ウインドー部分39bと境界位置に角部39cを形成している。
【0021】
図2及び図3に示すように、天井部42は、樹脂の成形品であり、上方に位置するアウター部42Aと運転操縦部内に面するインナー部42Bとで構成してあり、アウター部42Aとインナー部42Bとの間にエアコン装置46を備えて空調可能に構成してある。
エアコン装置46は、少なくとも、空気を冷却するエバポレータ41と冷却された空気を運転操縦部内に供給する送風ファン38とを設けてある。冷却回路を構成するコンデンサー、膨張弁、コンプレサ等は運転操縦部の後方等に設けてある。
【0022】
図2及び図3に示すように、エバポレータ41と送風ファン38とをエアコンケース37で囲み、エアコンケース37の両側面より排水管36を延出し、延出した排水管36をインナールーフ部42Bよりさらに取り出して、前面ウインドー部分39a上端近くに位置させる。
【0023】
図2及び図3に示すように、前面ウインドー部分39a上端近くに位置させた排水管36を、前面ウインドー部分39aと両横側面ウインドー部分39bとのつなぎ部分に形成した角部39cに沿って下方に向けて立ち下げ、運転操縦部外に配設する。
前記した角部39cに沿って配設した排水管36に対しては、上端位置と下端位置においてブラケット47、47に係止させて、設置状態を安定させている。
【0024】
上記したように、排水管36を、ウインドーとして一体形成されて透明な状態にある角部39cに配置したので、キャビンを見る者にとって、角部39cにピラーのような枠が施されている印象を受けることになり、装飾面でも有効なものとなっている。
【0025】
〔他の実施例〕
(1)排水管36は左右一方の角部39cに設けられていればよい。
(2)前面ウインドー部分39aは傾斜するものではなく、垂直に立設するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】キャビンにおける排水管の配設状態を示す斜視図
【図3】キャビンにおける排水管の配設状態を示す側面図
【図4】乗降用ドアにおける固定窓ガラスと可動窓ガラスの取付構造を示す横断平面図
【符号の説明】
【0027】
36 排水管
39 ウインドー部
39a 前面ウインドー部分
39b 横側面ウインドー部分
39c 角部
42 天井部
44 運転フレーム台
45 フレーム部
46 エアコン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転フレーム台から立設したフレーム部によって天井部を支持し、前記天井部と前記運転フレーム台との間にウインドー部を装着し、前記ウインドー部を、前面ウインドー部分と、前記前面ウインドー部分の両横側端に位置する左右の横側面ウインドー部分とで構成し、前記天井部に収納したエアコン装置から排出される排水を運転部外に誘導する排水管を、前記前面ウインドー部分の横側端と前記横側面ウインドー部分とをつなぐ角部の内面に沿って配置してある作業機の運転キャビンにおける排水構造。
【請求項2】
前記ウインドー部を、前面ウインドー部分と、前記前面ウインドー部分の両横側端に接続される左右の横側面ウインドー部分とで構成し、前記排水管を、前記前面ウインドー部分の両横側端と前記左右の横側面ウインドー部分とをつなぐ角部の内面に沿って配置してある請求項1記載の作業機の運転キャビンにおける排水構造。
【請求項3】
前記前面ウインドー部分が、前記天井部に近い高部側ほど機体前方側に位置する傾斜面状に設置されている請求項1または2記載の作業機の運転キャビンにおける排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−78777(P2009−78777A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251142(P2007−251142)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】