説明

作業機械におけるハーネス取付構造

【課題】組立作業が容易であり、しかもメンテナンスを容易に行うことが可能である作業機械におけるハーネス取付構造を提供する。
【解決手段】ハーネス取付部分は、アタッチメントの外面に配置された長尺の部材からなり、アタッチメントの外面にハーネス20を支持するように当該アタッチメントに着脱自在に取り付けられ、ハーネス20を所定の方向へ沿うように支持する当接部分25および当該当接部分25の幅方向へのハーネス20の移動を規制する立直部分26を有する支持部材21と、アタッチメントに着脱自在に取り付けられ、アタッチメントの外面と当接部分25と立直部分26とによって囲まれた受け部分の開放部を覆うカバー部材23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械におけるハーネス取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた作業機械として、例えば、建物解体用の超ロングアタッチメントを備えた解体機などがあり、このようなアタッチメントには角度センサなどの種々の電子機器が装着されている。アタッチメントは、主として、ブームおよびアームから構成されている。
【0003】
センサなどの電子機器とベースマシンとの間を電気的に接続するハーネスは、アタッチメントの長手方向に沿って当該アタッチメントの側面などに設置されている。このハーネスが作業中に作業機械の周囲の障害物などに引っかかったりして破損することを防止するために、アタッチメントの長手方向に取り付けられた長尺のカバーによってハーネスを保護している。
【0004】
従来では、特許文献1に記載された油圧ショベルのように、アタッチメントを構成するブームの側面においてブームの長手方向に沿って圧油供給管などをブラケットなどの固定具を用いて設置し、さらにこれら圧油供給管などが断面コの字状のカバーで覆われた構造が一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−238569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カバーの形状や構造によっては、ハーネスの取付作業が難しいおそれがある。また、カバーの強度を十分に確保しようとするとカバーが重厚なものになり、重量面・費用面でも不利になるという問題がある。
【0007】
例えば、従来より知られているハーネス取付構造では、断面コの字形状の長尺のカバーによってハーネスの全体を覆っている。しかし、この構造では、カバーを取り付ける前に、ハーネスのみをアタッチメントの側面にあらかじめ設置することができないので、ハーネスをあらかじめカバーに挿入し、その後にカバーをアタッチメント側面に取り付ける必要があるので、組立作業性の向上が難しいという問題がある。
【0008】
また、従来の他のハーネス取付構造では、アタッチメントの側面に長尺の受けプレートを溶接によってあらかじめ固定し、その受けプレートの上にハーネスを載置した後に、当該ハーネスおよび受けプレートの全体を大型のカバーで覆っている。
【0009】
しかし、この構造では、ハーネスを載置するための受けプレートがアタッチメントの側面に溶接されているので、受けプレートが障害物などに衝突して破損した場合には、アタッチメントから取り外すことが難しく、受けプレートの補修が難しいという問題がある。
【0010】
本発明は上記の問題を解消するためになされたものであり、組立作業が容易であり、しかもメンテナンスを容易に行うことが可能である作業機械におけるハーネス取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の作業機械におけるハーネス取付構造は、ベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた作業機械において当該作業アタッチメントにハーネスを取り付けるためのハーネス取付構造であって、前記アタッチメントの外面に前記ハーネスを支持するように、当該アタッチメントに着脱自在に取り付けられる支持部材と、前記アタッチメントに着脱自在に取り付けられるカバー部材とを備えており、前記支持部材は、前記ハーネスに当接して前記ハーネスを所定の方向へ沿うように支持する当接部分と、前記当接部分から立ち上がり、当該当接部分の幅方向への前記ハーネスの移動を規制する立直部分とを有しており、前記ハーネスは、前記アタッチメントの外面と前記当接部分と前記立直部分とによって形成された受け部分で規制され、前記受け部分は、前記ハーネスを当該受け部分に挿入または取外し可能な開放部を有しており、前記カバー部材は、前記開放部を覆うことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、まず、支持部材をアタッチメントの外面に取り付けることにより、受け部分がアタッチメントの外面と当接部分と立直部分とによって形成される。そして、受け部分の開放部からハーネスを当該受け部分に挿入することにより、ハーネスは受け部分よって規制される。その後にカバー部材をアタッチメントの外面に取り付けて受け部分の開放部を覆うことにより、ハーネスの容易な取付けおよびハーネスの支持部材からの脱落防止を両立させることが可能である。これにより、ハーネスの取り付け作業が容易になり、組立作業性が改善される。また、支持部材またはカバー部材のいずれか一方が破損しても個別に交換することが可能であるので、これらの支持部材およびカバー部材の修理や交換が容易である。
【0013】
しかも、支持部材によって支持されるハーネスは支持部材およびカバー部材によって覆われているので、ハーネスが障害物と接触して破損するおそれを低減することが可能である。
【0014】
さらに、アタッチメントを折り畳んで姿勢を変えたときにハーネスが当接部分から離れても受け部分の開放部がカバー部材によって覆われているので、ハーネスが開放部を通して受け部分の外へ飛び出すことを確実に防止できる。
【0015】
また、前記アタッチメントの外面に設けられた固定部材をさらに備えており、前記支持部材および前記カバー部材は、同一の前記固定部材に取り付けられているのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、支持部材およびカバー部材が同一の固定部材に取り付けられるので、ハーネスの取付作業がさらに容易になる。
【0017】
前記立直部分は、前記カバー部材の高さよりも相対的に低い高さを有するのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、ハーネスの側方においてカバー部材の一部が支持部材の立直部分と重なり合うことが可能であるので、ハーネス側方からの衝突に対する剛性が向上する。
【0019】
さらに、前記カバー部材は、前記ハーネスの側方を覆うことが可能な形状を有する側方部分と、当該側方部分の端部から前記アタッチメントの外面へ向けて突出することにより、前記側方部分と前記アタッチメントの外面との間で前記受け部分の開放部を覆う突出部分とを有するのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、カバー部材が側方部分の端部からアタッチメントの外面へ向けて突出する突出部分を有し、当該突出部分が側方部分とアタッチメントの外面との間で前記受け部分の開放部を覆うことにより、ハーネスを確実に保護することが可能である。
【0021】
また、突出部分が側方部分の端部からアタッチメントの外面へ向けて突出しているので、側方部分の端部が作業中に障害物に引っかかるおそれを減少することが可能である。
【0022】
さらに、前記固定部材は、前記アタッチメントの外面から突出して設けられ、その突出方向の先端において前記支持部材および前記カバー部材が取り付けられる取付面を有しており、前記支持部材および前記カバー部材は、前記固定部材の取付面に取り付けられているのが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、アタッチメントの外面から突出する固定部材の先端の取付面は、アタッチメントの外面から突出しているので、支持部材およびカバー部材をアタッチメントの外面と干渉しないように、取付面に容易に取り付けることが可能である。
【0024】
さらに、前記支持部材が前記アタッチメントの外面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部は、前記カバー部材によって覆われている、のが好ましい。
【0025】
かかる構成によれば、支持部材がアタッチメントの外面に取り付けられる取付部分の少なくとも一部がカバー部材によって外部から隠されるので、支持部材の取付部分が障害物に引っかかって破損するのをさらに低下させることが可能である。
【0026】
さらに、前記カバー部材が前記アタッチメントの外面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部は、前記カバー部材によって覆われている、のが好ましい。
【0027】
かかる構成によれば、カバー部材がアタッチメントの外面に取り付けられる取付部分の少なくとも一部がカバー部材によって外部から隠されるので、カバー部材の取付部分が障害物に引っかかって破損するのをさらに低下させることが可能である。
【0028】
さらに、複数の前記支持部材は、所定の方向に連続して配置され、複数の前記カバー部材は、隣接する前記支持部材の間の隙間を覆う位置に配置されているのが好ましい。
【0029】
かかる構成によれば、カバー部材が隣接する支持部材の間の隙間を覆う位置に配置されているので、支持部材間の隙間に位置するハーネスがカバー部材によって外部から隠されるので、ハーネスの外部への露出をさらに抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、ハーネス取付部分の組立作業が容易であり、しかもメンテナンスを容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るハーネス取付構造が採用された超ロングアタッチメント付きの解体機の概略側面図である。
【図2】図1のアーム先端側におけるハーネス取付構造を示す拡大側面図である。
【図3】図2のハーネス取付構造の第1および第2固定部付近の部分を示す拡大斜視図である。
【図4】図2のハーネス取付構造のIV―IV線断面図である。
【図5】図1のアームの全長にわたるハーネス取付構造を示す斜視図である。
【図6】図5のアーム先端側の部分Aにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、支持部材を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図7】図6の支持部材がアームに取り付けられた状態を示す拡大斜視図である。
【図8】図5のアーム先端側の部分Aにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、ハーネスを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図9】図8のハーネスがアームに取り付けられた状態を示す拡大斜視図である。
【図10】図5のアーム先端側の部分Aにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、カバー部材を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図11】図10のカバー部材がアームに取り付けられた状態を示す拡大斜視図である。
【図12】図5のアーム先端側の部分Aにおけるハーネス取付構造の組立完了後の状態を示す斜視図である。
【図13】図5のアームの中間部分Bにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、アームの胴回りに延びる支持部材を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図14】図5のアーム先端側の部分Bにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、ハーネスを取り付ける工程を示す斜視図である。
【図15】図5のアーム先端側の部分Bにおけるハーネス取付構造の組立方法を示す斜視図であって、カバー部材を取り付ける工程を示す斜視図である。
【図16】図5のアーム先端側の部分Bにおけるハーネス取付構造の組立完了後の状態を示す斜視図である。
【図17】本発明のハーネス取付構造の変形例に係わる断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の実施形態では、本発明の実施形態に係る作業機械におけるハーネス取付構造の一例として、超ロングアタッチメント付きの解体機のアームに本発明のハーネス取付構造が適用された例について説明する。
【0033】
図1に示される解体機1は、ベースマシン2と、作業アタッチメント3とから構成されている。ベースマシン2は、クローラ式の下部走行体4と、この下部走行体4上に垂直軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体5とによって構成されている。作業アタッチメント3は、ベースマシン2の前部に取り付けられている。
【0034】
作業アタッチメント3は、ベースマシン2(上部旋回体5)に起伏自在に取り付けられたブーム6(メインブーム6aとフロントブーム6bとインサートブーム6c1、6c2とから成る)と、このフロントブーム6bの先端部に水平軸まわりに上下方向に回動可能に取り付けられた短尺のインターブーム7と、このインターブーム7の先端に対して後端部が水平軸まわりに上下方向に回動可能に取り付けられたアーム8と、このアーム8の先端部に取り付けられたニブラなどの破砕装置9(図1参照)とを具備している。
【0035】
作業アタッチメント3を作動させるシリンダとして、ブーム6(アタッチメント3全体)を起伏させるブームシリンダ10と、インターブーム7を作動させるインターブームシリンダ11と、アーム8を作動させるアームシリンダ12と、それに破砕装置9を水平軸回りに回動させる破砕装置シリンダ13とが設けられている。
【0036】
破砕装置シリンダ13は、第1リンクアーム14を介して破砕装置9とリンク結合されている。また、破砕装置シリンダ13は、第2リンクアーム15を介してアーム8の先端部分とリンク結合されている。
【0037】
本実施形態の解体機1では、センサとして、例えば、第2リンクアーム15の角度を検知するためのセンサ16が、アーム8における第2リンクアーム15との結合部付近に取り付けられている。さらに、アーム8の側板に沿って、センサ16とベースマシン2との間を接続するハーネスを取り付けるためのハーネス取付部分17が設けられている。
【0038】
ハーネス取付部分17は、図2〜4に示されるように、作業アタッチメント(以下、単にアタッチメントという)3の外面のうち、アーム8の側板18の表面にハーネス20を取り付ける部分である。
【0039】
ハーネス取付部分17は、支持部材21と、第1固定部22と、カバー部材23と、第2固定部24とを備えている。
【0040】
支持部材21は、アーム8の側板18の表面に配置された長尺の部材からなる。支持部材21は、ハーネス20に下方から当接して当該ハーネス20をアーム8の長手方向へ沿うように支持する当接部分25と、立直部分26とを有する。
【0041】
立直部分26は、当接部分25を挟んでアーム8の側板18から離れた位置において、当接部分25の縁から立ち上がって、当接部分25の幅方向へのハーネス20の移動を規制する。立直部分26の高さは、カバー部材23の高さよりも相対的に低い。立直部分26は、カバー部材23の側方部分27の一部と重なり合うことが可能である。本実施形態では、立直部分26の高さは、当接部分25の幅とほぼ同じである。
【0042】
図7に示されるように、支持部材21をアーム8の側板18の表面に取り付けた状態では、アーム8の側板18と当接部分25と立直部分26とによって、下方および両側の三方向が囲まれた受け部分Gが形成される。受け部分Gは、上方に開放した開放部g1を有する。カバー部材23を取り付ける前では、受け部分Gの開放部g1からハーネス20を当該受け部分Gに挿入したとき、ハーネス20は受け部分Gによって規制される。具体的には、ハーネス20は、立直部分26によって当接部分25の幅方向への移動が規制されるとともに、当接部分25によって下方への移動が規制される。立直部分26は、カバー部材23の高さより低いので、ハーネス20を当接部分25の上に配置する作業には支障がない。一方、カバー部材23を取り付けた後では、立直部分26よりも高いカバー部材23によって、当接部分25の上のハーネス20を確実に保護することが可能である。
【0043】
支持部材21は、第1固定部22によって、アーム8の側板18の表面に着脱自在に固定されている。
【0044】
第1固定部22は、図3に示されるように、ブラケット22aと、ボルト22bとからなる。ブラケット22aの上部22a1は、支持部材21の立直部分26の外面に溶接などによって固定されている。ブラケット22aの下部には、貫通孔(図示せず)が形成され、ボルト22bが挿入されている。
【0045】
カバー部材23は、受け部分Gの上方に開放した開放部g1を覆うように、アーム8に着脱自在に取り付けられる。
【0046】
カバー部材23は、ハーネス20の側方を覆うことが可能な形状を有する側方部分27と、当該側方部分27の端部からアーム8の側板18の表面へ向けて突出することにより、側方部分27とアーム8の側板18の表面との間で受け部分Gの開放部g1を覆う突出部分28とを有する。突出部分28は、側方部分27の端部から直交に曲げられて形成されている。本実施形態では、側方部分27の高さは、突出部分28の幅とほぼ同じである。
【0047】
カバー部材23は、第2固定部24によって、前記アーム8の側板18の表面に着脱自在に固定されている。
【0048】
第2固定部24は、図3に示されるように、ブラケット24aと、ボルト24bとからなる。ブラケット24aの上部24a1は、カバー部材23の側方部分27の内面(すなわち、側方部分27と突出部分28とで囲まれた領域を向く面)に溶接などによって固定されている。ブラケット24aの下部には、貫通孔(図示せず)が形成され、ボルト24bが挿入されている。
【0049】
ハーネス20は、図4に示されるように、支持部材21とカバー部材23とアーム8の側板18の表面によって囲まれた空間Sの内部にハーネス20が収容されている。
【0050】
第1固定部22および第2固定部24は、複数の固定ブロック29に取り付けられる。複数の固定ブロック29は、アーム8の側板18の表面に沿って間隔をあけて設けられている。
【0051】
固定ブロック29は、アーム8の側板18の表面から突出するように、当該表面に溶接などによって固定されており、本発明の固定部材に対応する。固定ブロック29の突出方向の先端には、取付面29cが形成されている。取付面29cには、図3に示されるように、第1固定部22のボルト22bが螺合可能なねじ穴29aと、第2固定部24のボルト24bが螺合可能なねじ穴29bとがアーム8の長手方向に沿って並んで形成されている。このように、ねじ穴29aおよび29bが並んで形成されることにより、支持部材21およびカバー部材23が同一の固定ブロック29に取り付けることができる。
【0052】
図3〜4に示されるように、第1固定部22のブラケット22aの下部を固定ブロック29の先端の取付面29cに当接させ、ボルト22bをブラケット22aの下部の貫通孔に貫通させながら固定ブロック29のねじ穴29aに螺合することにより、支持部材21を固定ブロック29に固定することが可能である。
【0053】
同様に、第2固定部24のブラケット24aの下部を固定ブロック29の先端の取付面29cに当接させ、ボルト24bをブラケット24aの下部の貫通孔に貫通させながら固定ブロック29のねじ穴29bに螺合することにより、カバー部材23を固定ブロック29に固定することが可能である。
【0054】
上記のように固定ブロック29の取付面29cにおいて、支持部材21の取付場所であるねじ穴29aとカバー部材23の取付場所であるねじ穴29bとが、アーム8の側板18の表面と平行になるように、アーム8の長手方向に沿って並んで配置されているので、第1固定部22および第2固定部24は、互いに隣接するように、共通の固定ブロック29に取り付けることが可能である。
【0055】
本実施形態では、カバー部材23がアーム8の側板18の表面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部、例えば、ブラケット24aの上部24a1は、図3に示されるように、カバー部材23の側方部分27によって覆われている。
【0056】
同様に、支持部材21がアーム8の側板18の表面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部、例えば、ブラケット22aの上部22a1は、図3に示されるように、カバー部材23の側方部分27によって覆われている。
【0057】
図2および図5に示されるように、ハーネス取付部分17の大半の部分では、支持部材21およびカバー部材23は、アーム8の長手方向に沿って配置されている。
【0058】
また、本実施形態では、図5の部分Bに示されるように、図13〜15に示されるように、支持部材51およびカバー部材53が、アーム8の胴回り、例えば、側板18の表面において上板19から下板32に向かう方向Yに沿って配置されている。支持部材51は、上記の支持部材21と同様に、当接部分51aと、当該当接部分51aから立ち上がる立直部分51bとを有する(図14参照)。また、カバー部材53は、上記のカバー部材23と同様に、側方部分53aと、側方部分53aの端部からアーム8の側板18の表面へ向けて突出する突出部分53bとを有する(図15参照)。
【0059】
支持部材51は、第1固定部52によって、アーム8の側板18の表面に設けられた固定ブロック31に着脱自在に固定されている。第1固定部52は、上記の第1固定部22と同様に、図13に示されるように、ブラケット52aと、ボルト52bとからなる。さらに、カバー部材53は、第2固定部54によって、アーム8の側板18の表面に設けられた固定ブロック31に着脱自在に固定されている。第2固定部54は、上記の第2固定部24と同様に、図15に示されるように、ブラケット54aと、ボルト54bとからなる。
【0060】
上記のように構成されたハーネス取付部分17の組立方法について、図5〜16を参照しながら説明する。
【0061】
図5におけるアーム8の先端8a付近の部分Aでは、アーム8の長手方向に沿って支持部材21およびカバー部材23が以下のように設置される。
【0062】
この部分Aでは、まず、図6〜7に示されるように、支持部材21を、アーム8の長手方向に沿わせた状態で、第1固定部22によってアーム8の側板18の表面に固定された固定ブロック29に固定する。具体的には、第1固定部22のブラケット22aの下部を固定ブロック29の先端の取付面29cに当接させ、ボルト22bをブラケット22aの下部の貫通孔に貫通させながら固定ブロック29のねじ穴29aに螺合することにより、支持部材21を固定ブロック29に固定する。このとき、支持部材21の当接部分25は、固定ブロック29の上面に当接または近接した状態で平行に配置され、立直部分26は、当接部分25を挟んでアーム8の側板18から離れた位置に配置される。これにより、当接部分25、立直部分26および側板18によって上方に開いた開放部g1を有する受け部分Gが形成される。
【0063】
ついで、図8〜9に示されるように、ハーネス20を当接部分25、立直部分26および側板18によって形成された受け部分Gに挿入する。このとき、ハーネス20は、受け部分Gによって規制される。すなわち、当接部分25がハーネス20に下方から当接することによって、ハーネス20がアーム8の長手方向に支持される。しかも、ハーネス20は、当接部分25の上では、立直部分26と側板18によって当接部分25の幅方向への移動が規制される。
【0064】
また、図8に示されるように、ハーネス20の配線作業とともに、センサ16がアーム8の側板18に固定されたセンサ固定ブラケット30の内部に固定される。
【0065】
そののち、図10〜12に示されるように、カバー部材23を、アーム8の長手方向に沿わせた状態で、第2固定部24によってアーム8の側板18の表面に固定された固定ブロック29に固定する。具体的には、第2固定部24のブラケット24aの下部を固定ブロック29の先端の取付面29cに当接させ、ボルト24bをブラケット24aの下部の貫通孔に貫通させながら固定ブロック29のねじ穴29bに螺合することにより、カバー部材23を固定ブロック29に固定する。このとき、カバー部材23の側方部分27は、ブラケット22a、24aの上部22a1、24a1および支持部材21の立直部分26を外部から覆い隠す。また、カバー部材23における側方部分27の端部から支持部材21の当接部分25へ対向する向きに曲げられて形成された突出部分28は、当接部分25、立直部分26および側板18によって形成された受け部分G(図9参照)の上方に開放している開放部g1を塞ぐ。これにより、図4に示されるように支持部材21とカバー部材23とアーム8の側板18の表面によって囲まれた空間Sの内部にハーネス20を収容することが可能である。これにより、図5に示されるアーム8の先端8a付近の部分Aにおけるハーネス取付部分17の組立が完了する。
【0066】
また、図5のアーム8の中間付近の部分Bのように、ハーネス20が長手方向に延びている部分から下方に分岐する部分では、図13〜16に示されるように、支持部材51およびカバー部材53を、アーム8の胴回り、例えば、側板18の表面において上板19から下板32に向かう方向Yに沿って設置して、上記実施形態と同様に、アーム8の側板18に固定された固定ブロック31に固定すればよい。
【0067】
この部分Bでは、まず、図13〜14に示されるように、支持部材51を、アーム8の上板19から下板32に向かう方向Yに沿わせた状態で、第1固定部52によってアーム8の側板18の表面に固定された固定ブロック31に固定する。具体的には、第1固定部52のブラケット52aの一方の端部を支持部材51に固定した状態で他方の端部を固定ブロック31の先端の取付面31cに当接させ、ボルト52bをブラケット52aの端部に形成された貫通孔に貫通させながら固定ブロック31の上側のねじ穴31aに螺合することにより、支持部材51を固定ブロック31に固定する。これにより、当接部分51a、立直部分51bおよび側板18によってアーム8の後方に開いた開放部j1を有する受け部分J(図14参照)が形成される。
【0068】
ついで、図14に示されるように、ハーネス20の下方に分岐している部分を当接部分51a、立直部分51bおよび側板18によって形成された受け部分Jに挿入する。このとき、ハーネス20は、受け部分Jによって規制される。すなわち、当接部分51aがハーネス20に側方から当接することによって、ハーネス20がアーム8における上板19から下板32へ向かう方向Yへ沿うように支持される。しかも、ハーネス20は、当接部分51aに沿って延びている状態では、立直部分51bと側板18によって当接部分51aの幅方向への移動が規制される。
【0069】
そののち、図15〜16に示されるように、カバー部材53を、アーム8における上板19から下板32へ向かう方向Yに沿って、第2固定部54によってアーム8の側板18の表面に固定された固定ブロック31に固定する。具体的には、第2固定部54のブラケット54aの一方の端部を支持部材51に固定した状態で他方の端部を固定ブロック31の先端の取付面31cに当接させ、ボルト54bをブラケット54aの端部の貫通孔に貫通させながら固定ブロック31のねじ穴31bに螺合することにより、カバー部材53を固定ブロック31に固定する。このとき、カバー部材53の側方部分53aは、ブラケット52a、54aの端部および支持部材51の立直部分51bを外部から覆い隠す。また、カバー部材53における突出部分53bは、当接部分51a、立直部分51bおよび側板18によって形成された受け部分Jの開放している開放部j1を塞ぐ。これにより、支持部材51とカバー部材53とアーム8の側板18の表面によって囲まれた上下方向に延びる空間の内部にハーネス20を収容することが可能である。
【0070】
なお、図13〜16では、この部分Bにおける上記支持部材51およびカバー部材53の取付けは、アーム8の長手方向に延びる支持部材21およびカバー部材23の取付けと同時に行われているが、これらの取付け作業を別々に行ってもよい。
【0071】
(特徴)
(1)
本実施形態のハーネス取付部分17では、まず、支持部材21、51をアーム8の側板18に取り付けることにより、受け部分G、Jがアーム8の側板18と当接部分25、51aと立直部分26、51bとによって形成される。そして、受け部分G、Jの開放部g1、j1からハーネス20を当該受け部分G,Jに挿入することにより、ハーネス20は受け部分G、Jよって規制される。その後にカバー部材23、53をアーム8の側板18に取り付けて受け部分G、Jの開放部g1、j1を覆うことにより、ハーネス20の容易な取付けおよびハーネス20の支持部材21、51からの脱落防止を両立させることが可能である。これにより、ハーネス20の取り付け作業が容易になり、その結果、組立作業性が改善される。
【0072】
(2)
また、支持部材21またはカバー部材23のいずれか一方が破損しても、第1または第2固定部22、24のボルト22b、24bを取り外して個別に交換することが可能であるので、これらの支持部材21およびカバー部材23の修理や交換が容易である。
【0073】
しかも、支持部材21によって支持されるハーネス20は支持部材21およびカバー部材23によって覆われているので、ハーネス20が障害物と接触して破損するおそれを低減することが可能である。
【0074】
さらに、アタッチメント3を折り畳んで姿勢を変えたとき(例えば、アーム8が天地逆向きになったとき)にハーネス20が当接部分25から離れても受け部分Gの開放部g1がカバー部材23によって覆われているので、ハーネス20が開放部g1を通して受け部分Gの外へ飛び出すことを確実に防止できる。
【0075】
(3)
本実施形態のハーネス取付部分17では、支持部材21およびカバー部材23が同一の固定ブロック29に取り付けられるので、ハーネス20の取付作業がさらに容易になっている。
【0076】
とくに、本実施形態のハーネス取付部分17では、固定ブロック29の取付面29cにおいて、支持部材21が取り付けられる場所(ねじ穴29a)とカバー部材23が取り付けられる場所(ねじ穴29b)が互いに隣接して配置されており、支持部材21およびカバー部材23の取付場所を集中して配置することが可能になる。これにより、支持部材21およびカバー部材23が第1固定部22および第2固定部24を介して、互いに隣接する位置で固定ブロック29の取付面29cに取り付けることが可能になり、取付作業がさらに容易になっている。
【0077】
(4)
本実施形態のハーネス取付部分17では、支持部材21の立直部分26は、カバー部材23の高さよりも相対的に低い高さを有するので、ハーネス20の側方においてカバー部材23の一部が支持部材21の立直部分26と重なり合うことが可能であるので、ハーネス20の側方からの衝突に対する剛性が向上する。
【0078】
(5)
本実施形態のハーネス取付部分17では、カバー部材23が側方部分27の端部からアーム8の側板18の表面へ向けて突出する突出部分28を有し、当該突出部分28が側方部分27とアーム8の側板18の表面との間で受け部分Gの開放部g1を覆うことにより、ハーネス20を確実に保護することが可能である。
【0079】
また、突出部分28が側方部分27の端部からアーム8の側板18の表面へ向けて突出しているので、側方部分27の端部が作業中に障害物に引っかかるおそれを減少することが可能である。
【0080】
(6)
本実施形態のハーネス取付部分17では、アーム8の側板18の表面から突出する固定ブロック29の先端の取付面29cは、アーム8の側板18の表面から突出しているので、支持部材21およびカバー部材23はアーム8の側板18の表面と干渉しないように、取付面29cに容易に取り付けることが可能である。
【0081】
(7)
本実施形態のハーネス取付部分17では、支持部材21がアーム8の側板18の表面に取り付けられる取付部分の少なくとも一部(例えば、ブラケット22aの上部22a1)がカバー部材23によって外部から隠されるので、支持部材21の取付部分が障害物に引っかかって破損するのをさらに低下させることが可能である。
【0082】
(8)
さらに、本実施形態のハーネス取付部分17では、カバー部材23がアーム8の側板18の表面に取り付けられる取付部分の少なくとも一部(例えば、ブラケット24aの上部24a1)がカバー部材23によって外部から隠されるので、カバー部材23の取付部分が障害物に引っかかって破損するのをさらに低下させることが可能である。
【0083】
上記の項目(2)〜(8)の作用効果については、アーム8の長手方向に沿って配置された支持部材21およびカバー部材23だけでなく、アーム8の胴回りに沿って配置された支持部材51およびカバー部材53についても同様である。
【0084】
(変形例)
(A)
以上の実施形態では、本発明の作業機械におけるハーネス取付構造として、カバー部材23が側方部分27の端部からアーム8の側板18の表面へ向けて突出する突出部分28を有する例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
本発明の変形例として、図17に示されるように、アーム8の上板19の縁部分19aがアーム8の幅方向へ大きく突出している場合には、カバー部材61は、L字状にしないで、まっすぐ上方へ延長した平板状にして、上板19と支持部材21との間を側方から覆い隠すようにしてもよい。
【0086】
この場合、ハーネス20は、カバー部材61、支持部材21、およびアーム8を構成する側板18ならびに上板19によって囲まれた空間S2に収容されているので、ハーネス20が障害物などによって破損されるおそれが低くなる。
【0087】
なお、カバー部材61の縁部分61aが障害物などに引っかかることを防止するために、縁部分61aを図17の2点鎖線のように、アーム8の側板18へ向けて若干折り曲げておくのが好ましい。
【0088】
(B)
また、上記実施形態では、アーム8の外面にハーネス20を取り付けるハーネス取付構造を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アタッチメントの外面であればアーム以外の部分、例えばブーム6やインターブーム7の側面などにハーネス20を取り付ける場合にも本発明を適用することが可能である。
【0089】
(C)
また、上記実施形態では、複数の支持部材21は、アーム8の長手方向に連続して配置されているが、複数のカバー部材23は、隣接する支持部材21の間の隙間を覆う位置に配置するようにしてもよい。その場合、支持部材21間の隙間に位置するハーネス20がカバー部材23によって外部から隠されるので、ハーネス20の外部への露出をさらに抑えることが可能である。
【0090】
(D)
上記実施形態では、ハーネスに取り付けられる電子機器として、リンクアームの角度を検知するためのセンサが一例として示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の電子機器およびそれに接続されるハーネスを採用してもよい。
【0091】
(E)
上記実施形態では、支持部材およびカバー部材をアタッチメントの外面に固定する固定手段としてボルトを含む固定部を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されものではなく、ボルト以外にもピンその他の着脱自在な固定手段を用いてもよい。
【0092】
(F)
以上の実施形態では、本発明の作業機械の一例として建物解体用の超ロングアタッチメントを供えた解体機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アタッチメントの外面にハーネスが設置された作業機械であれば種々の機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 解体機
2 ベースマシン
3 アタッチメント
6 ブーム
8 アーム
9 破砕装置
13 破砕装置シリンダ
16 センサ
17 ハーネス取付部分
18 側板
19 上板
20 ハーネス
21、51 支持部材
22、52 第1固定部
22a、52a ブラケット
22b、52bボルト
23、53 カバー部材
24、54 第2固定部
24a、54a ブラケット
24b、54b ボルト
25、51a 当接部分
26、51b 立直部分
27、53a 側方部分
28、53b 突出部分
29、31 固定ブロック(固定部材)
32 下板
G,J 受け部分
g1、j1 開放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた作業機械において当該作業アタッチメントにハーネスを取り付けるためのハーネス取付構造であって、
前記アタッチメントの外面に前記ハーネスを支持するように当該アタッチメントに着脱自在に取り付けられる支持部材と、
前記アタッチメントに着脱自在に取り付けられるカバー部材とを備えており、
前記支持部材は、前記ハーネスに当接して前記ハーネスを所定の方向へ沿うように支持する当接部分と、前記当接部分から立ち上がり、当該当接部分の幅方向への前記ハーネスの移動を規制する立直部分とを有しており、
前記ハーネスは、前記アタッチメントの外面と前記当接部分と前記立直部分とによって形成された受け部分で規制され、
前記受け部分は、前記ハーネスを当該受け部分に挿入または取外し可能な開放部を有しており、
前記カバー部材は、前記開放部を覆う、
ことを特徴とするハーネス取付構造。
【請求項2】
前記アタッチメントの外面に設けられた固定部材をさらに備えており、
前記支持部材および前記カバー部材は、同一の前記固定部材に取り付けられている、
請求項1に記載のハーネス取付構造。
【請求項3】
前記立直部分は、前記カバー部材の高さよりも相対的に低い高さを有する、
請求項1または2に記載のハーネス取付構造。
【請求項4】
前記カバー部材は、
前記ハーネスの側方を覆うことが可能な形状を有する側方部分と、
当該側方部分の端部から前記アタッチメントの外面へ向けて突出することにより、前記側方部分と前記アタッチメントの外面との間で前記受け部分の開放部を覆う突出部分と
を有する、
請求項1から3のいずれかに記載のハーネス取付構造。
【請求項5】
前記固定部材は、前記アタッチメントの外面から突出して設けられ、その突出方向の先端において前記支持部材および前記カバー部材が取り付けられる取付面を有しており、
前記支持部材および前記カバー部材は、前記固定部材の取付面に取り付けられている、
請求項2に記載のハーネス取付構造。
【請求項6】
前記支持部材が前記アタッチメントの外面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部は、前記カバー部材によって覆われている、
請求項1から5のいずれかに記載のハーネス取付構造。
【請求項7】
前記カバー部材が前記アタッチメントの外面に取り付けられる部分のうちの少なくとも一部は、当該カバー部材によって覆われている、
請求項1から6のいずれかに記載のハーネス取付構造。
【請求項8】
複数の前記支持部材は、所定の方向に連続して配置され、
複数の前記カバー部材は、隣接する前記支持部材の間の隙間を覆う位置に配置されている、
請求項1から7のいずれかに記載の作業機械におけるハーネス取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−95235(P2013−95235A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238822(P2011−238822)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)