説明

作業機械のフロアユニット

【課題】クレーン等により被支持体を持ち上げる必要がなく且つ作業者の安定した作業姿勢を確保し、作業性を向上させた作業機械のフロアユニットを提供する。
【解決手段】作業機械のフロアユニットは、フロアプレート36を貫通し、防振体40が挿通可能な開口部38と、開口部を閉塞するとともにフロアプレートに第2の取付手段54を介して取付けられ、且つ防振体に連結手段58を介して連結された蓋板47とをさらに備え、第1及び第2の取付手段並びに連結手段には、第1及び第2の取付手段並びに連結手段による取付けや連結、あるいは解除を操作するための第1〜第3の操作部52、56、60がそれぞれ設けられ、第1〜第3の操作部は、車体の上側を向いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転圧ローラ等のフロアフレーム上に取り付けられる作業機械のフロアユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
防振支持機構を有する建設機械に関する発明が特許文献1に開示されている。
この建設機械は、建設機械本体のフレームと該フレームに支持される被支持体(フロアフレーム及び運転席)との間に配置され、被支持体を防振支持するための防振支持機構(防振ゴム)を備えている。これらフレーム、防振ゴム及び被支持体は、ボルト及びナットにより締結されている。ボルトは、フレームの下面側から防振ゴムに貫通し、被支持体の上面側にてナットにより螺合されている。
【0003】
防振ゴムにへたれ等の消耗が生じたときには、以下のようにして新しいものと交換する。作業者は、上記ボルト及びナットに対して横方向から工具を差し込む。そして、これらボルト及びナットを緩めてフレーム、防振ゴム及び被支持体の締結を解除する。その後、クレーンにより被支持体を吊り上げてフレームと被支持体との間に防振ゴムを取り外すために十分なスペースを確保する。このスペースを利用して、消耗した防振ゴムを新しいものに交換する。その後、クレーンに吊り上げられている被支持体をもとの位置に降ろし、ボルト及びナットによりフレーム、防振ゴム及び被支持体を締結する。したがって、防振ゴムの交換の際にクレーンを用意する必要があるため、多大な手間とコストが生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−130443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、上記特許文献1に記載の防振支持機構を有する建設機械には、被支持体をフレームに対して上昇させてフレームと被支持体とのスペースを拡げるためのジャッキアップ手段が設けられている。このジャッキアップ手段により、フレームと被支持体との間のスペースを確保すれば、このスペースを利用して防振ゴムを挿脱可能となる。
【0006】
具体的には、ジャッキアップ手段を用いて防振ゴムを交換する際、作業者は、上述したように、横方向から工具を差し込んでボルト及びナットを緩めて取り外す。これにより、
防振ゴムとフレーム及び被支持体との締結がそれぞれ解除される。その後、横方向から工具を差し込んでジャッキアップ手段を操作して、フレームに対して被支持体を上昇させる。このようにジャッキアップ手段を操作することにより、フレームと被支持体との間に確保されたスペースは防振ゴムが挿脱可能になるように拡げられる。この拡げられたスペースを利用して消耗した防振ゴムを横方向に取り出し、新しいものに交換することができる。このようなジャッキアップ手段が設けられていれば、クレーンにより被支持体全体を吊り上げる必要はない。
【0007】
しかしながら、フレーム、防振ゴム及び被支持体をそれぞれ締結するボルト及びナットの締結解除、ジャッキアップ手段の操作、及び防振ゴムの交換はいずれも作業位置に対して横方向からアクセスする作業となる。このため、作業者に窮屈な作業姿勢を強いることになる。この結果、作業者は工具を作業位置に差し込みづらく、また、その作業位置を確認しづらい。
【0008】
また、建設機械において、車体フレームと被支持体との間のスペースは横側から車体カバーにより覆われていることが多い。このため、上述したように防振ゴムを交換する際には、この車体カバーも取り外す必要があり余計に手間がかかる。したがって、防振ゴムの交換作業における作業性が悪かった。
【0009】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、クレーン等により被支持体を持ち上げる必要がなく且つ作業者の安定した作業姿勢を確保し、作業性を向上させた作業機械のフロアユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1の発明では、車体を形成する車体フレームの一部をなし、運転席に対応する位置に設けられたフロアフレームと、該フロアフレーム側に第1の取付手段を介して取付けられた防振体と、前記フロアフレームに対して前記防振体を介して支持され、前記運転席の床面となるフロアプレートとを備えた作業機械のフロアユニットにおいて、前記フロアプレートを貫通し、前記防振体が挿通可能な開口部と、該開口部を閉塞するとともに前記フロアプレートに第2の取付手段を介して取付けられ、且つ前記防振体に連結手段を介して連結される蓋板とをさらに備え、前記第1及び第2の取付手段並びに連結手段には、該第1及び第2の取付手段並びに連結手段による取付けや連結、あるいはこれらの解除を操作するための第1〜第3の操作部がそれぞれ設けられ、該第1〜第3の操作部は、前記車体の上側を向いて形成されていることを特徴とする作業機械のフロアユニットを提供する。
【0011】
請求項2の発明では、前記第1の操作部は、平面視において前記開口部内に収まっていることを特徴としている。
請求項3の発明では、前記第2の取付手段は、前記蓋板を前記フロアプレートに対して4箇所にて取付けていることを特徴としている。
請求項4の発明では、前記連結手段は、前記蓋板と前記防振体とを1箇所にて連結していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、フロアフレームに防振体を取付ける第1の取付手段、及びフロアプレートに蓋板を取付ける第2の取付手段、及び防振体と蓋板とを連結する連結手段のそれぞれが、その取付けや連結、あるいはこれらの解除を操作するための第1〜第3の操作部を有している。また、これら第1〜第3の操作部は全て車体の上側を向いて形成されている。さらに、防振体は開口部を挿通可能である。したがって、第1〜第3の操作部を上側から操作することによりそれぞれの取付けや連結、あるいはこれらの解除を操作し、防振体を上側から開口部を通じて取り出すことができる。すなわち、防振体の交換作業を全てフロアプレートの上側から行うことができる。したがって、防振体を交換する際にクレーン等によりフロアプレートを持ち上げる必要がなく、多大な手間やコストを省くことができる。したがって、防振体の交換作業における作業性が向上する。
【0013】
特に、作業機械においてフロアプレートとフロアフレームとの空間は横側から車体カバーで覆われていることが多い。このため、このようにフロアプレートの上側から防振ゴムを取り外すことができれば、車体カバーも取り外す必要がなく大幅に手間が省ける。
また、作業者はフロアプレートの上側から、即ち、作業位置に対して上方から第1及び第2の取付手段並びに連結手段による固定や連結操作、あるいは解除操作することができる。このため、作業者は安定した作業姿勢を確保することができる。これにより、作業者は第1〜第3の操作部にアクセスし易く、又これら操作部の位置を容易に確認することができる。したがって、その作業性が向上する。
【0014】
請求項2の発明によれば、第1の操作部は、平面視において開口部内に収まっているため、作業者はフロアプレートの上側から開口部を通じて第1の操作部に容易にアクセスすることができる。したがって、作業者は、第1の操作部を確実に操作することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、第2の取付手段は、蓋板をフロアプレートに対して4箇所にて取付けているため、蓋板はフロアプレートに対してがたつくことなく確実に固定される。これにより、フロアプレートの一部となる蓋板はフロアプレートと協働して安定した床面を形成することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、連結手段は、蓋板と防振体とを1箇所にて連結しているため、作業者は1箇所の第3の操作部を操作するだけで蓋板と防振体との着脱操作を行うことができる。したがって、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る作業機械のフロアユニットを備えた作業機械の後方斜視図である。
【図2】作業機械の上部に備わる運転席周りの部分斜視図である。
【図3】フロアプレートに取り付けられた蓋板の平面図である。
【図4】図3のIV-IV線図である。
【図5】本発明に係る作業機械のフロアユニットの分解斜視図である。
【図6】第2の取付手段による取付けを解除した際の断面図である。
【図7】連結手段による連結を解除し、蓋板をフロアプレートから取り外した際の断面図である。
【図8】第1の取付手段による取付けを解除した際の断面図である。
【図9】フロアプレートの開口部を通じて防振体をフロアプレートの上側に取り出した際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2を参照すれば、作業機械のひとつである転圧ローラ車両1は車体2を備えている。車体2は、その前後に車輪を兼用するフロント転圧ローラ4とリア転圧ローラ6とをそれぞれ有している。
車体2の後部にはタンク装置(図示しない)が配置されている。このタンク装置は燃料タンク及び作動油タンクから構成されている。一方、車体2の前部にはエンジンルーム12が設けられている。このエンジンルーム12内にはエンジン(図示しない)及び油圧ポンプ(図示しない)が配置されている。油圧ポンプはエンジンにより駆動され、フロント及びリア転圧ローラ4、6の走行用モータ等に向けて作動油タンクに貯留されている作動油を供給する。
【0019】
車体2の上部にはキャノピー型の運転席20が配置されている。この運転席20の前側には操作スタンド22が配設されている。この操作スタンド22には、転圧ローラ車両1を操向するためのステアリングハンドル24や計器類が設けられている。運転席20に対しては、車体2の側部(図の例では左側)に配設されたステップ18を利用して昇降することができる。このステップ18は上段に上がるにつれて車体2の内側に入り込むように形成されている。なお、図示しないが、車体2の右側の側部にもステップが設けられている。
【0020】
また、車体2はフレーム構造をなし、その内部が水タンク(図示しない)として形成されている。この水タンクには、ステップ18の近傍における車体2の上面に給水口14が設けられている。この給水口14を使用して水源又は給水車から水タンク内に水が供給される。水タンク内に貯留された水は、転圧作業の際に路面やフロント転圧ローラ4及びリア転圧ローラ6の周面に散水されるとともに、転圧ローラ車両1のバラストとして機能する。
【0021】
以下、本発明に係る作業機械のフロアユニット30について図3〜図5を参照して説明する。
このフロアユニット30は、車体2を形成する車体フレームの一部をなし、運転席20に対応する位置に設けられたフロアフレーム32を備えている。フロアフレーム32はその上面から上方に向かって突出するブラケット33を有し、このブラケット33はその上端にて水平方向に延びる先端部34を有している(図5参照)。先端部34には先端部34を貫通する略円形の開口部34aが形成されている。この開口部34aの周縁部には先端部34を貫通する4つの貫通孔34bが設けられている。これら貫通孔34bは、開口部34aの周方向に沿って互いに等間隔を存して配置されている。
【0022】
フロアフレーム32には、第1の取付手段50を介して防振体40が取付けられている。この防振体40は、転圧ローラ車両1が走行する際に発生し運転席20に伝わる振動を減衰するためのものである。このため、この防振体40は運転席20の周りの四隅にひとつずつ設けられている(図2参照)。詳しくは、図4及び図5を参照すれば、防振体40は、略円柱形状を有する本体部42と、この本体部42の中央部にて全周に亘って張り出したフランジ部44とを有する。フランジ部44には、フランジ部44を貫通する貫通孔44bが前述した貫通孔34bに対応して(図の例では4つ)設けられている。一方、本体部42の上部には、板状の支持台43が取り付けられている。この支持台43は本体部42の外周と略等しい外周を有する。また、本体部42の上部には、支持台43を貫通して支持台43の上面から上方に向かって延びる植え込みボルト46が取り付けられている。
【0023】
第1の取付手段50は、防振体40の貫通孔44b及びブラケット33における先端部34の貫通孔34bに挿通されるボルト51aである。また、先端部34の下面にて貫通孔34bに対応する位置には、ボルト51aを受け入れるための溶接ナット51bがそれぞれ固定されている(図4参照)。ボルト51aを介して防振体40をフロアフレーム32に取付けるには、作業者は先ず、貫通孔44bと貫通孔34bとが合致するように防振体40をブラケット33の先端部34に載置する。次いでボルト51aを防振体40のフランジ部44の上側からワッシャ53を介して貫通孔44b、34bの順に挿通して溶接ナット51bにねじ込む。これにより、フランジ部44と先端部34とが締結される。この結果、防振体40がフロアフレーム32に対して固定される。なお、防振体40の本体部42の下部は、先端部34の開口部34aから下側に突出している。
【0024】
フロアプレート36は、防振体40を介してフロアフレーム32に支持されている。このフロアプレート36は、運転席20の床面となるためのものである。このため、フロアフレーム32とフロアプレート36との間には、防振体40に対応するスペースが確保されている。このスペースは横側から車体カバー16により閉塞されている(図1参照)。
【0025】
また、フロアユニット30は、フロアプレート36を貫通し、防振体40が挿通可能な大きさを有する開口部38を備えている。このため、開口部38は、各防振体40の位置に対応して設けられている(図2参照)。即ち、開口部38は、フロアプレート36(運転席20の周り)の四隅にそれぞれ設けられている。また、図3及び図5を参照すれば、各開口部38はそれぞれ略円形を有している。また、各開口部38の周縁部にはそれぞれフロアプレート36を貫通する貫通孔36aが形成されている。図5の例では、4つの貫通孔36aが開口部38の周方向に沿って互いに等しい間隔を存して配置されている。
【0026】
さらに、フロアユニット30は、フロアプレート36の開口部38を閉塞する蓋板47を備える。蓋板47は、開口部38の内周より若干小さい外径を有する略円形の閉塞部48を有している。この閉塞部48の中央部には、防振体40の植え込みボルト46が貫通可能な大きさを有する貫通孔47aが形成されている。また、蓋板47は、閉塞部48の上面周縁部に溶接により固定され、閉塞部48の周縁から外側に張り出した取付部49を有している。図3の例では、4つの取付部49が閉塞部48の周方向に沿って互いに等しい間隔を存して配置されている。また、各取付部49の張り出し部位にはそれぞれ貫通孔47bが形成されている。これら貫通孔47bは、蓋板47の閉塞部48が開口部38を閉塞した際、フロアプレート36の貫通孔36aのそれぞれと合致すべく位置付けられている。
【0027】
また、蓋板47は、フロアプレート36に第2の取付手段54を介して取付けられている。第2の取付手段54は、蓋板47の貫通孔47b及びフロアプレート36の貫通孔36aに挿通されるボルト55aである。また、フロアプレート36の下面にて貫通孔36aに対応する位置にはそれぞれ、ボルト55aを受け入れるための溶接ナット55bが固定されている(図4参照)。ボルト55aを介して蓋板47をフロアプレート36に取付けるには、作業者は先ず、貫通孔47bと貫通孔36aとがそれぞれ合致するように蓋板47の取付部49をフロアプレート32の開口部38の周縁部に載置する。これにより、フロアプレート36の開口部38は蓋板47の閉塞部48により閉塞される。次いで、ボルト55aを蓋板47の取付部49の上側からワッシャ57を介して貫通孔47b、36aの順に挿通して溶接ナット55bにねじ込む。これにより、取付部49とフロアプレート36とが締結される。この結果、蓋板47がフロアプレート36に対して固定される。
【0028】
図3に示されるように、ボルト55a、即ち、第2の取付手段54は、蓋板47とフロアプレート36とを4箇所にて固定している。このため、蓋板47はフロアプレート36に対してがたつくことなく確実に取付けられる。これにより、フロアプレート36の一部となる蓋板47はフロアプレート47と協働して安定した運転席20の床面を形成することができる。
【0029】
また、蓋板47は、防振体40に連結手段58を介して固定されている。連結手段58は、防振体40の植え込みボルト46を受け入れ可能なナット59である。図4に示されるように、防振体40が第1の取付手段50によりフロアフレーム32に固定され、蓋板47がフロアフレーム36の開口部38を閉塞しているとき、防振体40の植え込みボルト46は蓋板47の貫通孔47aを貫通して蓋板47の上側に突出している。この状態で、蓋板47の上側からナット59を植え込みボルト46に締め付けることで蓋板47は防振体40に対して連結される。つまり、ナット59、即ち、連結手段58は、蓋板47と防振体40とを1箇所にて連結している。
【0030】
なお、連結手段58はナット59に代えて取付ボルトであってもよい。この場合、防振体40の上面に取付ボルトを受け入れ可能なねじ孔が形成されている。これにより、蓋板47の貫通孔47aと防振体40のねじ孔とを合致させ、蓋板47の上側から貫通孔47a及びねじ孔に取付ボルトをねじ込むことで蓋板47と防振体40とを連結することができる。
【0031】
図4を参照すれば、上述した第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58には、第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58による取付や連結を操作するための第1〜第3の操作部52、56、60がそれぞれ設けられている。これら第1〜第3の操作部52、56、60は、車体2の上側を向いて形成されている。図の例では、第1の操作部52はボルト51aのボルトヘッドであり、第2の操作部56はボルト55aのボルトヘッドであり、第3の操作部60はナット59である。
【0032】
次に、防振体40にへたれ等の消耗が生じた際の交換作業について図6〜図9を参照して説明する。
図6を参照すれば、ボルト55aのボルトヘッド56は車体2の上側を向いて設けられている。このため、作業者は車体2の上側からボルトヘッド56を操作することができる。具体的には、作業者は、車体2の上側、即ち、フロアプレート36の上側から工具を用いてボルト55aのボルトヘッド56を解除方向に回してボルト55aと溶接ナット55bとの締結を解除する。これにより、ボルト55aを図6の矢印A方向に引き抜くことができる。すなわち、ボルト55aをフロアプレート36の上側に引き抜くことができる。この結果、蓋板47をフロアプレート36から取り外すことができる。
【0033】
また、ナット59は車体2の上側を向いて設けられている。このため、作業者は車体2の上側からナット59を操作することができる。具体的には、作業者は車体2の上側、即ち、フロアプレート36の上側から工具を用いてナット59を解除方向に回してナット59と植え込みボルト46との締結を解除する。これにより、ナット59を図7の矢印B方向に取り外すことができる。すなわち、ナット59をフロアプレート36の上側に向けて取り外すことができる。この結果、蓋板47と防振体40との連結が解除される。ボルト55a及びナット59、即ち、第2の取付手段54及び連結手段58による取付けや連結が解除されれば、蓋板47を防振体40及びフロアプレート36から図7の矢印C方向、即ち、フロアプレート36の上側に取り外すことができる。この結果、フロアプレート36の開口部38が解放される。
【0034】
このように、ナット59、即ち、連結手段58は、蓋板47と防振体40とを1箇所にて固定しているため、作業者は1箇所の第3の操作部60(ナット59)を操作するだけで蓋板47と防振体40との着脱操作を行うことができる。したがって、作業性が向上する。なお、ナット59(連結手段58)を解除した後に、ボルト55a(第2の取付手段54)を解除してもよい。
【0035】
さらに、ボルト51aのボルトヘッド52は車体2の上側を向いて設けられている。このため、作業者は車体2の上側からボルトヘッド52を操作することができる。具体的には、作業者は車体2の上側、即ち、フロアプレート36の上側から解放された開口部38を通じて操作を行う。即ち、作業者は開口部38を通じてフロアフレーム32とフロアプレート36との間に工具を差し込み、ボルト51aのボルトヘッド52を解除方向に回してボルト51aと溶接ナット51bとの締結を解除する。これにより、作業者は、開口部38を通じて図8の矢印D方向にボルト51aを引き抜くことができる。すなわち、ボルト51aをフロアプレート36の上側に引き抜くことができる。この結果、防振体40をフロアフレーム32から取り外すことができる。したがって、開口部38を通じて防振体40を図9の矢印E方向、即ち、フロアフレーム32の上側に取り出すことができる。
【0036】
さらに、図3に示されるように、ボルト51aのボルトヘッド52(第1の操作部52)は、平面視において開口部38内に収まっているため、作業者はフロアプレート36の上側から開口部38を通じてボルトヘッド52(第1の操作部52)に容易にアクセスすることができる。したがって、作業者は、第1の操作部52を確実に操作することができる。
なお、作業者は第1〜第3の操作部52、56、60に対してフロアプレート36の上側からアクセスする際に、フロアプレート36を足場としてもよいし、車体2のステップ18を足場としてもよい。
【0037】
このように、フロアフレーム32と防振体40とを固定する第1の取付手段50(ボルト51a)、及びフロアプレート36と蓋板47とを固定する第2の取付手段54(ボルト55a)、及び防振体40と蓋板47とを固定する連結手段58(ナット59)のそれぞれが、その取付けや連結、あるいはこれらの解除を操作するための第1〜第3の操作部52、56、60を有している。また、これら第1〜第3の操作部52、56、60(ボルトヘッド52、56又はナット59)は全て車体2の上側を向いて形成されている。さらに、防振体50は開口部38を挿通可能である。したがって、作業者は、第1〜第3の操作部52、56、60を上側から操作することによりそれぞれの締結を解除し、防振体40を上側から開口部38を通じて取り出すことができる。すなわち、防振体40の交換作業を全てフロアプレート36の上側から行うことができる。これにより、防振体40を交換する際にクレーン等によりフロアプレート36を持ち上げる必要はなく、多大な手間やコストを省くことができる。また、防振体40が複数(図では運転席20の周りに4つ)設けられている場合であっても、交換する防振体40の第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58だけを操作すればよい。したがって、防振体の交換作業における作業性が向上する。
【0038】
特に、転圧ローラ車両1のように車体2を形成する車体フレームが水タンクとして形成されており、車体2の下側からフロアフレーム32にアクセスできないような作業機械にとって有効である。また、作業機械においてフロアフレーム32とフロアプレート36との間のスペースは横側から車体カバー16で覆われていることが多い。このため、上述したようにフロアプレート36の上側から防振体40を取り外すことができれば、車体カバー16も取り外す必要がなく大幅に手間が省ける。
【0039】
また、作業者はフロアプレート36の上側から、即ち、防振体40の交換作業における作業位置に対して上方から第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58による取付けや連結、あるいはこれらの解除操作をすることができる。このため、作業者は安定した作業姿勢を確保することができる。これにより、作業者は第1〜第3の操作部52、56、60にアクセスし易く、又これら操作部52、56、60の位置を容易に確認することができる。したがって、その作業性が向上する。なお、図4に示されるように、第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58がフロアフレーム32の上方側に向けて露出されていれば、作業性がより向上する。
【0040】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。
例えば、第1及び第2の取付手段並びに連結手段50、54、58はボルトやナットに限ることなく、フロアフレーム32と防振体40、及びフロアプレート36と蓋板47、及び防振体40と蓋板47とをそれぞれ固定できるものであればよい。
【符号の説明】
【0041】
1 転圧ローラ車両(作業機械)
2 車体
4 フロント転圧ローラ(車輪)
6 リア転圧ローラ(車輪)
12 エンジンルーム
14 給水口
16 車体カバー
18 ステップ
20 運転席
22 操作スタンド
24 ステアリングハンドル
30 フロアユニット
32 フロアフレーム
33 ブラケット
34 先端部
34a 開口部
34b 貫通孔
36 フロアプレート
36a 貫通孔
38 開口部
40 防振体
42 本体部
43 支持台
44 フランジ部
46 植え込みボルト
47 蓋板
47a 貫通孔
47b 貫通孔
48 閉塞部
49 取付部
50 第1の取付手段
51a ボルト
51b 溶接ナット
52 第1の操作部
53 ワッシャ
54 第2の取付手段
55a ボルト
55b 溶接ナット
56 第2の操作部
57 ワッシャ
58 連結手段
59 ナット
60 第3の操作部
61 ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を形成する車体フレームの一部をなし、運転席に対応する位置に設けられたフロアフレームと、
該フロアフレーム側に第1の取付手段を介して取付けられた防振体と、
前記フロアフレームに対して前記防振体を介して支持され、前記運転席の床面となるフロアプレートと
を備えた作業機械のフロアユニットにおいて、
前記フロアプレートを貫通し、前記防振体が挿通可能な開口部と、
該開口部を閉塞するとともに前記フロアプレートに第2の取付手段を介して取付けられ、且つ前記防振体に連結手段を介して連結される蓋板とをさらに備え、
前記第1及び第2の取付手段並びに連結手段には、該第1及び第2の取付手段並びに連結手段による取付けや連結、あるいはこれらの解除を操作するための第1〜第3の操作部がそれぞれ設けられ、
該第1〜第3の操作部は、前記車体の上側を向いて形成されていることを特徴とする作業機械のフロアユニット。
【請求項2】
前記第1の操作部は、平面視において前記開口部内に収まっていることを特徴とする請求項1に記載の作業機械のフロアユニット。
【請求項3】
前記第2の取付手段は、前記蓋板を前記フロアプレートに対して4箇所にて取付けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械のフロアユニット。
【請求項4】
前記連結手段は、前記蓋板と前記防振体とを1箇所にて連結していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械のフロアユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−35400(P2013−35400A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172869(P2011−172869)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】