説明

作業機械の支柱フレーム構造

【課題】車体の前後方向に延設される桁部を締結する第1ボルト及び第2ボルトの耐久性を向上させ、車体に与えられる振動に伴う支柱フレームの変形量を低減できる。
【解決手段】本発明は、油圧ショベルに備えられ、旋回体2の前後方向に延設される梁90の桁部90Aの前端部に一体に設けられ、桁部90Aの延設方向と直交する鉛直面内に含まれ第1支柱80に当接する面部を有する第1端板90Bと、桁部90Aの後端部に一体に設けられ、桁部90Aの延設方向と直交する鉛直面内に含まれ第2支柱81に当接する面部を有する第2端板90Cと、桁部90Aの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第1端板90Bを第1支柱80に締結する第1ボルト90Dと、桁部90Aの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第2端板90Cを第2支柱81に締結する第2ボルト90Eとを備えた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の作業機械に備えられ、車体フレーム上に設けられる機械室等を形成する作業機械の支柱フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来の作業機械の支柱フレーム構造を示す斜視図、図7は図6の要部拡大図である。
【0003】
これらの図6,7に示す従来技術は、作業機械例えば油圧ショベルに備えられる支柱フレーム8の構造であり、車体すなわち旋回体の車体フレームである旋回フレーム7上に設けられる機械室を形成するものである。旋回フレーム7の後端にはカウンタウエイト6が設けられている。
【0004】
この従来技術における支柱フレーム8は、図6に示すように、旋回体の前後方向に延設される桁部、すなわち補強桁84と、補強桁84の前端部が接続される第1支柱80と、補強桁84の後端部が接続される第2支柱81とを備えている。第1支柱80と第2支柱81のそれぞれは、旋回フレーム7に下端をボルトで締結されている。また、この支柱フレーム8は、概コの字を成す外郭の両端をボルトで旋回フレーム7に締結されたフレーム82,83と、これらのフレーム82,83の上面を旋回体の前後方向に連結するフレーム85と、第1支柱80とフレーム82の上端を旋回体の左右方向に連結する梁86と、第2支柱81とフレーム83の上端を旋回体の左右方向に連結する梁87とを有する骨組み構造を備えている。さらに、この支柱フレーム8は、上述した骨組み構造の上に搭載され、概コの字を成すフレーム88,89と、これらのフレーム88,89の上部を旋回体の左右方向に連結する梁90を備えている。
【0005】
図7に示すように、概コの字を成すフレーム82の外郭は、支柱部82A,82Bと、これらの支柱部82A,82Bの上端を旋回体の左右方向に連結する梁部82Cによって形成されている。また、その内側には、機械室の隔壁となる板部材82Dが、支柱部82B,梁部82Cと接して設けられている。
【0006】
概コの字を成すフレーム83の外郭は、支柱部83A,83Bと、これらの支柱部83A,83Bの上端を旋回体の左右方向に連結する梁部83Cによって形成されている。また、その内側には、機械室の隔壁となる板部材83Dが、支柱部83A,83Bと梁部83Cに接して設けられている。
【0007】
補強桁84は、その両端を、第1支柱80、第2支柱81の側面上方へ、軸を旋回体の左右方向に向けたボルト84A,84Bで外側から締結されている。
【0008】
フレーム85は、旋回体の前後方向に延設される桁部85Aと、この桁部85Aと接して設けられた架台85Bから成り、フレーム85の旋回体の前後方向の両端は、フレーム82,83の梁部82C,83Cの上面にボルトで固定されている。
【0009】
フレーム88は、支柱部88A,88Bと、それぞれの上部を旋回体の前後方向に連結する桁部88Cから成っている。同様に、フレーム89は支柱部89A,89Bと、それぞれの上部を旋回体の前後方向に連結する桁部89Cから成っている。
【0010】
以上のように構成される従来の支柱フレーム8は、共に旋回フレーム7上に搭載される図示しない運転室やカウンタウエイト6とは接することなく、独立して旋回フレーム7上に組み付けられる。この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。
【0011】
なお、図6,7に示す従来の支柱フレーム構造が設けられる油圧ショベルは、不整地等の走行やフロント作業装置による掘削等の動作によって、旋回体の左右方向に延びる軸回りの回転振動であるピッチングや、旋回体の前後方向に伸びる軸回りの回転振動であるローリングを発生する。その影響を受けて、旋回フレーム7上に設置された機械室にも振動が発生し、支柱フレーム8は後述するように、曲げやねじれ等の変形を起こすような負荷を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−204595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述した図6,7に示す油圧ショベルの機械室に格納されるエンジンは、その軸を旋回体の左右方向に向けて延設させてある。そのため、支柱フレーム8の安定性は、旋回体の左右方向に比べて旋回体の前後方向において低く、旋回体の前後方向に対して揺れやすい特性を持っている。特に、補強桁84側は、板部材82D,83Dや架台85Bを備えたフレーム85側に比べて剛性が小さいため、揺れの変位量が大きくなりやすい。
【0014】
したがって、油圧ショベルの動作によって機械室が振動を受けると、支柱フレーム8は、図8の矢印10,11に示すように、曲げ変形と、フレーム85側よりも補強桁84側の変位量が大きいことによるねじれ変形との両方を伴って旋回体の前後方向に振動する。このとき、支柱フレーム8の変形を抑制する役割を持つ補強桁84は、ボルト84A,84Bを介して第1支柱80、第2支柱81から負荷を受けることになるが、上述した従来技術の構成では、ボルト84A,84Bの軸方向が主負荷の方向に対し概直交しているため、ボルト84A,84Bは、軸方向の引張、圧縮ではなく、横方向で負荷を受けて伝達することになる。したがって、ボルト84A,84Bの耐久性が劣化しやすい。また、例えば繰り返し振動等によりボルト84A,84Bの締付力が低下して、第1支柱80、第2支柱81と補強桁84との間に滑りが生じてしまうと、補強桁84に負荷を効率よく伝達することができなくなり、補強桁84は、支柱フレーム8の変形を抑制する機能を十分に働かせることができなくなる。そして、機械室が振動を受けて支柱フレーム8に変形が生じると、第1支柱80とフレーム88の締結部付近や、フレーム88の支柱部88Aと桁部88Cとの境界部分に負荷が集中し、支柱フレーム8に亀裂や破損を生じることがある。すなわち機械室が破損する懸念がある。
【0015】
なお、このような問題を回避するために、例えば支柱フレーム8の補強桁84側の剛性を上げるための更なる補強材を追加したり、第1支柱80、第2支柱81とフレーム88との間に、補強桁84に代わって筋交いを設置することが考えられるが、機械室に収納されるエンジン等の機器によって設置スペースに制約を受けることから、このような補強材の追加や筋交いの設置は実際には困難となっている。
【0016】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、補強材の追加や筋交いの設置を要することなく、車体の前後方向に延設される桁部を締結する第1ボルト及び第2ボルトの耐久性を向上させ、車体に与えられる振動に伴う支柱フレームの変形量を低減させることができる作業機械の支柱フレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明は、車体と、この車体に取り付けられる作業装置とを有する作業機械に備えられ、上記車体の前後方向に延設される桁部と、上記車体の車体フレーム上に立設され、上記桁部の前端部が第1ボルトによって締結される第1支柱と、上記桁部の後端部が第2ボルトによって締結される支持部材とを含む作業機械の支柱フレーム構造において、上記桁部の上記前端部に一体に設けられ、上記桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ上記第1支柱に当接する面部を有する第1端板と、上記桁部の上記後端部に一体に設けられ、上記桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ上記支持部材に当接する面部を有する第2端板とを備え、上記第1ボルトは、上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記第1端板を上記第1支柱に締結するものから成り、上記第2ボルトは、上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記第2端板を上記支持部材に締結するものから成ることを特徴としている。
【0018】
このように構成した本発明は、車体に振動が与えられて第1支柱、支持部材のそれぞれから車体の前後方向に延設される桁部に負荷が伝えられる際に、その負荷は第1ボルト、及び面部が第1支柱に当接する第1端板を介して第1支柱に伝えられ、また第2ボルト、及び面部が支持部材に当接する第2端板を介して支持部材に伝えられる。したがって、第1ボルト及び第2ボルトだけで負荷を伝えることがなく、第1端板の面部、第2端板の面部を介しても負荷を伝えることから、第1ボルト及び第2ボルトに与えられる負荷を軽減させることができる。また、第1ボルト及び第2ボルトのそれぞれは、上述の負荷が与えられた際に強度の大きい軸方向の軸部の部分によってその負荷を受けることができる。これらにより、車体の前後方向に延設される桁部を締結する第1ボルト及び第2ボルトの耐久性を向上させることができる。したがって、桁部の前端部に設けた第1端板と第1支柱とを第1ボルトによって長時間堅固に締結することができ、また桁部の後端部に設けた第
2端板と支持部材とを第2ボルトによって長時間堅固に締結することができ、車体に与えられた振動による桁部と第1支柱間の滑り、及び桁部と支持部材間の滑りを抑え、車体に与えられた振動に伴う支柱フレームの変形量を低減させることができる。これにより、車体に与えられた振動に伴う支柱フレームの亀裂や破損等の損傷の発生を抑えることができる。
【0019】
また本発明は、上記発明において、上記作業機械が、上記車体を形成する旋回体と、この旋回体に取り付けられるフロント作業装置と、上記旋回体の上記車体フレームを形成する旋回フレーム上に設けられ、エンジン、油圧ポンプが収容される機械室と、この機械室の後方に設けられるカウンタウエイトとを備えた油圧ショベルから成り、当該支柱フレーム構造が上記機械室を形成するものから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、旋回フレームに設けられる機械室の損傷を防ぐことができる。
【0020】
また本発明は、上記発明において、上記支持部材が上記カウンタウエイトから成り、上記旋回フレームの後端部に設けられた背板よりも上方に位置する上記カウンタウエイトの部分において、上記第2端板を上記第2ボルトによって締結させたことを特徴としている。このように構成した本発明は、第2ボルトによって桁部の後端部に設けた第2端板を、剛性の大きいカウンタウエイトに締結させることから、支柱フレームの変形量をさらに低減させることができる。
【0021】
また本発明は、上記発明において、上記桁部の上方に配置され、前側に位置する支柱部、後側に位置する支柱部、及びこれらの支柱部に連設され、上記桁部の延設方向と同じ方向に延設される桁部を有し、上記前側に位置する支柱部が上記第1支柱に接続されるフレームを備え、上記フレームの上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記フレームの上記後側に位置する支柱部を上記カウンタウエイトに締結する第3ボルトを設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、第3ボルトに与えられる負荷を強度の大きい軸方向の軸部の部分で受け、また、フレームの後側に位置する支柱部を剛性の大きいカウンタウエイトに締結させたことから、第1支柱に接続される桁部の上方に配置されるフレームの変形量を低減させることができる。
【0022】
また本発明は、上記発明において、上記桁部の上方に配置され、前側に位置する支柱部、後側に位置する支柱部、及びこれらの支柱部に連設され、上記桁部の延設方向と同じ方向に延設される桁部を有し、上記前側に位置する支柱部が上記第1支柱に接続されるフレームを備え、上記フレームの上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記フレームの上記前側に位置する支柱部を上記第1支柱に締結する第4ボルトを設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、第4ボルトに与えられる負荷を強度の大きい軸方向の軸部の部分で受けることから、第1支柱が接続される桁部の上方に配置されるフレームの変形量を低減させることができる。
【0023】
また本発明は、上記発明において、上記支持部材が、上記車体フレーム上に立設される第2支柱から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、桁部の前端部と第1支柱とを第1ボルトによって長時間堅固に締結することができ、また、桁部の後端部と第2支柱とを第2ボルトによって長時間堅固に締結することができ、桁部と第1支柱間の滑り、及び桁部と第2支柱間の滑りを抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、車体の前後方向に延設される桁部の前端部に一体に設けられ、桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ第1支柱に当接する面部を有する第1端板と、桁部の上後端部に一体に設けられ、桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ支持部材に当接する面部を有する第2端板と、桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第1端板を上記支柱に締結する第1ボルトと、桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第2端板を支持部材に締結する第2ボルトとを備えた構成にしてある。この構成に伴って、補強材の追加や筋交いの設置を要することなく、車体の前後方向に延設される桁部を締結する第1ボルト及び第2ボルトの耐久性を向上させ、車体に与えられる振動に伴う支柱フレームの変形量を低減させることができる。これにより、車体に与えられる振動に伴って従来懸念されていた支柱フレームの亀裂や破損等の損傷の発生を抑え、従来に比べて耐久性に優れた信頼性の高い支柱フレーム構造を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る支柱フレーム構造の実施形態が備えられる作業機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】本発明に係る支柱フレーム構造の第1実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す側面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の変形例を示す側面図である。
【図6】従来の作業機械の支柱フレーム構造を示す斜視図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】図6,7に示す従来技術の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る作業機械の支柱フレーム構造の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明に係る支柱フレーム構造の実施形態が備えられる作業機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
【0028】
この図1に示す油圧ショベルは、走行体1と、この走行体1上に搭載された車体すなわち旋回体2と、この旋回体2に取り付けられ、上下方向に回動可能なフロント作業装置3とを備えている。車体フレームすなわち旋回体2の旋回フレーム7上には、オペレータが搭乗する運転室4、エンジンや油圧ポンプ等の機器が収納され、例えば後述する本発明の各実施形態によって形成される機械室5、及びフロント作業装置3とバランスするカウンタウエイト6などが搭載されている。機械室5の外郭は薄板のカバー50やドア51等によって形成され、これらのカバー50やドア51等が後述の各実施形態に係る支柱フレーム8によって支持されている。
【0029】
図2は本発明に係る支柱フレーム構造の第1実施形態を示す側面図である。なお、上述した図6〜8に示した従来技術と同等のものには同一番号を付し、説明を省略する。後述の図3に示す第2実施形態、図4に示す第3実施形態、図5に示す第3実施形態の変形例にあっても同様である。
【0030】
図2に示す第1実施形態に係る支柱フレーム8Aは、車体すなわち旋回体2の前後方向に延設される桁部90Aを有する梁90と、車体フレームすなわち旋回フレーム7上に立設され、桁部90Aの前端部が第1ボルト90Dによって締結される第1支柱80と、桁部90Aの後端部が第2ボルト90Eによって締結される支持部材、例えば第2支柱81とを備えている。また、梁90は、桁部90Aの前端部に例えば溶接によって一体に設けられ、桁部90Aの延設方向と直交する鉛直面内に含まれ第1支柱80に当接する面部を有する第1端板90Bと、桁部90Aの後端部に一体に設けられ、桁部90Aの延設方向と直交する鉛直面内に含まれ第2支柱81に当接する面部を有する第2端板90Cとを備えている。上述の第1ボルト90Dは、桁部90Aの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第1端板90Bを第1支柱80に締結するものから成り、第2ボルト90Eは、桁部90Aの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、第2端板90Cを第2支柱81に締結するものから成っている。
【0031】
なお、この第1実施形態も、上述した図6〜8に示したものと同様に、梁90の桁部90Aの上方に配置され、前側に位置する支柱部88A、後側に位置する支柱部88B、及びこれらの支柱部88A,88Bに連設され、梁90の桁部90Aと同じ方向に延設される桁部88Cを有し、前側に位置する支柱部88Aが第1支柱80に接続されるフレーム88を備えている。その他の構成についても、上述した図6〜8に示したものと同等である。
【0032】
このように構成した第1実施形態は、旋回体2に振動が与えられて、第1支柱80、第2支柱81のそれぞれから旋回体2の前後方向に延設される梁90の桁部90Aに負荷が伝えられる際に、その負荷は第1ボルト90D及び第1端板90Bの面部を介して伝えられ、また第2ボルト90E及び第2端板90Cの面部を介して伝えられる。したがって、第1ボルト90D及び第2ボルト90Eだけで負荷を伝えることがなく、第1端板90Bの面部、第2端板90Cの面部を介しても負荷が伝えられることから、第1ボルト90D及び第2ボルト90Eに与えられる負荷を軽減させることができる。また、第1ボルト90D及び第2ボルト90Eのそれぞれは、上述の負荷が与えられた際に強度の大きい軸方向の軸部の部分によってその負荷を受ける。これらにより、旋回体2の前後方向に延設される桁部90Aを締結する第1ボルト90D及び第2ボルト90Eの耐久性を向上させることができる。
【0033】
したがって、桁部90Aの前端部と第1支柱80とを第1ボルト90Dによって長時間堅固に締結することができ、また桁部90Aの後端部と第2支柱81とを第2ボルト90Eによって長時間堅固に締結することができ、旋回体2に与えられた振動による桁部90Aと第1支柱80間の滑り、及び桁部90Aと第2支柱81間の滑りを抑え、旋回体2に与えられる振動に伴う支柱フレーム8Aの変形量を低減させることができる。これにより、これにより、旋回体2に与えられた振動に伴う支柱フレーム8Aの亀裂や破損等の損傷の発生を抑え、機械室5の破損を防止することができ、耐久性に優れた信頼性の高い支柱フレーム構造を実現させることができる。
【0034】
図3に示した第2実施形態に係る支柱フレーム8Aは、梁90の桁部90Aの後端部に設けた第2端板90Cに、第2ボルト90Eによって締結される支持部材が、カウンタウエイト6から成っている。旋回フレーム7の後端部には背板7Aが設けられている。この背板7Aよりも上方に位置するカウンタウエイト6部分において、第2端板90Cが第2ボルト90Eによってカウンタウエイト6に締結されている。旋回フレーム7の後端部とカウンタウエイト6とはピン61によって連結され、旋回フレーム7の後端部に設けた背板7Aとカウンタウエイト6とはボルト62によって締結されている。
【0035】
また、上述した図6〜8に示したもの及び第1実施形態と同様に、この第2実施形態も、梁90の桁部90Aの上方に配置され、前側に位置する支柱部88A、後側に位置する支柱部88B、及びこれらの支柱部88A,88Bに連設され、梁90の桁部90Aと同じ方向に延設される桁部88Cを有し、前側に位置する支柱部88Aが第1支柱80に接続されるフレーム88を備えている。この第2実施形態では、フレーム88の桁部88Cの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、フレーム88の後側に位置する支柱部88Bを第2端板90Cの上方に位置するカウンタウエイト6部分に締結する第3ボルトを設けてある。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0036】
このように構成した第2実施形態によれば、第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、第2ボルト90Eによって梁90の桁部90Aの後端部に設けた第2端板90Cを、剛性の大きいカウンタウエイト6に締結させたことから、支柱フレーム8Aの変形量をさらに低減させることができる。また、第3ボルト88Dに与えられる負荷を強度の大きい軸方向の軸部の部分で受け、また、フレーム88の後側に位置する支柱部88Bを剛性の大きいカウンタウエイト6に締結させたことから、フレーム88の変形量を低減させることができる。
【0037】
図4に示した第3実施形態に係る支柱フレーム8Aは、フレーム88の桁部88Cの延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、フレーム88の前側に位置する支柱部88Aを第1支柱80に締結する第4ボルト88Gを設けてある。フレーム88の後側に位置する支柱部88Bの下端にはカウンタウエイト6の上面に載置される端板88Eを一体に設けてあり、この端板88Eをボルト88Fによってカウンタウエイト6に締結してある。その他の構成は第2実施形態と同等である。
【0038】
このように構成した第3実施形態によれば、第2実施形態と同等の作用効果が得られる他、第4ボルト88Gに与えられる負荷を強度の大きい軸方向の軸部の部分で受けることから、フレーム88の変形量を低減させることができる。
【0039】
なお、カウンタウエイト6の支持形態は上述した図4に示す第3実施形態におけるように、旋回フレーム7の後端部に設けた背板7Aを介して旋回フレーム7に接続される形態には限られず、図5に示すように、旋回フレーム7上に搭載され、ボルト63を介して旋回フレーム7に強固に支持される支持形態であってもよい。なお、このようなカウンタウエイト6の支持形態を図3に示した第2実施形態において実施させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 走行体
2 旋回体(車体)
3 フロント作業装置
5 機械室
6 カウンタウエイト(支持部材)
7 旋回フレーム(車体フレーム)
7A 背板
8A 支柱フレーム
61 ピン
62 ボルト
63 ボルト
80 第1支柱
81 第2支柱(支持部材)
88 フレーム
88A 支柱部
88B 支柱部
88C 桁部
88D 第3ボルト
88E 端板
88F ボルト
88G 第4ボルト
90 梁
90A 桁部
90B 第1端板
90C 第2端板
90D 第1ボルト
90E 第2ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、この車体に取り付けられる作業装置とを有する作業機械に備えられ、
上記車体の前後方向に延設される桁部と、上記車体の車体フレーム上に立設され、上記桁部の前端部が第1ボルトによって締結される第1支柱と、上記桁部の後端部が第2ボルトによって締結される支持部材とを含む作業機械の支柱フレーム構造において、
上記桁部の上記前端部に一体に設けられ、上記桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ上記第1支柱に当接する面部を有する第1端板と、
上記桁部の上記後端部に一体に設けられ、上記桁部の延設方向と直交する鉛直面内に含まれ上記支持部材に当接する面部を有する第2端板とを備え、
上記第1ボルトは、上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記第1端板を上記第1支柱に締結するものから成り、
上記第2ボルトは、上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記第2端板を上記支持部材に締結するものから成ることを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の支柱フレーム構造において、
上記作業機械が、上記車体を形成する旋回体と、この旋回体に取り付けられるフロント作業装置と、上記旋回体の上記車体フレームを形成する旋回フレーム上に設けられ、エンジン、油圧ポンプが収容される機械室と、この機械室の後方に設けられるカウンタウエイトとを備えた油圧ショベルから成り、
当該支柱フレーム構造が上記機械室を形成するものから成ることを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の支柱フレーム構造において、
上記支持部材が上記カウンタウエイトから成り、上記旋回フレームの後端部に設けられた背板よりも上方に位置する上記カウンタウエイトの部分において、上記第2端板を上記第2ボルトによって締結させたことを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械の支柱フレーム構造において、
上記桁部の上方に配置され、前側に位置する支柱部、後側に位置する支柱部、及びこれらの支柱部に連設され、上記桁部の延設方向と同じ方向に延設される桁部を有し、上記前側に位置する支柱部が上記第1支柱に接続されるフレームを備え、
上記フレームの上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記フレームの上記後側に位置する支柱部を上記カウンタウエイトに締結する第3ボルトを設けたことを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。
【請求項5】
請求項3または4に記載の作業機械の支柱フレーム構造において、
上記桁部の上方に配置され、前側に位置する支柱部、後側に位置する支柱部、及びこれらの支柱部に連設され、上記桁部の延設方向と同じ方向に延設される桁部を有し、上記前側に位置する支柱部が上記第1支柱に接続されるフレームを備え、
上記フレームの上記桁部の延設方向に沿うように軸方向が配置される軸部を有し、上記フレームの上記前側に位置する支柱部を上記第1支柱に締結する第4ボルトを設けたことを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械の支柱フレーム構造において、
上記支持部材が、上記車体フレーム上に立設される第2支柱から成ることを特徴とする作業機械の支柱フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−219532(P2012−219532A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87348(P2011−87348)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】