説明

作業機

【課題】搭載表示装置を簡素化しつつ、必要とされる稼働時間は外部端末にて容易に取得することができるようにする。
【解決手段】作業機1の制御を行う制御装置30からの情報に基づき表示を行う搭載表示装置15を備えた作業機において、制御装置30は、稼働時間を計測する計測部42と、この計測部42で計測した稼働時間を数字で表す数字情報を搭載表示装置15ではなく外部端末40に無線通信によって送信する情報送信部43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー、コンバイン、トラクタ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バックホーやコンバインなどの作業機においては、メンテナンスを行うタイミングを決定したり、レンタルしたときの稼働した時間などを確認するために、アワメータと呼ばれる稼働時間の保存が必要である。そのため、作業機においては、特許文献1に示すように、エンジンが稼働した時間を計測し、計測した稼働時間を記憶し、記憶した稼働時間を表示装置で表示することとしている。
【0003】
また、稼働時間は表示装置に表示するだけでなく、稼働時間を表示装置に表示できるようにしたうえで、特許文献2に示すように、通信回線を用いて管理サーバへ送信し、管理サーバにて各作業機の稼働時間を一元管理することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−062339号公報
【特許文献2】特開2000−259729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、上述したように、作業機の稼働時間は、自動車で言うなれば走行距離計と同じように重要なものであり、必ず、作業機で計測すると共に計測した稼働時間を作業機側で記憶し、作業機側で表示するという方式が必須であった。
近年、国内に留まらず海外においても作業機の価格競争が増ており、少しでも部品コストや製造コストを低減するために様々な工夫が迫られている。このようなことから、上述したような稼働情報などのような必要な情報は取得できるようにしたうえで、表示装置の部品点数を低減して簡素化したいという要望あり、新たな技術の開発が必要となってきているのが実情である。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、作業機側に搭載した搭載表示装置(搭載搭載表示装置)を簡素化しつつ、必要とされる稼働時間は外部端末にて容易に取得することができる作業機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明は、 制御装置からの情報に基づき表示を行うと共に作業機側に搭載された搭載表示装置を備えた作業機において、前記制御装置は、稼働時間を計測する計測部と、この計測部で計測した稼働時間を数字で表す数字情報を前記搭載表示装置ではなく外部端末に無線通信によって送信する情報送信部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記制御装置は、前記数字情報とは別に、作業機の状態を少なくとも2つの形態で表すオンオフ情報を前記搭載表示装置に出力するように構成され、前記搭載表示装置は、前記制御装置で出力された前記オンオフ情報を表示するオンオフ表示部を備えていることを特徴とする。
前記外部端末は、前記稼働時間の数字情報に基づいて点検を行うか否かの前記オンオフ情報を算出する点検算出部を備え、前記制御装置は、前記点検算出手段で算出された点検を行うか否かのオンオフ情報を受信して受信したオンオフ情報を搭載表示装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、作業機にとって必要とされる稼働時間を計測部で計測して、計測した稼働時間を数字で表すための数字情報を搭載表示装置ではなく外部端末に無線通信によって送信しているため、搭載表示装置の代わりに外部端末に稼働時間を数字で表示することができる。そのため、例えば、液晶画面、7セグメントLEDなどの表示用部品を搭載表示装置に設ける必用がないため、搭載表示装置を簡素化することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、搭載表示装置は、例えば、液晶画面のような複雑な表示を行うものではなく少なくとも2つの形態で作業機の状態を表すオンオフ表示部を備えているため、より搭載表示装置を簡素化することができる。
請求項3に係る発明によれば、稼働時間を用いて外部端末側でメンテナンスを行うか否かを算出ているため、作業機側でメンテナンスを行うか否かの処理を行わなくても、メンテナンスの可否を搭載表示装置側で容易に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態における制御装置及び搭載表示装置のブロック図である。
【図2】オンオフ出力部のオンオフ信号の説明図である。
【図3】制御装置から外部端末に数字情報(物理量)を送信する手順を示したものである。
【図4】オンオフ表示部を複数並べたレベルメータを備えた搭載表示装置の全体図である。
【図5】第2実施形態における外部端末と制御装置とのやり取りを説明する説明図である。
【図6】第2実施形態における2つの使用形態を説明する説明図である。
【図7】第3実施形態における制御装置及び搭載表示装置のブロック図である。
【図8】点検時期記憶部に記憶された点検項目と稼働時間との関係図である。
【図9】作業機の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図9は本発明の作業機の全体図を示している。作業機についてバックホーを例にとり、バックホーの全体構成から説明する。なお、作業機は、トラクタ、コンバイン、移植機などであってもよい。
【0013】
図9に示すように、作業機1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備え、両走行体4を走行モータで動作するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置2の前部にはドーザ5が設けられている。
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング11を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台12と、該旋回台12の前部に備えられた作業装置13(掘削装置)とを有している。旋回台12上には、エンジン,ラジエータ,運転席9,燃料タンク,作動油タンク,作動油タンクからの作動油を制御する制御弁等が設けられている。運転席9の周囲には表示装置15が搭載されている。以降、作業機1に搭載された表示装置15を搭載表示装置15という。搭載表示装置15は、作業機1に関する様々な情報を表示するもので、運転席9の前側や後側、或いは、側方側に取り付けられている。なお、搭載表示装置15は、運転席1つに対して1台であっても複数台であってもよい。運転席9は、旋回台12上に設けられたキャビン14により囲まれている。
【0014】
作業装置13は、旋回台12の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット16に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット17と、該スイングブラケット17に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム18と、該ブーム18の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム19と、該アーム19の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット20とを備えている。
【0015】
スイングブラケット17は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動され、ブーム18は、該ブーム18とスイングブラケット17との間に介装されたブームシリンダ22の伸縮によって揺動され、アーム19は、該アーム19とブーム18との間に介装されたアームシリンダ23の伸縮によって揺動され、バケット20は、該バケット20とアーム19との間に介装されたバケットシリンダ21の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。
【0016】
各シリンダ(スイングシリンダ、ブームシリンダ22、アームシリンダ23バケットシリンダ21)は、制御弁によって流量が制御された作動油によって動作するようになっている。
図1は、バックホーにおける制御装置及び搭載表示装置のブロック図を示したものである。
【0017】
制御装置30は、主にバックホー全体の制御を行うものであり、搭載表示装置15は、制御装置30等から送られた情報に基づき、主に作業機の様々な状態などを表示するものである。制御装置30と搭載表示装置15とは、Controller Area Network(CAN通信)などの車両用通信ネットワークNを介してデータの送受信が行えるようになっている。なお、車両用通信ネットワークは、制御装置30と搭載表示装置15との間でデータの送受信が行えるものであれば何でもよく、FlexRay(フレックスレイ)であっても、その他のネットワークであってもよい。
【0018】
以下、搭載表示装置15及び制御装置30について詳しく説明する。
図1に示すように、搭載表示装置15は、出来るだけ簡素化された構成とされており、複数のオンオフ表示部(形態表示部)31を備えている。このオンオフ表示部31は、作業機の様々な状態を少なくとも2つの形態で示すものとされている。具体的には、オンオフ表示部31は、作業機の状態を、光の点灯、消灯、点滅などによって示すランプ(例えば、LEDランプ)から構成されている。この実施形態では、オンオフ表示部31は、点灯又は点滅により1つめの状態を示し、消灯により2つめの状態を示すことができるものである。なお、点灯と点滅とを分けて、3つめの状態を示すようにしてもよい。
【0019】
さらに、具体的には、搭載表示装置15には、4個のオンオフ表示部31が設けられ、1つ目は、燃料不足状態のときに点灯又は点滅し且つ燃料不足でないときに消灯する燃料用オンオフ表示部31aとされ、2つ目は、水温が異常に高温になったときなどに点灯又は点滅し且つ水温が正常な温度のときに消灯する水温用オンオフ表示部31bとされ、3つ目は、バッテリーの電圧が異常状態のときに点灯又は点滅し且つバッテリーの電圧が正常のときに消灯するバッテリー用オンオフ表示部31cとされ、4つ目は、点灯又は点滅によってその他の警告状態を示し且つ消灯によって警告がない非警告状態を示す警告用オンオフ表示部31dとされている。
【0020】
各オンオフ表示部は、制御装置30から出力されたオンオフ情報を示す出力信号(オンオフを示すオンオフ信号)に基づき、点灯、消灯、点滅をする。
このように、本発明のバックホーに搭載する搭載表示装置15は、LEDランプなどの構造が簡単で安価な部品により構成されていて、複数のオンオフ表示部31により、燃料、水温、バッテリー、警告など、バックホーの操作(運転)に必要な状態、即ち、バックホーを操作する作業者に対して何かの注意を喚起する内容を表示する。
【0021】
制御装置30は、CPU等から構成されていて、主に、作業機1に備えられた各種装置(走行装置、作業装置など)を制御する。制御装置30は、例えば、走行2速制御、アンロード切換制御、スタータ切換制御、流量制御などを行う。まず、上述した各制御について説明する。
走行2速制御は、走行装置2を高速と低速とに切り換える走行2速スイッチからのオン又はオフの入力信号に基づいて、走行装置を高速と低速とに切り換える制御である。アンロード切換制御は、運転席の側方に設けられたレバーロックスイッチからのオン又はオフの入力信号に基づいて、ポンプから吐出された作動油を制御弁に供給可能と供給不能とに切り換える制御である。スタータ切換制御は、スタータスイッチからのオン又はオフの入力信号に基づいてスタータリレーを切り換える制御である。流量制御とは、スイングシリンダ、ブームシリンダ22、アームシリンダ23及びバケットシリンダ21などの各シリンダに所定の作動油を供給するための制御であって、運転席10の周囲に設けられた操作部材(操作レバー)の操作量などに基づいて作動油の制御を行う。流量制御では、例えば、操作レバーを揺動させると、操作したアクチュエータ(ブームシリンダ22、アームシリンダ23及びバケットシリンダ21)に対応する電磁比例弁のソレノイドに所定値の電流(信号)を出力し、電磁比例弁は電流値に応じて開動させ、操作したアクチュエータに対応する制御弁のパイロット圧を制御して、アクチュエータを動作させる。なお、制御装置30は、各種装置を制御するものであればよく、例示した制御に限定されない。
【0022】
さて、この制御装置30は、主にバックホーの制御を行うものであるが、上述した搭載表示装置15に様々な情報を出力したり、外部端末40にも情報を送信する。
図1に示すように、制御装置30は出力部41を備えている。出力部41は、当該制御装置30に格納されたプログラム等から構成されている。この出力部41は、搭載表示装置15のオンオフ表示部31で作業機の状態を表すための情報(オンオフ情報)を当該搭載表示装置15に出力するものである。
【0023】
言い換えれば、出力部41は、オンオフ表示部31の点灯、点滅、消灯のいずれかによってバックホーがどのような状態であるかを表すためのオン信号又はオフ信号で構成されたオンオフ情報を搭載表示装置15に出力するものである。以降、出力部41をオンオフ出力部41といい説明する。
図2(a)に示すように、オンオフ出力部41は、例えば、燃料センサで検出された燃料の残量が不足状態(燃料不足状態)であると判断すると燃料用オンオフ表示部31aを点灯させるためのオン信号(例えば、H信号)を出力すると共に、燃料不足状態でないと判断すると燃料用オンオフ表示部31aを点灯させるためのオフ信号(例えば、L信号)を出力する。
【0024】
また、オンオフ出力部41は、図2(b)に示すように、例えば、水温センサで検出された水温が高温で異常であると判断すると水温用オンオフ表示部31bを点灯させるためのオン信号(例えば、H信号)を出力すると共に、水温が正常な温度であると判断すると水温用オンオフ表示部31bを点灯させるためのオフ信号(例えば、L信号)を出力する。同じように、オンオフ出力部41は、バッテリーの電圧が異常状態であるか正常状態であるかを判断して判断結果に基づき、オンオフ信号をバッテリー用オンオフ表示部31cに出力したり、警告状態であるか非警告状態であるかを判断して判断結果に基づき、オンオフ信号を警告用オンオフ表示部31dに出力する。
【0025】
このように、燃料不足状態であるか否か、水温が異常状態であるか否か、バッテリーの充電が異常であるか否か(チャージ異常であるか否か)、警告があるか否かといったバックホーの状態を、オンオフ出力部41が出力するオンオフ情報(オン信号又はオフ信号)によって、簡単に搭載表示装置15で表示することができる。つまり、搭載表示装置15では、制御装置30のオンオフ出力部41が出力したオンオフ情報が入力されると、そのオンオフ信号に対して情報処理などの加工処理を行うことなく、そのままのオンオフ情報、即ち、オン信号又はオフ信号を、例えば、オペアンプ等で増幅したり或いはスイッチングなどに用いてLEDランプを点灯、消灯、点滅させるだけで様々な状態を表示することができる。特に、本発明では、燃料不足、水温異常、チャージ異常、その他警告など、そのまま放置していると故障や停止につながる緊急情報(緊急のお知らせ)を、制御装置30のオンオフ出力部41及び搭載表示装置15のオンオフ表示部31によって確認できるようにしている。
【0026】
さて、バックホーなどの作業機において、作業機を稼働させた稼働時間は、例えば、メンテナンスを行うタイミングを決定したり、レンタルしたときの稼働した時間などを確認するために必要であり重要なものとされている。即ち、作業機の稼働時間は、自動車で言うなれば走行距離計と同じように重要なものである。また、エンジン回転数もバックホーを操作する際に重要なものであり、このような稼働時間やエンジン回転数の数字情報は、バックホーを操作する作業者などが容易に確認できるようにする手段が必要となる。
【0027】
そこで、本発明では、稼働時間やエンジンが回転したエンジン回転数などの重要な作業機の状態であって、上述したうようにオンオフ表示部31では表し難い数字情報は、搭載表示装置15ではなく、外部端末40に出力して外部端末40側で数字で表すことができるようにしている。言い換えれば、本発明では、稼働時間やエンジン回転数など重要な情報を搭載表示装置15の代わりに外部端末40で表示することとしている。
【0028】
なお、作業機情報とは、例えば、上述したような警告に関する情報、制御するために制御装置から各機器(装置)に出力する制御信号、各装置間でやり取りする信号、制御に必要な情報であってセンサなどが検出した信号(エンジン回転数、燃料、水温、油温、スイッチなどのオンオフ信号)、メンテナンスに関する情報などである。
図1に示すように、制御装置30は、稼働時間を計測する計測部(カウンタ)42を備えている。詳しくは、計測部42は、例えば、エンジンを駆動してエンジン回転数が制御装置30に入力されると、計測部42はエンジン回転数が入力している間(零を除く)をカウントアップして、その累積時間を稼働時間として不揮発性メモリなどに記憶(保存)する。稼働時間は作業機が稼働した累積時間を示すものであればなんでもよく、エンジンが稼働した時間に限定されない。
【0029】
また、制御装置30は、様々な作業機の状態中で、その状態を数字で表すための数字情報を、無線通信を介して外部端末40に送信する情報送信部43を備えている。情報送信部43は、当該制御装置30に格納されたプログラム等から構成されている。
具体的には、情報送信部43は、外部端末40と無線通信を行うための通信部44に、例えば、稼働時間、エンジン回転数、水温、燃料などの数字情報(物理量)を必要に応じて出力し、この通信部44を介して外部端末40に数字情報を送信するものである。言い換えれば、情報送信部43は、オンオフ出力部41のように、2つの形態で作業機の状態を表すためのオンオフ情報を送信するのではなく、センサなどで検出された作業機の状態を数字で表すことができる数字情報(物理量)を外部端末40に出力するものである。さらに別の言い方をすると、センサ等が検出した物理量を10進数で表す場合は、その物理量を数ビットに変換して、変換した数ビットのデータ群を1つの数字情報にする処理(ステップ)を行う必要があり、その数字情報を表示する側では、数ビットで表される数字情報を数字化するための処理が必要となる。そのため、情報処理送信部43は、複雑な処理が必要な数字情報などは、搭載表示装置15ではなく外部端末40に出力し、外部端末40側で処理して数値化して表示するようにしている。
【0030】
なお、情報送信部43が外部端末40に送信(出力)する数字情報(物理量)は、例えば、センサ等で検出した物理量以外の情報(データ)を含むものであってもよい。
ここで、通信部44は、外部端末40と無線にてデータ通信を行うものであればどのようなものであってもよく、例えば、近距離で無線通信(例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等)を行う近距離無線モジュールなどであることが好ましい。
【0031】
また、外部端末40は、持ち運びが容易で作業機側と無線通信が可能なものであればよく、PDA(Personal Data Assistance)、タブレットPC(TabletPC)、電話機能を有するスマートフォン(Smartphone)、携帯電話などの汎用品であっても、作業機用に独自に製造された専用端末であってもよい。
また、外部端末40は、作業機情報などを文字、数字、絵柄によって自在に表示することができる表示部を備えたものである。なお、外部端末40の表示部は、文字、数字、絵柄などの複雑な表示ができると共に表示画面を操作できるタッチパネル式のものであってもよいし、液晶により表示するものであっても有機ELにより表示するものであってもよい。
【0032】
制御装置30から外部端末40に数字情報(物理量)を送信するためには、図3に示すように、まず、作業者等が所有する外部端末40を起動して通信部44と外部端末40との無線通信の設定を行い、通信部44と外部端末40との間で無線通信を行えるようにする(S1:無線通信設定)。例えば、無線通信設定では、例えば、外部端末40ち通信部44とに関連付けられた情報(例えば、ネットワークキー)を外部端末40側に入力することにより設定を行う。
【0033】
また、外部端末40側に少なくとも作業機の数字情報を表示するための表示プログラムを格納しておき、その表示プログラムを起動し、数字情報を表示画面上で表示できるようにしておく(S2:表示画面設定)。
通信部44と外部端末40とが無線通信状態になると、情報送信部43は、例えば、計測部42によって計測した稼働時間の数字情報を通信部44を介して外部端末40に送信する(S3:数字情報送信)。
【0034】
また、エンジン回転センサからのエンジン回転数が制御装置30に入力されると、エンジン回転数の数字情報を数字情報を通信部44を介して外部端末40に送信する(S4:数字情報送信)。
なお、情報送信部43は、稼働時間やエンジン回転数などの数字情報をリアルタイムに外部端末40に送信する。外部端末40は、制御装置30(情報送信部43)から送信された稼働時間やエンジン回転数の数字情報を受信すると、外部端末40の表示部にエンジン回転数を数字によって表示すると共に、稼働時間を数字で表示する(S5:数字情報表示)。
【0035】
以上、本発明の作業機によれば、作業機にとって重要である稼働時間を計測部42で計測して、計測した稼働時間の数字情報を搭載表示装置15ではなく外部端末40に無線通信によって送信しているため、稼働時間の数字情報を表示するための部品(液晶画面、7セグメントLED)を搭載表示装置15に設けなくても、外部端末40側で稼働時間を確認することができ、搭載表示装置15を簡素化することが可能なる。
【0036】
即ち、従来の技術では、稼働時間を数字として表示するための表示部などが必要であるが、本発明の作業機では、外部端末40側で稼働時間の数字を表示することができるため、搭載表示装置15側では稼働時間を表示させるための部品だけでなく稼働時間を表示させるためのプログラムも不要となり、全体として搭載表示装置15が非常に簡素化することができる。
【0037】
また、オンオフ情報をオンオフ表示部31で表示することができるようにしているため、例えば、燃料不足、水温異常、バッテリー異常、その他警告など故障や停止につながりかねない緊急情報は、簡素化した搭載表示装置15でも容易に確認することができる。
なお、上述した実施形態では、オンオフ表示部31を、作業機の状態、即ち、オンオフ情報を光の形態に変えて示すことができるランプで構成していたが、変形例として、オンオフ表示部31を、オンオフ情報を音の形態に変えて示すことができるスピーカで構成してもよい。オンオフ表示部31をスピーカで構成した場合、例えば、音を出力したときは1つめの状態を示し、消音(音を出力していない)したときは2つめの状態を示すようにすればよい。この場合、オンオフ出力部41は作業機の状態に応じて音を出力するオン信号(例えば、H信号)と音声を出力しないオフ信号(例えば、L信号)とを搭載表示装置15(各オンオフ表示部31)を出力すればよい。また、オンオフ表示部31をランプからスピーカに置き換えた場合であっても、作業機の状態(ステータス)に応じて音を出力すればよく、音の出力の仕方は上述したものに限定されない。また、搭載表示装置15は、ランプで構成したオンオフ表示部31とスピーカで構成したオンオフ表示部31とを備えたものであってもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、1つのオンオフ表示部31で作業機の状態(ステータス)を表示していたが、複数のオンオフ表示部31を組み合わせて作業機の状態を表示するようにしてもよい。
図4に示すように、複数のオンオフ表示部31(LEDのランプ)を横又は縦に並べて全体として段階的なレベルメータ45を構成し、レベルメータ45の各段階において作業機の状態を決めておく。例えば、稼働時間が100時間未満であればレベル1、100時間以上であればレベル2、500時間以上であればレベル3、1000時間以上であればレベル4、5000時間以上であればレベル5というようにレベルを決め、このレベルに応じて対応して各オンオフ表示部31を点灯させたり消灯させるようにしてもよい。
【0039】
[第2実施形態]
第1実施形態では制御装置30の情報送信部43からリアルタイムに稼働情報やエンジン回転数などの数字情報を外部端末40に送信するようにしていたが、第2実施形態では、情報送信部43は、外部端末40から要求があったときに数字情報を要求のあった外部端末40に送信するようにしている。
【0040】
図5に示すように、無線通信設定S1が終了していて外部端末40と制御装置30の情報送信部43との無線通信が行える状態のときに、例えば、外部端末40の表示画面に表示された「データ要求」を選択すると外部端末40から制御装置30に稼働時間の数字情報の要求が開始される(S10:データ要求)。なお、外部端末40で稼働時間の要求を開始するための方法はどのようなものであってもよく、上述したように表示画面に表示された「データ要求」などのアイコンを選択するものに限定されない。
【0041】
制御装置30の情報送信部43は、通信部44が外部端末40からの稼働時間の要求を受信して、外部端末40から稼働時間の数字情報の要求があったことを検知すると、制御装置30に保存された稼働時間の数字情報を要求のあった外部端末40に送信する(S11:数字情報送信)。外部端末40は、稼働時間の数字情報を受信すると、表示画面を表示すると共にその表示画面に稼働時間を表示する(S12:数字情報表示)。
【0042】
図6は、第2実施形態における使用形態を示したものである。
図6(a)に示すように、例えば、作業者が所有している外部端末40と、作業者が所有しているバックホー、即ち、制御装置30の通信部44とを1対1にペアリングしておき、作業者が所有する外部端末40と作業者が所有するバックホーとが無線通信できる状態とする。そのうえで、作業者の外部端末40を用いて作業者が所有するバックホー、即ち、制御装置30に稼働時間の数字情報の要求を行うと、作業者が所有するバックホーから稼働時間が送信されるため、作業者自身が所有する外部端末40を用いて、作業者が所有しているバックホーの稼働時間を知ることができる。
【0043】
図6(b)に示すように、例えば、バックホーをレンタルするレンタル会社が所有する1台の外部端末40と、レンタル会社が所有する複数台のバックホーとを1対多に設定しておき、1台の外部端末40と、複数のバックホー(例えば、バックホーA〜バックホーC)とが無線通信できる状態とする。
そのうえで、レンタル会社の所有する外部端末40を用いてレンタル会社が所有する複数台のバックホーの制御装置30に稼働時間の数字情報の要求を一斉に行うと、レンタル会社が所有するバックホーから稼働時間が1台の外部端末40に送信されるため、レンタル会社が所有する外部端末40を用いて、レンタル会社が所有している複数台のバックホーの稼働時間を一斉に知ることができる。
【0044】
なお、この場合、バックホーから送信された稼働時間が、どのバックホーのものか分かるようにするため、送信する稼働時間と、バックホーの識別情報とを関連付けて外部端末40に送信するようにし、外部端末40では、各バックホーの稼働時間を一覧表で表示できるようにすることが好ましい。この第2実施形態では、稼働時間を例にとり説明したが、外部端末40から要求する数字情報は上述した稼働時間に限定されない。
【0045】
[第3実施形態]
上述した実施形態では、バックホー、即ち、制御装置30から送信された稼働情報を外部端末40側で表示することとしていたが、稼働時間を外部端末40側で表示するだけでなく、この第3実施形態では、稼働時間を用いて点検(メンテナンス)を行うか否かを外部端末40に表示したり、バックホー側に送信してバックホー側で表示するようにしている。
【0046】
図7に示すように、外部端末40は、稼働時間の数字情報(物理量)に基づいて点検を行うか否かを算出する点検算出部50と、点検時期記憶部51とを備えている。点検算出部50は、外部端末40に格納されたプログラム等から構成され、点検時期記憶部51は外部端末40に設けられた不揮発性の記憶部から構成されている。
図8に示すように、点検時期記憶部51は、バックホーの各点検項目(例えば、エンジンオイル、作動油、エアクリーナエレメントなど)と、定期的な点検間隔(点検インターバル)とを関連付けて記憶したもので、点検間隔に示された時間は稼働時間で表されている。
【0047】
点検算出部50は、外部端末40内に実績稼働時間が入力された状態において、例えば、外部端末40の表示画面に表示された「メンテナンス確認」が選択されると、外部端末40に一時的に記憶された実績稼働時間を呼び出して、この実績稼働時間と点検時期記憶部51内の点検間隔とに基づき、点検を行う必要がある点検項目を抽出する。点検算出部50は、まず、点検時期記憶部51の点検間隔を用いて、各点検項目における点検時期を、点検時期=i×点検間隔によって求める。なお、iは点検回数を示し、i=1,2・・・nである。例えば、「エンジンオイル」の点検時期は、1回目は500時間、2回目は1000時間、3回目は1500時間となり、「作動油」の点検時期は、1回目は1000時間、2回目は2000時間となる。
【0048】
そして、点検算出部50は、実績稼働時間が外部端末40に入力した時点で、点検時期に達している点検項目を算出する。例えば、実績稼働時間が1000時間であるとき、点検算出部50は、点検時期が1000時間となっているエンジンオイル、作動油などを点検が必要な項目として抽出する。なお、実績稼働時間と点検時期とが完全に一致しなくても、実績稼働時間が点検時期に近くなってきており、例えば、実績稼働時間が点検時期の±50時間内に入っている点検項目を点検が必要な項目として抽出するようにしてもよい。また、点検算出部50は、実績稼働時間と各項目の点検時期とを用いて、点検が必要であるか否かを算出するものであれば、算出の仕方などは、上述したものに限定されない。
【0049】
点検算出部50によって点検が必要な項目が算出すると、即ち、各点検項目について点検を行うか否かのオンオフ情報を算出すると、各点検項目におけるオンオフ情報(点検を行うか否か)をバックホー(通信部44)に送信する。上述したように、実績稼働時間が1000時間である場合には、エンジンオイルの点検が必要であることを通信部44に送信すると共に、作動油の点検が必要であることを通信部44に送信する。
【0050】
一方、バックホー側の制御装置30(オンオフ出力部41)は、各点検項目における点検有無のオンオフ情報を通信部44を介して受信すると、各点検項目におけるオンオフ情報を搭載表示装置15のオンオフ表示部31に出力する。なお、搭載表示装置15には、各点検項目毎に点検を行うか否かの状態を示すことができるオンオフ表示部31があるとする。
【0051】
この第3実施形態では、制御装置30の情報送信部43が外部端末40に送信した実績稼働時間を用いて、外部端末40側でメンテナンスを行うか否かを算出し、算出したメンテナンスの有無の結果を、制御装置30に返しているため、稼働時間の有効活用が容易にでき、メンテナンスを行うか否かを搭載表示装置15のオンオフ表示部31で簡単に確認することができる。特に、この第3実施形態ではメンテナンスを行うか否かの計算を外部端末40側で行っているため、制御装置30側には点検算出部50を設ける必要がなく、制御装置30を簡素化することができる。
【0052】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、制御装置30と搭載表示装置15とを車両用通信ネットワークによって接続していたが、複雑な通信規格(通信プロトコル)を必要としないもので接続してもよい。
【0053】
また、搭載表示装置15は、複雑なデータ処理を行って作業機の状態を表示するような高級とされるものではなく、ランプのオンオフなどのようにデータ処理を必要としないオンオフ表示部31のみで構成されていることが好ましいが、一部に文字などを表示する部分を設けてもよい。また、センサなどで検出された数値(物理量)をデジタル式の表示ではなく指針計のようなアナログ式として搭載表示装置15に表示させる場合は、搭載表示装置15の一部にアナログ式の指針計を設けても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 バックホー
2 走行装置
3 旋回体
4 走行体
5 ドーザ
9 運転席
11 ベアリング
12 旋回台
13 作業装置
14 キャビン
15 搭載表示装置
16 支持ブラケット
17 スイングブラケット
18 ブーム
19 アーム
20 バケット
21 バケットシリンダ
22 ブームシリンダ
23 アームシリンダ
30 制御装置
31 オンオフ表示部
40 外部端末
41 オンオフ出力部
42 計測部
43 情報送信部
44 通信部
45 レベルメータ
50 点検算出部
51 点検時期記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置からの情報に基づき表示を行うと共に作業機側に搭載された搭載表示装置を備えた作業機において、
前記制御装置は、稼働時間を計測する計測部と、この計測部で計測した稼働時間を数字で表す数字情報を前記搭載表示装置ではなく外部端末に無線通信によって送信する情報送信部とを備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記数字情報とは別に、作業機の状態を少なくとも2つの形態で表すオンオフ情報を前記搭載表示装置に出力するように構成され、前記搭載表示装置は、前記制御装置で出力された前記オンオフ情報を表示するオンオフ表示部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記外部端末は、前記稼働時間の数字情報に基づいて点検を行うか否かの前記オンオフ情報を算出する点検算出部を備え、前記制御装置は、前記点検算出手段で算出された点検を行うか否かのオンオフ情報を受信して受信したオンオフ情報を搭載表示装置に出力することを特徴とする請求項2に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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