説明

作業機

【課題】作業者が乗車していない状態(降車している状態)でDPFに堆積した粒子状物質の堆積量(PM堆積量)の増加を抑制することができるようにする。
【解決手段】ディーゼルエンジン9から排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタ41を備えた排出ガス浄化装置31と、排出ガス浄化装置31のフィルタ41に堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するフィルタ再生手段50と、乗車又は降車を確認する乗降確認手段53とを備え、乗降確認手段53によって降車が確認されている状態でエンジン9が作動し、且つフィルタ41に堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときには、エンジン9の回転数を自動的に下げるエンジン回転制御手段32を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)を備えたバックホー、ホイルローダ、及びトラクタ等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題を改善及び解決するために、ディーゼルエンジンなどに対する排出ガス規制が強化されている。建設機械や農業機械などの作業機においても、このような排出ガス規制に対処するために排出ガスに含まれる粒子状物質(パーティキュレート)を低減させる技術が様々に開発されている。
一般的にディーゼルエンジンには、排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集する排出ガス浄化装置が設けられている。排出ガス浄化装置は、排出ガスを内部に設けたディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)に通過させて粒子状物質を捕集する。この捕集された粒子状物質は排出ガス浄化装置のDPFに徐々に堆積するので、DPFが目詰まりを起こして排気系の空気抵抗が大きくならないように、粒子状物質を適宜除去してDPFを再生しなくてはならない。
【0003】
このようなDPFの再生に関する技術として特許文献1や特許文献2に示すものがある。
特許文献1は、コモンレール式のディーゼルエンジンにおいて、DPFの再生処理時に吸気スロットルの絞り(吸排気弁の絞り)やポスト噴射を行って再生が完了したらエンジンを自動的に停止させる技術である。
【0004】
特許文献2は、建設機械の稼働中にエンジンの動作状態に基づきDPFの目詰まりを判断して、DPFの目詰まり時にエンジンを停止させずにDPFの再生を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−127253号公報
【特許文献2】特開2010−270611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2も、エンジンを作動させてDPFの再生を行うものであるが、これらの技術は、DPFの再生処理(再生動作)でDPFの堆積量(PM堆積量)を低減することのみに着目した技術である。つまり、これらの技術では、DPFの再生動作によって一旦上昇してしまったPM堆積量の低減を行う処理は積極的に行っているものの、もともと、PM堆積量が増加しないように処理することは考えられていないのが実情である。
【0007】
そこで、本発明は、作業者が乗車していない状態(降車している状態)であってもDPFに堆積した粒子状物質の堆積量(PM堆積量)の増加を抑制することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、請求項1に係る作業機によれば、ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、前記排出ガス浄化装置のフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するフィルタ再生手段と、乗車又は降車を確認する乗降確認手段とを備え、前記乗降確認手段によって降車が確認されている状態で前記エンジンが作動し、且つ前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときには、前記エンジンの回転数を自動的に下げるエンジン回転制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る作業機によれば、前記エンジン回転制御手段は、降車状態でのエンジン回転数がアイドリング回転数であって前記堆積量が所定値以上であるときには、エンジン回転数を下げて零にすることを特徴とする。
請求項3に係る作業機によれば、前記エンジン回転制御手段は、降車状態でのエンジン回転数がアイドリング回転数以上であって前記堆積量が所定値以上であるときには、エンジン回転数をアイドリング回転数まで徐々に下げて零にすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る作業機によれば、前記乗降確認手段によって乗車が確認されている状態で前記エンジンが作動し、且つ前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上である場合には、前記エンジンの回転数の増減を許容しつつエンジンの出力を制限する出力制限手段を備えていることを特徴とする。
請求項5に係る作業機によれば、前記エンジン回転制御手段によって前記エンジンの回転数を下げるときには、エンジンの回転数を下げることを報知する報知手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1によれば、例えば、作業者が休憩のためや一時的に作業を中断するためにエンジンを掛けたまま長時間降車している場合におけるPM堆積量の増加を抑制することができる。
請求項2及び請求項3によれば、アイドリング回転によるPM堆積量の増加を確実に抑制することができる。
【0012】
請求項4によれば、作業者が乗車している状態ではエンジンの出力制限によってPM堆積量の増加を抑えることができる。
請求項5によれば、例えば、作業機から離れた作業者にPM堆積量が増加していることを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図2】PM堆積量の推移(変化)を示す図である。
【図3】第1実施形態におけるエンジン回転数の低下を説明する説明図である。
【図4】第2実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図5】第2実施形態におけるエンジン回転数の低下を説明する説明図である。
【図6】第2実施形態におけるエンジン回転数の低下を説明する説明図である。
【図7】バックホーの全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
本発明の作業機は、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)を備えると共に、このDPFに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去する手段を備えたものである。このような作業機としては、バックホーやコンパクトトラックローダ(CTL)などの建設機械、及びトラクタなどの農業機械であるが、下記に示すように、作業機としてバックホーを例にとり説明する。
【0015】
図7は、バックホー1の全体構成を示す側面図で、図7に示すように、バックホー1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備えたクローラ式走行装置である。また、走行装置2には、ディーゼルエンジン9から出力された動力によってクローラを走行させる油圧モータMが設けられると共に、前部にはドーザ5が設けられている。
【0016】
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング6を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台7と、旋回台7の前部に備えられた作業装置8(掘削装置)とを有している。旋回台7上には、ディーゼルエンジン9、ラジエータ、運転席10、燃料タンク、作動油タンク、作動油タンクからの作動油を制御する制御弁等が設けられている。運転席10の周囲には、バックホー1に関する様々な情報を表示する表示装置11が設けられている。運転席10は、旋回台7上に設けられたキャビン12により囲まれている。
【0017】
作業装置8は、旋回台7の前部に設けられた支持ブラケット13に左右揺動自在に支持されたスイングブラケット14と、上下揺動自在となるように基部側がスイングブラケッ
ト14に支持されたブーム15とを備えている。ブーム15の先端側には、前後揺動自在となるようにアーム16が支持されており、アーム16の先端側に、スクイ・ダンプ動作が可能となるようにバケット17が設けられている。
【0018】
スイングブラケット14は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動される。ブーム15は、ブーム15とスイングブラケット14との間に介装されたブームシリンダ18の伸縮によって揺動される。アーム16は、アーム16とブーム15との間に介装されたアームシリンダ19の伸縮によって揺動される。バケット17は、バケット17とアーム16との間に介装されたバケットシリンダ20の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。
【0019】
スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19、及びバケットシリンダ20の各シリンダは、制御弁によって流量が制御された作動油によって伸縮動作するように構成されている。
図1は、ディーゼルエンジン及びディーゼルエンジンの排気系の構造を示したものである。ディーゼルエンジンの排気系について説明する。なお、ディーゼルエンジン9は、複数のシリンダ(気筒)を有する多気筒エンジンである場合が多いが、図1では、そのうちの1つのシリンダ34だけの構成を示し説明する。
【0020】
図1に示すように、ディーゼルエンジン9は、バックホー1に搭載された各種装置(例えば、油圧モータMや油圧ポンプ等)に動力を与えるもので、当該ディーゼルエンジン9のシリンダ34の上部には、当該シリンダ34内に空気を導入するための開口である吸気ポート35が形成されると共に、燃焼後のガス(燃焼ガス)をシリンダ34から排出するための開口である排気ポート36が形成されている。さらにシリンダ34の上部には、吸気ポート34を開閉するための吸気バルブ37と、排気ポート36を開閉するための排気バルブ38とが設けられている。
【0021】
吸気ポート35には、シリンダ34内に導入される空気の流路となる管状の吸気マニホールド39が接続されている。また、排気ポート36には、シリンダ34から排出される燃焼ガスの流路となる管状の排気マニホールド30が接続されている。排気マニホールド30の端部には排気音を低減するためのサイレンサ40が設けられていて、燃焼ガスはサイレンサ40を通過して環境中に排出される。
【0022】
排気マニホールド30において、排気ポート36とサイレンサ40との間には排出ガス浄化装置31が設けられている。排出ガス浄化装置31は、通過する排出ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集して浄化するものである。つまり、シリンダ34から排気ポート36を経て排出された燃焼ガスは、排出ガスとなって排気マニホールド30を通り、排出ガス浄化装置31で浄化されてサイレンサ40に至る。
【0023】
この排出ガス浄化装置31は、内部にディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)41を有している。DPF41は、排出ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのフィルタであり、例えば、セラミック製で断面がハニカム構造となるように形成されている。つまり、DPF41の一端から他端にわたる長手方向に沿って、例えば六角柱のストロー状の多角形貫通孔が多数隣接しており、各貫通孔内には、DPF41の長手方向に沿って所定間隔で多孔質の隔壁が設けられている。このようなハニカム構造を有するDPF41は、貫通孔内に形成された隔壁のDPF41の長手方向における位置が、隣り合う貫通孔に形成された隔壁の位置とは異なるように構成されている。
【0024】
DPF41の一端側から進入した排出ガスは、貫通孔内に形成された多孔質の隔壁を通過しつつDPF41の他端側へ向かって流れる。排出ガスに含まれる粒子状物質は、多孔質の隔壁に付着したり、貫通孔の内壁に付着したりすることでDPF41に捕集されて堆積する。つまり、DPF41は、堆積した粒子状物質の量が多くなると目詰まりを起こす構造を有しているので、粒子状物質の堆積量が多くなり過ぎないように適宜クリーニングをしなくてはならない。
【0025】
本実施形態では、このDPF41のクリーニングを「DPFの再生」といい、そのための動作を「DPFの再生動作」という。DPF41の再生では、DPF41の温度を所定温度以上に上昇させることで堆積した粒子状物質を燃焼させてガス化し、排出ガスととも
に環境中に排出する。
排出ガス浄化装置31は、このDPF41の他に、図示はしないが、粒子状物質中の燃料及び燃焼ガス中の窒素酸化物を酸化するための酸化触媒などを有している。
【0026】
排出ガス浄化装置31の入側には、排出ガス浄化装置31の入口付近の排気圧力を検出する入側圧力センサ42が設けられ、出側には出口付近の排気圧力を検出する出側圧力センサ43が設けられている。入側圧力センサ及び出側圧力センサは、例えば圧電素子などで構成される一般的な圧力センサである。入側圧力センサ及び出側圧力センサは、次に説明する差圧センサに接続されている。
【0027】
差圧センサ44は、入側圧力センサが検出した排気圧力と、出側圧力センサが検出した排気圧力とから、排出ガス浄化装置31の入側と出側での排気圧力の差、つまり差圧を検出する。一般に、DPF41に粒子状物質の堆積がなく目詰まりがない場合、DPF41による圧力損失は小さいので、入側圧力センサと出側圧力センサが検出した排気圧力との差はわずかであり、差圧センサが検出する差圧も小さな値となる。しかし、DPF41に粒子状物質が堆積し目詰まりの程度が大きくなってくると、DPF41による圧力損失が大きくなるので差圧センサが検出する差圧も大きくなる。この差圧の大きさは、DPF41の目詰まりの程度に対応するので、差圧の大きさを、DPF41の目詰まりの程度、すなわちDPF41における粒子状物質の堆積量に換算することができる。
【0028】
図1に示すように、ディーゼルエンジン9と排出ガス浄化装置31とをつなぐ排気マニホールド30には、ディーゼルエンジン9から排出されて排出ガス浄化装置31へ向かう燃焼ガスの温度(排気温度)を検出する排気温度センサ45が設けられている。排気温度センサは、例えばサーミスタなどから構成されている。上述のような差圧センサが検出した差圧や排気温度センサが検出した排気温度は、制御部46へ送られ、この制御部46によってDPFの再生をするための制御を行う。なお、DPFの再生の制御については後述する。
【0029】
制御部46は、DPFの再生のための制御の他、バックホー1の全体を制御するものである。この制御部46は、複数の制御装置(ECU)から構成されたもので、例えば、ディーゼルエンジン9を制御するエンジンECU32と、バックホー1全体の動作を制御するメインECU33とを有している。これらエンジンECU32及びメインECU33は、例えば、CPU等から構成されている。
【0030】
エンジンECU32は、ディーゼルエンジン9や動力伝達系の各所に設置したセンサから情報を得て、ディーゼルエンジン9の状態に応じた最適な燃料噴射量や噴射時期、点火時期を、演算してディーゼルエンジン9等に制御指令を出すものである。当然の如く、ディーゼルエンジン9において、運転席10の周囲に設けたアクセル(アクセルレバー)を操作することによって、エンジンの回転数を増減させることができる。
【0031】
エンジンECU32に情報を提供するセンサとしては、アクセル開度(アクセルレバーの操作量)を検出するアクセル開度センサ、排出ガス浄化装置31の差圧を検出する差圧センサ44、排気温度を検出する排気温度センサ45、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ、エンジン回転数を検出するためのクランクポジションセンサ、冷却水の水温を検出するための水温センサ、バルブの開度を検出するためのスロットルポジションセンサなどがある。これら以外にも、クランク位置を検出するためのカムポジションセンサ、吸入空気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサなどがある。
【0032】
メインECU33は、エンジンECU32と連携しながらバックホー1に備えられた各種装置(走行装置、作業装置など)を制御するものである。例えば、メインECU33は、流量制御やAI制御を行う。
流量制御とは、スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19及びバケットシリンダ20などの各シリンダに所定の作動油を供給するための制御であって、運転席10の周囲に設けられた操作部材(操作レバー)47の操作量などに基づいて作動油の制御を行う。詳しくは、流量制御では、操作レバー47を中立位置より一方(左側)に揺動させて左側の操作量を入力すると、操作したアクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19及びバケットシリンダ20)に対応する電磁比例弁のソレノイドに所定値の電流(作動信号)を出力する。そうすると、電磁比例弁は電流値に応じて開き、操作したアクチュエータに対応する制御弁のパイロット圧が制御され、アクチュエータが一方に動作する。操作レバー4733を中立位置より上記とは反対側に揺動させて右側の操作量を入力すると、左側に揺動したときとは反対側にアクチュエータを動作させる。このように、操作レバー47を操作することによって、バックホー(作業装置)1が作動する。
【0033】
AI制御とは、操作レバー47を操作していないときは、エンジン回転数をアイドリング回転数にし、操作レバー47を操作しているときにはアクセルに対応したエンジン回転数となる。
詳しくは、AI制御では、操作レバー47を中立位置にしてアイドルスイッチのオン信号が入力されると、アクセルレバーの操作量に関わらず、オートアイドルモータにエンジン回転数をアイドリング回転数にするアイドル信号を出力してオートアイドルモータを駆動し、エンジン回転数をアイドリング回転数にする。また、操作レバー47を前後又は左右に揺動してアイドルスイッチのオフ信号を入力すると、アクセル位置の信号に基づきオートアイドルモータにアクセルレバーによるエンジン回転数を出力してオートアイドルモータを駆動してガバナレバーを作動させ、エンジン回転数をアクセルレバーに対応した回転数にする。
【0034】
このように、エンジンECU32によってディーゼルエンジン9を制御すると共に、メインECU33によって作業装置などの各種装置を制御することにより、バックホー1を動作させることができる。なお、エンジンECU32やメインECU33による制御は、上述したものに限定されないのは当然のことである。
さて、上述したように、制御部46はDPFの再生を行うための制御も行う。
【0035】
以下、DPFの再生について詳しく説明する。
制御部46には、排出ガス浄化装置31のDPF41の再生を行うフィルタ再生手段50が設けられている。具体的には、制御部46を構成するメインECU33にフィルタ再生手段50が具備され、このフィルタ再生手段50は、メインECU33に格納されたプログラム等により構成されている。
【0036】
フィルタ再生手段50は、DPF41に堆積する粒子状物質の堆積量(PM堆積量という)が所定量以上となると、フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するために、ディーゼルエンジン9や排出ガス浄化装置31を制御し、堆積量を減少させるための処理(再生動作)を自動的に行う。
図2に示すように、フィルタ再生手段50は、PM堆積量が第1閾値以上になると、自動再生モードを起動させ、DPFの再生の制御を開始する。
【0037】
この自動再生モードでは、フィルタ再生手段50はディーゼルエンジン9の吸気スロットルを絞る信号をエンジンECU32に出力し、当該エンジンECU32の制御によって吸気スロットルを絞ることにより排気温度を上昇させる。即ち、自動再生モードでは、吸気スロットルの絞りによる排気温度の上昇によって粒子状物質を燃焼させるという「吸気スロットルの絞り」を行う。また、自動再生モードでは、フィルタ再生手段50は燃焼後のガスに燃料を噴射する信号をエンジンECU32に出力し、当該エンジンECU32の制御によって燃料を噴射することによって排気温度を上昇させる。即ち、自動再生モードでは、燃料の噴射による排気温度の上昇によって粒子状物質を燃焼させるという「ポスト噴射」を行う。
【0038】
このように、フィルタ再生手段50は、PM堆積量が第1閾値以上になると、自動的に吸気スロットルの絞りやポスト噴射を行い、DPF41の再生を行う。
さて、フィルタ再生手段50によってDPF41の再生を行い、PM堆積量を減少させる制御を行っているが、図2に示すように、例えば、DPF41を長期に亘って使用続けると、PM堆積量が次第に増加する場合がある。PM堆積量が多大になるとDPF41が故障する可能性もあるため、本発明の作業機(バックホー)1では、できるだけPM堆積量が増加しないようにする対策がなされている。
【0039】
以下、PM堆積量が第1閾値を超えて増加した場合の対策について詳しく説明する。
作業機(バックホー)1には、自動再生モードによる再生動作中に、エンジン9の回転数を上昇させるための手段が設けられている。具体的には、自動再生モードの起動中において、PM堆積量が第1閾値よりも大きな第2閾値以上になったとき(条件A)、又は、PM堆積量が第1閾値よりも大きくなっている時間が所定時間(例えば、1800秒)以上続いたとき(条件B)に、エンジン9の回転数を手動によって上昇させる案内をする案内手段51が設けられている。
【0040】
この案内手段51は、フィルタ再生手段50と同じくメインECU33に格納されたプログラム等により構成されている。案内手段51は、条件A又は条件Bが成立したとき、表示装置11の画面を報知画面に切り替えて、この報知画面にエンジンの回転数(以降、エンジン回転数という)を上げること報知するための表示を実行する。例えば、報知画面に「エンジン回転数を上げて下さい」という表示をする。
【0041】
作業者は、報知画面を見ると、エンジン回転数を上げる必要があることが分かるため、作業者が手動でアクセル(アクセルレバー)をエンジン回転数の上昇側に操作することによって、エンジン回転数を上昇させることができる。エンジン回転数をアイドリング回転数(1000回転)よりも高い回転数(例えば、1800回転以上)に上昇させると排気温度が上昇し、DPFの再生が促進される。
【0042】
ここで、効率よく排気温度を上昇させるために、エンジン回転数の目標値(1800回転)を報知画面に表示することが好ましい。例えば、報知画面に「エンジン回転数を1800回転以上、上げて下さい」という表示をする。なお、エンジン回転数の目標値を報知画面に表示する場合、その目標値を、表示装置11等を操作することによって任意に設定できるようにすることが好ましい。なお、エンジン回転数の目標値は、エンジン回転数の上昇による排気温度の上昇が見込めることができる値であり、例えば、アイドリング回転数の1.5倍以上であることが好ましい。
【0043】
このように、エンジン回転数の上昇は自動ではなく、作業者によるアクセルレバーの操作によって手動で行うこととしている。作業者は、フィルタ再生手段50によって自動的に行われるDPFの再生を促進する促進動作(エンジン回転数の上昇)を行いたいときに自由に実行することができ、DPFの再生によって操作が邪魔されるなどの煩わしさを軽減することができる。
【0044】
例えば、作業者はDPFの再生に対する促進動作(エンジン回転数の上昇)を行うにあたって、まず、操作レバー47による操作を行っているときはそのまま操作レバー47による操作を続け、操作レバー47による操作がひと段落した後に、アクセルレバーを操作してエンジン回転数の上昇をさせることができ、作業者にとっては作業のための操作レバー47の操作を、DPFの再生によって邪魔されることがないため、操作性を低下させることなく、DPFの再生の促進をすることができる。
【0045】
このように、作業者が報知画面に従って、アクセルレバーを操作し、エンジン回転数を上昇させれば、PM堆積量は、第1閾値以下になると考えられる。しかしながら、作業者が報知画面に気付かなかったりしてアクセルレバーの操作を行わない場合などは、さらに、PM堆積量は増加する可能性がある。
そのため、バックホー1には、自動再生モードによる再生動作中に、エンジンの出力を制限する出力制限手段52が設けられている。この出力制限手段52は、フィルタ再生手段50と同じくメインECU33に格納されたプログラム等により構成されている。
【0046】
出力制限手段52は、PM堆積量が、第2閾値よりも大きな第3閾値以上になったとき、エンジンの回転数の増減を許容しつつエンジンの出力を制限するものである。例えば、作業者が乗車している状態で操作レバー47による操作量を操作すると、その操作量に応じて作動油を吐出する油圧ポンプの負荷が変化し、この油圧ポンプの負荷の変化に連動してエンジン回転数が増減する。油圧ポンプの負荷の変動やエンジン回転数の増減はエンジンECU32やメインECU33が行う。
【0047】
この出力制限手段52は、このような操作レバー47等によるエンジン回転数の増減(流量制御等によるエンジン回転数の増減)を許容して自在に変化できるようにする一方、例えば、PM堆積量が第3閾値以上となって出力制限することをエンジンECU32に指
令し、エンジンECU32が出力制限の指令に基づいて燃料の噴射時間や噴射量を調整することによってディーゼルエンジン9の最大出力(出力)を所定値以下(例えば、通常の出力の50%以下)に制限する。
【0048】
このように、ディーゼルエンジン9の出力を制限することによってエンジン9によるPM堆積量の増加をできるだけ抑えている。即ち、出力制限手段52では、再生動作によってPM堆積量を低減させる(燃焼によって減らす)と共にエンジン9の出力を制限すること(排出ガスの量を抑える)によってPM堆積量の増加を抑えることにより、全体のPM堆積量の増加を抑制している。
【0049】
さて、エンジン回転数の上昇やエンジンの出力制限は、通常、作業者が乗車している状態で実行されるようになっていて、これらの対処によって、PM堆積量の低減が進められる。しかしながら、作業機(バックホー)1に作業者が乗車しておらず、エンジンを作動させている状況も考えられる。このような場合、PM堆積量が増加する可能性がある。
そこで、本発明では、乗車又は降車を確認する乗降確認手段53によって作業者の乗車又は降車を確認して、乗車状態であれば上述したような「エンジン回転数の上昇の報知」や「エンジンの出力制限」を実行する一方、乗車状態でなければ(降車状態)であれば、後述するようにエンジン回転数を下げて停止することによってPM堆積量の増加を抑制することとしている。
【0050】
乗降確認手段53は、例えば、運転席10の側方に揺動自在に支持されたレバー55を有していて、レバー55を横倒しにして乗車口を閉鎖したときは作業者は乗車している(乗車状態)とし、乗車状態を示す信号をメインECU33に出力する。また、乗降確認手段53は、レバー55を起こして(起立させて)乗車口を開放としたときは降車状態とし、降車状態を示す信号をメインECU33に出力する。この乗車状態や降車状態の信号は、Controller Area Network(CAN通信)などの車両用通信ネットワークNを介してエンジンECU32にも出力される。
【0051】
ここで、降車状態でエンジンが作動している場合であって、PM堆積量が第2閾値よりも大きい第3閾値以上となっていれば、エンジンECU32(エンジン回転制御手段)は自動的にエンジン回転数を下げる。
詳しくは、エンジンの始動後、乗車状態又は降車状態に関わらず操作レバー47が操作されていないときは、メインECU33のAI制御によってエンジン回転数はアイドリング回転数になる。
【0052】
このように、エンジン回転数をアイドリング回転数に制御している状況下(アイドリング降車状況)で、降車状態を示す信号が入力されると、当該エンジン回転制御手段32は、PM堆積量が第3閾値以上であるか否かを判定して第3閾値以上であれば、図3に示すように、エンジンの回転数を零とし、エンジンを停止させる。一方、アイドリング降車状況でもPM堆積量が第3閾値未満であれば、エンジン回転制御手段32はアイドリング回転数に維持する。
【0053】
このように本発明によれば、降車状態でエンジンが作動し、且つPM堆積量が第3閾値以上(所定値以上)であるときには、エンジン回転制御手段32によってエンジンの回転数を自動的に下げて零とするため、エンジンから排気される排出ガスが無くなり、作業者が乗車していないときにPM堆積量が増加しないようにすることができる。
例えば、バックホー1を暖機(暖機運転)するために、作業者がバックホー1に乗車してエンジン9を掛けた後、バックホー1から一旦降車し、作業者はしばらく休憩することがある。作業者がバックホー1の暖機をしていることを忘れて、アイドリング回転数でエンジン9を長時間作動し続けると、PM堆積量が次第に増えて多大になってしまい、そのPM堆積量がDPF41の限界を超えてDPF41を交換しなければならない可能性がある。
【0054】
しかしながら、本発明では、暖機運転などのように作業者が乗車せずに、アイドリング回転数でエンジンを動かしている場合であっても、PM堆積量が第3閾値以上となったときに、エンジン回転制御手段32によってエンジンを停止させているため、暖機運転の忘れなどによるPM堆積量が多大になること(PM堆積量がDPF41の捕集の限界を超え
ること)を予め防止することができる。当然の如く、第3閾値、即ち、エンジン回転数を自動的に下げ始めるための所定値は、DPF41の捕集の限界値(交換をしなければならないような値)よりも低く設定されている。
【0055】
上述した実施形態では、図3に示すように、エンジン回転制御手段32によってPM堆積量が第3閾値以上となった時点でエンジン回転数を零にしているが、このようにエンジンを停止する場合、エンジンの停止などを報知する報知手段54をバックホー1に設けることが好ましい。
報知手段54は、例えば、バックホー1の表示装置11などに設けたスピーカ等により構成され、PM堆積量が第2閾値を超えて第3閾値に近づいた時点で、スピーカから音声又はブザー等を出力して予めエンジンの停止を報知(通知)する。なお、報知手段54をランプにより構成し、PM堆積量が第2閾値を超えて第3閾値に近づいた時点で、例えば、ランプを点滅させることによってエンジンの停止を通知してもよい。
【0056】
このように本発明によれば、報知手段54によってエンジン停止を通知した後、PM堆積量が第3閾値以上となった時点でエンジンの停止を行うようにしているため、例えば、作業者が暖機運転をしていることを忘れていたとしてもエンジン停止前に暖機運転をしていることを気付かせることができる。
また、本発明によれば、PM堆積量が第3閾値以上であって作業者が乗車している場合は、「エンジン回転数の上昇の報知」や「エンジンの出力制限」を行ってPM堆積量の増加を抑制することができ、作業者が乗車していない場合は、「エンジン回転数を下げて零にする」ことによって、PM堆積量の増加を抑制することができる。つまり、本発明のバックホー1では、乗車状態と非乗車状態(乗車していない状態)とのどちらの状態であっても、PM堆積量の増加を抑えることができる。
【0057】
さて、PM堆積量が既に第3閾値以上となっている状況下でエンジンを始動する場合がある。このとき、エンジン始動後に作業者が乗車しているときは、上述したようにエンジンの出力制限を行い、作業者が降車したときは、上述したようにエンジン回転数を下げることになる。
ここで、PM堆積量が第3閾値以上であって、さらに、PM堆積量が第4閾値以上である場合、作業者の乗車中は、表示装置11に、速やかにバックホー1を安全な場所(整備できる場所)に移動してエンジンを停止させ、メーカ、販売会社、整備会社などにサービスコール(整備の依頼)を行うことを示す表示を行う。例えば、表示装置11に、「速やかに安全な場所に作業機を駐車させ、エンジンを切ってサービスコールをしてください」という表示をする。なお、この第4閾値は、第3閾値よりは大きく且つDPF41の捕集の限界値よりも小さい値であり、PM堆積量が限界値の近くまで来ていることを示すものである。言い換えれば、第4閾値は、速やかにDPF41の整備が必要な状況を示すものであり、例えば、PM推定量の限界値を100%とすると80〜90%に設定されたり、第3閾値を基準とすると第3閾値と限界値との差(残り許容できる堆積値)の50%以上に設定されるものである。
【0058】
これによれば、PM堆積量が第3閾値を超え、さらに、DPF41の整備が必要な第4閾値を超えた時点で、表示装置11にサービスコールを行っているため、PM堆積量が限界値を迎える前にDPF41の整備を行うことができる。しかも、PM堆積量が第4閾値を超える前段階にて、第3閾値以上ではエンジン回転数を自動で下げる処理、エンジンの出力を制限する処理、第2閾値以上ではエンジン回転数を上げる処理、第1閾値以上では自動再生を行う処理を行えるようにしてPM堆積量の増加を各段階で抑制しているため、DPF41を長期に亘って使用することができる。
【0059】
[第2実施形態]
第1実施形態では、メインECU33にAI制御が具備されており、操作レバー47を操作していないときは自動的にエンジン回転数をアイドリング回転数にするという制御を行うものとしていたが、図4に示すように、第2実施形態では、AI制御を具備していないバックホー1(メインECU33)について説明する。
【0060】
第1実施形態では、作業者が降車状態であるときはAI制御があるため必ずエンジン回
転数はアイドリング回転数となるが、この第2実施形態ではAI制御が無いため降車状態であるときは、エンジン回転数はアクセルレバーで設定した値となる。例えば、アクセルレバーでエンジン回転数を1600回転に設定している場合は、作業者が降車状態であってもエンジン回転数は1600回転となる。
【0061】
このような状況下で作業者が降車していて降車状態を示す信号が入力されると、エンジン回転制御手段32は、PM堆積量が第3閾値以上であるか否かを判定して第3閾値以上になると、図5に示すように、アクセルレバーで設定したエンジン回転数を徐々に下げ始める。エンジン回転制御手段32は、エンジン回転数の下げ開始後、徐々にエンジンの回転数を下げてていき、エンジン回転数がアイドリング回転数となった時点で、一挙にエンジン回転数を零にする。
【0062】
一方、報知手段54は、PM堆積量が第3閾値以上となってエンジン回転数の下げ開始後に、エンジンの停止をすることを通知する。詳しくは、エンジン回転制御手段32によるエンジン回転数の下げが開始されると、報知手段54によるエンジンの停止の通知が開始され、エンジン回転数がアイドリング回転数となった時点で報知手段54によるエンジン停止の通知を終了させる。
【0063】
第2実施形態によれば、例えば、エンジン回転数をアイドリング回転数以上に設定してバックホー1の暖機運転を行っている状況下であっても、エンジン回転数を下げて零にすることによって、PM堆積量が増加することを抑制することができる。作業者は、徐々にエンジン回転数が下がっていることを報知手段54によって知ることができ、これにより、PM堆積量が第3閾値以上となっていることも分かる。このようなことから、作業者は、バックホー1に乗車した後、アクセルレバーを操作してエンジン回転数を目標値以上に上昇させることもでき、これにより、PM堆積量が増加することを抑制することができる。
【0064】
なお、上述した第2実施形態では、降車中であってもエンジン回転数はアクセルレバーで設定された値となるため、アクセルレバーの設定値がアイドリング回転数よりも非常に高く設定されていてエンジン回転数が高い場合は、PM堆積量が増加しない場合がある。
第2実施形態の変形例として、エンジン回転数が高く排気温度が上昇するような領域では、PM堆積量が第3閾値を超えていたとしても、エンジン回転制御手段32によるエンジン回転数の低下を行わない優先制御手段56をメインECU33に具備させることが好ましい。優先制御手段56は、メインECU33に格納されたプログラム等から構成されている。
【0065】
具体的には、優先制御手段56は、降車状態においてエンジン回転数が案内手段51の報知画面に表示させるエンジン回転数の目標値以上(例えば、1800回転以上)であるときは、PM堆積量が第3閾値以上であっても、エンジン回転制御手段32によるエンジン回転数の下げる制御を行わないようにする。
優先制御手段56を設けた場合は、図5(a)に示すように、降車状態において、エンジン回転数がアイドリング回転数以上あって且つ案内手段51で示すエンジン回転数の目標値未満であるときに、エンジン回転制御手段32によってエンジン回転数の低下が行われ、図5(b)に示すように、エンジン回転数が案内手段51で示すエンジン回転数の目標値以上であるときは、優先制御手段56によってエンジン回転数の低下の制御が停止される。
【0066】
この優先制御手段56によって、高いエンジン回転数が保持されるため、排気温度が上昇し、自動再生モードによるDPFの再生を維持することが可能である。即ち、第2実施形態では、暖機運転時におけるPM堆積量を抑制することができる構成(降車状態においてPM堆積量が第3閾値以上であるときにエンジン回転数を下げて零にする)でありながら、アクセルレバーによるエンジン回転数が高い場合には、エンジン回転数を維持して排気温度を上昇させ、DPFの再生を優先して行わせることができる。
【0067】
なお、図5(c)に示すように、エンジン回転制御手段32によって自動的にエンジン回転数を下げている状況下で、作業者が乗車してアクセルレバーを操作し、エンジン回転数を案内手段51で示すエンジン回転数の目標値以上としたとき、当該エンジン回転制御
手段32は、エンジンの回転数を自動的に下げる制御を解除して、エンジン回転数をアクセルレバーの操作量に基づく値にすることが好ましい。この場合、暖機運転時におけるPM堆積量を抑制することができる構成でありながら、アクセルレバーを操作することによって即座にエンジン回転数を高い状態に復帰させ、DPFの再生を促進することができる。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
自動再生において、「吸気スロットルの絞り」を行うか、「ポスト噴射」を行うかは、適宜設定してよく、上述したものに限定されない。例えば、初めは吸気スロットルの絞りを行い、その後にポスト噴射を行ってもよいし、或いは、ポスト噴射のみを行っても良い。
【0069】
上述した実施形態では、乗降確認手段53を、運転席10の周囲に設けたレバーで構成して、このレバーによって作業者の乗車状態や降車状態を確認するためのものとしているが、下記に示すレバーロック構造で使用するレバーを、上述した乗降確認手段53として兼用化してもよい。
バックホー1などの作業機の場合、操作レバー47が動くと不用意にアクチュエータが動作してしまうため、これを防止するためにレバーロック構造というものが具備されている。このレバーロック構造では、上述したレバーと同様に揺動させることによって乗車を確認するレバーロック用レバーが設けられ、レバーロック用レバーが横倒しになっていて乗車中であるときはアクチュエータへの作業油の供給を許し、レバーロック用レバーが起立していて降車中であるときはアクチュエータへの作動湯の供給を許可するものである。このレバーロック機構に用いられるレバーロック用レバーを、上述した乗降確認手段53として用いてもよい。
【0070】
また、運転席の座部の部分や背もたれ部分に圧力センサを設け、この圧力センサを乗降確認手段53としてもよい。この場合、圧力センサが働いて圧力を検知しているときは乗車状態となり、圧力センサが圧力を検知していないときは降車状態となる。この他、乗降確認手段53は、レバーやセンサ以外に、カメラによって乗車を確認するものであってもよい。
【0071】
フィルタ再生手段50、案内手段51、出力制限手段53、優先制御手段56などを構成するための制御プログラムは、エンジンECU32に格納していてもメインECU33に格納していてもよく、或いは、作業機(バックホー1)に搭載した電子機器類に格納していてもよい。また、エンジンECU32(エンジン回転制御手段)とメインECU33とを一体化してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 バックホー
2 走行装置
3 旋回体
4 走行体
5 ドーザ
6 旋回ベアリング
7 旋回台
8 作業装置
9 ディーゼルエンジン
10 運転席
11 表示装置
12 キャビン
13 支持ブラケット
14 スイングブラケット
15 ブーム
16 アーム
17 バケット
18 ブームシリンダ
19 アームシリンダ
20 バケットシリンダ
30 排気マニホールド
31 排出ガス浄化装置
32 エンジンECU(エンジン回転制御手段)
33 メインECU
34 シリンダ
35 吸気ポート
36 排気ポート
37 吸気バルブ
38 排気バルブ
39 吸気マニホールド
40 サイレンサ
41 DPF
42 入側圧力センサ
43 出側圧力センサ
44 差圧センサ
45 排気温度センサ
46 制御部
47 操作レバー
50 フィルタ再生手段
51 案内手段
52 出力制限手段
53 乗降確認手段
54 報知手段
55 レバー
56 優先制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、前記排出ガス浄化装置のフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するフィルタ再生手段と、乗車又は降車を確認する乗降確認手段とを備え、
前記乗降確認手段によって降車が確認されている状態で前記エンジンが作動し、且つ前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときには、前記エンジンの回転数を自動的に下げるエンジン回転制御手段とを備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記エンジン回転制御手段は、降車状態でのエンジン回転数がアイドリング回転数であって前記堆積量が所定値以上であるときには、エンジン回転数を下げて零にすることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記エンジン回転制御手段は、降車状態でのエンジン回転数がアイドリング回転数以上であって前記堆積量が所定値以上であるときには、エンジン回転数をアイドリング回転数まで徐々に下げて零にすることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記乗降確認手段によって乗車が確認されている状態で前記エンジンが作動し、且つ前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上である場合には、前記エンジンの回転数の増減を許容しつつエンジンの出力を制限する出力制限手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業機。
【請求項5】
前記エンジン回転制御手段によって前記エンジンの回転数を下げるときには、エンジンの回転数を下げることを報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113290(P2013−113290A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263474(P2011−263474)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】