説明

作業機

【課題】送信機の電源のみをオフすることが可能な作業機を提供する。
【解決手段】作業機は、エンジンを有する作業機本体と、ユーザによって入力された操作を作業機本体に送信可能な送信機と、を有し、送信機は、送信機の電源をオフ可能な送信機電源スイッチを有し、送信機電源スイッチが短時間の間押圧される短押しによって、送信機の電源がオフし、送信機電源スイッチが短時間よりも長い一定時間の間押圧し続けられる長押しによって、送信機の電源のオフに加えてエンジンの停止が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料節約、騒音低減、排ガス低減等を図るためにオートパワーオフする機能を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送信機及び作業機本体のエンジンをオートパワーオフすることが可能な作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―230696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、送信機の電源をオフした場合には、作業機本体のエンジンをもオフしてしまい送信機の電源のみをオフすることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、送信機の電源のみをオフすることが可能な作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業機は、エンジンを有する作業機本体と、ユーザによって入力された操作を前記作業機本体に送信可能な送信機と、を有し、前記送信機は、送信機の電源をオフ可能な送信機電源スイッチを有し、前記送信機電源スイッチが短時間の間押圧される短押しによって、前記送信機の電源がオフし、前記送信機電源スイッチが前記短時間よりも長い一定時間の間押圧し続けられる長押しによって、前記送信機の電源のオフに加えて前記エンジンの停止が行われる。
【0007】
好適には、前記長押しによって、前記送信機の電源のオフに加えて前記エンジンの停止が行われる場合には、前記作業機本体のエンジンを停止し、その後、前記送信機の電源のオフが行われる。
【0008】
好適には、前記送信機電源スイッチによる操作入力は、他の入力に優先する。
【0009】
好適には、前記送信機電源スイッチの押圧が一定期間よりも長い場合には、前記送信機の電源のオフ、及び、前記エンジンの停止は行われない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、送信機の電源のみをオフすることが可能な作業機を提供することが可能となる。また、アイドリングをストップすることが可能となり、作動油の温度上昇を抑制することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における作業機の概要の説明図である。
【図2】送信機の送信機電源スイッチの押圧による作業機の動作の説明図である。
【図3】本実施形態の処理の流れのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態における作業機の概要の説明図である。
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1を用いて詳細に説明する。
作業機1は、作業機本体5とこの作業機本体5を遠隔操作するための送信機3とを有している。
そして、本実施形態では、図1のように作業機1の作業機本体5はトラッククレーンであるが、トラッククレーンはあくまで作業機1の作業機本体5の一例である。具体的には、作業機本体5は、オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車、レッカー車、車両運搬車等であってよい。つまり、作業機本体5とは、各種作業が可能な作業機でありさえすればよく、車に搭載されていてもよいし、車に搭載されていないものであってもよい。
【0014】
図1のように、作業機本体5は、送信機3によって遠隔操作可能である。もっとも、この遠隔操作は無線である必然性はなく、場合によっては有線であってよい。
作業機本体5は、クレーン55及びアウトリガ57を有している。
クレーン55は、旋回ポスト55a、起伏シリンダ55b、複数段の伸縮ブーム55c、フック55e及びワイヤロープ55dを有している。
そして、旋回ポスト55a及び起伏シリンダ55bが旋回することによって、伸縮ブーム55cの延びている方向が変更される。また、起伏シリンダ55bを伸縮させることによって、伸縮ブーム55cの起伏角度が変更される。
複数の伸縮ブーム55cは、その内部に配置された伸縮シリンダ(図示せず)によって、必要に応じて伸縮される。
伸縮ブーム55cの先端側の端部からは、ワイヤロープ55dが垂れ下がっている。して、このワイヤロープ55dには、フック55eが吊り下げられている。
そして、このクレーン55及びアウトリガ57を制御するための本体制御装置51を有している。なお、アウトリガ57は、ジャッキ動作を少なくとも可能である。
作業機本体5はエンジンを有している。このエンジンの動力はクレーン55及びアウトリガ57等の作業機器に供給されている。また、エンジンの動力をこのクレーン55及びアウトリガ57等の作業機器に切り替えるためにPTOスイッチが設けられている。
【0015】
また本体制御装置51は、本体表示部53を有している。この本体表示部53は、本体制御装置51によって制御されるクレーン55及びアウトリガ57の状態等を表示可能である。また、本体表示部53は、各種設定状態等も表示可能である。
【0016】
送信機3は、把持部35を有する。
ユーザは把持部35を把持し、送信機表示部37の表示及び/又は作業機本体5の状態等を確認しつつ、送信機スイッチ33を操作する。
この送信機スイッチ33の入力に従って、作業機本体5は各種の動作を行う。
また、送信機3は、送信機制御装置31を有しており、この送信機制御装置31によって各種制御がなされる。
【0017】
送信機スイッチ33は、送信機3の電源のオン/オフを行う送信機電源スイッチ33aを有する。
送信機3の電源がオンの状態で、この送信機電源スイッチ33aを短押しすることによって、送信機3の電源がオフされる。さらに、送信機3の電源がオンの状態で、送信機電源スイッチ33aを長押しすることによって、作業機本体5のエンジン(図2参照のこと)の駆動も停止される。つまり、エンジンの駆動が自動的に停止される。
つまり、作業機1は送信機3の電源オフ機能と、作業機本体5のエンジン停止機能とを有している。
逆に、送信機3の電源がオフの状態、かつ、エンジンの駆動が停止されている状態、の場合に、送信機3の送信機電源スイッチ33aが短押し(長押し)されると、送信機3の電源がオンされるだけではなく、エンジンの駆動が開始される。
【0018】
図2は、送信機3の送信機電源スイッチ33aの押圧による作業機1の動作の説明図である。
【0019】
図2のように、送信機電源スイッチ33aが押圧され始めて、t1間の間は、作業機1は何らの動作も行わない。
なぜなら、ユーザのミス等によって一時的に送信機電源スイッチ33aが押圧される場合があり得るからである。つまり、0〜t1の間しか送信機電源スイッチ33aが押圧されない場合には、ユーザが一時的に不注意等で、送信機電源スイッチ33aが押圧されたにすぎず、これに反応して送信機3の電源をオフ等してしまうと操作性の悪化等が生じてしまうからである。
【0020】
t1〜t2の間、送信機電源スイッチ33aが押圧された場合(短押しの場合)には、送信機3の電源のみオフする。
このように送信機3の電源のみオフすることが可能となることから、通常電池で駆動する送信機3の電力消費を抑えることが可能となる。
【0021】
t2〜t3の間、送信機電源スイッチ33aが押圧された場合(長押しの場合)には、送信機3の電源に加え作業機本体5のエンジンも停止(オフ)させる。
このように、送信機電源スイッチ33aによって、送信機3の電源のみならず作業機本体5のエンジンをも停止させることができることから、作業機本体5にエンジンを停止させるスイッチ等を新たに設ける必要が無くなる。そして、新たなスイッチ等を設ける必要が無いことから、コストの削減等が可能となる。
また、送信機3によって、作業機本体5のエンジンをも停止させることが可能となることから、ユーザの操作性が向上する。
なお、送信機3の電源のオフと、エンジンの停止の順序については、同時であっても良いし、送信機の電源のオフの後エンジンの停止を行ってもよいし、エンジンの停止の後に送信機3の電源のオフを行ってもよい。
【0022】
t3以上の間、送信機電源スイッチ33aが押圧された場合には、何らの作業機1は何らの作業も行わない。
このようにしたことから、万が一、送信機電源スイッチ33aが故障等によって戻らなくなった場合にも、作業機本体5のエンジンが停止してしまい何らの作業ができなくなるという事態を避けることが可能となる。
【0023】
送信機電源スイッチ33aと、送信機スイッチ33の他のスイッチが押圧された際には、送信機電源スイッチ33aの操作入力を優先する。
このようにしたことから、手袋等をしていること等が原因で送信機電源スイッチ33aのみを押すことが困難な状態であっても、送信機3の電源をオフ(作業機本体5のエンジンの停止)することが可能となる。
【0024】
なお、t1、t2、t3の値は必要に応じて任意に設定可能である。
【0025】
図3は、本実施形態の処理の流れのフローチャートである。
【0026】
ステップST01において、送信機電源スイッチ33aが押圧されているか否か判断している。そして、押圧が無い場合には、処理を終了する。もっとも、処理を終了した後にさらにスタートから処理を再開する。
また、送信機電源スイッチ33aが押圧されていると判断した場合には、ステップST03の処理に移行する。
【0027】
ステップST03において、タイマtのカウントを開始する。
そして、ステップST05において、送信機電源スイッチ33aの押圧が終了したか判断する。そして、送信機電源スイッチ33aの押圧が終了するまでこの処理を続ける。
送信機電源スイッチ33aの押圧が終了するとステップST07の処理に移行する。
【0028】
ステップST07において、タイマtがt1以上であるか判断する。タイマtがt1以上である場合には、ステップST09の処理に移行する。
タイマtがt1以上ではない場合には処理を終了する。
【0029】
ステップST09において、タイマtがt2以下であるか判断する。そして、タイマt2以下であると、ステップST11の処理に移行する。
タイマtがt2以下ではない場合には、ステップST13の処理に移行する。
【0030】
ステップST11において、送信機3の電源をオフする処理を行い、その後処理を終了する。
【0031】
ステップST13において、タイマtがt3以下であるか判断する。そして、タイマt3以下であると、ステップST15の処理に移行する。
タイマtがt3以下ではない場合には、処理を終了する。
【0032】
ステップST15において、送信機3の電源をオフする処理を行い、さらに、作業機本体5のエンジンの停止を行い、その後処理を終了する。
【0033】
<定義等>
積載型トラッククレーンは、本発明における作業機本体の一例である。つまり、作業機本体とは、例えば、オールテレーンクレーン、ラフテレーンクレーン、トラッククレーン、カーゴクレーン、高所作業車、レッカー車、車両運搬車等の各種作業が可能な作業機本体であり、車に搭載されていてもよいし、車に搭載されていないものであってもよい。
本発明において、送信機の電源のオフに加えてエンジンの停止が行われるとは、エンジンの停止の後に送信機の電源がオフされる場合、エンジンの停止と同時に送信機の電源がオフされる場合、送信機の電源がオフの後にエンジンの停止される場合が含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 作業機
3 送信機
5 作業機本体
31 送信機制御装置
33 送信機スイッチ
33a 送信機電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを有する作業機本体と、
ユーザによって入力された操作を前記作業機本体に送信可能な送信機と、を有し、
前記送信機は、送信機の電源をオフ可能な送信機電源スイッチを有し、
前記送信機電源スイッチが短時間の間押圧される短押しによって、前記送信機の電源がオフし、
前記送信機電源スイッチが前記短時間よりも長い一定時間の間押圧し続けられる長押しによって、前記送信機の電源のオフに加えて前記エンジンの停止が行われる
作業機。
【請求項2】
前記長押しによって、前記送信機の電源のオフに加えて前記エンジンの停止が行われる場合には、
前記作業機本体のエンジンを停止し、その後、前記送信機の電源のオフが行われる
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記送信機電源スイッチによる操作入力は、他の入力に優先する
請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記送信機電源スイッチの押圧が一定期間よりも長い場合には、
前記送信機の電源のオフ、及び、前記エンジンの停止は行われない
請求項1〜3いずれか1項に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−43754(P2013−43754A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183140(P2011−183140)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】