説明

作業用プレート付き冊子

【課題】冊子の表又は裏である第1板材の縁から突出する回転板の先部に作業用プレートを取り付け、作業効率を高めた冊子提供する。
【解決手段】冊子の表側又は裏側の一方に設けられ、第1の方向Oの両側にこの第1の方向と直交する第2の方向Oに延びる基端部2a及び先端部2bを有する第1板材2と、この第1板材の基端部2aに対して第1板材の上に積層可能に連結された、メモ用紙などとして用いる複数のシート4と、上記第1板材2の先端部2bから第1の方向O外側へ突出するとともに、突出方向とは反対側へ折り返し可能に形成したフラップ状の回転板10と、上記回転板の先端部に、この先端部に沿って第2の方向に延びる主回転軸Aの回りで回動自在に、裏面の第1の方向の中間部を連続させた作業用プレート16とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用プレート付き冊子、特に冊子の第1板材の縁から延出したフラップ状の回転板の先部に作業用プレートを付設した冊子に関する。
【背景技術】
【0002】
手帳・ノートなどの冊子には、その表紙や各頁の縁からフラップと呼ばれる突片を延出して様々な用途に使用することが行われている。
【0003】
例えばノートの裏表紙の外側端及び上下両端から折り目線を介して3つのフラップを突出し、これらフラップを、所定の頁と次の頁との間に差し込むことで、資料を分類できるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
またノート類の各ノート用紙の側部から折り目線を介して延出したフラップを、当該ノート用紙の延長部として、メモなどを書き込むことができるようにしたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−529342
【特許文献2】特開2002−154285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のノート類・冊子は、見開きのページ同士はその内容が一目で視野に入り、使い易いが、それ以外のページとの連絡は悪く、全体としての作業効率は良くない。
【0007】
例えば手帳の見開きの2ページを月間(又は週間)スケジュール表として用いることは、よく行われるが、その表に書き込んだ予定を消化できずに、それ以降のスケジュール表に繰り越すときには、繰り越し事案ごとに、その事案の内容を見てページを繰って次のスケジュール表に書き移すことが必要となり、面倒である。
【0008】
特許文献1のノートは、フラップをしおりとして資料を分類するものであり、分類により使い勝手が良くなることがあっても、各ページの作業性は変わらない。また特許文献2のノート類は、一目で視野に入る見開きの範囲を延長するというアイディアであり、一つの見開き範囲と他の見開き範囲との間の連絡性には寄与しない。
【0009】
本発明の第1の目的は、冊子の表又は裏である第1板材の縁から突出する回転板の先部に作業用プレートを取り付け、冊子の各ページを用いた仕事と同種又は関連する作業を、上記作業用プレートを用いて行うことができる冊子を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、上記冊子であって、回転板の先部を作業用プレートの裏面の巾方向中間部に回動自在に取り付けることで隣り同士のページに何れに対しても作業用プレートを隣接させることができるものを提案することである。
【0011】
本発明の第3の目的は、上記冊子であって、その冊子の第1板材及び第2板材の先部のいずれに対しても、作業用プレートと連続した回転板を着脱自在にして、使用状態の自由度を大としたものを提供することである。
【0012】
本発明の第4の手段は、作業用シートの端部を束ねる留め具に対して、任意のページの間に着脱自在に差し込むことができる回転板を設け、この回転板の先部に作業用プレートを付設した使い勝手のよい作業用プレート付き冊子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の手段は、作業用プレート付き冊子であり、
第1の方向Oの両側に基端部2a及び先端部2bを有する第1板材2と、
上記基端部2aに第1板材の上へ積層可能に連結された複数の作業用シート4と、
上記第1板材2の先端部2bから第1の方向O外側へ、反対側への折返し可能に突出したフラップ状の回転板10と、
回転板の先部に、裏面18Rの第1の方向の中間部を連続させた作業用プレート16と、
を具備し、
作業用プレート16及び回転板10の先部の間の主回転軸Aと、回転板10の折返し線である第1の補助回転軸Bとは、第1の方向Oと直交する第2の方向Oへ延びており、上記回転板10を展開方向或いは折返し方向へ回動するときに、回転板に対する作業用プレートの回転により、この作業用プレート16の表面18Fを上方へ向けた状態を保持可能に形成している。
【0014】
本手段では、展開図である図3に示す如く、冊子の第1板材2の先端部から回転板10を折返し可能に突出し、この回転板の先部を作業用プレート16の巾方向中間部に回動自在に連結した構造を提案している。この構成により、上記図3の展開状態では見開きの2枚の作業用シートの一方に、図5に示す折返し状態では2枚の作業用シートの他方にそれぞれ作業用プレートを隣接させ、効率的に作業をすることができる。
【0015】
「冊子」とは、手帳・ノートブック・書籍などであり、特に作業用プレートと関係して使用できるものが好適である。例えばスケジュール手帳では、用事を全て付箋に書き出して作業用プレートに仮止めし、次に作業用シート側のスケジュール表に移してスケジュールを立てるとよい。また学習ノートや問題集では、学習の要点(公式集や英単語の訳など)を作業用プレートに書いておくことができる。「作業用プレート」は、しおりとして作業用シートの間に挟むことができ、かつ作業面として利用できれば如何なる構造でもよい。第1板材から回転板を突出するとは、折り目線や肉薄ヒンジを介して一体的に突出すること、及び、取付手段を介して別体として突出することを含む。
【0016】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記回転板10は、第1の方向の一方端部に主回転軸Aを、また他方端部に上記第1の補助回転軸Bをそれぞれ有するメインプレート12を含み、その第1の補助回転軸Bを中心としてメインプレート12が第1板材の上面側へ屈折することが可能に形成し、
作業用プレート16は、その表面18Fを上に向けた状態で、第1板材2の先端部2bに近い第1端部16a及び第1板材の先端部から遠い第2端部16bを有し、
主回転軸Aから作業用プレートの第1端部16aまでの距離をa、主回転軸Aから作業用プレートの第2端部16bまでの距離をaとし、また第1の方向のメインプレートの巾をd、第1の方向の第1板材2の巾をDとするとき、D≧a+dとなるようにしている。
【0017】
本手段では、回転板のメインプレート及び作業用プレートが機能するための形態的条件を提案している。図7及び図8に示すように、作業用プレート16は、少なくとも主回転軸A及び第1の補助回転軸Bの回りの回動動作の組み合わせにより、作業用プレートの表面18Fを上方に向けたまま、或いは表面を下方に反転するとともに回転板を折り返すことができる。この折返し状態では、図7(C)の如く回転板のメインプレートの巾dmと、主回転軸Aから作業用プレートの第1端部16aまでの距離aとの和が、第1基材の巾Dを超えないようにする。これについて後述する。
【0018】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記作業用プレート16は、d≧aという条件を満たすように形成され、かつ
上記第1板材2は透明である。
【0019】
本手段では、図8(C)に示すように作業用プレートの表面を下方へ反転させて回転板を折り返すときの条件を提示している。
【0020】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ
上記第1板材2の基端部2aに第2板材6の基端部6aを取り付けている。
【0021】
本手段では、図1に示すように第1板材2に連結した第2板材6を設けることを提案している。
【0022】
第5手段は、第4の手段を有し、かつ
上記回転板10は、第1板材2の先端部から突出する代りに、第1板材2の先端部2b及び第2板材6の先端部6bの先端部に形成した挿入口22a付きの取付孔22に対して、回転板の基部に付設した取付け具24を介して着脱自在に形成している。
【0023】
本手段では、図9及び図10に示すように第1板材2及び第2板材6の各先端部に対して、回転板10の基部を着脱自在に形成することを提案している。すなわち、回転板10は、図10(A)又は(D)のように取付け具24を介して各板材の一方にのみ取り付けることもできるし、図10(C)に示すように取付け具24を介して両板材の双方に取り付けることもできる。見開きの左右一対の頁のうち左頁の使用頻度が高いときには右側の板材に、右頁の使用頻度が高いときには左側の板材にそれぞれ回転板を付け替えることで使い勝手がよくなる。
【0024】
第6の手段は、複数の同一形状の作業用シート4の積層体の第1の方向Oの一方端部に複数の穿孔を穿設して、これら穿孔を挿通する留め具8Aを設けた冊子において、
任意の2枚の作業用シートの間で留め具8Aに対して着脱自在な回転板10を設けるとともに、回転板の先部に作業用プレート16の裏面18Rを回動自在に連結して、
上記回転板10を第1の方向へ回転させるときに、上記作業用プレート16は、上記主回転軸Aの回りを回動して作業用プレート16を上方へ向けた状態を保持可能に形成している。
【0025】
本手段では、図12の如く任意のページの間に差し込み可能な回転板10の先部に作業用プレート16の裏面を回動自在に連結している。これにより作業用シートを重ねた厚さに係わらず回転板及びプレートの構造(作動部材という)を適用することができる。さらに作動部材を別に製作して既存の冊子に使用することもできる。第1方向の回転板10の巾dは、同方向の第1板材2又は第2板材6のDより短い。先の手段で説明したことは、本手段の技術内容に矛盾しない限り援用する。
【発明の効果】
【0026】
第1の手段に係る発明によれば、第1板材の先端部2bから折返し可能に突出した回転板10の先部に作業用プレート16を連結したから、冊子の任意のページに対して作業用プレートを利用でき、かつ作業用プレート16の表面18Fを上に向けた状態で回転板10を折返しできるから、図3及び図5の如く見開きの2枚のページのいずれにも作業用プレートを近づけることができる。
【0027】
第2の手段に係る発明によれば、回転板のメインプレート12の巾dが、第1板材の巾D、及び作業用プレート16の第1端部16aと主回転軸との距離aに対して、D≧a+dという条件を満たすから、回転板を折り返した状態で第1板材の基端部2aの外方へ捲った作業用シートを作業用プレート16が隠すことがない。
【0028】
第3の手段に係る発明によれば、第1板材2を透明としたから、作業用プレート16の表面18Fを下として、第1板材2の上に直接折り返したときに、作業用プレート16の表面の記載事項を外部から目視できる。
【0029】
第4の手段に係る発明によれば、上記第1板材2の基端部2aに第2板材6を取り付けたから、最上位の作業用シートの上に作業用プレートを配置しても、第2板材に覆われて作業用プレートが露出することがなく、例えば作業用プレートに貼着した付箋が脱落することを防止できる。
【0030】
第5の手段に係る発明によれば、回転板を第1板材2及び第2板材6のいずれかに付け替えることができるので、使い勝手がさらに改善される。
【0031】
第6の手段に係る発明によれば、回転板及び作業用プレートを任意の場所に適用することができ、使い勝手が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冊子の正面図である。
【図2】図1の冊子の、下方向から見た断面図である。
【図3】図1の冊子の展開状態の正面図である。
【図4】図3の冊子の、下方向から見た断面図である。
【図5】図1の冊子の回転板折返し状態での正面図である。
【図6】図5の冊子の、下方向から見た断面図である。
【図7】図1の冊子の一つの作用の説明図である。
【図8】図1の冊子の他の作用の説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る冊子の正面図である。
【図10】図9の冊子の操作手順の説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る冊子の正面図である。
【図12】図11の冊子の、下方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係る手帳型の冊子を示している。
【0034】
この冊子の構成のうち、まず従来公知の部分を簡単に説明すると、この冊子は、裏表紙である第1板材2と、ノート用紙である作業用シート4と、表表紙である第2板材6と、バインダ手段8とを有し、第1板材の基端部2aと、作業用シート4及び第2板材の対応端部とに貫通孔を穿設して、螺旋状のバインダ手段8で結合している。
【0035】
もっともバインダ手段8の構造は、これに限るものではなく、第1板材と第2板材との間に作業用シート4を挟むように留めることができればよい。第1板材2と第2板材6との各端部を帯状の連結板で連続させ、この連結板にルーズリーフ連結用のバインダ手段を設けてもよい。また、第2板材を省略してもよい。
【0036】
図示例において、第1板材2及び第2板材6は、図1中の上下方向(第2の方向という)Oに長い長方形であり、図1中の左右方向(第1の方向という)Oへ第2板材及び作業用シートをめくることができる。また両板材は、紙以外の素材(プラスチックなど)で形成してもよい。
【0037】
また第1板材2及び第2板材6は透明材料で形成することができる。
【0038】
本発明においては、図4に示す如く上記第1板材2の先端部2bからフラップ状の回転板10を第1の方向Oへ突出し、この回転板の先部に作業用プレート16の裏面を回動自在に取り付けている。図示例では、回転板を、裏表紙である第1板材から突出しているが、表表紙である第1板材から突出しても構わない。
【0039】
上記回転板10は、図4の如く第1板材2の先端部2bに沿った折返し線を第2の補助回転軸Bとして、作業用シート4の積層体の側面側へ折曲げ可能なサブプレート14と、このサブプレートの先端部に沿った折返し線を第1の補助回転軸Bとして、作業用シート4又は第1板材2の上面側へ折曲げ可能なメインプレート12とで形成されている。
【0040】
水平状態でのサブプレート14の第1の方向の巾dsは、作業用シート4の全部の厚さに対応しており、メインプレート12の第1の方向の巾dmよりも小さい。作業用シート4の積層体の厚みが小さいときには、サブプレートを省略して、第1板材2の先端部を唯一の補助回転軸としてもよい。
【0041】
本実施形態の回転板10は、第1部材の端から折返し可能に突出している点で、特許文献1のフラップと共通している。しかしながら、回転板の機能は、第1板材2の先端部2bと作業用プレート16の裏面中間部とをつなぐ連結板であり、単なるフラップではない。
【0042】
図示例では、図3に示す第1板材2の先端部2b全巾から回転板を突出しており、かつ第2の方向の回転板の巾を一定としているが、これらは発明の必須条件ではない。
【0043】
上記作業用プレート16は、その裏面18Rに回転板の先部を接着して、接着箇所を第2の方向Oに沿った主回動軸Aとしている。
【0044】
図示例では、簡単のために回転板10の先部上面を作業用プレートへの貼着代としている(図6参照)。しかし、この構成は、適宜変更することができる。例えば上記回転板の先部を作業用プレートの第1端部16aまで連続させ、一枚のスリップ状のシートの一部を折り重ね、重ねた部分を接着することで作業用プレートと回転板とを一体に形成することもできる。
【0045】
上記作業用プレート16の表面18Fは、作業面であり、例えばメモ欄として使用するときには、文字の書き込み可能に形成する。
【0046】
好適な図示例では、作業用プレート16は第2の方向Oに回転板10と同じ長さを有し、その第2の方向の作業用プレートの全長に亘って回転板10の先部を貼付している。もっとも作業用プレートの寸法は適宜変更できる。
【0047】
上記作業用プレート16は、表面18Fを上側にした状態で第1板材2の先端部2bに近い第1端部16a及び第1板材の先端部2bから遠い第2端部16bを有する。図4の如く主回転軸Aから第1端部16aまでの距離をa、主回転軸Aから第2端部16bまでの距離をaとすると、第1の方向のメインプレート12の巾d及び同方向の第1板材2の巾Dに対して、図示例の作業用プレートは、次の数式1の関係を満たしている。
[数式1]D≧a+d
【0048】
この数式1のようにしないと、図7(C)に示す如く回転板10を折り返したときに、作業用プレートが第1板材の基端部2aを超えて反対側へ突出する。そうなると、第2板材を閉方向へ回動するときの邪魔となり、また隣(図中左隣)の作業用シート4の一部を隠してしまうおそれもある。
【0049】
さらに図示例の作業用プレート16は、d≧aを満たすように構成している。そうしないと、図8(C)のように作業用プレート16の表面18Fを下にして回転板10を折り返すことができないからである。
【0050】
上記構成によれば、作業用プレート16は、図2に示すように回転板10を折り返した状態で作業用シート4の適当なページの間に挟むようにして使用される。
【0051】
この状態から第2板材6及び作業用プレート16上方の作業用シート4を、左右外方へめくり、さらに図3のように回転板10を反対側へ開くと、左右の見開きのうち右側の作業用シート4の上面と作業用プレートの表面18Fとが隣接するので、これら両面の間でスケジュール作成などの作業を行うことができる。
【0052】
次に作業用プレート16の表面を上側にしたままで回転板を折り返すと、図5に示すように、左右の見開きのうち左側の作業用シート4の上面と作業用プレート16の表面とが隣接するので、これら両面の間で上記作業を行うことができる。
【0053】
上記回転板10及び作業用プレート16は、薄くかつ板状の形状を保つことが可能な強度を有する素材で形成することが好適である。例えば紙(厚紙など)やプラスチックシートでも形成することができる。
【0054】
また作業用プレート16の裏面を、メモなどを書き込むための作業面又は資料などの表示面とするとともに、回転板10を透明として、例えば後述の図8のように作業用プレートの裏面を裏にして回転板10の下側にしたときに、作業用プレート16の裏面が外部から見えるように構成してもよい。
【0055】
図7及び図8は、第1板材2に対する作業用プレート16及び回転板10の動きを簡略に示している。回転板及び作業用シートについては、作図を省略している。
【0056】
図7は、作業用プレート16の表面を上側にしたままで回転板10を折り返す動作の手順を示す。第1板材2に対して主回転軸A及び第1の補助回転軸Bの回りの回動により、上記の動作が可能となる。この動作は、見開きの各ページの隣接位置へ作業用プレート16を移動するために用いられる。
【0057】
図8は、作業用プレート16の表面18Fを同図(B)下側へ反転して、回転板10と第1板材2との間に作動用プレート16を挟むようにする動作の手順を示す。
【0058】
図7(A)→(D)の手順と別に、図8(A)→(D)の手順を可能とした理由はいろいろとある。
【0059】
例えば各種メモを記入した複数の付箋を作業用プレート16の表面18Fに仮止めしておき、この表面を下向きにして第1板材2の上に直接載置すれば、図8(D)のように冊子を閉じた状態で透明な第1板材2を通してメモを見ることができる。電車などでの移動中に冊子を開くと付箋が人や物に触れて脱落してしまう可能性があるため、冊子を閉じたままでメモを見ることができると大変便利である。
【0060】
また作動プレート16を一種のしおりとして所定のページを開くために用いるときには、図8(D)(又は図2)のように作業用プレートの表面18Fを下にしておく方が有利である。
【0061】
すなわち図7(D)の状態から図7(A)の状態へ、第2板材6と、回転板10及び作業用プレート16とをそれぞれ展開させるときには、図7(C)→(A)の段階で作業用プレート16を把持して作業用プレート16の水平状態を保持しなければならない。図8(D)→図8(A)の手順ではそうした操作は必要なく、回転板及び作業用プレートを一体的に回動させれば図8(A)の状態となる。
【0062】
[実施例]
上記作業用シート4は、見開きの2ページを一つの週間スケジュールとして、図3に実線で示す7つのエリアに分けている。各エリアは、さらに同図に点線で示す所定長さの時間(例えば1時間)に対応した巾を有する帯状のブロックに分割している。その時間相当の長さに対応した巾を有する矩形の付箋をスケジュール表に貼りつけることでスケジュールを張り付けることでスケジュール表を完成するとよい。
【0063】
すなわち、予定されている用事の所要時間を概算で見積もり、所要時間が単位時間相当の用事は、単位巾とほぼ等しい付箋に記入して、スケジュールの対応箇所に貼りつけ、また所要時間が単位時間の2倍の用事は、単位巾の2倍の付箋に記入して、2つのブロックにまたがって貼りつける。
【0064】
作業用プレート16は、上記付箋の仮止めエリアであり、最初に一日の用事を全て付箋に書き出して仮止めし、次にそれら付箋を今日のエリアに重要度の高い順に貼りつけていくと、作業効率がよい。今日のエリアに貼りきれない付箋は、作業用プレートに貼りつけたままにしておく。また一日が終わって消化しきれなかった予定は、作業用プレートに戻す。作業用プレートに残った付箋は次の日に持ち越す。
【0065】
週の最後の営業日(例えば金曜日)に作業用プレート16に残った付箋は、そのままにして、次の週に相当する見開きのページの間に作業用プレートをはさむと、用事を次の週に持ち越すことができる。
【0066】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。これらの解説において、第1の実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0067】
図9及び図10は、本発明の第3実施形態に係る冊子を示している。本実施形態では、回転板10を第1板材2の先端部から突出する代りに、第1板材の先端部2b及び第2板材の先端部6bに対してそれぞれ着脱可能に設けている。
【0068】
具体的には、第1板材2の先端部2b及び第2板材6の先端部6bに、外縁側へ連絡する挿入口22aを含む取付け孔22をそれぞれ複数個形成している。また回転板10の基部に、取付リングなどの取付け具24を付設し、これらを挿入口を介して取付け孔22へ嵌合している。第1実施形態の回転板10の構成中でサブプレート14は省略している。
【0069】
また好適な図示例では、回転板10の基部に、上記取付リングを取り付けるために取付け孔と同様の構造を形成している。もっとも取付具及び回転板の基部の構造は適宜変更することができる。また図示例では、バインダ手段8に第1板材2及び第2板材6の各基端部を留めるために、これら基端部に取付け孔22と同じ構造の係合孔11を設けている。
【0070】
ここで図10(A)の状態から第2板材6を閉方向へ回転して、第2板材の取付け孔22に取付け具24を取り付ける。そうすると閉状態を保持できる。次に冊子を開くときに、取付け具24から第1板材6の取付け孔22を分離させる。そうすることで、第1板材2の先端部2bから第2板材6の先端部6bへ回転板10を移動させることができる。
【0071】
好適な実施例として、見開きの2頁で1枚の週間スケジュール表を形成し、週の前半では見開きの左側の頁をよく使うために右側の第1板材2に回転板10を取り付け、週の後半部では右側を使うために左側の第2板材6に回転板10を取り付けるようにすることができる。
【0072】
図11及び図12は、本発明の第3実施形態に係る冊子を示している。本実施形態では、裏カバー2Aと複数の作業用シート4と表カバー6Aとの一端部(第1の方向O側の一端部)に穿孔を穿設し、これらの穿孔を挿通するリング状又はスパイラル状の螺旋状の留め具8Aで留めている。
【0073】
また本実施形態では、上記留め具8Aに対して、回転板10と作業用プレート16とからなる作業部材20を着脱自在に設ける。具体的には従来周知のように回転板の基部側に留め金8Aを留める係合孔11を穿設するとともに、回転板の基端側から係合孔11へ留め金8Aを通す挿通口11aを形成する。
【0074】
図示例では、回転板10の第1方向の巾dを、第1板材2又は第2板材6の第1の方向の巾Dの半分程度としている。
【0075】
本実施形態によれば、留め具8Aに対する回転板10の着脱により、任意の見開きのページに対して作動部材20を適用できる。任意の見開きのページに対しても作業用プレートを共用できるという点では、第1の実施形態と同様の効果を発揮する。
【符号の説明】
【0076】
2…第1板材 2a…基端部 2b…先端部 2A…裏カバー
4…作業用シート 6…第2板材 6a…基端部 6b…先端部 6A…表カバー
8…バインダ手段 8A…留め具 10…回転板 11…係合孔
11a…挿通口 12…メインプレート 14…サブプレート
16…作業用プレート 16a…第1端部 16b…第2端部
18F…表面 18R…裏面 20…作動部材
22…取付け孔 22a…挿入口 24…取付け具
A…主回転軸 B…第1の補助回転軸 B…第2の補助回転軸
F…付箋 O…第1の方向 O…第2の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向(O)の両側に基端部(2a)及び先端部(2b)を有する第1板材(2)と、
上記基端部(2a)に第1板材の上へ積層可能に連結された複数の作業用シート(4)と、
上記第1板材(2)の先端部(2b)から第1の方向(O)外側へ、反対側への折返し可能に突出したフラップ状の回転板(10)と、
回転板の先部に、裏面(18R)の第1の方向の中間部を連続させた作業用プレート(16)と、
を具備し、
作業用プレート(16)及び回転板(10)の先部の間の主回転軸(A)と、回転板(10)の折返し線である第1の補助回転軸(B)とは、第1の方向(O)と直交する第2の方向(O)へ延びており、
上記回転板(10)を展開方向或いは折返し方向へ回動するときに、回転板に対する作業用プレートの回転により、この作業用プレート(16)の表面(18F)を上方へ向けた状態を保持可能に形成したことを特徴とする、作業用プレート付き冊子。
【請求項2】
上記回転板(10)は、第1の方向の一方端部に主回転軸(A)を、また他方端部に上記第1の補助回転軸(B)をそれぞれ有するメインプレート(12)を含み、その第1の補助回転軸(B)を中心としてメインプレート(12)が第1板材の上面側へ屈折することが可能に形成し、
作業用プレート(16)は、その表面(18F)を上に向けた状態で、第1板材(2)の先端部(2b)に近い第1端部(16a)及び第1板材の先端部から遠い第2端部(16b)を有し、
主回転軸(Aから作業用プレートの第1端部(16a)までの距離をa、主回転軸(A)から作業用プレートの第2端部(16b)までの距離をaとし、また第1の方向のメインプレートの巾をd、第1の方向の第1板材2の巾をDとするとき、D≧a+dとなるようにしたことを特徴とする、請求項1記載の作業用プレート付き冊子。
【請求項3】
上記作業用プレート(16)は、d≧aという条件を満たすように形成され、かつ
上記第1板材(2)は透明であることを特徴とする、請求項2記載の作業用プレート付き冊子。
【請求項4】
上記第1板材(2)の基端部(2a)に第2板材(6)の基端部(6a)を取り付けたことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の作業用プレート付き冊子。
【請求項5】
上記回転板(10)は、第1板材(2)の先端部から突出する代りに、第1板材(2)の先端部(2b)及び第2板材(6)の先端部(6b)の先端部に形成した挿入口(22a)付きの取付孔(22)に対して、回転板の基部に付設した取付け具(24)を介して着脱自在に形成したことを特徴とする、請求項4記載の作業用プレート付き冊子。
【請求項6】
複数の同一形状の作業用シート(4)の積層体の第1の方向(O)の一方端部に複数の穿孔を穿設して、これら穿孔を挿通する留め具(8A)を設けた冊子において、
任意の2枚の作業用シートの間で留め具(8A)に対して着脱自在な回転板(10)を設けるとともに、回転板の先部に作業用プレート(16)の裏面(18R)を回動自在に連結して、
上記回転板(10)を第1の方向へ回転させるときに、上記作業用プレート(16)は、上記主回転軸Aの回りを回動して作業用プレート(16)を上方へ向けた状態を保持可能に形成したことを特徴とする、作業用プレート付き冊子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−255590(P2011−255590A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131952(P2010−131952)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(595137239)株式会社カンミ堂 (9)