作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋

【課題】マンホール蓋に必要最小限の点検作業用の別の蓋を更に設けることで、大きく重量のあるマンホール蓋を開けることなく、マンホールの内部を容易に点検することができ、マンホールの内部に溜まった水を排水し、また内部にカメラを入れて内部の様子を簡単に点検管理する。
【解決手段】マンホール2の入口に、開閉自在に閉塞するマンホール蓋本体3と、マンホール蓋本体3の略中央の位置に開けた作業用開口5と、作業用開口5に開閉自在に閉塞され、開ける際にアイボルト63を差し込むアイボルト用挿入穴4を設けた作業用小蓋6と、作業用開口5の下側周縁に設けた、排水ホース23又は点検用カメラ2等の作業器具を固定する固定治具11とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線共同溝の出入口となるマンホール蓋に係り、特にマンホール蓋に水中ポンプの排水ホース、点検用のカメラ等の作業用器具等を入れることができる作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋に関する。
【0002】
電線地中化区域に施設されている電線共同溝は、電力供給用の電力ケーブル、通信ケーブル又は上下水道管等を地中に設けた複数本の管路内に敷設したものである。また、従来の水路は地中へ電線共同溝とは別に排水管として埋設されている。このような電線共同溝には、その内部の点検管理、送電線等の接続に際し、作業者が入溝するためにマンホールを設けている。マンホール蓋には、図6の平面図に示すような鋳鉄製のマンホール蓋51、又は図7の斜視図に示すようなコンクリート製のマンホール蓋61などがある。
【0003】
また、電線共同溝のマンホール内部には大量の雨水等が溜まりやすく、電力ケーブル及び通信ケーブルが冠水することがある。このマンホール内部へ水中ポンプが設置されていない場合は、定期的にマンホール蓋51,61を開け、排水ポンプを入れて排水する必要がある。
【0004】
このマンホール蓋51,61は非常に重量があり、事故防止のためにも簡単に開閉ができないようになっている。そこで、マンホール蓋61を開閉するときは、図8の拡大図と図9の斜視図に示すように、先ず、マンホール蓋61の2箇所に設けた穴62に、アイボルト63というワイヤ用ボルトを取り付ける。次に、両アイボルト63にワイヤ64を掛け渡すように取り付ける。これをユニック車のクレーン等で、このワイヤ64を吊り上げて、マンホール蓋61を開ける。このような重量があるマンホール蓋61を開閉する作業は非常に煩雑であり、時間のかかる作業であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマンホールの点検、排水処理に際しては、必ずマンホール蓋61を開閉しなければならない構造となっている。単に内部に水が溜まったときにも、ユニック車のクレーンでマンホール蓋61を吊り上げて開閉する必要があり、大変時間と労力がかかるという問題を有していた。
【0006】
このような重量があり、開閉する際に数人で作業しなければならないために、マンホール蓋を簡単に開閉する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開平7-229160号公報「点検窓付きマンホール蓋」に示すように、マンホール蓋本体に点検窓が設けられ、点検窓にはこれを閉塞する点検窓蓋が配置され、点検窓蓋はその周縁の一部が蝶番で開閉自在に前記マンホール蓋本俸に取り付けられ、前記点検窓蓋の他の部分はボルトでマンホール蓋本体に固定されている点検窓付きマンホール蓋が提案されている。この特許文献1の「点検窓付きマンホール葦トは、マンホール蓋本体に点検窓を設けているので、重いマンホール蓋本体を開けずに、この点検窓を通して点検を行うことができる。能率良く点検作業を行うことができる。また本発明では、点検窓は開閉可能に点検窓蓋で閉塞しているので、点検時以外は該点検窓を閉塞しておくことができ、点検窓から異物等がマンホール内に入るのを防止することができるものである。
【特許文献1】特開平7-229160号公報
【0007】
この特許文献1の「点検窓付きマンホール蓋」は、大きなマンホール蓋本体に鋳鉄製の点検窓蓋を開閉自在に取り付けており、その子蓋は親蓋に対してボルト固定する構造で、部品点数も多く、点検時に簡単に開閉できないという問題を有していた。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、マンホール蓋に必要最小限の点検作業用の別の蓋を更に設けることで、大きく重量のあるマンホール蓋を開けることなく、マンホールの内部を容易に点検することができ、マンホールの内部に溜まった水を排水し、また内部にカメラを入れて内部の様子を簡単に点検管理することができる作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール董を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電力供給用の電線ケーブル、通信ケーブル、上下水道管等を地中に設けた管路(8)内に敷設する電線共同溝に設けられた電線共同溝マンホール(2)であって、前記マンホール(2)の入口に、開閉自在に閉塞するマンホール蓋本体(3)と、前記マンホール蓋本体(3)に設けた、該マンホール蓋本体(3)を吊り上げる際にアイボルト(63)を差し込むアイボルト用挿入穴(4)と、前記マンホール蓋本体(3)の略中央の位置に開けた作業用開口(5)と、前記作業用開口(5)に開閉自在に閉塞され、開ける際にアイボルト(63)を差し込むアイボルト用挿入穴(4)を設けた作業用小蓋(6)と、前記作業用開口(5)の下側周縁に設けた、排水ホース(23)又は点検用カメラ(21)等の作業器具を固定する固定治具(11)と、を備えた、ことを特徴とする作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋が提供される。
【0010】
前記マンホール蓋本体(3)は、その表面にインターロッキング(7)を形成することができる。
例えば、前記固定治具(11)は、前記排水ホース(23)又は点検用カメラ(21)等の作業器具等を固定するために、前記作業用開口(5)の下側周縁に、略Y字形状になる挟持部材(12)を摺動自在に取り付けたものである。
前記固定治具(11)に、マンホール(2)内に設置した水位センサの表示部を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の発明では、マンホール蓋本体(3)に作業用開口(5)を開けたので、点検、排水の作業に際して、重量のあるマンホール蓋本体(3)を開ける必要がない。そこで、従来のようにユニック車を出動させることなく、1名の作業者が作業用小蓋(6)を開けて点検、排水作業を迅速に実施することができる。マンホール(2)の内部点検では、点検用カメラ(21)を作業用小蓋(6)から差し込み、観察することができる。また、雨水等を排水するときは、作業用開口(5)からポンプの排水ホース(23)のみを差し込むだけで簡単に処理することができる。マンホール内部に溜った水の定期的な排水作業を容易に実施でき、その作業の効率化を図ることができる。
【0012】
しかも、この点検用カメラ(21)又は排水ホース(23)等の作業器具を固定する固定治具(11)を、作業用開口(5)の下側の周縁に設けたので、マンホール蓋(1)の上で作業者は他の作業も同時に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋は、マンホール蓋本体の略中央の位置に作業用開口を開け、この作業用開口に作業用小蓋を開閉自在に閉塞し、点検、排水の作業に際して、1名の作業者でもこの作業用小蓋を開けられるようになっている。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋の斜視図である。図2は電線共同溝マンホール内の断面図である。
実施例1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋1は、マンホール2の入口に開閉自在に閉塞するマンホール蓋本体3と、このマンホール蓋本体3に設けたアイボルト用挿入穴4と、このマンホール蓋本体3の略中央の位置に開けた作業用開口5と、この作業用開口5に開閉自在に閉塞され、これを開ける際にアイボルト63を差し込むアイボルト用挿入穴4を設けた作業用小蓋6とを備えたものである。
【0015】
このような構造のマンホール蓋1は、電線共同溝マンホール2の点検を行う際には、図9に示したように、マンホール蓋本体3のアイボルト用挿入穴4にアイボルト63を差し込み、マンホール蓋本体3を吊り上げ、作業者は入溝口から入る。
このマンホール蓋本体3の表面には、インターロッキング7を形成し、歩道のインターロッキングとの調和を図るようになっている。
【0016】
図2に示すように、各マンホール2は、電力供給用の電力ケーブル、通信ケーブル等を、地中に設けた管路8内に敷設する電線共同溝に設けられたものである。
【0017】
本発明のマンホール蓋本体3の略中央の位置には、作業用開口5を開けてある。この作業用開口5に作業用小蓋6を開閉自在に閉塞する。この作業用小蓋6にもアイボルト用挿入穴4を設け、このアイボルト用挿入穴4にアイボルト63を差し込み、機材を使用しなくても、1名の作業者で開けることができる。この作業用開口5からマンホール2内の点検を行う。
【0018】
このように、重いマンホール蓋1を開けずに、即ち機材を使用することなく、この作業用開口5で内部の点検をすることができ、点検作業の効率を高めることができる。例えば、マンホール2の内部点検では、点検用カメラ21を作業用小蓋6から差し込み、観察することができる。
【0019】
図3は実施例1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋を示すものであり、(a)は断面図、(b)は固定治具を取り出す前の作業用開口の拡大平面図、(c)は固定治具を取り出した作業用開口の拡大平面図である。
実施例1のマンホール蓋1には、作業用開口5の下側の周縁に、排水ホース23又は点検用カメラ21等の作業器具を固定する固定治具11を設けている。この固定治具11は、作業器具等を固定するために、作業用開口5の下側周縁に、略Y字形状になる挟持部材12を設けたものである。
【0020】
この固定治具11は、マンホール蓋本体3の底面に取り付けたガイド枠13に、挟持部材12の直線部分14を係合させたものである。また、挟持部材12の直線部分14の一端に鉤状になるストッパ15が、ガイド枠13に当たり、抜け止めになっている。そこで、この挟持部材12は、マンホール蓋本体3の下面において、作業用開口5へ出没自在に摺動するように構成したもので、必要に応じ引き出して使用することができる。図3(b)の固定治具を取り出す前の状態では、この固定治具11が邪魔にならず、マンホール2内を目視で点検することができる。図3(c)の固定治具11を取り出した状態では、この固定治具11に排水ホース23又は点検用カメラ21等の作業器具を固定して作業することができる。この固定治具11の挟持部材12の形状は、図示例の形状に限定されず、種々変更できる。
【0021】
図4は固定治具に点検用カメラを固定した状態のマンホール蓋本体を示すものであり、(a)は断面図、(b)は作業用開口の拡大平面図である。
図示するように、作業用開口5から作業用小蓋6のみを外し、固定治具11の挟持部材12を引き出す。この引き出した挟持部材12に点検用カメラ21を吊り下げているカメラ用ケーブル22を固定する。図示例では、単純にカメラ用ケーブル22を挟持部材12に挟んだ状態を示しているが、この固定治具11にプーリ(図示していない)を取り付け、これにカメラ用ケーブル22を巻き付ける構造にすることも可能である。
【0022】
図5は固定治具に排水ホースを固定した状態のマンホール蓋本体を示すものであり、(a)は断面図、(b)は作業用開口の拡大平面図である。
電線共同溝マンホール2内部には、雨水のような大量の水が溜まりやすい。マンホール2内部の溜水により、電力ケーブル及び通信ケーブルが冠水しているときは、定期的な排水が必要である。そこで、図示するように、固定治具11の挟持部材12にポンプの排水ホース23を固定して排水することができる。また、雨水等を排水するときは、作業用開口5から排水ホース23を差し込むだけで簡単に処理することができる。マンホール2内部に溜った水の定期的な排水作業を容易に実施でき、その作業の効率化を図ることができる。
【0023】
この固定治具11には、マンホール2内に設置した水位センサの表示部(図示していない)を取り付けることができる。更に、マンホール2内の点検に必要な様々な器具を取り付けることができる。
【0024】
なお、本発明の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋は、マンホール蓋1に必要最小限の点検作業用の作業用開口5を設けることで、大きく重量のあるマンホール蓋本体3を開けることなく、マンホール2の内部を容易に点検することができ、マンホール2の内部に溜まった水を排水し、また内部にカメラ21を入れて内部の様子を簡単に点検管理することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋は、電線共同溝以外のマンホールにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋の斜視図である。
【図2】電線共同溝マンホール内の断面図である。
【図3】実施例1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋を示すものであり、(a)は断面図、(b)は固定治具を取り出す前の作業用開口の拡大平面図、(c)は固定治具を取り出した作業用開口の拡大平面図である。
【図4】は固定治具に点検用カメラを固定した状態のマンホール蓋本体を示すものであり、(a)は断面図、(b)は作業用開口の拡大平面図である。
【図5】固定治具に排水ホースを固定した状態のマンホール蓋本体を示すものであり、(a)は断面図、(b)は作業用開口の拡大平面図である。
【図6】鋳鉄製のマンホール蓋を示す平面図である。
【図7】コンクリート製のマンホール蓋を示す斜視図である。
【図8】アイボルトとマンホール蓋の差込み穴を示す拡大斜視図である。
【図9】マンホール蓋をワイヤで吊り上げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 マンホール蓋
2 マンホール
3 マンホール蓋本体
4 アイボルト用挿入穴
5 作業用開口
6 作業用小蓋
7 インターロッキング
8 管路
11 固定治具
12 挟持部材
21 点検用カメラ
23 排水ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給用の電線ケーブル、通信ケーブル、上下水道管等を地中に設けた管路(8)内に敷設する電線共同溝に設けられた電線共同溝マンホール(2)であって、
前記マンホール(2)の入口に、開閉自在に閉塞するマンホール蓋本体(3)と、
前記マンホール蓋本体(3)に設けた、該マンホール蓋本体(3)を吊り上げる際にアイボルト(63)を差し込むアイボルト用挿入穴(4)と、
前記マンホール蓋本体(3)の略中央の位置に開けた作業用開口(5)と、
前記作業用開口(5)に開閉自在に閉塞され、開ける際にアイボルト(63)を差し込むアイボルト用挿入穴(4)を設けた作業用小蓋(6)と、
前記作業用開口(5)の下側の周縁に設けた、排水ホース(23)又は点検用カメラ(21)等の作業器具を固定する固定治具(11)と、を備えた、ことを特徴とする作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋。
【請求項2】
前記マンホール蓋本体(3)は、その表面にインターロッキング(7)を形成した、ことを特徴とする請求項1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋。
【請求項3】
前記固定治具(11)は、前記排水ホース(23)又は点検用カメラ(21)等の作業器具等を固定するために、前記作業用開口(5)の下側周縁に、略Y字形状になる挟持部材(12)を摺動自在に取り付けたものである、ことを特徴とする請求項1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋。
【請求項4】
前記固定治具(11)に、マンホール(2)内に設置した水位センサの表示部を取り付けた、ことを特徴とする請求項1の作業用小蓋を備えた電線共同溝マンホール蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−138355(P2009−138355A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313186(P2007−313186)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,461)
【Fターム(参考)】