説明

作業用照明システム

【課題】全ての作業場所でも照明具を点灯させているため、無駄な電気量を消費していた。
【解決手段】一定の作業工程の複数の作業場所W1−Wnを撮影可能な1つの撮影機1と、撮影機1と連結しており撮影機1から送信されてくる作業工程の画像を分析可能な画像処理装置2と、画像処理装置2による画像分析によって送信されてくる指示信号によって可動可能な1つの照明具3とからなり、照明具3は、その照明方向を画像処理装置2からの指示により順次移動して照明可能である作業用照明システムによって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車製造工場等の作業現場において、一人の作業者が一定の作業工程の中で移動しながら作業する場合に、その作業者が作業する作業場所を照明する作業用照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の製造工場等において、複数の作業場所からなる一連の作業工程を一人の作業者によって行われるような場合、それぞれの作業場所毎に照明具が固定されて装備されており、各々の照明具は作業者が作業を行っているか否かに限らず、常に全ての照明具を点灯させて複数の作業場所を照明していた(従来技術1)。
【0003】
作業用照明システムとしては、特開平10−40723号公報(従来技術2)に「閉暗所内で十分な明るさを確保し、電源遮断時でも電源バックアップがある照明灯によって最低限の明るさを確保し、しかも作業場所への引き込み設置、撤去も簡単容易で、外部からの衝撃、振動に対しても十分に保護する」ことを目的に、「閉暗所内で構築された仮設足場に関連して配装される複数の照明灯と、同じく仮設足場に関連して適宜間隔、位置に配装される適数のバックアップ電源付き照明灯と、必要に応じて配置される投光器とを備えていることを特徴とする閉暗所作業用照明システム」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−40723号公報(従来技術2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術1のように作業者が居らず作業が行われていない全ての作業場所でも照明具を点灯させているため、無駄な電気量を消費してしまい環境に悪いという課題があった。
【0006】
また、近年省エネルギーの影響で、複数の作業現場毎に各々の照明具の点灯を必要な場所だけ行うとした場合もあったが、点灯や消灯のスイッチの場所や、その作業が煩わしい課題があった。
【0007】
更に、従来技術2は、「閉暗所作業用照明システム」に関するもので作業者が作業している作業場所を1つの照明具で照明するようなシステムの開示はない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、一定の作業工程の複数の作業場所を撮影可能な1つの撮影機と、撮影機と連結しており撮影機から送信されてくる作業工程の画像を分析可能な画像処理装置と、画像処理装置による画像分析によって送信されてくる指示信号によって可動可能な1つの照明具とからなることを特徴とする作業用照明システムを提案する。
【0009】
また、一定の作業工程の複数の作業場所を撮影可能な1つの撮影機と、撮影機と連結しており撮影機から送信されてくる作業工程の画像を分析可能な画像処理装置と、画像処理装置による画像分析によって送信されてくる指示信号によって可動可能な1つの照明具とからなり、照明具は、その照明方向を画像処理装置からの指示により順次移動して照明可能であることを特徴とする作業用照明システムを提案する。
【0010】
更に、撮影機が、その設置位置が移動可能であり、撮影者が作業者を認識すると照明具が作業者を追跡する0008欄又は0009欄に記載の作業用照明システムを提案する。
【0011】
更にまた、撮影機が、固定されて設けられている撮影機である0008欄又は0009欄に記載の作業用照明システムを提案する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、1つの照明具と1つの撮影機によって、作業者が作業している複数の作業場所を照明することができるため、設備が簡素化されるとともに、無駄な点灯照明具がなくなり、照明用電気の使用量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態である作業用照明システムの平面説明図
【図2】同じくこの発明の実施形態である作業用照明システムの正面説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の一つの実施形態である作業用照明システムは、一定の作業工程の範囲を撮影可能な1つの撮影機1と、撮影機1と連結している画像処理装置2と、画像処理装置2による画像の分析と指示によって可動可能な1つの照明具3、照明具3の照明方向を移動させる前後駆動モータ4a、左右駆動モータ4bとからなる。W1−W6は、一定の作業工程の複数の作業場所であり、Pは作業者である。
【0015】
図1に示す実施例では、一定の作業工程は、6つの作業場所(作業台)W1−W6が平面視で略楕円形になるように並べられており、1人の作業者Pが、その楕円形の中に位置して順次W1からW6まで移動しながら作業を行っている。作業工程の複数の作業場所の位置は、平面視楕円形の他、方形、円形、直線状、曲線状等、様々な形状に設けられることがあり、作業場所の数も一定ではない。
【0016】
撮影機1aは、第1実施形態として一定の作業工程、一般的に一人の作業者Pが移動しつつ複数の作業場所W1−Wnの全てを撮影可能な場所に撮影方向を固定して設けられている。図1に示す実施例では、撮影機1aは、6つの作業場所(作業台)W1−W6の全てが撮影可能なように楕円形の中心の上方に撮影方向を下方に向けて設けられている。
【0017】
また図示しない第2実施形態である撮影機1bは、複数の全ての作業場所W1−Wnを撮影可能であるが、照明具3と共に位置を移動させる移動装置に設けられており、照明具3に対し設置位置は固定されている。照明具3は照明方向を移動可能であるが撮影機1bは撮影方向は固定されている。そして、作業者の位置により移動装置によって作業者を追跡し、撮影機1bと共に照明具3の設置位置を移動させる。すなわち撮影機1bは、自身が撮影した映像を画像処理装置2に送信し、その像を分析処理して直ぐに画像処理装置2からの信号を受信し、作業者Pを追跡照明するように前後駆動モータ、左右駆動モータによって照明具3を移動させ照明方向を移動させる。
【0018】
画像処理装置2は、コンピューターからなるコントローラであり、撮影機1aa又は1bから送られてきた画像を分析処理して、照明具3に作業者Pが現在居る方向に照射方向を向けさせるような指示信号を照明具3及び照明具3を駆動させる前後駆動モータ4a、左右駆動モータ4bに送信する。
【0019】
照明具3は、一方向の一定の範囲を照射できる筒型体の一端面を照明体とした構成であり、画像処理装置2からの点灯消灯を指示する指示信号により点灯又は消灯するとともに、前後駆動モータ4a、左右駆動モータ4bの駆動により照明具3の照明方向を変更する。照明具3の設置位置も、撮影機1aに隣接する位置、この実施例では6つの作業場所(作業台)W1−W6の全てが照射可能なように楕円形の中心の上方に照射方向を下方に向けて設けられている。そして、前後駆動モータ4a、左右駆動モータ4bが画像処理装置3から指示信号を受信することにより照明具3の照明方向を移動させる。照明具3は、筒長さ方向の中間部を支点として後方を前後左右に移動させて照明方向を移動させ、順次照明の必要な作業場所Wn、例えば作業者Pによって作業が行われる作業場所W1のみを照明する。
【0020】
次に、この発明の実施形態である作業用照明システムの作動について説明する。システムのメインスイッチをONにすると、撮影機1a、1b、画像処理装置2、照明具3もON状態となる。これによって撮影機1a、1bは、作業場所W1−Wnの全ての画像を撮影し画像処理装置2へ画像を送信する。
【0021】
撮影機1a、1bからの画像を受信した画像処理装置2は、画像をコントローラで分析して作業者Pが居る作業場所、例えば作業場所W4を特定する。その作業場所W4に照明具3の照明方向を向けるように画像処理装置2は、前後駆動モータ4a及び左右駆動モータ4bに指示信号を送信し、照明具3の照明方向を作業場所W4に移動させる。この画像も常時撮影機1a、1bが撮影して画像処理装置2へフィードバック送信し続けているため、作業者Pが作業場所W4から移動すると、例えば作業場所W5へ移動すると、画像処理装置2から照明具3の照明方向を作業場所W5に移動させるように自動的に前後駆動モータ4a及び左右駆動モータ4bに指示信号を送信し、照明具3は照明方向を作業場所W5に移動させる。
【0022】
順次システムのメインスイッチをONにしている限り、照明具3は、順次照明方向を移動させ自動的に作業者Pの作業している作業場所Wnを照射することができる。一般的に全体を広く撮影する第1実施形態の撮影機1aでは、撮影機の画素数を多くすることが必要であり、比較的小さな範囲を撮影する第2実施形態の撮影機1bでは、撮影機の画素数は少なくてすむ。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、自動車製造工場などにおいて、作業を行っている作業場所のみを照明することのできる作業用照明システムとして利用される。
【符号の説明】
【0024】
1(1a、1b) 撮影機
2 画像処理装置
3 照明具
4a 前後駆動モータ
4b 左右駆動モータ
P 作業者
W1−Wn 作業場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の作業工程の複数の作業場所を撮影可能な1つの撮影機と、撮影機と連結しており撮影機から送信されてくる作業工程の画像を分析可能な画像処理装置と、画像処理装置による画像分析によって送信されてくる指示信号によって可動可能な1つの照明具とからなることを特徴とする作業用照明システム。
【請求項2】
一定の作業工程の複数の作業場所を撮影可能な1つの撮影機と、撮影機と連結しており撮影機から送信されてくる作業工程の画像を分析可能な画像処理装置と、画像処理装置による画像分析によって送信されてくる指示信号によって可動可能な1つの照明具とからなり、照明具は、その照明方向を画像処理装置からの指示により順次移動して照明可能であることを特徴とする作業用照明システム。
【請求項3】
撮影機が、その設置位置が移動可能であり、撮影者が作業者を認識すると照明具が作業者を追跡する請求項1又は請求項2に記載の作業用照明システム。
【請求項4】
撮影機が、固定されて設けられている撮影機である請求項1又は請求項2に記載の作業用照明システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−238515(P2010−238515A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84897(P2009−84897)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】