作業用車両のジャッキ作動制御装置
【課題】ジャッキの下に敷木をずれがなく短時間で設置でき、また敷木が設置される地面の確認や障害物の確認ができる作業用車両のジャッキ作動制御装置を提供する。
【解決手段】高所作業車1のジャッキ作動制御装置60は、車体に設けられ車体の少なくとも下方に張り出して車体を支持するアウトリガジャッキと、このジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作装置50と、ジャッキ操作装置50の操作に応じてアウトリガジャッキのジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御するコントローラ61とを備え、コントローラ61は、ジャッキ操作装置50の自動張出SW50aによってアウトリガジャッキを自動張出させる操作がされると、各ジャッキシリンダ25が接地する手前の位置でジャッキシリンダ25の伸長作動を停止させ、その後の自動張出SW50aの操作によって各ジャッキシリンダ25を伸長させる。
【解決手段】高所作業車1のジャッキ作動制御装置60は、車体に設けられ車体の少なくとも下方に張り出して車体を支持するアウトリガジャッキと、このジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作装置50と、ジャッキ操作装置50の操作に応じてアウトリガジャッキのジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御するコントローラ61とを備え、コントローラ61は、ジャッキ操作装置50の自動張出SW50aによってアウトリガジャッキを自動張出させる操作がされると、各ジャッキシリンダ25が接地する手前の位置でジャッキシリンダ25の伸長作動を停止させ、その後の自動張出SW50aの操作によって各ジャッキシリンダ25を伸長させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも下方へ張り出し可能なジャッキを備えた作業用車両のジャッキ作動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジャッキを備える作業用車両をジャッキによって持ち上げ支持するときに、ジャッキを接地させる地面が軟弱地盤であったり、地面に凹凸があったり、地面が傾斜地であったりする場合には、ジャッキと地面との接地面積を広くするために、ジャッキの下端に設けられた接地板と地面との間に敷木を設置することが行われる。
【0003】
このようなジャッキのうち張出時にジャッキが車両幅方向外側に向けて斜め下方へ延びた状態で接地して車両を持ち上げ支持するタイプのアウトリガジャッキを備える作業用車両がある。このような作業用車両をアウトリガジャッキによって持ち上げ支持する場合、アウトリガジャッキは伸長に伴って接地板が車体幅方向外側に移動しながら下方へ移動するので、アウトリガジャッキの接地板と地面との間に設置する敷木の位置の予測がしずらい。このため、この接地板と地面との間に敷木を設置する場合、アウトリガジャッキの接地時に接地板に対して敷木の相対位置がずれる虞がある。
【0004】
一方、ジャッキの張出時に敷木の位置調整を可能にする支持装置が提案されている(特許文献1参照)。この支持装置は、ジャッキの操作スイッチを操作すると、車両の前後に設けられた各ジャッキが伸長し、各ジャッキに設けられた接地検出センサにより各ジャッキの接地が検出されると、各ジャッキの伸長作動が停止し、そして、各ジャッキの接地検出がなくなるまでジャッキを縮小させる。このため、ジャッキを接地する際に、ジャッキの下に敷木を敷く場合、ジャッキの接地に伴って敷木がずれた場合でも、ジャッキの縮小によって敷木のずれを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−16798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の支持装置は、ジャッキを一度敷木に接地させてからジャッキを縮小させ、ジャッキの縮小後に敷木のずれを調整するため、ジャッキの伸長作動のみで敷木の設置作業が完了する場合と比較して、敷木の設置が完了するまでに時間が掛かる。
【0007】
またこの従来の支持機構を利用して、伸長時に車両の側方に斜め下方へ張り出すアウトリガジャッキの下に敷木を設置する場合、アウトリガジャッキは斜め下方へ延びるので、敷木の地面に対する設置位置が判り難い。このため、敷木の設置位置がずれる虞があり、また敷木が設置される地面や、地面に存在する障害物の確認が不十分になる虞がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ジャッキの下に敷木をずれがなく短時間で設置することができ、また敷木が設置される地面の確認や障害物の確認を十分に行うことができる作業用車両のジャッキ作動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の作業用車両のジャッキ作動制御装置は、車体に設けられ該車体の少なくとも下方に張り出して車体を支持するジャッキ(実施の形態におけるアウトリガジャッキ13、13')と、該ジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作手段(実施の形態におけるジャッキ操作装置50)と、ジャッキ操作手段の操作に応じてジャッキの伸縮作動を制御するジャッキ制御手段(実施の形態におけるコントローラ61)とを備えた作業用車両(実施の形態における高所作業車1)のジャッキ作動制御装置であって、ジャッキ制御手段は、ジャッキ操作手段によってジャッキを伸長させる操作がされると、該ジャッキが接地する手前の位置(実施の形態における停止位置Ps)でジャッキの伸長作動を停止させることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また本発明は、ジャッキが、車体の側方に斜め下方へ張り出し可能な張出式のジャッキ又はリンク式のジャッキであることを特徴とする(請求項2)。
【0011】
また本発明は、ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前で停止する位置の姿勢になったか否かを検出するジャッキ姿勢検出手段(実施の形態における傾き角度センサ40、伸長センサ65)を備え、ジャッキ制御手段は、ジャッキ姿勢検出手段により検出された検出値に応じてジャッキの姿勢を決定し、この決定されたジャッキの姿勢が、該ジャッキが接地する手前の位置の姿勢になると、ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする(請求項3)。
【0012】
さらに本発明は、ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前の停止位置に到達したか否かを検出するジャッキ停止位置検出手段(実施の形態における近接スイッチ36)を有し、ジャッキ制御手段は、ジャッキ停止位置検出手段によりジャッキが停止位置に到達したことを検出すると、ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする(請求項4)。
【0013】
また、本発明のジャッキは、車体の前側及び後側に設けられ、ジャッキ制御手段は、ジャッキの伸長作動を停止させた後にジャッキをジャッキ操作手段の伸長操作によってジャッキを伸長させる場合、車体が略水平になるまで、車体の前側に設けられたジャッキ及び車体の後側に設けられたジャッキを伸長作動させることを特徴とする(請求項5)。
【0014】
また、本発明のジャッキ制御手段は、ジャッキが接地する手前の停止位置調節が可能であることを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる作業用車両のジャッキ作動制御装置によれば、上記特徴を有することで、ジャッキの下に敷木をずれがなく短時間で設置することができ、また敷木が設置される地面の状態確認や障害物の有無の確認を十分に行うことができる作業用車両のジャッキ作動制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置を搭載した高所作業車の状態説明図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる車体前側に設けられたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係わる車体前側に設けられたアウトリガジャッキの姿勢を検出するための傾き角度センサの状態斜視図を示す。
【図4】本発明の一実施の形態に係わる車体後側に設けられたアウトリガジャッキの姿勢を検出する近接スイッチが搭載されたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図5】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチの作動を説明するためのリンク機構部の要部斜視図を示す。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチが設けられたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図7】本発明のジャッキ作動制御装置のブロック図を示す。
【図8】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によるアウトリガジャッキの伸長作動を説明するための状態説明図を示す。
【図9】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によるアウトリガジャッキの伸長作動を説明するための状態説明図を示す。
【図10】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によって車両を持ち上げ支持する場合のフローチャートを示す。
【図11】本発明に係わるアウトリガジャッキの長さを検出するための長さセンサが設けられたアウトリガジャッキの背面図を示す。
【図12】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチが設けられたアウトリガジャッキの背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係わる作業用車両のジャッキ作動制御装置の最良の実施形態を図1から図12に基づいて説明する。先ず、ジャッキ作動制御装置が搭載された作業用車両について、図1(a−1)、図1(a−2)を参照しながら概説する。本実施の形態は、作業用車両として伸縮ブームの先端部に作業台が設けられた高所作業車を例にして説明する。なお、図1(a−1)は高所作業車の側面図を示し、図1(a−2)の左側は高所作業車の背面視における後部左側のアウトリガジャッキの説明図を示し、図1(a−2)の右側は高所作業車の背面視における前部右側のアウトリガジャッキを示す。
【0018】
高所作業車1は、図1(a−1)(側面図)に示すように、車体3の前後の車体幅方向両側に一対の前輪4及び後輪5を有して走行可能である。車体3の前部には運転キャビン6が設けられ、車体3の後部には旋回台7が旋回自在に設けられている。旋回台7には起伏シリンダ9を介して伸縮ブーム10が起伏可能に設けられ、伸縮ブーム10の先端部には作業者が搭乗可能な作業台11が設けられている。
【0019】
一対の前輪4は運転キャビン6に設けられて操舵可能に構成され、一対の後輪5は車体3に設けられたエンジンからの動力を受けて回転駆動可能に構成されている。前輪4及び後輪5は運転キャビン6に設けられたブレーキペダルの押圧操作に応じて制動可能であり、また後輪5は、運転キャビン6に設けられたサイドブレーキレバーの操作に応じて制動可能に構成されている。
【0020】
運転キャビン6の後方側の車体前側及び車体後側の車体幅方向両側には、車体3を安定支持するアウトリガジャッキ13、13'が設けられている。アウトリガジャッキ13、13'は、車体3の前側に設けられたアウトリガジャッキ13と、車体3の後側に設けられたアウトリガジャッキ13'の2種類ある(図1(a−2)参照)。これらのアウトリガジャッキ13、13'は、車体3の後部に設けられたジャッキ操作装置50の操作によって伸縮して、車体3を支持し及び車体3に格納される。
【0021】
次に、車体3の前側に設けられたアウトリガジャッキ13について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2(a)は格納状態にあるアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示し、図2(b)は、接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示し、図2(c)は全伸長状態のアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示す。また、図3(a)は傾き角度センサ40の斜視図を示し、図3(b)、図3(c)は傾き角度センサ40が装着されたリンク機構部30の状態斜視図を示す。アウトリガジャッキ13は、図2(a)、図2(b)、図2(c)に示すように、車体3に取り付けられて上下方向に延びる箱状のフレーム14と、フレーム14内に設けられたジャッキシリンダ25と、フレーム14とジャッキシリンダ25との間に接続されたリンク機構部30とを有してなる。
【0022】
フレーム14は、上部に配置されて略水平方向に延びる天板部15と、天板部15の前後方向の両端部に接続されて下方へ延びる一対の側板部16、17と、これらの側板部16、17の内側端部間に接続された裏板部18とを有してなる。天板部15は平面視において矩形状に形成されている。側板部16,17の内側端部は略垂直方向へ延びる一方、側板部16,17の外側端部は下方へ進むに従って漸次内側方向に傾斜している。このため、フレーム14は外側端部と下側端部が開口した箱状に形成されている。裏板部18には取付板19が取り付けられ、この取付板19を介してフレーム14が車体3の幅方向端部に取り付けられる。
【0023】
フレーム14内の上部には一対の側板部16,17間に架け渡された上部軸部20が設けられている。この上部軸部20にジャッキシリンダ25のロッド側端部が回動自在に接続されている。またフレーム14内の下部には一対の側板部16,17間に支持された下部軸部21が設けられている。この下部軸部21の両端部は対応する側板部16,17から外側に突出し、この突出した下部軸部21にリンク機構部30が回動自在に接続されている。
【0024】
ジャッキシリンダ25は、シリンダチューブ26にシリンダロッド27が突出入自在に構成された油圧式シリンダである。ジャッキシリンダ25は、シリンダロッド27の先端部が上部軸部20に接続されて下方へ延びるように配置される。シリンダチューブ26の下側端部には、接地板28が回動自在に設けられている。シリンダチューブ26の長手方向中間部には、前述したリンク機構部30の先端部を接続するための突出部29が設けられている。突出部29は平面視において矩形状に形成されている。
【0025】
リンク機構部30は、一対の側板部16,17のそれぞれの下部外側から延出する下部軸部21の端部に上下方向に回動自在に接続された一対のリンク部材31,32を有してなる。一対のリンク部材31,32は金属材料で形成されて同一形状を有している。リンク部材31,32は板状に形成され、その一端部が側板部16,17の下部に回動自在に接続され、他端部が突出部29の側面に回動自在に接続されている。
【0026】
リンク部材31,32の長手方向長さ及び突出部29のシリンダチューブ26に対する設置位置は、ジャッキシリンダ25の全縮小状態時に、ジャッキシリンダ25がフレーム14内において斜め内側方向に僅かに傾いた状態になるとともに(図2(a)参照)、ジャッキシリンダ25の全伸長状態時に、ジャッキシリンダ25がフレーム14の外側において斜め外側方向に傾いた状態になるように設けられている。
【0027】
このため、ジャッキシリンダ25が全縮小状態になると、一対のリンク部材31,32は側板部16,17との接続部である下部軸部21を回動支点として上方へ回動して、ジャッキシリンダ25はフレーム14内において斜め内側方向に僅かに傾いた状態(以下、格納状態と記す。)で格納される(図2(a)参照)。またジャッキシリンダ25が全縮小状態から伸長すると、ジャッキシリンダ25の伸長に伴って一対のリンク部材31,32が下部軸部21を回動支点として下方へ回動し、ジャッキシリンダ25は上部軸部20を回動支点としてフレーム14の外側方向へ回動する(図2(b)参照)。そして、ジャッキシリンダ25が全伸長すると、一対のリンク部材31,32は更に下方へ回動し、ジャッキシリンダ25はフレーム14の外側において斜め外側方向に傾けた状態(以下、張出状態と記す)になる(図2(c)参照)。このため、ジャッキシリンダ25を張出状態にすると、ジャッキシリンダ25の車体幅方向のジャッキ張り幅を広くすることができる。
【0028】
また、ジャッキシリンダ25が全縮小状態から伸長して、一対のリンク部材31,32が下方へ回動して水平方向よりも僅かに上方へ傾いた位置に移動すると(図2(b)参照)、ジャッキシリンダ25の接地板28は接地よりも手前の位置(以下、停止位置Psと記す。)で停止する。この停止位置Psは、地面と接地板28との間に形成される後述する隙間に後述する敷木が挿入可能な位置である。具体的には、隙間の高さは、敷木の厚さと敷木の隙間への挿入のし易さを考慮した余裕分の高さの合算値である。
【0029】
次に、アウトリガジャッキ13の姿勢を検出する傾き角度センサについて説明する。傾き角度センサ40は、図3(a)に示すように、箱状に形成されたセンサ本体部41と、センサ本体部41に正逆回動自在に設けられたシャフト42とを有してなる。傾き角度センサ40は、センサ本体部41に対するシャフト42の回動角度に応じて検出信号(電圧信号)を出力する、いわゆるポテンショメータである。
【0030】
傾き角度センサ40のシャフト42は、図3(b)に示すように、下部軸部21の端部に一体的に取り付けられた接続板部43に固定されている。一方、傾き角度センサ40のセンサ本体部41は、その底部に支持板44が接続され、この支持板44の先端部には係合凹部が形成され、リンク部材31の外側の面部に接続された板部45から突出する係合ピン46が係合凹部に係止されている。このため、センサ本体部41は支持板44、係合ピン46、板部45を介してリンク部材31に固定されている。従って、図3(b)及び図3(c)に示すように、リンク部材31が上下方向に回動すると、シャフト42に対してセンサ本体部41が回動して、傾き角度センサ40はリンク部材31の回動角度に応じた検出信号を一義的に出力することになる。
【0031】
一方、前述したように、アウトリガジャッキ13は、図2(b)に示すように、ジャッキシリンダ25の伸縮に応じてリンク機構部30が上下方向に回動してジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度を変化させる。このため、ジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度は、傾き角度センサ40からの検出信号に対応することになるので、傾き角度センサ40からの検出信号によってジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度を知ることができる。なお、詳細は後述するが、ジャッキシリンダ25の伸長作動を制御するコントローラには、ジャッキシリンダ25が接地する手前で停止する位置に対応する傾き角度、ジャッキシリンダ25が全縮小状態になったときの傾き角度、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になったときの傾き角度が記憶されている。
【0032】
次に、車体3の後側に設けられたアウトリガジャッキ13'について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4(a)は格納状態にあるアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図4(b)は接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図4(c)は全伸長状態にあるアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示す。また、図5(a)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の停止位置に到達したときのリンク機構部30の要部斜視図を示し、図5(b)は図5(a)を別の角度から見たアウトリガジャッキ13'が接地する手前の停止位置に到達したときのリンク機構部30の要部斜視図を示す。
【0033】
車体後側に設けられたアウトリガジャッキ13'は、前述した車体前側に設けられたアウトリガジャッキ13と略同様に構成を有しているので、車体前側に設けられたアウトリガジャッキ13と相違する部分についてのみ説明し、アウトリガジャッキ13と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0034】
アウトリガジャッキ13'は、図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、フレーム14の裏板部18の下部外側に支持板35が取り付けられている。この支持板35は一方側端部が裏板部18に固定され、他方側が一方の側板部17の外側へ延びてリンク部材32側へ屈曲し、他方側の先端部がリンク部材32の回動支点となる下部軸部21の端部の上方に位置している。この支持板35の他方側の先端部に金属材料製のリンク部材32の有無を検知可能な近接スイッチ36(図5(a)、図5(b)参照)が取り付けられている。
【0035】
近接スイッチ36は、この検出領域内に検出体となるリンク部材32が接近し及び存在すると、検出信号を出力するように構成されている。このため、近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25が格納された状態ではリンク部材32が近接スイッチ36の前に存在してリンク部材32を検出し(図4(a)参照)、ジャッキシリンダ25の伸長により近接スイッチ36の前にリンク部材32が存在しなくなると、リンク部材32の検出ができなくなる(図5(a)、図5(b)参照)。
【0036】
このような機能を有する近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25の接地板28が接地する手前の位置に移動すると、リンク部材32が近接スイッチ36の検出領域の内側から外側に移動する位置に設けられている(図4(b)、図5(a)、図5(b)参照)。このため、ジャッキシリンダ25の接地板28が接地する手前の位置に移動すると、近接スイッチ36の検出信号はONからOFFに切り替わる。
【0037】
なお、この近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25が伸長して接地板28が接地する手前の位置を超えてさらに接地する側へ移動すると、リンク部材32が近接スイッチ36から離反する方向に移動するので、OFFの検出信号を維持する。このため、ジャッキシリンダ25がさらに伸長して全伸長状態になっても、近接スイッチ36の検出信号はOFFのままである。このため、ジャッキシリンダ25が全伸長状態にあることを近接スイッチ36によって検出したい場合、このままの構造では近接スイッチ36でジャッキシリンダ25の全伸長状態を検出することができない。
【0038】
そこで、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示すように、リンク部材32の回動支点となる下部軸部21側の上面に、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になると近接スイッチ36の検出信号をONにする被検出部材37が設けられている。なお、図6(a)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図6(b)は同図(a)のアウトリガジャッキ13'の要部を拡大した状態斜視図を示し、図6(c)はアウトリガジャッキ13'が全伸長したときのアウトリガジャッキ13'の要部を拡大した状態斜視図を示す。
【0039】
この被検出部材37は、リンク部材32と同質の金属材料で形成され、一端部がリンク部材32の上面に固定され、他端側が上方へ延びて下部軸部21側へ屈曲してリンク部材32に沿って延び、さらに下方へ屈曲して下部軸部21側へ延びるように形成されて、側面視において逆U字状に形成されている。
【0040】
被検出部材37の他端側の先端部37aは、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になると近接スイッチ36の検出領域内に位置するように配置されている(図6(c)参照)。また被検出部材37の一端側と他端側との間には側面視において矩形状の空間部37bが形成されている。この空間部37bはジャッキシリンダ25が接地する手前の位置から全伸長する間において、近接スイッチ36が被検出部材37を検出しないようするためのものである。
【0041】
次に、アウトリガジャッキ13,13'の各ジャッキシリンダ25の伸縮を制御するジャッキ作動制御装置60について、図7を参照しながら説明する。図7はジャッキ作動制御装置60のブロック図を示す。ジャッキ作動制御装置60は、図7に示すように、ジャッキ操作装置50と、アウトリガジャッキ13,13'に設けられた傾き角度センサ40及び近接スイッチ36と、ジャッキ操作装置50の操作に応じて対応するジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御するとともに、傾き角度センサ40及び近接スイッチ36からの検出信号に応じてジャッキシリンダ25の伸縮を制御するコントローラ61を有する。
【0042】
なお、説明の都合上、車体3の前側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13に設けられた傾き角度センサ40を「傾き角度センサ左前40a」と記し、車体3の前側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13に設けられた傾き角度センサ40を「傾き角度センサ右前40b」と記し、車体3の後側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36を「近接スイッチ左後36a」と記し、車体3の後側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36を「近接スイッチ右後36b」と記す。
【0043】
またコントローラ61には、各ジャッキシリンダ25への作動油の給排制御を行う作動制御弁Vが電気的に接続され、コントローラ61からの指令信号に応じて対応する作動制御弁Vが作動してジャッキシリンダ25が伸縮する。
【0044】
なお、説明の都合上、車体3の前側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ左前25a」と記し、車体3の前側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ右前25b」と記し、車体3の後側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13'のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ左後25c」と記し、車体3の後側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13'のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ右後25d」と記す。
【0045】
ジャッキ操作装置50は、4本のアウトリガジャッキ13,13'のそれぞれの伸縮を操作する操作レバーの他に、4本のアウトリガジャッキ13,13'を同時に伸長作動させる際に操作される自動張出スイッチ50a(自動張出SW)を備えている。
【0046】
コントローラ61は、ジャッキ操作装置50の操作レバーの操作に応じて対応するアウトリガジャッキ13,13'のジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御する。また、コントローラ61は、自動張出SW50aがON操作されると、詳細は後述するが、高所作業車1の車体3を4本のアウトリガジャッキ13,13'によって持ち上げ支持するように、これらのアウトリガジャッキ13,13'の伸長作動を制御する。
【0047】
次に、自動張出SW50aがON操作された場合のジャッキ作動制御装置60の制御内容を、図1、図7、図8〜図10を参照しながら説明する。なお、図8(a−1)はアウトリガジャッキ13,13'が接地する手前の位置で停止した状態の高所作業車1の側面図を示し、図8(a−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図8(a−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示し、図8(b−1)はアウトリガジャッキ13,13'が接地した状態の高所作業車1の側面図を示し、図8(b−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図8(b−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示す。
【0048】
また、図9(c−1)は前側のアウトリガジャッキ13が伸長した状態の高所作業車の側面図を示し、図9(c−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図9(c−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示し、図9(d−1)は前後のアウトリガジャッキ13,13'が伸長した状態の高所作業車1の側面図を示し、図9(d−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図9(d−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示す。また、図10は、ジャッキ作動制御装置60によって車両を持ち上げ支持する場合のフローチャートを示す。
【0049】
図1(a)、図1(b)に示すように、高所作業車1が走行可能な状態で作業現場に到着して停止した状態では、4本のアウトリガジャッキ13,13'は格納状態にある。この状態で高所作業車1を持ち上げ支持するには、先ず、高所作業車1の前述したサイドブレーキを作動させて、後輪5をロック状態にする。そして、図10に示すように、作業者がジャッキ操作装置50(図7参照)の自動張出SW50aをON操作する(ステップ100)。自動張出SW50aがON操作されると、コントローラ61は4本のアウトリガジャッキ13,13'の各ジャッキシリンダ25を伸長させる(ステップ101)。
【0050】
4本のジャッキシリンダ25が伸長すると、コントローラ61は、前述した傾き角度センサ左前40a、傾き角度センサ右前40b、近接スイッチ左後36a、近接スイッチ右後36bの各センサからの検出信号に応じて4本の各ジャッキシリンダ25が接地よりも手前の停止位置Psに移動したか否かを判断する(ステップ102)。
【0051】
4本のジャッキシリンダ25のいずれかが停止位置を超えると、図8(a−1)及び図8(a−2)に示すように、コントローラ61は停止位置を超えるジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ103)。なお、ジャッキシリンダ25の伸長停止制御は、4本のジャッキシリンダ25の全てを停止させるまで行われる。
【0052】
そして、4本の全てのジャッキシリンダ25が停止位置で停止すると、ジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に後述する敷木が挿入可能な隙間Cが形成される。
【0053】
4本の全てジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に隙間Cが形成されると、図8(b−1)及び図8(b−2)に示すように、作業者は各ジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に形成された隙間C内に敷木52を設置する(ステップ104)。隙間C内に敷木52が設置されると、接地板28と敷木52の上面との間には僅かな隙間が形成された状態で、接地板28が敷木52に接触する。
【0054】
敷木52が設置されると、作業者は自動張出SW50aを再びON操作する(ステップ105)。自動張出SW50aが再びON操作されると、コントローラ61は、図9(c−1)及び図9(c−2)に示すように、ジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bを伸長させる(ステップ106)。
【0055】
2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、コントローラ61は、前述した傾き角度センサ左前40a、傾き角度センサ右前40bの各センサからの検出信号に応じて2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になったか否かを判断する(ステップ107)。
【0056】
2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bのいずれかが全伸長状態になると、コントローラ61は全伸長状のジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ108)。そして、2本の全てのジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になるまでステップ107が実行される。そして、2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になると、図9(c−1)及び図9(c−2)に示すように、高所作業車1は後輪5が接地したままで車両の前側が持ち上がった状態になる。
【0057】
ここで、2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になる過程では、前輪4が完全に浮き上がるまでは、車両の後輪5は常に地面Gに接触しており、また後輪5はロック状態にあるので、車両が逸走する虞はない。また、前輪4が完全に浮き上がった後にジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、車両はさらに後方側に傾いて後輪5の他にジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが接地する。この状態からさらにジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、後輪5は浮き上がり、ジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dは地面から反力を受けた接地状態になる。このため、ジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dの伸長時の車幅方向のすべり量を減少させることができる。
【0058】
2本の全てのジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になると、コントローラ61は車両後側のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dを伸長させる(ステップ109)。
【0059】
2本のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが伸長すると、コントローラ61は、前述した近接スイッチ左後36a、近接スイッチ右後36bの各センサからの検出信号に応じて2本の各ジャッキシリンダ25が全伸長の状態になったか否かを判断する(ステップ110)。
【0060】
2本のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dのいずれかが全伸長状態になると、コントローラ61は全伸長状のジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ111)。そして、2本の全てのジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが全伸長状態になるまでステップ110が実行される。
【0061】
そして、2本の全てのジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが全伸長状態になると、図9(d−1)及び図9(d−2)に示すように、車両の持ち上げ支持が完了する。
【0062】
このように、4本のアウトリガジャッキ13、13'により高所作業車1を持ち上げ支持する際に敷木52を設置する場合、ジャッキシリンダ25は接地する手前の位置(停止位置Ps)で一旦停止して、地面Gとの間に敷木52を挿入可能な隙間Cが形成され、この隙間Cに敷木52を挿入するようにして敷木52が地面Gに設置される。隙間Cは敷木52の高さと敷木52の挿入を考慮した余裕分の大きさを有しているので、ジャッキシリンダ25の伸長に伴って車幅方向に張り出すアウトリガジャッキ13、13'の敷木52の設置位置を容易に認識して設置することができる。従って、敷木52がジャッキシリンダ25の接地板28に対するずれを小さくすることができ、また敷木52が設置される地面Gの状態確認や障害物の有無の確認を十分に行うことができる。
【0063】
また敷木52を設置した後に、4本のアウトリガジャッキ13、13'が伸長して高所作業車1が持ち上げ支持されるので、ジャッキシリンダ25が伸長した後に縮小して敷木52の位置を調整し、その後にジャッキシリンダ25を伸長して車両を持ち上げ支持する場合と比較して、高所作業車1の持ち上げ支持する作業時間を短縮することができる。
【0064】
なお、前述した実施例では、車両前側に設けられジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bは傾き角度センサ40(40a、40b)により、ジャッキシリンダ25の姿勢を検出するようにしたが、図11(a)、図11(b)に示すように、シリンダチューブ26に対するシリンダロッド27の突出量を伸長センサ65で検出し、この検出値に基づいてジャッキシリンダ25の姿勢を検知するようにしてもよい。ここで、図11(a)はアウトリガジャッキ13が縮小した状態にあるときのアウトリガジャッキ13の背面図を示し、図11(b)はアウトリガジャッキ13が接地する手前の位置に停止したときのアウトリガジャッキ13の背面図を示す。
【0065】
この場合、シリンダチューブ26をフレーム14の上部軸部20に回動自在に接続して、ロッド側端部が下方に位置するようにジャッキシリンダ25(25a,25b)をフレーム14に配置する。また伸長センサ65の本体部側をフレーム14内に取り付け、本体部から突出入自在に設けられたワイヤWの先端部をシリンダロッド27の先端部に取り付ける。
【0066】
このように伸長センサ65を用いる場合には、伸長センサ65の検出値とジャッキシリンダ25(25a,25b)の全体の長さを予め対応させておくことで、ジャッキシリンダ25(25a,25b)を全縮小状態にさせ、またジャッキシリンダ25(25a,25b)が接地する手前の位置で停止させ、ジャッキシリンダ25(25a,25b)を全伸長状態にさせることができる。
【0067】
また、前述した実施例では、車両後側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36(36a、36b)はリンク部材32を検出するように構成したが、図12(a)、図12(b)、図12(c)に示すように、近接スイッチ36(36a、36b)をフレーム14の裏板部18にジャッキシリンダ25に対向するように取り付けてもよい。ここで、図12(a)はアウトリガジャッキ13'が縮小した状態にあるときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示し、図12(b)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の位置に停止したときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示し、図12(c)はアウトリガジャッキ13'が全伸長状態にあるときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示す。
【0068】
この場合、近接スイッチ36(36a、36b)は、ジャッキシリンダ25が全縮小状態にあるときはジャッキシリンダ25のシリンダチューブ26を検出して検出信号がONとなり、ジャッキシリンダ25が接地する手前の位置に延びると、シリンダロッド27の伸長によってシリンダチューブ26が近接スイッチ36(36a、36b)の検出領域の内側から外側に移動して、検出信号がONからOFFに切り替わり、ジャッキシリンダ25が更に伸長して全伸長状態になるまでは、シリンダチューブ26が近接スイッチ36(36a、36b)からさらに離反する方向に移動して検出信号をOFFに維持する。
【0069】
また、前述した実施例では、ジャッキシリンダ25は接地よりも手前の位置(停止位置Ps)で停止するように構成したが、この停止位置PSが変えられるようにしてもよい。この場合、図7に示すコントローラ61は、傾き角度センサ左前40a及び傾き角度センサ右前40bからの検出値に応じてジャッキシリンダ25(25a、25b)の伸長量の算出が可能であるので、ジャッキシリンダ25(25a、25b)の変更する停止位置に対するジャッキシリンダ25(25a、25b)の伸長量を予め対応させておくことで、傾き角度センサ左前40a及び傾き角度センサ右前40bかからの検出値からジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置を一義的に設定することができる。
【0070】
このようにジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置を変えられるようにすると、地面Gの状態に応じて敷木52を複数枚設置する必要があるときは、ジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置をより上方位置に変更することができる。
【0071】
また前述した実施例では、アウトリガジャッキ13、13'がリンク式の場合を示したが、ジャッキシリンダ自体が車体幅方向に斜めに取り付けられたものでもよい。
【0072】
また、前述した実施例では、車両の前側のアウトリガジャッキ13に傾き角度センサ40を設け、車両の後側のアウトリガジャッキ13'に近接スイッチ36を設けた場合を示したが、全てのアウトリガジャッキ13,13'に傾き角度センサ40若しくは近接スイッチ36を設け、又は車両の前側のアウトリガジャッキ13に近接スイッチ36を設け、車両の後側のアウトリガジャッキ13'に傾き角度センサ40を設けてもよい。
【0073】
また4本のジャッキシリンダ25に荷重が作用したことを検知可能な荷重検出センサを設けてもよい。この荷重検出センサを設けることで、車両の傾き状態を確認することができ、車両の転倒を未然に防止することができる。
【0074】
また高所作業車1には、図1に示すように、伸縮ブーム10が設けられ、この伸縮ブーム10は車体格納時に略水平に延びるようにして格納される。また、伸縮ブーム10にはこの起伏角度を検出する起伏角センサが設けられている。この起伏角センサを水平面に対して伸縮ブーム10の傾き角度が検出可能に設定しておくと、起伏角センサによって車体の前後方向の傾きを検出することができるので、車両を水平状態にすることができる。
【0075】
また傾き角度センサ40や近接スイッチ36の代わりに、ジャッキシリンダ25の接地板28に距離計測用のセンサを取り付けて、接地板28と地面Gとの距離を検出してもよい。このようにすると、地面Gの凹凸に応じてジャッキシリンダ25の伸長を停止させることができ、敷木52の設置作業を容易にすることができる。
【0076】
また前述した実施例では、傾き角度センサ40としてシャフト42を有したポテンショメータを示したが(図3(a)参照)、ジャイロセンサでもよい。
【0077】
また前述した実施例では、全てのジャッキシリンダ25が斜めに張出するアウトリガジャッキ13,13'を示したが、これらの一部が垂直方向に延びるジャッキでもよい。
【0078】
また、前述した実施例では、アウトリガジャッキ13、13'を自動で張出する際に、ジャッキ操作装置50に設けられた自動張出SW50aを操作するように記載したが、この自動張出SW50aは、運転キャビン6内や、車体3のいずれかの場所に設けられてもよい。
【0079】
また、前述した実施例では、作業用車両として高所作業車1を例に示したが、移動式クレーン、レッカー車、車両運搬車でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 高所作業車(作業用車両)
3 車体
13、13' アウトリガジャッキ(ジャッキ)
36 近接スイッチ(ジャッキ停止位置検出手段)
40 傾き角度センサ(ジャッキ姿勢検出手段)
50 ジャッキ操作装置(ジャッキ操作手段)
60 ジャッキ作動制御装置
61 コントローラ(ジャッキ制御手段)
65 伸長センサ(ジャッキ姿勢検出手段)
Ps 停止位置(手前の位置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも下方へ張り出し可能なジャッキを備えた作業用車両のジャッキ作動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジャッキを備える作業用車両をジャッキによって持ち上げ支持するときに、ジャッキを接地させる地面が軟弱地盤であったり、地面に凹凸があったり、地面が傾斜地であったりする場合には、ジャッキと地面との接地面積を広くするために、ジャッキの下端に設けられた接地板と地面との間に敷木を設置することが行われる。
【0003】
このようなジャッキのうち張出時にジャッキが車両幅方向外側に向けて斜め下方へ延びた状態で接地して車両を持ち上げ支持するタイプのアウトリガジャッキを備える作業用車両がある。このような作業用車両をアウトリガジャッキによって持ち上げ支持する場合、アウトリガジャッキは伸長に伴って接地板が車体幅方向外側に移動しながら下方へ移動するので、アウトリガジャッキの接地板と地面との間に設置する敷木の位置の予測がしずらい。このため、この接地板と地面との間に敷木を設置する場合、アウトリガジャッキの接地時に接地板に対して敷木の相対位置がずれる虞がある。
【0004】
一方、ジャッキの張出時に敷木の位置調整を可能にする支持装置が提案されている(特許文献1参照)。この支持装置は、ジャッキの操作スイッチを操作すると、車両の前後に設けられた各ジャッキが伸長し、各ジャッキに設けられた接地検出センサにより各ジャッキの接地が検出されると、各ジャッキの伸長作動が停止し、そして、各ジャッキの接地検出がなくなるまでジャッキを縮小させる。このため、ジャッキを接地する際に、ジャッキの下に敷木を敷く場合、ジャッキの接地に伴って敷木がずれた場合でも、ジャッキの縮小によって敷木のずれを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−16798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の支持装置は、ジャッキを一度敷木に接地させてからジャッキを縮小させ、ジャッキの縮小後に敷木のずれを調整するため、ジャッキの伸長作動のみで敷木の設置作業が完了する場合と比較して、敷木の設置が完了するまでに時間が掛かる。
【0007】
またこの従来の支持機構を利用して、伸長時に車両の側方に斜め下方へ張り出すアウトリガジャッキの下に敷木を設置する場合、アウトリガジャッキは斜め下方へ延びるので、敷木の地面に対する設置位置が判り難い。このため、敷木の設置位置がずれる虞があり、また敷木が設置される地面や、地面に存在する障害物の確認が不十分になる虞がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ジャッキの下に敷木をずれがなく短時間で設置することができ、また敷木が設置される地面の確認や障害物の確認を十分に行うことができる作業用車両のジャッキ作動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の作業用車両のジャッキ作動制御装置は、車体に設けられ該車体の少なくとも下方に張り出して車体を支持するジャッキ(実施の形態におけるアウトリガジャッキ13、13')と、該ジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作手段(実施の形態におけるジャッキ操作装置50)と、ジャッキ操作手段の操作に応じてジャッキの伸縮作動を制御するジャッキ制御手段(実施の形態におけるコントローラ61)とを備えた作業用車両(実施の形態における高所作業車1)のジャッキ作動制御装置であって、ジャッキ制御手段は、ジャッキ操作手段によってジャッキを伸長させる操作がされると、該ジャッキが接地する手前の位置(実施の形態における停止位置Ps)でジャッキの伸長作動を停止させることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また本発明は、ジャッキが、車体の側方に斜め下方へ張り出し可能な張出式のジャッキ又はリンク式のジャッキであることを特徴とする(請求項2)。
【0011】
また本発明は、ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前で停止する位置の姿勢になったか否かを検出するジャッキ姿勢検出手段(実施の形態における傾き角度センサ40、伸長センサ65)を備え、ジャッキ制御手段は、ジャッキ姿勢検出手段により検出された検出値に応じてジャッキの姿勢を決定し、この決定されたジャッキの姿勢が、該ジャッキが接地する手前の位置の姿勢になると、ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする(請求項3)。
【0012】
さらに本発明は、ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前の停止位置に到達したか否かを検出するジャッキ停止位置検出手段(実施の形態における近接スイッチ36)を有し、ジャッキ制御手段は、ジャッキ停止位置検出手段によりジャッキが停止位置に到達したことを検出すると、ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする(請求項4)。
【0013】
また、本発明のジャッキは、車体の前側及び後側に設けられ、ジャッキ制御手段は、ジャッキの伸長作動を停止させた後にジャッキをジャッキ操作手段の伸長操作によってジャッキを伸長させる場合、車体が略水平になるまで、車体の前側に設けられたジャッキ及び車体の後側に設けられたジャッキを伸長作動させることを特徴とする(請求項5)。
【0014】
また、本発明のジャッキ制御手段は、ジャッキが接地する手前の停止位置調節が可能であることを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる作業用車両のジャッキ作動制御装置によれば、上記特徴を有することで、ジャッキの下に敷木をずれがなく短時間で設置することができ、また敷木が設置される地面の状態確認や障害物の有無の確認を十分に行うことができる作業用車両のジャッキ作動制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置を搭載した高所作業車の状態説明図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる車体前側に設けられたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図3】本発明の一実施の形態に係わる車体前側に設けられたアウトリガジャッキの姿勢を検出するための傾き角度センサの状態斜視図を示す。
【図4】本発明の一実施の形態に係わる車体後側に設けられたアウトリガジャッキの姿勢を検出する近接スイッチが搭載されたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図5】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチの作動を説明するためのリンク機構部の要部斜視図を示す。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチが設けられたアウトリガジャッキの状態斜視図を示す。
【図7】本発明のジャッキ作動制御装置のブロック図を示す。
【図8】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によるアウトリガジャッキの伸長作動を説明するための状態説明図を示す。
【図9】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によるアウトリガジャッキの伸長作動を説明するための状態説明図を示す。
【図10】本発明の一実施の形態に係わるジャッキ作動制御装置によって車両を持ち上げ支持する場合のフローチャートを示す。
【図11】本発明に係わるアウトリガジャッキの長さを検出するための長さセンサが設けられたアウトリガジャッキの背面図を示す。
【図12】本発明の一実施の形態に係わる近接スイッチが設けられたアウトリガジャッキの背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係わる作業用車両のジャッキ作動制御装置の最良の実施形態を図1から図12に基づいて説明する。先ず、ジャッキ作動制御装置が搭載された作業用車両について、図1(a−1)、図1(a−2)を参照しながら概説する。本実施の形態は、作業用車両として伸縮ブームの先端部に作業台が設けられた高所作業車を例にして説明する。なお、図1(a−1)は高所作業車の側面図を示し、図1(a−2)の左側は高所作業車の背面視における後部左側のアウトリガジャッキの説明図を示し、図1(a−2)の右側は高所作業車の背面視における前部右側のアウトリガジャッキを示す。
【0018】
高所作業車1は、図1(a−1)(側面図)に示すように、車体3の前後の車体幅方向両側に一対の前輪4及び後輪5を有して走行可能である。車体3の前部には運転キャビン6が設けられ、車体3の後部には旋回台7が旋回自在に設けられている。旋回台7には起伏シリンダ9を介して伸縮ブーム10が起伏可能に設けられ、伸縮ブーム10の先端部には作業者が搭乗可能な作業台11が設けられている。
【0019】
一対の前輪4は運転キャビン6に設けられて操舵可能に構成され、一対の後輪5は車体3に設けられたエンジンからの動力を受けて回転駆動可能に構成されている。前輪4及び後輪5は運転キャビン6に設けられたブレーキペダルの押圧操作に応じて制動可能であり、また後輪5は、運転キャビン6に設けられたサイドブレーキレバーの操作に応じて制動可能に構成されている。
【0020】
運転キャビン6の後方側の車体前側及び車体後側の車体幅方向両側には、車体3を安定支持するアウトリガジャッキ13、13'が設けられている。アウトリガジャッキ13、13'は、車体3の前側に設けられたアウトリガジャッキ13と、車体3の後側に設けられたアウトリガジャッキ13'の2種類ある(図1(a−2)参照)。これらのアウトリガジャッキ13、13'は、車体3の後部に設けられたジャッキ操作装置50の操作によって伸縮して、車体3を支持し及び車体3に格納される。
【0021】
次に、車体3の前側に設けられたアウトリガジャッキ13について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2(a)は格納状態にあるアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示し、図2(b)は、接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示し、図2(c)は全伸長状態のアウトリガジャッキ13の状態斜視図を示す。また、図3(a)は傾き角度センサ40の斜視図を示し、図3(b)、図3(c)は傾き角度センサ40が装着されたリンク機構部30の状態斜視図を示す。アウトリガジャッキ13は、図2(a)、図2(b)、図2(c)に示すように、車体3に取り付けられて上下方向に延びる箱状のフレーム14と、フレーム14内に設けられたジャッキシリンダ25と、フレーム14とジャッキシリンダ25との間に接続されたリンク機構部30とを有してなる。
【0022】
フレーム14は、上部に配置されて略水平方向に延びる天板部15と、天板部15の前後方向の両端部に接続されて下方へ延びる一対の側板部16、17と、これらの側板部16、17の内側端部間に接続された裏板部18とを有してなる。天板部15は平面視において矩形状に形成されている。側板部16,17の内側端部は略垂直方向へ延びる一方、側板部16,17の外側端部は下方へ進むに従って漸次内側方向に傾斜している。このため、フレーム14は外側端部と下側端部が開口した箱状に形成されている。裏板部18には取付板19が取り付けられ、この取付板19を介してフレーム14が車体3の幅方向端部に取り付けられる。
【0023】
フレーム14内の上部には一対の側板部16,17間に架け渡された上部軸部20が設けられている。この上部軸部20にジャッキシリンダ25のロッド側端部が回動自在に接続されている。またフレーム14内の下部には一対の側板部16,17間に支持された下部軸部21が設けられている。この下部軸部21の両端部は対応する側板部16,17から外側に突出し、この突出した下部軸部21にリンク機構部30が回動自在に接続されている。
【0024】
ジャッキシリンダ25は、シリンダチューブ26にシリンダロッド27が突出入自在に構成された油圧式シリンダである。ジャッキシリンダ25は、シリンダロッド27の先端部が上部軸部20に接続されて下方へ延びるように配置される。シリンダチューブ26の下側端部には、接地板28が回動自在に設けられている。シリンダチューブ26の長手方向中間部には、前述したリンク機構部30の先端部を接続するための突出部29が設けられている。突出部29は平面視において矩形状に形成されている。
【0025】
リンク機構部30は、一対の側板部16,17のそれぞれの下部外側から延出する下部軸部21の端部に上下方向に回動自在に接続された一対のリンク部材31,32を有してなる。一対のリンク部材31,32は金属材料で形成されて同一形状を有している。リンク部材31,32は板状に形成され、その一端部が側板部16,17の下部に回動自在に接続され、他端部が突出部29の側面に回動自在に接続されている。
【0026】
リンク部材31,32の長手方向長さ及び突出部29のシリンダチューブ26に対する設置位置は、ジャッキシリンダ25の全縮小状態時に、ジャッキシリンダ25がフレーム14内において斜め内側方向に僅かに傾いた状態になるとともに(図2(a)参照)、ジャッキシリンダ25の全伸長状態時に、ジャッキシリンダ25がフレーム14の外側において斜め外側方向に傾いた状態になるように設けられている。
【0027】
このため、ジャッキシリンダ25が全縮小状態になると、一対のリンク部材31,32は側板部16,17との接続部である下部軸部21を回動支点として上方へ回動して、ジャッキシリンダ25はフレーム14内において斜め内側方向に僅かに傾いた状態(以下、格納状態と記す。)で格納される(図2(a)参照)。またジャッキシリンダ25が全縮小状態から伸長すると、ジャッキシリンダ25の伸長に伴って一対のリンク部材31,32が下部軸部21を回動支点として下方へ回動し、ジャッキシリンダ25は上部軸部20を回動支点としてフレーム14の外側方向へ回動する(図2(b)参照)。そして、ジャッキシリンダ25が全伸長すると、一対のリンク部材31,32は更に下方へ回動し、ジャッキシリンダ25はフレーム14の外側において斜め外側方向に傾けた状態(以下、張出状態と記す)になる(図2(c)参照)。このため、ジャッキシリンダ25を張出状態にすると、ジャッキシリンダ25の車体幅方向のジャッキ張り幅を広くすることができる。
【0028】
また、ジャッキシリンダ25が全縮小状態から伸長して、一対のリンク部材31,32が下方へ回動して水平方向よりも僅かに上方へ傾いた位置に移動すると(図2(b)参照)、ジャッキシリンダ25の接地板28は接地よりも手前の位置(以下、停止位置Psと記す。)で停止する。この停止位置Psは、地面と接地板28との間に形成される後述する隙間に後述する敷木が挿入可能な位置である。具体的には、隙間の高さは、敷木の厚さと敷木の隙間への挿入のし易さを考慮した余裕分の高さの合算値である。
【0029】
次に、アウトリガジャッキ13の姿勢を検出する傾き角度センサについて説明する。傾き角度センサ40は、図3(a)に示すように、箱状に形成されたセンサ本体部41と、センサ本体部41に正逆回動自在に設けられたシャフト42とを有してなる。傾き角度センサ40は、センサ本体部41に対するシャフト42の回動角度に応じて検出信号(電圧信号)を出力する、いわゆるポテンショメータである。
【0030】
傾き角度センサ40のシャフト42は、図3(b)に示すように、下部軸部21の端部に一体的に取り付けられた接続板部43に固定されている。一方、傾き角度センサ40のセンサ本体部41は、その底部に支持板44が接続され、この支持板44の先端部には係合凹部が形成され、リンク部材31の外側の面部に接続された板部45から突出する係合ピン46が係合凹部に係止されている。このため、センサ本体部41は支持板44、係合ピン46、板部45を介してリンク部材31に固定されている。従って、図3(b)及び図3(c)に示すように、リンク部材31が上下方向に回動すると、シャフト42に対してセンサ本体部41が回動して、傾き角度センサ40はリンク部材31の回動角度に応じた検出信号を一義的に出力することになる。
【0031】
一方、前述したように、アウトリガジャッキ13は、図2(b)に示すように、ジャッキシリンダ25の伸縮に応じてリンク機構部30が上下方向に回動してジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度を変化させる。このため、ジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度は、傾き角度センサ40からの検出信号に対応することになるので、傾き角度センサ40からの検出信号によってジャッキシリンダ25の車体幅方向の傾き角度を知ることができる。なお、詳細は後述するが、ジャッキシリンダ25の伸長作動を制御するコントローラには、ジャッキシリンダ25が接地する手前で停止する位置に対応する傾き角度、ジャッキシリンダ25が全縮小状態になったときの傾き角度、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になったときの傾き角度が記憶されている。
【0032】
次に、車体3の後側に設けられたアウトリガジャッキ13'について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4(a)は格納状態にあるアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図4(b)は接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図4(c)は全伸長状態にあるアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示す。また、図5(a)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の停止位置に到達したときのリンク機構部30の要部斜視図を示し、図5(b)は図5(a)を別の角度から見たアウトリガジャッキ13'が接地する手前の停止位置に到達したときのリンク機構部30の要部斜視図を示す。
【0033】
車体後側に設けられたアウトリガジャッキ13'は、前述した車体前側に設けられたアウトリガジャッキ13と略同様に構成を有しているので、車体前側に設けられたアウトリガジャッキ13と相違する部分についてのみ説明し、アウトリガジャッキ13と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0034】
アウトリガジャッキ13'は、図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、フレーム14の裏板部18の下部外側に支持板35が取り付けられている。この支持板35は一方側端部が裏板部18に固定され、他方側が一方の側板部17の外側へ延びてリンク部材32側へ屈曲し、他方側の先端部がリンク部材32の回動支点となる下部軸部21の端部の上方に位置している。この支持板35の他方側の先端部に金属材料製のリンク部材32の有無を検知可能な近接スイッチ36(図5(a)、図5(b)参照)が取り付けられている。
【0035】
近接スイッチ36は、この検出領域内に検出体となるリンク部材32が接近し及び存在すると、検出信号を出力するように構成されている。このため、近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25が格納された状態ではリンク部材32が近接スイッチ36の前に存在してリンク部材32を検出し(図4(a)参照)、ジャッキシリンダ25の伸長により近接スイッチ36の前にリンク部材32が存在しなくなると、リンク部材32の検出ができなくなる(図5(a)、図5(b)参照)。
【0036】
このような機能を有する近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25の接地板28が接地する手前の位置に移動すると、リンク部材32が近接スイッチ36の検出領域の内側から外側に移動する位置に設けられている(図4(b)、図5(a)、図5(b)参照)。このため、ジャッキシリンダ25の接地板28が接地する手前の位置に移動すると、近接スイッチ36の検出信号はONからOFFに切り替わる。
【0037】
なお、この近接スイッチ36は、ジャッキシリンダ25が伸長して接地板28が接地する手前の位置を超えてさらに接地する側へ移動すると、リンク部材32が近接スイッチ36から離反する方向に移動するので、OFFの検出信号を維持する。このため、ジャッキシリンダ25がさらに伸長して全伸長状態になっても、近接スイッチ36の検出信号はOFFのままである。このため、ジャッキシリンダ25が全伸長状態にあることを近接スイッチ36によって検出したい場合、このままの構造では近接スイッチ36でジャッキシリンダ25の全伸長状態を検出することができない。
【0038】
そこで、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示すように、リンク部材32の回動支点となる下部軸部21側の上面に、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になると近接スイッチ36の検出信号をONにする被検出部材37が設けられている。なお、図6(a)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の位置で停止した状態のアウトリガジャッキ13'の状態斜視図を示し、図6(b)は同図(a)のアウトリガジャッキ13'の要部を拡大した状態斜視図を示し、図6(c)はアウトリガジャッキ13'が全伸長したときのアウトリガジャッキ13'の要部を拡大した状態斜視図を示す。
【0039】
この被検出部材37は、リンク部材32と同質の金属材料で形成され、一端部がリンク部材32の上面に固定され、他端側が上方へ延びて下部軸部21側へ屈曲してリンク部材32に沿って延び、さらに下方へ屈曲して下部軸部21側へ延びるように形成されて、側面視において逆U字状に形成されている。
【0040】
被検出部材37の他端側の先端部37aは、ジャッキシリンダ25が全伸長状態になると近接スイッチ36の検出領域内に位置するように配置されている(図6(c)参照)。また被検出部材37の一端側と他端側との間には側面視において矩形状の空間部37bが形成されている。この空間部37bはジャッキシリンダ25が接地する手前の位置から全伸長する間において、近接スイッチ36が被検出部材37を検出しないようするためのものである。
【0041】
次に、アウトリガジャッキ13,13'の各ジャッキシリンダ25の伸縮を制御するジャッキ作動制御装置60について、図7を参照しながら説明する。図7はジャッキ作動制御装置60のブロック図を示す。ジャッキ作動制御装置60は、図7に示すように、ジャッキ操作装置50と、アウトリガジャッキ13,13'に設けられた傾き角度センサ40及び近接スイッチ36と、ジャッキ操作装置50の操作に応じて対応するジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御するとともに、傾き角度センサ40及び近接スイッチ36からの検出信号に応じてジャッキシリンダ25の伸縮を制御するコントローラ61を有する。
【0042】
なお、説明の都合上、車体3の前側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13に設けられた傾き角度センサ40を「傾き角度センサ左前40a」と記し、車体3の前側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13に設けられた傾き角度センサ40を「傾き角度センサ右前40b」と記し、車体3の後側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36を「近接スイッチ左後36a」と記し、車体3の後側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36を「近接スイッチ右後36b」と記す。
【0043】
またコントローラ61には、各ジャッキシリンダ25への作動油の給排制御を行う作動制御弁Vが電気的に接続され、コントローラ61からの指令信号に応じて対応する作動制御弁Vが作動してジャッキシリンダ25が伸縮する。
【0044】
なお、説明の都合上、車体3の前側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ左前25a」と記し、車体3の前側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ右前25b」と記し、車体3の後側の車体幅方向左側のアウトリガジャッキ13'のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ左後25c」と記し、車体3の後側の車体幅方向右側のアウトリガジャッキ13'のジャッキシリンダ25を「ジャッキシリンダ右後25d」と記す。
【0045】
ジャッキ操作装置50は、4本のアウトリガジャッキ13,13'のそれぞれの伸縮を操作する操作レバーの他に、4本のアウトリガジャッキ13,13'を同時に伸長作動させる際に操作される自動張出スイッチ50a(自動張出SW)を備えている。
【0046】
コントローラ61は、ジャッキ操作装置50の操作レバーの操作に応じて対応するアウトリガジャッキ13,13'のジャッキシリンダ25の伸縮作動を制御する。また、コントローラ61は、自動張出SW50aがON操作されると、詳細は後述するが、高所作業車1の車体3を4本のアウトリガジャッキ13,13'によって持ち上げ支持するように、これらのアウトリガジャッキ13,13'の伸長作動を制御する。
【0047】
次に、自動張出SW50aがON操作された場合のジャッキ作動制御装置60の制御内容を、図1、図7、図8〜図10を参照しながら説明する。なお、図8(a−1)はアウトリガジャッキ13,13'が接地する手前の位置で停止した状態の高所作業車1の側面図を示し、図8(a−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図8(a−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示し、図8(b−1)はアウトリガジャッキ13,13'が接地した状態の高所作業車1の側面図を示し、図8(b−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図8(b−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示す。
【0048】
また、図9(c−1)は前側のアウトリガジャッキ13が伸長した状態の高所作業車の側面図を示し、図9(c−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図9(c−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示し、図9(d−1)は前後のアウトリガジャッキ13,13'が伸長した状態の高所作業車1の側面図を示し、図9(d−2)の右側は高所作業車1の背面視における右側前部のアウトリガジャッキ13の状態説明図を示し、図9(d−2)の左側は高所作業車1の背面視における左側後部のアウトリガジャッキ13'の状態説明図を示す。また、図10は、ジャッキ作動制御装置60によって車両を持ち上げ支持する場合のフローチャートを示す。
【0049】
図1(a)、図1(b)に示すように、高所作業車1が走行可能な状態で作業現場に到着して停止した状態では、4本のアウトリガジャッキ13,13'は格納状態にある。この状態で高所作業車1を持ち上げ支持するには、先ず、高所作業車1の前述したサイドブレーキを作動させて、後輪5をロック状態にする。そして、図10に示すように、作業者がジャッキ操作装置50(図7参照)の自動張出SW50aをON操作する(ステップ100)。自動張出SW50aがON操作されると、コントローラ61は4本のアウトリガジャッキ13,13'の各ジャッキシリンダ25を伸長させる(ステップ101)。
【0050】
4本のジャッキシリンダ25が伸長すると、コントローラ61は、前述した傾き角度センサ左前40a、傾き角度センサ右前40b、近接スイッチ左後36a、近接スイッチ右後36bの各センサからの検出信号に応じて4本の各ジャッキシリンダ25が接地よりも手前の停止位置Psに移動したか否かを判断する(ステップ102)。
【0051】
4本のジャッキシリンダ25のいずれかが停止位置を超えると、図8(a−1)及び図8(a−2)に示すように、コントローラ61は停止位置を超えるジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ103)。なお、ジャッキシリンダ25の伸長停止制御は、4本のジャッキシリンダ25の全てを停止させるまで行われる。
【0052】
そして、4本の全てのジャッキシリンダ25が停止位置で停止すると、ジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に後述する敷木が挿入可能な隙間Cが形成される。
【0053】
4本の全てジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に隙間Cが形成されると、図8(b−1)及び図8(b−2)に示すように、作業者は各ジャッキシリンダ25の接地板28と地面Gとの間に形成された隙間C内に敷木52を設置する(ステップ104)。隙間C内に敷木52が設置されると、接地板28と敷木52の上面との間には僅かな隙間が形成された状態で、接地板28が敷木52に接触する。
【0054】
敷木52が設置されると、作業者は自動張出SW50aを再びON操作する(ステップ105)。自動張出SW50aが再びON操作されると、コントローラ61は、図9(c−1)及び図9(c−2)に示すように、ジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bを伸長させる(ステップ106)。
【0055】
2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、コントローラ61は、前述した傾き角度センサ左前40a、傾き角度センサ右前40bの各センサからの検出信号に応じて2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になったか否かを判断する(ステップ107)。
【0056】
2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bのいずれかが全伸長状態になると、コントローラ61は全伸長状のジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ108)。そして、2本の全てのジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になるまでステップ107が実行される。そして、2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になると、図9(c−1)及び図9(c−2)に示すように、高所作業車1は後輪5が接地したままで車両の前側が持ち上がった状態になる。
【0057】
ここで、2本のジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になる過程では、前輪4が完全に浮き上がるまでは、車両の後輪5は常に地面Gに接触しており、また後輪5はロック状態にあるので、車両が逸走する虞はない。また、前輪4が完全に浮き上がった後にジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、車両はさらに後方側に傾いて後輪5の他にジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが接地する。この状態からさらにジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが伸長すると、後輪5は浮き上がり、ジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dは地面から反力を受けた接地状態になる。このため、ジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dの伸長時の車幅方向のすべり量を減少させることができる。
【0058】
2本の全てのジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bが全伸長状態になると、コントローラ61は車両後側のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dを伸長させる(ステップ109)。
【0059】
2本のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが伸長すると、コントローラ61は、前述した近接スイッチ左後36a、近接スイッチ右後36bの各センサからの検出信号に応じて2本の各ジャッキシリンダ25が全伸長の状態になったか否かを判断する(ステップ110)。
【0060】
2本のジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dのいずれかが全伸長状態になると、コントローラ61は全伸長状のジャッキシリンダ25の伸長を停止させる(ステップ111)。そして、2本の全てのジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが全伸長状態になるまでステップ110が実行される。
【0061】
そして、2本の全てのジャッキシリンダ左後25c及びジャッキシリンダ右後25dが全伸長状態になると、図9(d−1)及び図9(d−2)に示すように、車両の持ち上げ支持が完了する。
【0062】
このように、4本のアウトリガジャッキ13、13'により高所作業車1を持ち上げ支持する際に敷木52を設置する場合、ジャッキシリンダ25は接地する手前の位置(停止位置Ps)で一旦停止して、地面Gとの間に敷木52を挿入可能な隙間Cが形成され、この隙間Cに敷木52を挿入するようにして敷木52が地面Gに設置される。隙間Cは敷木52の高さと敷木52の挿入を考慮した余裕分の大きさを有しているので、ジャッキシリンダ25の伸長に伴って車幅方向に張り出すアウトリガジャッキ13、13'の敷木52の設置位置を容易に認識して設置することができる。従って、敷木52がジャッキシリンダ25の接地板28に対するずれを小さくすることができ、また敷木52が設置される地面Gの状態確認や障害物の有無の確認を十分に行うことができる。
【0063】
また敷木52を設置した後に、4本のアウトリガジャッキ13、13'が伸長して高所作業車1が持ち上げ支持されるので、ジャッキシリンダ25が伸長した後に縮小して敷木52の位置を調整し、その後にジャッキシリンダ25を伸長して車両を持ち上げ支持する場合と比較して、高所作業車1の持ち上げ支持する作業時間を短縮することができる。
【0064】
なお、前述した実施例では、車両前側に設けられジャッキシリンダ左前25a及びジャッキシリンダ右前25bは傾き角度センサ40(40a、40b)により、ジャッキシリンダ25の姿勢を検出するようにしたが、図11(a)、図11(b)に示すように、シリンダチューブ26に対するシリンダロッド27の突出量を伸長センサ65で検出し、この検出値に基づいてジャッキシリンダ25の姿勢を検知するようにしてもよい。ここで、図11(a)はアウトリガジャッキ13が縮小した状態にあるときのアウトリガジャッキ13の背面図を示し、図11(b)はアウトリガジャッキ13が接地する手前の位置に停止したときのアウトリガジャッキ13の背面図を示す。
【0065】
この場合、シリンダチューブ26をフレーム14の上部軸部20に回動自在に接続して、ロッド側端部が下方に位置するようにジャッキシリンダ25(25a,25b)をフレーム14に配置する。また伸長センサ65の本体部側をフレーム14内に取り付け、本体部から突出入自在に設けられたワイヤWの先端部をシリンダロッド27の先端部に取り付ける。
【0066】
このように伸長センサ65を用いる場合には、伸長センサ65の検出値とジャッキシリンダ25(25a,25b)の全体の長さを予め対応させておくことで、ジャッキシリンダ25(25a,25b)を全縮小状態にさせ、またジャッキシリンダ25(25a,25b)が接地する手前の位置で停止させ、ジャッキシリンダ25(25a,25b)を全伸長状態にさせることができる。
【0067】
また、前述した実施例では、車両後側のアウトリガジャッキ13'に設けられた近接スイッチ36(36a、36b)はリンク部材32を検出するように構成したが、図12(a)、図12(b)、図12(c)に示すように、近接スイッチ36(36a、36b)をフレーム14の裏板部18にジャッキシリンダ25に対向するように取り付けてもよい。ここで、図12(a)はアウトリガジャッキ13'が縮小した状態にあるときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示し、図12(b)はアウトリガジャッキ13'が接地する手前の位置に停止したときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示し、図12(c)はアウトリガジャッキ13'が全伸長状態にあるときのアウトリガジャッキ13'の背面図を示す。
【0068】
この場合、近接スイッチ36(36a、36b)は、ジャッキシリンダ25が全縮小状態にあるときはジャッキシリンダ25のシリンダチューブ26を検出して検出信号がONとなり、ジャッキシリンダ25が接地する手前の位置に延びると、シリンダロッド27の伸長によってシリンダチューブ26が近接スイッチ36(36a、36b)の検出領域の内側から外側に移動して、検出信号がONからOFFに切り替わり、ジャッキシリンダ25が更に伸長して全伸長状態になるまでは、シリンダチューブ26が近接スイッチ36(36a、36b)からさらに離反する方向に移動して検出信号をOFFに維持する。
【0069】
また、前述した実施例では、ジャッキシリンダ25は接地よりも手前の位置(停止位置Ps)で停止するように構成したが、この停止位置PSが変えられるようにしてもよい。この場合、図7に示すコントローラ61は、傾き角度センサ左前40a及び傾き角度センサ右前40bからの検出値に応じてジャッキシリンダ25(25a、25b)の伸長量の算出が可能であるので、ジャッキシリンダ25(25a、25b)の変更する停止位置に対するジャッキシリンダ25(25a、25b)の伸長量を予め対応させておくことで、傾き角度センサ左前40a及び傾き角度センサ右前40bかからの検出値からジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置を一義的に設定することができる。
【0070】
このようにジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置を変えられるようにすると、地面Gの状態に応じて敷木52を複数枚設置する必要があるときは、ジャッキシリンダ25(25a、25b)の停止位置をより上方位置に変更することができる。
【0071】
また前述した実施例では、アウトリガジャッキ13、13'がリンク式の場合を示したが、ジャッキシリンダ自体が車体幅方向に斜めに取り付けられたものでもよい。
【0072】
また、前述した実施例では、車両の前側のアウトリガジャッキ13に傾き角度センサ40を設け、車両の後側のアウトリガジャッキ13'に近接スイッチ36を設けた場合を示したが、全てのアウトリガジャッキ13,13'に傾き角度センサ40若しくは近接スイッチ36を設け、又は車両の前側のアウトリガジャッキ13に近接スイッチ36を設け、車両の後側のアウトリガジャッキ13'に傾き角度センサ40を設けてもよい。
【0073】
また4本のジャッキシリンダ25に荷重が作用したことを検知可能な荷重検出センサを設けてもよい。この荷重検出センサを設けることで、車両の傾き状態を確認することができ、車両の転倒を未然に防止することができる。
【0074】
また高所作業車1には、図1に示すように、伸縮ブーム10が設けられ、この伸縮ブーム10は車体格納時に略水平に延びるようにして格納される。また、伸縮ブーム10にはこの起伏角度を検出する起伏角センサが設けられている。この起伏角センサを水平面に対して伸縮ブーム10の傾き角度が検出可能に設定しておくと、起伏角センサによって車体の前後方向の傾きを検出することができるので、車両を水平状態にすることができる。
【0075】
また傾き角度センサ40や近接スイッチ36の代わりに、ジャッキシリンダ25の接地板28に距離計測用のセンサを取り付けて、接地板28と地面Gとの距離を検出してもよい。このようにすると、地面Gの凹凸に応じてジャッキシリンダ25の伸長を停止させることができ、敷木52の設置作業を容易にすることができる。
【0076】
また前述した実施例では、傾き角度センサ40としてシャフト42を有したポテンショメータを示したが(図3(a)参照)、ジャイロセンサでもよい。
【0077】
また前述した実施例では、全てのジャッキシリンダ25が斜めに張出するアウトリガジャッキ13,13'を示したが、これらの一部が垂直方向に延びるジャッキでもよい。
【0078】
また、前述した実施例では、アウトリガジャッキ13、13'を自動で張出する際に、ジャッキ操作装置50に設けられた自動張出SW50aを操作するように記載したが、この自動張出SW50aは、運転キャビン6内や、車体3のいずれかの場所に設けられてもよい。
【0079】
また、前述した実施例では、作業用車両として高所作業車1を例に示したが、移動式クレーン、レッカー車、車両運搬車でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 高所作業車(作業用車両)
3 車体
13、13' アウトリガジャッキ(ジャッキ)
36 近接スイッチ(ジャッキ停止位置検出手段)
40 傾き角度センサ(ジャッキ姿勢検出手段)
50 ジャッキ操作装置(ジャッキ操作手段)
60 ジャッキ作動制御装置
61 コントローラ(ジャッキ制御手段)
65 伸長センサ(ジャッキ姿勢検出手段)
Ps 停止位置(手前の位置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられ該車体の少なくとも下方に張り出して前記車体を支持するジャッキと、該ジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作手段と、前記ジャッキ操作手段の操作に応じて前記ジャッキの伸縮作動を制御するジャッキ制御手段とを備えた作業用車両のジャッキ作動制御装置であって、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ操作手段によって前記ジャッキを伸長させる操作がされると、該ジャッキが接地する手前の位置で前記ジャッキの伸長作動を停止させる
ことを特徴とする作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項2】
前記ジャッキは、前記車体の側方に斜め下方へ張り出し可能な張出式のジャッキ又はリンク式のジャッキであることを特徴とする請求項1に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項3】
前記ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前で停止する位置の姿勢になったか否かを検出するジャッキ姿勢検出手段を備え、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ姿勢検出手段により検出された検出値に応じて前記ジャッキの姿勢を決定し、この決定された前記ジャッキの姿勢が、該ジャッキが接地する手前の位置の姿勢になると、前記ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする請求項2に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項4】
前記ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前の停止位置に到達したか否かを検出するジャッキ停止位置検出手段を有し、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ停止位置検出手段により前記ジャッキが停止位置に到達したことを検出すると、前記ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする請求項2に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項5】
前記ジャッキは、前記車体の前側及び後側に設けられ、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキの伸長作動を停止させた後に前記ジャッキを前記ジャッキ操作手段の伸長操作によって伸長させる場合、前記車体が略水平になるまで、前記車体の前側に設けられたジャッキ及び前記車体の後側に設けられたジャッキを伸長作動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項6】
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキが接地する手前の停止位置調節が可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項1】
車体に設けられ該車体の少なくとも下方に張り出して前記車体を支持するジャッキと、該ジャッキの伸縮作動を操作するジャッキ操作手段と、前記ジャッキ操作手段の操作に応じて前記ジャッキの伸縮作動を制御するジャッキ制御手段とを備えた作業用車両のジャッキ作動制御装置であって、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ操作手段によって前記ジャッキを伸長させる操作がされると、該ジャッキが接地する手前の位置で前記ジャッキの伸長作動を停止させる
ことを特徴とする作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項2】
前記ジャッキは、前記車体の側方に斜め下方へ張り出し可能な張出式のジャッキ又はリンク式のジャッキであることを特徴とする請求項1に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項3】
前記ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前で停止する位置の姿勢になったか否かを検出するジャッキ姿勢検出手段を備え、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ姿勢検出手段により検出された検出値に応じて前記ジャッキの姿勢を決定し、この決定された前記ジャッキの姿勢が、該ジャッキが接地する手前の位置の姿勢になると、前記ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする請求項2に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項4】
前記ジャッキの伸長時に該ジャッキが接地する手前の停止位置に到達したか否かを検出するジャッキ停止位置検出手段を有し、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキ停止位置検出手段により前記ジャッキが停止位置に到達したことを検出すると、前記ジャッキの伸長作動を停止することを特徴とする請求項2に記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項5】
前記ジャッキは、前記車体の前側及び後側に設けられ、
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキの伸長作動を停止させた後に前記ジャッキを前記ジャッキ操作手段の伸長操作によって伸長させる場合、前記車体が略水平になるまで、前記車体の前側に設けられたジャッキ及び前記車体の後側に設けられたジャッキを伸長作動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【請求項6】
前記ジャッキ制御手段は、前記ジャッキが接地する手前の停止位置調節が可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の作業用車両のジャッキ作動制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−86882(P2013−86882A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225856(P2011−225856)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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