説明

作業監視機能付救出装置

【課題】閉所での作業者の作業をカメラで監視して、事故の発見、通報、さらに救出作業を迅速に行う作業監視機能付救出装置を提供する。
【解決手段】作業者を撮影する監視カメラと、前記監視カメラから得られる画像データに基づき前記作業者の動作が所定時間以上停止していると判断される場合に前記作業者に異常が発生したと判定して異常発生信号を出力する異常判定部と、前記異常判定部の異常発生信号に従って作業者に端が固定された巻き取りロープを巻上げる巻上ウィンチと、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホールや水槽等の閉所での作業者の作業を監視し、異常が検出された際には、作業者を救出する作業監視機能付救出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンホールや水槽等の閉所での作業中、作業者が例えば酸素欠乏症や有毒ガス中毒により倒れる事故が発生した場合、事故の発見、通報、救出を行うまでに時間が掛かり、内部作業者の生命が危険にさらされることがある。さらに、内部作業者の救出を行う際に、防護装備のない人が救出を行って同様に被災することもある。しかしながら、このような状況に好適に対応して、作業者に生じた事故の発見、通報、救出を迅速に行う手段はなかった。
【0003】
なお、例えば下記特許文献1には、監視領域を監視カメラで監視し、強盗が侵入してきたこと等の異常状態を特定するための予め設定された状態が監視された時に、その画像を外部に送ったり、強盗にマーキングをするための装置を駆動させる警察捜査支援装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−354459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、閉所での作業で起こり得る作業者の酸素欠乏症や有毒ガス中毒等による事故を、迅速に発見し、通報し、さらに救出作業を行うような手段は今までなく、作業者がより安全に作業が行えるサポート手段が望まれる。
【0006】
この発明は上記の課題を解消するためになされたもので、閉所での作業者の作業をカメラで監視して、事故の発見、通報、さらに救出作業を迅速に行う作業監視機能付救出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、作業者を撮影する監視カメラと、前記監視カメラから得られる画像データに基づき前記作業者の動作が所定時間以上停止していると判断される場合に前記作業者に異常が発生したと判定して異常発生信号を出力する異常判定部と、前記異常判定部の異常発生信号に従って作業者に端が固定された巻き取りロープを巻上げる巻上ウィンチと、を備えたことを特徴とする作業監視機能付救出装置にある。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、閉所での作業者の作業をカメラで監視して、事故の発見、通報、さらに救出作業を迅速に行う手段を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による作業監視機能付救出装置の構成を示す図である。マンホールや水槽やタンク等からなる一部に出入口12aのある閉所12の内部には作業者10が入っている。作業者10には作業前に予め巻上ウィンチ14の巻き取りロープ11の端が取り付けられ、巻上ウィンチ14で巻上げ可能にされる。閉所12の出入口12aには、監視カメラである例えばCCDカメラ13が作業前に取り付けられる。CCDカメラ13は、図2に示すように閉所12の内部が例えば上部から撮影できる位置に取り付けられればよい。コンピュータ等で構成される制御装置15は、CCDカメラ13、巻上ウィンチ14、通報装置16に接続されて、作業の監視、事故の発見、通報、救出作業の制御を行う。通報装置16は通報を行うためのブザーやベル、あるいは有線又は無線の電話回線を介して事故を通報する通信端末からなる。
【0010】
これらの、作業監視機能付救出装置を構成するCCDカメラ13、巻上ウィンチ14、制御装置15、通報装置16は、例えば巻上ウィンチ14、制御装置15、通報装置16は台座Bに一体に固定されて設けられ、台座Bが出入口12aに取り付けられ、さらにこれに接続されているCCDカメラ13が作業を撮影可能な位置に取り付けられて、セットされる。
【0011】
図3はこの発明による作業監視機能付救出装置の機能ブロック図を示す。制御装置15は、フレームメモリ部152、タイマ部153、画像記憶部154、対象物抽出部155、異常判定部156、CCDカメラ13との接続を行うAD変換部151、通報装置16や巻上ウィンチ14との接続を行う通報出力部157及びスイッチ部158を含む。
【0012】
図4は制御装置15の動作を示すフローチャートであり、以下動作について説明する。作業者10は巻き取りロープ11の端を身体に固定して閉所12に入ると、CCDカメラ13により閉所12内を上部から見た映像が撮影される。CCDカメラ13からのアナログの画像信号はAD変換部151でAD変換されてディジタルの画像データに変換され、変換されたディジタルの画像データはフレームメモリ部152に記憶される。フレームメモリ部152(FIFO構造を有する)では、最も古いデータを新しいデータに置き換えるようにして更新しながら所定量の画像データを記憶する(ステップS1)。
【0013】
対象物抽出部155はフレームメモリ部152の最新の画像データとそれ以前の画像データを読み出して比較する。作業者10が無事であれば画像に動きがあるので、それに合わせて巻き取りロープ11も動く。この時、前後の画像データ(フレームデータ)を比較し濃淡減算処理を施し背景の除去処理を行って動き成分を抽出する(ステップS2)。そして作業者10と巻き取りロープ11の成分を認識する(ステップS3)。
【0014】
異常判定部156は対象物抽出部155で認識された作業者10と巻き取りロープ11を含む対象物抽出部155からの対象物画像データの画像比較を行い、作業者10と巻き取りロープ11の少なくとも一方に動きがない状態が予め設定された所定時間以上続いた状態が生じていないかチェックする(ステップS4)。そして動きがない状態が所定時間以上続いた場合には、作業者10に異常が発生したと判断する(ステップS5)。
【0015】
異常発生の判断と同時に異常判定部156は異常発生信号を出力し、これを受けて通報出力部157は起動信号を送って通報装置16を起動させて、ブザーやベルを鳴らしたり、あるいは通信端末からの通信により異常発生の通報を行う(ステップS6)。また、スイッチ部158にオン信号を送って巻上ウィンチ14を起動し、作業者10の巻上げを開始して救出を行う(ステップS7〜S8)。さらに、画像記憶部154に画像取込信号を送ってフレームメモリ部152から異常発生前後の画像データを画像記憶部154に転送、すなわち入力するようにして、これと同時にタイマ部153より時計情報が画像記憶部154に送られ、画像データと時計情報を同時に画像記憶部154に記憶する(ステップS9〜S10)。
【0016】
なおこの発明は、閉所での作業時の異常発生による作業者の救出に特に効果的であるが、これに限定されることなく、危険な現場で作業する作業者全てに適用可能であり、相当の効果が得られる。
【0017】
以上により、閉所で酸素欠乏状態や有毒ガスが発生し作業者が倒れても、迅速な異常発生の通報が行える。また、迅速に発見し、さらに人が閉所に入らずに救助が迅速に行える。さらに、異常発生前後の映像を記録するため、異常発生の原因究明や今後の対策のための資料を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施の形態による作業監視機能付救出装置の構成を示す図である。
【図2】CCDカメラで撮影した画像の一例を示す図である。
【図3】図1の作業監視機能付救出装置の機能ブロック図である。
【図4】図3の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0019】
10 作業者、11 巻き取りロープ、12 閉所、12a 出入口、13 CCDカメラ(監視カメラ)、14 巻上ウィンチ、15 制御装置、16 通報装置、151 AD変換部、152 フレームメモリ部、153 タイマ部、154 画像記憶部、155 対象物抽出部、156 異常判定部、157 通報出力部、158 スイッチ部、B 台座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者を撮影する監視カメラと、
前記監視カメラから得られる画像データに基づき前記作業者の動作が所定時間以上停止していると判断される場合に前記作業者に異常が発生したと判定して異常発生信号を出力する異常判定部と、
前記異常判定部の異常発生信号に従って作業者に端が固定された巻き取りロープを巻上げる巻上ウィンチと、
を備えたことを特徴とする作業監視機能付救出装置。
【請求項2】
前記異常判定部の異常発生信号に従って通報を行う通報装置をさらに備えたことを特徴とする作業監視機能付救出装置。
【請求項3】
監視カメラから得られる画像データを更新しながら所定量格納するフレームメモリ部と、
時計情報を出力するタイマ部と、
異常判定部が異常発生信号と共に発生する画像取込信号に従って、前記フレームメモリ部に格納されている画像データと前記タイマ部からの時計情報を共に記憶する画像記憶部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業監視機能付救出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−287408(P2008−287408A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130429(P2007−130429)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】