説明

作業端末、管理システムおよびプログラム

【課題】点検結果の入力作業に伴う煩雑さを解消する。
【解決手段】点検者が、タグリーダ7を火災報知器のICタグにあてがうと、ICタグは、機器IDを含む反射波をタグリーダ7に送信する。タグリーダ7がこの反射波を受け取ると、CPU11は、その機器IDをRAM13に記憶し、表示部16に状態ボタンを表示させて、操作があるか否かを判断する。状態ボタンに対する押下の操作がある場合には、CPU11は、この操作に応じた結果情報と機器IDを対応付けて点検結果テーブル141に書き込む。一方、この操作がない場合には、CPU11は、タグリーダ7から機器IDを受信したか否かを判断し、新たな機器IDを受信したと判断すると、CPU11は、「良」を示す結果情報と機器IDとを対応付けて点検結果テーブル141に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器点検の結果データを管理するための作業端末、管理システム、およびプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
火災報知器などに対して定期的に行われる点検作業では、点検者は現場にチェックシートなどの記入用紙を持ち込み、点検結果をこれに記入する。記入された記入用紙は、ファクシミリなどによって送信され、これを受信した管理者はこの点検結果をコンピュータなどに入力して集計する。また、このような記入用紙に替えて、近年では、パームトップなどの携帯機器を用いて点検結果を入力し、集計するシステムが開発されている。特許文献1には、点検対象装置の表面等にその装置のIDナンバー等を搭載した固有情報認識体を設け、これを読み取って報告漏れや判定ミスを防ぐ点検情報管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−310711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、機器を点検した結果、機器が正常である(以下「良」という)か、正常でない(以下、「不良」という)かについて、いずれの場合であっても、入力操作を行わなければならず、入力作業は煩雑であった。
【0005】
本発明の課題は、点検結果の入力作業に伴う煩雑さを解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る作業端末は、試験装置に設けられたアンテナを有し、前記試験装置が試験対象機器に対して所定距離近接すると前記試験対象機器に設けられた発信装置から識別情報を前記アンテナを介して受信する受信装置と、前記受信装置が受信した識別情報を記憶する記憶手段と、試験結果を示す結果情報を受け取る結果情報受取手段と、前記記憶手段内の識別情報に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させる結果情報組合せ手段とを有し、前記結果情報組合せ手段は、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と当該識別情報とを組合せ、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報を新たに受信すると前記予め定められた結果情報と当該識別情報とを組み合わせることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記受信装置は、前記アンテナを介して前記発信装置から前記識別情報を受信するとともに、前記結果情報組合せ手段が当該識別情報と組み合わせる前記結果情報を前記発信装置に書き込むとよい。
【0008】
また、好ましくは、前記所定距離は、前記試験装置が前記試験対象機器に対して試験を行い得る距離であるとよい。
【0009】
また、好ましくは、前記受信装置は、複数の試験装置にそれぞれ設けられたアンテナを有し、前記複数の試験装置のいずれかが試験対象機器に対して所定距離近接すると、当該試験装置を識別する受信装置識別情報と、前記試験対象機器に設けられた発信装置から当該試験対象機器を識別する識別情報とを前記アンテナを介して受信し、前記記憶手段は、前記受信装置が受信した識別情報と受信装置識別情報との組を記憶し、前記結果情報組合せ手段は、前記記憶手段内の識別情報と受信装置識別情報との組に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させ、かつ、前記記憶手段に記憶された、識別情報と受信装置識別情報との組が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と前記組とを組合せ、前記記憶手段に記憶された、識別情報と受信装置識別情報との組が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報と前記受信装置識別情報とを新たに受信すると前記予め定められた結果情報と前記組とを組み合わせるとよい。
【0010】
また、本発明に係る管理システムは、試験対象機器を試験する試験装置と、試験対象機器に設けられ、識別情報を発信する発信装置と、上述の作業端末とを具備することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記試験対象機器の配置を取得する配置取得手段と、前記配置取得手段が取得した前記試験対象機器の配置に基づき、前記試験装置による前記試験対象機器の試験の手順を生成する手順生成手段とを具備するとよい。
【0012】
また、本発明に係るプログラムは、試験装置に設けられたアンテナを有し、前記試験装置が試験対象機器に対して所定距離近接すると前記試験対象機器に設けられた発信装置から識別情報を前記アンテナを介して受信する受信装置と、前記受信装置が受信した識別情報を記憶する記憶手段と、試験結果を示す結果情報を受け取る結果情報受取手段とを有するコンピュータを、前記記憶手段内の識別情報に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させる結果情報組合せ手段であって、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と当該識別情報とを組合せ、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報を新たに受信すると前記予め定められた結果情報と当該識別情報とを組み合わせる結果情報組合せ手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単かつ正確に点検結果の入力作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る管理システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】火災報知器および中央監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】作業端末の構成を示すブロック図である。
【図4】作業端末の外観を示す図である。
【図5】タグリーダを試験器に装着した状態を示す図である。
【図6】タグリーダを装着した試験器により火災報知器を点検する状態の概略を示す図である。
【図7】データベースサーバの構成を示すブロック図である。
【図8】作業端末の操作画面の一例を示す図である。
【図9(a)】作業端末の動作の流れを説明するフローチャートである。
【図9(b)】作業端末の動作の流れを説明するフローチャートである。
【図10】点検結果テーブルの一例を示す図である。
【図11】データベースサーバの記憶部に備えられた点検者データベースと機器データベースの一例を示す図である。
【図12】データベースサーバの記憶部に備えられた点検結果データベースの一例を示す図である。
【図13】作業端末によって点検される各機器の位置を示した配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A:構成)
(A−1:システム構成)
図1は、実施形態に係る管理システム9の全体構成を示す概念図である。この管理システム9は、火災報知設備の感知器の点検結果を管理するシステムである。図1に示す試験器2は、火災報知器3の作動確認をするためのものであり、火災報知器3に対して熱や上昇空気などを放出することにより擬似的な火災状態(以下、擬似火災状態という)を供給する試験手段である。火災報知器3は、「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」により定められた「火災報知設備の感知器」である。さらにこの火災報知器3には、固有の識別情報(以下、機器IDという)を記憶したICタグ31が設けられている。このICタグ31は、RFID(Radio Frequency Identification)であり、タグリーダ7が発信する電波を受信して、これをエネルギー源とし、自身に固有の機器IDを含んだ反射波を返す、いわゆるパッシブICタグである。タグリーダ7は、試験器2に設けられたアンテナ71を有し、試験器2が上述したICタグ31に予め定めた距離まで近接すると、ICタグ31に対して電波を発信してICタグ31から返される反射波を受信する受信装置である。このタグリーダ7は作業端末1と接続しており、受信した反射波が示す機器IDに応じた信号を作業端末1に送信する。
【0016】
作業端末1は、点検者が点検時に携帯する情報端末であり、タグリーダ7が送信する信号から機器IDを読み取り、この機器IDと点検者の操作に応じて火災報知器3の点検結果を示す点検データを生成し、無線通信によりこれを集計用端末8に送信する。集計用端末8は、パーソナルコンピュータなどで構成され、作業端末1から送信された点検データを集計する。また、集計用端末8は、ネットワーク5に接続されており、ネットワーク5を介してデータベースサーバ4に、集計した上述の点検データを送信する。中央監視装置6は、ビルなどの建造物において、複数配置されている火災報知器3のそれぞれと接続し、これらから送られる火災信号を監視するための装置である。ネットワーク5は、インターネットなどの情報通信回線であり、集計用端末8やデータベースサーバ4との間でデータのやり取りをする。データベースサーバ(図面では、「データベース」を「DB」と略記する)4は、ネットワーク5を介して集計用端末8から受け取った点検データを管理するデータ管理装置である。
【0017】
(A−2:火災報知器および中央監視装置の構成)
図2は、火災報知器3および中央監視装置6の構成を示すブロック図である。前述したICタグ31については、説明を省略する。図に示す発光部32は、制御信号を受けて点灯するLED(Light Emitting Diode)である。感知器33は、熱や煙などを感知して自動的に「火災が生じていることを示す電気信号」である火災信号を発信するセンサである。具体的には、熱などに感応して変形するダイヤフラムにより接点が開から閉に切り替えられることで、火災信号が生じるように構成されている。端子39は、感知器33が発信する火災信号や発光部32を制御する制御信号を、有線通信により中央監視装置6とやり取りするための接続端子である。
【0018】
中央監視装置6は、図に示すように複数の火災報知器3と接続しており、火災報知器3から火災信号を受け取ると、火災信号を発信した火災報知器3に対して、発光部32の発光を指示する制御信号を送信する。火災報知器3が端子39を介して、この制御信号を受け取ると、発光部32が発光する。これにより、この発光部32の発光する光を目視で確認することで、火災報知器3が、火災信号を中央監視装置6に発信したこと、および、中央監視装置6から発光を指示する制御信号を受信したことがわかる。
【0019】
(A−3:作業端末の構成)
図3は、作業端末1の構成を示すブロック図である。図に示すCPU(Central Processing Unit)11は、ROM12に記憶されているブートローダや記憶部14に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより作業端末1の各部を制御する制御手段である。なお、このような制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。ROM(Read Only Memory)12は半導体素子等で構成された読み出し専用の不揮発性記憶装置である。このROM12には、記憶部14に記憶されている基本OS(Operating System)をRAM(Random Access Memory)13にロードするためのブートローダやBIOS(Basic Input/Output System)などが記憶されている。RAM13はCPU11がプログラムを実行する際のワークエリアとして利用される。記憶部14はフラッシュメモリやハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、CPU11に読み込まれるプログラムを記憶するほか、種々のデータを記憶する。また、記憶部14は、作業端末1で入力される点検結果を記憶する点検結果テーブル141を有している。
【0020】
操作部15は、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号(以下、操作信号という)をCPU11に供給する。ここで、利用者は、試験器2により試験された火災報知器3を目視によって確認し、この操作部15によって、その試験の結果を表した情報(以下、結果情報という)を入力する操作も行う。したがって、CPU11は、試験結果を示す結果情報を受け取る結果情報受取手段として機能する。表示部16は、CPU11の制御の下、種々の情報(文字、画像等)を表示する表示手段であり、例えば液晶ディスプレイなどで構成される。図4は、作業端末1の外観を示す図である。図に示す作業端末1は、いわゆるPDA(Personal Digital Assistant)であり、丸みを帯びた平板状の筐体を備え、この筐体の一面には、表示部16の液晶ディスプレイ部分が配置されている。また、液晶ディスプレイ部分の周囲には、操作部15である各種のボタン15aや十字キー15bなどが備えられている。図に示す上辺右側には、接続端子17が、上辺左側には、通信部18が備えられている。接続端子17は、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインタフェースなどで構成される有線通信手段であり、後述するタグリーダ7のコード78と接続する。通信部18は、例えばIMT-2000に準拠した無線通信回路、あるいは、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線インタフェースなどで構成される無線通信手段であり、ネットワーク5との通信を行う。
【0021】
(A−4:タグリーダおよび試験器の構成)
タグリーダ7は、上述した火災報知器3に付されたICタグ31から、このICタグ31に固有の機器IDを含んだ反射波を受け取る機器であり、試験器2に装着可能に構成されている。図5は、タグリーダ7を試験器2に装着した状態を示す図である。試験器2は、試験室21と支持棒22とを備える。試験室21は、金属板や耐熱樹脂などで構成された有底円筒であり、図中上側には、開口部211を有している。この試験室21内部には、図示しない加熱装置や送風装置が備えられており、これらを駆動させることにより、擬似火災状態を供給する。支持棒22は、試験室21の底に取り付けられており、試験室21を支持する。
【0022】
タグリーダ7の接続部77は、試験器2の支持棒22に着脱可能な機構を有しており、例えばクリップやつかみ金物などで構成される。この接続部77からアーム76が延びており、その先端には接続部75が設けられている。この接続部75は、棒状の支持部材であるロッド74の一端に摺動可能に取り付けられている。この接続部75は、ロッド74から図示しない弾性体などによって下向きの付勢力を受けており、外力のない状態では、図に示すように、ロッド74の下端に位置するように構成されている。ロッド74のうち接続部75が取り付けられている側の反対側の端(上端)には、接続部73が固定的に取り付けられている。接続部73からはアーム76と略平行にアーム72が延びており、その先端には、環状のアンテナ71が取り付けられている。上述の位置関係により、アンテナ71の環は、図に示すように、試験器2の試験室21の上空に配置されることとなる。アンテナ71は、ICタグ31に対して電波を送信する送信機と、ICタグ31が返す反射波を受信する受信機を兼ね備えた送受信機である。アンテナ71は、受信した反射波を図示しない変調器で電気信号に変調する。コード78は、変調されたこの電気信号を作業端末1の接続端子17へ伝達する。接続端子17はコード78によって伝達された電気信号を、バス19を介してCPU11に送る。
【0023】
図6は、タグリーダ7を装着した試験器2により、火災報知器3を点検する状態の概略を示す図である。天井Rには、火災報知器3が設置されている。この火災報知器3を試験するに当り、まず点検者は、火災報知器3がタグリーダ7のアンテナ71の環によって囲まれるように、アンテナ71を火災報知器3の近傍にあてがうと、アンテナ71が装着された試験器2が火災報知器3に設けられたICタグ31に対して予め定めた距離まで近接する。この状態を図6(a)に示す。このとき、上述したように、接続部75はロッド74から、矢線D1の方向(図に示す下方向)に付勢力を受けている。そして、点検者は、試験器2の支持棒22を図6(b)の矢線D2の方向(図に示す上方向)に押すと、火災報知器3が開口部211を通り、試験室21の内部に収納される。このとき、接続部75は、上述した付勢力に抗してロッド74に沿って摺動する。図6(b)に示すように、火災報知器3が試験室21の内部に収納された状態になると、点検者は試験器2を操作して、試験室21の内部に擬似火災状態を発生させる。したがって、点検者が火災報知器3に対する試験としてこの擬似火災状態を供給したときに、火災報知器3の発光部32が発光すれば、点検者は、火災報知器3が正常に作動していることがわかる。一方、このとき、火災報知器3の発光部32が発光しなければ、点検者は、火災報知器3が正常に作動していないことがわかる。
【0024】
(A−5:データベースサーバ4の構成)
図7は、データベースサーバ4の構成を示すブロック図である。CPU41、ROM42、およびRAM43は、CPU11、ROM12、およびRAM13と同様の構成であるため、説明を省略する。記憶部44は、ハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、CPU41に読み込まれるプログラムを記憶するほか、点検結果データベース441、点検者データベース442、および機器データベース443を有している。点検結果データベース441は、点検者が作業端末1を用いて入力した点検結果を集計するデータベースである。点検者データベース442は、点検者名を点検者番号ごとに記憶するデータベースである。機器データベース443は、火災報知器3に付したICタグ31の機器IDと、この火災報知器3が設置されている場所名などを対応付けて記憶するデータベースである。操作部45は、キーボードやマウスなどを備えており、ユーザからの操作信号をCPU41に供給する。表示部46は、CPU41の制御の下、種々の情報を表示する表示手段であり、例えば液晶ディスプレイである。通信部48は、ネットワーク5とデータのやり取りをするための通信機器である。
【0025】
(B:動作)
次に、管理システム9の動作を説明する。特に作業端末1とデータベースサーバ4の動作を中心に説明する。
(B−1:作業端末の動作)
点検者が火災報知器3を点検する点検作業の概要は、以下のとおりである。点検者は、作業端末1に自己を示す点検者番号を入力し、火災報知器3にタグリーダ7のアンテナ71をあてがい、試験器2の試験室21の内部に火災報知器3を収納する。そして、点検者は試験器2を操作して、この火災報知器3に試験を行い、火災報知器3の作動状態を確認する。そして、点検者は、確認した火災報知器3の作動状態を作業端末1に入力し、別の火災報知器3の試験を行う。
以下、具体的な動作例を挙げてこのときの作業端末1の動作を説明する。
【0026】
図8は、作業端末1の操作画面の一例を示す図である。また、図9(a)および図9(b)は、作業端末1の動作の流れを説明するフローチャートである。まず、点検者が、作業端末1の操作部15を操作して、作業端末1を起動させると、作業端末1のCPU11は、表示部16を制御して、図8(a)に示すような操作画面を表示させる(ステップSA101)。この操作画面を点検者番号入力画面という。図に示すように点検者番号入力画面には、「点検者番号入力:」という文字列と、その文字列の下にテキストボックス161と、確認ボタン162とが表示されている。点検者が十字キー15bを操作すると、CPU11はその操作に応じて、テキストボックス161または確認ボタン162が選択されていることを示す図形を表示部16に表示させる。例えば、テキストボックス161が選択されているときには、図に示すように、テキストボックス161の矩形の中にテキストを入力する位置を示す図形(カーソルなど)を表示させる。なお、このとき、テキストボックス161と確認ボタン162との間に数字の0〜9が表示されたテンキーが表示される。点検者は、このテンキーを見ながら、十字キー15bとボタン15aを操作し点検者番号を入力すると、CPU11は入力された点検者番号をテキストボックス161に表示させる。
【0027】
次に、CPU11は、点検者を示す番号である点検者番号の入力があったか否かを判断する(ステップSA102)。そして、点検者番号の入力がない場合には(ステップSA102;NO)、当該入力を待ち続ける。点検者は点検者番号入力画面において、点検者番号をテキストボックス161に表示させた後、十字キー15bを操作すると、CPU11は、確認ボタン162を選択していることを示す画像を表示部16に表示させる。そして、点検者が所定のボタン15aを押下すると、CPU11は、点検者番号の入力があったと判断する。このようにして点検者番号の入力があった場合には(ステップSA102;YES)、CPU11は、入力された点検者番号をRAM13に記憶する(ステップSA103)。
次に、CPU11は、タグリーダ7からICタグ31の機器IDを受信したか否かを判断する(ステップSA104)。そして、機器IDの受信がない場合には(ステップSA104;NO)、機器IDの受信を待ち続ける。
【0028】
点検者が、図6(b)に示したように、火災報知器3が環の中に収まるように、タグリーダ7のアンテナ71をあてがうと、ICタグ31は、アンテナ71から送信された電波をエネルギー源として、自身の機器IDを含む反射波を発生させ、アンテナ71に送信する。アンテナ71がこの反射波を受け取り、機器IDを含んだ電気信号が作業端末1のCPU11に伝達されると、CPU11は、機器IDを受信したと判断し(ステップSA104;YES)、機器IDを受信した時刻を示す時刻データを、内蔵するタイマにより特定して、受信した機器IDと時刻データをRAM13に記憶するとともに(ステップSA105)、表示部16を制御して、図8(b)に示すような操作画面を表示させる(ステップSA106)。すなわち、RAM13は、タグリーダ7(受信装置)が受信した機器ID(識別情報)を記憶する記憶手段として機能する。そして、ステップSA105においては、RAM13に記憶された機器IDは未だ、結果情報と組み合わされていない状態である。この操作画面を点検結果入力画面という。図に示す点検結果入力画面には、ステップSA103でRAM13に記憶された点検者番号と、受信した機器IDが表示され、また、「良」の文字が記述された状態ボタン163と、「不良」の文字が記述された状態ボタン164が表示されている。これらの「良」「不良」は、これらが記述されている各状態ボタンが押下されることにより出力される結果情報に対応している。
【0029】
続いて、CPU11は、状態ボタンに対する押下の操作があるか否かを判断する(ステップSA107)。状態ボタンに対する押下の操作がある場合には(ステップSA107;YES)、CPU11は、押下された状態ボタンが示す結果情報を受け取り、ステップSA105で記憶されたRAM13内の機器IDに対し、この結果情報を対にしてRAM13に記憶させる。そしてCPU11は、RAM13に対にして記憶させた機器IDと結果情報を、ステップSA103でRAM13に記憶された点検者番号およびステップSA105でRAM13に記憶された時刻データと対応付けて記憶部14の点検結果テーブル141に書き込む(ステップSA108)。すなわち、CPU11は、RAM13(記憶手段)に記憶された機器ID(識別情報)が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、CPU11(結果情報受取手段)が結果情報を受け取るとその結果情報とその機器IDとを組み合わせる結果情報組合せ手段として機能する。例えば、試験を行って火災報知器3が正常に作動しないことを確認した場合に、点検者は、状態ボタン164を押下する操作を行い、その火災報知器3の結果情報として「不良」を入力する。これに対して、作業端末1のCPU11は、点検結果テーブル141にその火災報知器3の機器IDと時刻データに対応する結果情報として「不良」を書き込む。
【0030】
一方、状態ボタンに対する押下の操作がない場合には(ステップSA107;NO)、CPU11は、終了指示がされているか否かを判断する(ステップSA109)。終了指示とは、点検作業を終了する旨の指示であり、点検者が作業端末1の所定のボタン15aを押下することで行われる。CPU11は、ここで終了指示がされていると判断した場合には(ステップSA109;YES)、作業端末1を終了し、終了指示がされていないと判断した場合には(ステップSA109;NO)、CPU11は、タグリーダ7からICタグ31のすでにRAM13に記憶されている機器IDとは異なる新たな機器IDを受信したか否かを判断する(ステップSA110)。
【0031】
新たな機器IDを受信したと判断すると(ステップSA110;YES)、CPU11は、RAM13内の機器IDに対し、予め定められた結果情報として「良」を示す結果情報を対にしてRAM13に記憶させる。そしてCPU11は、RAM13に対にして記憶させた機器IDと結果情報を、ステップSA103でRAM13に記憶された点検者番号およびステップSA105でRAM13に記憶された時刻データと対応付けて記憶部14の点検結果テーブル141に書き込み(ステップSA111)、処理をステップSA105に戻す。すなわち、CPU11は、RAM13(記憶手段)に記憶された機器ID(識別情報)が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、タグリーダ7(受信装置)が機器IDを新たに受信すると予め定められた結果情報とその機器IDとを組み合わせる結果情報組合せ手段として機能する。例えば、試験を行って火災報知器3が正常に作動することを確認した場合に、点検者が、作業端末1の操作を行わずに、次の火災報知器3にアンテナ71を移動させたとする。この場合に、作業端末1には、直前に受信した機器IDで識別される火災報知器3についての結果情報が入力されず、次の機器IDが入力される。このとき、CPU11は、直前に受信した機器IDに対応付けて、予め定められた結果情報である「良」をRAM13に記憶させる。
一方、機器IDを受信していないと判断した場合には(ステップSA110;NO)、CPU11は、処理をステップSA107に戻す。これにより、改めて、状態ボタンが押下されたか否かが判断される。すなわち、点検者による操作待ちの状態になる。
【0032】
以上の動作から、点検者が、作業端末1の操作部15に対して操作をせずに、単に次の火災報知器3の試験を開始すると、CPU11は、直前に点検した機器IDに対応する結果情報として「良」を書き込むので、点検者は、火災報知器3の結果情報が良であるときには、結果情報の入力を省略することができる。つまり、点検者は、火災報知器3の点検結果が不良であるときにだけ「不良」を示す状態ボタン164を操作すればよいため、操作の煩雑さを低減することができる。
【0033】
図10は、このようにして点検データが書き込まれた点検結果テーブル141の一例を示す図である。例えば、図に示すように、機器ID「111,222,333」には、点検日時「2007/06/29 10:10:00」と、点検者番号「13,234」と、状態「良」とが対応付けられて記憶されている。この点検結果テーブル141に点検データが書き込まれた後、点検者が作業端末1に所定の操作を行うと、作業端末1のCPU11は、通信部18によりこれらの点検データを集計用端末8に送信する。集計用端末8は、ネットワーク5を介してこれらの点検データをデータベースサーバ4に送信する。
以下、データベースサーバ4が点検データを受信して点検結果データベース441を構築する動作を説明する。
【0034】
(B−2:データベースサーバの動作)
図11は、データベースサーバ4の記憶部44に備えられた点検者データベース442と、機器データベース443の一例を示す図である。また、図12は、記憶部44に備えられた点検結果データベース441の一例を示す図である。図11に示すように、点検者データベース442には、点検者番号と点検者名とが対応付けられて書き込まれている。また、機器データベース443には、機器IDと、場所、エリア、機器番号とが対応付けられて書き込まれている。集計用端末8から、ネットワーク5を介して点検データが送られてくると、データベースサーバ4のCPU41は、これをRAM43に記憶する。そして、CPU41は、記憶部44から点検者データベース442を読み出して、この点検データに含まれる点検者番号に対応する点検者名に置換する。また、CPU41は、記憶部44から機器データベース443を読み出して、点検データに含まれる機器IDを、場所、エリアおよび機器番号の組に置換する。そして、置換されたこの点検データを記憶部44の点検結果データベース441に書き込む。以上の動作により、CPU41は、点検結果データベース441を更新し、点検者が作業端末1を用いて入力した点検データが点検結果データベース441に反映される。
【0035】
このように、データベースサーバ4がネットワーク5に接続されているので、WEBサーバソフトウェアを適宜設定することにより、ネットワーク5に接続された汎用コンピュータで汎用ブラウザソフトウェアを稼働させるだけで、点検作業の状況を把握することができる。
【0036】
(C:変形例)
(1)上述の実施形態において、作業端末1で受信した点検データは、集計用端末8を介してデータベースサーバ4へ送られたが、作業端末1から直接、データベースサーバ4へ送るようにしてもよい。また、上述の実施形態において、各点検データは集計されてからデータベースサーバ4に送信されていたが、点検データごとにデータベースサーバ4に送信されてもよい。これにより、データベースサーバ4には、作業端末1による点検状況がリアルタイムに送信される。また、作業端末1は、点検データを生成する毎にデータベースサーバ4にこれを送信し、データベースサーバ4がこれを記憶するので、作業端末1に点検データを記憶する必要がなく、作業端末1の紛失に伴う点検データの紛失の可能性が低減される。
【0037】
また、上述の実施形態において、データベースサーバ4のCPU41は、記憶部44から点検者データベース442を読み出して、点検データに含まれる点検者番号に対応する点検者名に置換し、機器データベース443を読み出して、点検データに含まれる機器IDを、場所、エリアおよび機器番号の組に置換していたが、これらの置換作業は作業端末1や集計用端末8で行われてもよい。この場合、点検者データベース442および機器データベース443は作業端末1や集計用端末8に備えられており、作業端末1や集計用端末8により点検者番号がこれに対応する点検者名に、機器IDがこれに対応する場所、エリアおよび機器番号の組にそれぞれ変換されたデータをデータベースサーバ4が受け取ればよい。
【0038】
(2)上述の実施形態において、ICタグ31は、火災報知器3に付されていたが、消火器、散水装置および防犯装置などの他の機器に付されていてもよい。また、データベースサーバ4の記憶部44に記憶された機器データベース443には、機器IDと、場所、エリアおよび機器番号の組が対応付けられて記述されていたが、これらに加えてまたはこれらに代えて、機器IDに対応する他の情報が記述されていてもよい。例えば、機器IDが示す機器の位置を示す情報が記述されていてもよい。
【0039】
図13は、作業端末1によって点検される各機器の位置を示した配置図である。図に示す例では、点検者が点検する設備には4つの部屋とこれらの部屋をつなぐ廊下があり、各部屋は扉P1,P2,…,P6を通って出入りされるようになっている。これらの部屋および廊下には機器Q1,Q2,…,Q7が備えられている。機器データベース443には、各機器Q1〜Q7のそれぞれについて、他の機器および扉との距離を示す距離情報を記述されている。そして、CPU41は、この距離情報を基に点検者が点検する順路を作成し、作業端末1に送るようにしてもよい。例えば、点検者が扉P1から設備に入って点検を開始することが予め定められている場合には、CPU41は、機器データベース443から読み出した距離情報を基に、順路を示す順路情報として「P1→Q4→P2→Q1→P2→P3…」を生成し、ネットワーク5および集計用端末8を介して作業端末1へ送信してもよい。なお、この順路情報は、最短経路問題を解くための様々なアルゴリズムによって好適に生成される。
【0040】
また、機器データベース443にこれらの距離情報を記述するのではなく、記憶部44が、扉P1,P2,…,P6の位置および機器Q1,Q2,…,Q7の位置を示す位置情報を記憶していてもよい。CPU41は、点検の度にこの位置情報から順路を示す順路情報を生成してもよい。なお、CPU41は、作業端末1からリアルタイムに点検データを受け取った場合には、この位置情報を参照することで、この点検データを図13に示すような地図上に視覚的に表示させてもよい。これにより、データベースサーバ4のユーザは、点検者による点検の進捗具合をリアルタイムに、かつ、視覚的に把握することができる。
【0041】
また、このようなデータベースサーバ4のCPU41や作業端末1のCPU11は、逐次送られてくる点検データに含まれる機器IDを監視し、これに基づいて上述の順路情報が示す順路から外れて機器IDが送られた場合には、点検者に対し、指定した順路を外れていることを警告するようにしてもよい。また、CPU41は、順次送られてくる点検データに含まれる機器IDと点検日時との組から点検者が各機器ID間を移動した時間を算出し、機器データベース443の記述内容から各機器同士の距離を読み出して、点検者が点検に際して各機器間を移動した速度を測定速度として算出する。また、データベースサーバ4の記憶部44には、点検者が移動する標準的な移動速度を標準移動速度情報として予め記憶している。CPU41は、算出したこの測定速度と、記憶部44から読み出した標準移動速度情報とを比較することで、点検が標準的な移動速度に比して速く行われたか否かを判断してもよい。さらに、標準移動速度情報は上限と下限で示される範囲で定められており、CPU41は、測定速度がこの範囲内にない場合には、作業端末1を介して点検者に警告したり、点検結果データベース441にその点検結果の信頼性が低いことを示す内容を記述したりしてもよい。また、点検者ごとの評価に、この結果を用いてもよい。
【0042】
(3)上述の実施形態において、火災報知器3の発光部32の発光する光を目視で確認することで、火災報知器3が火災信号を中央監視装置6に発信したこと、および、中央監視装置6から発光を指示する制御信号を受信したことを、点検者が把握していたが、発光部32の発光する光を確認する手段は目視による確認に限られない。例えば、タグリーダ7に受光センサを設けてもよい。この受光センサは、アンテナ71を火災報知器3にあてがうと発光部32が発光する光が当たる位置に設けられている。そして、受光センサは、発光部32が発光するとその光を検知して、作業端末1に光を検知したことを示す信号を送信するようになっている。作業端末1は、点検者の点検結果とともに光を検知したか否かを記憶し、点検者の点検結果のクロスチェックに用いてもよい。
【0043】
なお、火災報知器3には、発光部32以外の機構であって、火災報知器3の状態を示すものが設けられていてもよい。例えば、火災報知器3には、超音波発生装置や電磁波発生装置などが備えられており、中央監視装置6の制御信号に応じて、超音波や電磁波などを発生するようにしてもよい。この場合、上記の受光センサに替えて、超音波や電磁波などを検出する検出装置を設ければよい。要するに、タグリーダ7には、機器が示す状態を機器状態信号として検知する検知手段が設けられていればよい。
【0044】
(4)上述の実施形態において、点検データは、作業端末1の点検結果テーブル141に書き込まれていたが、点検データはICタグ31に書き込まれてもよい。この場合には、タグリーダ7として、いわゆるRFIDリーダライタ等、ICタグ31に情報を書き込み可能な構成を用いればよい。作業端末1は、タグリーダ7を介して、ICタグ31から前回書き込まれた点検日時を最終点検日時として読み出すとともに、現在の日時を示す点検日時をICタグ31に書き込む。そして、これらの点検日時を比較することにより、点検の信頼性を評価するようにしてもよい。また、最終点検日時から現在の点検日時までの期間が予め定めた閾値を超えるまたは下回る場合には、CPU11は、作業端末1の表示部16に警告を表示させるようにしてもよい。なお、この場合、作業端末1がタグリーダ7を介してICタグ31に書き込む点検データは、点検データの全ての内容でなくてもよく、その一部であってもよい。
【0045】
(5)上述の実施形態において、ICタグ31とタグリーダ7により火災報知器3を識別していたが、他の構成を用いて識別してもよい。例えば、バーコードとバーコードリーダ、超音波発信機と超音波受信機などを用いて火災報知器3を識別してもよい。
【0046】
(6)上述の実施形態において、試験器2とICタグ31が予め定めた距離まで近接したときに、アンテナ71がICタグ31に対して電波を発信してICタグ31から返される反射波を受信していたが、この距離は、試験器2が火災報知器3に対して試験を行うことができる距離に設定されていてもよい。これにより、タグリーダ7のアンテナ71が反射波を受け取るには、試験可能な距離まで、試験器2を火災報知器3に近接させる必要が生じるので、試験結果を誤って入力することや悪意による入力を防止することができる。
【0047】
(7)上述の実施形態において、接続端子17は、USB規格に準拠したシリアルインタフェースなどで構成される有線通信手段であったが、無線通信手段であってもよい。この場合、コード78はなくてもよく、タグリーダ7のアンテナ71は直接、作業端末1の接続端子17に電気信号を送ればよい。
【0048】
(8)上述の実施形態において、1つの作業端末1に対して1つのタグリーダ7が接続されていたが、1つの作業端末1に対して複数のタグリーダ7が接続されてもよい。この場合、複数のタグリーダ7はそれぞれタグリーダIDによって識別されればよい。このタグリーダIDとは、複数のタグリーダ7のそれぞれに取り付けられたICタグ等に記憶された受信装置識別情報であり、例えば、タグリーダ7に備えられた図示しない変調器により、アンテナ71が受信した機器IDとともに電気信号に含められる。なお、タグリーダIDは、タグリーダ7のコード78が接続端子17と接続したときに、コード78を介してCPU11に伝達されてもよい。要するに、アンテナ71は、受信した機器IDを含んだ電気信号と、このアンテナ71が取り付けられているタグリーダ7を識別するタグリーダIDとをCPU11に伝達し、CPU11は、この機器IDとタグリーダIDとの組をRAM13に記憶すればよい。
【0049】
以下、点検者が、1つの作業端末1と2つのタグリーダ7A,7Bを携帯して火災報知器3を点検する場合を挙げて説明する。このタグリーダ7Aは試験器2Aに装着され、タグリーダ7Bは試験器2Bに装着されている。試験器2Aは、加熱装置を備えており、熱による擬似火災状態を供給する。試験機2Bは、煙を発生させる煙発生装置を備えており、煙による擬似火災状態を供給する。
【0050】
点検者が、火災報知器3が環の中に収まるように、タグリーダ7Aのアンテナ71Aをあてがうと、アンテナ71AがICタグ31から反射波を受け取り、タグリーダ7Aを示すタグリーダIDと機器IDとを含んだ電気信号が作業端末1のCPU11に伝達されると、CPU11は、タグリーダIDと機器IDとを受信したと判断し、機器IDを受信した時刻を示す時刻データを、内蔵するタイマにより特定して、受信した機器IDとタグリーダIDとの組と、時刻データをRAM13に記憶するとともに、表示部16を制御して点検結果入力画面を表示させる。
【0051】
続いて、CPU11は、状態ボタンに対する押下の操作があるか否かを判断する。状態ボタンに対する押下の操作がある場合には、CPU11は、押下された状態ボタンが示す結果情報を受け取り、RAM13内に記憶されている機器IDとタグリーダIDとの組に対し、この結果情報を対にしてRAM13に記憶させる。そしてCPU11は、RAM13に対にして記憶させた機器ID、タグリーダID、及び結果情報を、上述した点検者番号及び時刻データと対応付けて記憶部14の点検結果テーブル141に書き込む。
【0052】
一方、状態ボタンに対する押下の操作がない場合には、CPU11は、終了指示がされているか否かを判断する。ここで、終了指示がされていると判断した場合には、作業端末1を終了し、終了指示がされていないと判断した場合には、CPU11は、RAM13に記憶されている機器IDとタグリーダIDとの組に対し、少なくともいずれか一方が異なっている、機器IDとタグリーダIDとの組を受信したか否かを判断する。すなわち、CPU11は、RAM13に記憶されている組を構成する機器IDと異なる新たな機器ID、又は、その組を構成するタグリーダIDと異なる新たなタグリーダIDのいずれかを受信したか否かを判断する。
【0053】
新たな機器ID、又は新たなタグリーダIDを受信したと判断すると、CPU11は、RAM13内の機器IDとタグリーダIDとの組に対し、予め定められた結果情報として「良」を示す結果情報を対にしてRAM13に記憶させる。そしてCPU11は、RAM13に対にして記憶させた機器ID、タグリーダID、及び結果情報を、上述した点検者番号及び時刻データと対応付けて記憶部14の点検結果テーブル141に書き込む。
【0054】
例えば、点検者が、試験器2Aを操作して熱による擬似火災状態を供給する試験を行って火災報知器3が正常に作動することを確認した後に、点検者が、作業端末1の操作を行わずに、次の火災報知器3にアンテナ71Aを移動させたとすると、作業端末1には、直前に受信した機器IDで識別される火災報知器3と、タグリーダIDで識別されるタグリーダ7Aとの組についての結果情報が入力されず、次の機器IDがタグリーダ7Aを示すタグリーダIDとともに入力される。このとき、CPU11は、直前に受信した機器IDとタグリーダIDとの組に対応付けて、予め定められた結果情報である「良」をRAM13に記憶させる。
【0055】
一方、上記の確認をした後、点検者が作業端末1の操作を行わなかった場合に、点検者が、次の火災報知器3にアンテナ71Aを移動させるのではなく、その火災報知器3に対してタグリーダ7Bのアンテナ71Bをあてがったとすると、作業端末1には、直前に受信したタグリーダIDと機器IDとの組に対して、結果情報が入力されず、次のタグリーダIDと機器IDとが入力される。このときにも、CPU11は、直前に受信した機器IDとタグリーダIDとの組に対応付けて、予め定められた結果情報である「良」をRAM13に記憶させる。
【0056】
すなわち、RAM13(記憶手段)に記憶された機器ID(識別情報)とタグリーダID(受信装置識別情報)との組が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、CPU11(結果情報受取手段)が結果情報を受け取ると、CPU11(結果情報組合せ手段)は、その結果情報と上記の組とを組み合わせて記憶する。
一方、上述した状態のときに、CPU11(結果情報受取手段)がタグリーダ7(受信装置)から新たな機器IDとタグリーダIDとを受信すると、CPU11(結果情報組合せ手段)は、予め定められた結果情報と、RAM13に記憶されている機器IDとタグリーダIDとの組とを組み合わせて記憶する。
【符号の説明】
【0057】
1…作業端末、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…記憶部、141…点検結果テーブル、15…操作部、15a…ボタン、15b…十字キー、16…表示部、161…テキストボックス、162…確認ボタン、163…状態ボタン、164…状態ボタン、17…接続端子、18…通信部、19…バス、2…試験器、21…試験室、211…開口部、22…支持棒、3…火災報知器、31…ICタグ、32…発光部、33…感知器、39…端子、4…データベースサーバ、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…記憶部、441…点検結果データベース、442…点検者データベース、443…機器データベース、45…操作部、46…表示部、48…通信部、5…ネットワーク、6…中央監視装置、7…タグリーダ、71…アンテナ、72…アーム、73…接続部、74…ロッド、75…接続部、76…アーム、77…接続部、78…コード、8…集計用端末、9…管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験装置に設けられたアンテナを有し、前記試験装置が試験対象機器に対して所定距離近接すると前記試験対象機器に設けられた発信装置から当該試験対象機器を識別する識別情報を前記アンテナを介して受信する受信装置と、
前記受信装置が受信した識別情報を記憶する記憶手段と、
試験結果を示す結果情報を受け取る結果情報受取手段と、
前記記憶手段内の識別情報に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させる結果情報組合せ手段とを有し、
前記結果情報組合せ手段は、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と当該識別情報とを組合せ、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報を新たに受信すると前記予め定められた結果情報と当該識別情報とを組み合わせる
ことを特徴とする作業端末。
【請求項2】
前記受信装置は、前記アンテナを介して前記発信装置から前記識別情報を受信するとともに、前記結果情報組合せ手段が当該識別情報と組み合わせる前記結果情報を前記発信装置に書き込む
ことを特徴とする請求項1に記載の作業端末。
【請求項3】
前記所定距離は、前記試験装置が前記試験対象機器に対して試験を行い得る距離である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業端末。
【請求項4】
前記受信装置は、複数の試験装置にそれぞれ設けられたアンテナを有し、前記複数の試験装置のいずれかが試験対象機器に対して所定距離近接すると、当該試験装置を識別する受信装置識別情報と、前記試験対象機器に設けられた発信装置から当該試験対象機器を識別する識別情報とを前記アンテナを介して受信し、
前記記憶手段は、前記受信装置が受信した識別情報と受信装置識別情報との組を記憶し、
前記結果情報組合せ手段は、前記記憶手段内の識別情報と受信装置識別情報との組に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させ、かつ、前記記憶手段に記憶された、識別情報と受信装置識別情報との組が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と前記組とを組合せ、前記記憶手段に記憶された、識別情報と受信装置識別情報との組が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報と前記受信装置識別情報とを新たに受信すると前記予め定められた結果情報と前記組とを組み合わせる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の作業端末。
【請求項5】
試験対象機器を試験する試験装置と、
前記試験対象機器に設けられ、識別情報を発信する発信装置と、
請求項1から4のいずれかに記載の作業端末と
を具備することを特徴とする管理システム。
【請求項6】
前記試験対象機器の配置を取得する配置取得手段と、
前記配置取得手段が取得した前記試験対象機器の配置に基づき、前記試験装置による前記試験対象機器の試験の手順を生成する手順生成手段と
を具備することを特徴とする請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
試験装置に設けられたアンテナを有し、前記試験装置が試験対象機器に対して所定距離近接すると前記試験対象機器に設けられた発信装置から識別情報を前記アンテナを介して受信する受信装置と、
前記受信装置が受信した識別情報を記憶する記憶手段と、
試験結果を示す結果情報を受け取る結果情報受取手段とを有するコンピュータを、
前記記憶手段内の識別情報に対し前記結果情報受取手段が受け取った結果情報または予め定められた結果情報を対にして記憶させる結果情報組合せ手段であって、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記結果情報受取手段が結果情報を受け取ると当該結果情報と当該識別情報とを組合せ、前記記憶手段に記憶された識別情報が未だ結果情報と組み合わされていない状態のときに、前記受信装置が前記識別情報を新たに受信すると前記予め定められた結果情報と当該識別情報とを組み合わせる結果情報組合せ手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−262388(P2010−262388A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111246(P2009−111246)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(399008210)松栄電子工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】