説明

作業車の保護プレート取付構造

【課題】着脱作業が容易な作業車の保護プレート取付構造を提供する。
【解決手段】作業車の車両本体の下面に保護プレートPを取り付け、車両本体と保護プレートPとに亘って設けられ、保護プレートPを車両本体の底面と平行な方向にスライドさせつつ保護プレートPを車両本体の下面に係合させる前側および後側の係合部51,65,52,64と、保護プレートPが車両本体に係合した状態で、保護プレートPと車両本体とを固定する固定手段62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車の車両本体の下面に保護プレートを取り付ける作業車の保護プレート取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車においては、フロードや凸凹道等を走行するときに作業車の車両本体の下面を保護するように保護プレートを装備したものがある。
【0003】
当該保護プレートの取付構造としては、例えば、特許文献1に開示されているように、保護プレートの両側の縁部に設けた切欠にボルトを通して車両本体に取り付けるものがある。このような保護プレートは、保護プレートが磨耗・損傷して交換する際や、エンジンのオイル交換等の機器のメンテナンスを行う際に着脱が容易である利点がある。ただし、作業者は、着脱作業に際して保護プレートを手で支えつつ、車両本体に対するボルトの締結および取外しを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3132768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保護プレートのサイズや重量が増大する場合には、1人で保護プレートの着脱作業を行うことは困難である。
【0006】
本発明の目的は、着脱作業が容易な作業車の保護プレート取付構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業車の保護プレート取付構造は、作業車の車両本体の下面に保護プレートを取り付けるものであって、その第1特徴構成は、前記車両本体と前記保護プレートとに亘って設けられ、前記保護プレートを前記車両本体の底面と平行な方向にスライドさせつつ前記保護プレートを前記車両本体の下面に係合させる前側および後側の係合部と、前記保護プレートが前記車両本体に係合した状態で、前記保護プレートと前記車両本体とを固定する固定手段とを備えた点にある。
【0008】
本構成によれば、例えば、保護プレートの装着時には、作業者は、保護プレートを、車両本体の底面と平行な方向にスライドさせて車両本体の下面に係合させた後、車両本体に固定することができる。保護プレートの脱着時には、この逆の手順で行うことができる。
【0009】
これにより、従来のように、保護プレートを手で支えつつ、保護プレートを着脱する必要がなくなる。よって、保護プレートが大きい場合等であっても、1人での保護プレートの着脱作業が可能となり、取付作業の簡素化を図ることができる。これら係合部は、保護プレートを固定した後も、保護プレートの重量をある程度受け持つので、固定手段に掛かる荷重を低減できる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記前側および後側の係合部の夫々が、前記車両本体の幅方向に沿った両側に各別に設けてある点にある。
【0011】
例えば、地面の凸部を跨いで走行することがある。このとき、地面の凸部は、車両本体の幅方向に沿った中央側の位置においては、保護プレートに接触する可能性はあるものの、車両本体の幅方向に沿った両側の位置においては、保護プレートに接触する可能性は低い。よって、車両本体の幅方向に沿った両側に設けた係合部が、地面からの凸部に接触し難くなって、当該係合部が損傷する可能性が小さくなる。加えて、車両本体の幅方向に沿った両側で保護プレートを安定的に支えることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記前側および後側の係合部のうち前記車両本体の側に設けた係合部材が、前記車両本体から下方に向けて設けた延出部と、当該延出部の先端から後方に屈曲形成した載置部とを備えた点にある。
【0013】
本構成によれば、作業車がオフロードや凸凹道等を走行するときに、草木等が車両本体と前側および後側の係合部との間に引っ掛かり難くなる。よって、前側および後側の係合部が変形したり損傷することを抑制できる上、車体下部の清掃の手間が増える等の不都合が生じることもなくなる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記保護プレートが矩形状を呈し、前記前側の係合部のうち前記保護プレートの側に設けた前側の被係合部が、前記保護プレートの前縁のうち横幅方向の両端部に設けた切欠であり、前記後側の係合部のうち前記保護プレートの側に設けた後側の被係合部が、前記保護プレートの両側の縁部に設けた切欠、若しくは、前記両側の縁部の近傍に設けた開口部である点にある。
【0015】
本構成によれば、保護プレートに切欠若しくは開口部を形成するだけの簡単な構成で保護プレートに前側および後側の被係合部を設けることができる。しかも、保護プレートを車両本体の下面に係合させると、係合部材と保護プレートの切欠又は開口部との当接によって保護プレートの水平方向の移動が規制される。よって、車両本体への固定の際に保護プレートの位置決めを行い易くなる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記保護プレートの切欠又は開口部が、前記保護プレートを前記車両本体に対してスライドさせる際に、前記車両本体に設けた前記係合部材の横側面に当接して前記保護プレートを前記車両本体の特定位置に誘導するガイド縁部を備えている点にある。
【0017】
本構成によれば、保護プレートを車両本体に対してスライドさせるだけで保護プレートが誘導され、保護プレートの特定位置への位置決めが容易となる。
【0018】
本発明の第6特徴構成は、前記保護プレートの切欠又は開口部が、前記保護プレートを前記車両本体に対して前記特定位置に誘導すると、前記係合部材の横側面と当接するよう構成してある点にある。
【0019】
本構成によれば、保護プレートを特定位置に誘導すると、保護プレートの切欠又は開口部が係合部材と当接するように構成してあるから、保護プレートを特定位置に移動させた後の本固定作業が容易となる。
【0020】
本発明の第7特徴構成は、前記固定手段が、前記車両本体に取り付けるボルト部材と、前記保護プレートのうち前記ボルト部材に対応する箇所において、前記ボルト部材のネジ部の外径よりも僅かに広い幅を有し、前記保護プレートの横幅方向に延出する長穴とで構成してある点にある。
【0021】
本構成によれば、保護プレートを車両本体の下面に係合させたときに、保護プレートの位置が保護プレートの横幅方向に多少ずれていたとしても、ボルト部材を保護プレートの横幅方向に延出する長穴を通して車両本体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】作業車を示す側面図である。
【図2】車体フレームを示す側面図である。
【図3】車体フレームを示す平面図である。
【図4】車体フレームを示す前面図である。
【図5】車体フレームを示す後面図である。
【図6】車体フレームを示す底面図である。
【図7】車体フレームの下面に保護プレートを仮置きする動作を示す縦断面図である。
【図8】ボルトによって保護プレートを車体フレームに固定した状態を示す縦断面図である。
【図9】前側および後側のフック部に保護プレートを載置した状態を示す平面図である。
【図10】第2実施形態における前側および後側のフック部に保護プレートを載置した状態を示す平面図である。
【図11】第3実施形態における前側のフック部に保護プレートを載置した状態を示す平面図である。
【図12】第3実施形態における後側のフック部に保護プレートを載置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る作業車について説明する。
【0024】
〔全体構成〕
本発明の作業車としての多目的四輪車(UV)は、車両本体に保護プレートを装備することで、ロードや凸凹道等を走行するときに作業車の車両本体の下面を保護するものである。以下、各図面に基づいて本発明に係る実施形態を説明する。
【0025】
図1に示すように、多目的四輪車(UV)は、操向操作可能で駆動可能な右および左の前輪1と駆動可能な右および左の後輪2とによって自走する車両本体3を備えている。その車両本体3の前後中間部には、ロプスフレーム9および乗員が着座可能な運転座席10を有する運転部4が装備されている。運転部4の後方には、荷を積載可能な荷台5が装備されている。車両本体3の車体フレーム6の後部には、エンジン8が搭載され、そのエンジン8の後方には、静油圧式無段変速装置を有するミッションケース(図示しない)が搭載されている。運転部4の前方には、ボンネットBが装備されている。
【0026】
ミッションケースの両横側部には、右および左の後輪2が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、ミッションケースを介して静油圧式無段変速装置に伝達されて右および左の後輪2が回転駆動する。
【0027】
ミッションケースから前輪駆動軸(図示しない)が前方に延出され、この前輪駆動軸には、前輪デフ装置(図示しない)を介して右および左の前輪1が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、静油圧式無段変速装置を介して前輪デフ装置に伝達されて右および左の前輪1が回転駆動する。
【0028】
(車体フレーム)
図2〜図8に示すように、車体フレーム6は、左右一対の前後向きの第1フレーム21(メインフレーム)と、それら第1フレーム21に亘って架設された複数(本実施形態では4つ)の横向きの第2フレーム22とを備えて、平面視ではしご状に構成してある。第1フレーム21、並びに、前端および後端の第2フレーム22は、角筒状に構成してある。前寄りおよび後寄りの第2フレーム22は、上面部22aとその上面部22aの前後方向の両端から下方に延びる側面部22bと、それら側面部22bの下端から前後方向に延びる鍔部22cとを備えて、断面形状がハット状に構成してある。
【0029】
前端の第2フレーム22の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第3フレーム23が固定されている。それら第3フレーム23の下面には、金属製の前側の板状部材24が取り付けられている。
【0030】
左右一対の第1フレーム21の前端部の夫々には、左右一対の第4フレーム25が立設されている。それら第4フレーム25の上下中間部に亘って第5フレーム26が連結されている。第5フレーム26の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第6フレーム27が固定されている。第6フレーム27は、側面視で第3フレーム23よりも上方に位置しかつ平面視で第3フレーム23よりも横外側に位置してある。左右一対の第4フレーム25の上端部の夫々には、前方に延びる左右一対の第7フレーム28が固定されている。
【0031】
図7に示すように、第3フレーム23および第6フレーム27の両横側部の夫々には、上下揺動可能な前側のサスペンションアーム31を介して右および左の前輪1が支持されている。
【0032】
左右一対の第1フレーム21の前後中間部、その前後中間部から後寄りの箇所、および後端部の夫々には、左右一対の第10〜第12フレーム32〜34が立設されている。第10フレーム32の上端部と第11フレーム33の上下中間部とに亘って第13フレーム35が連結されている。第11フレーム33の上端部と第12フレーム34の上端部とに亘って第14フレーム36が連結されている。第14フレーム36は第12フレーム34から後方に突出している。
【0033】
後端の第2フレーム22の左右中間部には、後方に延びる第15フレーム37が固定されている。その第15フレーム37の下面には、金属製の後側の板状部材38が取り付けられている。
【0034】
後側の板状部材38と第14フレーム36の突出部分とに亘って前後一対の第16フレーム39が連結されている。それら第16フレーム39の両横側部の夫々には、上下揺動可能な後側のサスペンションアーム40を介して右および左の後輪2が支持されている。
【0035】
(車体フレーム側の係合部)
図2〜図9に示すように、車体フレーム6の下面に保護プレートPを取り付けるために、車体フレーム6には、保護プレートPを引っ掛けて仮置きするためのフック部51,52が形成されている。
【0036】
具体的には、図7に示すように、左右一対の第4フレーム25の下端部の夫々には、左右一対の前側のフック部51(前側の係合部のうち車両本体の側に設けた前側の係合部材の一例)が固定されている。前側のフック部51は、第4フレーム25の前面部の下側部分から下方に延びる延出部51aと、当該延出部51aの先端から後方に延びる矩形板状の載置部51bとを備えて、側面視で略L字状に構成してある。第4フレーム25の下端面に載置部51bが溶接固定されている。第4フレーム25の前面部の下側部分に延出部51aの上端部が当接されている。
【0037】
図6,図9に示すように、前側のフック部51の横外側の側端部は、平面視で第4フレーム25の横外側の側面部に重複している。前側のフック部51の横内側の側端部は、平面視で第4フレーム25の横内側の側面部よりも横内方に位置している。前側のフック部51の載置部51bの後端部は、平面視で前端の第2フレーム22に重複している。載置部51bにおける後側で横外側の隅部には、矩形状の切欠51cが形成されている。
【0038】
図7,図9に示すように、後端の第2フレーム22の右側部および左側部の夫々には、左右一対の後側のフック部52(後側の係合部のうち車両本体の側に設けた後側の係合部材の一例)が固定されている。後側のフック部52は、後端の第2フレーム22の前面部の下側部分から下方に延びる延出部52aと、当該延出部52aの先端から後方に延びる舌片状の載置部52bとを備えて、側面視で略L字状に構成してある。後側のフック部52の延出部52aの横幅は、前側のフック部51の延出部51aの横幅よりも幅狭にしてある。後側のフック部52の延出部52aの前後幅は、前側のフック部51の延出部51aの前後幅よりも幅狭にしてある。
【0039】
後側の板状部材38の前部、前端の第2フレーム22の左右中間部、前寄りおよび後寄りの第2フレーム22の左右中間部、右側部、左側部の夫々には、複数の丸穴55が形成されている。
尚、穴55は、丸穴に限られるものではなく、長穴であってもよい。
【0040】
(保護プレート側の被係合部)
図1に示すように、前記保護プレートPは、樹脂製(ポリプロピレン製)の矩形板状に構成してある。保護プレートPによって車体フレーム6の下面を隙間や継ぎ目なく覆ってある。つまり、保護プレートPは、車体左右方向で左右の第1フレーム21同士に亘って左右の第1フレーム21の間の下側を覆う状態で、かつ車体前後方向で運転部4の運転部床の前部箇所からエンジン8の後部箇所に亘って左右の第1フレーム21の間の下側を覆う状態で設けられている。
【0041】
図6,図8,図9に示すように、前記保護プレートPの前側の両隅部の夫々には、第4フレーム25との干渉を防ぐために矩形状の切欠56が形成されている。保護プレートPの後側の両隅部の夫々には、横方向から前側に傾斜する方向に沿う傾斜状の切欠57が形成されている。保護プレートPのうち、複数の丸穴55に対応する箇所(保護プレートPの前側の左右中間部、前寄りの左右中間部、前寄りの右側部、前寄りの左側部、後寄りの左右中間部、後寄りの右側部、後寄りの左側部、後側の右側部、後側の左側部)には、複数の丸穴60が形成されている。これら丸穴60の外径は、後述するボルト62のネジ部の外径よりも大きく設定してある。保護プレートPの両側の縁部の後側箇所の近傍(保護プレートPの後側の左右両端部)の夫々には、矩形状の穴64(後側の係合部のうち保護プレートの側に設けた後側の被係合部、開口部の一例)が形成されている。穴64の横幅は、後側のフック部52の延出部52aの横幅よりも幅広にしてある。
尚、穴64の形状は、矩形状に限られるものではなく、特に限定されない。
【0042】
(保護プレートの取付動作)
図7に示すように、最初に、車両本体3の車体フレーム6の下面に保護プレートPを仮置きする。つまり、前側のフック部51の載置部51bに保護プレートPの前縁のうち横幅方向の両端部65(前側の係合部のうち保護プレートの側に設けた前側の被係合部の一例)を載置する。この状態では、保護プレートPの両端部65が前側のフック部51の延出部51aに当接していない。保護プレートPの後側を持ち上げて、後側のフック部52を穴64を通して保護プレートPの下方に突出させる。保護プレートPを前方にスライド移動させて、後側のフック部52の載置部52bに保護プレートPの穴47の後側部分64bを載置して保護プレートPを仮置き位置(特定位置の一例)に位置決めする。
【0043】
尚、この実施形態では、保護プレートPを仮置き位置に位置決めしたときに、保護プレートPの穴64の後側部分64bが後側のフック部52の延出部52aに当接しているが、保護プレートPを仮置き位置に位置決めしたときに、保護プレートPの両端部65が前側のフック部51の延出部51aに当接してもよい。
【0044】
後端の第2フレーム22の下面部と後側のフック部52の載置部52bの載置面との間隔は、保護プレートPの厚みよりも少し大きくしてある。これにより、車両本体3の車体フレーム6の下面に保護プレートPを仮置きし易くしながらも保護プレートPのガタツキを抑制できる。
【0045】
前側のフック部51の載置部51bの後端部が、平面視で前端の第2フレーム22に重複している。前端の第2フレーム22と載置部51bとの間隔は、保護プレートPの厚みよりも少し大きくしてある。これにより、車両本体3の車体フレーム6の下面に保護プレートPを仮置きしたときに、前側のフック部51の載置部51bの後端部と前端の第2フレーム22とによって保護プレートPが挟み込まれることになり、保護プレートPのガタツキを一層抑制できる。
【0046】
図8に示すように、その後、車両本体3の車体フレーム6の下面に保護プレートPを固定する。つまり、頭部に保護プレートPを支持する押さえ部材61が固定された複数のボルト62(ボルト部材の一例)を、保護プレートPに形成された丸穴60と、前端、前寄り、および後寄りの第2フレーム22に形成された丸穴55とを通して、それら第2フレーム22の上側に位置する湾曲した薄板状のばねナット63のねじ部に連結する。2つのボルト62を、保護プレートPに形成された丸穴60および後側の板状部材38に形成された丸穴55を通して、後側の板状部材38の上側に位置する湾曲した薄板状のばねナット63のねじ部に連結する。
【0047】
このとき、押さえ部材61の筒部が保護プレートPに形成された丸穴60に嵌り込むとともに、押さえ部材61の鍔部が保護プレートPの丸穴60の周縁部を支持する。
【0048】
これにより、従来のように、保護プレートPの取り付けおよび取り外しを行う際に、保護プレートPを手で支えつつ、保護プレートPと車両本体3とを固定したり保護プレートPと車両本体3との固定を解除する必要がなくなる。よって、車両本体3の下面に1枚の大きな保護プレートPを固定する場合であっても、1人で保護プレートPの取り付けおよび取り外しを行うことができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
図10に示すように、この実施形態では、保護プレートPの前縁のうち横幅方向の両端部に矩形状の切欠66(前側の被係合部の一例)を設けて、それら切欠66の夫々に前側のフック部51が入り込み可能に構成してある。
【0050】
(保護プレートの取付動作)
前側のフック部51の載置部51bに保護プレートPの切欠66における横方向に沿う第1部分66aを載置する。保護プレートPの後側を持ち上げて、後側のフック部52を穴64を通して保護プレートPの下方に突出させる。保護プレートPを前方にスライド移動させる。後側のフック部52の載置部52bに保護プレートPの穴64の後側部分64bを載置して保護プレートPを仮置き位置に位置決めする。
【0051】
このとき、前側のフック部51の延出部51aの横側面51dと保護プレートPの切欠66における前後方向に沿う第2部分66bとの当接、および、後側のフック部52の延出部52aの横側面52cと保護プレートPの穴64の横側部分64aとの当接によって、保護プレートPの横方向の移動が規制される。
【0052】
〔第3実施形態〕
図11,図12に示すように、この実施形態では、第2実施形態の保護プレートPの切欠66における第2部分66b、および、保護プレートPの穴64の横側部分64aの夫々に、前後方向から横側に傾斜するガイド縁部71,72を形成して、保護プレートPを車両本体3の仮置き位置に誘導するように構成してある。
【0053】
(保護プレートの取付動作)
前側のフック部51の載置部51bに保護プレートPの切欠66における横方向に沿う第1部分66aを載置する。保護プレートPの後側を持ち上げて、後側のフック部52を穴64を通して保護プレートPの下方に突出させる。保護プレートPを前方にスライド移動させる。後側のフック部52の載置部52bに保護プレートPの穴64の後側部分64bを載置して保護プレートPを仮置き位置に位置決めする。
【0054】
このとき、保護プレートPの切欠66の第2部分66bの前側箇所に形成されたガイド縁部71が、前側のフック部51の延出部51aの横側面51dを案内し、保護プレートPの穴64の横側部分64aの前側箇所に形成されたガイド縁部72が、後側のフック部52の延出部52aの横側面52cを案内することによって、保護プレートPを仮置き位置に誘導することができる。
【0055】
さらに、保護プレートPを仮置き位置に誘導したときに、保護プレートPの切欠66の第2部分66bの後側箇所に形成された前後方向に沿う当接部73が前側のフック部51の延出部51aの横側面51dと当接し、保護プレートPの穴64の横側部分64aの後側箇所に形成された前後方向に沿う当接部74が後側のフック部52の延出部52aの横側面52cに当接することによって、保護プレートPを仮置き位置に維持することができる。
【0056】
つまり、保護プレートPの穴64の後側部分64bが後側のフック部52の延出部52aに当接して、保護プレートPの前後方向の位置が決まると共に、保護プレートPの当接部73,74がそれぞれ前側のフック部51の延出部51aの横側面51dおよび後側のフック部52の延出部52aの横側面52cに当接して、保護プレートPの横方向の位置が決まる。よって、ボルト62を、保護プレートPに形成された丸穴60や第2フレーム22に形成された丸穴55に通し易くなる。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)複数のボルト62に固定された押さえ部材61を省略してボルト62の頭部で保護プレートPを支持してもよい。このとき、保護プレートPのうちボルト62(固定手段の一例)に対応する箇所において、ボルト62が挿通可能で、かつボルト62の頭部が挿通不能な長穴(固定手段の一例)、すなわち、ボルト62のネジ部の外径よりも僅かに広く、かつボルト62の頭部よりも狭い幅を有し、保護プレートPの横幅方向に延出する長穴(固定手段の一例)を形成してもよい。
【0058】
これにより、保護プレートPを車両本体3の下面に係合させたときに、保護プレートPが仮置き位置から保護プレートPの横幅方向に多少ずれていたとしても、ボルト62を保護プレートPの横幅方向に延出する長穴を通して車両本体3に取り付けることができる。
【0059】
(2)第4フレーム25に左右一対の前側のフック部51を固定する構成に代えて、前端の第2フレーム22に左右一対の前側のフック部51を固定してもよい。
【0060】
(3)保護プレートPの両側の縁部の後側箇所の近傍の夫々に矩形状の穴を形成する構成に代えて、保護プレートPの両側の縁部の後側箇所の夫々に切欠を形成してもよい。
【0061】
(4)保護プレートPに前側および後側の係合部材51,52を設けるとともに、車両本体3の下面に前側および後側の被係合部65,64を設けてもよい。
【0062】
(5)保護プレートPを前後に2分割以上の分割プレートで構成し、それぞれの分割プレートを上記の取付構造で取り付けるように構成してもよい。
【0063】
(6)保護プレートPによって車体フレーム6の下側を覆う範囲は、適宜設定可能であり、例えば、運転部4の運転部床の下側箇所のみを覆うものや、エンジン8の下側箇所のみを覆うものであってもよい。
また、上記実施形態での保護プレートPの前端側をボンネットBの下側箇所にまで延長させたり、保護プレートPの後端側をミッションケースの下側箇所にまで延長させてもよい。このとき、前側および後側の板状部材24,38を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、トラクタやスキッドステアローダやバックホウ等、各種作業車に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
3 車両本体
51,52 係合部材(係合部)
51a,52a 延出部
51d,52c 横側面
51b,52b 載置部
60 丸穴(固定手段)
62 ボルト部材(固定手段)
64,66 後側の被係合部(係合部)、開口部(係合部)
65 前側の被係合部
66 切欠(係合部)
71,72 ガイド縁部
P 保護プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車の車両本体の下面に保護プレートを取り付ける作業車の保護プレート取付構造であって、
前記車両本体と前記保護プレートとに亘って設けられ、前記保護プレートを前記車両本体の底面と平行な方向にスライドさせつつ前記保護プレートを前記車両本体の下面に係合させる前側および後側の係合部と、
前記保護プレートが前記車両本体に係合した状態で、前記保護プレートと前記車両本体とを固定する固定手段とを備えた作業車の保護プレート取付構造。
【請求項2】
前記前側および後側の係合部の夫々が、前記車両本体の幅方向に沿った両側に各別に設けてある請求項1に記載の作業車の保護プレート取付構造。
【請求項3】
前記前側および後側の係合部のうち前記車両本体の側に設けた係合部材が、前記車両本体から下方に向けて設けた延出部と、当該延出部の先端から後方に屈曲形成した載置部とを備えた請求項1又は2に記載の作業車の保護プレート取付構造。
【請求項4】
前記保護プレートが矩形状を呈し、
前記前側の係合部のうち前記保護プレートの側に設けた前側の被係合部が、前記保護プレートの前縁のうち横幅方向の両端部に設けた切欠であり、
前記後側の係合部のうち前記保護プレートの側に設けた後側の被係合部が、前記保護プレートの両側の縁部に設けた切欠、若しくは、前記両側の縁部の近傍に設けた開口部である請求項3に記載の作業車の保護プレート取付構造。
【請求項5】
前記保護プレートの切欠又は開口部が、前記保護プレートを前記車両本体に対してスライドさせる際に、前記車両本体に設けた前記係合部材の横側面に当接して前記保護プレートを前記車両本体の特定位置に誘導するガイド縁部を備えている請求項4に記載の作業車の保護プレート取付構造。
【請求項6】
前記保護プレートの切欠又は開口部が、前記保護プレートを前記車両本体に対して前記特定位置に誘導すると、前記係合部材の横側面と当接するよう構成してある請求項5に記載の作業車の保護プレート取付構造。
【請求項7】
前記固定手段が、前記車両本体に取り付けるボルト部材と、前記保護プレートのうち前記ボルト部材に対応する箇所において、前記ボルト部材のネジ部の外径よりも僅かに広い幅を有し、前記保護プレートの横幅方向に延出する長穴とで構成してある請求項1から6のいずれか1項に記載の作業車の保護プレート取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−25281(P2012−25281A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166299(P2010−166299)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】