作業車両のエンジン回転数調節装置
【課題】エンジン始動時にはエンジンの調速機構10の調節位置を設定された所定の位置、例えばローアイドリング位置に調節し、また、エンジンの回転数設定器27が操作されるまでその調節位置を保持するエンジン回転数調節装置を提供する。
【解決手段】制御装置33は、キースイッチ26が投入されて電源が制御装置33に接続されると、調速機構10の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータ16を作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27からパルス信号が発せられると、調速機構10の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータ16を作動制御する。
【解決手段】制御装置33は、キースイッチ26が投入されて電源が制御装置33に接続されると、調速機構10の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータ16を作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27からパルス信号が発せられると、調速機構10の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータ16を作動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両において、エンジンの調速機構をギヤードモータ等のアクチュエータを用いて制御するエンジンの回転数調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車両のエンジン回転数調節装置としては、操縦部に設けたエンジンコントロールレバー或いはフートアクセルペダルをエンジンのカバナレバーにワイヤ等を介して連結する機械的な調節装置が一般的に用いられている。また、近年ではコモンレール式等の燃料噴射の電子制御化に伴い、エンジンコントロールユニット(ECU)によってエンジン回転数を電気的に制御することが知られている。
さらに、両者の中間の技術として、エンジンの調速機構をアクセル設定具で作動される電動アクチュエータで操作し、エンジン回転数を電気・機械的に制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−10718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したエンジン回転数を電気・機械的に制御する技術、又は完全に電気的に制御する技術は、エンジン回転数の設定器を例えば、ポテンショメータ等の電気部品を用いて構成することができるため、カバナレバーを機械的にエンジンコントロールレバーによって作動させるものより操作力を少なくして、軽快にエンジン回転数を変更することができる。
しかし、従来のエンジン回転数の設定器は、その操作部がレバー式であろうとダイヤル式であろうと基準位置からの絶対的な変位量を出力するものであったため、エンジン始動時に仮に設定器が高速側に設定されていると、エンジンが高速回転で始動することになるため、突発的な発進等によって事故等を起こす虞があると共に、無駄に燃料を消費するという問題がある。
なお、特許文献1には、エンジン始動時にエンジン停止を招かないようにするために、キースイッチを予熱位置にすると調速機構を最高回転位置に制御することが記載されている。ところでこの場合、エンジンが始動した後はアクセル設定具によって設定されたエンジン回転数に設定されるので、ここでアクセル設定具が予め高速側に設定されていると、その後もエンジンが高速回転のままであるため、前述した問題が特許文献1において解決される訳ではない。
そこで、本発明は係る問題点に鑑みて、エンジン始動時にはエンジンの調速機構の調節位置を設定された所定の位置、例えばローアイドリング位置に調節し、また、エンジンの回転数設定器が操作されるまで、その調節位置を保持するエンジン回転数調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備える作業車両のエンジン回転数調節装置において、前記制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の作業車両のエンジン回転数調節装置によれば、エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備え、回転数設定器としてロータリエンコーダを用いるものであるから、エンジン回転数を変更する際の操作力を少なくすることができ、軽快にアクセル操作を行うことができる。
また、制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御するから、例えば、所定の位置をローアイドリング位置に設定することによって、エンジン始動時の突発的な急発進等を防止することができると共に、燃料の無駄な消費を防止することができる。
さらに、制御装置は、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御するから、低温時等でエンジンの始動性が悪い場合にはキースイッチを投入した後、回転数設定器を操作して調速機構の調節位置を当初設定された位置から高速回転側に調節し、再びエンジンの始動を試みることによりエンジンの始動性を高める、といった融通性に富んだエンジン回転数の制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】エンジンの回転数調節部を示す斜視図である。
【図3】エンジン回転数調節装置の側面図(a)及びガバナレバー部の平面図(b)である。
【図4】メーターパネルの正面図である。
【図5】メーターパネルの背面図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【図7】エンジン制御のフローチャートである。
【図8】停止制御のフローチャートである。
【図9】回転数制御のフローチャートである。
【図10】回転数記憶のフローチャートである。
【図11】ロータリエンコーダの断面図である。
【図12】後方作業灯の作用を示す側面図である。
【図13】後方作業灯の取付状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように作業車両としてのトラクタ1は、機体前部に備えるエンジン2と、エンジン動力を変速する変速装置を内蔵するミッションケース3と、変速された動力で駆動される前輪4及び後輪5と、運転操作部6を覆うキャビン7と、作業機8を連結する昇降リンク機構9とを備えて構成されている。
【0009】
図2乃至図3に示すように、エンジン2はディーゼルエンジンで構成され、その調速機構を構成するガバナレバー10は、ローアイドルストッパ11とハイアイドルストッパ12との間で回動自在に軸支され、戻しスプリング13によって常にローアイドル側に付勢されている。また、ガバナレバー10の溝には2本のワイヤ14,15の前端側に設けられたアイエンドがそれぞれ挿通されている。
そして、2本のワイヤ14,15の内、機体内側のワイヤ14の後端側はアクチュエータ16の作動リンク17に連結している。また、機体外側のワイヤ15の後端側に設けたアイエンドはフートアクセルペダル18の作動リンク19に連結している。
なお、アクチュエータ16並びに作動リンク17はメーターパネル20を取付けるフレームに取付けられ、フートアクセルペダル18並びに作動リンク19はキャビン7のフロア21に取付けられている。
【0010】
ここで、前述したアクチュエータ16について詳述すると、アクチュエータ16は電動モータAと減速機Bを一体的に連結したギヤードモータから構成される。また、ギヤードモータ16の出力軸に連結した作動アーム22は連杆23を介して作動リンク17を回動させる。
なお、作動リンク17のワイヤ14の取付部には、ポテンショメータから構成するカバナセンサ24の回動子が取付けられており、このカバナセンサ24はアクチュエータ16によって作動する調速機構の調節位置を検出する。
【0011】
一方、座席前方に設けられたメーターパネル20には、図4に示すようにエンジン回転計や液晶表示器(LCD)等を一体に組み込んだメータユニット25、キースイッチ26、ロータリエンコーダ27、スイッチアッシー28等の電装部品が装着され、メーターパネル20の中央下部にはチルトハンドルのコラム29を収容する凹部30が形成されている。
なお、スイッチアッシー28は、複数の押しボタンスイッチとLEDランプから構成され、図5に示すようにスイッチアッシー28の基板はメーターパネル20の裏面側においてカバー31が被せられて覆われる。
また、カバー31のチルトハンドルのコラム29を収容する凹部30側には隔壁31aを一体的に立ち上がらせて形成している。これは、カバー31に孔31bを設けて、この孔31bにスイッチアッシー28に接続するハーネスのコネクタ32を通すことによって、コネクタ32の着脱をカバー31の外側から容易に行うことができるようにするものである。しかし、洗車時などに凹部30側から入り込んだ水がコネクタ32に当たり、さらにコネクタ32を通す孔31bからスイッチアッシー28の基板内に浸入する虞がある。そこで、カバー31の隔壁31aでコネクタ32側への水の侵入を防止し、スイッチアッシー28の防水性を確保するようになしている。
【0012】
次に、制御装置について説明すると、図6に示すように制御装置はキースイッチ26を介して電源が接続されるマイクロコンピュータ33で構成される。また、マイクロコンピュータ33の入力側には、カバナセンサ24、ロータリエンコーダ27、ロータリエンコーダ27に一体的に組み込まれたストップスイッチ34、スイッチアッシー28に組み込まれた第1及び第2回転スイッチ35,36及び記憶スイッチ37、エンジン回転数を検出するピックアップセンサ38等を接続している。
一方、マイクロコンピュータ33の出力側には、ギヤードモータ16とギヤードモータ16の回転方向を正逆に切り換えるリレー回路39、キースイッチ26とエンジンの燃料カットソレノイド40との間に設けた燃料カットリレー41、エンジンコントロールランプ42等を接続すると共に、マイクロコンピュータ43をコントロールエリアネットワークを介して接続している。なお、マイクロコンピュータ43はメータユニット25に組み込まれた液晶表示器(LCD)をコントロールするものである。
【0013】
さらに、制御装置33はエンジンの回転数を制御するプログラムを備え、制御装置33が行う制御内容を図7乃至図10に示すフローチャートに基づいて以下、説明する。
先ず、図7に示すようにキースイッチ26が投入されて電源が制御装置33に接続されると、制御装置33は初期化を行い、エンジン制御関係のカウンタとストップフラグをリセットする。そして、初期化が終わると停止制御、回転数制御、及び回転数記憶の各サブルーチンを実行する。
【0014】
次に、図8に示すように停止制御は、ストップスイッチ34によってエンジン2を停止させる制御であり、ストップスイッチ34はロータリエンコーダ27に一体的に組み込まれており、ロータリエンコーダ27のダイヤルを押すとストップスイッチ34が入りとなる。そして、このストップスイッチ34の立ち上がりを判断して、ストップフラグがセットされる。
また、ストップフラグがセットされると、ピックアップセンサ38に基づいてエンジン回転中か否かが判断され、エンジン回転中であればキースイッチ26と燃料カットソレノイド40との間に設けた燃料カットリレー41を切断し、これにより燃料カットソレノイド40は通電しなくなるためエンジン2に燃料が供給されなくなり、エンジン2が停止する。一方、ストップフラグがリセットされていれば燃料カットリレー41を接続し、これにより燃料カットソレノイド40は通電してエンジン2に燃料が供給される状態となる。
【0015】
従って、エンジン2はキースイッチ26を入りすることによって、燃料カットソレノイド40が通電して燃料が供給される状態となり、ここでキースイッチ26をスターター位置に操作すればエンジン2は始動する。また、エンジン2を停止する場合には、キースイッチ26を切りにすると燃料カットソレノイド40が通電しなくなって、燃料が供給されなくなるためエンジン2は停止する。
そして、何らかの事態が生じて緊急にエンジン2を停止させたい場合には、キースイッチ26を切りにしてエンジン2を停止することができるが、本発明ではストップスイッチ34を押すだけの簡単な操作でエンジン2を停止させることができ、緊急時の即応性を高くすることができる。
【0016】
また、図9に示すように回転数制御は、エンジンの調速機構を構成するガバナレバー10をギヤードモータで構成するアクチュエータ16を用いて調節して、エンジン2の回転数を制御するものであり、具体的にはエンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27によって、エンジン回転数を所望の回転数に設定することができる。
すなわち、ロータリエンコーダ27は、回転シャフトの上部に設けたダイヤルを回転させるとダイヤルの回転角度に比例したパルスを発生するインクリメンタル形を用いるものであり、詳しくは、ロータリエンコーダ27から出力される2相パルスがカウンタ回路に取り込まれ、制御装置33がこのカウンタ回路からカウンタ値を取り出すものであり、この場合、2相パルスからダイヤルの回転方向も検出できるためカウンタ値は、正転時のパルス数から逆転時のパルス数が減算された値となり、そのカウンタ値をエンジン回転数の設定値として用いるものである。
【0017】
従って、ロータリエンコーダ27は、ポテンショメータのように絶対的な変位量を出力するものではなく、回転が始まった時点からパルスをカウントすることによって初めて回転角度が相対的に求められる検出器である。
そのため、制御装置33は前述した初期化において、先ずカウンタ回路のカウンタをリセットすることによりカウンタ値を例えばゼロに戻す。また、停止制御においてストップスイッチ34が押されてストップフラグがセットされた場合にもカウンタは同様にリセットされる。
そして、スイッチアッシー28に組み込まれた第1又は第2回転スイッチ35,36が押されて、そのスイッチの立ち上がりが検出されると、カウンタは制御装置33が記憶している第1又は第2回転数の値をカウンタ値に強制的にセットする。
また、第1回転スイッチ35が押されると第1フラグがセットされると共に、第2フラグがリセットされる。同様に第2回転スイッチ36が押されると第2フラグがセットされると共に、第1フラグがリセットされる。
【0018】
そして、カウンタ値とガバナセンサ24から得られるガバナ値が比較され、両者が一致していればギヤードモータ16を停止させ、カウンタ値がガバナ値より大きければギヤードモータ16を正回転させ、逆であればギヤードモータ16を逆回転させる。
これにより、ガバナレバー10は作動アーム22、連杆23、作動リンク17、並びにワイヤ14を介して回動されて、エンジン2の回転数が変更される。
なお、フートアクセルペダル18が踏み込み操作されて、ギヤードモータ16で調節されるガバナレバー10の回動角度より踏み込み量が大きくなると、フートアクセルペダル18に連結するワイヤ15を介してガバナレバー10が回動されるため、回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27より、この場合はフートアクセルペダル18の方がエンジン回転数の調節において優先されることになる。
【0019】
そして、以上説明した回転数制御を実際の作業工程に照らして説明すると、作業者はトラクタ1を圃場まで移動させる、或いは作業を開始する場合、先ずキースイッチ26を入りにする。すると、制御装置33に電源が接続されて制御装置33は、その初期化においてカウンタをリセットするため、当初のカウンタ値は例えばゼロとなる。
従って、この際にガバナ値がカウンタ値より大きければ、ギヤードモータ16は逆回転してガバナレバー10をローアイドリング位置に戻す制御が行われる。一方、作業者はエンジン2を始動すべくキースイッチ26を更にスターター位置まで回してエンジン2を始動させる。
【0020】
これによって、前回の作業終了時にエンジン回転数を高回転にしたままでキースイッチ26を切った結果、ギヤードモータ16によってガバナレバー10がハイアイドリング位置側に回動していた場合にも、エンジン始動時にはガバナレバー10がローアイドリング位置に戻されてエンジン2が始動されるため、当初のエンジン回転数は低回転となって急発進等の突発的な事故を防止することができる。また、エンジン2の空吹かしによる燃料の無駄な消費を防止することができる。
【0021】
さらに、低温時等でエンジンの始動性が悪い場合にはキースイッチ26を入れた後、回転数設定器として用いるロータリエンコーダの27のダイヤルを正転側に、例えば90度回転させる。これによりカウンタ値は当初のゼロから10にカウントアップされて、カバナレバー10はハイアイドリング位置側に回動され、そこでエンジン2の始動を試みれば、エンジン2に燃料が増量されて供給される結果、エンジン2の始動性がアップする。
ところで、エンジン2の始動のためにスターターモータが作動する際には、電源電圧が一時的に低くなり制御装置33にパワーオンリセットがかけられる。そして、これに伴ってカウンタ値は再びゼロに戻ることになる。しかし、これはエンジン2の始動が完了した後であるので、カバナレバー10がローアイドリング位置に戻されたとしても、エンジン2が停止するという虞は少ない。
【0022】
また、エンジン2を始動させてトラクタ2を作業走行させる場合には、所望するエンジン回転数になるようにロータリエンコーダ27のダイヤルを正逆回転操作する。なお、ロータリエンコーダ27のダイヤルを1回転するとカウンタ値が、例えば40だけ変化し、一方、ガバナレバー10がローアイドリング位置からハイアイドリング位置に回動する際のガバナ値が0から200に変化するものとすれば、ロータリエンコーダ27のダイヤルを5回転させればエンジン2の回転数を最高回転数に調節することができる。
なお、ロータリエンコーダを図11に示すように2軸一体型のロータリエンコーダ44とし、中軸45に取付けたダイヤル46の1回転によって例えばカウンタ値が10だけ変化し、中空軸47に取付けたダイヤル48の1回転によって例えばカウンタ値が100だけ変化するように構成すると、外側のダイヤル48によって粗方、エンジン回転数を設定した後、内側のダイヤル46でエンジン回転数をさらに微調節するといった使い方ができる。
【0023】
次に、図10に示す回転数記憶について説明すると、回転数の記憶は第1回転数と第2回転数を記憶しなおすとともに制御装置33に付設した不揮発性メモリにこの値を書き換えるものである。すなわち、スイッチアッシー28に組み込まれた記憶スイッチ37が押されてスイッチの立上がりが検出されると、第1フラグと第2フラグによって何れを変更するのか判断したうえで、そのセットされた方の第1又は第2回転数を、現在検出しているガバナ値に変更するものである。
それ故、制御装置33は電源が接続された段階で不揮発性メモリから第1及び第2回転数の値を読み取り、その後、第1又は第2回転スイッチ35,36が押されると、前述の通り制御装置33はカウンタを第1又は第2回転数の値にセットして、エンジン回転数をその記憶された回転数に制御するため、作業時のエンジン回転数や機体旋回時のエンジン回転数に対応するカバナ値を第1又は第2回転数として記憶しておくことによって、迅速に所望するエンジン回転数を得ることができ、能率的に作業を行うことができる。
【0024】
なお、図1に示すようにトラクタ1はキャビン7のリヤピラーに後方作業灯Lを後方に向くように備え、連結した作業機8等を夜間照らして作業状態を確認することができるようにしている。しかし、後方作業灯Lによる照明は作業機の前方側から作業機を照らすため作業機自体によって遮られて、作業機8の後部付近は影ができて見えにくい部分が生ずる。
そこで、図12に示すようにキャビン7のリヤピラーにステー49を介して後方作業灯Lをトラクタ1から後方に離して取付ける。すると、後方作業灯Lによって作業機8の後部付近まで照らすことができる。
【0025】
また、図13に示すように後方作業灯Lをステー49の先端に取付けプレート50を介して回動自在に取付けるとともに、操作レバー51とワイヤ52とスプリング53によって後方作業灯Lをキャビン7内から角度調節自在に連係すると、後方作業灯Lの照射方向を簡単に変更することができ、必要な箇所を十分に照らすことができる。
さらに、ステー49の基部をリヤピラーにヒンジを介して回動自在に取付けるとともに、ステー49をガススプリング53によって持ち上げ方向に付勢し、また、切欠きを備えるプレート54とステー49との間をロッド55で係止すると、ステー49の角度を変更して後方作業灯Lの照射方向を大きく変更することができる。また、ガススプリング53による付勢と、ロッド55による係止を解除してステー49を下方に向けて倒すと、図12に示すように後方作業灯Lの照射方向を前方側に向けることができ、これにより一つの作業灯を前方用或いは後方用として共用することができるようになる。
【符号の説明】
【0026】
2 エンジン
10 ガバナレバー(調速機構)
16 ギヤードモータ(アクチュエータ)
24 ガバナセンサ
26 キースイッチ
27 ロータリエンコーダ(回転数設定器)
33 マイクロコンピータ(制御装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両において、エンジンの調速機構をギヤードモータ等のアクチュエータを用いて制御するエンジンの回転数調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車両のエンジン回転数調節装置としては、操縦部に設けたエンジンコントロールレバー或いはフートアクセルペダルをエンジンのカバナレバーにワイヤ等を介して連結する機械的な調節装置が一般的に用いられている。また、近年ではコモンレール式等の燃料噴射の電子制御化に伴い、エンジンコントロールユニット(ECU)によってエンジン回転数を電気的に制御することが知られている。
さらに、両者の中間の技術として、エンジンの調速機構をアクセル設定具で作動される電動アクチュエータで操作し、エンジン回転数を電気・機械的に制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−10718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したエンジン回転数を電気・機械的に制御する技術、又は完全に電気的に制御する技術は、エンジン回転数の設定器を例えば、ポテンショメータ等の電気部品を用いて構成することができるため、カバナレバーを機械的にエンジンコントロールレバーによって作動させるものより操作力を少なくして、軽快にエンジン回転数を変更することができる。
しかし、従来のエンジン回転数の設定器は、その操作部がレバー式であろうとダイヤル式であろうと基準位置からの絶対的な変位量を出力するものであったため、エンジン始動時に仮に設定器が高速側に設定されていると、エンジンが高速回転で始動することになるため、突発的な発進等によって事故等を起こす虞があると共に、無駄に燃料を消費するという問題がある。
なお、特許文献1には、エンジン始動時にエンジン停止を招かないようにするために、キースイッチを予熱位置にすると調速機構を最高回転位置に制御することが記載されている。ところでこの場合、エンジンが始動した後はアクセル設定具によって設定されたエンジン回転数に設定されるので、ここでアクセル設定具が予め高速側に設定されていると、その後もエンジンが高速回転のままであるため、前述した問題が特許文献1において解決される訳ではない。
そこで、本発明は係る問題点に鑑みて、エンジン始動時にはエンジンの調速機構の調節位置を設定された所定の位置、例えばローアイドリング位置に調節し、また、エンジンの回転数設定器が操作されるまで、その調節位置を保持するエンジン回転数調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備える作業車両のエンジン回転数調節装置において、前記制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の作業車両のエンジン回転数調節装置によれば、エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備え、回転数設定器としてロータリエンコーダを用いるものであるから、エンジン回転数を変更する際の操作力を少なくすることができ、軽快にアクセル操作を行うことができる。
また、制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御するから、例えば、所定の位置をローアイドリング位置に設定することによって、エンジン始動時の突発的な急発進等を防止することができると共に、燃料の無駄な消費を防止することができる。
さらに、制御装置は、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御するから、低温時等でエンジンの始動性が悪い場合にはキースイッチを投入した後、回転数設定器を操作して調速機構の調節位置を当初設定された位置から高速回転側に調節し、再びエンジンの始動を試みることによりエンジンの始動性を高める、といった融通性に富んだエンジン回転数の制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】エンジンの回転数調節部を示す斜視図である。
【図3】エンジン回転数調節装置の側面図(a)及びガバナレバー部の平面図(b)である。
【図4】メーターパネルの正面図である。
【図5】メーターパネルの背面図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【図7】エンジン制御のフローチャートである。
【図8】停止制御のフローチャートである。
【図9】回転数制御のフローチャートである。
【図10】回転数記憶のフローチャートである。
【図11】ロータリエンコーダの断面図である。
【図12】後方作業灯の作用を示す側面図である。
【図13】後方作業灯の取付状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように作業車両としてのトラクタ1は、機体前部に備えるエンジン2と、エンジン動力を変速する変速装置を内蔵するミッションケース3と、変速された動力で駆動される前輪4及び後輪5と、運転操作部6を覆うキャビン7と、作業機8を連結する昇降リンク機構9とを備えて構成されている。
【0009】
図2乃至図3に示すように、エンジン2はディーゼルエンジンで構成され、その調速機構を構成するガバナレバー10は、ローアイドルストッパ11とハイアイドルストッパ12との間で回動自在に軸支され、戻しスプリング13によって常にローアイドル側に付勢されている。また、ガバナレバー10の溝には2本のワイヤ14,15の前端側に設けられたアイエンドがそれぞれ挿通されている。
そして、2本のワイヤ14,15の内、機体内側のワイヤ14の後端側はアクチュエータ16の作動リンク17に連結している。また、機体外側のワイヤ15の後端側に設けたアイエンドはフートアクセルペダル18の作動リンク19に連結している。
なお、アクチュエータ16並びに作動リンク17はメーターパネル20を取付けるフレームに取付けられ、フートアクセルペダル18並びに作動リンク19はキャビン7のフロア21に取付けられている。
【0010】
ここで、前述したアクチュエータ16について詳述すると、アクチュエータ16は電動モータAと減速機Bを一体的に連結したギヤードモータから構成される。また、ギヤードモータ16の出力軸に連結した作動アーム22は連杆23を介して作動リンク17を回動させる。
なお、作動リンク17のワイヤ14の取付部には、ポテンショメータから構成するカバナセンサ24の回動子が取付けられており、このカバナセンサ24はアクチュエータ16によって作動する調速機構の調節位置を検出する。
【0011】
一方、座席前方に設けられたメーターパネル20には、図4に示すようにエンジン回転計や液晶表示器(LCD)等を一体に組み込んだメータユニット25、キースイッチ26、ロータリエンコーダ27、スイッチアッシー28等の電装部品が装着され、メーターパネル20の中央下部にはチルトハンドルのコラム29を収容する凹部30が形成されている。
なお、スイッチアッシー28は、複数の押しボタンスイッチとLEDランプから構成され、図5に示すようにスイッチアッシー28の基板はメーターパネル20の裏面側においてカバー31が被せられて覆われる。
また、カバー31のチルトハンドルのコラム29を収容する凹部30側には隔壁31aを一体的に立ち上がらせて形成している。これは、カバー31に孔31bを設けて、この孔31bにスイッチアッシー28に接続するハーネスのコネクタ32を通すことによって、コネクタ32の着脱をカバー31の外側から容易に行うことができるようにするものである。しかし、洗車時などに凹部30側から入り込んだ水がコネクタ32に当たり、さらにコネクタ32を通す孔31bからスイッチアッシー28の基板内に浸入する虞がある。そこで、カバー31の隔壁31aでコネクタ32側への水の侵入を防止し、スイッチアッシー28の防水性を確保するようになしている。
【0012】
次に、制御装置について説明すると、図6に示すように制御装置はキースイッチ26を介して電源が接続されるマイクロコンピュータ33で構成される。また、マイクロコンピュータ33の入力側には、カバナセンサ24、ロータリエンコーダ27、ロータリエンコーダ27に一体的に組み込まれたストップスイッチ34、スイッチアッシー28に組み込まれた第1及び第2回転スイッチ35,36及び記憶スイッチ37、エンジン回転数を検出するピックアップセンサ38等を接続している。
一方、マイクロコンピュータ33の出力側には、ギヤードモータ16とギヤードモータ16の回転方向を正逆に切り換えるリレー回路39、キースイッチ26とエンジンの燃料カットソレノイド40との間に設けた燃料カットリレー41、エンジンコントロールランプ42等を接続すると共に、マイクロコンピュータ43をコントロールエリアネットワークを介して接続している。なお、マイクロコンピュータ43はメータユニット25に組み込まれた液晶表示器(LCD)をコントロールするものである。
【0013】
さらに、制御装置33はエンジンの回転数を制御するプログラムを備え、制御装置33が行う制御内容を図7乃至図10に示すフローチャートに基づいて以下、説明する。
先ず、図7に示すようにキースイッチ26が投入されて電源が制御装置33に接続されると、制御装置33は初期化を行い、エンジン制御関係のカウンタとストップフラグをリセットする。そして、初期化が終わると停止制御、回転数制御、及び回転数記憶の各サブルーチンを実行する。
【0014】
次に、図8に示すように停止制御は、ストップスイッチ34によってエンジン2を停止させる制御であり、ストップスイッチ34はロータリエンコーダ27に一体的に組み込まれており、ロータリエンコーダ27のダイヤルを押すとストップスイッチ34が入りとなる。そして、このストップスイッチ34の立ち上がりを判断して、ストップフラグがセットされる。
また、ストップフラグがセットされると、ピックアップセンサ38に基づいてエンジン回転中か否かが判断され、エンジン回転中であればキースイッチ26と燃料カットソレノイド40との間に設けた燃料カットリレー41を切断し、これにより燃料カットソレノイド40は通電しなくなるためエンジン2に燃料が供給されなくなり、エンジン2が停止する。一方、ストップフラグがリセットされていれば燃料カットリレー41を接続し、これにより燃料カットソレノイド40は通電してエンジン2に燃料が供給される状態となる。
【0015】
従って、エンジン2はキースイッチ26を入りすることによって、燃料カットソレノイド40が通電して燃料が供給される状態となり、ここでキースイッチ26をスターター位置に操作すればエンジン2は始動する。また、エンジン2を停止する場合には、キースイッチ26を切りにすると燃料カットソレノイド40が通電しなくなって、燃料が供給されなくなるためエンジン2は停止する。
そして、何らかの事態が生じて緊急にエンジン2を停止させたい場合には、キースイッチ26を切りにしてエンジン2を停止することができるが、本発明ではストップスイッチ34を押すだけの簡単な操作でエンジン2を停止させることができ、緊急時の即応性を高くすることができる。
【0016】
また、図9に示すように回転数制御は、エンジンの調速機構を構成するガバナレバー10をギヤードモータで構成するアクチュエータ16を用いて調節して、エンジン2の回転数を制御するものであり、具体的にはエンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27によって、エンジン回転数を所望の回転数に設定することができる。
すなわち、ロータリエンコーダ27は、回転シャフトの上部に設けたダイヤルを回転させるとダイヤルの回転角度に比例したパルスを発生するインクリメンタル形を用いるものであり、詳しくは、ロータリエンコーダ27から出力される2相パルスがカウンタ回路に取り込まれ、制御装置33がこのカウンタ回路からカウンタ値を取り出すものであり、この場合、2相パルスからダイヤルの回転方向も検出できるためカウンタ値は、正転時のパルス数から逆転時のパルス数が減算された値となり、そのカウンタ値をエンジン回転数の設定値として用いるものである。
【0017】
従って、ロータリエンコーダ27は、ポテンショメータのように絶対的な変位量を出力するものではなく、回転が始まった時点からパルスをカウントすることによって初めて回転角度が相対的に求められる検出器である。
そのため、制御装置33は前述した初期化において、先ずカウンタ回路のカウンタをリセットすることによりカウンタ値を例えばゼロに戻す。また、停止制御においてストップスイッチ34が押されてストップフラグがセットされた場合にもカウンタは同様にリセットされる。
そして、スイッチアッシー28に組み込まれた第1又は第2回転スイッチ35,36が押されて、そのスイッチの立ち上がりが検出されると、カウンタは制御装置33が記憶している第1又は第2回転数の値をカウンタ値に強制的にセットする。
また、第1回転スイッチ35が押されると第1フラグがセットされると共に、第2フラグがリセットされる。同様に第2回転スイッチ36が押されると第2フラグがセットされると共に、第1フラグがリセットされる。
【0018】
そして、カウンタ値とガバナセンサ24から得られるガバナ値が比較され、両者が一致していればギヤードモータ16を停止させ、カウンタ値がガバナ値より大きければギヤードモータ16を正回転させ、逆であればギヤードモータ16を逆回転させる。
これにより、ガバナレバー10は作動アーム22、連杆23、作動リンク17、並びにワイヤ14を介して回動されて、エンジン2の回転数が変更される。
なお、フートアクセルペダル18が踏み込み操作されて、ギヤードモータ16で調節されるガバナレバー10の回動角度より踏み込み量が大きくなると、フートアクセルペダル18に連結するワイヤ15を介してガバナレバー10が回動されるため、回転数設定器として用いるロータリエンコーダ27より、この場合はフートアクセルペダル18の方がエンジン回転数の調節において優先されることになる。
【0019】
そして、以上説明した回転数制御を実際の作業工程に照らして説明すると、作業者はトラクタ1を圃場まで移動させる、或いは作業を開始する場合、先ずキースイッチ26を入りにする。すると、制御装置33に電源が接続されて制御装置33は、その初期化においてカウンタをリセットするため、当初のカウンタ値は例えばゼロとなる。
従って、この際にガバナ値がカウンタ値より大きければ、ギヤードモータ16は逆回転してガバナレバー10をローアイドリング位置に戻す制御が行われる。一方、作業者はエンジン2を始動すべくキースイッチ26を更にスターター位置まで回してエンジン2を始動させる。
【0020】
これによって、前回の作業終了時にエンジン回転数を高回転にしたままでキースイッチ26を切った結果、ギヤードモータ16によってガバナレバー10がハイアイドリング位置側に回動していた場合にも、エンジン始動時にはガバナレバー10がローアイドリング位置に戻されてエンジン2が始動されるため、当初のエンジン回転数は低回転となって急発進等の突発的な事故を防止することができる。また、エンジン2の空吹かしによる燃料の無駄な消費を防止することができる。
【0021】
さらに、低温時等でエンジンの始動性が悪い場合にはキースイッチ26を入れた後、回転数設定器として用いるロータリエンコーダの27のダイヤルを正転側に、例えば90度回転させる。これによりカウンタ値は当初のゼロから10にカウントアップされて、カバナレバー10はハイアイドリング位置側に回動され、そこでエンジン2の始動を試みれば、エンジン2に燃料が増量されて供給される結果、エンジン2の始動性がアップする。
ところで、エンジン2の始動のためにスターターモータが作動する際には、電源電圧が一時的に低くなり制御装置33にパワーオンリセットがかけられる。そして、これに伴ってカウンタ値は再びゼロに戻ることになる。しかし、これはエンジン2の始動が完了した後であるので、カバナレバー10がローアイドリング位置に戻されたとしても、エンジン2が停止するという虞は少ない。
【0022】
また、エンジン2を始動させてトラクタ2を作業走行させる場合には、所望するエンジン回転数になるようにロータリエンコーダ27のダイヤルを正逆回転操作する。なお、ロータリエンコーダ27のダイヤルを1回転するとカウンタ値が、例えば40だけ変化し、一方、ガバナレバー10がローアイドリング位置からハイアイドリング位置に回動する際のガバナ値が0から200に変化するものとすれば、ロータリエンコーダ27のダイヤルを5回転させればエンジン2の回転数を最高回転数に調節することができる。
なお、ロータリエンコーダを図11に示すように2軸一体型のロータリエンコーダ44とし、中軸45に取付けたダイヤル46の1回転によって例えばカウンタ値が10だけ変化し、中空軸47に取付けたダイヤル48の1回転によって例えばカウンタ値が100だけ変化するように構成すると、外側のダイヤル48によって粗方、エンジン回転数を設定した後、内側のダイヤル46でエンジン回転数をさらに微調節するといった使い方ができる。
【0023】
次に、図10に示す回転数記憶について説明すると、回転数の記憶は第1回転数と第2回転数を記憶しなおすとともに制御装置33に付設した不揮発性メモリにこの値を書き換えるものである。すなわち、スイッチアッシー28に組み込まれた記憶スイッチ37が押されてスイッチの立上がりが検出されると、第1フラグと第2フラグによって何れを変更するのか判断したうえで、そのセットされた方の第1又は第2回転数を、現在検出しているガバナ値に変更するものである。
それ故、制御装置33は電源が接続された段階で不揮発性メモリから第1及び第2回転数の値を読み取り、その後、第1又は第2回転スイッチ35,36が押されると、前述の通り制御装置33はカウンタを第1又は第2回転数の値にセットして、エンジン回転数をその記憶された回転数に制御するため、作業時のエンジン回転数や機体旋回時のエンジン回転数に対応するカバナ値を第1又は第2回転数として記憶しておくことによって、迅速に所望するエンジン回転数を得ることができ、能率的に作業を行うことができる。
【0024】
なお、図1に示すようにトラクタ1はキャビン7のリヤピラーに後方作業灯Lを後方に向くように備え、連結した作業機8等を夜間照らして作業状態を確認することができるようにしている。しかし、後方作業灯Lによる照明は作業機の前方側から作業機を照らすため作業機自体によって遮られて、作業機8の後部付近は影ができて見えにくい部分が生ずる。
そこで、図12に示すようにキャビン7のリヤピラーにステー49を介して後方作業灯Lをトラクタ1から後方に離して取付ける。すると、後方作業灯Lによって作業機8の後部付近まで照らすことができる。
【0025】
また、図13に示すように後方作業灯Lをステー49の先端に取付けプレート50を介して回動自在に取付けるとともに、操作レバー51とワイヤ52とスプリング53によって後方作業灯Lをキャビン7内から角度調節自在に連係すると、後方作業灯Lの照射方向を簡単に変更することができ、必要な箇所を十分に照らすことができる。
さらに、ステー49の基部をリヤピラーにヒンジを介して回動自在に取付けるとともに、ステー49をガススプリング53によって持ち上げ方向に付勢し、また、切欠きを備えるプレート54とステー49との間をロッド55で係止すると、ステー49の角度を変更して後方作業灯Lの照射方向を大きく変更することができる。また、ガススプリング53による付勢と、ロッド55による係止を解除してステー49を下方に向けて倒すと、図12に示すように後方作業灯Lの照射方向を前方側に向けることができ、これにより一つの作業灯を前方用或いは後方用として共用することができるようになる。
【符号の説明】
【0026】
2 エンジン
10 ガバナレバー(調速機構)
16 ギヤードモータ(アクチュエータ)
24 ガバナセンサ
26 キースイッチ
27 ロータリエンコーダ(回転数設定器)
33 マイクロコンピータ(制御装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備える作業車両のエンジン回転数調節装置において、前記制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御することを特徴とする作業車両のエンジン回転数調節装置。
【請求項1】
エンジンの調速機構を操作するアクチュエータと、エンジン回転数の増減指令を発する回転数設定器と、調速機構の調節位置を検出するガバナセンサと、アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備える作業車両のエンジン回転数調節装置において、前記制御装置は、キースイッチが投入されて電源が制御装置に接続されると、調速機構の調節位置を設定された所定の位置になるようにアクチュエータを作動制御すると共に、回転数設定器として用いるロータリエンコーダからパルス信号が発せられると、調速機構の調節位置をパルスのカウント値に基づいた位置になるようにアクチュエータを作動制御することを特徴とする作業車両のエンジン回転数調節装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−24039(P2013−24039A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156440(P2011−156440)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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