説明

作業車両のスイッチ装置

【課題】切換スイッチが中間位置に操作されても車体動作を安定化させるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】車両の所定の動作の制限を指令する制限位置(P位置,R位置,A位置)および制限の解除を指令する解除位置(オフ位置)に操作可能な操作部材110と、操作部材110が制限位置に操作されると制限信号を発生し、解除位置に操作されると解除信号を発生する第1の信号発生回路21a〜21eと、操作部材110が制限位置以外かつ解除位置以外の中間位置に誤操作されると、制限信号を発生する第2の信号発生回路22,23a〜23dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータにより切換操作されるスイッチを有する作業車両のスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の切換スイッチを有する作業車両として、ラムロックスイッチを有するホイールショベルが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載のラムロックスイッチは、ラムロックを自動的に作動する自動位置、手動で作動する手動位置、ラムロックを解除する解除位置に操作可能であり、ラムロックスイッチの切換に応じてラムシリンダの作動が制御される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−151305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなラムロックスイッチを例えばダイヤル式のスイッチとして構成した場合、自動位置と手動位置の間あるいは手動位置と解除位置の間の中間位置に操作されるおそれがあり、この場合にオペレータの意に反してラムロックが解除されるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による作業車両のスイッチ装置は、車両の所定の動作の制限を指令する制限位置および制限の解除を指令する解除位置に操作可能な操作部材と、操作部材が制限位置に操作されると制限信号を発生し、解除位置に操作されると解除信号を発生する第1の信号発生回路と、操作部材が制限位置以外かつ解除位置以外の第3の位置に誤操作されると、制限信号を発生する第2の信号発生回路とを備えることを特徴とする。
操作部材に、異なる動作制限を指令する第1の制限位置および第2の制限位置を設定し、この操作部材を解除位置、第1の制限位置、および第2の制限位置の順に操作可能として、第3の位置を、解除位置と第1の制限位置の間の中間位置もしくは第1の制限位置と第2の制限位置の間の中間位置とすることもできる。
操作部材が制限位置に操作されると、車両の走行動作を制限するブレーキ指令および走行体上の車体に設けられた作業装置の駆動による車体の揺動を制限するラムロック指令の少なくとも一方を指令するようにしてもよい。
第1の信号発生回路は、信号線を介してオン信号を出力することにより制限信号を発生し、オン信号の出力を停止することにより解除信号を発生するものであってもよい。
第2の信号発生回路は、操作部材が第3の位置に操作されると切り換わって、第1の信号発生回路の制限信号発生用の信号線に接続されるリレー回路とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操作部材が制限位置以外かつ解除位置以外の第3の位置に誤操作されると、制限位置に操作されたときと同様、制限信号を発生するようにしたので、オペレータの意に反して車両動作制限が解除されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1〜図4を参照して本発明による作業車両のスイッチ装置の実施の形態について説明する。
作業車両は、例えば前後左右のタイヤを装備して不整地走行および公道走行が可能なホイールショベルであり、この実施の形態では、ラムロックの作動および解除指令、ブレーキの作動および解除指令を出力するダイヤル式の切換スイッチを例にして説明する。
【0008】
図1は、作業車両の前輪側の要部構成を示す図である。アクスル2の左右端部にはそれぞれタイヤ4が装備されている。アクスル2とシャーシ3の間には伸縮可能な左右一対のラムシリンダ1が介装され、アクスル2の左右中央部はピン5を介してシャーシ3の左右中央部に揺動可能に連結されている。
【0009】
ラムシリンダ1は、シリンダチューブ側がシャーシ3の左右側面にピン等により回動可能に連結され、シリンダロッド側はピン等で連結されずにその先端がアクスル2に当接している。したがって、ラムシリンダ1をロックすることでアクスル2の揺動を禁止してアクスル2を支持することができる。図示は省略するが、後輪側にはラムシリンダは設けられず、後輪側のアクスル2は左右2箇所でシャーシ3にリジッドに支持されている。
【0010】
図2は、ラムシリンダ1の駆動用油圧回路図である。左右一対の各ラムシリンダ1はそれぞれパイロットチェック弁7を介してタンクに接続されている。各パイロットチェック弁7のパイロットポートは電磁切換弁8を介してパイロット油圧源(油圧ポンプ9)またはタンクに接続されている。コントローラ10には切換スイッチ11が接続され、切換スイッチ11からの信号がコントローラ10に入力される。
【0011】
図3は、切換スイッチ11の構成を示す図である。切換スイッチ11は、オペレータにより回転操作される操作ダイヤル110を有するダイヤル式スイッチであり、運転姿勢のまま容易に操作できるように例えば運転室内のステアリングの下方に設けられている。切換スイッチ11は、操作ダイヤル110の操作により、駐車ブレーキの作動を指令する駐車ブレーキ作動位置(P位置)と、ラムロックの手動での作動を指令する手動ロック作動位置(R位置)と、ラムロックの自動作動を指令する自動ロック作動位置(A位置)と、ブレーキの解除およびラムロックの解除を指令するオフ位置とに切換可能である。
【0012】
切換スイッチ11がP位置に切り換えられると、コントローラ10は図2の駐車ブレーキ制御用ブレーキ制御弁15に制御信号を出力し、ブレーキ制御弁15を駐車ブレーキ作動位置に切り換える。これにより図示しない油圧源から駐車ブレーキ解除用シリンダへの圧油の供給が阻止され、駐車ブレーキ(ネガブレーキ)が作動する。
【0013】
なお、ホイールショベルは駐車ブレーキとは別に、油圧源からの圧油により作動する作業ブレーキ(油圧ブレーキ)を備える。切換スイッチ11がP位置に切り換えられた状態では、コントローラ10からの信号により、作業ブレーキ制御用ブレーキ制御弁16がブレーキ解除位置に切り換えられる。これにより油圧源から作業ブレーキ作動用シリンダへの圧油の供給が阻止され、作業ブレーキが解除される。
【0014】
切換スイッチ11がR位置に切り換えられると、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、電磁切換弁8を位置ロに切り換える。これによりパイロットチェック弁7に作用するパイロット圧はタンク圧となり、パイロットチェック弁7はチェック弁として機能し、ラムシリンダ1の伸縮が禁止される。その結果、ラムシリンダ1がロックされ、ラムロックが作動する。この場合、コントローラ10はブレーキ制御弁15に制御信号を出力して駐車ブレーキを解除するとともに、ブレーキ制御弁16に制御信号を出力して作業ブレーキを作動させる。
【0015】
切換スイッチ11がA位置に切り換えられると、コントローラ10はラムロック条件が成立しているか否かを判定する。ラムロック条件は、例えば車速センサにより車両停止が検出され、かつ、リミットスイッチや圧力センサにより走行ペダルの非操作が検出されたときに成立する。ラムロック条件が成立と判定されると、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、電磁切換弁8を位置ロに切り換える。これによりラムロックが作動する。
【0016】
一方、ラムロック条件が不成立と判定されると、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、電磁切換弁8を位置イに切り換える。これにより油圧ポンプ9からのパイロット圧がパイロットチェック弁7のパイロットポートに作用し、パイロットチェック弁7は開放弁として機能する。その結果、ラムシリンダ1の伸縮が許容され、ラムロックが解除される。
【0017】
切換スイッチ11がオフ位置に切り換えられると、コントローラ10はブレーキ制御弁15,16にそれぞれ制御信号を出力し、駐車ブレーキと作業ブレーキをともに解除する。さらに、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、電磁切換弁8を位置イに切り換え、ラムロックを解除する。
【0018】
車両走行時には、駐車ブレーキ、作業ブレーキとラムロックをともに解除する。このため、オペレータは図3(a)に示すように切換スイッチ11をオフ位置に切り換える。一方、シャーシ3上に設けられた作業装置(ブーム、アーム、バケットなど)を用いて掘削作業を行う場合には、車両の移動を阻止するために作業ブレーキを作動し、かつ、シャーシ3の揺動を抑えるためにラムロックを作動する。このため、オペレータは切換スイッチ11をR位置またはA位置に切り換える。
【0019】
ここで、A位置、R位置、P位置以外を、コントローラ10が一律にオフ位置と認識すると、例えば図3(b)に示すように操作ダイヤル110が誤ってR位置とA位置の間の中間位置に操作された場合には、オペレータの意に反してブレーキが解除され、かつラムロックが解除されるおそれがある。とくにステアリングの下方に操作ダイヤル110を設ける場合には、スイッチ操作を誤る蓋然性が高い。このような問題点に着目し、本実施の形態では、操作ダイヤル110が中間位置に操作された場合でも、ブレーキやラムロックが解除されないように以下のようにスイッチ装置を構成する。
【0020】
図4は、本実施の形態に係る切換スイッチ11の電気回路図である。この電気回路は、操作ダイヤル110が正規の位置(P位置、R位置、A位置、オフ位置)に操作されたときに所定の信号を発生する基準回路と、誤って中間位置に操作されたときに所定の信号を発生するリレー回路とにより構成されている。
【0021】
基準回路は、切換スイッチ11に接続された信号線21a〜21eを有する。操作ダイヤル110がP位置、R位置、A位置、オフ位置に操作されると、それに伴い接触子11aが回転し、接触子11aの一端が切換スイッチ11のP端子、R端子、A端子、オフ端子にそれぞれ接触する。P端子,R端子、A端子は、それぞれ信号線21a〜21cを介してコントローラ10の信号入出力ポート(aポート〜cポート)に接続されている。切換スイッチ11のオフ端子は、信号線21dを介して他の電気回路に接続され、コントローラ10の信号入出力ポートには接続されていない。接触子11aの他端は信号線21eを介して接地されている。
【0022】
切換スイッチ11の接触子11aがP端子,R端子,A端子に接触すると、コントローラ10のaポート,bポート,cポートがそれぞれ通電され、オンとなる。これによりコントローラ10は、スイッチ11がP位置、R位置、A位置に切り換えられたと認識する。切換スイッチ11の接触子11aがオフ端子に接触したときは、aポート〜cポートはいずれも通電せず、オフとなる。これによりコントローラ10はスイッチ11がオフ位置に切り換えられたと認識する。
【0023】
リレー回路は、リレー22とリレーに接続された信号線23a〜23dとを有する。リレー22のコイル22aの一端は電源に接続され、他端は途中で信号線23a,23b,23cに分岐し、これら信号線23a,23b,23cはそれぞれ信号線21a,21b,21dに接続されている。リレー22の接点22bの一端は信号線23cを介して信号線21cに接続され、他端はリレー22のA端子またはB端子のいずれかに接続されている。リレー22のA端子は開放され、B端子は信号線21eを介して接地されている。なお、図4の電気回路には電気の流れ方向を制御するためのダイオードが設けられている。
【0024】
本実施の形態に係るスイッチ装置の主要な動作を説明する。
(1)P位置
操作ダイヤル110がP位置に操作されると、切換スイッチ11の接触子11aがP端子に接触する。これによりコントローラ10のaポートが信号線21a,21eを介して接地され、aポートがオンとなる。このときリレー22のコイル22aは信号線23a,21eを介して通電され、リレー接点22bはA端子側に切り換わる。このため信号線23cには電流が流れず、コントローラ10のcポートはオフとなる。
【0025】
このように操作ダイヤル110がP位置に操作されたときは、コントローラ10のaポートのみがオンとなるため、コントローラ10はスイッチ11がP位置に切り換えられたと認識する。その結果、コントローラ10はブレーキ制御弁15に制御信号を出力し、駐車ブレーキを作動させる。
【0026】
(2)R位置
操作ダイヤル110がR位置に操作されると、切換スイッチ11の接触子11aがR端子に接触する。これによりコントローラ10のbポートが信号線21b,21eを介して接地され、bポートがオンとなる。このときリレー22のコイル22aには信号線23b,21eを介して電流が流れ、リレー接点22bはA端子側に切り換わる。このため信号線23cには電流が流れず、コントローラ10のcポートはオフとなる。
【0027】
このように操作ダイヤル110がR位置に操作されたときは、コントローラ10のbポートのみがオンとなるため、コントローラ10はスイッチ11がR位置に切り換えられたと認識する。その結果、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、ラムロックを作動させる。また、ブレーキ制御弁16に制御信号を出力し、作業ブレーキを作動させる。
【0028】
(3)A位置
操作ダイヤル110がA位置に操作されると、切換スイッチ11の接触子11aがA端子に接触する。これによりコントローラ10のcポートが信号線21c,21eを介して接地され、cポートがオンとなる。このときリレー22のコイル22aには電流が流れず、リレー接点22bはB端子側に切り換わる。このためコントローラ10のcポートは信号線21c,23cを介して接地され、オンのままである。
【0029】
このように操作ダイヤル110がA位置に操作されたときは、コントローラ10のcポートのみがオンとなるため、コントローラ10はスイッチ11がA位置に切り換えられたと認識する。その結果、コントローラ10は車両が停止かつ走行ペダルが非操作であるか否か、すなわちラムロック条件の成否を判定し、ラムロック条件が成立と判定すると、電磁切換弁8に制御信号を出力し、ラムロックを作動させる。ラムロック条件が不成立と判定すると、電磁切換弁8に制御信号を出力し、ラムロックを解除する。なお、ラムロックの作動、解除に伴い、コントローラ10はブレーキ制御弁16にも制御信号を出力し、作業ブレーキを作動、解除する。
【0030】
(4)オフ位置
操作ダイヤル110がオフ位置に操作されると、切換スイッチ11の接触子11aがオフ端子に接触する。この場合、信号線21a〜21cには電流が流れず、コントローラ10のaポート〜cポートは全てオフとなる。また、リレー22のコイル22aには信号線23d,21eを介して電流が流れ、リレー接点22bはA端子側に切り換わる。このため信号線23cには電流が流れず、コントローラ10のcポートはオフのままである。
【0031】
このように操作ダイヤル110がオフ位置に操作されたときは、コントローラ10のaポート〜cポートが全てオフとなるため、コントローラ10は切換スイッチ11がオフ位置に切り換えられたと認識する。その結果、コントローラ10は電磁切換弁8に制御信号を出力し、ラムロックを解除するとともに、ブレーキ制御弁15,16に制御信号を出力し、ブレーキを解除する。
【0032】
(5)中間位置
操作ダイヤル110が図3(b)に示すようにA位置とR位置の間(中間位置)に操作されると、切換スイッチ11の接触子11aはA端子とR端子の中間(点線)に位置する。このため、信号線21a〜21cには電気が流れず、コントローラ10のaポート〜cポートは全てオフとなる。このときリレー22のコイル22aにも電流が流れず、リレー接点22bはB端子側に切り換わる。これによりコントローラ10のcポートが信号線21c,23cを介して接地され、コントローラ10のcポートはオンとなる。操作ダイヤル110が他の中間位置(オフ位置とA位置の間、R位置とP位置の間)に操作されたときも、同様にコントローラ10のcポートはオンとなる。
【0033】
このように操作ダイヤル110が中間位置に操作されたときは、コントローラ10のcポートのみがオンとなるため、コントローラ10はスイッチ11がA位置に切り換えられたと認識する。その結果、コントローラ10はラムロック条件の成否を判定し、ラムロック条件が成立と判定するとラムロックを作動し、ラムロック条件が不成立と判定するとラムロックを解除する。
【0034】
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)リレー22と信号線23a〜23dによりリレー回路を構成し、操作ダイヤル110が誤って中間位置に操作されたときに、リレー回路を介してコントローラ10のcポートを通電(オン)するようにした。すなわち切換スイッチ11の各端子が開放されている場合でも、aポート〜cポートを全てオフせずに、cポートのみオンするようにした。これにより切換スイッチ11がオフ位置と認識されることを防止でき、ラムロックが自動的に作動し、車両姿勢を安定化させることができる。
(2)操作ダイヤル110がP位置、R位置、オフ位置に操作されたときは、リレー回路を開放するようにしたので、操作ダイヤル110が中間位置以外に操作されたときに、コントローラ10がダイヤル操作を誤って認識することはない。
【0035】
(3)切換スイッチ11をオフ位置、A位置、R位置、P位置の順に切換可能に設け、操作ダイヤル110が中間位置に操作されたときは、自動ラムロックを作動するようにしたので、オペレータにとって違和感が少ない。すなわち操作ダイヤル110が中間位置に操作されたときは、オペレータが操作ダイヤル110をA位置またはR位置に操作するつもりであったと推定されるため、自動ラムロックを作動することで、オペレータの意に合った車両動作を実現できる。
(4)操作ダイヤル110が中間位置に操作されたときに自動ラムロックを作動するので、ラムロック条件の成否に応じてラムロックとブレーキの作動が制御される。このため、走行中に操作ダイヤル110が誤って中間位置に操作されたとしても、ラムロックもブレーキも作動せず、車両のショックの発生を抑えることができる。
【0036】
(5)切換スイッチ11がP位置,R位置,A位置に切り換わったときは、それぞれコントローラ10のaポート〜cポートにオン信号を出力することにより、車両動作を制限する操作信号(制限信号)を発生し、オフ位置に切り換わったときは、オン信号の出力を停止することにより、車両動作を解除する操作信号(解除信号)を発生するようにした。これによりコントローラ10の信号入出力ポートの数(3カ所)をスイッチ11の切換位置の数(4位置)よりも少なくすることができる。
(6)信号線21a〜21eからなる基準回路にリレー回路を追加し、操作ダイヤル110が中間位置に操作されたときに、リレー回路によりコントローラ10のcポートを通電するようにしたので、構成が容易であり、安価に構成できる。既存のスイッチ11にも容易に適用可能である。
【0037】
なお、上記実施の形態では、操作ダイヤル110を車両の動作制限を指令する制限位置(P位置,R位置,A位置)と動作制限の解除を指令する解除位置(オフ位置)とに操作可能としたが、少なくとも制限位置と解除位置の2位置に切換可能であるならば、ダイヤル110の切換位置の数はこれに限らない。操作ダイヤル110の操作によりブレーキの作動とラムロックの作動を指令するようにしたが、いずれか一方のみを指令するものでもよい。ブレーキの作動、ラムロックの作動以外の他の車両動作の制限を指令するようにしてもよい。操作ダイヤル110により操作部材を構成したが、操作部材の構成はこれに限らない。例えばスライド操作するスライド式の操作部材としてもよい。
【0038】
信号線21a〜21eを用いて基準回路を形成し、操作ダイヤル110がP位置,R位置,A位置に操作されると、その操作に応じたオン信号(制限信号)を発生し、操作ダイヤル110がオフ位置に操作されると、その操作に応じたオフ信号(解除信号)を発生するようにしたが、第1の信号発生回路としての基準回路の構成は図4のものに限らない。リレー22と信号線23a〜23dによりリレー回路を形成し、操作ダイヤル110が中間位置(第3の位置)に誤操作されると、操作ダイヤル110がA位置に操作されたときと同様の制限信号を発生するようにしたが、第2の信号発生回路の構成は図4のものに限らない。例えば操作ダイヤル110がR位置あるいはP位置に操作されたのと同様の制限信号を発生するようにしてもよい。リレー回路以外により第2の信号発生回路を構成することもできる。
【0039】
車両の動作制限を指令する第1の制限位置としてスイッチ11にP位置,R位置の2位置を設定し、第2の制限位置としてA位置を設定したが、第1の制限位置として1位置のみ設定してもよく、3位置以上設定してもよい。以上では、ホイールショベルに適用する例を説明したが、オペレータにより切換操作されるスイッチを有する他の作業車両にも本発明は同様に適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の作業車両のスイッチ装置に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態に係る作業車両の要部構成を示す図。
【図2】本実施の形態に係る作業車両の駆動用油圧回路図。
【図3】操作ダイヤルの外観を示す図。
【図4】本実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す電気回路図。
【符号の説明】
【0041】
11 切換スイッチ
11a 接触子
21a〜21e 信号線
22 リレー
23a〜23d 信号線
110 操作ダイヤル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の所定の動作の制限を指令する制限位置および制限の解除を指令する解除位置に操作可能な操作部材と、
前記操作部材が前記制限位置に操作されると制限信号を発生し、前記解除位置に操作されると解除信号を発生する第1の信号発生回路と、
前記操作部材が前記制限位置以外かつ前記解除位置以外の第3の位置に誤操作されると、前記制限信号を発生する第2の信号発生回路とを備えることを特徴とする作業車両のスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両のスイッチ装置において、
前記操作部材には、異なる動作制限を指令する第1の制限位置および第2の制限位置が設定され、この操作部材は、前記解除位置、前記第1の制限位置、および前記第2の制限位置の順に操作可能であり、
前記第3の位置は、前記解除位置と前記第1の制限位置の間の中間位置もしくは前記第1の制限位置と前記第2の制限位置の間の中間位置であることを特徴とする作業車両のスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業車両のスイッチ装置において、
前記操作部材が前記制限位置に操作されると、車両の走行動作を制限するブレーキ指令および走行体上の車体に設けられた作業装置の駆動による車体の揺動を制限するラムロック指令の少なくとも一方を指令することを特徴とする作業車両のスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車両のスイッチ装置において、
前記第1の信号発生回路は、信号線を介してオン信号を出力することにより前記制限信号を発生し、オン信号の出力を停止することにより前記解除信号を発生することを特徴とする作業車両のスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車両のスイッチ装置において、
前記第2の信号発生回路は、前記操作部材が第3の位置に操作されると切り換わって、前記第1の信号発生回路の制限信号発生用の信号線に接続されるリレー回路であることを特徴とする作業車両のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−151632(P2009−151632A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330107(P2007−330107)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】