作業車両の周辺監視装置
【課題】俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる作業車両の周辺監視装置を提供する。
【解決手段】作業車両の周辺監視装置において、第1撮像部は、作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る。俯瞰画像作成部は、第1画像データを所定の仮想投影面31に投影することにより、作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する。仮想投影面31は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。
【解決手段】作業車両の周辺監視装置において、第1撮像部は、作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る。俯瞰画像作成部は、第1画像データを所定の仮想投影面31に投影することにより、作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する。仮想投影面31は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超大型の作業車両として、鉱山等で砕石を運搬するためのダンプトラックが広く用いられている。このようなダンプトラックは、一般的な車両に比較して著しく車幅が広く、また前後長が長いため、サイドミラー等によって作業車両周辺の状況を運転者が把握することは困難である。
【0003】
一方、車両周辺の状況を運転者に簡便に把握させることを目的として、周辺監視装置が提案されている。周辺監視装置は、車両に装着されたカメラなどの撮像部を含む。周辺監視装置は、撮像部によって撮像された画像を合成することにより、作業車両の周囲を示す俯瞰画像を作成する。例えば、特許文献1に示されている自動車の周辺監視装置では、俯瞰画像は、撮像部によって撮像された画像を仮想投影面上に投影することにより作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−099952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
俯瞰画像は、画像を仮想投影面上に投影することにより作成される。このため、車両の近くに位置する物体が俯瞰画像において小さく表示されるという問題がある。例えば、図17に示すように、物体OB1と物体OB2とが車両100の周囲に位置しているものとする。物体OB2は、物体OB1よりも車両100の近くに位置している。撮像部101によって物体OB1,OB2を撮像した画像が、仮想投影面300に投影されることにより、仮想視点103から見た俯瞰画像が作成される。仮想投影面300は、地面上に位置している。この場合、撮像部101から物体OB2への視線の角度θ2は、物体OB1への視線の角度θ1よりも急角度となる。このため、俯瞰画像において、物体OB1は、大きさL10に相当するサイズで表示されるが、物体OB2は、L10よりも小さいL20に相当するサイズで表示される。このように、車両の近くに位置する物体が俯瞰画像において小さく表示されると、運転者が俯瞰画像において物体を発見することが困難になる。特に、一般的な自動車と異なり、車体サイズが非常に大きい作業車両では、作業車両の周囲に運転者にとって死角となる領域が多く存在する。このため、作業車両の近くに位置する物体を容易に認識できることが重要である。
【0006】
本発明の課題は、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる作業車両の周辺監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1撮像部と、俯瞰画像作成部と、表示部とを備える。第1撮像部は、作業車両に装着される。第1撮像部は、作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る。俯瞰画像作成部は、第1画像データを所定の仮想投影面に投影することにより、作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する。表示部は、俯瞰画像を表示する。仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。
【0008】
本発明の第2の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1の態様の作業車両の周辺監視装置であって、仮想投影面は、変化部と、平坦部とを含む。変化部は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる。平坦部は、変化部よりも作業車両から離れた位置において変化部に連続的に繋がっている。平坦部の地面からの高さは一定である。また、変化部は、作業車両と平坦部との間に位置する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第2の態様の作業車両の周辺監視装置であって、変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。
【0010】
本発明の第4の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1の態様の作業車両の周辺監視装置であって、仮想投影面は、第1変化部と、平坦部と、第2変化部とを含む。第1変化部の地面からの高さは、作業車両に近づくほど高くなる。平坦部は、第1変化部よりも作業車両から離れた位置において第1変化部に連続的に繋がっている。平坦部の地面からの高さは一定である。第2変化部は、平坦部よりも作業車両から離れた位置において、平坦部に連続的に繋がっている。第2変化部の地面からの高さは、作業車両から遠ざかるほど高くなる。
【0011】
本発明の第5の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第4の態様の作業車両の周辺監視装置であって、第2変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1から第5の態様のいずれかの作業車両の周辺監視装置であって、第2撮像部をさらに備える。第2撮像部は、作業車両に装着される。第2撮像部は、第2領域を撮像して第2画像データを得る。第2領域は、第1領域と部分的に重複する作業車両の周囲の領域である。俯瞰画像作成部は、俯瞰画像において、第1領域と第2領域との重複領域における第1画像データの画像と、重複領域における第2画像データの画像とを重ねて表示する。
【0013】
本発明の第7の態様に係る作業車両は、第1から第6の態様のいずれかの周辺監視装置を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。このため、作業車両の近くに位置する物体が、俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【0015】
本発明の第2の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、変化部と平坦部とは連続的に繋がっているため、俯瞰画像上において物体が滑らかに表示される。これにより、オペレータにとって違和感の少ない俯瞰画像を作成することができる。また、平坦部が、変化部よりも作業車両から離れた位置に存在するため、作業車両から離れた位置では、俯瞰画像での物体の変形が抑えられる。
【0016】
本発明の第3の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮影しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。
【0017】
本発明の第4の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、仮想投影面の第1変化部によって、俯瞰画像において作業車両の近くの物体が大きく表示される。平坦部が変化部よりも作業車両から離れた位置に存在するため、平坦部に投影された物体は、俯瞰画像において大きく表示される。また、平坦部では、作業車両から離れるほど物体が大きく表示されるが、平坦部よりも作業車両から離れた位置には第2変化部が設けられている。第2変化部の地面からの高さは作業車両から遠ざかるほど高くなるため、物体は作業車両から離れるほど小さく表示される。このため、俯瞰画像によって作業車両と物体との間の距離感を容易に把握することができる。さらに、第1変化部と平坦部とは、連続的に繋がっている。また、平坦部と第2変化部とは、連続的に繋がっている。このため、俯瞰画像上において物体が滑らかに表示される。これにより、オペレータに違和感を与え難い俯瞰画像を作成することができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、第2変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮影しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。また、第1変化部の地面からの高さは、地面上から作業車両に近づくほど高くなる。このため、仮想投影面が全て地面上の平面である場合よりも、俯瞰画像において作業車両近傍の物体が大きく表示される。さらに、第2変化部の地面からの高さは、地面上から作業車両から遠ざかるほど高くなる。このため、仮想投影面が全て地面上の平面である場合よりも、作業車両と物体との間の距離感を容易に把握することができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、俯瞰画像作成部は、重複領域において第1画像データの画像と第2画像データの画像とを重ねて表示する。このため、俯瞰画像において重複領域での物体の消失を抑えることができる。また、仮想投影面が作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含むことにより、重複領域において作業車両の近傍に位置する物体が俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において撮像部の重複領域において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る作業車両では、仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。このため、作業車両の近くに位置する物体が、俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業車両の全体構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る周辺監視装置の構成を示すブロック図。
【図3】周辺監視装置の複数の撮像部の装着位置を示す作業車両の斜視図。
【図4】周辺監視装置の複数の撮像部の装着位置と撮像範囲とを示す上面図。
【図5】仮想投影面を用いた画像変換の手法を示す図。
【図6】第1仮想投影面の一例を示す模式図。
【図7】第2仮想投影面の一例を示す模式図。
【図8】仮想投影面に含まれる第1〜近接範囲の位置を示す上面図。
【図9】周辺監視装置のコントローラが実行する処理を示すフローチャート。
【図10】停止状態での俯瞰画像の例を示す模式図。
【図11】走行状態での俯瞰画像の例を示す模式図。
【図12】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図13】従来の周辺監視装置における物体の消失の発生原因を説明するための模式図。
【図14】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図15】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図16】他の実施形態に係る第1仮想投影面の一例を示す模式図。
【図17】従来の周辺監視装置における課題を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座した運転者を基準とする用語であり、「車幅方向」は、「左右方向」と同義である。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業車両1を示す斜視図である。作業車両1は、鉱山作業などに用いられる自走式の超大型のダンプトラックである。
【0024】
作業車両1は主に、車体フレーム2と、キャブ3と、ベッセル4と、前輪5と、後輪6とを備える。また、作業車両1は、作業車両1の周囲を監視して、その結果を表示する周辺監視装置10(図2参照)を備える。周辺監視装置10の詳細については後述する。
【0025】
車体フレーム2は、図示しないディーゼルエンジンやトランスミッション等の動力機構と、その他の補機類とを支持している。また、車体フレーム2の前部には、左右の前輪5(図1では右前輪のみ図示)が支持されている。車体フレーム2の後部に左右の後輪6(図1では右後輪のみ図示)が支持されている。車体フレーム2は、ロアデッキ2aと、アッパデッキ2bとを有する。ロアデッキ2aは、車体フレーム2の前面の下部に取り付けられている。アッパデッキ2bは、ロアデッキ2aの上方に配置されている。ロアデッキ2aと地面との間には例えば可動式ラダー2cが配置されている。また、ロアデッキ2aとアッパデッキ2bとの間には斜めラダー2dが配置されている。アッパデッキ2b上には、柵状の手すり2eが配置されている。
【0026】
キャブ3は、アッパデッキ2b上に配置されている。キャブ3は、アッパデッキ2b上において車幅方向の中央よりも車幅方向における一方側に偏っては位置されている。具体的には、キャブ3は、アッパデッキ2b上において車幅方向の中央よりも左側方に位置している。キャブ3内には、運転席、ハンドル、シフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル等の操作部材(図示せず)が配置されている。
【0027】
ベッセル4は、砕石等の重量物を積載するための容器である。ベッセル4の底面の後部は、回動ピン(図示せず)を介して、車体フレーム2の後部に回動可能に連結されている。ベッセル4は、図示しない油圧シリンダ等のアクチュエータによって、積載姿勢と起立姿勢とを取り得る。積載姿勢は、図1に示すようにベッセル4の前部がキャブ3の上部に位置する姿勢である。起立姿勢は、積載物を排出する姿勢であり、ベッセル4が後方且つ下方へ向かった傾斜した状態となる。ベッセル4の前部が上方に回動することにより、ベッセル4は積載姿勢から起立姿勢に変化する。
【0028】
図2は、作業車両1が備える周辺監視装置10の構成を示すブロック図である。周辺監視装置10は、複数の撮像部11−16と、車速検知部17と、表示部18と、コントローラ19と、を有する。
【0029】
撮像部11−16は、作業車両1に装着される。撮像部11−16は、作業車両1の周囲の領域を撮像して画像データを取得する。撮像部11−16は、それぞれカメラ11a−16aとフレームメモリ11b−16bとを有する。フレームメモリ11b−16bはカメラ11a−16aによって撮像された画像データを一時的に保存する。複数の撮像部11−16は、第1〜第6撮像部11−16を有する。図3は、第1〜第6撮像部11−16の装着位置を示す作業車両1の斜視図である。図4は、第1〜第6撮像部11−16の装着位置と撮像範囲とを示す作業車両1の上面図である。
【0030】
図3に示すように、第1撮像部11は、作業車両1の前面に取り付けられる。具体的には、第1撮像部11は、斜めラダー2dの上端部に配置される。図4に示すように、第1撮像部11は、作業車両1の周囲の第1領域11Rを撮像して第1画像データを得る。第1領域11Rは、作業車両1の前方に位置する。
【0031】
図3に示すように、第2撮像部12は、作業車両1の前面の一方の側部に取り付けられる。具体的には、第2撮像部12は、アッパデッキ2bの前面の左側部に配置される。図4に示すように、第2撮像部12は、作業車両1の周囲の第2領域12Rを撮像して第2画像データを得る。第2領域12Rは、作業車両1の左斜め前方に位置する。図3に示すように、第3撮像部13は、作業車両1の前面の他方の側部に取り付けられる。具体的には、第3撮像部13は、第2撮像部12と左右対称位置に配置される。すなわち、第3撮像部13は、アッパデッキ2bの前面の右側部に配置される。図4に示すように、第3撮像部13は、作業車両1の周囲の第3領域13Rを撮像して第3画像データを得る。第3領域13Rは、作業車両1の右斜め前方に位置する。
【0032】
図3に示すように、第4撮像部14は、作業車両1の一方の側面に取り付けられる。具体的には、第4撮像部14は、アッパデッキ2bの左側面の前部に配置される。図4に示すように、第4撮像部14は、作業車両1の周囲の第4領域14Rを撮像して、第4画像データを得る。第4領域14Rは、作業車両1の左斜め後方に位置する。図3に示すように、第5撮像部15は、作業車両1の他方の側面に取り付けられる。具体的には、第5撮像部15は、第4撮像部14と左右対称位置に配置される。すなわち、第5撮像部15は、アッパデッキ2bの右側面の前部に配置される。図4に示すように、第5撮像部15は、作業車両1の周囲の第5領域15Rを撮像して第5画像データを得る。第5領域15Rは、作業車両1の右斜め後方に位置する。
【0033】
図3に示すように、第6撮像部16は、作業車両1の後部に取り付けられる。具体的には、第6撮像部16は、2つの後輪6を連結するアクスル軸(図示せず)の上方であって、ベッセル4の回動軸付近に配置される。図4に示すように、第6撮像部16は、作業車両1の周囲の第6領域16Rを撮像して第6画像データを得る。第6領域16Rは、作業車両1の後方に位置する。
【0034】
以上の6台の撮像部11−16によれば、図4の中央図に示すように、作業車両1のほぼ全周囲の画像を取得することができる。図4の中央図に示すように、第1〜第6領域16Rのうち隣接する2つの領域は、部分的に互いに重なっている。具体的には、第1領域11Rは、第1重複領域OA1において第2領域12Rと部分的に重なっている。また、第1領域11Rは、第2重複領域OA2において第3領域13Rと部分的に重なっている。第2領域12Rは、第3重複領域OA3において第4領域14Rと部分的に重なっている。第3領域13Rは、第4重複領域OA4において第5領域15Rと部分的に重なっている。第4領域14Rは、第5重複領域OA5において第6領域16Rと部分的に重なっている。また、第5領域15Rは、第6重複領域OA6において第6領域16Rと部分的に重なっている。第1〜第6撮像部11−16は、それぞれ撮像した画像を示す画像データをコントローラ19に送信する。
【0035】
車速検知部17は、作業車両1の車速を検知する。車速検知部17は、例えばトランスミッションの出力軸の回転速度などに基づいて作業車両1の車速を検知する。車速検知部17は、検知した車速を示す車速データをコントローラ19に送信する。
【0036】
表示部18は、キャブ3内に配置されるモニタである。表示部18は、キャブ3内において運転席の前方に配置される。表示部18は、コントローラ19の制御に応じて画像を表示する。
【0037】
コントローラ19は、撮像部11−16からの画像データに基づき、作業車両1の周囲を示す俯瞰画像を作成する。コントローラ19は、作成した俯瞰画像を示す出力信号を表示部18に出力する。表示部18は、コントローラ19からの出力信号により俯瞰画像を表示する。図2に示すように、コントローラ19は、走行状態判定部21と、記憶部22と、俯瞰画像作成部23とを有する。
【0038】
走行状態判定部21は、車速検知部17からの車速データに基づいて、作業車両1の走行状態を判定する。走行状態判定部21は、車速が所定の閾値以上であるときには、作業車両1が走行状態であると判定する。走行状態判定部21は、車速が所定の閾値より小さいときには、作業車両1が停止状態であると判定する。従って、車速がゼロであるときだけではなく、車速の小さい低速走行状態も上記の停止状態に含まれる。
【0039】
記憶部22は、コントローラ19が俯瞰画像を作成するために必要な各種の情報を記憶している。具体的には、記憶部22は、後述する第1変換情報と第2変換情報と合成比率とを記憶している。
【0040】
俯瞰画像作成部23は、撮像部11−16のそれぞれから画像データを受信する。俯瞰画像作成部23は、複数の画像データによって示される複数の画像に基づいて、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、記憶部22に保存されている変換情報を用いて画像データの座標変換を行う。変換情報は、入力画像の各画素の位置座標と出力画像の各画素の位置座標との対応を示す情報である。ここで、入力画像は、各撮像部11−16によって撮像された画像である。また、出力画像は、表示部18に表示される俯瞰画像である。俯瞰画像作成部23は、変換情報を用いて、撮像部11−16によって撮像された画像を、作業車両1の上方に位置する所定の仮想視点から見た画像に変換する。具体的には、図5に示すように、撮像部11−16によって撮像された画像は、所定の仮想投影面30上に投影されることにより、作業車両1の上方に位置する仮想視点20から見た画像に変換される。変換情報は、この仮想投影面30を表している。俯瞰画像作成部23は、複数の撮像部11−16からの画像データを所定の仮想投影面に投影して合成することにより、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。すなわち、第1〜第6画像データを所定の仮想投影面に投影して合成することにより、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。
【0041】
上述したように、各撮像部11−16が撮像する作業車両1の周囲の領域は、第1〜第6重複領域OA1−OA6において重複している。俯瞰画像作成部23は、俯瞰画像において、各重複領域OA1−OA6において互いに隣接する2つの撮像部11−16からの画像データの画像を重ねて表示する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、第1重複領域OA1では、第1撮像部11からの第1画像データの画像と、第2撮像部12からの第2画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第2重複領域OA2では、第1撮像部11からの第1画像データの画像と、第3撮像部13からの第3画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第3重複領域OA3では、第2撮像部12からの第2画像データの画像と、第4撮像部14からの第4画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第4重複領域OA4では、第3撮像部13からの第3画像データの画像と、第5撮像部15からの第5画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第5重複領域OA5では、第4撮像部14からの第4画像データの画像と、第6撮像部16からの第6画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第6重複領域OA6では、第5撮像部15からの第5画像データの画像と、第6撮像部16からの第6画像データの画像とを重ねて表示する。このように重複領域OA1−OA6において2つの画像データを重ねて合成する場合には、各画像データの値に合成比率を乗じた値が足し合わされる。合成比率は、各画像データに対応した値であり、記憶部22に記憶されている。例えば、第1画像データの合成比率が0.5であり、第2画像データの合成比率が0.5であるなど、画像データごとに合成比率が定められている。このように合成比率が用いられることにより、重複領域OA1−OA6において複数の画像データが平均化されて表示される。これにより、色やコントラストの急激な変化が抑えられ、自然な俯瞰画像を作成することができる。俯瞰画像作成部23は、上記のように合成された俯瞰画像を示す俯瞰画像データを生成して、俯瞰画像データを表示部18に送信する。
【0042】
俯瞰画像作成部23は、複数の仮想投影面を選択的に用いて、俯瞰画像を作成する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、図6に示す第1仮想投影面31と、図7に示す第2仮想投影面32とを用いて俯瞰画像を作成する。図6(a)は、第1仮想投影面31の斜視図である。図6(b)は、図6(a)における第1仮想投影面31のA1−A1断面図である。図6(c)は、図6(a)における第1仮想投影面31のB1−B1断面図である。図7(a)は、第2仮想投影面32の斜視図である。図7(b)は、図7(a)における第2仮想投影面32のA2−A2断面図である。図7(c)は、図7(a)における第2仮想投影面32のB2−B2断面図である。上述したように、記憶部22は、第1変換情報と第2変換情報とを記憶している。第1変換情報は、第1仮想投影面31を示すデータである。第2変換情報は、第2仮想投影面32を示すデータである。俯瞰画像作成部23は、第1変換情報を用いて画像データの座標変換を行うことにより、各撮像部11−16が撮像した画像を第1仮想投影面31に投影した俯瞰画像を作成する。俯瞰画像作成部23は、第2変換情報を用いて画像データの座標変換を行うことにより、各撮像部11−16が撮像した画像を第2仮想投影面32に投影した俯瞰画像を作成する。
【0043】
図6に示すように、第1仮想投影面31は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。第1仮想投影面31の中央部は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状である。第1仮想投影面31の外縁部は、作業車両1から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる形状である。ここで、図8に示すように、仮想投影面31,32上において、作業車両1の前後方向及び車幅方向の中心C1(以下、「車両中心C1」と呼ぶ)から作業車両1の前方、左側方、右側方、後方にそれぞれ所定距離、離れた位置までの範囲を近接範囲R0と規定する。近接範囲R0に隣接して近接範囲R0よりも作業車両1から離れた範囲を第1範囲R1と規定する。また、第1範囲R1に隣接して第1範囲R1よりも作業車両1から離れた範囲を第2範囲R2と規定する。第2範囲R2は、各仮想投影面31,32の外縁部を含む。
【0044】
図6に示すように、第1仮想投影面31は、第1変化部33と、平坦部34と、第2変化部35とを含む。第1変化部33は、図8に示す近接範囲R0に位置する。第1変化部33の地面からの高さは、車両中心C1に近づくほど高くなる。すなわち、第1変化部33の地面からの高さは、作業車両1に近づくほど高くなる。従って、第1仮想投影面31の近接範囲R0は、地面からの高さが作業車両1に近づくほど高くなる形状である。第1変化部33は、車両中心C1に向かって上方に傾斜した形状である。第1変化部33の頂点は、作業車両1の内部に相当する位置に位置している。第1変化部33は、複数の撮像部11−16のうち最も低い位置に設置されている撮像部よりも下方に位置している。平坦部34は、第1仮想投影面31の第1範囲R1に位置する。平坦部34は、第1変化部33よりも作業車両1から離れた位置において第1変化部33に連続的に繋がっている。第1変化部33と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。平坦部34の地面からの高さは一定である。従って、第1仮想投影面31の第1範囲R1は、地面からの高さが一定の平坦な形状である。具体的には、平坦部34は、地面と同じ高さの平面である。従って、第1仮想投影面31の第1範囲R1は、地面と同じ高さの平坦な形状である。第2変化部35は、第1仮想投影面31の第2範囲R2に位置している。第2変化部35は、平坦部34よりも作業車両1から離れた位置において、平坦部34に連続的に繋がっている。第2変化部35の地面からの高さは、作業車両1から遠ざかるほど高くなる。従って、第1仮想投影面31の第2範囲R2は、作業車両1から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる形状である。第2変化部35は、作業車両1から離れる方向に向かって上方に傾斜した形状である。第2変化部35と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。
【0045】
第1仮想投影面31の第2範囲R2すなわち第2変化部35は、複数の湾曲面35a−35dと、複数の球面35e−35hとを含む。湾曲面35a−35dは、作業車両1の外形に対応する矩形の各辺に平行な仮想軸を中心に湾曲している。球面35e−35hは、隣接する一対の湾曲面35a−35dの間にそれぞれ配置されている。球面35e−35hは、隣接する一対の湾曲面35a−35dと連続的につながっている。具体的には、第2変化部35は、第1〜第4湾曲面35a−35dと、第1〜第4球面35e−35hとを含む。第1湾曲面35aは、作業車両1の前方に位置する。図6(a)に示すように、第1湾曲面35aは、仮想軸C2を中心に湾曲している。仮想軸C2は、作業車両1の外形に対応する矩形の前面の辺に平行な軸線である。第2湾曲面35bは、作業車両1の後方に位置する。図6(a)に示すように、第2湾曲面35bは、仮想軸C3を中心に湾曲している。仮想軸C3は、作業車両1の外形に対応する矩形の後面の辺に平行な軸線である。第3湾曲面35cは、作業車両1の左側方に位置する。図6(b)に示すように、第3湾曲面35cは、仮想軸C4を中心に湾曲している。仮想軸C4は、作業車両1の外形に対応する矩形の左側面の辺に平行な軸線である。第4湾曲面35dは、作業車両1の右側方に位置する。図6(b)に示すように、第4湾曲面35dは、仮想軸C5を中心に湾曲している。仮想軸C5は、作業車両1の外形に対応する矩形の右側面の辺に平行な軸線である。
【0046】
第1球面35eは、第1湾曲面35aと第3湾曲面35cとの間に配置されている。第1球面35eは、第1湾曲面35aと第3湾曲面35cとに連続的につながっている。第2球面35fは、第1湾曲面35aと第4湾曲面35dとの間に配置されている。第2球面35fは、第1湾曲面35aと第4湾曲面35dとに連続的につながっている。第3球面35gは、第2湾曲面35bと第3湾曲面35cとの間に配置されている。第3球面35gは、第2湾曲面35bと第3湾曲面35cとに連続的につながっている。第4球面35hは、第2湾曲面35bと第4湾曲面35dとの間に配置されている。第4球面35hは、第2湾曲面35bと第4湾曲面35dとに連続的につながっている。
【0047】
図7に示すように、第2仮想投影面32は平坦な形状を有する。詳細には、第2仮想投影面32の外縁部を含む全体が、地面からの高さが一定の平坦な形状である。従って、第2仮想投影面32の第1範囲R1と第2範囲R2と近接範囲R0は、地面からの高さが一定の平坦な形状である。具体的には、第2仮想投影面32の全体が、地面と同じ高さに位置する平坦な形状を有する。
【0048】
図9は、周辺監視装置10のコントローラ19によって実行される処理を示すフローチャートである。以下、図9に基づいて、周辺監視装置10が俯瞰画像を表示するための処理について説明する。
【0049】
まず、ステップS1において、画像の取り込みが実行される。ここでは、各撮像部11−16のカメラ11a−16aによって画像が撮像され、画像データが各撮像部11−16のフレームメモリ11b−16bに保存される。
【0050】
ステップS2では、作業車両1が走行状態であるのか否かが判定される。ここでは、走行状態判定部21が、車速に基づいて作業車両1が走行状態であるのか否かを判定する。上述したように、走行状態判定部21は、車速が所定の閾値以上であるときに、作業車両1が走行状態であると判定する。また、走行状態判定部21は、車速が所定の閾値より小さいときに、作業車両1が停止状態であると判定する。作業車両1が走行状態ではないときにはステップS3に進む。すなわち、作業車両1が停止状態であるときには、ステップS3に進む。
【0051】
ステップS3では、第1仮想投影面31にて俯瞰画像が作成される。ここでは、俯瞰画像作成部23は、図6に示す第1仮想投影面31を用いて、俯瞰画像を作成する。具体的には、各撮像部11−16からの画像データを第1仮想投影面31上に投影して合成することにより、俯瞰画像を作成する。図10は、第1仮想投影面31を用いて作成された俯瞰画像(以下、「第1俯瞰画像41」と呼ぶ)の一例である。第1俯瞰画像41の外枠は長方形の形状を有する。第1俯瞰画像41は、上面視における作業車両1を示すモデル図50と、上面視における作業車両1の周囲の画像51とを含む。また、第1俯瞰画像41は、作業車両1からの距離を示す複数の基準線52−54を含む。基準線52−54は、第1基準線52と第2基準線53と第3基準線54とを含む。例えば、第1基準線52は、作業車両1から3m離れた位置を示す。第2基準線53は、作業車両1から5m離れた位置を示す。第3基準線54は、作業車両1から7m離れた位置を示す。上述したように、第1仮想投影面31の外縁部を含む第2範囲R2は湾曲面35a−35d及び球面35e−35hによって構成されている。このため、第1俯瞰画像41の外枠に近い部分では、画像51が湾曲して表示される。
【0052】
ステップS2において、作業車両1が走行状態であると判定されたときには、ステップS4に進む。すなわち、車速の所定の閾値以上であるときには、ステップS4に進む。ステップS4では、第2仮想投影面32にて俯瞰画像が作成される。図11は、第2仮想投影面32を用いて作成された俯瞰画像(以下、「第2俯瞰画像42」と呼ぶ)の一例である。第2俯瞰画像42は、第1俯瞰画像41と同様に、上面視における作業車両1を示すモデル図50と、上面視における作業車両1の周囲の画像51とを含む。また、第2俯瞰画像42は、第1俯瞰画像41と同様に、複数の基準線52−54を含む。上述したように、第2仮想投影面32は全体的に平坦な形状である。このため、第2俯瞰画像42では、外枠に近い部分であっても、第1俯瞰画像41のように、画像51が湾曲して表示されることが防止される。
【0053】
ステップS5では、俯瞰画像が表示部18に表示される。ここでは、上述した第1俯瞰画像41又は第2俯瞰画像42が表示部18に表示される。具体的には、作業車両1が停止状態であるときには、第1俯瞰画像41が表示部18に表示される。作業車両2が走行状態であるときには、第2俯瞰画像42が表示部18に表示される。
【0054】
次に、本実施形態に係る作業車両1の周辺監視装置10の特徴について説明する。
【0055】
本実施形態の第1仮想投影面31の第1変化部33に投影された物体OBの大きさL3(図12(b)参照)は、地面Gに配置された仮想投影面300に投影された物体OBの大きさL1(図12(a)参照)よりも大きい。このため、物体OBが作業車両1の近くに位置していても、第1俯瞰画像41において物体OBが大きく表示される。これにより、運転者は、作業車両1の近くに位置する物体OBを容易に認識することができる。
【0056】
一般的に、俯瞰画像が、複数の撮像部によって撮像された画像から合成される場合、俯瞰画像において、各撮像部の撮像範囲の境界部分に位置する物体が消失するという問題がある。例えば、図13(a)に示すように、地面と同じ高さに位置する仮想投影面300を用いて俯瞰画像を作成する例について説明する。この例では、仮想投影面300は、複数の撮像部101,102が撮像する領域ごとに分割されている。周辺監視装置は、各撮像部101,102によって撮像された画像を仮想投影面300上に投影することにより、作業車両100の上方に位置する仮想視点103から見た俯瞰画像に変換する。この場合、仮想投影面300上に投影された画像の画素300の値は、当該画素300が含まれる領域を担当する撮像部101から当該画素300を見た値である。従って、物体OBが、仮想投影面300において、隣接する2つの撮像部101,102の領域の境界BL上に位置していると、物体OBの上部を貫く撮像部101,102の視線が存在しない。この場合、撮像部101,102は、地面上の物体OBの設置部P1のみしか撮像していない。このため、図13(b)に示すように、俯瞰画像400において物体OBを示す像401は、極小さな点でしか示されないか、或いは、俯瞰画像400において物体が消失する。このような物体の消失の問題は、撮像範囲の重複領域において、各撮像範囲の画像データを足し合わせることによって解決することができる。この場合、図14(a)に示すように、重複領域OAにおいて物体OBの上部を貫く撮像部101の視線LS1と撮像部102の視線LS2とが存在する。このため、図16(b)に示すように、俯瞰画像400の重複領域OAにおいて、撮像部101が撮像した像402と撮像部102が撮像した像403とが共に表示される。これにより、重複領域OA内の物体OBの消失が防止される。
【0057】
しかし、図14(a)に示すように、撮像範囲の重複領域OBは、作業車両100に近づくほど狭くなる。このため、物体OBが作業車両100に近い位置にある場合、物体OAを表示できる範囲が狭くなる。このため、俯瞰画像400物体OBの一部しか表示されないことがある。そこで、図15(a)に示すように、地面Gより高い位置に配置される仮想投影面301に物体OBを投影することが考えられる。この場合、物体OBの地面上の設置部P1と仮想投影面301との間の部分に対しては、仮想投影面30を通過する視線LS3,LS4が存在する。また、物体OBの頂上部P2を通る視線LS5が存在する。これにより、図15(b)に示すように、俯瞰画像400において、物体OBの広い範囲を表示することができる。俯瞰画像400においては、撮像部101が撮像した像404と撮像部102が撮像した像405とが共に表示される。しかし、この場合、物体OBの広い範囲を俯瞰画像400に表示することができるが、俯瞰画像400において物体OBの大きさが小さくなるという問題がある。例えば、図12(a)に示すように、地面Gより高い位置に配置された仮想投影面301に投影された物体OBの大きさL2は、地面G上に配置された仮想投影面300に投影された物体OBの大きさL1よりも小さくなってしまう。上述したように、作業車両1の近くでは、俯瞰画像において物体OBが小さく表示される。このため、地面Gより高い位置に配置された仮想投影面301が用いられると、作業車両1の近くに位置する物体OBは、俯瞰画像においてさらに小さく表示されてしまう。
【0058】
以上のような問題に対して、本実施形態に係る作業車両1の周辺監視装置10では、第1変化部33は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなるように傾斜している。このため、図12(b)に示すように、俯瞰画像での物体OBの大きさL3を、地面Gより高い位置に配置される仮想投影面301に投影される物体OBの大きさL2よりも大きくすることができる。これにより、俯瞰画像における物体の消失の問題と、物体が表示される範囲が狭くなる問題と、物体が小さく表示される問題とを同時に解決することができる。
【0059】
第1仮想投影面31の平坦部34が、第1変化部33よりも作業車両1から離れた位置に存在する。また、作業車両1から離れた位置では、作業車両1の近傍よりも俯瞰画像において物体OBが大きく表示される。これにより、物体の消失の問題を解消される。
【0060】
平坦部34では、作業車両1から離れるほど物体OBが大きく表示されるが、第1仮想投影面31において平坦部34よりも作業車両1から離れた位置には第2変化部35が設けられている。第2変化部35の地面からの高さは作業車両1から遠ざかるほど高くなるため、物体OBは作業車両1から離れるほど小さく表示される。このため、第1俯瞰画像41によって作業車両1と物体OBとの間の距離感を容易に把握することができる。
【0061】
第1変化部33と平坦部34とは、連続的に繋がっている。また、平坦部34と第2変化部35とは、連続的に繋がっている。このため、俯瞰画像上において物体OBが滑らかに表示される。これにより、オペレータに与える違和感が少ない俯瞰画像を作成することができる。
【0062】
第1変化部33と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。また、第2変化部35と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部34は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮像しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
上記の実施形態では、作業車両1の一例としてダンプトラックが挙げられているが、本発明は、例えばブルドーザーなどの他の種類の作業車両にも適用することができる。
【0065】
第1仮想投影面31において第2変化部35が省略されてもよい。すなわち、図16に示す第1仮想投影面31のように、変化部61と平坦部62とによって構成されてもよい。変化部61は、上記の実施形態の第1変化部33と同様である。従って、変化部61は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状である。変化部61は、近接範囲R0に位置する。平坦部34は、変化部61よりも作業車両1から離れており、第1仮想投影面31の外枠まで延びている。すなわち、平坦部34は、第1範囲R1と第2範囲R2とを合わせた範囲に位置する。
【0066】
本発明の撮像部の数は上記の実施形態のように6台に限られない。また、本発明の撮像部の配置は上記の実施形態の撮像部11−16の配置に限られない。上記の実施形態では、第1仮想投影面31の第1変化部33は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であるが、第1変化部33の地面からの高さが階段状に変化してもよい。同様に、第2変化部35の地面からの高さが階段状に変化してもよい。ただし、違和感の少ない自然な俯瞰画像を形成する観点からは、第1変化部33は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であることが好ましい。同様に、違和感の少ない自然な俯瞰画像を形成する観点からは、第2変化部35は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であることが好ましい。また、第1変化部33の傾斜面は、直線状であっても、曲線状であってもよい。同様に、第2変化部35の傾斜面は、直線状であっても、曲線状であってもよい。また、第1仮想投影面31の平坦部34は、地面と同じ高さに限らず、地面と異なる高さに位置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、俯瞰画像において物体の消失を抑えることができる作業車両の周辺監視装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 作業車両
10 周辺監視装置
11 第1撮像部
12 第2撮像部
18 表示部
23 俯瞰画像作成部
31 第1仮想投影面
33 第1変化部
34 平坦部
35 第2変化部
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超大型の作業車両として、鉱山等で砕石を運搬するためのダンプトラックが広く用いられている。このようなダンプトラックは、一般的な車両に比較して著しく車幅が広く、また前後長が長いため、サイドミラー等によって作業車両周辺の状況を運転者が把握することは困難である。
【0003】
一方、車両周辺の状況を運転者に簡便に把握させることを目的として、周辺監視装置が提案されている。周辺監視装置は、車両に装着されたカメラなどの撮像部を含む。周辺監視装置は、撮像部によって撮像された画像を合成することにより、作業車両の周囲を示す俯瞰画像を作成する。例えば、特許文献1に示されている自動車の周辺監視装置では、俯瞰画像は、撮像部によって撮像された画像を仮想投影面上に投影することにより作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−099952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
俯瞰画像は、画像を仮想投影面上に投影することにより作成される。このため、車両の近くに位置する物体が俯瞰画像において小さく表示されるという問題がある。例えば、図17に示すように、物体OB1と物体OB2とが車両100の周囲に位置しているものとする。物体OB2は、物体OB1よりも車両100の近くに位置している。撮像部101によって物体OB1,OB2を撮像した画像が、仮想投影面300に投影されることにより、仮想視点103から見た俯瞰画像が作成される。仮想投影面300は、地面上に位置している。この場合、撮像部101から物体OB2への視線の角度θ2は、物体OB1への視線の角度θ1よりも急角度となる。このため、俯瞰画像において、物体OB1は、大きさL10に相当するサイズで表示されるが、物体OB2は、L10よりも小さいL20に相当するサイズで表示される。このように、車両の近くに位置する物体が俯瞰画像において小さく表示されると、運転者が俯瞰画像において物体を発見することが困難になる。特に、一般的な自動車と異なり、車体サイズが非常に大きい作業車両では、作業車両の周囲に運転者にとって死角となる領域が多く存在する。このため、作業車両の近くに位置する物体を容易に認識できることが重要である。
【0006】
本発明の課題は、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる作業車両の周辺監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1撮像部と、俯瞰画像作成部と、表示部とを備える。第1撮像部は、作業車両に装着される。第1撮像部は、作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る。俯瞰画像作成部は、第1画像データを所定の仮想投影面に投影することにより、作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する。表示部は、俯瞰画像を表示する。仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。
【0008】
本発明の第2の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1の態様の作業車両の周辺監視装置であって、仮想投影面は、変化部と、平坦部とを含む。変化部は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる。平坦部は、変化部よりも作業車両から離れた位置において変化部に連続的に繋がっている。平坦部の地面からの高さは一定である。また、変化部は、作業車両と平坦部との間に位置する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第2の態様の作業車両の周辺監視装置であって、変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。
【0010】
本発明の第4の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1の態様の作業車両の周辺監視装置であって、仮想投影面は、第1変化部と、平坦部と、第2変化部とを含む。第1変化部の地面からの高さは、作業車両に近づくほど高くなる。平坦部は、第1変化部よりも作業車両から離れた位置において第1変化部に連続的に繋がっている。平坦部の地面からの高さは一定である。第2変化部は、平坦部よりも作業車両から離れた位置において、平坦部に連続的に繋がっている。第2変化部の地面からの高さは、作業車両から遠ざかるほど高くなる。
【0011】
本発明の第5の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第4の態様の作業車両の周辺監視装置であって、第2変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る作業車両の周辺監視装置は、第1から第5の態様のいずれかの作業車両の周辺監視装置であって、第2撮像部をさらに備える。第2撮像部は、作業車両に装着される。第2撮像部は、第2領域を撮像して第2画像データを得る。第2領域は、第1領域と部分的に重複する作業車両の周囲の領域である。俯瞰画像作成部は、俯瞰画像において、第1領域と第2領域との重複領域における第1画像データの画像と、重複領域における第2画像データの画像とを重ねて表示する。
【0013】
本発明の第7の態様に係る作業車両は、第1から第6の態様のいずれかの周辺監視装置を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。このため、作業車両の近くに位置する物体が、俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【0015】
本発明の第2の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、変化部と平坦部とは連続的に繋がっているため、俯瞰画像上において物体が滑らかに表示される。これにより、オペレータにとって違和感の少ない俯瞰画像を作成することができる。また、平坦部が、変化部よりも作業車両から離れた位置に存在するため、作業車両から離れた位置では、俯瞰画像での物体の変形が抑えられる。
【0016】
本発明の第3の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮影しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。
【0017】
本発明の第4の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、仮想投影面の第1変化部によって、俯瞰画像において作業車両の近くの物体が大きく表示される。平坦部が変化部よりも作業車両から離れた位置に存在するため、平坦部に投影された物体は、俯瞰画像において大きく表示される。また、平坦部では、作業車両から離れるほど物体が大きく表示されるが、平坦部よりも作業車両から離れた位置には第2変化部が設けられている。第2変化部の地面からの高さは作業車両から遠ざかるほど高くなるため、物体は作業車両から離れるほど小さく表示される。このため、俯瞰画像によって作業車両と物体との間の距離感を容易に把握することができる。さらに、第1変化部と平坦部とは、連続的に繋がっている。また、平坦部と第2変化部とは、連続的に繋がっている。このため、俯瞰画像上において物体が滑らかに表示される。これにより、オペレータに違和感を与え難い俯瞰画像を作成することができる。
【0018】
本発明の第5の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、第2変化部と平坦部との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮影しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。また、第1変化部の地面からの高さは、地面上から作業車両に近づくほど高くなる。このため、仮想投影面が全て地面上の平面である場合よりも、俯瞰画像において作業車両近傍の物体が大きく表示される。さらに、第2変化部の地面からの高さは、地面上から作業車両から遠ざかるほど高くなる。このため、仮想投影面が全て地面上の平面である場合よりも、作業車両と物体との間の距離感を容易に把握することができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る作業車両の周辺監視装置では、俯瞰画像作成部は、重複領域において第1画像データの画像と第2画像データの画像とを重ねて表示する。このため、俯瞰画像において重複領域での物体の消失を抑えることができる。また、仮想投影面が作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含むことにより、重複領域において作業車両の近傍に位置する物体が俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において撮像部の重複領域において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る作業車両では、仮想投影面は、作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。このため、作業車両の近くに位置する物体が、俯瞰画像において大きく表示される。これにより、俯瞰画像において作業車両の近くに位置する物体を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業車両の全体構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る周辺監視装置の構成を示すブロック図。
【図3】周辺監視装置の複数の撮像部の装着位置を示す作業車両の斜視図。
【図4】周辺監視装置の複数の撮像部の装着位置と撮像範囲とを示す上面図。
【図5】仮想投影面を用いた画像変換の手法を示す図。
【図6】第1仮想投影面の一例を示す模式図。
【図7】第2仮想投影面の一例を示す模式図。
【図8】仮想投影面に含まれる第1〜近接範囲の位置を示す上面図。
【図9】周辺監視装置のコントローラが実行する処理を示すフローチャート。
【図10】停止状態での俯瞰画像の例を示す模式図。
【図11】走行状態での俯瞰画像の例を示す模式図。
【図12】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図13】従来の周辺監視装置における物体の消失の発生原因を説明するための模式図。
【図14】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図15】本実施形態に係る周辺監視装置の効果を説明するための模式図。
【図16】他の実施形態に係る第1仮想投影面の一例を示す模式図。
【図17】従来の周辺監視装置における課題を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座した運転者を基準とする用語であり、「車幅方向」は、「左右方向」と同義である。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業車両1を示す斜視図である。作業車両1は、鉱山作業などに用いられる自走式の超大型のダンプトラックである。
【0024】
作業車両1は主に、車体フレーム2と、キャブ3と、ベッセル4と、前輪5と、後輪6とを備える。また、作業車両1は、作業車両1の周囲を監視して、その結果を表示する周辺監視装置10(図2参照)を備える。周辺監視装置10の詳細については後述する。
【0025】
車体フレーム2は、図示しないディーゼルエンジンやトランスミッション等の動力機構と、その他の補機類とを支持している。また、車体フレーム2の前部には、左右の前輪5(図1では右前輪のみ図示)が支持されている。車体フレーム2の後部に左右の後輪6(図1では右後輪のみ図示)が支持されている。車体フレーム2は、ロアデッキ2aと、アッパデッキ2bとを有する。ロアデッキ2aは、車体フレーム2の前面の下部に取り付けられている。アッパデッキ2bは、ロアデッキ2aの上方に配置されている。ロアデッキ2aと地面との間には例えば可動式ラダー2cが配置されている。また、ロアデッキ2aとアッパデッキ2bとの間には斜めラダー2dが配置されている。アッパデッキ2b上には、柵状の手すり2eが配置されている。
【0026】
キャブ3は、アッパデッキ2b上に配置されている。キャブ3は、アッパデッキ2b上において車幅方向の中央よりも車幅方向における一方側に偏っては位置されている。具体的には、キャブ3は、アッパデッキ2b上において車幅方向の中央よりも左側方に位置している。キャブ3内には、運転席、ハンドル、シフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル等の操作部材(図示せず)が配置されている。
【0027】
ベッセル4は、砕石等の重量物を積載するための容器である。ベッセル4の底面の後部は、回動ピン(図示せず)を介して、車体フレーム2の後部に回動可能に連結されている。ベッセル4は、図示しない油圧シリンダ等のアクチュエータによって、積載姿勢と起立姿勢とを取り得る。積載姿勢は、図1に示すようにベッセル4の前部がキャブ3の上部に位置する姿勢である。起立姿勢は、積載物を排出する姿勢であり、ベッセル4が後方且つ下方へ向かった傾斜した状態となる。ベッセル4の前部が上方に回動することにより、ベッセル4は積載姿勢から起立姿勢に変化する。
【0028】
図2は、作業車両1が備える周辺監視装置10の構成を示すブロック図である。周辺監視装置10は、複数の撮像部11−16と、車速検知部17と、表示部18と、コントローラ19と、を有する。
【0029】
撮像部11−16は、作業車両1に装着される。撮像部11−16は、作業車両1の周囲の領域を撮像して画像データを取得する。撮像部11−16は、それぞれカメラ11a−16aとフレームメモリ11b−16bとを有する。フレームメモリ11b−16bはカメラ11a−16aによって撮像された画像データを一時的に保存する。複数の撮像部11−16は、第1〜第6撮像部11−16を有する。図3は、第1〜第6撮像部11−16の装着位置を示す作業車両1の斜視図である。図4は、第1〜第6撮像部11−16の装着位置と撮像範囲とを示す作業車両1の上面図である。
【0030】
図3に示すように、第1撮像部11は、作業車両1の前面に取り付けられる。具体的には、第1撮像部11は、斜めラダー2dの上端部に配置される。図4に示すように、第1撮像部11は、作業車両1の周囲の第1領域11Rを撮像して第1画像データを得る。第1領域11Rは、作業車両1の前方に位置する。
【0031】
図3に示すように、第2撮像部12は、作業車両1の前面の一方の側部に取り付けられる。具体的には、第2撮像部12は、アッパデッキ2bの前面の左側部に配置される。図4に示すように、第2撮像部12は、作業車両1の周囲の第2領域12Rを撮像して第2画像データを得る。第2領域12Rは、作業車両1の左斜め前方に位置する。図3に示すように、第3撮像部13は、作業車両1の前面の他方の側部に取り付けられる。具体的には、第3撮像部13は、第2撮像部12と左右対称位置に配置される。すなわち、第3撮像部13は、アッパデッキ2bの前面の右側部に配置される。図4に示すように、第3撮像部13は、作業車両1の周囲の第3領域13Rを撮像して第3画像データを得る。第3領域13Rは、作業車両1の右斜め前方に位置する。
【0032】
図3に示すように、第4撮像部14は、作業車両1の一方の側面に取り付けられる。具体的には、第4撮像部14は、アッパデッキ2bの左側面の前部に配置される。図4に示すように、第4撮像部14は、作業車両1の周囲の第4領域14Rを撮像して、第4画像データを得る。第4領域14Rは、作業車両1の左斜め後方に位置する。図3に示すように、第5撮像部15は、作業車両1の他方の側面に取り付けられる。具体的には、第5撮像部15は、第4撮像部14と左右対称位置に配置される。すなわち、第5撮像部15は、アッパデッキ2bの右側面の前部に配置される。図4に示すように、第5撮像部15は、作業車両1の周囲の第5領域15Rを撮像して第5画像データを得る。第5領域15Rは、作業車両1の右斜め後方に位置する。
【0033】
図3に示すように、第6撮像部16は、作業車両1の後部に取り付けられる。具体的には、第6撮像部16は、2つの後輪6を連結するアクスル軸(図示せず)の上方であって、ベッセル4の回動軸付近に配置される。図4に示すように、第6撮像部16は、作業車両1の周囲の第6領域16Rを撮像して第6画像データを得る。第6領域16Rは、作業車両1の後方に位置する。
【0034】
以上の6台の撮像部11−16によれば、図4の中央図に示すように、作業車両1のほぼ全周囲の画像を取得することができる。図4の中央図に示すように、第1〜第6領域16Rのうち隣接する2つの領域は、部分的に互いに重なっている。具体的には、第1領域11Rは、第1重複領域OA1において第2領域12Rと部分的に重なっている。また、第1領域11Rは、第2重複領域OA2において第3領域13Rと部分的に重なっている。第2領域12Rは、第3重複領域OA3において第4領域14Rと部分的に重なっている。第3領域13Rは、第4重複領域OA4において第5領域15Rと部分的に重なっている。第4領域14Rは、第5重複領域OA5において第6領域16Rと部分的に重なっている。また、第5領域15Rは、第6重複領域OA6において第6領域16Rと部分的に重なっている。第1〜第6撮像部11−16は、それぞれ撮像した画像を示す画像データをコントローラ19に送信する。
【0035】
車速検知部17は、作業車両1の車速を検知する。車速検知部17は、例えばトランスミッションの出力軸の回転速度などに基づいて作業車両1の車速を検知する。車速検知部17は、検知した車速を示す車速データをコントローラ19に送信する。
【0036】
表示部18は、キャブ3内に配置されるモニタである。表示部18は、キャブ3内において運転席の前方に配置される。表示部18は、コントローラ19の制御に応じて画像を表示する。
【0037】
コントローラ19は、撮像部11−16からの画像データに基づき、作業車両1の周囲を示す俯瞰画像を作成する。コントローラ19は、作成した俯瞰画像を示す出力信号を表示部18に出力する。表示部18は、コントローラ19からの出力信号により俯瞰画像を表示する。図2に示すように、コントローラ19は、走行状態判定部21と、記憶部22と、俯瞰画像作成部23とを有する。
【0038】
走行状態判定部21は、車速検知部17からの車速データに基づいて、作業車両1の走行状態を判定する。走行状態判定部21は、車速が所定の閾値以上であるときには、作業車両1が走行状態であると判定する。走行状態判定部21は、車速が所定の閾値より小さいときには、作業車両1が停止状態であると判定する。従って、車速がゼロであるときだけではなく、車速の小さい低速走行状態も上記の停止状態に含まれる。
【0039】
記憶部22は、コントローラ19が俯瞰画像を作成するために必要な各種の情報を記憶している。具体的には、記憶部22は、後述する第1変換情報と第2変換情報と合成比率とを記憶している。
【0040】
俯瞰画像作成部23は、撮像部11−16のそれぞれから画像データを受信する。俯瞰画像作成部23は、複数の画像データによって示される複数の画像に基づいて、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、記憶部22に保存されている変換情報を用いて画像データの座標変換を行う。変換情報は、入力画像の各画素の位置座標と出力画像の各画素の位置座標との対応を示す情報である。ここで、入力画像は、各撮像部11−16によって撮像された画像である。また、出力画像は、表示部18に表示される俯瞰画像である。俯瞰画像作成部23は、変換情報を用いて、撮像部11−16によって撮像された画像を、作業車両1の上方に位置する所定の仮想視点から見た画像に変換する。具体的には、図5に示すように、撮像部11−16によって撮像された画像は、所定の仮想投影面30上に投影されることにより、作業車両1の上方に位置する仮想視点20から見た画像に変換される。変換情報は、この仮想投影面30を表している。俯瞰画像作成部23は、複数の撮像部11−16からの画像データを所定の仮想投影面に投影して合成することにより、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。すなわち、第1〜第6画像データを所定の仮想投影面に投影して合成することにより、作業車両1の周囲の俯瞰画像を作成する。
【0041】
上述したように、各撮像部11−16が撮像する作業車両1の周囲の領域は、第1〜第6重複領域OA1−OA6において重複している。俯瞰画像作成部23は、俯瞰画像において、各重複領域OA1−OA6において互いに隣接する2つの撮像部11−16からの画像データの画像を重ねて表示する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、第1重複領域OA1では、第1撮像部11からの第1画像データの画像と、第2撮像部12からの第2画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第2重複領域OA2では、第1撮像部11からの第1画像データの画像と、第3撮像部13からの第3画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第3重複領域OA3では、第2撮像部12からの第2画像データの画像と、第4撮像部14からの第4画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第4重複領域OA4では、第3撮像部13からの第3画像データの画像と、第5撮像部15からの第5画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第5重複領域OA5では、第4撮像部14からの第4画像データの画像と、第6撮像部16からの第6画像データの画像とを重ねて表示する。俯瞰画像作成部23は、第6重複領域OA6では、第5撮像部15からの第5画像データの画像と、第6撮像部16からの第6画像データの画像とを重ねて表示する。このように重複領域OA1−OA6において2つの画像データを重ねて合成する場合には、各画像データの値に合成比率を乗じた値が足し合わされる。合成比率は、各画像データに対応した値であり、記憶部22に記憶されている。例えば、第1画像データの合成比率が0.5であり、第2画像データの合成比率が0.5であるなど、画像データごとに合成比率が定められている。このように合成比率が用いられることにより、重複領域OA1−OA6において複数の画像データが平均化されて表示される。これにより、色やコントラストの急激な変化が抑えられ、自然な俯瞰画像を作成することができる。俯瞰画像作成部23は、上記のように合成された俯瞰画像を示す俯瞰画像データを生成して、俯瞰画像データを表示部18に送信する。
【0042】
俯瞰画像作成部23は、複数の仮想投影面を選択的に用いて、俯瞰画像を作成する。具体的には、俯瞰画像作成部23は、図6に示す第1仮想投影面31と、図7に示す第2仮想投影面32とを用いて俯瞰画像を作成する。図6(a)は、第1仮想投影面31の斜視図である。図6(b)は、図6(a)における第1仮想投影面31のA1−A1断面図である。図6(c)は、図6(a)における第1仮想投影面31のB1−B1断面図である。図7(a)は、第2仮想投影面32の斜視図である。図7(b)は、図7(a)における第2仮想投影面32のA2−A2断面図である。図7(c)は、図7(a)における第2仮想投影面32のB2−B2断面図である。上述したように、記憶部22は、第1変換情報と第2変換情報とを記憶している。第1変換情報は、第1仮想投影面31を示すデータである。第2変換情報は、第2仮想投影面32を示すデータである。俯瞰画像作成部23は、第1変換情報を用いて画像データの座標変換を行うことにより、各撮像部11−16が撮像した画像を第1仮想投影面31に投影した俯瞰画像を作成する。俯瞰画像作成部23は、第2変換情報を用いて画像データの座標変換を行うことにより、各撮像部11−16が撮像した画像を第2仮想投影面32に投影した俯瞰画像を作成する。
【0043】
図6に示すように、第1仮想投影面31は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む。第1仮想投影面31の中央部は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状である。第1仮想投影面31の外縁部は、作業車両1から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる形状である。ここで、図8に示すように、仮想投影面31,32上において、作業車両1の前後方向及び車幅方向の中心C1(以下、「車両中心C1」と呼ぶ)から作業車両1の前方、左側方、右側方、後方にそれぞれ所定距離、離れた位置までの範囲を近接範囲R0と規定する。近接範囲R0に隣接して近接範囲R0よりも作業車両1から離れた範囲を第1範囲R1と規定する。また、第1範囲R1に隣接して第1範囲R1よりも作業車両1から離れた範囲を第2範囲R2と規定する。第2範囲R2は、各仮想投影面31,32の外縁部を含む。
【0044】
図6に示すように、第1仮想投影面31は、第1変化部33と、平坦部34と、第2変化部35とを含む。第1変化部33は、図8に示す近接範囲R0に位置する。第1変化部33の地面からの高さは、車両中心C1に近づくほど高くなる。すなわち、第1変化部33の地面からの高さは、作業車両1に近づくほど高くなる。従って、第1仮想投影面31の近接範囲R0は、地面からの高さが作業車両1に近づくほど高くなる形状である。第1変化部33は、車両中心C1に向かって上方に傾斜した形状である。第1変化部33の頂点は、作業車両1の内部に相当する位置に位置している。第1変化部33は、複数の撮像部11−16のうち最も低い位置に設置されている撮像部よりも下方に位置している。平坦部34は、第1仮想投影面31の第1範囲R1に位置する。平坦部34は、第1変化部33よりも作業車両1から離れた位置において第1変化部33に連続的に繋がっている。第1変化部33と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。平坦部34の地面からの高さは一定である。従って、第1仮想投影面31の第1範囲R1は、地面からの高さが一定の平坦な形状である。具体的には、平坦部34は、地面と同じ高さの平面である。従って、第1仮想投影面31の第1範囲R1は、地面と同じ高さの平坦な形状である。第2変化部35は、第1仮想投影面31の第2範囲R2に位置している。第2変化部35は、平坦部34よりも作業車両1から離れた位置において、平坦部34に連続的に繋がっている。第2変化部35の地面からの高さは、作業車両1から遠ざかるほど高くなる。従って、第1仮想投影面31の第2範囲R2は、作業車両1から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる形状である。第2変化部35は、作業車両1から離れる方向に向かって上方に傾斜した形状である。第2変化部35と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。
【0045】
第1仮想投影面31の第2範囲R2すなわち第2変化部35は、複数の湾曲面35a−35dと、複数の球面35e−35hとを含む。湾曲面35a−35dは、作業車両1の外形に対応する矩形の各辺に平行な仮想軸を中心に湾曲している。球面35e−35hは、隣接する一対の湾曲面35a−35dの間にそれぞれ配置されている。球面35e−35hは、隣接する一対の湾曲面35a−35dと連続的につながっている。具体的には、第2変化部35は、第1〜第4湾曲面35a−35dと、第1〜第4球面35e−35hとを含む。第1湾曲面35aは、作業車両1の前方に位置する。図6(a)に示すように、第1湾曲面35aは、仮想軸C2を中心に湾曲している。仮想軸C2は、作業車両1の外形に対応する矩形の前面の辺に平行な軸線である。第2湾曲面35bは、作業車両1の後方に位置する。図6(a)に示すように、第2湾曲面35bは、仮想軸C3を中心に湾曲している。仮想軸C3は、作業車両1の外形に対応する矩形の後面の辺に平行な軸線である。第3湾曲面35cは、作業車両1の左側方に位置する。図6(b)に示すように、第3湾曲面35cは、仮想軸C4を中心に湾曲している。仮想軸C4は、作業車両1の外形に対応する矩形の左側面の辺に平行な軸線である。第4湾曲面35dは、作業車両1の右側方に位置する。図6(b)に示すように、第4湾曲面35dは、仮想軸C5を中心に湾曲している。仮想軸C5は、作業車両1の外形に対応する矩形の右側面の辺に平行な軸線である。
【0046】
第1球面35eは、第1湾曲面35aと第3湾曲面35cとの間に配置されている。第1球面35eは、第1湾曲面35aと第3湾曲面35cとに連続的につながっている。第2球面35fは、第1湾曲面35aと第4湾曲面35dとの間に配置されている。第2球面35fは、第1湾曲面35aと第4湾曲面35dとに連続的につながっている。第3球面35gは、第2湾曲面35bと第3湾曲面35cとの間に配置されている。第3球面35gは、第2湾曲面35bと第3湾曲面35cとに連続的につながっている。第4球面35hは、第2湾曲面35bと第4湾曲面35dとの間に配置されている。第4球面35hは、第2湾曲面35bと第4湾曲面35dとに連続的につながっている。
【0047】
図7に示すように、第2仮想投影面32は平坦な形状を有する。詳細には、第2仮想投影面32の外縁部を含む全体が、地面からの高さが一定の平坦な形状である。従って、第2仮想投影面32の第1範囲R1と第2範囲R2と近接範囲R0は、地面からの高さが一定の平坦な形状である。具体的には、第2仮想投影面32の全体が、地面と同じ高さに位置する平坦な形状を有する。
【0048】
図9は、周辺監視装置10のコントローラ19によって実行される処理を示すフローチャートである。以下、図9に基づいて、周辺監視装置10が俯瞰画像を表示するための処理について説明する。
【0049】
まず、ステップS1において、画像の取り込みが実行される。ここでは、各撮像部11−16のカメラ11a−16aによって画像が撮像され、画像データが各撮像部11−16のフレームメモリ11b−16bに保存される。
【0050】
ステップS2では、作業車両1が走行状態であるのか否かが判定される。ここでは、走行状態判定部21が、車速に基づいて作業車両1が走行状態であるのか否かを判定する。上述したように、走行状態判定部21は、車速が所定の閾値以上であるときに、作業車両1が走行状態であると判定する。また、走行状態判定部21は、車速が所定の閾値より小さいときに、作業車両1が停止状態であると判定する。作業車両1が走行状態ではないときにはステップS3に進む。すなわち、作業車両1が停止状態であるときには、ステップS3に進む。
【0051】
ステップS3では、第1仮想投影面31にて俯瞰画像が作成される。ここでは、俯瞰画像作成部23は、図6に示す第1仮想投影面31を用いて、俯瞰画像を作成する。具体的には、各撮像部11−16からの画像データを第1仮想投影面31上に投影して合成することにより、俯瞰画像を作成する。図10は、第1仮想投影面31を用いて作成された俯瞰画像(以下、「第1俯瞰画像41」と呼ぶ)の一例である。第1俯瞰画像41の外枠は長方形の形状を有する。第1俯瞰画像41は、上面視における作業車両1を示すモデル図50と、上面視における作業車両1の周囲の画像51とを含む。また、第1俯瞰画像41は、作業車両1からの距離を示す複数の基準線52−54を含む。基準線52−54は、第1基準線52と第2基準線53と第3基準線54とを含む。例えば、第1基準線52は、作業車両1から3m離れた位置を示す。第2基準線53は、作業車両1から5m離れた位置を示す。第3基準線54は、作業車両1から7m離れた位置を示す。上述したように、第1仮想投影面31の外縁部を含む第2範囲R2は湾曲面35a−35d及び球面35e−35hによって構成されている。このため、第1俯瞰画像41の外枠に近い部分では、画像51が湾曲して表示される。
【0052】
ステップS2において、作業車両1が走行状態であると判定されたときには、ステップS4に進む。すなわち、車速の所定の閾値以上であるときには、ステップS4に進む。ステップS4では、第2仮想投影面32にて俯瞰画像が作成される。図11は、第2仮想投影面32を用いて作成された俯瞰画像(以下、「第2俯瞰画像42」と呼ぶ)の一例である。第2俯瞰画像42は、第1俯瞰画像41と同様に、上面視における作業車両1を示すモデル図50と、上面視における作業車両1の周囲の画像51とを含む。また、第2俯瞰画像42は、第1俯瞰画像41と同様に、複数の基準線52−54を含む。上述したように、第2仮想投影面32は全体的に平坦な形状である。このため、第2俯瞰画像42では、外枠に近い部分であっても、第1俯瞰画像41のように、画像51が湾曲して表示されることが防止される。
【0053】
ステップS5では、俯瞰画像が表示部18に表示される。ここでは、上述した第1俯瞰画像41又は第2俯瞰画像42が表示部18に表示される。具体的には、作業車両1が停止状態であるときには、第1俯瞰画像41が表示部18に表示される。作業車両2が走行状態であるときには、第2俯瞰画像42が表示部18に表示される。
【0054】
次に、本実施形態に係る作業車両1の周辺監視装置10の特徴について説明する。
【0055】
本実施形態の第1仮想投影面31の第1変化部33に投影された物体OBの大きさL3(図12(b)参照)は、地面Gに配置された仮想投影面300に投影された物体OBの大きさL1(図12(a)参照)よりも大きい。このため、物体OBが作業車両1の近くに位置していても、第1俯瞰画像41において物体OBが大きく表示される。これにより、運転者は、作業車両1の近くに位置する物体OBを容易に認識することができる。
【0056】
一般的に、俯瞰画像が、複数の撮像部によって撮像された画像から合成される場合、俯瞰画像において、各撮像部の撮像範囲の境界部分に位置する物体が消失するという問題がある。例えば、図13(a)に示すように、地面と同じ高さに位置する仮想投影面300を用いて俯瞰画像を作成する例について説明する。この例では、仮想投影面300は、複数の撮像部101,102が撮像する領域ごとに分割されている。周辺監視装置は、各撮像部101,102によって撮像された画像を仮想投影面300上に投影することにより、作業車両100の上方に位置する仮想視点103から見た俯瞰画像に変換する。この場合、仮想投影面300上に投影された画像の画素300の値は、当該画素300が含まれる領域を担当する撮像部101から当該画素300を見た値である。従って、物体OBが、仮想投影面300において、隣接する2つの撮像部101,102の領域の境界BL上に位置していると、物体OBの上部を貫く撮像部101,102の視線が存在しない。この場合、撮像部101,102は、地面上の物体OBの設置部P1のみしか撮像していない。このため、図13(b)に示すように、俯瞰画像400において物体OBを示す像401は、極小さな点でしか示されないか、或いは、俯瞰画像400において物体が消失する。このような物体の消失の問題は、撮像範囲の重複領域において、各撮像範囲の画像データを足し合わせることによって解決することができる。この場合、図14(a)に示すように、重複領域OAにおいて物体OBの上部を貫く撮像部101の視線LS1と撮像部102の視線LS2とが存在する。このため、図16(b)に示すように、俯瞰画像400の重複領域OAにおいて、撮像部101が撮像した像402と撮像部102が撮像した像403とが共に表示される。これにより、重複領域OA内の物体OBの消失が防止される。
【0057】
しかし、図14(a)に示すように、撮像範囲の重複領域OBは、作業車両100に近づくほど狭くなる。このため、物体OBが作業車両100に近い位置にある場合、物体OAを表示できる範囲が狭くなる。このため、俯瞰画像400物体OBの一部しか表示されないことがある。そこで、図15(a)に示すように、地面Gより高い位置に配置される仮想投影面301に物体OBを投影することが考えられる。この場合、物体OBの地面上の設置部P1と仮想投影面301との間の部分に対しては、仮想投影面30を通過する視線LS3,LS4が存在する。また、物体OBの頂上部P2を通る視線LS5が存在する。これにより、図15(b)に示すように、俯瞰画像400において、物体OBの広い範囲を表示することができる。俯瞰画像400においては、撮像部101が撮像した像404と撮像部102が撮像した像405とが共に表示される。しかし、この場合、物体OBの広い範囲を俯瞰画像400に表示することができるが、俯瞰画像400において物体OBの大きさが小さくなるという問題がある。例えば、図12(a)に示すように、地面Gより高い位置に配置された仮想投影面301に投影された物体OBの大きさL2は、地面G上に配置された仮想投影面300に投影された物体OBの大きさL1よりも小さくなってしまう。上述したように、作業車両1の近くでは、俯瞰画像において物体OBが小さく表示される。このため、地面Gより高い位置に配置された仮想投影面301が用いられると、作業車両1の近くに位置する物体OBは、俯瞰画像においてさらに小さく表示されてしまう。
【0058】
以上のような問題に対して、本実施形態に係る作業車両1の周辺監視装置10では、第1変化部33は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなるように傾斜している。このため、図12(b)に示すように、俯瞰画像での物体OBの大きさL3を、地面Gより高い位置に配置される仮想投影面301に投影される物体OBの大きさL2よりも大きくすることができる。これにより、俯瞰画像における物体の消失の問題と、物体が表示される範囲が狭くなる問題と、物体が小さく表示される問題とを同時に解決することができる。
【0059】
第1仮想投影面31の平坦部34が、第1変化部33よりも作業車両1から離れた位置に存在する。また、作業車両1から離れた位置では、作業車両1の近傍よりも俯瞰画像において物体OBが大きく表示される。これにより、物体の消失の問題を解消される。
【0060】
平坦部34では、作業車両1から離れるほど物体OBが大きく表示されるが、第1仮想投影面31において平坦部34よりも作業車両1から離れた位置には第2変化部35が設けられている。第2変化部35の地面からの高さは作業車両1から遠ざかるほど高くなるため、物体OBは作業車両1から離れるほど小さく表示される。このため、第1俯瞰画像41によって作業車両1と物体OBとの間の距離感を容易に把握することができる。
【0061】
第1変化部33と平坦部34とは、連続的に繋がっている。また、平坦部34と第2変化部35とは、連続的に繋がっている。このため、俯瞰画像上において物体OBが滑らかに表示される。これにより、オペレータに与える違和感が少ない俯瞰画像を作成することができる。
【0062】
第1変化部33と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。また、第2変化部35と平坦部34との接続部分は、地面上に位置する。すなわち、平坦部34は地面上の平面である。このため、オペレータにとって地面を撮像しているかのように自然な俯瞰画像を作成することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
上記の実施形態では、作業車両1の一例としてダンプトラックが挙げられているが、本発明は、例えばブルドーザーなどの他の種類の作業車両にも適用することができる。
【0065】
第1仮想投影面31において第2変化部35が省略されてもよい。すなわち、図16に示す第1仮想投影面31のように、変化部61と平坦部62とによって構成されてもよい。変化部61は、上記の実施形態の第1変化部33と同様である。従って、変化部61は、作業車両1に近づくほど地面からの高さが高くなる形状である。変化部61は、近接範囲R0に位置する。平坦部34は、変化部61よりも作業車両1から離れており、第1仮想投影面31の外枠まで延びている。すなわち、平坦部34は、第1範囲R1と第2範囲R2とを合わせた範囲に位置する。
【0066】
本発明の撮像部の数は上記の実施形態のように6台に限られない。また、本発明の撮像部の配置は上記の実施形態の撮像部11−16の配置に限られない。上記の実施形態では、第1仮想投影面31の第1変化部33は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であるが、第1変化部33の地面からの高さが階段状に変化してもよい。同様に、第2変化部35の地面からの高さが階段状に変化してもよい。ただし、違和感の少ない自然な俯瞰画像を形成する観点からは、第1変化部33は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であることが好ましい。同様に、違和感の少ない自然な俯瞰画像を形成する観点からは、第2変化部35は、地面からの高さが連続的に変化する傾斜面であることが好ましい。また、第1変化部33の傾斜面は、直線状であっても、曲線状であってもよい。同様に、第2変化部35の傾斜面は、直線状であっても、曲線状であってもよい。また、第1仮想投影面31の平坦部34は、地面と同じ高さに限らず、地面と異なる高さに位置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、俯瞰画像において物体の消失を抑えることができる作業車両の周辺監視装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 作業車両
10 周辺監視装置
11 第1撮像部
12 第2撮像部
18 表示部
23 俯瞰画像作成部
31 第1仮想投影面
33 第1変化部
34 平坦部
35 第2変化部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に装着され、前記作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る第1撮像部と、
前記第1画像データを所定の仮想投影面に投影することにより、前記作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する俯瞰画像作成部と、
前記俯瞰画像を表示する表示部と、
を備え、
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む、
作業車両の周辺監視装置。
【請求項2】
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる変化部と、前記変化部よりも前記作業車両から離れた位置において前記変化部に連続的に繋がっており地面からの高さが一定の平坦部とを含み、
前記変化部は、前記作業車両と前記平坦部との間に位置する、
請求項1に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項3】
前記変化部と前記平坦部との接続部分は、地面上に位置する、
請求項2に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項4】
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる第1変化部と、前記第1変化部よりも前記作業車両から離れた位置において前記第1変化部に連続的に繋がっており地面からの高さが一定の平坦部と、前記平坦部よりも前記作業車両から離れた位置において前記平坦部に連続的に繋がっており前記作業車両から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる第2変化部とを含む、
請求項1に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項5】
前記第2変化部と前記平坦部との接続部分は、地面上に位置する、
請求項4に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項6】
前記作業車両に装着され、前記第1領域と部分的に重複する前記作業車両の周囲の第2領域を撮像して第2画像データを得る第2撮像部をさらに備え、
前記俯瞰画像作成部は、前記俯瞰画像において、前記第1領域と前記第2領域との重複領域における前記第1画像データの画像と、前記重複領域における前記第2画像データの画像とを重ねて表示する、
請求項1から5のいずれかに記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の周辺監視装置を備える作業車両。
【請求項1】
作業車両に装着され、前記作業車両の周囲の第1領域を撮像して第1画像データを得る第1撮像部と、
前記第1画像データを所定の仮想投影面に投影することにより、前記作業車両の周囲の俯瞰画像を作成する俯瞰画像作成部と、
前記俯瞰画像を表示する表示部と、
を備え、
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる形状を含む、
作業車両の周辺監視装置。
【請求項2】
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる変化部と、前記変化部よりも前記作業車両から離れた位置において前記変化部に連続的に繋がっており地面からの高さが一定の平坦部とを含み、
前記変化部は、前記作業車両と前記平坦部との間に位置する、
請求項1に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項3】
前記変化部と前記平坦部との接続部分は、地面上に位置する、
請求項2に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項4】
前記仮想投影面は、前記作業車両に近づくほど地面からの高さが高くなる第1変化部と、前記第1変化部よりも前記作業車両から離れた位置において前記第1変化部に連続的に繋がっており地面からの高さが一定の平坦部と、前記平坦部よりも前記作業車両から離れた位置において前記平坦部に連続的に繋がっており前記作業車両から遠ざかるほど地面からの高さが高くなる第2変化部とを含む、
請求項1に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項5】
前記第2変化部と前記平坦部との接続部分は、地面上に位置する、
請求項4に記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項6】
前記作業車両に装着され、前記第1領域と部分的に重複する前記作業車両の周囲の第2領域を撮像して第2画像データを得る第2撮像部をさらに備え、
前記俯瞰画像作成部は、前記俯瞰画像において、前記第1領域と前記第2領域との重複領域における前記第1画像データの画像と、前記重複領域における前記第2画像データの画像とを重ねて表示する、
請求項1から5のいずれかに記載の作業車両の周辺監視装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の周辺監視装置を備える作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−254650(P2012−254650A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127306(P2011−127306)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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