説明

作業車両の装置搭載構造

【課題】作業用装置をシャシーフレームに確実に支持させながらも、架装物の架装高さを抑えることができる作業車両の装置搭載構造を提供する。
【解決手段】車両の前後方向に延在する一対のシャシーフレーム2と、一対のシャシーフレーム2に沿って支持されたサブフレーム6と、サブフレーム6に固定された塵芥収容箱と、塵芥収容箱に設けられた油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータを作動するための電動油圧ポンプPと、一対のシャシーフレーム2,2上に懸架されるとともに、当該一対のシャシーフレーム2,2間に電動油圧ポンプPを保持する懸架フレーム9と、を備える。サブフレーム6には、懸架フレーム9と交差する部位に切り欠き8が設けられるとともに、この切り欠き8に懸架フレーム9を進入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャシーフレームに架装物が架装される作業車両の装置搭載構造に係り、特には架装物に設けられたアクチュエータを作動するための作業用装置の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に示す塵芥収集車のように、シャシーフレームに架装物が架装された作業車両が知られている。こうした作業車両においては、アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプや、油圧ポンプの駆動源となる電動モータなど、作業用のさまざまな装置がシャシーフレームに支持されている。
こうした種々の作業用装置をシャシーフレームに支持する構造として、例えば特許文献3に示すものが知られている。この特許文献3に示される作業車両においては、一対のシャシーフレーム間に懸架フレームが懸架されており、この懸架フレームに作業用装置を支持させることで、車両の幅方向内方に作業用装置が搭載されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−215037号公報
【特許文献2】特開2009−262759号公報
【特許文献3】特開2004−231040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の装置搭載構造によれば、一対のシャシーフレーム上に懸架フレームが固定されるとともに、この懸架フレームの上方に架装物が架装されるため、懸架フレームの厚さ分だけ架装物の架装位置が高くなってしまう。その結果、例えば、塵芥収集車であれば、収集物の投入高さが高くなってしまうといった具合に、架装物に対して作業を行う際の作業効率が低下してしまうといった問題があった。また、架装物の架装高さが高くなると、車両の重心が高くなってしまう結果、走行中に横転しやすくなってしまい、車両の走行安定性が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、作業用装置をシャシーフレームに確実に支持させながらも、架装物の架装高さを抑えることができる作業車両の装置搭載構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の前後方向に延在する一対のシャシーフレームと、前記一対のシャシーフレームに沿って支持されたサブフレームと、前記サブフレームに固定されるとともに当該サブフレームを介して前記シャシーフレームに架装される架装物と、前記架装物に設けられた作業用アクチュエータと、前記作業用アクチュエータを作動するための作業用装置と、前記一対のシャシーフレーム上に懸架されるとともに、当該一対のシャシーフレーム間に前記作業用装置を保持する懸架フレームと、を備え、前記サブフレームには、前記懸架フレームと交差する部位に逃げ部が設けられるとともに、この逃げ部に前記懸架フレームの高さ方向の一部または全部を進入してなることを特徴とする。
【0007】
本発明は、塵芥収集車、吸引ポンプ車、運搬車など、シャシーフレームに架装物が架装される作業車両に広く適用可能であり、車両の用途や架装物の構造などによって本発明の適用範囲が限定されることはない。例えば、本発明を塵芥収集車や吸引ポンプ車に適用した場合には、塵芥収容箱やタンクが本発明の架装物となり、本発明を運搬車に適用した場合には、荷台や荷箱が本発明の架装物となる。
また、本発明においては、作業用アクチュエータや作業用装置の構成、用途は特に限定されない。例えば、本発明を塵芥収集車に適用した場合には、積込装置を作動する油圧モータや塵芥投入箱を開閉するシリンダが本発明の作業用アクチュエータとなり、本発明を運搬車に適用した場合には、荷台をスライドさせたり荷箱を開閉したりするシリンダが本発明の作業用アクチュエータとなる。そして、これらの作業用アクチュエータを作動するためのポンプや電装部品が本発明の作業用装置となる。
【0008】
本発明において、架装物が固定されるサブフレームの構成は特に限定されるものではない。本発明のサブフレームは、シャシーフレームと同様に、車両の幅方向に所定の間隔を維持するとともに、車両の前後方向に延在する一対のフレーム部材によって構成するものであってもよいし、例えば、一対のシャシーフレーム間に懸架可能な長さを有する1つのフレーム部材によって構成するものであってもよい。いずれにしても、本発明のサブフレームは、シャシーフレームに沿って所定の長さを有するものであればよく、その具体的な構成は限定されるものではない。
【0009】
また、サブフレームは、一対のシャシーフレームに直接支持されるものであってもよいし、間接的に支持されるものであってもよい。サブフレームを直接支持する構成としては、例えば、本実施形態のように、シャシーフレーム上にサブフレームを載置した状態で両者をボルト固定することが考えられる。また、サブフレームを間接的に支持する構成としては、架装物の重量を計測可能とすべくシャシーフレームにロードセルなどを配備するとともに、このロードセルを介してサブフレームを支持させることが考えられる。
【0010】
本発明の懸架フレームは、一対のシャシーフレームよりも上方において懸架される。例えば、懸架フレームの一端を一方のシャシーフレームの上面に接触させ、懸架フレームの他端を他方のシャシーフレームの上面に接触させて固定する。このように、懸架フレームを一対のシャシーフレーム上に懸架させることにより、懸架フレームが強固に支持されて、作業用装置の荷重にも耐えうることが可能となる。
上記のように懸架フレームがシャシーフレーム上に懸架されることにより、シャシーフレームに沿って支持されるサブフレームと懸架フレームとの間で干渉が生じることとなるが、この干渉を避けるための逃げ部がサブフレームに設けられる。サブフレームに設けられる逃げ部は、懸架フレームが高さ方向の一部または全部を進入可能な構成であればよく、その形状などは特に限定されない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記サブフレームには、前記懸架フレームと交差する部位に切り欠きが形成され、この切り欠きによって前記逃げ部が構成されてなることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記サブフレームが、車両の前後方向に間隙を維持して配置される複数のフレーム部材からなり、前記フレーム部材の間隙によって前記逃げ部が構成されてなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記作業用アクチュエータは油圧アクチュエータによって構成され、前記作業用装置は前記油圧アクチュエータに作動油を供給する電動油圧ポンプによって構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業用装置を保持する懸架フレームが一対のシャシーフレーム上に懸架されるとともに、この懸架フレームがサブフレームに設けられた逃げ部に進入する構成としたので、一対のシャシーフレーム間に作業用装置を確実に保持しながらも、架装物の架装高さを抑制することができる。これにより、架装物に対して作業を行う際の作業高さが抑えられて作業効率が向上するとともに、車両の重心を低くして走行安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の装置搭載構造を適用した塵芥収集車の側面図である。
【図2】本実施形態の塵芥収集車を上方から見た部分拡大図である。
【図3】本実施形態の塵芥収集車を左側方から見た部分拡大図である。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図2におけるV−V線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図5を用いて、本発明の装置搭載構造を塵芥収集車に適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の塵芥収集車の側面図であり、図2は、塵芥収集車を上方から見た部分拡大図である。ただし、図2においては、後述する塵芥収容箱4やサブフレーム6を省略して示している。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態の塵芥収集車1は、車両の前後方向に延在する一対のシャシーフレーム2,2を備えている。これら一対のシャシーフレーム2,2は、車両の幅方向に所定の間隔を維持して配設されており、図1に示すように、これら一対のシャシーフレーム2,2上には、運転席を有するキャブ3が架装されている。また、一対のシャシーフレーム2,2には、キャブ3よりも車両後方において、塵芥収容箱4と、不図示の積込装置が内装された塵芥投入箱5とが架装されている。なお、この塵芥収容箱4および塵芥投入箱5が本発明の架装物に相当するものである。
【0016】
塵芥収容箱4の下面には、車両の前後方向に延在するサブフレーム6が固定されている。本実施形態においては、サブフレーム6は、上記したシャシーフレーム2と同様に、車両の幅方向に所定の間隔を維持して一対設けられており、これら一対のサブフレーム6,6が、一対のシャシーフレーム2,2上にそれぞれ載置された状態で固定されている。これにより、塵芥収容箱4は、一対のサブフレーム6,6を介して一対のシャシーフレーム2,2上に架装されることとなる。
そして、塵芥投入箱5には、積込装置を作動する油圧モータや、当該塵芥投入箱5を開閉する油圧シリンダなどの種々の作業用アクチュエータ(油圧アクチュエータ)が設けられており、これら作業用アクチュエータが、電動油圧ポンプPから供給される作動油によって作動するようになっている。以下では、一対のシャシーフレーム2,2における電動油圧ポンプPの保持構造について説明する。
【0017】
図3は、塵芥収集車1を左側方から見た部分拡大図である。この図3に示すように、シャシーフレーム2の上方にはサブフレーム6が載置されており、シャシーフレーム2とサブフレーム6とが、マウンティング7を介して互いにボルト固定されている。サブフレーム6には、シャシーフレーム2との離間距離を大きくする切り欠き8が形成されており、この切り欠き8によって、サブフレーム6とシャシーフレーム2との間に懸架スペースS(本発明の逃げ部)が形成されるようになっている。そして、この懸架スペースSには、図2からも明らかなように、電動モータと油圧ポンプとが一体化された電動油圧ポンプPを保持するための懸架フレーム9が一対固定されている。これら一対の懸架フレーム9,9は、車両の前後方向に所定の間隔を維持した状態で懸架されているが、この懸架フレーム9,9の懸架構造について以下に説明する。
【0018】
図4および図5は、それぞれ図2におけるIV−IV線断面図、V−V線断面図である。これらの図に示すように、一対のシャシーフレーム2,2は、側面2aと、この側面2aから車両の幅方向内方に屈曲する上面2bおよび下面2cと、を有する断面U字形の部材によって構成されている。そして、一対の懸架フレーム9,9は、懸架スペースSにおいて、一端が一方のシャシーフレーム2の上面2a上にスペーサを介して載置され、他端が他方のシャシーフレーム2の上面2a上にスペーサを介して載置されている。このようにして一対のシャシーフレーム2,2間に懸架された懸架フレーム9,9は、マウンティング7を介してシャシーフレーム2,2にボルト固定されることとなる。
【0019】
また、図4および図5に示すように、一対の懸架フレーム9,9には、下方に垂下する保持ブラケット10,10が固定されており、この保持ブラケット10,10に電動油圧ポンプPが保持されている。このようにして、電動油圧ポンプPは、懸架フレーム9,9によって車両の幅方向内方に保持されることとなる。
【0020】
以上の構成からなる本実施形態の塵芥収集車1は、図3からも明らかなように、サブフレーム6に切り欠き8を設けることで、サブフレーム6とシャシーフレーム2との間に懸架スペースSを形成し、この懸架スペースSに懸架フレーム9,9を進入させた点に最大の特徴がある。このように、懸架スペースSに、電動油圧ポンプPを保持する懸架フレーム9を進入させることにより、一対のシャシーフレーム2,2間に電動油圧ポンプPを確実に保持しながらも、塵芥収容箱4の架装高さを抑制することができる。これにより、塵芥投入箱5の高さ位置も抑えることが可能となり、塵芥投入箱5に収容対象を収容する際の作業効率を向上するばかりか、塵芥収集車1の重心が低くなって走行安定性を向上することができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、本発明の装置搭載構造を塵芥収集車に適用した場合について説明したが、本発明は塵芥収集車に限らず他のさまざまな作業車両にも広く適用可能である。
また、本実施形態においては、懸架フレーム9に保持される作業用装置として、電動油圧ポンプPを用いて説明したが、懸架フレーム9に保持される作業用装置はこれに限らず、作業用アクチュエータを作動するための装置に変更可能である。
【0022】
また、本実施形態における懸架フレーム9やサブフレーム6の形状などは一例にすぎない。いずれにしても、サブフレームに、懸架フレームの高さ方向の一部または全部が進入可能な逃げ部を設けることにより、両者の干渉を避けるものであればよい。したがって、例えば、車両の前後方向に間隙を維持して配置される複数のフレーム部材によってサブフレームを構成し、これら各フレーム部材の間隙に懸架フレームを進入させるようにしても構わない。
【0023】
また、本実施形態においては、切り欠き8の高さを懸架フレーム9,9の厚さ以上とすることで、懸架スペースS内に懸架フレーム9,9が完全に収容されるようにしているが、例えば、切り欠きの高さは懸架フレーム9,9の厚さよりも小さくても構わない。この場合には、懸架フレーム9,9がシャシーフレーム2とサブフレームとの間に接触状態で挟持されることとなり、懸架フレーム9,9の高さ方向の一部のみが懸架スペースSに進入することとなる。言い換えれば、懸架フレーム9,9は、その高さ方向の一部が懸架スペースSから突出することとなるが、この場合であっても、懸架フレーム9,9の厚さを部分的に吸収することが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 塵芥収集車
2 シャシーフレーム
4 本発明の架装物である塵芥収容箱
5 本発明の架装物である塵芥投入箱
6 サブフレーム
8 切り欠き
9 懸架フレーム
P 本発明の作業用装置である電動油圧ポンプ
S 懸架スペース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延在する一対のシャシーフレームと、
前記一対のシャシーフレームに沿って支持されたサブフレームと、
前記サブフレームに固定されるとともに当該サブフレームを介して前記シャシーフレームに架装される架装物と、
前記架装物に設けられた作業用アクチュエータと、
前記作業用アクチュエータを作動するための作業用装置と、
前記一対のシャシーフレーム上に懸架されるとともに、当該一対のシャシーフレーム間に前記作業用装置を保持する懸架フレームと、を備え、
前記サブフレームには、前記懸架フレームと交差する部位に逃げ部が設けられるとともに、この逃げ部に前記懸架フレームの高さ方向の一部または全部を進入してなることを特徴とする作業車両の装置搭載構造。
【請求項2】
前記サブフレームには、前記懸架フレームと交差する部位に切り欠きが形成され、この切り欠きによって前記逃げ部が構成されてなることを特徴とする請求項1記載の作業車両の装置搭載構造。
【請求項3】
前記サブフレームは、車両の前後方向に間隙を維持して配置される複数のフレーム部材からなり、前記フレーム部材の間隙によって前記逃げ部が構成されてなることを特徴とする請求項1記載の作業車両の装置搭載構造。
【請求項4】
前記作業用アクチュエータは油圧アクチュエータによって構成され、
前記作業用装置は前記油圧アクチュエータに作動油を供給する電動油圧ポンプによって構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業車両の装置搭載構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46267(P2012−46267A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187607(P2010−187607)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】