作業車両
【課題】フィルタ位置やルーフ形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込む。
【解決手段】ルーフ5の中空部を介して外気が取り込まれるキャビン2と、ルーフ5の外気取込口5aに装着されるフィルタ6と、フィルタ6を保持するフィルタ取付カバー7とを備える走行機体1において、フィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有する。
【解決手段】ルーフ5の中空部を介して外気が取り込まれるキャビン2と、ルーフ5の外気取込口5aに装着されるフィルタ6と、フィルタ6を保持するフィルタ取付カバー7とを備える走行機体1において、フィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンを備えるトラクタなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、フィルタを保持するフィルタ取付カバーとを備える作業車両が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。フィルタ取付カバー100は、例えば、図12に示すように、ルーフ101に対して取付けられるルーフ取付部102と、フィルタ103を保持するフィルタ保持部104とを備えており、外気導入口105から導入した外気がフィルタ103に導かれるようになっている。
【特許文献1】特開昭57−155118号公報
【特許文献2】特開2000−219029号公報
【特許文献3】特開2004−322897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示される作業車両では、ルーフの後端部に外気取込口を形成しているため、キャビンの後方で発生する塵埃、特に、機体後部に装着されるロータリなどの作業機が発生させる土埃を吸い込み易いという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2、3に示される作業車両では、ルーフの左右端部に外気取込口を形成しているため、キャビンの後方で発生する塵埃を吸い込み難くなるという利点がある。しかしながら、ルーフの左右端部に、フィルタを取付可能な外気取込口を形成した場合、ルーフの左右端部が外方に張り出してしまうため、車幅間隔を誤り、ルーフを車庫の側壁に接触させてしまうなどの不都合が生じる惧れがある。
【0005】
また、特許文献1〜3に示される作業車両では、外気導入口がフィルタの直近に存在するので、洗車時の放水がフィルタ取付カバーの外気導入口を直撃した場合、放水がフィルタを通過してルーフ内部に侵入するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、フィルタを保持するフィルタ取付カバーとを備える作業車両において、前記フィルタ取付カバーは、ルーフに対して取付けられるルーフ取付部と、フィルタを保持するフィルタ保持部と、フィルタ保持部とは異なる位置から外気を導入するダクト部とを備え、該ダクト部は、フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部内に導く外気導入口と、フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部内に侵入した水を排出する排水口とを有することを特徴とする。このようにすると、フィルタ位置やルーフ形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、ルーフの後端部に外気取込口を形成し、フィルタ取付カバーを介してルーフ上方や側方から外気を導入するようにすれば、ルーフの左右端部を大型化することなく、キャビンの上方や側方から清浄な外気を取り込むことができる。しかも、洗車時の放水が外気導入口や排水口を直撃しても、フィルタに到達しないため、放水がフィルタを通過してルーフ内部に侵入することがない。
また、前記ダクト部は、フィルタ取付カバーと別体で構成され、フィルタ取付カバーに対して着脱自在に取付けられることを特徴とする。このようにすると、ダクト部の着脱や交換により、外気の取込方向を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はトラクタの側面図、図2は図1のA矢視図、図3は図2のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図、図5はフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図、図6はフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【0008】
図1において、1はトラクタ(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1には、オペレータの操縦空間を覆うキャビン2が備えられている。キャビン2は、四隅に立設される支柱3、乗降口を開閉自在に覆うドア4、上方を覆う中空状のルーフ5などで構成されており、ルーフ5の中空部は、外気の取り込み経路として利用される。例えば、ルーフ5の中空部にエアコンユニット(図示せず)を組み込み、該エアコンユニットに設けられるファンの駆動に応じて、ルーフ5の適所に形成される外気取込口5aから外気が吸入され、キャビン2の室内に取り込まれる。
【0009】
本実施形態のルーフ5は、後端部が庇状に突出した形状となっており、この突出した庇部の下面に外気取込口5aが形成されている。外気取込口5aには、外気を濾過するためのフィルタ6が装着されると共に、装着されたフィルタ6をフィルタ取付カバー7で保持するようになっている。
【0010】
図2〜図6に示すように、本実施形態のフィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備えている。ルーフ取付部7aは、ルーフ5の下面に当接するフランジであり、複数のノブ付きボルト8を用いてルーフ5に着脱自在に取付けられる。フィルタ保持部7bは、ルーフ5の外気取込口5aに装着されたフィルタ6のフランジ部6aをルーフ5との間で挟持することにより、フィルタ6を脱落不能に保持するようになっている。
【0011】
ダクト部7cは、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入し、ルーフ5の外気取込口5aに導く導管部であり、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有している。外気導入口7dは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成されており、この位置から外気をダクト部7c内に導くようになっている。具体的に説明すると、本実施形態のダクト部7cは、図3に示すように、側面視L字状に湾曲した形状となっており、その先端側は、ルーフ5の後端部に沿って上方に延び、ルーフ5の上面に臨む位置まで達している。そして、ダクト部7cの先端部前面に多孔状の外気導入口7dを形成し、ここから外気を導入するようになっている。
【0012】
このようなフィルタ取付カバー7によれば、フィルタ6の位置やルーフ5の形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、本実施形態のように、ルーフ5の後端部下面に外気取込口5aを形成しても、フィルタ取付カバー7を介してルーフ5の上方から外気を導入することができるので、ルーフ5の左右端部を大型化したりすることなく、清浄な外気を取り込むことが可能になる。しかも、外気導入口7dは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成されているので、洗車時の放水が外気導入口7dを直撃しても、フィルタ6に到達することはない。その結果、洗車時の放水がフィルタ6を通過し、ルーフ5の内部に侵入することを防止できる。
【0013】
排水口7eは、ダクト部7cの底部に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出するようになっている。ダクト部7cにおける排水口7eの形成位置は、フィルタ6に直線的に臨まない位置であり、仮に洗車時の放水が排水口7eを直撃しても、フィルタ6への到達を阻止し、放水がフィルタ6を通過してルーフ5内部に侵入することが防止されるようになっている。具体的には、図4に示すように、ダクト部7cの底面左右両端部に樋状の突出部7fを形成し、その前端側に排水口7eを形成している。
【0014】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、ルーフ5の中空部を介して外気が取り込まれるキャビン2と、ルーフ5の外気取込口5aに装着されるフィルタ6と、フィルタ6を保持するフィルタ取付カバー7とを備える走行機体1において、フィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有するので、フィルタ6の位置やルーフ5の形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、ルーフ5の後端部に外気取込口5aを形成し、フィルタ取付カバー7を介してルーフ5の上方や側方から外気を導入するようにすれば、ルーフ5の左右端部を大型化することなく、キャビン2の上方や側方から清浄な外気を取り込むことができる。しかも、洗車時の放水が外気導入口7dや排水口7eを直撃しても、フィルタ6に到達しないため、放水がフィルタ6を通過してルーフ5の内部に侵入することがない。
【0015】
次に、本発明に係るフィルタ取付カバー7の他の実施形態について、図7〜図11を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の構成については、第一実施形態と同じ符号を付けることにより、第一実施形態の説明を援用する。
【0016】
図7は第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの平面図、図8は第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの側面図、図9は第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図、図10は第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【0017】
図7〜図10に示すように、第二実施形態のフィルタ取付カバー7Bは、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と同様に、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有するのであるが、ダクト部7cの先端側がルーフ5の左右両端部まで延出し、ルーフ5の側方から清浄な外気を導入する点と、外気導入口7dと排水口7eが兼用化されている点が第一実施形態と相違している。このようにすると、第一実施形態の効果に加え、ダクト部7cの形状を単純化できるという利点がある。
【0018】
図11は第三実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。この図に示すように、第三実施形態のフィルタ取付カバー7Cは、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と同様に、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口(図示せず)とを有しており、さらには、外観形状も、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と略同様に形成されるものであるが、ダクト部7cの先端側部分Sがフィルタ取付カバー本体Hと別体で構成され、フィルタ取付カバー本体Hに対して着脱自在(例えば、嵌合式)に取付けられる点が第一実施形態と相違している。このようにすると、ダクト部7cの先端側部分Sを着脱したり、形状が異なる先端側部分Sと交換することにより、外気の取込方向を変えることがきる。
【0019】
尚、本実施形態では、ダクト部7cを前後に二分割しているが、三つ以上に分割してもよい。また、ダクト部7cを分割することなく、蛇腹のような可動式としてもよい。このようにすると、ダクト部7cの移動により外気の取込方向を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図2のC−C断面図である。
【図5】フィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図である。
【図6】フィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【図7】第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの平面図である。
【図8】第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの側面図である。
【図9】第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図である。
【図10】第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【図11】第三実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。
【図12】従来のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 走行機体
2 キャビン
5 ルーフ
5a 外気取込口
6 フィルタ
7 フィルタ取付カバー
7a ルーフ取付部
7b フィルタ保持部
7c ダクト部
7d 外気導入口
7e 排水口
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンを備えるトラクタなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、フィルタを保持するフィルタ取付カバーとを備える作業車両が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。フィルタ取付カバー100は、例えば、図12に示すように、ルーフ101に対して取付けられるルーフ取付部102と、フィルタ103を保持するフィルタ保持部104とを備えており、外気導入口105から導入した外気がフィルタ103に導かれるようになっている。
【特許文献1】特開昭57−155118号公報
【特許文献2】特開2000−219029号公報
【特許文献3】特開2004−322897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示される作業車両では、ルーフの後端部に外気取込口を形成しているため、キャビンの後方で発生する塵埃、特に、機体後部に装着されるロータリなどの作業機が発生させる土埃を吸い込み易いという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2、3に示される作業車両では、ルーフの左右端部に外気取込口を形成しているため、キャビンの後方で発生する塵埃を吸い込み難くなるという利点がある。しかしながら、ルーフの左右端部に、フィルタを取付可能な外気取込口を形成した場合、ルーフの左右端部が外方に張り出してしまうため、車幅間隔を誤り、ルーフを車庫の側壁に接触させてしまうなどの不都合が生じる惧れがある。
【0005】
また、特許文献1〜3に示される作業車両では、外気導入口がフィルタの直近に存在するので、洗車時の放水がフィルタ取付カバーの外気導入口を直撃した場合、放水がフィルタを通過してルーフ内部に侵入するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、フィルタを保持するフィルタ取付カバーとを備える作業車両において、前記フィルタ取付カバーは、ルーフに対して取付けられるルーフ取付部と、フィルタを保持するフィルタ保持部と、フィルタ保持部とは異なる位置から外気を導入するダクト部とを備え、該ダクト部は、フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部内に導く外気導入口と、フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部内に侵入した水を排出する排水口とを有することを特徴とする。このようにすると、フィルタ位置やルーフ形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、ルーフの後端部に外気取込口を形成し、フィルタ取付カバーを介してルーフ上方や側方から外気を導入するようにすれば、ルーフの左右端部を大型化することなく、キャビンの上方や側方から清浄な外気を取り込むことができる。しかも、洗車時の放水が外気導入口や排水口を直撃しても、フィルタに到達しないため、放水がフィルタを通過してルーフ内部に侵入することがない。
また、前記ダクト部は、フィルタ取付カバーと別体で構成され、フィルタ取付カバーに対して着脱自在に取付けられることを特徴とする。このようにすると、ダクト部の着脱や交換により、外気の取込方向を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はトラクタの側面図、図2は図1のA矢視図、図3は図2のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図、図5はフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図、図6はフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【0008】
図1において、1はトラクタ(作業車両)の走行機体であって、該走行機体1には、オペレータの操縦空間を覆うキャビン2が備えられている。キャビン2は、四隅に立設される支柱3、乗降口を開閉自在に覆うドア4、上方を覆う中空状のルーフ5などで構成されており、ルーフ5の中空部は、外気の取り込み経路として利用される。例えば、ルーフ5の中空部にエアコンユニット(図示せず)を組み込み、該エアコンユニットに設けられるファンの駆動に応じて、ルーフ5の適所に形成される外気取込口5aから外気が吸入され、キャビン2の室内に取り込まれる。
【0009】
本実施形態のルーフ5は、後端部が庇状に突出した形状となっており、この突出した庇部の下面に外気取込口5aが形成されている。外気取込口5aには、外気を濾過するためのフィルタ6が装着されると共に、装着されたフィルタ6をフィルタ取付カバー7で保持するようになっている。
【0010】
図2〜図6に示すように、本実施形態のフィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備えている。ルーフ取付部7aは、ルーフ5の下面に当接するフランジであり、複数のノブ付きボルト8を用いてルーフ5に着脱自在に取付けられる。フィルタ保持部7bは、ルーフ5の外気取込口5aに装着されたフィルタ6のフランジ部6aをルーフ5との間で挟持することにより、フィルタ6を脱落不能に保持するようになっている。
【0011】
ダクト部7cは、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入し、ルーフ5の外気取込口5aに導く導管部であり、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有している。外気導入口7dは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成されており、この位置から外気をダクト部7c内に導くようになっている。具体的に説明すると、本実施形態のダクト部7cは、図3に示すように、側面視L字状に湾曲した形状となっており、その先端側は、ルーフ5の後端部に沿って上方に延び、ルーフ5の上面に臨む位置まで達している。そして、ダクト部7cの先端部前面に多孔状の外気導入口7dを形成し、ここから外気を導入するようになっている。
【0012】
このようなフィルタ取付カバー7によれば、フィルタ6の位置やルーフ5の形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、本実施形態のように、ルーフ5の後端部下面に外気取込口5aを形成しても、フィルタ取付カバー7を介してルーフ5の上方から外気を導入することができるので、ルーフ5の左右端部を大型化したりすることなく、清浄な外気を取り込むことが可能になる。しかも、外気導入口7dは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成されているので、洗車時の放水が外気導入口7dを直撃しても、フィルタ6に到達することはない。その結果、洗車時の放水がフィルタ6を通過し、ルーフ5の内部に侵入することを防止できる。
【0013】
排水口7eは、ダクト部7cの底部に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出するようになっている。ダクト部7cにおける排水口7eの形成位置は、フィルタ6に直線的に臨まない位置であり、仮に洗車時の放水が排水口7eを直撃しても、フィルタ6への到達を阻止し、放水がフィルタ6を通過してルーフ5内部に侵入することが防止されるようになっている。具体的には、図4に示すように、ダクト部7cの底面左右両端部に樋状の突出部7fを形成し、その前端側に排水口7eを形成している。
【0014】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、ルーフ5の中空部を介して外気が取り込まれるキャビン2と、ルーフ5の外気取込口5aに装着されるフィルタ6と、フィルタ6を保持するフィルタ取付カバー7とを備える走行機体1において、フィルタ取付カバー7は、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有するので、フィルタ6の位置やルーフ5の形状に依存することなく、任意の方向から清浄な外気を取り込むことができる。例えば、ルーフ5の後端部に外気取込口5aを形成し、フィルタ取付カバー7を介してルーフ5の上方や側方から外気を導入するようにすれば、ルーフ5の左右端部を大型化することなく、キャビン2の上方や側方から清浄な外気を取り込むことができる。しかも、洗車時の放水が外気導入口7dや排水口7eを直撃しても、フィルタ6に到達しないため、放水がフィルタ6を通過してルーフ5の内部に侵入することがない。
【0015】
次に、本発明に係るフィルタ取付カバー7の他の実施形態について、図7〜図11を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の構成については、第一実施形態と同じ符号を付けることにより、第一実施形態の説明を援用する。
【0016】
図7は第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの平面図、図8は第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの側面図、図9は第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図、図10は第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【0017】
図7〜図10に示すように、第二実施形態のフィルタ取付カバー7Bは、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と同様に、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口7eとを有するのであるが、ダクト部7cの先端側がルーフ5の左右両端部まで延出し、ルーフ5の側方から清浄な外気を導入する点と、外気導入口7dと排水口7eが兼用化されている点が第一実施形態と相違している。このようにすると、第一実施形態の効果に加え、ダクト部7cの形状を単純化できるという利点がある。
【0018】
図11は第三実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。この図に示すように、第三実施形態のフィルタ取付カバー7Cは、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と同様に、ルーフ5に対して取付けられるルーフ取付部7aと、フィルタ6を保持するフィルタ保持部7bと、フィルタ保持部7bとは異なる位置から外気を導入するダクト部7cとを備え、該ダクト部7cは、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部7c内に導く外気導入口7dと、フィルタ6に直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部7c内に侵入した水を排出する排水口(図示せず)とを有しており、さらには、外観形状も、第一実施形態のフィルタ取付カバー7と略同様に形成されるものであるが、ダクト部7cの先端側部分Sがフィルタ取付カバー本体Hと別体で構成され、フィルタ取付カバー本体Hに対して着脱自在(例えば、嵌合式)に取付けられる点が第一実施形態と相違している。このようにすると、ダクト部7cの先端側部分Sを着脱したり、形状が異なる先端側部分Sと交換することにより、外気の取込方向を変えることがきる。
【0019】
尚、本実施形態では、ダクト部7cを前後に二分割しているが、三つ以上に分割してもよい。また、ダクト部7cを分割することなく、蛇腹のような可動式としてもよい。このようにすると、ダクト部7cの移動により外気の取込方向を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図2のC−C断面図である。
【図5】フィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図である。
【図6】フィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【図7】第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの平面図である。
【図8】第二実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの側面図である。
【図9】第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め上方から見た斜視図である。
【図10】第二実施形態のフィルタ取付カバーを斜め下方から見た斜視図である。
【図11】第三実施形態のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。
【図12】従来のフィルタ取付カバーを示すキャビンの要部断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 走行機体
2 キャビン
5 ルーフ
5a 外気取込口
6 フィルタ
7 フィルタ取付カバー
7a ルーフ取付部
7b フィルタ保持部
7c ダクト部
7d 外気導入口
7e 排水口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、
ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、
フィルタを保持するフィルタ取付カバーと
を備える作業車両において、
前記フィルタ取付カバーは、
ルーフに対して取付けられるルーフ取付部と、
フィルタを保持するフィルタ保持部と、
フィルタ保持部とは異なる位置から外気を導入するダクト部とを備え、
該ダクト部は、
フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部内に導く外気導入口と、
フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部内に侵入した水を排出する排水口とを有する
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ダクト部は、フィルタ取付カバーと別体で構成され、フィルタ取付カバーに対して着脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項1】
ルーフの中空部を介して外気が取り込まれるキャビンと、
ルーフの外気取込口に装着されるフィルタと、
フィルタを保持するフィルタ取付カバーと
を備える作業車両において、
前記フィルタ取付カバーは、
ルーフに対して取付けられるルーフ取付部と、
フィルタを保持するフィルタ保持部と、
フィルタ保持部とは異なる位置から外気を導入するダクト部とを備え、
該ダクト部は、
フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、外気をダクト部内に導く外気導入口と、
フィルタに直線的に臨まない位置に形成され、ダクト部内に侵入した水を排出する排水口とを有する
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ダクト部は、フィルタ取付カバーと別体で構成され、フィルタ取付カバーに対して着脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−107379(P2009−107379A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278794(P2007−278794)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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