説明

作業車両

【課題】フロントドーザの作業車両への取付強度を強くする。また、左右前輪の切れ角に影響を与えないフロントドーザの取り付けフレームにする。
【解決手段】左右前輪及び左右後輪を備え、エンジンの動力をミッションケース内の伝動装置を経由して前輪あるいは後輪に伝達する作業車両において、前記ミッションケースの前側部の左右ブラケット、及び、前記ミッションケースの後側端部から左右に延出した左右リヤーアクスルケースに、ドーザフレームを前記ミッションケースの下方で且つ前記左右後輪の内側に位置するように取り付け、前記ドーザフレームには、前記ミッションケースの下方で且つ前記左右前輪の内側に位置しているフロントフレームの後側端部を左右方向の軸回りに軸支し、該フロントフレームの前端部にフロントドーザを取り付けたことを特徴とする作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後輪を備えてエンジンの動力を前後輪に伝達して走行する作業車両に関する。特に、機体の前部に取り付けるフロントドーザ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両において、走行機体の前側部に取付ブラケットを回動及び固定自在に取り付け、取付ブラケットに先端にドーザ板を有するドーザアーム及び昇降作動用のドーザシリンダを装着したものは、公知である(特許文献1)。
【0003】
また、作業車両において、ドーザ装着部とバックホウ装着部を備えている補強フレームを、トラクタの車体に取り付けたものは、公知である(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−105796号公報
【特許文献2】特公昭58−62227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術では、フロントドーザの作業車両への取付強度が弱く、また、特許文献2の技術では、ドーザ取付用の補強フレームの前側部及び後側部を左右同じ幅に幅広に構成しているため、左右前輪の切れ角が大きくなると補強フレームに干渉し、小回り旋回ができないという不具合があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような不具合を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、左右前輪(1F,1F)及び左右後輪(1R,1R)を備え、エンジン(E)の動力をミッションケース(12)内の伝動装置を経由して前輪あるいは後輪に伝達する作業車両において、前記ミッションケース(12)の前側部の左右ブラケット(31,31)、及び、前記ミッションケース(12)の後側端部から左右に延出した左右リヤーアクスルケース(32,32)に、ドーザフレーム(33,33)を前記ミッションケース(12)の下方で且つ前記左右後輪(1R,1R)の内側に位置するように取り付け、前記ドーザフレーム(33,33)には、前記ミッションケース(12)の下方で且つ前記左右前輪(1F,1F)の内側に位置しているフロントフレーム(34,34)の後側端部を左右方向の軸(34a)回りに軸支し、該フロントフレーム(34、34)の前端部にフロントドーザ(39)を取り付けたことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
前記構成によると、ミッションケース(12)の下方で且つ左右後輪(1R,1R)の内側に位置するドーザフレーム(33,33)には、ミッションケース(12)の下方で且つ左右前輪(1F,1F)の内側に位置するフロントフレーム(34,34)が軸支されていて、フロントフレーム(34、34)に取り付けられているフロントドーザ(39)は上下回動する。また、フロントフレーム(34、34)と左右前輪(1F,1F)との間には広い空間が形成され、左右前輪(1F,1F)は大きな切れ角で操舵できる。また、フロントフレーム(34,34)の後側端部を軸支する左右方向の軸(34a)は、機体の重心位置と略同じ位置である。
【0008】
請求項2の発明は、左右前輪(1F,1F)及び左右後輪(1R,1R)を備え、エンジン(E)の動力をミッションケース(12)内の伝動装置を経由して前輪あるいは後輪に伝達する作業車両において、前記ミッションケース(12)の後側端部から左右に延出している左右リヤーアクスルケース(32,32)に、作業機を装着する三点リンク機構(16)の左右下部リンク(16b,16b)の振れ止め用の左右チエックチェンブラケット(45,45)、及び、左右フェンダ(23,23)の内側に位置している幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)の下部を取り付け、該左右ロプスフレーム(46,46)の上部から左右フェンダ(23,23)の上方まで延出している左右上側取付部(46a,46a)に、背面視で逆U字形の庇フレーム(49)の下部を取り付け、該庇フレーム(49)に庇(50)を取り付けたことを特徴とする作業車両とする。
【0009】
前記構成によると、ミッションケース(12)の後側端部から左右に延出している左右リヤーアクスルケース(32,32)には、三点リンク機構(16)の左右下部リンク(16b,16b)の振れ止め用の左右チエックチエンブラケット(45,45)、及び、左右フェンダ(23,23)の内側に位置している幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)の下部が取り付けられ、左右ロプスフレーム(46,46)の上部には、背面視で逆U字形の左右幅広の庇フレーム(49)を取り付けているので、オペレータの後方視界においては広い空間が形成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、ドーザフレーム(33,33)に対してフロントフレーム(34,34)を支持構成したので、ミッションケース(12)にフロントフレーム(34,34)を強固に支持しながら、左右前輪(1F,1F)とフロントフレーム(34,34)の干渉を回避して、切れ角を大きく操舵し小回り旋回することができる。また、フロントフレーム(34,34)の後側端部を軸支している左右方向の軸(34a)は、機体の重心位置と略同じ位置にあるので、フロントドーザ(39)から作用する力を機体側で受け止めることができて、機体の揺れや機体姿勢に対する影響などを防止できる。
【0011】
請求項2の発明は、左右幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)に左右幅広の庇フレーム(49)を取り付けているので、左右幅広の庇フレーム(49)に広い庇(50)を強固に取り付けることができる。また、左右幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)に対して、オペレータの後方視界に入る左右庇フレーム(49,49)は幅広な構成としているので、オペレータの後方視界を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施形態について説明する。
トラクタTは、図1に示すように、車体前側部のボンネット11内にエンジンEを設け、エンジンEの回転動力をミッションケース12内の伝動機構を経由して、左右前輪1F,1F及び左右後輪1R,1Rに伝達している。
【0013】
また、ミッションケース12の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装するシリンダケース15を設け、このシリンダケース15の左右両側部に左右リフトアーム14,14を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダ(図示省略)のピストンの伸縮作動により、リフトアーム14,14を上下回動するように構成している。また、ミッションケース12の後側部には、上部リンク16aと左右下部リンク16b,16bからなる三点リンク機構16を設けて、各種作業機を連結するように構成している。
【0014】
また、エンジンEの後方には、ハンドルポスト18を立設し、ハンドルポスト18にステアリングハンドル19を軸支し、ハンドルポスト18の左右側部に車体の前後進を切り替える所謂シャトル操作式の前後進切替レバー(図示省略)を設けている。また、この前後進切替レバーは、レバーガイドの係止溝により「前進」、「中立」、「後進」の三操作位置に位置決めするように構成している。
【0015】
また、ステアリングハンドル19の下方のフロア20には、左右ブレーキぺダル21,21を設け、ミッションケース12の下部に設けた左右ブレーキ軸に、左右ブレーキぺダル21,21を支持している。また、フロア20には、クラッチぺダル(図示省略)やアクセルぺダルを備えている。
【0016】
また、ステアリングハンドル19の後方にシート2を設け、このシート2の左右両側に左右フェンダ23,23を設けている。
また、図4に示すように、左フェンダ23とシート2の間には、リフトアーム14,14回動用の作業機昇降レバー24、ミッションケース12内の無段変速装置HST調節作動用の主変速レバー25、及び、副変速装置変速用の副変速レバー26を設けている。
【0017】
また、図4に示すように、ミッションケース12の前側端部から左右ブラケット31,31を左右に延出し、ミッションケース12の後側端部から左右に延出している左右リヤーアクスルケース32,32に、左右後輪1R,1Rの後車軸を軸架している。
【0018】
前記左右ブラケット31,31と左右リヤーアクスルケース32,32に、ミッションケース12の下方に位置するように左右幅広の左右ドーザフレーム33,33を連結し、ミッションケース12部を強化している。そして、左右ドーザフレーム33,33の前側端部を前記左右ブラケット31,31にボルト・ナットで連結し、左右ドーザフレーム33,33の後側端部を左右リヤーアクスルケース32,32の左右後輪1R,1Rの内側寄りの取付部に、ボルト・ナットで固着している。
【0019】
また、ミッションケース12には走行車体36を前後方向に沿うように取り付けて、その前側部にエンジンEを搭載している。また、図1に示すように、ミッショーンケース12に取り付けている左右ブラケット31,31から補強枠体31a,31aを前方に延出し、走行車体36の左右両側部に連結している。
【0020】
左右ドーザフレーム33,33の前後中間部下方には、突出するように軸支部33aを設け、軸支部33aに左右方向の軸34aを介して、フロントフレーム34の後側端部を軸支し、前側部を上下回動可能に構成している。
【0021】
前記軸34aは、機体の重心位置と略同じ位置にあるので、フロントドーザ(39)から作用する力を機体側でしっかりと受け止めることができて、機体の揺れや機体姿勢に対する影響などを防止できる。
【0022】
この左右フロントフレーム34は、図5に示すように、左右フロントフレーム34b,34cと、左右フロントフレーム34b,34cの前側端部を連結する前側連結枠体34d、前後中間部を連結する中間連結枠体34e,34e、後側端部を連結する後側連結枠体34fで枠組構成して、強度アップを図り、左右ドーザフレーム33,33よりも左右幅狭に構成している。
【0023】
しかして、左右フロントフレーム34b,34cと左右前輪1F,1Fの間に広い空間を形成し、左右前輪1f,1fの切れ角を大きく回動しても干渉しないようにしている。
前記構成によると、左右ドーザフレーム33,33に対して左右フロントフレーム34,34を左右幅狭に構成したので、左右前輪1F,1Fと左右フロントフレーム34,34との干渉を回避し、切れ角を大きくし操舵し小回り旋回することができる。また、左右前輪1F,1Fの切れ角ストッパを設ける必要もなく、構成を簡単化することができる。
【0024】
また、図1及び図6に示すように、ミッションケース12の前側部から前方に走行車体36を延出し、走行車体36の前側端部から左右シリンダフレーム37,37を上方に延出し、左右シリンダフレーム37,37の上端部を連結している上部フレーム37aの左右中間部に、ドーザシリンダ38の上端部を枢支連結し、ドーザシリンダ38のピストン部38aをフロントフレーム34の前側連結枠体34dの左右中央に枢支連結し、フロントドーザ39を昇降するように構成している。
【0025】
また、図7に示すように、前記作業機昇降レバー24の近傍に、ドーザ制御弁42a切換用のドーザ操作レバー42を設け、ドーザ制御弁42aから往復弾性パイプ41a,41a、及び、往復剛性パイプ41b,41b(ボンネット11の左右両側に位置している)を経由してドーザシリンダ38に接続し、油圧の給排をしている。
【0026】
前記構成によると、後部作業機の油圧機器及びフロントドーザ39の油圧機器を集中配置することができて、構成を簡単にすることができる。また、ドーザシリンダ38の支持を強化し、また、往復剛性パイプ41b,41bをボンネット11の左右両側に位置するように高く配置することにより、石などの衝突を回避し耐久性を高めることができる。
【0027】
次に、図3、図8、図9及び図11に基づき、三点リンク機構16の揺れ止め構成、及び、ロプスフレーム46の支持構成について説明する。
左右チエックチエンブラケット45,45を側面視コ字状に構成し、左右チエックチエンブラケット45,45の左右外側寄り部からチエンアーム45a,45aを後方へ延出している。前記左右リヤーアクスルケース32,32の後側部を囲むように嵌合装着し、左右チエックチエンブラケット45,45の下部に、左右ドーザフレーム33,33の後側取付板33c,33cを接合し、ボルト・ナットで共締めし、左右リヤーアクスルケース32,32に固着している。
【0028】
また、ミッションケース12の後部から延出した左右下部リンクブラケット44,44に、三点リンク機構16の下部リンク16b,16bの前側部を枢支連結し、左右チエンアーム45a,45aと左右下部リンク16b,16bの間に、左右チエックチエン43,43を取り付け、左右下部リンク16b,16bの揺れ止めをしている。
【0029】
左右チエックチエンブラケット45,45の上側部に、左右ロプスフレーム(左右フェンダ23,23の内側に位置している)46,46の下取付部を接合し、ボルト・ナットで共締めし、左右リヤーアクスルケース32,32に固着している。
【0030】
また、左右幅狭の左右ロプスフレーム46,46の上部を連結フレーム46bで連結し、連結フレーム46bの左右両側部を左右両側の左右フェンダ23,23の上方に延出し、左右上側取付部46a,46aを構成している。
【0031】
ひさしフレーム49を背面視で逆U字型に構成し、ひさしフレーム49の下側取付部49a,49aを、左右ロプスフレーム46,46の上側取付部46a,46aに、ボルト・ナットで固定し、ひさしフレーム49にはひさし50を取り付け、シート2の上方を覆っている。
【0032】
前記構成によると、左右幅狭の左右ロプスフレーム46,46に対して、左右幅広のひさしフレーム49を取り付けたので、幅広のひさしフレーム49に面積の広いひさし50を強固に取り付けることができるようになる。また、左右幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)に対して、オペレータの後方視界に入る左右ひさしフレーム(49,49)は幅広な構成としているので、オペレータの後方視界を良くすることができる。
【0033】
また、図11に示すように、第2ブラケット47,47の下部取付部47aを、左右リヤーアクスルケース32,32の上側面と左右ロプスフレーム46,46の下取付板46c,46cで挟み、ボルト・ナットにより共締めして左右リヤーアクスルケース32,32に固着し、第2ブラケット47,47の上側取付部47bを、後述のフロアフレーム52の後側部にゴムマウント47cを介して取り付けている。また、第2ブラケット47,47の下部取付部47aをボルト・ナットにより締め付け、左右ドーザフレーム33,33の後側取付板33c,33cと左右ロプスフレーム46,46の下取付板46c,46cをボルト・ナットにより締め付けている。
【0034】
前記構成によると、三点リンク機構16、ドーザフレーム37及びロプスフレーム46の取付構成をコンパクトにしながら強固に取り付けることができ、また、組立て作業を簡単化することができる。
【0035】
また、図10に示すように構成してもよい。左右ロプスフレーム46,46の上側端部から左右両側の左右フェンダ23,23の上方に向けて左右上側取付部46a,46aを延出するにあたり、上側取付部46a,46aの下面と左右フェンダ23,23の上面とが接触するように構成し、ひさしフレーム49の左右下側取付部49a,49aを、上側取付部46a,46a及び左右フェンダ23,23にボルト・ナットで固定する。
【0036】
前記構成によると、左右ロプスフレーム46,46を左右幅狭に構成し、オペレータの後方視界を良くしながら、ひさしフレーム49を強固に支持することができる。
また、図12に示すように構成してもよい。左右ロプスフレーム46,46の上側端部から左右両側に左右中間フレーム54,54を延出し、左右中間フレーム54,54の両側から延出したフランジ部54a,54aの下面を左右フェンダ23,23の上面に接合し、ひさしフレーム49の下側取付部49a,49a、及び、フランジ部54a,54aをボルト・ナットで左右フェンダ23,23に固着する。前記構成によると、ひさしフレーム49を強固に支持すると共に、オペレータの後方視界を良くすることができる。
【0037】
次に、図4、図8及び図13に基づきシート2取付用のシートフレーム48について説明する。
ミッションケース12の上側部には左右フロアフレーム52,52を取り付けている。この左右フロアフレーム52,52は、低い左右前側フロアフレーム52a,52aと、高い左右後側フロアフレーム52b,52bと、前後中間部を左右に連結する連結フロアフレーム52cにより構成している。
【0038】
また、左右リヤーアクスルケース32,32に取り付けている前記第2ブラケット47,47に、ゴムマウント47c,47cを介して左右後側フロアフレーム52c,52cの後側部を弾性的に支持している。また、左右後側フロアフレーム52c,52cに平板状のシートフレーム48を取り付け、シートフレーム48にシート2を取り付けている。
【0039】
しかして、左右フロアフレーム52,52からシートフレーム48を取り外すことにより、高い左右後側フロアフレーム52b,52b部に大きな開口部を形成し、シート2の下方のシリンダケース15や、その近傍に配設した油圧機器のメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0040】
また、図14に示すように、ミッションケース12に取り付けた走行車体36にはゴムマウント18cを介してハンドルポスト18を取り付け、走行車体36の前側部にはボンネット11を取り付けている。ハンドルポスト18の前側部にはパネル部18aを設け、パネル部18aの前側端部には縦方向のパネルフレーム18bを設け、このパネルフレーム18bとボンネット11の後側部とをジョイント27により弾性的に連結し、ハンドルポスト18を防振的に支持している。
【0041】
また、図14に示すように、ハンドルポスト18のパネル部18a下部には、前方に延出するように遮蔽板18dを設けている。この遮蔽板18dは、側面視で水平な前側板体と後下がり傾斜の後側板体により構成されていて、ボンネット11内において後側に流れる熱風を後側下方に案内し、フロア20の上面側に流れないようにし、操縦者が熱風の影響を受けないように構成している。
【0042】
次に、図15及び図16に基づき、シート2の簡易支持構成と本格支持構成について説明する。
図15に基づき本格支持型について説明する。ミッションケース12の上部をフロア20で被覆し、フロア20の左右両側に左右ステップ20a,20aを設け、走行車体36で支持している。ミッションケース12及び走行車体36の上方には、前記左右フロアフレーム52,52を取り付け、左右フロアフレーム52,52の左右後側フロアフレーム52b,52bにシートフレーム48を着脱自在に取り付け、シートフレーム48にシート2を取り付けている。左右フロアフレーム52,52の左右後側フロアフレーム52b,52bに左右フェンダ23,23を取り付けている。
【0043】
また、左右リヤーアクスルケース32,32に取り付けている前記左右第2ブラケット47,47に、ゴムマウント47c,47cを介して左右フロアフレーム52,52の後側部を弾性的に支持している。
【0044】
次に、簡易支持型を図16に基づき説明する。ミッションケース12の上部をフロア20で被覆し、フロア20の左右両側に左右ステップ20a,20aを設け、走行車体36で支持している。ミッションケース12の後部上方にはシートフレーム48を取り付け、シートフレーム48の上部にシート2を取り付け、シートフレーム48の左右両側部に左右フェンダ23,23を取り付けている。
【0045】
前記構成によると、ミッションケース12に簡易支持型あるいは本格支持型により、シート2を装着することができ、ユーザーの好みに対応することができる。
また、図13及び図15に示すように、左右リヤーアクスルケース32,32に左右チエックチエンブラケット45,45を取り付け、左右チエックチエンブラケット45,45の左右両側寄りのチエンアーム45a,45aに左右チエックチエン43,43を取り付けている。また、ミッションケース12の後部から延出した左右下部リンクブラケット44,44に、三点リンク機構16の下部リンク16b,16bを枢支連結している。そして、左右リヤーアクスルケース32,32に左右ロプスフレーム46,46を連結しないことにより、安全フレームなしの簡易型のトラクタとすることができる。
【0046】
次に、図17に基づきミッションケース12のオイルゲージ62について説明する。
ミッションケース12の後側上部にシリンダケース15を取り付け、シリンダケース15の内部には、リフトアーム14,14昇降用の油圧シリンダや油圧制御弁を配設している。このシリンダケース15の例えば後側上部に給油パイプ61を突設し、給油パイプ61の上部給油口61aを後側上方に傾斜状に延出し、給油パイプ61からシリンダケース15を経てミッションケース12にオイルを供給できるように構成している。
【0047】
また、シリンダケース15の後側部あるいは給油パイプ61に支持パイプ63を支持して設け、支持パイプ63をシリンダケース15の後部側面に沿わせて配置し、支持パイプ63にオイルゲージ61を挿入支持し、ミッションケース12のオイル量を検出するように構成している。前記構成によると、簡単な構成でありながら、オイルの供給及びオイル量の検出を容易に行なうことができる。
【0048】
また、図18に示すように構成してもよい。シリンダケース15の後側部には、一体的に上部リンクブラケット15aを設け、上部リンクブラケット15aに三点リンク機構16の上部リンク16aを取り付けている。上部リンクブラケット15aに支持パイプ63を取り付け、オイルゲージ62を支持パイプ63に支挿入持し、ミッションケース12のオイル量を検出するように構成している。前記構成によると、構成を簡単にしながら、オイルゲージ62への泥などの付着を少なくし、耐久性を高めることができる。
【0049】
次に図19に基づきシート2の他の実施形態について説明する。シート2前側下部のブラケット2aには、取付孔2b,…を複数個設け、シートフレーム48に左右方向のピンにより、シート2を上下回動自在で且つ前後調節自在に支持している。そして、シート2の底板2cには、下方に膨出した樋状凹部2dを構成し、この樋状凹部2dには長手方向に沿わせて複数の水抜き孔64,64を設けている。前記構成によると、シート2が上下のいずれの回動状態でも、浸入した雨水を円滑に排出することができる。
【0050】
また、図20に示すように、シート2の底板2cに、長手方向に沿うように複数の帯鉄補強板65、65を溶接すると、シート2の強度アップを図ることができる。
次に、図21に基づきシート2の取付構成について説明する。シートフレーム48の上部には、ブラケット67を取り付けている。ブラケット67の前側支持部67aには、シート2のブラケット2aにおける複数の取付孔2b,…をピンで選択して前後調節自在に軸支している。シート2の底板2cの後部を、ブラケット67の後側バネ部67bで弾性的に支持している。
【0051】
また、図22に示すように構成してもよい。シートフレーム48の上部に屈折した左右ガイド板68,68を設け、シート2の底板2cを左右ガイド板68,68に挿入し、前後調節自在に支持している。そして、底板2cに前後方向に多数設けた調節支持孔69,…と、左右ガイド板68,68の固定孔68a,68aに、ピン70(あるいはボルト)を選択的に挿入し、シート2を前後調節自在に支持している。
【0052】
次に、図23に基づき左右前輪1F,1Fの操舵構成について説明する。
ミッションケース12から走行フレーム36を前側に延出し、走行フレーム36から左右両側に延出している左右フロントアクスルケース71,71には、左右前輪支持ケース72,72を縦軸回りに左右回動自在に支架し、左右前輪支持ケース72,72に前輪1f,1Fを支架している。
【0053】
ミッションケース12に一体構成している走行フレーム36には、左右方向に沿うように前輪操舵シリンダ74を取り付け、前記ステアリングハンドル19の操舵操作により、ステアリング制御弁75を切り替え、左右ホース76,76を経由して前輪操舵シリンダ74に油圧を給排する。しかして、左右伸縮ロッド74a,74aを関連的に伸縮し、左右中間ロッド77,77を介して左右前輪支持ケース72,72を操舵回動するように構成している。
【0054】
また、前記前輪操舵シリンダ74の左右伸縮ロッド74a,74aの前後部及び上部を側面視逆U字形の左右シリンダカバー78,78により被覆し、下部だけを開放した構成としている。また、左右シリンダカバー78,78を、平面視においてその後側端部左右両側を中央ほど後方に傾斜した傾斜面に構成し、また、左右シリンダカバー78,78を、正面視において、その左右端部下側を下側ほど内側に傾斜した傾斜面に構成し、湿田走行時の泥捌けを良くしている。
【0055】
前記構成によると、前輪操舵シリンダ74の左右伸縮ロッド74a,74aへの泥の付着を防止し、耐久性を高めることができる。
また、右フェンダ23に凹部U1を設け、この凹部U1に油圧の操作ボックスU2を設ける構成としている。このように、右フェンダ23に油圧の操作ボックスU2を設けることで、シート2と右フェンダ23との間が狭くなるのを防止できるようになる。そして、右フェンダ23とシート2との間であって、油圧の操作ボックスU2の左側には油圧のレバー関係の操作部U3を設ける構成としているので、操作性が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】トラクタの全体側面図
【図2】トラクタの正面図
【図3】トラクタの背面図
【図4】トラクタの後側部の側面図
【図5】ドーザフレームの平面図、側面図
【図6】トラクタの正面図
【図7】トラクタの側面図
【図8】トラクタの後側部の平面図
【図9】トラクタの背面図
【図10】ロプスフレームの背面図
【図11】トラクタ後側部の拡大側面図
【図12】ロプスフレームの背面図
【図13】トラクタ後側部の平面図
【図14】トラクタの側面図
【図15】トラクタ後側部の側面図
【図16】トラクタ後側部の側面図
【図17】シリンダケースの側面図
【図18】シリンダケースの側面図
【図19】シートの側面図、正面図、底面図
【図20】シートの平面図、側面図、正面図
【図21】シートの側面図、正面図、底面図
【図22】シート部の斜視図
【図23】トラクタ前側部の平面図、正面図、側面図
【図24】シート周辺の斜視図
【符号の説明】
【0057】
1F 前輪
1R 後輪
12 ミッションケース
16 三点リンク機構
16a 下部リンク
23 フェンダ
31 ブラケット
32 リヤーアクスルケース
33 ドーザフレーム
34 フロントフレーム
34a 軸
39 フロントドーザ
45 チエックチエンブラケット
46 ロプスフレーム
46a 上側取付部
49 ひさしフレーム
50 ひさし
E エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(1F,1F)及び左右後輪(1R,1R)を備え、エンジン(E)の動力をミッションケース(12)内の伝動装置を経由して前輪あるいは後輪に伝達する作業車両において、前記ミッションケース(12)の前側部の左右ブラケット(31,31)、及び、前記ミッションケース(12)の後側端部から左右に延出した左右リヤーアクスルケース(32,32)に、ドーザフレーム(33,33)を前記ミッションケース(12)の下方で且つ前記左右後輪(1R,1R)の内側に位置するように取り付け、前記ドーザフレーム(33,33)には、前記ミッションケース(12)の下方で且つ前記左右前輪(1F,1F)の内側に位置しているフロントフレーム(34,34)の後側端部を左右方向の軸(34a)回りに軸支し、該フロントフレーム(34、34)の前端部にフロントドーザ(39)を取り付けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
左右前輪(1F,1F)及び左右後輪(1R,1R)を備え、エンジン(E)の動力をミッションケース(12)内の伝動装置を経由して前輪あるいは後輪に伝達する作業車両において、前記ミッションケース(12)の後側端部から左右に延出している左右リヤーアクスルケース(32,32)に、作業機を装着する三点リンク機構(16)の左右下部リンク(16b,16b)の振れ止め用の左右チエックチェンブラケット(45,45)、及び、左右フェンダ(23,23)の内側に位置している幅狭の左右ロプスフレーム(46,46)の下部を取り付け、該左右ロプスフレーム(46,46)の上部から左右フェンダ(23,23)の上方まで延出している左右上側取付部(46a,46a)に、背面視で逆U字形の庇フレーム(49)の下部を取り付け、該庇フレーム(49)に庇(50)を取り付けたことを特徴とする作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−83525(P2009−83525A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251809(P2007−251809)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】