説明

作業車両

【課題】トラクタのフェンダにおいて、フェンダの美観を損なわずに簡素化しながらフェンダを広狭に調節可能にする。
【解決手段】機体後部に設けた左右後輪1R,1Rを左右フェンダ23,23で被覆した作業車両において、機体の左右取付部に左右フェンダ23,23の内側部を直接取り付けて幅狭にしたり、あるいは、左右フェンダ23,23の内側に左右拡張スペーサ71、71を介在させて取り付けて幅広に構成可能にしたことを特徴とする作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業機械である作業車両に関する。特に、トラクタの作業車両のフェンダに関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両のフェンダにおいて、車体側のフェンダの外側端部を所定長さがけ車体内側に折り曲げて形成し、この折り曲げ部に複数のステーの基部折曲部で挟みながら支持し、ステーの先端側をフェンダの外側に沿わせて支持し、このステーに補助フェンダをボルト・ナットで取り付けたものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−278125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、フェンダの外側端部を下方に屈折し、この屈折部の下側端部に補助フェンダを外側に延出するように設けた構成であるので、フェンダに補助フェンダを取り付けるための追加加工をしなければならず、補助フェンダを取り外した場合にフェンダがデザイン的に劣るという不具合が発生する。そこで、本発明はフェンダに追加加工を施さずに、フェンダの内側面に左右拡張スペーサを介在させて機体フレームに取り付けることにより、デザイン的な美観を維持しながらフェンダを幅広状態に変更しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、機体後部に設けた左右後輪(1R,1R)を左右フェンダ(23,23)で被覆した作業車両において、機体の左右取付部に左右フェンダ(23,23)の内側部を直接取り付けて幅狭にしたり、あるいは、左右フェンダ(23,23)の内側に左右拡張スペーサ(71、71)を介在させて取り付けて幅広に構成可能にしたことを特徴とする作業車両とする。
【0005】
前記構成によると、左右後輪(1R,1R)が幅狭であったり、乾田での作業の際には、機体の左右取付部に左右フェンダ(23,23)の内側部を直接取り付けて幅狭に構成する。また、左右後輪(1R,1R)が幅広であったり、湿田での作業の際には、機体の左右取付部に左右フェンダ(23,23)の内側に左右拡張スペーサ(71、71)を介在させて取り付けて幅広に構成し、左右後輪(1R,1R)の泥水飛散を防止することができる。
【0006】
請求項2の発明は、前記左右拡張スペーサ(71,71)を側面視で略L字型に構成すると共に、該左右拡張スペーサ(71,71)に複数の支持孔により側面視で略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)を構成し、前記左右フェンダ(23,23)の取付部を操縦席(2)取付用のシートフレーム(39)とし、該シートフレーム(39)の左右枠体(39a,39a)及び左右フェンダ(23,23)の左右側板(23c,23c)には複数の支持孔により側面視で略L字型のフレーム支持孔群(39c,…)、及びフェンダ支持孔群(23d,…)を構成し、前記略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)とフレーム支持孔群(39c,…)とフェンダ支持孔群(23d,…)を合致させた支持孔群が、左右後輪(1R,1R)の回転中心の前方上方に位置する状態で、前記略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)とフレーム支持孔群(39c,…)とフェンダ支持孔群(23d,…)の部材を固着したことを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0007】
前記構成によると、左右内側のシートフレーム(39)のフレーム支持孔群(39c,…)、左右中間部の左右拡張スペーサ(71,71)のスペーサ支持孔群(71c,…)、左右外側の左右フェンダ(23,23)のフェンダ支持孔群(23d,…)を、側面視で左右後輪(1R,1R)の回転中心における前方上方に位置させた状態で、三つの部材をボルト・ナットで強固に固着することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、構成を簡単化しながら、機体フレームに左右拡張スペーサ(71,71)を介在させて左右フェンダ(23,23)を取り付けることにより幅広とし、左右フェンダ(23,23)に追加加工を施すことなく美観を保ちながら幅広にすることができ、また、左右拡張スペーサ(71、71)を取り外すことにより、左右フェンダ(23,23)を幅狭としてトラクタをコンパクトに構成し、輸送車両の積載空間を小さくし、輸送費の削減を図ることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、左右拡張スペーサ(71、71)を側面視で略L字型に構成したので、コンパクトな構成にしながら左右フェンダ(23,23)を操縦席(2)取付用のシートフレーム(39)に強硬に固着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した形態について説明する。
トラクタTは、図1及び図2に示すように、車体前側部のボンネット11内にエンジン(図示省略)を搭載し、エンジンの回転動力を、ミッションケース12内の伝動機構を介して左右前輪1F,1F及び左右後輪1R,1Rへ伝達している。
【0011】
また、エンジンの後方にはハンドルポスト17を立設し、ハンドルポスト17にステアリングハンドル19を軸支している。また、ステアリングハンドル19の下方のフロア20上には、静油圧式無段変速装置(図示省略)変速用の前進ペダル21f,後進ペダル21rを設けている。また、フロア20上には、左右ブレーキペダル(図示省略)、クラッチペダル(図示省略)やアクセルペダル(図示省略)を設けている。
【0012】
また、ステアリングハンドル19の後方に操縦席2を設け、この操縦席2の左右フェンダ23,23を設け、フロア20の左右側方に左右サイドステップ24,24を設けている。
【0013】
次に、図3乃至図5に基づきボンネット11の開閉構成について説明する。
この実施形態は、ボンネット11の開閉支持具を機体リンク26,ボンネットリンク27、及び、両端部を上下に屈曲した中間リンク28により構成し、ボンネット11の閉鎖時におけるリンク25,26,27の収納状態をコンパクトにしながら、ボンネット11を大きく開放しようとするものであるである。
【0014】
機体の前側フレームには左右方向の軸11aによりボンネット11の後側上部を軸支し、前側部を上方へ開放回動可能に構成している。ボンネット11裏面の後側部左右中央部にボンネットフレーム25をボルト・ナットで取り付けている。また、閉鎖状態のボンネット11の裏面に接近した前後方向中間部位に、機体リンク26の一端を左右方向のピン26aで軸支し、ボンネット11の後側左右中央部に前記ボンネットフレーム25を介してボンネットリンク27の一端を左右方向のリベット27aで軸支し、これら機体リンク26,ボンネットリンク27の他端部に中間リンク28を枢支連結し、機体リンク26の機体フレームへの軸支点よりもボンネットリンク27のボンネット11への軸支点をボンネット11の閉鎖状態で前側に配置している。そして、ボンネット11側のボンネットフレーム25の後側端部にガスダンパー29の後側端部を左右方向のピン29aで軸支し、ガスダンパー29の前側端部をボンネットリンク27の前後方向中間部に左右方向のピンで枢支連結している。
【0015】
また、前記ボンネットフレーム25を、図5に示すように、前後方向に沿った幅狭の後側フレーム25aと、後側フレーム25aの前側端部から左右両側に延出している前側フレーム25bとを溶接して平面視T字型になるように一体的に構成している。この後側フレーム25aの後側端部を左右方向の軸11aにより機体フレームに支持している。また、この後側フレーム25aの左右中間部には前後方向に沿った長穴25cを開口し、ボンネットリンク27の後側端部を後側フレーム25aの後部に軸支して、その前側端部を長穴25cを通して下方へ延出し、中間リンク28に連結している。
【0016】
また、後側フレーム25aの後端部にガスダンパー29の後側端部を枢支連結し、ガスダンパー29の前側部を長穴25cを通して下方へ延出し、ボンネットリンク27の前後方向中間部に連結している。また、ボンネット11が開放回動した際には、ガスダンパー29はボンネットリンク27を緩く持ち上げるように作用し、また、ボンネット11の閉鎖状態では、ボンネットリンク27を緩く下方に押さえるように作用している。
【0017】
しかして、ボンネット11を上方へ開放回動すると、図7(B)に示すように、ボンネットリンク27がガスダンパー29により緩く押し上げられて、機体リンク26,中間リンク28及びボンネットリンク27が略直線状に伸長した状態で保持され、ボンネット11を大きく開放することができる。また、ボンネット11を下方に閉鎖回動すると、図7(A)に示すように、ガスダンパー29が少し短縮しながら下方へ回動し、ボンネットリンク27,中間リンク28及び機体リンク26が上下に近接重合した折り畳み状態で収納され、ボンネット11が閉鎖される。なお、ボンネット11の閉鎖状態では、ロック装置(図示省略)によりボンネット11は機体フレームに固定される。
【0018】
前記構成によると、ガスダンパー29によりボンネットリンク27を下方から緩く押し上げるように構成しているので、ボンネット11の開放操作を楽に行なうことができる。また、開放状態のボンネット11はガスダンパー29により下方から支えられているので、開放時のロック部材が不要となり構成を簡単にすることができる。
【0019】
また、ガスダンパー29をボンネット11の裏面に取り付けているので、ボンネット11の開放時にリンク26,27,28を効率良く確実に保持することができ、また、収納時にはリンク26,27,28及びガスダンパー29が上下に重なりながら折り畳まれるので、前後方向の長さを短くしコンパクトに収納することができ、エンジンEの前方に配置しているエンジン補機との干渉を回避することができる。
【0020】
また、図6に示すように、中間リンク28を一対の左右中間リンク28a,28bにより構成し、この左右中間リンク28a,28bの両端部を、横断面コ字状に折曲し構成した強固な機体リンク26及びボンネットリンク27に枢支連結している。そして、左右中間リンク28a,28bを長手方向にずらせた状態でリベット30,…により枢支連結している。前記構成によると、左右中間リンク28a,28bの一端側が機体リンク26、あるいは、ボンネットリンク27の左右側面に接触支持された状態で回動し、左右方向へのずれを防止し強固なリンク構成とすることができる。
【0021】
また、左右中間リンク28a,28bの両端の軸支部近傍には、軸支方向に対して直交する方向に互いに異なる上下方向へ屈曲する上屈曲退避部28c,28c、下屈曲退避部28d,28dを構成している。そして、機体リンク26の先端部に左右中間リンク28a,28bの上屈曲退避部28c,28c近傍部をリベット30,30により前後方向にずらせて軸支し、また、ボンネットリンク27の先端側に左右中間リンク28a,28bの下屈曲退避部28d,28d近傍部をリベット30,30で軸支している。しかして、左右中間リンク28a,28bの上屈曲退避部28c,28c、下屈曲退避部28d,28d以外の部分と、機体リンク26,ボンネットリンク27とを側面視で上下に重ならせ上下高さを短くしながら折り畳み収納することができる。
【0022】
また、図8のように構成してもよい。ボンネット11の後側部にエンジン(図示省略)を配設し、前側部に燃料タンク(図示省略)を配設し、燃料タンク31をタンクブラケット31aにより機体フレーム(図示省略)に取り付け、タンクブラケット31aの左右方向中央部に機体リンク26の基部を支持する。前記構成によると、機体リンク26の支持構成を簡単にし、ボンネット11の左右方向へのねじれを防止しながら開閉することができる。
【0023】
また、図9のように構成してもよい。ボンネット11の後側部にエンジンを配設し、前側部に冷房装置のコンプレッサ32を配設し、コンプレッサ32をコンプレッサブラケット32aにより機体フレームに取り付け、コンプレッサブラケット32aの左右中央部に機体リンク26の基部を支持する。前記構成によると、機体リンク26の支持構成を簡単にし、ボンネット11の左右方向へのねじれを防止しながら開閉することができる。
【0024】
また、図14のように構成してもよい。ボンネット11の後側部にエンジン(図示省略)を配設し、エンジンの前方にラジエータ51を配設する。機体フレームの後側部にラジエータベース52を、前側部にバッテリベース52aを取り付ける。ラジエータ51をラジエータベース51aに載置して取り付け、バッテリベース52aにバッテリ52を載置し、係止具54を介してバッテリ52を支持している。そして、バッテリベース52aの後側上折曲部52bを介してラジエータベース51aの前側下端部に接続している。しかして、バッテリ52をバッテリベース52aに載置し、バッテリ52の後側下端部を後側折曲部52bに当接支持し、係止具54で係止することにより、バッテリ52を重心を低くしながら強固に支持することができる。
【0025】
次に、図10及び図11に基づき操縦席2の下方における工具箱36の配置構成について説明する。
ミッションケース12の後側上部にはシリンダケース37を取り付け、シリンダケース37内にはリフトアーム(図示省略)昇降用の油圧シリンダ(図示省略)、油圧制御弁(図示省略)、油圧シリンダからタンクに戻る油圧量を大・小に調節する戻り油圧調節弁(図示省略)を設けている。また、戻り油圧調節弁を調節する戻り油圧調節レバー38を上方へ延出して設けている。ミッションケース12の後側部にはシートフレーム39を取り付け、シートフレーム39の後側部でシリンダケース37の上方を覆うようにし、シートフレーム39に操縦席2を取り付けている。シートフレーム39の前側部の空間部を利用して工具箱36を配置し、シートフレーム39の前側部中央に開閉カバー(図示省略)を設け、工具箱36を出し入れできるようにしている。前記構成によると、シートフレーム39の空き空間を利用して工具箱36を配置することができ、操縦席2にいるオペレータは工具箱36を容易に出し入れすることができ便利である。
【0026】
次に、図12に基づきステアリングハンドル19の前後調節構成について説明する。
ミッションケース12から前側フレーム41を立ち上げ、前側フレーム41の上側部にチルトアーム42の上端部を左右方向のピン42aで軸支し、下端部には操作ペダル42bを設けている。上部ステアリング軸43及びステアリングハンドル19からなる上部ハンドル部19aの下端部を、チルトアーム42の上下中間部に左右方向の軸で所定範囲回動自在に支持し、上部ステアリング軸43の下端部を下部ステアリング軸(図示省略)に連結している。
【0027】
しかして、操作ペダル42bを前方に踏み込むと、上部ハンドル部19aは所定の傾斜状態で固定され、また、操作ペダル42bにより上部ハンドル部19aを後方に回動すると、上部ハンドル部19aは所定角度で自由に前後傾斜調節できる構成である。また、チルトアーム42の下側部には左右側方に突出するようにチルトレバー44を取り付けている。
【0028】
前記構成によると、オペレータがトラクタに乗り込む際に、チルトレバー44を操作してチルトアーム42を後方へ回動操作すると、上部ハンドル部41が前方へ傾斜調節可能となり、操縦席2とステアリングハンドル19との間を広くし、楽に乗り込むことができる。
【0029】
次に、図13によりPTO変速レバー46の支持構成について説明する。ステアリングハンドル19の下方部位にはPTO変速レバー46を設け、変速ガイド板47には一速変速位置47a、二速変速位置47b、三速変速位置47c、四速変速位置47d及び逆転位置47eのある変速溝を設け、PTO変速レバー46をこれらの変速位置に移動自在に構成し、操作誤りをなくし安全を確保するようにしている。なお、変速ガイド板47はミッションケース12から立ち上げた前側フレーム41に取り付けている。
【0030】
次に、図15乃至図18に基づきトラクタの左右後輪IR,1Rのデフロック構成及びブレーキ構成について説明する。
ミッションケース12には静油圧式無段変速装置(図示省略)及び歯車式変速装置(図示省略)が設けられていて、エンジンの動力が静油圧式無段変速装置で変速され、更に歯車式変速装置で変速され、ピニオンギヤ軸(図示省略)、リヤーデフ機構(図示省略)、左右後輪伝動軸(図示省略)を経由して左右後輪1R,1Rに伝達される。また、左右後輪伝動軸には左右後輪ブレーキ装置(図示省略)を設け、左右後輪1R,1Rを独立して制動可能に構成している。
【0031】
また、フロア20の例えば右側前部には静油圧式無段変速装置(図示省略)変速用の前進ペダル21f,後進ペダル21rを設け、左側前部に左右ブレーキペダル65,65を設けている。なお、左右ブレーキペダル65,65には連係装置を設けて左右ブレーキを同時に駆けられるように構成している。
【0032】
また、フロア20の左側後部にはリヤーデフ機構及び左右後輪ブレーキ装置作動用のデフロックペダル61を設けている。左右機体フレーム62,62に左右支持体63,63を取り付けてデフロック軸64を左右方向に沿わせて支架している。デフロック軸64の左側にデフロックペダル61を設け、デフロック軸64に設けた操作具を介してリヤーデフ機構及び左右後輪ブレーキ装置を作動可能に構成している。
【0033】
前記構成によると、前進ペダル21f,後進ペダル21rを右足で操作して静油圧式無段変速装置を前後進変速し、また、デフロックペダル61を左足で操作してリヤーデフ機構のデフロック及び左右後輪ブレーキ装置を作動し、両手でステアリングハンドル19を操作しながら、安全な運転をすることができる。
【0034】
次に、図19〜図21に基づき左右フェンダ23,23の取付構成について説明する。
左右フェンダ23,23及び左右拡張スペーサ71、71により構成し、左右フェンダ23,23と左右拡張スペーサ71、71を着脱自在に構成し、トラクタの輸送時には左右拡張スペーサ71,71を取外し、左右フェンダ23,23だけを機体フレームに直接取り付けてフェンダの幅を狭くし、トラクタの輸送時の機体構成をコンパクトにしようとするものである。
【0035】
ミッションケース12の後側部にシートフレーム39を取り付け、シートフレーム39の上部に操縦席2を取り付け、シートフレーム39の左右両側部に左右フェンダ23,23をボルト・ナットで取り付けている。
【0036】
左右フェンダを左右フェンダ23,23と、左右幅を広くする左右拡張スペーサ71,71により構成している。左右フェンダ23,23を、後輪1Rの前側部上方を覆う左右前側フェンダ23a,23aと、後輪1Rの上側部を覆う左右後側フェンダ23b,23bと、操縦席2の左右両側を覆う左右側板23c,23cにより一体的に構成し、左右側板23c,23cの前側下部に複数の支持孔で側面視略L字型の支持孔群23d,…を構成し、左右前側フェンダ23a,23aと左右後側フェンダ23b,23bにまたがるように取っ手23e,23eを取り付けている。また、左右拡張スペーサ71,71は、左右前側縦枠体71a,71aと、左右前側縦枠体71a,71aの上側端部から後方へ延出している左右上部横枠体71b,71bにより側面視で略L字型に構成している。この左右前側縦枠体71a,71a及び左右上部横枠体71b,71bには、所定間隔毎に複数の支持孔を設け、側面視で略L字型の支持孔群71c,…を構成している。
【0037】
また、左右拡張スペーサ71,71を取り付けるシートフレーム39(図1に示す)を次のように構成している。側面視で変形逆U字型の左右枠体39a,39aと、左右枠体39a,39aを連結する連結枠体39bで枠組み構成している。左右フェンダ23,23の左右側板23c,23cの前側下部には、側面視で左右拡張スペーサ71,71の略L字型の支持孔群71c,…と合致するように略L字型の支持孔群23d,…を設け、また、左右枠体39a,39aにも同様のフェンダ取付用の略L字型の支持孔群39c,…を設けている。
【0038】
左右フェンダ23,23の左右幅を広げて取り付ける場合には、シートフレーム39の左右枠体39a,39aの左右両側に左右拡張スペーサ71,71及び左右フェンダ23,23を配置し、三つの略L字型の支持孔群を合致させてボルト・ナットで固着している。
【0039】
また、左右後輪1R,1Rが幅狭であったり、あるいは、乾田での作業の際には、左右フェンダ23,23の内側面をシートフレーム39の左右枠体39a,39aにボルト・ナットで直接取り付け幅狭に構成する。また、左右後輪1R,1Rが幅広であったり、あるいは、湿田での作業の際には、シートフレーム39の左右枠体39a,39aに左右拡張スペーサ71,71を介在させて左右フェンダ23,23をボルト・ナットで取り付ける。
【0040】
前記構成によると、左右フェンダ23,23の内側面をシートフレーム39の左右枠体39a,39aに直接取り付けることにより、幅狭の左右フェンダ23,23とし、トラクタをコンパクトに構成し、輸送車両の積載空間を小さくし、輸送費の削減を図ることができる。また、シートフレーム39の左右枠体39a,39aに左右拡張スペーサ71,71を介在させて左右フェンダ23,23を取り付けることにより、左右フェンダ23,23に追加加工を施さずに幅広にすることができる。また、左右拡張スペーサ71,71を略L字型の支持孔群71c,…を設けるだけの小さな部材とし、コストを低減しながら左右フェンダ23,23を強固に取り付けることができる。
【0041】
次に、図22〜図25に基づき制御用油圧装置のオイル冷却構成について説明する。
図22に示すように、油圧モータMにより作業用油圧ポンプP1及び制御用油圧ポンプP2を駆動し、オイルタンク84(ミッションケース12が兼ねる)内のオイルがメインフィルタ75を経由して作業用油圧ポンプP1に送られ、作業用油圧ポンプP1から吐出した油圧は分流弁を経由して各種作業制御弁76,…、作業シリンダ77,…に送られる。また、制御用油圧ポンプP2から吐出したオイルは制御系専用フィルタ75a、分流弁、各種制御弁78,…を経て、パワーステアリングシリンダ79、走行変速用の変速シリンダ80,80、PTOクラッチシリンダ81、主クラッチシリンダ82に送られる。また、これらのシリンダ79,80,81,82からの戻りオイルはオイルクーラ83を経てオイルタンク84に還流する構成である。
【0042】
前記構成によると、メインフィルタ75を作業用油圧ポンプP1の上手側に配置しているので、メインフィルタ75にはこれらの油圧ポンプP1,P2の吐出圧がかからないので安価なフィルタとすることができる。
【0043】
また、図23〜図25に示すように、ミッションケース12の前側部にはエンジンEを取り付け、ミッションケース12から前方へ延出している前側フレーム85にフロントアクスルケース86を取り付け、左右前輪1F,1Fを取り付けている。エンジンEの前方にはラジエータ87を設け、フロントアクスルケース86の前方に位置している前側フレーム85にブラケットを介して制御用フィルタ75aを取り付け、サクション油圧回路に戻す上手側に配置し、油圧回路を短くしながらコンパクトに構成している。
【0044】
また、前側フレーム85の前側部を平面視でコ字型にして前側部を囲むように構成し、前側フレーム85にブラケット88を介して制御用フィルタ75aを取り付け、制御用フィルタ75aを平面視で前側フレーム85のコ字型の内側で、且つ、ラジエータ87の前方に設けたオイルクーラ83の前方下方に位置するようにている。前記構成によると、制御用フィルタ75aの破損を防止し、メンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】トラクタの全体側面図
【図2】トラクタの全体平面図
【図3】ボンネットの斜視図
【図4】ボンネットの側面図
【図5】ボンネットの底面図
【図6】リンクの斜視図
【図7】ボンネットの側面図
【図8】ボンネットの斜視図
【図9】ボンネットの斜視図
【図10】トラクタ後部の側面図
【図11】トラクタの背面図
【図12】トラクタの側面図
【図13】PTO変速レバーの側面図、平面図
【図14】バッテリベースの斜視図
【図15】ミッションケース部の平面図
【図16】ミッションケース部の平面図
【図17】ミッションケース部の正面図
【図18】フェンダ部の側面図
【図19】トラクタ後部の平面図
【図20】フェンダの側面図、平面図
【図21】フェンダの拡張スペーサの平面図、側面図
【図22】油圧回路図
【図23】トラクタの前側部の側面図
【図24】トラクタの前側部の平面図
【図25】トラクタの前側部の正面図
【符号の説明】
【0046】
1R 後輪
2 操縦席
23 フェンダ
23c 側板
23d,… フェンダ支持孔群
39 シートフレーム
39a 枠体
39c,… フレーム支持孔群
71 拡張スペーサ
71c,… スペーサ支持孔群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体後部に設けた左右後輪(1R,1R)を左右フェンダ(23,23)で被覆した作業車両において、機体の左右取付部に左右フェンダ(23,23)の内側部を直接取り付けて幅狭にしたり、あるいは、左右フェンダ(23,23)の内側に左右拡張スペーサ(71、71)を介在させて取り付けて幅広に構成可能にしたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記左右拡張スペーサ(71,71)を側面視で略L字型に構成すると共に、該左右拡張スペーサ(71,71)に複数の支持孔により側面視で略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)を構成し、前記左右フェンダ(23,23)の取付部を操縦席(2)取付用のシートフレーム(39)とし、該シートフレーム(39)の左右枠体(39a,39a)及び左右フェンダ(23,23)の左右側板(23c,23c)には複数の支持孔により側面視で略L字型のフレーム支持孔群(39c,…)、及びフェンダ支持孔群(23d,…)を構成し、前記略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)とフレーム支持孔群(39c,…)とフェンダ支持孔群(23d,…)を合致させた支持孔群が、左右後輪(1R,1R)の回転中心の前方上方に位置する状態で、前記略L字型のスペーサ支持孔群(71c,…)とフレーム支持孔群(39c,…)とフェンダ支持孔群(23d,…)の部材を固着したことを特徴とする請求項1記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−6268(P2010−6268A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169054(P2008−169054)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】