説明

作業車両

【課題】 ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とで、可能な限り部品の共通化を図ることができるようにする。
【解決手段】 ステアリングコラム13には、床板8のコラム座板取付孔8Aを上側から覆うコラム座板14を設ける。コラム座板14に設けるシャフト支持体24を、下部シャフト17の外周側を取囲み下部シャフト17をベアリング25を介して回転可能に支持する筒部材26と、筒部材26の上端側に設けられ下部シャフト17と筒部材26との間をシールする保護カバー27と、筒部材26の下端側に固定して設けられ下面側にステアリングバルブ30が取付けられるバルブ取付板28とにより構成する。このようなシャフト支持体24を、防振支持する機種と防振支持しない機種とで、共通部品として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホイールローダまたはホイール式油圧ショベルのようにハンドル操作によりステアリングを行う構成とした作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホイールローダまたはホイール式油圧ショベルとして知られているホイール式作業車両(建設機械)には、運転席の前側に配置されたステアリングコラムを有しハンドルにより舵取り操作を行う構成とした動力舵取り装置(パワーステアリング装置)が搭載されている。
【0003】
この種の従来技術による作業車両は、自走可能な車体と、該車体に設けられ上面側に運転席が取付けられる床板と、前記運転席の前側に位置して前記床板上に立設されるステアリングコラムと、該ステアリングコラムに回転可能に設けられハンドルの舵取り操作により回転されるシャフトと、前記床板の下面側に位置して前記シャフトの下端側に連結され該シャフトの回転により切換操作されるステアリングバルブ装置とを備えている。
【0004】
前記ステアリングバルブ装置は、前記床板に防振部材を介して取付けられている。この防振部材は、ステアリングバルブ装置の作動時に発生する振動、騒音が運転席に着座したオペレータに伝播されるのを抑えるために、前記床板とステアリングバルブ装置との間に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−207802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術は、ステアリングバルブ装置を運転席の床板に対して防振支持する構成を前提としている。一方、ホイールローダ等の作業車両には、ステアリングバルブ装置を防振支持することなく、床板側に直接取付ける機種も存在している。
【0007】
しかし、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とは、それぞれ異なる設計思想で設計されているため、部品の共通化を図ることが難しく、各部品の製作工程から組立工程にわたる全体の作業性を向上することができないという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とで、可能な限り部品の共通化を図ることにより、部品点数を削減できると共に、組立時等の作業性を向上することができるようにした作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に設けられ上面側に運転席が取付けられる床板と、前記運転席の前側に位置して前記床板上に立設されるステアリングコラムと、該ステアリングコラムに挿通して設けられハンドルの舵取り操作により回転されるシャフトと、前記床板の下面側に位置して前記シャフトの下端側に連結され該シャフトの回転により切換操作されるステアリングバルブ装置とを備えてなる作業車両に適用される。
【0010】
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記床板には、前記ステアリングコラムの下側となる位置にコラム座板取付孔を設け、前記ステアリングコラムには、前記コラム座板取付孔を上側から覆って前記床板の上面に着脱可能に取付けられ上,下方向に貫通して延びる貫通孔を有するコラム座板を設け、前記コラム座板の上面または下面側であって前記貫通孔を取囲む位置には、前記ステアリングコラムの下部側で前記シャフトの外周側を取囲み前記シャフトを回転可能に支持するシャフト支持体を着脱可能に設け、該シャフト支持体には、その下面側に前記ステアリングバルブ装置を取付ける構成としたことにある。
【0011】
請求項2の発明によると、前記シャフト支持体は、前記シャフトの外周側を取囲み該シャフトをベアリングを介して回転可能に支持する筒部材と、該筒部材の上端側に設けられ前記シャフトと筒部材との間をシールする保護カバーと、前記筒部材の下端側に固定して設けられ前記筒部材の径方向外側に向けて延びるバルブ取付板とを有し、該バルブ取付板を前記コラム座板に複数の締結ボルトを用いて取付ける構成とし、前記ステアリングバルブ装置は、前記バルブ取付板の下面側に取付けられ、前記シャフトの下端側には、前記ステアリングバルブ装置を連結する構成としている。
【0012】
請求項3の発明によると、前記シャフト支持体は、前記ステアリングバルブ装置を前記床板に対して防振支持するため、前記バルブ取付板を防振ゴムと一緒に前記締結ボルトを用いて前記コラム座板の下面側に取付ける構成としている。
【0013】
請求項4の発明によると、前記シャフト支持体は、前記バルブ取付板を前記コラム座板の上面側に載置した状態で前記締結ボルトを用いて前記コラム座板に取付ける構成としている。
【発明の効果】
【0014】
上述の如く、請求項1の発明によれば、ステアリングコラムを床板上に立設するため該床板の上面に着脱可能に取付けられるコラム座板に対し、シャフトの外周側を取囲んで回転可能に支持するシャフト支持体を取付けることにより、ステアリングコラムの下部側で前記シャフトを安定して支持することができ、ハンドルの舵取り操作によるシャフトの回転に従ってステアリングバルブ装置を円滑に切換えることができる。この場合、シャフトを外側から取囲んで回転可能に支持するシャフト支持体は、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とで共通な部品として用いることができ、ステアリングバルブ装置を防振支持する機種、防振支持しない機種にわたり全体の部品点数を確実に削減することができる。しかも、共通部品であるシャフト支持体をコラム座板の上面または下面側に取付ける作業を、効率的に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明は、シャフトの外周側を取囲み該シャフトを回転可能に支持するシャフト支持体を、筒部材、保護カバーおよびバルブ取付板により構成することができ、該バルブ取付板をコラム座板に複数の締結ボルトを用いて締結することにより前記シャフト支持体をコラム座板に固定することができる。また、ステアリングバルブ装置は、前記バルブ取付板の下面側に取付けることができ、前記筒部材内を上,下方向に延びるシャフトの回転に従って動力舵取り用の圧油の給排または停止を制御することができる。
【0016】
請求項3の発明は、ステアリングバルブ装置を防振支持する機種に該当し、シャフト支持体のバルブ取付板を防振ゴムと一緒に締結ボルトを用いてコラム座板の下面側に取付けることにより、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持することができる。このため、ステアリングバルブ装置の作動時に発生する振動、騒音が運転席に着座したオペレータに伝播されるのを、前記防振ゴムにより抑えることができる。
【0017】
一方、請求項4の発明は、ステアリングバルブ装置を防振支持しない機種に該当し、シャフト支持体のバルブ取付板をコラム座板の上面側に載置した状態で締結ボルトを用いてコラム座板に締結することにより、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持することなく取付けることができる。しかも、筒部材、保護カバーおよびバルブ取付板からなるシャフト支持体を、防振支持する機種と共通な部材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態による防振支持タイプのステアリング装置が搭載されたホイールローダを示す正面図である。
【図2】図1中のステアリング装置を床板と一緒に拡大して示す斜視図である。
【図3】図2中の床板を裏面側から拡大してみた部分斜視図である。
【図4】ステアリング装置を床板と一緒に図2中の矢示IV−IV方向から拡大してみた部分断面図である。
【図5】下部シャフトを支持するシャフト支持体を防振ゴム等と一緒にコラム座板から取外した状態を示す図4と同様位置での部分断面図である。
【図6】シャフト支持体の保護カバーを筒部材の上端側に取付ける前の状態を示す分解斜視図である。
【図7】防振支持タイプのステアリング装置に用いる下部シャフトを示す正面図である。
【図8】第2の実施の形態による防振支持なしのステアリング装置を床板と一緒に示す斜視図である。
【図9】防振支持なしのステアリング装置を床板と一緒に図8中の矢示IX−IX方向から拡大してみた部分断面図である。
【図10】下部シャフトを支持するシャフト支持体をパイロットバルブ等と一緒にコラム座板から取外した状態を示す図9と同様位置での部分断面図である。
【図11】防振支持なしのステアリング装置に用いる下部シャフトを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態による作業車両を、ホイールローダに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0020】
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した作業車両としてのホイールローダである。このホイールローダ1は、後述の前輪5および後輪6により自走可能となった車体2を有している。ホイールローダ1の車体2は、後部車体3と、該後部車体3の前側に連結された前部車体4とにより構成されている。ホールローダ1をステアリング操作するときには、前部車体4が後部車体3に対して左,右方向に揺動され、これにより走行方向が操舵される。
【0021】
前部車体4には左,右の前輪5が設けられ、後部車体3には左,右の後輪6が設けられている。これらの前輪5および後輪6は、ホイールローダ1の車輪を構成し、例えば油圧閉回路(HST)を用いた走行用の油圧モータ(図示せず)等により4輪駆動されるものである。なお、本発明で採用した作業車両としてのホイールローダ1は、4輪駆動に限るものではなく、例えば前輪5または後輪6のみを駆動する構成とした車両であってもよい。また、原動機であるエンジンの回転を減速機(いずれも図示せず)等を介して車両の駆動輪(前輪5及び/又は後輪6)に直接的に伝える構成であってもよい。
【0022】
7は車体2の前部側に設けられた作業装置で、該作業装置7は、前部車体4に俯仰動可能に取付けられたブーム7Aと、該ブーム7Aの先端側に回動可能に取付けられたローダバケット7Bと、ブーム7Aを上,下に昇降駆動する左,右一対のブームシリンダ(図示せず)と、ローダバケット7Bを上,下に回動するバケットシリンダ7Cとにより構成されている。作業装置7は、例えば土砂の掘起こし作業、すくい採り作業等をローダバケット7Bを用いて行うものである。
【0023】
8は後部車体3の前側に設けられた床板で、該床板8は、その上側に運転席9が設置される床面を構成している。床板8の上方には、運転席9を上方から覆うキャノピ10が設けられている。また、床板8の上面側には、運転席9の前側に位置して後述のステアリング装置11が設けられると共に、走行ペダル、操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。
【0024】
図4、図5に示すように床板8には、後述するステアリングコラム13の下側となる位置に略四角形状をなすコラム座板取付孔8Aが穿設され、該コラム座板取付孔8A内には、後述のステアリングバルブ30を上,下方向に装入できるようになっている。また、床板8の下面(裏面)側には、コラム座板取付孔8Aの周囲を補強する後述の補強枠37(図3参照)と、後述の横枠38,41および一対の縦枠39等とが設けられている。床板8の曲げ強度等は、これらの補強枠37、横枠38,41および一対の縦枠39(図3参照)等によって高められている。
【0025】
図1に示す運転席9に着座したオペレータは、後述のハンドル12を操舵して前部車体4を左,右方向に揺動させることにより、車体2の走行方向をステアリング制御する。また、オペレータは、前記操作レバーを操作することにより作業装置7を作動させるものである。なお、後部車体3の後側には、ホイールローダ1の原動機となるエンジンが油圧ポンプ(いずれも図示せず)等と共に搭載されている。
【0026】
11は第1の実施の形態で採用したステアリング装置で、該ステアリング装置11は、ハンドル12による舵取り操作を行うための支持コラムとなる後述のステアリングコラム13と、下部シャフト17、シャフト支持体24およびステアリングバルブ30等とを含んで構成されている。ステアリングコラム13には、ハンドル12により回転されるシャフト(即ち、後述の上部シャフト、中間シャフトおよび下部シャフト17)が挿通して設けられている。
【0027】
13は運転席9の前側に位置して床板8上に立設され支持コラムを構成するステアリングコラムである。このステアリングコラム13は、下端側が運転席9の前側で床板8上に固定されたコラム座板14と、下端側が該コラム座板14に固着されコラム座板14の上面から二又状をなして斜め上向きに延びた下部コラム15と、該下部コラム15の上部側に前,後方向と上,下方向とに移動可能に取付けられた後述の上部コラム18とを含んで構成されている。
【0028】
ステアリングコラム13の下端側に位置するコラム座板14は、床板8のコラム座板取付孔8Aを上側から覆うように配置され、この状態で床板8上に複数のボルト16(例えば、4本)により着脱可能に固定して設けられている。下部コラム15は、下端側のコラム座板14を介して床板8上に立設された固定スタンドを構成している。コラム座板14には、前記各ボルト16の取付位置よりも内側となる中央位置を上,下方向に貫通して延びる略四角形の貫通孔14A(図4、図5参照)が設けられている。この貫通孔14A内には、後述するシャフト支持体24の筒部材26等が挿通される。
【0029】
また、コラム座板14には、後述するバルブ取付板28の各大径孔28Bと上,下方向で対向する位置にボルト挿通孔14B(例えば、合計3個)が形成され、これらのボルト挿通孔14B内には、後述の締結ボルト34が挿通されている。コラム座板14の下面側には、後述のステアリングバルブ30がバルブ取付板28を介して着脱可能に取付けられている。
【0030】
17は下部コラム15内に回転自在に設けられた下部シャフトで、該下部シャフト17は、図4に示すように後述のステアリングバルブ30に連結されるシャフトである。下部シャフト17は、ハンドル12の舵取り操作を後述のステアリングバルブ30に伝えるため、下部コラム15内で後述のシャフト支持体24により回転可能に支持されている。ハンドル12の舵取り操作は、上部シャフト(図示せず)、後述の中間シャフト20から継手部材21を介して下部シャフト17に伝えられ、下部シャフト17は、ハンドル12の回転操作に追従して回転される。
【0031】
図7に示すように、下部シャフト17は、長さ寸法L1に形成されている。下部シャフト17の長さ方向中間位置には、例えば2個の止め輪(図示せず)が着脱可能に装着される全周溝17A,17Bが予め決められた間隔で形成されている。下部シャフト17の外周側には、図4に示すようにベアリング25が前記止め輪を介して位置決めされる。
【0032】
18は下部コラム15の上側に移動可能に設けられた上部コラムで、該上部コラム18は、左,右方向に水平に延びる支持軸19(図2参照)等を介して下部コラム15の上端側に連結されている。上部コラム18は、下部コラム15に対し前記支持軸19を回動中心として前,後方向に傾転される。即ち、上部コラム18は、運転席9に近付くように後方に傾転された運転位置と、運転席9から離れるように前方に向けて傾転された跳上げ位置とのいずれかに配置される。
【0033】
運転席9に着座したオペレータは、上部コラム18を前記運転位置に傾転させることにより、ハンドル12の操作を行い易くする。一方、オペレータが運転席9から離れるときには、上部コラム18を前記運転位置から跳上げ位置に傾転させる。これにより、ハンドル12は運転席9から前方に離間した位置に移動されるため、オペレータは運転席9に対する乗降動作を容易に行うことができる。
【0034】
上部コラム18には、上,下方向に延びるポスト18Aが設けられ、該ポスト18A内には、ハンドル12と一体に回転する上部シャフト(図示せず)が回転可能に収容されている。この上部シャフトは、図4に示す中間シャフト20に継手部材21と同様な継手部材(図示せず)を介して連結されている。継手部材21は、公知の自在継手により構成され、斜めに傾いた中間シャフト20の回転を下部シャフト17に伝えるものである。これにより、ハンドル12の回転操作は、前記上部シャフトから中間シャフト20、継手部材21を介して下部シャフト17に伝達され、下部シャフト17の回転により後述のステアリングバルブ30が切換操作される。
【0035】
22は跳上げペダルである。運転席9に座ったオペレータは、跳上げペダル22を足踏み操作することにより、下部コラム15と上部コラム18との間に設けられたロック機構(図示せず)は、ロック状態が解除される。この結果、上部コラム18は、下部コラム15との間に設けた跳上げスプリング(図示せず)により前記運転位置から跳上げ位置へと自動的に跳ね上げられる。
【0036】
一方、上部コラム18を前記跳上げ位置から運転位置に戻すときには、オペレータがハンドル12を運転席9側へと手前に引く動作を行うことにより、上部コラム18が前記跳上げスプリングに抗して傾転される。このとき、前記ロック機構は、上部コラム18を前記運転位置にロックするように作動される。
【0037】
23はオペレータが手動で操作するチルトレバーである。このチルトレバー23を上向きに回動したときには、下部コラム15に対する上部コラム18のチルト角(前,後方向の傾転位置)を予め決められた範囲内で微調整することができる。また、このときには、下部コラム15に対する上部コラム18の高さ位置も調整可能となり、手動によるコラム長さの調整が行われる。
【0038】
このように、オペレータが下部コラム15に対する上部コラム18のチルト角を調整し、コラム長さの調整も完了したときには、オペレータが手動でチルトレバー23を下向きに回動する。これにより、上部コラム18は、前記チルト角とコラム長さとが調整された位置に保持される。
【0039】
24は下部コラム15内で下部シャフト17を回転可能に支持するシャフト支持体で、該シャフト支持体24は、下部シャフト17の外周側を取囲み該下部シャフト17をベアリング25を介して回転可能に支持する筒部材26と、該筒部材26の上端側に設けられ下部シャフト17と筒部材26との間をシールする保護カバー27と、筒部材26の下端側に溶接により固定して設けられ筒部材26の径方向外側に向けて延びるバルブ取付板28とを含んで構成されている。シャフト支持体24のバルブ取付板28は、コラム座板14の下面側であって貫通孔14Aの周囲を取囲む位置に後述の防振ゴム31、締結ボルト34等を介して着脱可能に取付けられている。
【0040】
バルブ取付板28は、床板8のコラム座板取付孔8Aよりも小さく、コラム座板14の貫通孔14Aよりも大きな寸法に形成され、貫通孔14Aを下方から塞ぐ構成となっている。シャフト支持体24の筒部材26は、コラム座板14の貫通孔14Aよりも小さな外径寸法に形成され、貫通孔14A内を上,下方向に貫通して延びる構成である。筒部材26の下端は、バルブ取付板28の中央部に穿設した中央孔28A(図4、図5参照)の周囲に溶接により固着されている。
【0041】
図6に示すように、前記バルブ取付板28は、略五角形状をなす金属平板により形成され、バルブ取付板28には、その前,後方向に離間して3個の大径孔28Bが穿設されている。これらの大径孔28Bには、後述のステアリングバルブ30を床板8に対して防振支持する場合に防振ゴム31が嵌合して取付けられる。一方、防振支持を必要としない機種では、後述の図10(第2の実施の形態)に示すように金属製のスペーサ56が大径孔28B内に嵌合して取付けられる。
【0042】
また、バルブ取付板28には、各大径孔28Bよりも筒部材26に近い位置(即ち、図4、図5に示す中央孔28Aの周囲となる位置)に合計4個のボルト挿通孔28Cが穿設されている。これらのボルト挿通孔28Cには、それぞれボルト29(図5参照)が挿通される。即ち、バルブ取付板28の下面側には、後述のステアリングバルブ30が各ボルト挿通孔28Cに挿通されたボルト29により着脱可能に取付けられる。
【0043】
筒部材26の上部側には、縮径筒部26Aが設けられ、該縮径筒部26Aの内周側には、前記ベアリング25の位置決めを複数の止め輪等を介して行うために複数(例えば、2本)の位置決め溝26B,26Cが形成されている。筒部材26の縮径筒部26Aには、上方から保護カバー27が着脱可能に被着される。保護カバー27の内側には、図7に示す下部シャフト17が回転可能に挿入され、保護カバー27は、下部シャフト17と筒部材26との間を液密にシールするものである。
【0044】
30はステアリングバルブ装置としてのステアリングバルブで、該ステアリングバルブ30は、所謂ダイレクトオービットロールシステムを構成し、油圧源からステアリングシリンダ(いずれも図示せず)に給排する圧油の制御を、例えばパイロットバルブ等を介することなく直接的に行うものである。ステアリングバルブ30は、シャフト支持体24のバルブ取付板28の下面側に複数のボルト29を用いて固定されている。
【0045】
ステアリングバルブ30には、前記圧油の供給、排出または停止を制御する方向制御弁(図示せず)が設けられ、この方向制御弁は、シャフト支持体24の筒部材26内を上,下方向に延びる下部シャフト17の下端側に連結されている。即ち、ステアリングバルブ30は、下部シャフト17の回転により前記方向制御弁の切換操作が行われ、これにより、前記ステアリングシリンダに対する圧油の供給、排出または停止が制御されるものである。
【0046】
31はステアリングバルブ30を床板8に対して防振支持するために用いる複数(例えば、3個)の防振ゴムで、該各防振ゴム31は、天然ゴムまたは合成ゴム等の弾性体を用いて段付筒状に形成されている。各防振ゴム31は、バルブ取付板28の各大径孔28Bに弾性変形状態で嵌合して取付けられる。各防振ゴム31の上,下両側には、それぞれ座金32,33が配置される。
【0047】
34はシャフト支持体24のバルブ取付板28をコラム座板14に着脱可能に取付ける複数(例えば、3個)の締結ボルトで、該各締結ボルト34は、図5に示すようにコラム座板14のボルト挿通孔14Bに挿通されると共に、前記座金32、防振ゴム31、他の座金33等に挿通される。締結ボルト34の下端側には、別の座金35を介してナット36が螺着される。
【0048】
これにより、締結ボルト34は、図4に示すようにシャフト支持体24のバルブ取付板28をコラム座板14の下面側に防振ゴム31と一緒に締結する。このとき、防振ゴム31は、上,下両端側を座金32,33間で挟持されて弾性変形し、これにより、シャフト支持体24のバルブ取付板28と一緒にステアリングバルブ30を床板8(コラム座板14)に対して防振支持するものである。
【0049】
37は床板8の下面(裏面)側に設けられた補強枠で、該補強枠37は、図3に示すように、略U字状に折曲げて形成された枠体からなり、床板8の裏面側でコラム座板取付孔8Aの周囲を取込むことにより、コラム座板取付孔8Aの周囲を補強している。補強枠37の先端側は、横枠38の位置まで延び、この横枠38に溶接により接合されている。
【0050】
横枠38は、床板8の左,右方向に延びて床板8の裏面に接合されている。横枠38の左,右両側には、床板8の前,後方向に延びる左,右一対の縦枠39が設けられている。また、横枠38の左,右両側には、各縦枠39よりも内側となる位置に左,右一対の取付マウント40が設けられている。一方、図2に示すように、床板8の後部側には他の横板41が設けられ、該横枠41の左,右両側には、各縦枠39よりも内側となる位置に左,右一対の取付マウント42が設けられている。これらの取付マウント40,42は、図1に示す車体2に床板8を防振部材(図示せず)等を介して取付けるものである。
【0051】
第1の実施の形態によるホイールローダ1のステアリング装置11は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0052】
まず、ホイールローダ1のオペレータが車体2の運転席9に乗込むときには、ステアリングコラム13がハンドル12と一緒に前記跳上げ位置に跳上げられている。このため、運転席9の前側には、ハンドル12との間に比較的大きなスペースを形成することができ、運転席9に乗込むオペレータにとって運転席9の前側でハンドル12が邪魔になるのを防ぐことができる。
【0053】
次に、運転席9に着座したオペレータは、ハンドル12を手前に引く動作を行う。これにより、ステアリングコラム13を運転席9に近い運転位置に動かすことができる。即ち、上部コラム18を下部コラム15に対して跳上げ位置から運転位置(例えば、図2中に示す上部コラム18の位置)へと、手動によって傾転することができる。
【0054】
この状態で、オペレータがステアリングコラム13のチルト角、コラム長さを自身の体格、好みに応じて調整するときには、チルトレバー23を上向きに回動するように手動操作する。これにより、位置調整機構(図示せず)のロック状態が解除される。このため、オペレータは、例えばハンドル12を把持して前,後方向に動かすことにより、下部コラム15に対する上部コラム18のチルト角を車両の前,後方向で微調整するように可変に調節することができる。また、このときにオペレータは、手動操作により上部コラム18を下部コラム15に対して上,下方向に移動してコラム長さの調整も行うことができる。
【0055】
次に、このような手動の調整作業が完了したときには、オペレータがチルトレバー23を下向きに回動することにより、前記位置調整機構が再びロックされる。このため、上部コラム18は、下部コラム15に対してチルト角とコラム長さとが調整された調整位置に保持され、この状態が固定される。なお、ステアリングコラム13のチルト角調整とコラム長さ調整とは、いずれか一方または両方をオペレータの判断で選択的に行えばよいものである。
【0056】
オペレータがホイールローダ1を運転して路上走行する場合、ハンドル12を舵取り操作すると、このときの操作力が前記上部シャフトから中間シャフト20、継手部材21を介して下部シャフト17へと伝えられる。下部シャフト17の下端側に連結されたステアリングバルブ30は、ハンドル12の舵取り操作が下部シャフト17から伝えられることにより、前記方向制御弁が切換操作される。
【0057】
このため、油圧シリンダからなるステアリングシリンダ(図示せず)には、油圧源からの圧油がステアリングバルブ30を介して供給、排出または停止される。そして、前記ステアリングシリンダが伸長または縮小することにより、ホールローダ1は前部車体4が後部車体3に対して左,右方向に揺動され、その走行方向が操舵される。
【0058】
一方、ホイールローダ1の作業装置7による作業が終了し、オペレータが運転席9から降りるときには、ハンドル12が運転席9に座ったオペレータの膝上近傍に位置しているため、オペレータが運転席9から立ち上がって離れようとするときにハンドル12が邪魔になることがある。しかし、オペレータは、跳上げペダル22を足踏み操作することにより、上部コラム18を下部コラム15に対し支持軸19を中心にして傾転することができ、上部コラム18を前記運転位置から跳上げ位置へと自動的に跳上げることができる。
【0059】
このように、上部コラム18を下部コラム15に対して跳上げておくことにより、オペレータはハンドル12に邪魔されることなく、運転席9から立ち上がって離れることができる。一方、オペレータが運転席9に再び乗込むときには、ステアリングコラム13がハンドル12と一緒に跳上げ位置に予め跳上げられているので、オペレータはハンドル12に邪魔されることなく、運転席9に余裕をもって着座することができる。
【0060】
ところで、所謂ダイレクトオービットロールシステムを採用したステアリングバルブ30は、前記油圧源からステアリングシリンダに供給または排出する圧油の制御を、パイロットバルブ等を介することなく直接的に行う構成である。このため、ステアリングバルブ30の作動時には比較的大きな振動、騒音が発生し易く、これが運転席9に着座したオペレータに伝播される。
【0061】
そこで、第1の実施の形態では、ステアリングコラム13の下部側で下部シャフト17を回転可能に支持するシャフト支持体24を、下部シャフト17の外周側を取囲み該下部シャフト17をベアリング25を介して回転可能に支持する筒部材26と、該筒部材26の上端側に設けられ下部シャフト17と筒部材26との間をシールする保護カバー27と、筒部材26の下端側に溶接により固定して設けられ筒部材26の径方向外側に向けて延びると共に下面側にステアリングバルブ30が取付けられるバルブ取付板28とにより構成している。
【0062】
シャフト支持体24のバルブ取付板28には、それぞれ防振ゴム31が嵌合して取付けられる複数の大径孔28Bを設け、床板8のコラム座板取付孔8Aを覆うステアリングコラム13のコラム座板14に、シャフト支持体24のバルブ取付板28を取付けるときには、該バルブ取付板28を複数の防振ゴム31と一緒に複数の締結ボルト34によりコラム座板14に締結する構成としている。
【0063】
これにより、バルブ取付板28に取付けられたステリングバルブ30からの振動、騒音がコラム座板14を介して床板8および運転席9側に伝播されるのを、複数の防振ゴム31によって抑えることができ、ステアリングバルブ30を床板8に対して防振状態で支持することができる。ステアリングバルブ30は、バルブ取付板28の下面側に取付けることができ、筒部材26内を上,下方向に延びる下部シャフト17の回転に従って動力舵取り用の圧油の供給、排出または停止を制御することができる。
【0064】
また、ステアリングコラム13を床板8上に立設するため床板8の上面に着脱可能に取付けられるコラム座板14に対し、下部シャフト17の外周側を取囲んで回転可能に支持するシャフト支持体24のバルブ取付板28を取付けることにより、ステアリングコラム13の下部側で下部シャフト17を安定して支持することができ、ハンドル12の舵取り操作による下部シャフト17の回転に従ってステアリングバルブ30の切換操作を円滑に行うことができる。
【0065】
一方、防振支持を必要としない機種の場合には、後述の図10(第2の実施の形態)に示すように、金属製のスペーサ56をバルブ取付板28の各大径孔28B内に嵌合して取付けることにより、シャフト支持体24(即ち、ベアリング25、筒部材26、保護カバー27およびバルブ取付板28)を、防振支持する機種と防振支持しない機種とで、共通部品として用いることができる。
【0066】
このように、下部シャフト17を外側から取囲んで回転可能に支持するシャフト支持体24を、ステアリングバルブ30を床板8に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とで共通な部品として用いることができ、ステアリングバルブ30を防振支持する機種、防振支持しない機種にわたり全体の部品点数を確実に削減することができる。しかも、共通部品であるシャフト支持体24をコラム座板14に取付ける作業を、効率的に行うことができる。
【0067】
従って、第1の実施の形態によれば、シャフト支持体24のバルブ取付板28を複数の防振ゴム31と一緒に複数の締結ボルト34を用いてコラム座板14の下面側に取付けることにより、ステアリングバルブ30を床板8に対して防振支持することができ、ステアリングバルブ30の作動時に発生する振動、騒音が運転席9に着座したオペレータに伝わるのを緩衝して抑えることができる。また、ステアリングバルブ30を床板8に対して防振支持する機種と防振支持しない機種とで、可能な限り部品の共通化を図ることができ、部品点数を削減できると共に、組立時等の作業性を向上することができる。
【0068】
次に、図8ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ステアリングバルブ装置を床板に対して防振支持することなく取付ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
図中、50は第2の実施の形態で採用した床板で、該床板50は、第1の実施の形態で述べた床板8とほぼ同様に構成され、床板50の上面側には、運転席9の前側に位置して後述のステアリング装置51が設けられると共に、走行ペダル、操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。また、床板50の下面(裏面)側には、横枠38,41および一対の縦枠39等が設けられている。図9、図10に示すように、床板50には、後述するステアリングコラム52の下側となる位置に略四角形状をなすコラム座板取付孔50Aが穿設され、該コラム座板取付孔50A内には、後述のパイロットバルブ55が上,下方向に装入されている。
【0070】
51は第2の実施の形態で採用したステアリング装置で、該ステアリング装置51は、第1の実施の形態で述べたステアリング装置11とほぼ同様に、後述のステアリングコラム52、下部シャフト54、シャフト支持体24およびパイロットバルブ55等とを含んで構成されている。
【0071】
52は第2の実施の形態で採用したステアリングコラムで、該ステアリングコラム52は、第1の実施の形態で述べたステアリングコラム13とほぼ同様に構成され、下部コラム15および上部コラム18を有している。しかし、この場合のステアリングコラム52は、下部コラム15の下端側が溶接等で固着されたコラム座板53が、第1の実施の形態で述べたコラム座板14とは異なる形状に形成されている。
【0072】
即ち、ステアリングコラム52の下端側に位置するコラム座板53は、床板50のコラム座板取付孔50Aを上側から覆うように配置され、この状態で床板50上に複数のボルト16(例えば、4本)により着脱可能に固定して設けられている。コラム座板53には、前記各ボルト16の取付位置よりも内側となる中央位置を上,下方向に貫通して延びる貫通孔53A(図9、図10参照)が穿設されている。この貫通孔53A内には、後述するステアリング用のパイロットバルブ55が挿通される。シャフト支持体24のバルブ取付板28は、コラム座板53の上面側であって貫通孔53Aの周囲を取囲む位置に後述の締結ボルト57を用いて着脱可能に取付けられている。
【0073】
また、コラム座板53には、バルブ取付板28の各大径孔28Bと上,下方向で対向する位置にねじ孔53B(例えば、合計3個)が形成され、これらのねじ孔53B内には、後述の締結ボルト57が螺着される。第2の実施の形態では、コラム座板53の上面側にシャフト支持体24のバルブ取付板28が後述のスペーサ56を介して着脱可能に取付けられる点で、第1の実施の形態とは異なっている。
【0074】
54は第2の実施の形態で採用したシャフトとしての下部シャフトで、該下部シャフト54は、第1の実施の形態で述べた下部シャフト17とほぼ同様に構成され、その長さ方向中間位置には、ベアリング25を位置決めするために全周溝54A,54Bが形成されている。下部シャフト54は、ハンドル12の舵取り操作を後述のパイロットバルブ55に伝えるため、下部コラム15内でシャフト支持体24により回転可能に支持されている。
【0075】
しかし、この場合の下部シャフト54は、図11に示すように長さ寸法L2に形成され、第1の実施の形態で述べた下部シャフト17(長さ寸法L1)よりも短くなっている。即ち、第2の実施の形態では、シャフト支持体24のバルブ取付板28がコラム座板53の上面側に載置した状態で固定されるため、下部シャフト54の長さ寸法L2は、短く形成されている。
【0076】
55はステアリングバルブ装置としてのパイロットバルブで、該パイロットバルブ55は、所謂フローアンプシステムを構成し、一対のパイロット配管を介してステアリングバルブ(いずれも図示せず)に接続される。パイロットバルブ55は、前記ステアリングバルブに対して切換操作用のパイロット圧を供給または排出するものである。パイロットバルブ55は、シャフト支持体24のバルブ取付板28の下面側に複数のボルト29を用いて固定されている。
【0077】
パイロットバルブ55は、例えばロータリ式の減圧弁型パイロット弁により構成され、シャフト支持体24の筒部材26内を上,下方向に延びる下部シャフト54の下端側に連結されている。即ち、パイロットバルブ55は、下部シャフト54の回転により切換操作が行われ、これにより、前記ステアリングシリンダに対する圧油の供給、排出または停止が制御されるものである。
【0078】
56はバルブ取付板28の各大径孔28B内に着脱可能に装着される複数のスペーサで、該各スペーサ56は、金属等の剛性材料により形成され、第1の実施の形態で述べた複数(例えば、3個)の防振ゴム31に替えて用いられる。スペーサ56の内周側には、後述の締結ボルト57が挿通されるボルト挿通孔56Aが形成されている。スペーサ56の上端側外周には、バルブ取付板28の大径孔28Bよりも径方向外側に向けて延びる環状鍔部56Bが形成されている。
【0079】
57はシャフト支持体24のバルブ取付板28をコラム座板53に着脱可能に取付ける複数(例えば、3個)の締結ボルトで、該各締結ボルト57は、図10に示すように各スペーサ56のボルト挿通孔56A内に挿通され、各スペーサ56をバルブ取付板28の各大径孔28B内に嵌合した状態で、締結ボルト57の下端側がコラム座板53のねじ孔52Bに螺着される。
【0080】
これにより、締結ボルト57は、図9に示すようにシャフト支持体24のバルブ取付板28をコラム座板53の上面側にスペーサ56と一緒に締結する。このとき、スペーサ56の環状鍔部56Bは、コラム座板53との間で上,下方向からバルブ取付板28を挟持する。即ち、スペーサ56および締結ボルト57は、シャフト支持体24と一緒にパイロットバルブ55を床板50(コラム座板53)に対して防振支持することなく固定するものである。
【0081】
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、ステアリングコラム52を床板50上に立設するため床板50の上面に着脱可能に取付けられるコラム座板53に対し、下部シャフト54の外周側を取囲んで回転可能に支持するシャフト支持体24のバルブ取付板28を取付けることにより、ステアリングコラム52の下部側で下部シャフト54を安定して支持することができ、第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
【0082】
しかし、第2の実施の形態は、ステアリングバルブ装置としてのパイロットバルブ55を防振支持しない機種を対象としたものであり、シャフト支持体24のバルブ取付板28をコラム座板53の上面側に載置した状態で締結ボルト57を用いてコラム座板53に締結することにより、パイロットバルブ55を床板50に対して防振支持することなく取付けることができる。しかも、筒部材26、保護カバー27およびバルブ取付板28からなるシャフト支持体24を、防振支持する機種(第1の実施の形態)と共通な部材として用いることができる。
【0083】
なお、前記第2の実施の形態では、ステアリングバルブに対するパイロット圧の給排を制御するパイロットバルブ55をバルブ取付板28の下面側に設け、該パイロットバルブ55を床板50側に対して防振支持しない場合の機種を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば第1の実施の形態で述べたステアリングバルブ30のように、ステアリングバルブ装置としてのパイロットバルブ55を床板に対して防振支持する構成としてもよい。また、第1の実施の形態で述べたステアリングバルブ30を、場合によっては、第2の実施の形態のように、防振支持しない構成としてもよいものである。
【0084】
また、前記第2の実施の形態では、ステアリング装置51の下部コラム15、上部コラム18および跳上げペダル22等を、第1の実施の形態におけるステアリング装置11と同一の部材で構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば防振支持を行う機種と行わない機種とでステアリング装置の構成部品(部材)を適宜に変更してもよい。
【0085】
また、前記各実施の形態では、跳上げペダル22を足踏み操作することによってステアリングコラム13,52の上部コラム18を跳上げる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばチルトレバー23とは別の手動レバーまたは押しボタン等を手動操作することにより、上部コラム18の跳上げ操作を行う構成としてもよい。
【0086】
また、前記各実施の形態では、運転席9の上側にキャノピ10を設ける構成とした備えたホイールローダ1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、内部に運転室を画成するキャブを備える構成としたホイールローダ、ホイール式油圧ショベルまたはクレーン等の作業車両にも適用することができる。
【0087】
さらに、前記実施の形態では、ステアリング装置11を備えた作業車両としてホイールローダ1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の走行体を備えた油圧ショベル、ホークリフト、クレーン、ダンプトラック等の作業車両にも広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 ホイールローダ(作業車両)
2 車体
7 作業装置
8,50 床板
8A,50A コラム座板取付孔
9 運転席
11,51 ステアリング装置
12 ハンドル
13,52 ステアリングコラム
14,53 コラム座板
14A,53A 貫通孔
15 下部コラム
16,29 ボルト
17,54 下部シャフト(シャフト)
18 上部コラム
19 支持軸
22 跳上げペダル
23 チルトレバー
24 シャフト支持体
25 ベアリング
26 筒部材
27 保護カバー
28 バルブ取付板
30 ステアリングバルブ(ステアリングバルブ装置)
31 防振ゴム
32,33 座金
34,57 締結ボルト
36 ナット
55 パイロットバルブ(ステアリングバルブ装置)
56 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に設けられ上面側に運転席が取付けられる床板と、前記運転席の前側に位置して前記床板上に立設されるステアリングコラムと、該ステアリングコラムに挿通して設けられハンドルの舵取り操作により回転されるシャフトと、前記床板の下面側に位置して前記シャフトの下端側に連結され該シャフトの回転により切換操作されるステアリングバルブ装置とを備えてなる作業車両において、
前記床板には、前記ステアリングコラムの下側となる位置にコラム座板取付孔を設け、
前記ステアリングコラムには、前記コラム座板取付孔を上側から覆って前記床板の上面に着脱可能に取付けられ上,下方向に貫通して延びる貫通孔を有するコラム座板を設け、
前記コラム座板の上面または下面側であって前記貫通孔を取囲む位置には、前記ステアリングコラムの下部側で前記シャフトの外周側を取囲み前記シャフトを回転可能に支持するシャフト支持体を着脱可能に設け、
該シャフト支持体には、その下面側に前記ステアリングバルブ装置を取付ける構成としたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記シャフト支持体は、前記シャフトの外周側を取囲み該シャフトをベアリングを介して回転可能に支持する筒部材と、該筒部材の上端側に設けられ前記シャフトと筒部材との間をシールする保護カバーと、前記筒部材の下端側に固定して設けられ前記筒部材の径方向外側に向けて延びるバルブ取付板とを有し、該バルブ取付板を前記コラム座板に複数の締結ボルトを用いて取付ける構成とし、
前記ステアリングバルブ装置は、前記バルブ取付板の下面側に取付けられ、前記シャフトの下端側には、前記ステアリングバルブ装置を連結する構成としてなる請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記シャフト支持体は、前記ステアリングバルブ装置を前記床板に対して防振支持するため、前記バルブ取付板を防振ゴムと一緒に前記締結ボルトを用いて前記コラム座板の下面側に取付ける構成としてなる請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記シャフト支持体は、前記バルブ取付板を前記コラム座板の上面側に載置した状態で前記締結ボルトを用いて前記コラム座板に取付ける構成としてなる請求項2に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−104243(P2013−104243A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249502(P2011−249502)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】