作業車両
【課題】本発明の課題は、作業機を装備した作業車両において、自動停止モードスイッチ入り、ブレーキ作動状態、走行停止状態、且つ、作業機が最適な位置状態にあるときのみ、エンジンを自動的に停止して無駄な動力の浪費を解消する。
【解決手段】本発明は、エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、車両停止状態であること、作業機(10)がセットされている状態であること、作業機(10)が適切な位置状態にあること、の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】本発明は、エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、車両停止状態であること、作業機(10)がセットされている状態であること、作業機(10)が適切な位置状態にあること、の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや田植機等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体に対する走行ブレーキ及びパーキングブレーキのうちいづれか一方又は両方をブレーキ作動した状態で、機体の前後進無段変速機構を中立位置にしたときエンジンが自動的に停止するようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−25057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、作業機を装備した作業車両にあっては、作業機が所定の適切な位置にないとき、エンジンを再度かけなおして適切な位置に調整操作する必要があり、作業が煩わしくなる問題がる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、
(1)、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、
(2)、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、
(3)、車両停止状態であること、
(4)、作業機(10)がセットされている状態であること、
(5)、作業機(10)が適切な位置状態にあること、
の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする。
【0006】
エンジン自動停止モードスイッチ(21)を「入」状態にし、ブレーキペダル(20)をブレーキ作動状態にする。次に前後進レバー(18)の中立位置操作で車両を停止状態にする。そして、車両に作業機(10)が取り付けられている場合には、この作業機を所定の適切な位置に操作すると、エンジンが自動的に停止する。
【0007】
従って、無駄な燃料消費を解消でき、作業機も適切な位置に止まってからエンジンが停止するので、作業性の向上はもとより安全性も向上する。
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記作業機(10)が耕耘作業機(10R)である場合には、作業機を地面にまで降下させてからエンジンを停止するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
作業機がロータリ耕耘作業機である場合には、地面に降ろした位置が適切な位置であり、作業機を地面まで降ろすと、エンジンが自動的に停止する。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動するセフティモード制御を備え、
エンジン停止状態が解除された時は、前記セフティモード制御において、エンジンが自動停止する前の状態を保持するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
エンジンの自動停止後、再度エンジンがかかっても、リセットされず、セフティモードONのままでもセフティにならないようになっており、前の状態を維持しているため、作業性が向上する。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3において、作業機(10)を昇降制御する昇降レバー(12)の操作位置にかかわらず、作業機を地面に降下させてからエンジンを自動停止するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、昇降レバーの操作位置と、作業機の上下位置が異なる場合にあっても、作業機を地面に降ろしてからでないとエンジンは自動停止しないので、作業性がより向上し、安全性もより確保される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、車両に作業機が取り付けられている場合には、この作業機を適切な位置にしたとき、エンジンが自動的に停止するので、無駄な燃料消費を解消でき、作業性の向上並びに安全性が向上する。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の発明効果を奏するものでありながら、作業機が耕耘作業機である場合には、地面に降ろした位置が適切な位置であり、作業機を地面まで降ろしてからエンジンが自動停止するので、エンジンのかけなおしの必要がなく、作業の煩雑さも解消することができる。
【0014】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、エンジン停止状態が解除された時は、セフティモード制御においてエンジン自動停止前の状態を保持しているので、エンジン自動停止後に再度エンジンがかかっても、リセットされず、セフティモードONでもセフティにならないようになっており、前の状態を維持しているため、作業性がより向上するものとなった。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の効果に加えて、昇降レバーの操作位置にかかわらず、作業機を地面に降ろしてからエンジンが停止するので、安全性がより確保されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】トラクタの側面図
【図2】フローチャート
【図3】制御ブロック回路図
【図4】HSTトラニオン操作機構部の側面図
【図5】トラクタ要部の側面図
【図6】同上一部の平面図
【図7】ブリーザホースの取付構成を示す斜視図
【図8】(a)はエンジンの左側斜視図、(b)は(a)要部の拡大斜視図
【図9】トラクタの前面側斜視図
【図10】同上要部の左側斜視図
【図11】フロントローダの側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、作業車両の一例としてトラクタを示すものであり、この車体1前部のボンネット2内に駆動源であるエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。車体1の後部側に運転席6が設置され、運転席6の前方には、前輪4,4を操舵するステアリングハンドル7が装備され、更に、車体1の後部には作業機10としてロータリ耕耘部10Rがリフトアーム8によって昇降する昇降リンク機構9を介して装着され、この作業機10を上下に昇降する油圧昇降シリンダ11がミッションケース3の後方上部に装備され、前記リフトアーム8を上下動させる構成としている。
【0018】
運転席6の右側には、作業機10を昇降制御する昇降レバー(ポジションレバー)12が装備されている。運転席の左側には、主変速レバー15、副変速レバー16、PTO変速レバー17が配備されている。また、ステアリングハンドル7のハンドルポスト左側には、機体の前後進制御を司る前後進レバー18が配置され、また、フロアステップの左側にクラッチペダル19が設置され、右側には走行ブレーキペダル20が設置されている。
【0019】
ステアリングハンドル7前側の操作パネル上には、エンジン停止を行う場合と停止を行わない場合とに切り替える自動停止モード入切スイッチ21が設けられている。
このようなエンジン停止機能をもつ作業車両において、次のような要件を満足することによってエンジンが自動停止するように構成する。
つまり、エンジンEは、
(1)、エンジン自動停止モード入切スイッチ21が「入」状態にある。
(2)、ブレーキペダル位置検出センサ22がブレーキ作動状態であることをブレーキペダル20のブレーキ作動位置を検出している。
(3)、走行停止検出センサ23が車両停止状態であることを前後進レバー18の中立位置を検出している。
(4)、作業機検出センサ24が作業機取り付け状態であることを検出している。
(5)、そして、その作業機が最適な停止位置があるものにおいては、作業機情報(作業機各センサ)25を本機コントローラ26にフィードバックし、適切な位置状態にする。
上記の如くこれら各要件を満たすことによってエンジン停止ソレノイド27の作動にてエンジンが自動停止するように構成している。
【0020】
ベーラやウイングハロー等作業機の種類によっては作業機の停止位置が異なるが、その作業機がロータリ耕耘部10Rである場合には、そのロータリ耕耘作業機は、地面まで下げた位置が適切位置であり、そのため、作業機を地面まで下げると、リフトアームセンサ28による下限位置検出結果に基づきエンジンが自動停止するようになっている。
【0021】
また、本例においては、電子油圧制御によるセフティモード制御が行えるようになっている。セフティモード制御は、エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動する構成である。これにより、エンジンが始動した際において、仮に作業機10と昇降レバー12の指示位置が異なる場合に不用意に作業機10が動くことを防止できる。
【0022】
セフティモードスイッチ29ONによりエンジンが自動停止になる前の状態を保持するように構成している。エンジン停止前がセフティ解除であれば、再度エンジンがかかってもセフティ解除のままになる。要するに、エンジンが停止して再度エンジンがかかってもリセットされずにセフティにならないようになり、前の状態を保持しているため、作業性が向上するものとなる。
【0023】
また、昇降レバー12の操作位置と作業機の位置が異なる場合にあっても、作業機を地面に降ろしてからエンジンが停止するように構成することで、安全性の確保が容易に行える。
【0024】
なお、作業機10は、昇降レバー12の操作で上昇ソレノイド30a、下降ソレノイド30bを介して昇降制御されるようになっている。
図4に示すように、運転部の足元近くには、左側の踏込み操作で機体の前進走行を司る前進ペダル35と、右側の踏込み操作で機体の後進走行を司る後進ペダル36を備え、左側の前進ペダル35及び右側の後進ペダル36の踏込み操作によってHST34のトラニオン軸37を回動制御して中立位置から前進増速位置と後進増速位置とに無段変速するように連動構成している。
【0025】
トラニオン軸37が中立位置(HSTリンク38の凹入部にポジションローラ39が嵌入した時)の時にのみ、HSTアーム40の作動で、セフティスイッチとして設けるHST中立感知スイッチ41を押して、エンジンが始動できるように構成している。要するに、エンジン始動に対する走行系セフティスイッチをクラッチハウジング42に取り付け、HSTリンクを感知させ、トラニオンが中立位置の時のみエンジン始動ができるようにしたものである。また、HST中立時、中立感知スイッチで感知してモータ43によりブレーキロッド44を引っ張り、ブレーキを作動させるように構成することもできる。
【0026】
従来のセフティスイッチはサブチェンジ位置に設けられていた為、坂道でエンストした場合、HST機ではメインクラッチがないためHSTからホイル間のギヤに負荷がかかった状態となってサブチェンジが操作困難となり、中立位置に戻せずエンジン始動ができなくなる問題があった。本例のHSTリンクは坂道でエンストしても平坦地と同様に操作容易で、エンジン始動が困難になる状況がなくなる。また、ブレーキを作動させることで、中立時の停止性を向上させることができる。なお、前記中立感知スイッチが作動するとHSTのニュートラルバルブが連動するように構成しておけば、中立性がより向上するものとなる。
【0027】
図5、図6に示すように、スローブローヒューズ用ブラケット45にL型遮熱板46を溶接して一体化し、ブラケット45は、エンジン補器のサイドフレーム47にボルト2本で固定する。L型遮熱板46は、エキマニ(エキゾーストマニホールド)48とオルタネータ49の間に配置され、エキマニ48から放出される熱を遮断するようになっている。既存の部品に遮熱板を取り付ける構成のため、共用性が高く、一体化することで強度がアップし、且つ、組立工数が低減できる。
【0028】
図7例は、フロントアクスル51のブリーザホース52をエンジンルーム内に引き込み、塵埃の浸入を防止すると共に、サイドカバー取付ステー53に固着のサイドカバーロック用パイプ54に接続し、そして、前記パイプ54には先の閉じられたインシュレータ55を取り付けた構成としている。従来はブリーザホース(図7の仮想線で示す)を取り付けるためのパイプをラジエータブラケット56に設けていた為、部品点数が増え、原価的にも高くなっていたが、本例では、上記のようにブリーザホースの取付部とサイドカバー取付部を兼用することで、部品の削減ができ、安価に実施することができる。
【0029】
近年排ガス規制に伴い、ディーゼルエンジンにはさまざまな周辺機器が取り付けられるようになり、特にエンジン周辺の部品は再配置を余儀なくされている。
そこで、図8例では、アクスルブラケットの下側にステアリング用のオービットロールが構成できない場合、図例のように、エンジンEの左側にオービットロール57を配置することで、部品配置の自由度を向上させることができ、また、ステアリングからのステアリングロッドを短く設計できる効果がある。
【0030】
図9、図10例は、左右前輪のトレッド調節可能なズームトラクタにおいて、フロントフェンダ60の取付手段として、フロントアクスル51のガイドシリンダー62の取付部63を利用する構成としている。つまり、フェンダフレーム61をガイドシリンダー62の取付部63に取り付けるようにすることで、フェンダフレームの取り付けが容易にでき、フェンダはトレッドの変更に追従移動することができる。ズームトラクタの前輪タイヤは、内側へのオフセットが大きく、ファイナルケースやナックルアーム等へのフロントフェンダフレームの取り付けは、タイヤとの隙間が小さく困難であった。本例では上記構成により解消することができた。
【0031】
図11例は、フロントローダにおいて、先端にショベル64を有した昇降可能なローダアーム65とリンク66とで平行リンクを構成し、ローダアーム65に軸芯Qを中心として回動自在に枢着した給油台67をリンク66にも枢支連結し、ポリタンクTを載置する給油台67は、ローダアーム65の昇降に伴い、常に水平姿勢を保って上下動するように構成している。従って、給油時には、給油位置がいかなる高さ位置にあっても、それに合わせて位置変更することで、給油が容易に行える。
【0032】
また、別例として、ローダアームに回動式の取付座を設けることで、トラクタ用給油台をそのまま取り付けることが可能となり、平行リンク式に回動させることで、ローダアームの上下にかかわらずポリタンクを同じ姿勢に保つことができる。
【符号の説明】
【0033】
E エンジン
10 作業機
10R ロータリ耕耘作業機
12 昇降レバー(ポジションレバー)
20 走行ブレーキペダル
21 エンジン自動停止モード入切スイッチ
23 走行停止検出センサ
24 作業機検出センサ
27 エンジン停止ソレノイド
29 セフティモードスイッチ
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや田植機等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体に対する走行ブレーキ及びパーキングブレーキのうちいづれか一方又は両方をブレーキ作動した状態で、機体の前後進無段変速機構を中立位置にしたときエンジンが自動的に停止するようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−25057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成のものでは、作業機を装備した作業車両にあっては、作業機が所定の適切な位置にないとき、エンジンを再度かけなおして適切な位置に調整操作する必要があり、作業が煩わしくなる問題がる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、
(1)、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、
(2)、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、
(3)、車両停止状態であること、
(4)、作業機(10)がセットされている状態であること、
(5)、作業機(10)が適切な位置状態にあること、
の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする。
【0006】
エンジン自動停止モードスイッチ(21)を「入」状態にし、ブレーキペダル(20)をブレーキ作動状態にする。次に前後進レバー(18)の中立位置操作で車両を停止状態にする。そして、車両に作業機(10)が取り付けられている場合には、この作業機を所定の適切な位置に操作すると、エンジンが自動的に停止する。
【0007】
従って、無駄な燃料消費を解消でき、作業機も適切な位置に止まってからエンジンが停止するので、作業性の向上はもとより安全性も向上する。
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記作業機(10)が耕耘作業機(10R)である場合には、作業機を地面にまで降下させてからエンジンを停止するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
作業機がロータリ耕耘作業機である場合には、地面に降ろした位置が適切な位置であり、作業機を地面まで降ろすと、エンジンが自動的に停止する。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動するセフティモード制御を備え、
エンジン停止状態が解除された時は、前記セフティモード制御において、エンジンが自動停止する前の状態を保持するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
エンジンの自動停止後、再度エンジンがかかっても、リセットされず、セフティモードONのままでもセフティにならないようになっており、前の状態を維持しているため、作業性が向上する。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3において、作業機(10)を昇降制御する昇降レバー(12)の操作位置にかかわらず、作業機を地面に降下させてからエンジンを自動停止するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、昇降レバーの操作位置と、作業機の上下位置が異なる場合にあっても、作業機を地面に降ろしてからでないとエンジンは自動停止しないので、作業性がより向上し、安全性もより確保される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、車両に作業機が取り付けられている場合には、この作業機を適切な位置にしたとき、エンジンが自動的に停止するので、無駄な燃料消費を解消でき、作業性の向上並びに安全性が向上する。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の発明効果を奏するものでありながら、作業機が耕耘作業機である場合には、地面に降ろした位置が適切な位置であり、作業機を地面まで降ろしてからエンジンが自動停止するので、エンジンのかけなおしの必要がなく、作業の煩雑さも解消することができる。
【0014】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、エンジン停止状態が解除された時は、セフティモード制御においてエンジン自動停止前の状態を保持しているので、エンジン自動停止後に再度エンジンがかかっても、リセットされず、セフティモードONでもセフティにならないようになっており、前の状態を維持しているため、作業性がより向上するものとなった。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2又は請求項3記載の効果に加えて、昇降レバーの操作位置にかかわらず、作業機を地面に降ろしてからエンジンが停止するので、安全性がより確保されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】トラクタの側面図
【図2】フローチャート
【図3】制御ブロック回路図
【図4】HSTトラニオン操作機構部の側面図
【図5】トラクタ要部の側面図
【図6】同上一部の平面図
【図7】ブリーザホースの取付構成を示す斜視図
【図8】(a)はエンジンの左側斜視図、(b)は(a)要部の拡大斜視図
【図9】トラクタの前面側斜視図
【図10】同上要部の左側斜視図
【図11】フロントローダの側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、作業車両の一例としてトラクタを示すものであり、この車体1前部のボンネット2内に駆動源であるエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。車体1の後部側に運転席6が設置され、運転席6の前方には、前輪4,4を操舵するステアリングハンドル7が装備され、更に、車体1の後部には作業機10としてロータリ耕耘部10Rがリフトアーム8によって昇降する昇降リンク機構9を介して装着され、この作業機10を上下に昇降する油圧昇降シリンダ11がミッションケース3の後方上部に装備され、前記リフトアーム8を上下動させる構成としている。
【0018】
運転席6の右側には、作業機10を昇降制御する昇降レバー(ポジションレバー)12が装備されている。運転席の左側には、主変速レバー15、副変速レバー16、PTO変速レバー17が配備されている。また、ステアリングハンドル7のハンドルポスト左側には、機体の前後進制御を司る前後進レバー18が配置され、また、フロアステップの左側にクラッチペダル19が設置され、右側には走行ブレーキペダル20が設置されている。
【0019】
ステアリングハンドル7前側の操作パネル上には、エンジン停止を行う場合と停止を行わない場合とに切り替える自動停止モード入切スイッチ21が設けられている。
このようなエンジン停止機能をもつ作業車両において、次のような要件を満足することによってエンジンが自動停止するように構成する。
つまり、エンジンEは、
(1)、エンジン自動停止モード入切スイッチ21が「入」状態にある。
(2)、ブレーキペダル位置検出センサ22がブレーキ作動状態であることをブレーキペダル20のブレーキ作動位置を検出している。
(3)、走行停止検出センサ23が車両停止状態であることを前後進レバー18の中立位置を検出している。
(4)、作業機検出センサ24が作業機取り付け状態であることを検出している。
(5)、そして、その作業機が最適な停止位置があるものにおいては、作業機情報(作業機各センサ)25を本機コントローラ26にフィードバックし、適切な位置状態にする。
上記の如くこれら各要件を満たすことによってエンジン停止ソレノイド27の作動にてエンジンが自動停止するように構成している。
【0020】
ベーラやウイングハロー等作業機の種類によっては作業機の停止位置が異なるが、その作業機がロータリ耕耘部10Rである場合には、そのロータリ耕耘作業機は、地面まで下げた位置が適切位置であり、そのため、作業機を地面まで下げると、リフトアームセンサ28による下限位置検出結果に基づきエンジンが自動停止するようになっている。
【0021】
また、本例においては、電子油圧制御によるセフティモード制御が行えるようになっている。セフティモード制御は、エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動する構成である。これにより、エンジンが始動した際において、仮に作業機10と昇降レバー12の指示位置が異なる場合に不用意に作業機10が動くことを防止できる。
【0022】
セフティモードスイッチ29ONによりエンジンが自動停止になる前の状態を保持するように構成している。エンジン停止前がセフティ解除であれば、再度エンジンがかかってもセフティ解除のままになる。要するに、エンジンが停止して再度エンジンがかかってもリセットされずにセフティにならないようになり、前の状態を保持しているため、作業性が向上するものとなる。
【0023】
また、昇降レバー12の操作位置と作業機の位置が異なる場合にあっても、作業機を地面に降ろしてからエンジンが停止するように構成することで、安全性の確保が容易に行える。
【0024】
なお、作業機10は、昇降レバー12の操作で上昇ソレノイド30a、下降ソレノイド30bを介して昇降制御されるようになっている。
図4に示すように、運転部の足元近くには、左側の踏込み操作で機体の前進走行を司る前進ペダル35と、右側の踏込み操作で機体の後進走行を司る後進ペダル36を備え、左側の前進ペダル35及び右側の後進ペダル36の踏込み操作によってHST34のトラニオン軸37を回動制御して中立位置から前進増速位置と後進増速位置とに無段変速するように連動構成している。
【0025】
トラニオン軸37が中立位置(HSTリンク38の凹入部にポジションローラ39が嵌入した時)の時にのみ、HSTアーム40の作動で、セフティスイッチとして設けるHST中立感知スイッチ41を押して、エンジンが始動できるように構成している。要するに、エンジン始動に対する走行系セフティスイッチをクラッチハウジング42に取り付け、HSTリンクを感知させ、トラニオンが中立位置の時のみエンジン始動ができるようにしたものである。また、HST中立時、中立感知スイッチで感知してモータ43によりブレーキロッド44を引っ張り、ブレーキを作動させるように構成することもできる。
【0026】
従来のセフティスイッチはサブチェンジ位置に設けられていた為、坂道でエンストした場合、HST機ではメインクラッチがないためHSTからホイル間のギヤに負荷がかかった状態となってサブチェンジが操作困難となり、中立位置に戻せずエンジン始動ができなくなる問題があった。本例のHSTリンクは坂道でエンストしても平坦地と同様に操作容易で、エンジン始動が困難になる状況がなくなる。また、ブレーキを作動させることで、中立時の停止性を向上させることができる。なお、前記中立感知スイッチが作動するとHSTのニュートラルバルブが連動するように構成しておけば、中立性がより向上するものとなる。
【0027】
図5、図6に示すように、スローブローヒューズ用ブラケット45にL型遮熱板46を溶接して一体化し、ブラケット45は、エンジン補器のサイドフレーム47にボルト2本で固定する。L型遮熱板46は、エキマニ(エキゾーストマニホールド)48とオルタネータ49の間に配置され、エキマニ48から放出される熱を遮断するようになっている。既存の部品に遮熱板を取り付ける構成のため、共用性が高く、一体化することで強度がアップし、且つ、組立工数が低減できる。
【0028】
図7例は、フロントアクスル51のブリーザホース52をエンジンルーム内に引き込み、塵埃の浸入を防止すると共に、サイドカバー取付ステー53に固着のサイドカバーロック用パイプ54に接続し、そして、前記パイプ54には先の閉じられたインシュレータ55を取り付けた構成としている。従来はブリーザホース(図7の仮想線で示す)を取り付けるためのパイプをラジエータブラケット56に設けていた為、部品点数が増え、原価的にも高くなっていたが、本例では、上記のようにブリーザホースの取付部とサイドカバー取付部を兼用することで、部品の削減ができ、安価に実施することができる。
【0029】
近年排ガス規制に伴い、ディーゼルエンジンにはさまざまな周辺機器が取り付けられるようになり、特にエンジン周辺の部品は再配置を余儀なくされている。
そこで、図8例では、アクスルブラケットの下側にステアリング用のオービットロールが構成できない場合、図例のように、エンジンEの左側にオービットロール57を配置することで、部品配置の自由度を向上させることができ、また、ステアリングからのステアリングロッドを短く設計できる効果がある。
【0030】
図9、図10例は、左右前輪のトレッド調節可能なズームトラクタにおいて、フロントフェンダ60の取付手段として、フロントアクスル51のガイドシリンダー62の取付部63を利用する構成としている。つまり、フェンダフレーム61をガイドシリンダー62の取付部63に取り付けるようにすることで、フェンダフレームの取り付けが容易にでき、フェンダはトレッドの変更に追従移動することができる。ズームトラクタの前輪タイヤは、内側へのオフセットが大きく、ファイナルケースやナックルアーム等へのフロントフェンダフレームの取り付けは、タイヤとの隙間が小さく困難であった。本例では上記構成により解消することができた。
【0031】
図11例は、フロントローダにおいて、先端にショベル64を有した昇降可能なローダアーム65とリンク66とで平行リンクを構成し、ローダアーム65に軸芯Qを中心として回動自在に枢着した給油台67をリンク66にも枢支連結し、ポリタンクTを載置する給油台67は、ローダアーム65の昇降に伴い、常に水平姿勢を保って上下動するように構成している。従って、給油時には、給油位置がいかなる高さ位置にあっても、それに合わせて位置変更することで、給油が容易に行える。
【0032】
また、別例として、ローダアームに回動式の取付座を設けることで、トラクタ用給油台をそのまま取り付けることが可能となり、平行リンク式に回動させることで、ローダアームの上下にかかわらずポリタンクを同じ姿勢に保つことができる。
【符号の説明】
【0033】
E エンジン
10 作業機
10R ロータリ耕耘作業機
12 昇降レバー(ポジションレバー)
20 走行ブレーキペダル
21 エンジン自動停止モード入切スイッチ
23 走行停止検出センサ
24 作業機検出センサ
27 エンジン停止ソレノイド
29 セフティモードスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、
(1)、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、
(2)、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、
(3)、車両停止状態であること、
(4)、作業機(10)がセットされている状態であること、
(5)、作業機(10)が適切な位置状態にあること、
の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記作業機(10)が耕耘作業機(10R)である場合には、作業機を地面にまで降下させてからエンジンを停止するように構成してあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動するセフティモード制御を備え、
エンジン停止状態が解除された時は、前記セフティモード制御において、エンジンが自動停止する前の状態を保持するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
作業機(10)を昇降制御する昇降レバー(12)の操作位置にかかわらず、作業機を地面に降下させてからエンジンを自動停止するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の作業車両。
【請求項1】
エンジン(E)により車両各部を駆動する作業車両において、前記エンジン(E)は、次の要件、すなわち、
(1)、エンジンの自動停止モードスイッチ(21)「入」状態であること、
(2)、ブレーキペダル(20)のブレーキ作動状態であること、
(3)、車両停止状態であること、
(4)、作業機(10)がセットされている状態であること、
(5)、作業機(10)が適切な位置状態にあること、
の要件を満足することによって停止するよう構成してあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記作業機(10)が耕耘作業機(10R)である場合には、作業機を地面にまで降下させてからエンジンを停止するように構成してあることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
エンジン始動後昇降レバー(12)の位置と実際の作業機(10)の位置が一致することで作業機(10)の昇降が作動するセフティモード制御を備え、
エンジン停止状態が解除された時は、前記セフティモード制御において、エンジンが自動停止する前の状態を保持するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
作業機(10)を昇降制御する昇降レバー(12)の操作位置にかかわらず、作業機を地面に降下させてからエンジンを自動停止するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−29069(P2013−29069A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165530(P2011−165530)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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