作業車両
【課題】作業装置の作業における正確な二酸化炭素の排出削減量を取得可能とし、作業装置の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることのできる作業車両を提供する。
【解決手段】高所作業装置20の作業の際に、動力源としてエンジンEを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得し、取得した二酸化炭素の排出量の削減量を表示部31aに表示するようにしている。これにより、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。
【解決手段】高所作業装置20の作業の際に、動力源としてエンジンEを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得し、取得した二酸化炭素の排出量の削減量を表示部31aに表示するようにしている。これにより、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高所作業車等、動力源の動力によって駆動する作業装置を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の主な要因は、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出であると考えられている。このため、各産業界では、地球温暖化への対策として、二酸化炭素の排出量を削減する取り組みが行われている。
【0003】
そこで、二酸化炭素の排出量削減を図るための作業車両としては、作業装置を駆動させる油圧ユニットの油圧ポンプをアイドルストップ機能付のエンジンによって駆動させるようにしたものが知られている。また、二酸化炭素の排出量削減を図るための別の作業車両としては、油圧ユニットの油圧ポンプを電動モータによって駆動するようにしたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0004】
また、各産業界では、二酸化炭素の排出量削減の達成度を数値化することによって、二酸化炭素の排出量削減に対する貢献度を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−157689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記作業車両では、エンジンを継続的に駆動させて作業を行う場合と比較して二酸化炭素の排出量を削減していることは明らかであるが、どの程度の排出削減量であるかが算出されておらず、二酸化炭素の排出量削減の達成度を正確に評価することができない。
【0007】
本発明の目的とするところは、作業装置の作業における正確な二酸化炭素の排出削減量を取得可能とし、作業装置の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることのできる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、動力源の動力によって所定の作業を行う作業装置を備えた作業車両において、作業装置の作業の際に、動力源としてエンジンを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得する削減量取得手段と、削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の排出量の削減量を表示する表示部と、を備えている。
【0009】
これにより、作業装置における二酸化炭素の排出削減量が正確に取得可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業装置の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、作業装置の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。また、作業装置の作業者に対して地球温暖化対策への意識を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す高所作業車の側面図である。
【図2】制御系を示すブロック図である。
【図3】表示部を示す図である。
【図4】第1排出削減量取得処理を示すフローチャートである。
【図5】第2排出削減量取得処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態の表示部を示す図である。
【図8】表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の作業車両としての高所作業車1は、図1に示すように、道路等を走行するための車両10と、高所作業を行うための作業装置としての高所作業装置20と、を備えている。
【0014】
車両10は、前側および後側の左右両側に車輪11を有し、エンジンを動力源として走行する。車両10の前側には、車両10の走行に関する操作を行うためのキャビン12が設けられている。また、車両10の前側および後側の左右両側には、アウトリガ13が設けられている。アウトリガ13は、車両の幅方向外側に移動可能に設けられるとともに、ジャッキシリンダ(図示せず)によって下方に伸長可能である。アウトリガ13は、下端を接地させることにより、車両10を地面に対して安定的に支持する。
【0015】
高所作業装置20は、車両10の後部に旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられたブーム22と、ブーム22の先端に設けられたバスケット23と、を有している。
【0016】
旋回台21は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル(図示せず)によって車両10に対して旋回自在に設けられ、旋回用の油圧モータ(図示せず)の駆動によって旋回するように構成されている。
【0017】
ブーム22は、複数のブーム部材からなり、ブーム部材の内部に先端側に隣り合うブーム部材が収納可能な多段式に構成されている。最基端側のブーム部材(ベースブーム)22a内には、油圧シリンダ(図示せず)が設けられ、油圧シリンダの伸縮によってブーム22を伸縮させる。また、最基端側のブーム部材22aは、基端部が旋回台21のブラケット21aに上下方向に回転自在に連結されている。ブーム部材22aの伸長方向中央部と旋回台21との間には、油圧シリンダ22bが連結され、油圧シリンダ22bの伸縮によってブーム22を起伏させる。
【0018】
ジャッキシリンダ、旋回用の油圧モータ、ブーム22の伸縮用の油圧シリンダおよび起伏用の油圧シリンダ22b等のアクチュエータは、油圧ポンプP(図1に図示せず)から吐出される作動油によって駆動される。この油圧ポンプPは、PTO(Power Take Off)機構24を介して伝達されるエンジンE、または、電動モータM(図1に図示せず)によって駆動される。ここで、車両10の走行および高所作業装置20の駆動に用いられる動力源としてのエンジンEは、例えば、走行中の車両10が停止した場合や高所作業装置20の動作が停止した場合等に、駆動を停止するアイドルストップ機能を有している。
【0019】
さらに、高所作業車1は、図2に示すように、高所作業装置20の操作に関する制御を行うためのコントローラ30を備えている。
コントローラ30は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ30は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0020】
また、コントローラ30のROMには、エンジンEを始動する際の燃料消費量、エンジンEのアイドル状態における単位時間当たりの燃料消費量、エンジンEによって高所作業装置20を駆動している状態における単位時間当たりの燃料消費量、エンジンEを駆動する際に使用される燃料1リットル当たりの二酸化炭素排出量に関するデータを記憶させている。ここで、燃料消費量は車両10の種類によって異なるため、複数の燃料消費量のデータをROMに記憶させ、高所作業装置20を組み付ける際に選択するようにしてもよい。
【0021】
コントローラ30には、それぞれ車両10の後面側とバスケット23の手摺部分に設けられ、高所作業装置20の操作を行うための下部操作部31および上部操作部32と、油圧ポンプPと各アクチュエータとの間の作動油流路に設けられたコントロールバルブ33と、後述する二酸化炭素の削減量を記憶するための記憶装置としてのHDD(ハードディスクドライブ)34と、パソコン等の外部機器との間でデータを送受信するためのUSB35と、エンジンEと、PTO機構24と、が接続されている。
【0022】
下部操作部31は、高所作業装置20の負荷の状態を表示したり後述する二酸化炭素の削減量を表示したりするための表示部31aと、高所作業装置20を電動で駆動させるための電動駆動スイッチ31bと、高所作業装置の操作に関する操作ボタンや操作レバーと、を有している。表示部31aは、図3に示すように、複数の7セグメントディスプレイからなり、コントローラ30から送信された信号に基づいて4桁の数値が表示可能に構成されている。
【0023】
以上のように構成された作業車両において、高所作業車1は、高所作業装置20の作業がエンジンEを駆動源として行われている場合に、エンジンEを継続的に運転して作業を行った場合と比較してどの程度の二酸化炭素の排出量を削減したかを算出する第1排出削減量取得処理を行う。このときのコントローラ30の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0024】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、PTO機構24がオンの状態であるか否かを判定する。PTO機構24がオンの状態であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、PTO機構24がオンの状態であると判定しなかった場合には第1排出削減量取得処理を終了する。
【0025】
(ステップS2)
ステップS1においてPTO機構24がオンの状態であると判定した場合、または、ステップS8においてPTO機構24をオフとする操作がなされたと判定しなかった場合に、ステップS2においてCPUは、アイドルストップ機能によってエンジンEが停止したか否かを判定する。エンジンEが停止したと判定した場合にはステップS3に処理を移し、エンジンEが停止したと判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0026】
(ステップS3)
ステップS2においてエンジンEが停止したと判定した場合に、ステップS3においてCPUは、エンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であるか否かを判定する。一時停止中であると判定しなかった場合にはステップS4に処理を移し、一時停止中であると判定した場合にはステップS5に処理を移す。
【0027】
(ステップS4)
ステップS3においてエンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であると判定しなかった場合に、ステップS4においてCPUは、エンジンEが停止してからの時間の計測を行い、ステップS6に処理を移す。
【0028】
(ステップS5)
ステップS3においてエンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であると判定した場合に、ステップS5においてCPUは、一時停止を解除してエンジンEが停止してからの時間の計測を再開し、ステップS6に処理を移す。
【0029】
(ステップS6)
ステップS6においてCPUは、アイドルストップ機能が解除されてエンジンEが再始動したか否かを判定する。エンジンEが再始動したと判定した場合にはステップS7に処理を移し、エンジンEが再始動したと判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0030】
(ステップS7)
ステップS6においてエンジンEが再始動したと判定した場合に、ステップS7においてCPUは、時間の計測を一時停止し、ステップS8に処理を移す。
【0031】
(ステップS8)
ステップS2においてエンジンEが停止したと判定しなかった場合、ステップS6においてエンジンEが再始動したと判定しなかった場合、または、ステップS7において時間の計測を一時停止した場合に、ステップS8においてCPUは、PTO機構24をオフとする操作がなされたか否かを判定する。PTO機構24をオフとする操作がなされたと判定した場合にはステップS9に処理を移し、PTO機構24をオフとする操作がなされたと判定しなかった場合にはステップS2に処理を戻す。
【0032】
(ステップS9)
ステップS8においてPTO機構24をオフとする操作がなされたと判定した場合に、ステップS9においてCPUは、時間の計測を終了し、ステップS10に処理を移す。
【0033】
(ステップS10)
ステップS10においてCPUは、計測された時間の間、アイドル状態でエンジンEの運転を継続した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS11に処理を移す。
【0034】
(ステップS11)
ステップS11においてCPUは、エンジンEを再始動した回数に応じた二酸化炭素排出量を算出し、ステップS12に処理を移す。
【0035】
(ステップS12)
ステップS12においてCPUは、ステップS10において算出された二酸化炭素排出量からステップS11において算出された二酸化炭素排出量を減じた数値を排出削減量としてHDD34に記憶して第1排出削減量取得手段を終了する。
【0036】
次に、高所作業装置20の作業がバッテリの電力を駆動源として行われている場合に、エンジンEを継続的に運転して作業を行った場合と比較してどの程度の二酸化炭素の排出量を削減したかを算出する第2排出削減量取得処理を行う。このときのコントローラ30の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
(ステップS21)
ステップS21においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態であるか否かを判定する。電動駆動スイッチ31bがオンの状態であると判定した場合にはステップS22に処理を移し、電動駆動スイッチ31bがオンの状態でないと判定した場合には第2排出削減量取得処理を終了する。
【0038】
(ステップS22)
ステップS21において電動駆動スイッチ31bがオンの状態であると判定した場合、または、ステップS25において電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定しなかった場合に、ステップS22においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間を計測中であるか否かを判定する。時間を計測中であると判定しなかった場合にはステップS23に処理を移し、時間を計測中であると判定した場合にはステップS24に処理を移す。
【0039】
(ステップS23)
ステップS22において時間を計測中であると判定しなかった場合に、ステップS23においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間の計測を開始し、ステップS24に処理を移す。
【0040】
(ステップS24)
ステップS22において時間を計測中であると判定した場合、または、ステップS23で時間の計測を開始した場合に、ステップS24においてCPUは、高所作業装置20が駆動している時間を計測し、ステップS25に処理を移す。
【0041】
(ステップS25)
ステップS25においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオフの状態であるか否かを判定する。電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定した場合にはステップS26に処理を移し、電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定しなかった場合にはステップS22に処理を戻す。
【0042】
(ステップS26)
ステップS25において電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定した場合に、ステップS26においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間の計測を終了し、ステップS27に処理を移す。
【0043】
(ステップS27)
ステップS27においてCPUは、計測した高所作業装置20の駆動時間の間、エンジンEを運転して高所作業装置20を駆動した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS28に処理を移す。
具体的には、高所作業装置20の駆動速度をエンジンEの回転数に換算し、エンジンEの各回転数による高所作業装置20の駆動時間に応じた二酸化炭素排出量を合計することによって算出する。
【0044】
(ステップS28)
ステップS28においてCPUは、計測した電動駆動スイッチ31bがオンの状態の時間から高所作業装置20の駆動時間を減じた時間の間、アイドル状態でエンジンEの運転を継続した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS29に処理を移す。
【0045】
(ステップS29)
ステップS29においてCPUは、ステップS27において算出された二酸化炭素排出量とステップS28において算出された二酸化炭素排出量を加えた数値を排出削減量としてRAM等の記憶装置に記憶して第2排出削減量取得手段を終了する。
【0046】
第1排出削減量取得処理および第2排出削減量取得処理によって記憶された排出削減量は、1日毎に排出削減量としてHDD34に記憶される。
【0047】
HDD34に記憶された排出削減量は、下部操作部31の操作ボタンに対して所定の操作を行うことによって表示部31aに表示可能である。
具体的には、操作ボタンに対して所定の操作を行うと、表示部31aにCO2の文字が表示される。表示部31aにCO2の文字が表示されてから3秒後には、例えば「0624」(6月24日)のように、表示部31aに日にちが表示される。表示部31aに日にちが表示されてから3秒後には、例えば「0258」(2.58kg)のように、表示部31aに二酸化炭素の排出削減量が表示される。
また、下部操作部31の操作ボタンの所定の操作で、日にちを遡って表示部31aに二酸化炭素の排出削減量の表示が可能となる。
【0048】
また、HDD34に記憶された一日毎の排出削減量のデータは、USB35を介してパソコン等の外部機器に送信可能であり、外部機器において排出削減量のデータを管理することが可能である。
【0049】
このように、本実施形態の作業車両によれば、高所作業装置20の作業の際に、動力源としてエンジンEを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得し、取得した二酸化炭素の排出量の削減量を表示部31aに表示するようにしている。これにより、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。また、高所作業装置20の作業者に対して地球温暖化対策への意識を向上させることが可能となる。
【0050】
また、アイドルストップ機能を有するエンジンEによって高所作業装置20の作業を行う場合に、高所作業装置20の作業中におけるエンジンEの停止時間の間、エンジンEを駆動させたならば排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出するようにしている。これにより、アイドルストップ機能による二酸化炭素の排出削減量を正確に算出することができるので、二酸化炭素の排出量削減の達成度の信頼度を向上させることが可能となる。
【0051】
また、バッテリの電力によって駆動する電動モータMによって高所作業装置20の作業を行う場合に、動力源としてエンジンEを継続的に駆動させて高所作業装置20の作業を行ったならば排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出している。これにより、電力駆動の高所作業装置20の二酸化炭素排出削減量を正確に算出することができるので、二酸化炭素の排出量の達成度の信頼度を向上させることが可能となる。
【0052】
また、二酸化炭素の排出削減量のデータをHDD34に記憶し、HDD34に記憶されたデータを、USB35を介して外部機器に送信可能としている。これにより、外部機器において二酸化炭素の排出削減量のデータを管理することが可能となり、二酸化炭素の排出削減量のデータを有効に利用可能となる。
【0053】
図6は本発明の第2実施形態である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0054】
この高所作業車1のコントローラ30には、図6に示すように、第1実施形態のUSB35の代わりに、二酸化炭素の排出削減量のデータをサーバ等の集中管理装置に通信衛星や中継局を介して送信する無線通信装置36が接続されている。
【0055】
以上のように構成された作業車両においては、HDD34に記憶されたデータを、無線通信装置36によって集中管理装置に送信し、集中管理装置においてHDD34に記憶されたデータを一括に管理可能となる。
【0056】
このように、本実施形態の作業車両によれば、二酸化炭素の排出削減量のデータをHDD34に記憶し、HDD34に記憶されたデータを、無線通信装置36によって集中管理装置に送信可能としている。これにより、集中管理装置において二酸化炭素の排出削減量のデータを一括に管理することが可能となり、二酸化炭素の排出削減量のデータを有効に利用可能となる。
【0057】
図7および図8は本発明の第3実施形態である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0058】
この高所作業車1の下部操作部31には、7セグメントディスプレイからなる表示部31aの代わりに、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等からなる表示部31cを有している。
【0059】
以上のように構成された作業車両においては、HDD34に記憶されたデータを、図7に示すように、一日の中で時刻毎に二酸化炭素の排出削減量を表示部31cに表示する。また、図8に示すように、月の中で一日毎に二酸化炭素の排出削減量を表示部31cに表示する。
【0060】
このように、本実施形態の作業車両によれば、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量をより正確に把握することができるので、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。
【0061】
尚、前記実施形態では、高所作業車1に本発明を適用するようにしたものを示したが、これに限られるものではなく、車両運搬車、軌陸車、橋梁点検車等の作業車両に適用可能である。
【0062】
また、前記実施形態では、アイドルストップ機能を有するエンジンEおよびバッテリの電力によって駆動可能な高所作業装置20について示したが、これに限られるものではない。例えば、アイドルストップ機能を有するエンジンEまたはバッテリの電力のみによって駆動する作業装置を有する作業車両に本発明を適用してもよく、エンジンを継続して運転する作業装置と比較してエネルギーの消費量が少ない動力源によって駆動する作業装置であれば本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…高所作業車、20…高所作業装置、24…PTO機構、30…コントローラ、31…下部操作部、31a…表示部、31b…電動駆動スイッチ、31c…表示部、34…HDD、35…USB、36…無線通信装置、E…エンジン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高所作業車等、動力源の動力によって駆動する作業装置を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の主な要因は、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出であると考えられている。このため、各産業界では、地球温暖化への対策として、二酸化炭素の排出量を削減する取り組みが行われている。
【0003】
そこで、二酸化炭素の排出量削減を図るための作業車両としては、作業装置を駆動させる油圧ユニットの油圧ポンプをアイドルストップ機能付のエンジンによって駆動させるようにしたものが知られている。また、二酸化炭素の排出量削減を図るための別の作業車両としては、油圧ユニットの油圧ポンプを電動モータによって駆動するようにしたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0004】
また、各産業界では、二酸化炭素の排出量削減の達成度を数値化することによって、二酸化炭素の排出量削減に対する貢献度を評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−157689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記作業車両では、エンジンを継続的に駆動させて作業を行う場合と比較して二酸化炭素の排出量を削減していることは明らかであるが、どの程度の排出削減量であるかが算出されておらず、二酸化炭素の排出量削減の達成度を正確に評価することができない。
【0007】
本発明の目的とするところは、作業装置の作業における正確な二酸化炭素の排出削減量を取得可能とし、作業装置の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることのできる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、動力源の動力によって所定の作業を行う作業装置を備えた作業車両において、作業装置の作業の際に、動力源としてエンジンを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得する削減量取得手段と、削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の排出量の削減量を表示する表示部と、を備えている。
【0009】
これにより、作業装置における二酸化炭素の排出削減量が正確に取得可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業装置の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、作業装置の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。また、作業装置の作業者に対して地球温暖化対策への意識を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す高所作業車の側面図である。
【図2】制御系を示すブロック図である。
【図3】表示部を示す図である。
【図4】第1排出削減量取得処理を示すフローチャートである。
【図5】第2排出削減量取得処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態の表示部を示す図である。
【図8】表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の作業車両としての高所作業車1は、図1に示すように、道路等を走行するための車両10と、高所作業を行うための作業装置としての高所作業装置20と、を備えている。
【0014】
車両10は、前側および後側の左右両側に車輪11を有し、エンジンを動力源として走行する。車両10の前側には、車両10の走行に関する操作を行うためのキャビン12が設けられている。また、車両10の前側および後側の左右両側には、アウトリガ13が設けられている。アウトリガ13は、車両の幅方向外側に移動可能に設けられるとともに、ジャッキシリンダ(図示せず)によって下方に伸長可能である。アウトリガ13は、下端を接地させることにより、車両10を地面に対して安定的に支持する。
【0015】
高所作業装置20は、車両10の後部に旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられたブーム22と、ブーム22の先端に設けられたバスケット23と、を有している。
【0016】
旋回台21は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル(図示せず)によって車両10に対して旋回自在に設けられ、旋回用の油圧モータ(図示せず)の駆動によって旋回するように構成されている。
【0017】
ブーム22は、複数のブーム部材からなり、ブーム部材の内部に先端側に隣り合うブーム部材が収納可能な多段式に構成されている。最基端側のブーム部材(ベースブーム)22a内には、油圧シリンダ(図示せず)が設けられ、油圧シリンダの伸縮によってブーム22を伸縮させる。また、最基端側のブーム部材22aは、基端部が旋回台21のブラケット21aに上下方向に回転自在に連結されている。ブーム部材22aの伸長方向中央部と旋回台21との間には、油圧シリンダ22bが連結され、油圧シリンダ22bの伸縮によってブーム22を起伏させる。
【0018】
ジャッキシリンダ、旋回用の油圧モータ、ブーム22の伸縮用の油圧シリンダおよび起伏用の油圧シリンダ22b等のアクチュエータは、油圧ポンプP(図1に図示せず)から吐出される作動油によって駆動される。この油圧ポンプPは、PTO(Power Take Off)機構24を介して伝達されるエンジンE、または、電動モータM(図1に図示せず)によって駆動される。ここで、車両10の走行および高所作業装置20の駆動に用いられる動力源としてのエンジンEは、例えば、走行中の車両10が停止した場合や高所作業装置20の動作が停止した場合等に、駆動を停止するアイドルストップ機能を有している。
【0019】
さらに、高所作業車1は、図2に示すように、高所作業装置20の操作に関する制御を行うためのコントローラ30を備えている。
コントローラ30は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ30は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0020】
また、コントローラ30のROMには、エンジンEを始動する際の燃料消費量、エンジンEのアイドル状態における単位時間当たりの燃料消費量、エンジンEによって高所作業装置20を駆動している状態における単位時間当たりの燃料消費量、エンジンEを駆動する際に使用される燃料1リットル当たりの二酸化炭素排出量に関するデータを記憶させている。ここで、燃料消費量は車両10の種類によって異なるため、複数の燃料消費量のデータをROMに記憶させ、高所作業装置20を組み付ける際に選択するようにしてもよい。
【0021】
コントローラ30には、それぞれ車両10の後面側とバスケット23の手摺部分に設けられ、高所作業装置20の操作を行うための下部操作部31および上部操作部32と、油圧ポンプPと各アクチュエータとの間の作動油流路に設けられたコントロールバルブ33と、後述する二酸化炭素の削減量を記憶するための記憶装置としてのHDD(ハードディスクドライブ)34と、パソコン等の外部機器との間でデータを送受信するためのUSB35と、エンジンEと、PTO機構24と、が接続されている。
【0022】
下部操作部31は、高所作業装置20の負荷の状態を表示したり後述する二酸化炭素の削減量を表示したりするための表示部31aと、高所作業装置20を電動で駆動させるための電動駆動スイッチ31bと、高所作業装置の操作に関する操作ボタンや操作レバーと、を有している。表示部31aは、図3に示すように、複数の7セグメントディスプレイからなり、コントローラ30から送信された信号に基づいて4桁の数値が表示可能に構成されている。
【0023】
以上のように構成された作業車両において、高所作業車1は、高所作業装置20の作業がエンジンEを駆動源として行われている場合に、エンジンEを継続的に運転して作業を行った場合と比較してどの程度の二酸化炭素の排出量を削減したかを算出する第1排出削減量取得処理を行う。このときのコントローラ30の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0024】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、PTO機構24がオンの状態であるか否かを判定する。PTO機構24がオンの状態であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、PTO機構24がオンの状態であると判定しなかった場合には第1排出削減量取得処理を終了する。
【0025】
(ステップS2)
ステップS1においてPTO機構24がオンの状態であると判定した場合、または、ステップS8においてPTO機構24をオフとする操作がなされたと判定しなかった場合に、ステップS2においてCPUは、アイドルストップ機能によってエンジンEが停止したか否かを判定する。エンジンEが停止したと判定した場合にはステップS3に処理を移し、エンジンEが停止したと判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0026】
(ステップS3)
ステップS2においてエンジンEが停止したと判定した場合に、ステップS3においてCPUは、エンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であるか否かを判定する。一時停止中であると判定しなかった場合にはステップS4に処理を移し、一時停止中であると判定した場合にはステップS5に処理を移す。
【0027】
(ステップS4)
ステップS3においてエンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であると判定しなかった場合に、ステップS4においてCPUは、エンジンEが停止してからの時間の計測を行い、ステップS6に処理を移す。
【0028】
(ステップS5)
ステップS3においてエンジンEが停止してからの時間の計測が一時停止中であると判定した場合に、ステップS5においてCPUは、一時停止を解除してエンジンEが停止してからの時間の計測を再開し、ステップS6に処理を移す。
【0029】
(ステップS6)
ステップS6においてCPUは、アイドルストップ機能が解除されてエンジンEが再始動したか否かを判定する。エンジンEが再始動したと判定した場合にはステップS7に処理を移し、エンジンEが再始動したと判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0030】
(ステップS7)
ステップS6においてエンジンEが再始動したと判定した場合に、ステップS7においてCPUは、時間の計測を一時停止し、ステップS8に処理を移す。
【0031】
(ステップS8)
ステップS2においてエンジンEが停止したと判定しなかった場合、ステップS6においてエンジンEが再始動したと判定しなかった場合、または、ステップS7において時間の計測を一時停止した場合に、ステップS8においてCPUは、PTO機構24をオフとする操作がなされたか否かを判定する。PTO機構24をオフとする操作がなされたと判定した場合にはステップS9に処理を移し、PTO機構24をオフとする操作がなされたと判定しなかった場合にはステップS2に処理を戻す。
【0032】
(ステップS9)
ステップS8においてPTO機構24をオフとする操作がなされたと判定した場合に、ステップS9においてCPUは、時間の計測を終了し、ステップS10に処理を移す。
【0033】
(ステップS10)
ステップS10においてCPUは、計測された時間の間、アイドル状態でエンジンEの運転を継続した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS11に処理を移す。
【0034】
(ステップS11)
ステップS11においてCPUは、エンジンEを再始動した回数に応じた二酸化炭素排出量を算出し、ステップS12に処理を移す。
【0035】
(ステップS12)
ステップS12においてCPUは、ステップS10において算出された二酸化炭素排出量からステップS11において算出された二酸化炭素排出量を減じた数値を排出削減量としてHDD34に記憶して第1排出削減量取得手段を終了する。
【0036】
次に、高所作業装置20の作業がバッテリの電力を駆動源として行われている場合に、エンジンEを継続的に運転して作業を行った場合と比較してどの程度の二酸化炭素の排出量を削減したかを算出する第2排出削減量取得処理を行う。このときのコントローラ30の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
(ステップS21)
ステップS21においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態であるか否かを判定する。電動駆動スイッチ31bがオンの状態であると判定した場合にはステップS22に処理を移し、電動駆動スイッチ31bがオンの状態でないと判定した場合には第2排出削減量取得処理を終了する。
【0038】
(ステップS22)
ステップS21において電動駆動スイッチ31bがオンの状態であると判定した場合、または、ステップS25において電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定しなかった場合に、ステップS22においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間を計測中であるか否かを判定する。時間を計測中であると判定しなかった場合にはステップS23に処理を移し、時間を計測中であると判定した場合にはステップS24に処理を移す。
【0039】
(ステップS23)
ステップS22において時間を計測中であると判定しなかった場合に、ステップS23においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間の計測を開始し、ステップS24に処理を移す。
【0040】
(ステップS24)
ステップS22において時間を計測中であると判定した場合、または、ステップS23で時間の計測を開始した場合に、ステップS24においてCPUは、高所作業装置20が駆動している時間を計測し、ステップS25に処理を移す。
【0041】
(ステップS25)
ステップS25においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオフの状態であるか否かを判定する。電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定した場合にはステップS26に処理を移し、電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定しなかった場合にはステップS22に処理を戻す。
【0042】
(ステップS26)
ステップS25において電動駆動スイッチ31bがオフの状態であると判定した場合に、ステップS26においてCPUは、電動駆動スイッチ31bがオンの状態となってからの時間の計測を終了し、ステップS27に処理を移す。
【0043】
(ステップS27)
ステップS27においてCPUは、計測した高所作業装置20の駆動時間の間、エンジンEを運転して高所作業装置20を駆動した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS28に処理を移す。
具体的には、高所作業装置20の駆動速度をエンジンEの回転数に換算し、エンジンEの各回転数による高所作業装置20の駆動時間に応じた二酸化炭素排出量を合計することによって算出する。
【0044】
(ステップS28)
ステップS28においてCPUは、計測した電動駆動スイッチ31bがオンの状態の時間から高所作業装置20の駆動時間を減じた時間の間、アイドル状態でエンジンEの運転を継続した場合における二酸化炭素排出量を算出し、ステップS29に処理を移す。
【0045】
(ステップS29)
ステップS29においてCPUは、ステップS27において算出された二酸化炭素排出量とステップS28において算出された二酸化炭素排出量を加えた数値を排出削減量としてRAM等の記憶装置に記憶して第2排出削減量取得手段を終了する。
【0046】
第1排出削減量取得処理および第2排出削減量取得処理によって記憶された排出削減量は、1日毎に排出削減量としてHDD34に記憶される。
【0047】
HDD34に記憶された排出削減量は、下部操作部31の操作ボタンに対して所定の操作を行うことによって表示部31aに表示可能である。
具体的には、操作ボタンに対して所定の操作を行うと、表示部31aにCO2の文字が表示される。表示部31aにCO2の文字が表示されてから3秒後には、例えば「0624」(6月24日)のように、表示部31aに日にちが表示される。表示部31aに日にちが表示されてから3秒後には、例えば「0258」(2.58kg)のように、表示部31aに二酸化炭素の排出削減量が表示される。
また、下部操作部31の操作ボタンの所定の操作で、日にちを遡って表示部31aに二酸化炭素の排出削減量の表示が可能となる。
【0048】
また、HDD34に記憶された一日毎の排出削減量のデータは、USB35を介してパソコン等の外部機器に送信可能であり、外部機器において排出削減量のデータを管理することが可能である。
【0049】
このように、本実施形態の作業車両によれば、高所作業装置20の作業の際に、動力源としてエンジンEを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得し、取得した二酸化炭素の排出量の削減量を表示部31aに表示するようにしている。これにより、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量を正確に取得することができるので、二酸化炭素の排出削減量の目標値を明確に設定することができ、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。また、高所作業装置20の作業者に対して地球温暖化対策への意識を向上させることが可能となる。
【0050】
また、アイドルストップ機能を有するエンジンEによって高所作業装置20の作業を行う場合に、高所作業装置20の作業中におけるエンジンEの停止時間の間、エンジンEを駆動させたならば排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出するようにしている。これにより、アイドルストップ機能による二酸化炭素の排出削減量を正確に算出することができるので、二酸化炭素の排出量削減の達成度の信頼度を向上させることが可能となる。
【0051】
また、バッテリの電力によって駆動する電動モータMによって高所作業装置20の作業を行う場合に、動力源としてエンジンEを継続的に駆動させて高所作業装置20の作業を行ったならば排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出している。これにより、電力駆動の高所作業装置20の二酸化炭素排出削減量を正確に算出することができるので、二酸化炭素の排出量の達成度の信頼度を向上させることが可能となる。
【0052】
また、二酸化炭素の排出削減量のデータをHDD34に記憶し、HDD34に記憶されたデータを、USB35を介して外部機器に送信可能としている。これにより、外部機器において二酸化炭素の排出削減量のデータを管理することが可能となり、二酸化炭素の排出削減量のデータを有効に利用可能となる。
【0053】
図6は本発明の第2実施形態である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0054】
この高所作業車1のコントローラ30には、図6に示すように、第1実施形態のUSB35の代わりに、二酸化炭素の排出削減量のデータをサーバ等の集中管理装置に通信衛星や中継局を介して送信する無線通信装置36が接続されている。
【0055】
以上のように構成された作業車両においては、HDD34に記憶されたデータを、無線通信装置36によって集中管理装置に送信し、集中管理装置においてHDD34に記憶されたデータを一括に管理可能となる。
【0056】
このように、本実施形態の作業車両によれば、二酸化炭素の排出削減量のデータをHDD34に記憶し、HDD34に記憶されたデータを、無線通信装置36によって集中管理装置に送信可能としている。これにより、集中管理装置において二酸化炭素の排出削減量のデータを一括に管理することが可能となり、二酸化炭素の排出削減量のデータを有効に利用可能となる。
【0057】
図7および図8は本発明の第3実施形態である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0058】
この高所作業車1の下部操作部31には、7セグメントディスプレイからなる表示部31aの代わりに、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等からなる表示部31cを有している。
【0059】
以上のように構成された作業車両においては、HDD34に記憶されたデータを、図7に示すように、一日の中で時刻毎に二酸化炭素の排出削減量を表示部31cに表示する。また、図8に示すように、月の中で一日毎に二酸化炭素の排出削減量を表示部31cに表示する。
【0060】
このように、本実施形態の作業車両によれば、高所作業装置20の作業における二酸化炭素の排出削減量をより正確に把握することができるので、高所作業装置20の作業における一層の二酸化炭素の排出量削減を図ることが可能となる。
【0061】
尚、前記実施形態では、高所作業車1に本発明を適用するようにしたものを示したが、これに限られるものではなく、車両運搬車、軌陸車、橋梁点検車等の作業車両に適用可能である。
【0062】
また、前記実施形態では、アイドルストップ機能を有するエンジンEおよびバッテリの電力によって駆動可能な高所作業装置20について示したが、これに限られるものではない。例えば、アイドルストップ機能を有するエンジンEまたはバッテリの電力のみによって駆動する作業装置を有する作業車両に本発明を適用してもよく、エンジンを継続して運転する作業装置と比較してエネルギーの消費量が少ない動力源によって駆動する作業装置であれば本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…高所作業車、20…高所作業装置、24…PTO機構、30…コントローラ、31…下部操作部、31a…表示部、31b…電動駆動スイッチ、31c…表示部、34…HDD、35…USB、36…無線通信装置、E…エンジン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源の動力によって所定の作業を行う作業装置を備えた作業車両において、
作業装置の作業の際に、動力源としてエンジンを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得する削減量取得手段と、
削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の排出量の削減量を表示する表示部と、を備えた
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
動力源は、作業装置の停止中にエンジンを停止するアイドルストップ機能を有するエンジンであり、
削減量取得手段は、作業装置による作業中におけるエンジンの停止時間の間、エンジンEを駆動させた場合に排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
動力源は、バッテリの電力によって駆動する電動モータであり、
削減量取得手段は、動力源としてエンジンを継続的に運転することによって作業装置の作業を行った場合に排出される二酸化炭素の推定排出量を排出削減量として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の削減量のデータを記憶するデータ記憶手段と、
データ記憶手段に記憶されたデータを外部機器に送信するデータ送信手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項1】
動力源の動力によって所定の作業を行う作業装置を備えた作業車両において、
作業装置の作業の際に、動力源としてエンジンを継続的に運転して作業を行った場合の二酸化炭素の排出量に対する二酸化炭素の排出削減量を取得する削減量取得手段と、
削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の排出量の削減量を表示する表示部と、を備えた
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
動力源は、作業装置の停止中にエンジンを停止するアイドルストップ機能を有するエンジンであり、
削減量取得手段は、作業装置による作業中におけるエンジンの停止時間の間、エンジンEを駆動させた場合に排出される二酸化炭素の排出量を排出削減量として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
動力源は、バッテリの電力によって駆動する電動モータであり、
削減量取得手段は、動力源としてエンジンを継続的に運転することによって作業装置の作業を行った場合に排出される二酸化炭素の推定排出量を排出削減量として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
削減量取得手段によって取得された二酸化炭素の削減量のデータを記憶するデータ記憶手段と、
データ記憶手段に記憶されたデータを外部機器に送信するデータ送信手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−71835(P2013−71835A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214061(P2011−214061)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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