説明

作業車輌

【課題】油タンクの貯留空間の可及的な大型化を測りつつ、上下方向に振動するキャビンが油タンクに接触したとしても該接触によって前記油タンクが損傷することを有効に防止し得る作業車輌を提供する。
【解決手段】作業車輌1は、一対の車輌フレーム2の一方より車輌幅方向外方側に位置し且つ少なくとも一部がキャビン8の直下に位置するように一方の車輌フレーム2に支持された油タンク17を備えている。油タンク17は、キャビン8との間に間隙を存した状態でキャビン8の直下に配置される本体部分171と、平面視において前記キャビン8とは重合しないように本体部分171から延在され且つ給油口17aが設けられた延在部分172とを有している。さらに、油タンク17は、本体部分171のうち水平面813aと対向する水平面対向領域171aでの間隙Aが本体部分171のうち水平面対向領域171a以外の他の領域での間隙よりも狭くなるような形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌前後方向に沿った左右一対の車輌フレームを含む固定構造体に防振機構を介して支持されたキャビンと、前記一対の車輌フレームの一方より車輌幅方向外方側に位置し且つ少なくとも一部が前記キャビンの直下に位置するように前記一方の車輌フレームに支持された油タンクとを備えた作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌前後方向に沿った左右一対の車輌フレームを含む固定構造体に防振機構を介して支持されたキャビンと、前記一対の車輌フレームの一方に支持された油タンクとを備えた作業車輌は従来から公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1は、前記油タンクの貯留空間の大型化については十分な考慮がなされていない。
詳しくは、前記特許文献1に記載の前記作業車輌において、前記キャビンは、前記一対の車輌フレームより車輌幅方向外方において上面が前記車輌フレームの上面より上方に位置する状態で車輌前後方向に沿った左右一対の下インナーサイドフレーム及び前記一対の下インナーサイドフレームより車輌幅方向外方で且つ上面が前記下インナーサイドフレームの上面と略同一位置に位置された状態で車輌前後方向に沿った一対の下アウターサイドフレームを含む下フレーム部と、略垂直方向に沿うように前記一対の下アウターサイドフレームの上面に直接又は間接的に載置されるフロア部材とを有している。
そして、前記油タンクは、前記一対の車輌フレームの一方より車輌幅方向外方側において前記キャビンとの間に間隙を存しつつ前記キャビンの直下に配置されている。
【0004】
このような構成においては、前記キャビンとの間の前記間隙を狭くするように前記油タンクを上方へ膨出させることで、前記油タンクの貯留空間の大型化を行うことができるが、その一方で、前記油タンクと前記キャビンとの接触について考慮する必要がある。
【0005】
即ち、前述の通り、前記キャビンは前記車輌フレームを含む前記固定構造体に前記防振機構を介して支持されており、前記固定構造体に対して上下方向に相対移動するようになっている。
従って、前記油タンクを上方へ膨出させると、前記作業車輌1の転倒時等において前記キャビンに大きな力が作用して前記キャビンを構成するフレームが湾曲すると、前記油タンクが前記キャビンに衝突する事態が生じ得る。この際に、前記キャビンを構成する前記フレーム等のうちエッジを有する部材が前記油タンクに接触すると、前記油タンクが損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2008−105537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、油タンクの貯留空間の可及的な大型化を測りつつ、上下方向に振動するキャビンが油タンクに接触したとしても該接触によって前記油タンクが損傷することを有効に防止し得る作業車輌の提供を一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る作業車輌は、車輌前後方向に沿った左右一対の車輌フレーム及び前記車輌フレームの後端部が連結されるミッションケースを含む固定構造体に防振機構を介して支持されたキャビンと、前記一対の車輌フレームの一方より車輌幅方向外方側に位置し且つ少なくとも一部が前記キャビンの直下に位置するように該一方の車輌フレームに支持された油タンクとを備えた作業車輌であって、前記キャビンは、前記一対の車輌フレームより車輌幅方向外方において上面が前記車輌フレームの上面より上方に位置する状態で車輌前後方向に沿った左右一対の下インナーサイドフレーム及び前記一対の下インナーサイドフレームより車輌幅方向外方で且つ上面が前記下インナーサイドフレームの上面と略同一位置に位置された状態で車輌前後方向に沿った一対の下アウターサイドフレームを含む下フレーム部と、略垂直方向に沿うように前記一対の下アウターサイドフレームの前端部に溶接された一対の縦フロントフレームを含む縦フレーム部と、前記一対の下アウターサイドフレーム及び前記一対の下インナーサイドフレームの上面に直接又は間接的に載置されるフロア部材を含むフロア部とを有している作業車輌において、前記キャビンは、さらに、車輌幅方向同一側に位置する前記下アウターサイドフレーム及び前記下インナーサイドフレームの下面における前方部分同士を連結し且つ対応する前記車輌フレームに前記防振機構を介して支持される水平面を有する一対の連結部材を備え、前記油タンクは、前記キャビンとの間に間隙を存した状態で前記キャビンの直下に配置される本体部分と、平面視において前記キャビンとは重合しないように前記本体部分から延在され且つ給油口が設けられた延在部分とを有し、前記油タンクは、前記本体部分のうち前記水平面と対向する水平面対向領域での前記間隙が前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の他の領域での前記間隙よりも狭くなるような形状を有している。
【0009】
上記構成によれば、前記油タンクの貯留空間の可及的な大型化を図りつつ、前記縦フロントフレーム等の前記キャビンの構成部材によって前記油タンクが損傷することを有効に防止することができる。
即ち、前記作業車輌においては、前記油タンクが、前記キャビンの直下に位置する本体部分に加えて、平面視において前記キャビンとは重合しないように前記本体部分から延在され且つ前記給油口が設けられた前記延在部分を有しているので、前記油タンクの貯留空間を広げることができる。
さらに、前記油タンクにおける前記本体部分のうち前記連結部材における前記水平面と対向する水平面対向領域と前記キャビンとの上下間隙が、前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の他の領域と前記キャビンとの間の上下間隙よりも狭くなるように構成されているので、前記作業車輌の転倒時等において前記キャビンに大きな力が作用して前記キャビンを構成するフレーム等の部材が湾曲し、これにより、前記キャビンが前記油タンクに接触する事態が生じたとしても、その際には、前記油タンクの前記水平面対向領域が前記連結部材の前記水平面に当接することになる。従って、前記キャビンを構成する部材のうち縦フロントフレームの下端部等の下方へ突出している部分が前記油タンクに当接することによる前記油タンクの損傷を有効に防止しつつ、前記間隙を狭めて前記油タンクの貯留空間の可及的な大型化を図ることができる。
【0010】
好ましくは、前記キャビンは、前記下アウターサイドフレームに連結された昇降ステップを有し、前記昇降ステップは、前記下アウターサイドフレームに連結された上端部から車輌幅方向外方且つ下方へ延びる一対のアーム部と、前記一対のアーム部の下端部同士を連結するステップ部とを有し、前記延在部分は、前記昇降ステップより前方側に位置し且つ正面視において前記昇降ステップとオーバーラップするように、前記本体部分から前記縦フロントフレーム及び前記下アウターサイドフレームの溶接点の直下を通り車輌幅方向外方且つ前方へ延びている。
【0011】
上記構成を備えることにより、前記油タンクが前記作業車輌から外方へ突出することを実質的に防止しつつ前記延在部分を有することができ、さらに、車輌後進走行中に前記延在部分が後進方向に存在する外部部材に接触することを前記昇降ステップによって防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記油タンクは、前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の領域の上面に貯留油残量センサを有している。
【0013】
上記構成を備えることにより、前記貯留油残量センサが前記キャビンによって損傷することを有効に防止することができる。
【0014】
好ましくは、前記下インナーサイドフレームは、前端部が前記下アウターサイドフレームの前端部より後方に位置するように配置され、前記連結部材は、前記下アウターサイドフレームの前端部を覆うように前記水平面の前端部から上方へ折り曲げられた前面を有しており、前記下インナーサイドフレーム、前記下アウターサイドフレーム、前記連結部材及び前記フロア部材によって車輌幅方向内方側及び後方側に開口された袋状部が形成されている。
【0015】
上記構成を備えることにより、前記袋状部を、例えば、一端部がエンジンの近傍に配設されたコンプレッサに連結され且つ他端部が前記キャビンの後端に設けられた開口を介して前記キャビン内のエアコンユニットに連結されるエアコンホース、前記エンジンの発熱によって温められた温水を前記キャビンの後端に設けられた開口を介して前記キャビン内のエアコンユニットに導入するヒータホース、及び/又は、一端部が前記エンジンのガバナに連結され且つ他端部が前記キャビン内のアクセル操作部材に連結されたアクセルワイヤ等の設置経路として利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る作業車輌によれば、前記油タンクの貯留空間の可及的な大型化を図りつつ、前記縦フロントフレーム等前記キャビンの構成部材によって前記油タンクが損傷することを有効に防止することができる。
即ち、前記作業車輌においては、前記油タンクが、前記キャビンの直下に位置する本体部分に加えて、平面視において前記キャビンとは重合しないように前記本体部分から延在され且つ前記給油口が設けられた前記延在部分を有しているので、前記油タンクの貯留空間を広げることができる。
さらに、前記油タンクにおける前記本体部分のうち前記連結部材における前記水平面と対向する水平面対向領域と前記キャビンとの上下間隙が、前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の他の領域と前記キャビンとの間の上下間隙よりも狭くなるように構成されているので、前記作業車輌の転倒時等において前記キャビンに大きな力が作用して前記キャビンを構成するフレーム等の部材が湾曲し、これにより、前記キャビンが前記油タンクに接触する事態が生じたとしても、その際には、前記油タンクの前記水平面対向領域が前記連結部材の前記水平面に当接することになる。従って、前記キャビンを構成する部材のうち縦フロントフレームの下端部等の下方へ突出している部分が前記油タンクに当接することによる前記油タンクの損傷を有効に防止しつつ、前記間隙を狭めて前記油タンクの貯留空間の可及的な大型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る作業車輌の左側面図である。
【図2】図2は、図1に示す作業車輌の底面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す作業車輌の内部構造の前方からの斜視図である。
【図4】図4は、図1及び図2に示す作業車輌のフレーム構造の前方からの斜視図である。
【図5】図5は、図1及び図2に示す作業車輌のフレーム構造の後方からの斜視図である。
【図6】図6は、図3に示す作業車輌の内部構造における連結部材近傍の拡大斜視図である。
【図7】図7は、図1及び図2に示す作業車輌の油タンク近傍における拡大平面図である。
【図8】図8は、図1及び図2に示す作業車輌の油タンク近傍における拡大側面図である。
【図9】図9は、図1及び図2に示す作業車輌の油タンク近傍の正面図である。
【図10】図10は、図1及び図2に示す作業車輌のフレーム構造におけるメインフレーム近傍の側面図である。
【図11】図11は、図3に示す作業車輌の内部構造におけるエンジンの後端側の支持部分近傍の拡大斜視図である。
【図12】図12は、図3に示す作業車輌の内部構造においてブレーキ操作機構近傍をキャビンの室内側から視た斜視図である。
【図13】図13は、図12に示すブレーキ操作機構の下方部分を側方から視た拡大斜視図である。
【図14】図14は、本実施の形態に係る作業車輌のキャビンの前方を支持する防振機構近傍を後下方から視た図である。
【図15】図15は、図14に示す防振機構の縦断面図である。
【図16】図16は、図3に示す作業車輌の内部構造における油タンク近傍の平面図である。
【図17】図17は、図3に示す作業車輌の内部構造においてリヤアクスルケース近傍を後方から視た斜視図である。
【図18】図18は、本実施の形態に係る作業車輌におけるフロア部の部分組み付け図である。
【図19】図19は、本実施の形態に係る作業車輌のフレーム構造におけるメインフレーム後端部近傍の側面図である。
【図20】図20は、図19に示すフレーム構造におけるフロア部の透過平面図である。
【図21】図21は、図19に示すフレーム構造におけるフロア部の斜視組み図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る作業車輌の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、本発明の一実施の形態に係る作業車輌1の左側面図及び底面図を示す。
図1に示すように、前記作業車輌1は、作業機が付設可能とされたトラクタとされている。
詳しくは、前記作業車輌1は、図1及び図2に示すように、車輌前後方向に沿った左右一対の車輌フレーム2と、前記車輌フレーム2の後端部に連結されるミッションケース3と、前記車輌フレーム2に支持されたエンジン4と、左右一対の走行装置5とを備えている。
本実施の形態において、前記左右一対の走行装置5は、左右一対の前輪51及び左右一対の後輪52を有している。
前記作業車輌1は、前記エンジン4からの回転動力を前記ミッションケース3を含むトランスミッションにて変速して前記左右一対の前輪51及び左右一対の後輪52のうち駆動輪として作用する車輪に伝達するように構成されている。
さらに、前記作業車輌1は、図1に示すように、前記車輌フレーム2及び前記ミッションケース3を含む固定構造体6に防振機構(後述)を介して支持されたキャビン8を備えている。
【0019】
図3に、図1及び図2に示す作業車輌1の内部構造の前方からの斜視図を示す。また、図4及び図5に、図1及び図2に示す作業車輌1のフレーム構造の前方及び後方からの斜視図を示す。なお、図4においては、前記エンジン4は図示を省略している。
本実施の形態において、前記キャビン8は、図3から図5に示すように、下フレーム部81と、前記下フレーム部81に立設された縦フレーム部82と、前記下フレーム部81に支持されるフロア部85とを含んでいる。なお、図4及び図5においては、前記フロア部85は図示を省略している。
前記下フレーム部81は、前記一対の車輌フレーム2より車輌幅方向外方側で且つ上面が前記車輌フレーム22の上面より上方に位置された状態で車輌前後方向に沿った一対の下インナーサイドフレーム811と、前記一対の下インナーサイドフレーム811より車輌幅方向外方で且つ上面が前記下インナーサイドフレーム811の上面と略同一位置に位置された状態で車輌前後方向に沿った一対の下アウターサイドフレーム812と、対応する前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812を連結する一対の連結部材813であって、前記防振機構7を介して前記取付ステー12に支持される一対の連結部材813とを有している。
前記フロア部85は、図3に示すように、前記一対の下インナーサイドフレーム811及び前記一対の下アウターサイドフレーム812の上面に直接又は間接的に載置されるフロア部材851を有している。
【0020】
図6に、図3に示す作業車輌1の内部構造における連結部材11近傍の拡大斜視図を示す。なお、図6においては、前記エンジン4は図示を省略している。
本実施の形態において、前記縦フレーム部82は、図3から図5に示すように、略垂直方向に沿うように前記一対の下アウターサイドフレーム812の前端部に溶接された一対の縦フロントフレーム821を含んでいる。
また、前記一対の連結部材813は、図6に示すように、車輌幅方向同一側に位置する前記下アウターサイドフレーム812及び前記下インナーサイドフレーム811の下面における前方部分同士を連結し且つ対応する前記車輌フレーム2に前記防振機構7を介して支持される水平面813aを有している。
【0021】
本実施の形態において、前記作業車輌1は、図1、図3から図6に示すように、前記一対の車輌フレーム2の一方より車輌幅方向外方側に位置し且つ少なくとも一部が前記キャビン8の直下に位置するように該一方の車輌フレーム2に支持された油タンク17を備えている。
図7及び図8に、図1及び図2に示す作業車輌1の油タンク17近傍における拡大平面図及び側面図を示す。
前記油タンク17は、図7及び図8に示すように、前記キャビン8との間に間隙を存した状態で前記キャビン8の直下に配置される本体部分171と、平面視において前記キャビン8とは重合しないように前記本体部分171から延在され且つ給油口17aが設けられた延在部分172とを有している。
さらに、前記油タンク17は、図8に示すように、前記本体部分171のうち前記水平面813aと対向する水平面対向領域171aでの前記間隙Aが前記本体部分171のうち前記水平面対向領域171a以外の他の領域での前記間隙よりも狭くなるような形状を有している。
例えば、前記縦フロントフレーム821の下端部と当該下端部に対向する前記油タンク17の上面との間隙Bは、前記間隙Aよりも広くなっている。
【0022】
上記構成によれば、前記油タンク17の貯留空間の可及的な大型化を図りつつ、前記縦フロントフレーム821等の前記キャビン8の構成部材によって前記油タンク17が損傷することを有効に防止することができる。
即ち、前記作業車輌1においては、前記油タンク17が、前記キャビン8の直下に位置する本体部分171に加えて、平面視において前記キャビン8とは重合しないように前記本体部分171から延在され且つ前記給油口17aが設けられた前記延在部分172を有しているので、前記油タンク17の貯留空間を広げることができる。
さらに、前記油タンク17における前記本体部分171のうち前記連結部材813における前記水平面813aと対向する水平面対向領域171aと前記キャビン8との上下間隙Aが、前記本体部分171のうち前記水平面対向領域171a以外の他の領域と前記キャビン8との間の上下間隙(例えば、前記間隙B)よりも狭くなるように構成されている。従って、前記作業車輌1の転倒時等において前記キャビン8に大きな力が作用して前記キャビン8を構成するフレームが湾曲したとしても、前記油タンク17の前記水平面対向領域171aが前記連結部材813の前記水平面813aに当接することになる。従って、前記縦フロントフレーム821の下端部等の下方へ突出している部分が前記油タンク17に当接することによる前記油タンク17の損傷を有効に防止しつつ、前記油タンク17と前記キャビン8との間隙を狭めて前記油タンク17の貯留空間の可及的な大型化を図ることができる。
【0023】
本実施の形態において、前記キャビン8は、図3から図5に示すように、前記縦フレーム部82の上端部に支持された上フレーム部83と、前記上フレーム部83に載置されるアウタールーフ84と、前記キャビン8の前方に配設されるエンジン・フライホイールユニットとの間を遮断するエアカットプレート86とをさらに含んでいる。なお、図4及び図5においては、前記アウタールーフ84は図示を省略している。
【0024】
図9に、図1及び図2に示す作業車輌1の油タンク17近傍の正面図を示す。
本実施の形態において、前記キャビン8は、図1から図5、図7、図8及び図9に示すように、前記下アウターサイドフレーム812に連結された昇降ステップ18を有している。
より詳しくは、前記昇降ステップ18は、図7及び図8に示すように、前記下アウターサイドフレーム812に連結された上端部から車輌幅方向外方且つ下方へ延びる一対のアーム部181と、前記一対のアーム部181の下端部同士を連結するステップ部182とを有している。
前記延在部分172は、前記昇降ステップ18より前方側に位置し且つ正面視において前記昇降ステップ18とオーバーラップするように、前記本体部分171から前記縦フロントフレーム821及び前記下アウターサイドフレーム812の溶接点Xの直下を通り車輌幅方向外方且つ前方へ延びている。
上記構成を備えることにより、前記油タンク17が前記作業車輌1の幅方向外方へ突出することを実質的に防止しつつ前記延在部分172を有することができ、さらに、車輌後進走行中に前記延在部分172が後進方向に存在する外部部材に接触することを前記昇降ステップ18によって防止することができる。
【0025】
本実施の形態において、前記油タンク17は、図7及び図8に示すように、前記本体部分171のうち前記水平面対向領域171a以外の領域の上面に貯留油残量センサ173を有している。
上記構成によれば、前記貯留油残量センサ173が前記キャビン8によって損傷することを有効に防止することができる。
本実施の形態において、前記貯留油残量センサ173は、図8に示すように、車輌前後方向に関し前記連結部材813の前記水平面813aの後端部より後方に位置し、且つ、図7に示すように、車輌幅方向に関し前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812の間に位置している。従って、前記貯留油残量センサ173の上面と前記キャビン8との間隙は、図8に示すように、前記貯留油残量センサ173の上面と前記フロア部材851との間隙Cであり、前記間隙Aより大きい。
これにより、前記作業車輌1の転倒時等において前記キャビン8に大きな力が作用したとしても、前記貯留油残量センサ173が前記キャビン8と接触することを有効に防止することができる。
【0026】
本実施の形態において、前記下インナーサイドフレーム811は、図7に示すように、前端部が前記下アウターサイドフレーム812の前端部より後方に位置するように配置されている。
また、前記連結部材813は、図6及び図7に示すように、前記下アウターサイドフレーム812の前端部を覆うように前記水平面813aの前端部から上方へ折り曲げられた前面813bを有している。
そして、前記下インナーサイドフレーム811、前記下アウターサイドフレーム812、前記連結部材813及び前記フロア部材851によって、前記作業車輌1には、車輌幅方向内方側及び後方側に開口された袋状部19が形成されている。前記袋状部19は、図7に示すように、前記フロア部材851の下面と、前記連結部材813の前面813b及び水平面813aと、前記下インナーサイドフレーム811の前端部とで画される内側開口19aを有している。さらに、前記袋状部19は、前記フロア部材851の下面と、前記下インナーサイドフレーム811の外側面と前記下アウターサイドフレーム812の内側面とで画される後側開口19bを有している。
上記構成によれば、前記袋状部19を、例えば、一端部がエンジン4の近傍に配設されたコンプレッサに連結され且つ他端部が前記キャビン8の後端に設けられた開口を介して前記キャビン8内のエアコンユニットに連結されるエアコンホース、前記エンジン4の発熱によって温められた温水を前記キャビン8の後端に設けられた開口を介して前記キャビン8内のエアコンユニットに導入するヒータホース、及び/又は、一端部が前記エンジン4のガバナに連結され且つ他端部が前記キャビン8内のアクセル操作部材に連結されたアクセルワイヤ等の設置経路として利用することができる。
【0027】
本実施の形態において、前記ミッションケース3は、図2に示すように、前記車輌フレーム2の後端部に連結されており、前記エンジン4から後方側へ離間配置されている。さらに、前記ミッションケース3には、両側壁に前記左右一対の後輪52に連結された左右一対の後車軸54を収容する一対のリヤアクスルケース9が連結されている。
【0028】
前記車輌フレーム2は、図1及び図2に示すように、車輌前方側に配置された左右一対のフロントフレーム21と、前記一対のフロントフレーム21及び前記ミッションケース3の左右側壁の間をそれぞれ連結する左右一対のメインフレーム22とを有している。
前記一対のフロントフレーム21には、前記エンジン4及び前記前輪51に連結された前車軸53を収容するフロントアクスルケース10が支持されている。
前記一対の下インナーサイドフレーム811は、前記一対のメインフレーム22との間に間隙が存するように前記一対のメインフレーム22の車輌幅方向外方側に配置されている。
【0029】
本実施の形態において、前記キャビン8は、前後左右の4箇所において前記固定構造体6に防振支持されている。
図10に、図1及び図2に示す作業車輌1のフレーム構造におけるメインフレーム22近傍の側面図を示す。なお、図10においては、前記一対のメインフレーム22のうち左側のメインフレーム22は、図示を省略している。
より詳しく説明する。前記作業車輌1は、図3、図4及び図10に示すように、側面視において前記一対のメインフレーム22とオーバーラップした状態で前記一対のメインフレーム22の間を連結する補強部材11と、側面視において少なくとも一部が前記補強部材11とオーバーラップするように前記一対のメインフレーム22の外側面に固着された一対の取付ステー12とをさらに備えている。
そして、前記キャビン8は、少なくとも前記一対の取付ステー12と前記一対のリヤアクスルケース9又は前記ミッションケース3の左右2箇所との4箇所において防振支持されている。本実施の形態において、前記キャビン8は、図3から図5に示すように、前記一対の取付ステー12と前記一対のリヤアクスルケース9との4箇所において防振機構7を介して支持されている。
【0030】
上記構成によれば、前記エンジン4及び前記フロントアクスルケース10と前記トランスミッションとを車輌前後方向に振り分けることで前記作業車輌1の前後バランスを向上させつつ、前記一対のメインフレーム22のうち前記補強部材11によって連結された高剛性部位と前記ミッションケース3又は前記リヤアクスルケース9とによって前記キャビン8を防振支持することで、前記キャビン8の支持安定化を図ることができ、これにより、前記キャビン8に対する所望の防振効果を得ることができる。
なお、本実施の形態において、前記補強部材11と前記取付ステー12とは、車輌前後方向略同一位置且つ車輌上下方向略同一位置に位置されているが、前記補強部材11と前記取付ステー12とが側面視において少なくとも一部においてオーバーラップしている限りこの限りではない。
【0031】
本実施の形態において、前記補強部材11は、図6及び図10に示すように、車輌幅方向に延びる幅方向延在部111と、前記幅方向延在部111の両端部に設けられた一対のフランジ部112とを有している。前記一対のフランジ部112は、前記一対のメインフレーム22の内表面に当接されている。
前記幅方向延在部111は、略垂直に沿った垂直板部111aと、前記垂直板部111aの上端から略水平に延びる水平板部111bとを有している。前記水平板部111bには、パワーステアリング用バルブユニット13が吊り下げ支持されている。
【0032】
図11に、図3に示す作業車輌1の内部構造における前記エンジン4の後端側の支持部分近傍の拡大斜視図を示す。
本実施の形態において、前記作業車輌1は、図6及び図11に示すように、下端部が前記補強部材11の左右端部に連結され且つ上端部が上方へ延在された一対の側板部16aと前記一対の側板部16aの上端部同士を連結し且つ前記エンジン4の後端面に設けられたエンジンマウントフランジ14に防振機構15を介して連結される連結板部16bとを有するブリッジフレーム16をさらに備えている。
上記構成を備えることにより、前記一対のメインフレーム22のうち前記取付ステー12を介して前記キャビン8を支持する部位の剛性、特に、車輌前後方向に延びる中心軸回りの剛性を向上させることができ、前記キャビン8をより安定的に支持することができる。
【0033】
ここで、本実施の形態に係る前記作業車輌1におけるブレーキ操作機構について説明する。
図12に、図3に示す作業車輌1の内部構造においてブレーキ操作機構近傍をキャビン8の室内側から視た斜視図を示す。また、図13に、図12に示すブレーキ操作機構の下方部分を側方から視た拡大斜視図を示す。なお、図13においては、前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812は図示を省略している。
前記作業車輌1は、図12及び図13に示すように、前記エアカットプレート86よりキャビン8室内側において車輌幅方向に沿うように前記エアカットプレート86に直接又は間接的に支持されたブレーキ操作軸111と、前記ブレーキ操作軸111に相対回転自在に支持された第1ブレーキボス112と、前記ブレーキ操作軸111に相対回転不能に支持された第2ブレーキボス113と、前記第1及び第2ブレーキボス112,113にそれぞれ連結された第1及び第2ブレーキペダル114,115とを備えている。さらに、前記作業車輌1は、前記第1及び第2のブレーキペダル114,115への人為操作に応じてそれぞれ略上下方向に移動する左右一対のブレーキ縦リンク116と、前記一対のブレーキ縦リンク116と前記トランスミッションに設けられた左右一対のブレーキ機構(図示せず)との間をそれぞれ作動的に連結する左右一対のブレーキ横リンク117であって、前記一対のブレーキ縦リンク116の上下方向移動に応じて略前後方向に移動する左右一対のブレーキ横リンク117とを備えている。
【0034】
前記エアカットプレート86には、車輌幅方向に関し前記一対のメインフレーム22より車輌幅方向外方で且つ上下方向に関し前記ブレーキ操作軸111より下方においてキャビン8の室内側へ膨出する左右一対の膨出部86aが設けられている。
そして、前記左右一対のブレーキ縦リンク116の下端部は、前記左右一対の膨出部86aを介して前記キャビン8の室内から下方へ延在している。
また、前記左右一対のブレーキ縦リンク116の下端部と前記左右一対のブレーキ横リンク117の前端部とは、図7及び図13に示すように、前記フロア部材851より下方で且つ前記取付ステー12より後方に位置するように前記一対のメインフレーム22及び前記一対の下インナーサイドフレーム811の間の前記間隙内に設けられた左右一対のブレーキ中間軸118にそれぞれ相対回転自在に支持された左右一対のブレーキ中間ボス119を介して、連結されている。詳しくは、前記ブレーキ中間ボス119には、前記ブレーキ縦リンク116が連結される縦リンク連結プレート119a及び前記ブレーキ横リンク117が連結される横リンク連結プレート119bが設けられている。
【0035】
上記構成を有することにより、前記ブレーキ縦リンク116及び前記ブレーキ横リンク117を含むブレーキ操作リンク機構の組立性を悪化させることなく、省スペース化を実現することができる。
【0036】
本実施の形態において、前記第1ブレーキペダル114及び前記第2ブレーキペダル115は、図12に示すように、前記エアカットプレート86の右側後方に車輌幅方向に並列配置されている。
前記第1ブレーキボス112は、前記ブレーキ操作軸111の右端部において支持された右側ブレーキボスとされており、前記第2ブレーキボス113は、前記第1ブレーキボス112の左隣において前記ブレーキ操作軸111に支持された左側ブレーキボスとされている。
前記右側のブレーキ縦リンク116の上端部は、前記第1ブレーキボス112に固設されたプレート部材112aに連結されており、前記第1ブレーキペダル114を操作することにより、前記第1ブレーキボス112、前記右側のブレーキ縦リンク116及び前記右側のブレーキ横リンク117を介して前記右側のブレーキ機構が作動される。
一方、前記左側のブレーキ縦リンク116の上端部は、前記ブレーキ操作軸111に相対回転不能に固定されたブレーキ中継ボス120に固設されたプレート部材120aに連結されており、前記第2ブレーキペダル115を操作することにより、前記第2ブレーキボス113、前記ブレーキ操作軸111、前記ブレーキ中継ボス120、前記左側のブレーキ縦リンク116及び前記左側のブレーキ横リンク117を介して前記左側のブレーキ機構が作動される。
【0037】
本実施の形態において、前記作業車輌1は、図12に示すように、前記ブレーキ操作軸111に相対回転自在に支持されたクラッチボス121と、前記クラッチボス121に連結されたクラッチペダル122とをさらに備えている。前記クラッチボス121も前記ブレーキ操作機構と同様のクラッチリンクを介してクラッチ(図示せず)を断続させる。
前記クラッチボス121は、前記ブレーキ中継ボス120の右隣において前記ブレーキ操作軸111に支持されている。また、前記クラッチペダル122は、前記エアカットプレート86の左側後方に配置されている。
【0038】
本実施の形態において、前記連結部材813の水平面813aは、図6及び図7に示すように、上面が前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812の下面に固着され、下面が前記防振機構7に支持されている。
【0039】
図14に、本実施の形態に係る作業車輌1のキャビン8の前方を支持する前記防振機構7近傍を後下方から視た図を示す。また、図15に、図14に示す前記防振機構7の縦断面図を示す。
本実施の形態において、前記防振機構7は、図14及び図15に示すように、前記取付ステー12に形成された上下方向に延びる取付孔12aに挿通される中空の小径部71a及び前記小径部71aのうち前記取付ステー12より上方に位置する部分から径方向外方へ延在された大径部71bを有する第1防振ゴム71を有しており、上端面が直接又は間接的に前記連結部材813の水平面813aの下面に当接し且つ前記大径部71bの下面が直接又は間接的に前記取付ステー12の上面に当接することで、前記キャビン8が前記取付ステー12に防振支持されるように構成されている。
【0040】
本実施の形態において、前記防振機構7は、図18及び図19に示すように、前記第1防振ゴム71に加えて、前記第1防振ゴム71及び前記取付ステー12の間に介挿される第1取付カバー72と、前記第1防振ゴム71の前記小径部71aのうち前記取付ステー12より下方に位置する部分に外挿される第2防振ゴム73と、前記第2防振ゴム73の下端面を覆う第2取付カバー74と、前記小径部71aに内挿される締結ボルト75とを有している。
【0041】
前記第1取付カバー72は、前記取付ステー12の前記取付孔12aに上方から挿入され且つ前記小径部71aが内挿される小径筒部72aと、前記小径筒部72aの上端から径方向外方へ拡径された径方向延在部72bと、前記径方向延在部72bの径方向外端から上方へ延びて前記大径部71bを囲繞する周壁部72cとを有している。
前記第2防振ゴム73は、前記小径部71aが内挿されることを許容する内径を有し且つ前記取付ステー12の下面に当接することを許容する外径を有している。
前記第2取付カバー74は、前記第1防振ゴム71の前記小径部71aの下面及び前記第2防振ゴム73の下面に当接される径方向延在部74aと、前記径方向延在部74aの外周から上方へ延びて前記第2防振ゴム73を囲繞する周壁部74bとを有している。
前記締結ボルト75は、前記連結部材813の水平面813aの上面より上方に位置するヘッド部75aと、前記ヘッド部75aから下方へ延在された軸部75bであって、前記第2取付カバー74より下方へ延在された軸部75bとを有しており、前記軸部75bには、ナット76が締結可能とされている。
【0042】
斯かる構成の前記防振機構7によれば、前記キャビン8の前記取付ステー12への組立作業効率を向上させることができる。
即ち、まず、前記第1取付カバー72の前記小径筒部72aを前記取付ステー12の前記取付孔12aに上方から挿入し且つ前記第1防振ゴム71の前記小径部71aを上方から前記小径筒部72aに挿入してから、前記キャビン8を前記第1防振ゴム71の前記大径部71bの上面に載置する。この状態においては、前記キャビン8は、前記第1防振ゴム71を介して前記取付ステー12に防振状態で載置されることになる。
そして、前記締結ボルト75を前記連結部材813の水平面813aの上方から前記小径部71aに内挿させる。
その後、前記第2防振ゴム73を前記第1防振ゴム71の前記小径部71aに下方から外挿させ且つ前記第2取付カバー74を前記第2防振ゴム73に下方から外挿させた状態で、前記軸部75bに前記ナット76を締結する。
【0043】
また、本実施の形態において、前記油タンク17は、図6に示すように、平面視において前記取付ステー12に対向する領域がえぐられた形状を有している。
図16に、図3に示す作業車輌1の内部構造における油タンク17近傍の平面図を示す。なお、図16において、前記連結部材813は図示を省略している。
前記油タンク17は、好適にはブロア成形されるが、この場合には、図20に示すように、前記給油口17aと前記給油口17aから最も離間する部分とを結ぶ仮想垂直面P1から離間するに従って、角張った形状とすることが困難となる。
本実施の形態においては、この特性を逆に利用して、前記油タンク17が前記取付ステーと抵触することを防止しつつ前記油タンク17の可及的な大型化を図っている。
【0044】
具体的には、前記油タンク17の前記本体部分171は、図20に示すように、車輌長手方向長さが車輌幅方向長さより長い形状とされ、且つ、前方側及び車輌幅方向内方側の角部171aが前記取付ステー12の直下に位置するように構成されている。
そして、前記給油口17aが設けられた前記延在部分172は、前記本体部分171の前方側及び車輌幅方向外方側の角部171bから前方且つ車輌幅方向外方側へ延在されている。
【0045】
斯かる構成により、前記油タンク17のうち前記取付ステー12の下方に位置する取付ステー直下領域(前記角部171a)を前記仮想垂直面から離間させることができ、これにより、ブロア成形時に前記取付ステー直下領域が角張らないダレた形状となる。
従って、通常のブロア成形によって前記油タンク17を形成しつつ、前記取付ステー直下領域が前記取付ステー12に干渉することを有効に防止することができる。
【0046】
本実施の形態において、前記連結部材813は、図6、図7及び図14に示すように、前記水平面813aの前記防振機構7が支持される部位より後方において、前記水平面813aの後端部から上方へ折り曲げられた後面813cをさらに有している。前記後面813cは、上端部が前記フロア部材851に接している。これにより、前記フロア部材851の支持安定化を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、前記後面813cにおける左右の側端部のうちの他方が前記下インナーサイドフレーム811又は前記下アウターサイドフレーム812の何れか他方の側面と離間した位置に配置される。
本実施の形態においては、図7及び図14に示すように、前記後面813cは、前記右側端部が前記下インナーサイドフレーム811の側面に接し且つ前記左側端部が前記下アウターサイドフレーム812の側面と離間した位置に配置されている。
従って、本実施の形態において、前記後側開口19bは、前記フロア部材851の下面と、前記下インナーサイドフレーム811又は前記下アウターサイドフレーム812の何れか他方の側面と、前記水平面813aの上面と、前記後面813cの左右側端部のうちの他方とで画されている。
【0047】
前記袋状部19の内部には、硬質ゴムスポンジ等の緩衝部材であって、前記ホース及び/又はワイヤが挿通される開口を有する緩衝部材を設けることができる。
上記構成を有した場合には、前記ホース及び/又はワイヤが前記下アウターサイドフレーム812や前記下インナーサイドフレーム811に摺接して損傷することを防止することができる。
好ましくは、前記緩衝部材は、前記連結部材813の前記水平面813aに連結される前記防振機構7の取付部材(例えば、取付ボルトやリベット等)を覆うように前記袋状部19に設けられる。
上記構成を有した場合には、前記防振機構7の取付部材が意に反して緩んだり、前記ホース及び/又はワイヤが前記取付部材に摺接して損傷することを防止することができる。
【0048】
本実施の形態において、前記キャビン8は、下記構成をさらに備えている。
前記下フレーム部81は、図3から図5に示すように、前端部が前記一対の下アウターサイドフレーム812の後端部に連結され且つ車輌後方へ延出された一対の下アウターサイドリヤフレーム814をさらに有している。
前記下アウターサイドリヤフレーム814は、前端部から後端部へ行くに従って上方に位置している。
【0049】
また、前記縦フレーム部82は、図3から図5に示すように、前記縦フロントフレーム821に加えて、上端部が前記上フレーム部83の後端寄りの部分に連結され且つ下端部が前記下アウターサイドリヤフレーム814の後端部に連結された一対の縦リヤフレーム822を有している。
さらに、前記縦フレーム部82は、前記一対の下アウターサイドリヤフレーム814の中間部位に立設された一対の縦中間フレーム823を有している。
【0050】
前記キャビン8は、図3から図5に示すように、前記一対の縦リヤフレーム822の下端寄りの部分を連結する横リヤフレーム87と、上端部が前記横リヤフレーム87の外端寄りの部分に連結され且つ下端部が下方へ延在された一対の縦リヤ下方フレーム88とを有している。
図17に、図3に示す作業車輌1の内部構造において前記リヤアクスルケース9近傍を後方から視た斜視図を示す。
前記一対の下インナーサイドフレーム811の後端部は、図3から図5及び図17に示すように、前記一対の縦リヤ下方フレーム88に連結されている。
前記一対の下インナーサイドフレーム811は、前記下アウターサイドフレーム812の後端部より後方に延出され、前記下アウターサイドフレーム812の後端部より後方側において、前記一対の下インナーサイドフレーム811は、前端部から後端部に行くに従って上方に位置している。
【0051】
前記上フレーム部83は、図4及び図5に示すように、前記一対の縦フロントフレーム821の上端部同士を連結するフロントルーフフレーム831と、前記一対の縦フロントフレーム821及び前記一対の縦リヤフレーム822の車輌幅方向に関し同じ側の上端部同士をそれぞれ連結する一対のサイドルーフフレーム832と、前記一対の縦リヤフレーム822の上端部同士を連結するリヤルーフフレーム833とを有しており、前記アウタールーフ84は、図3に示すように、前記フロントルーフフレーム831、前記一対のサイドルーフフレーム832及び前記リヤルーフフレーム833上に取り付けられている。
【0052】
本実施の形態において、前記キャビン8を構成する各フレームは、中空のパイプ状又は断面U字状に形成されている。
具体的には、本実施の形態において、図7及び図14に示すように、前記下インナーサイドフレーム811は、中空のパイプ状に形成されており、前記下アウターサイドフレーム812及び前記下アウターサイドリヤフレーム814は、断面U字状に形成されている。
なお、これに代えて、断面L字状又は断面H字状の骨格材を用いることとしてもよい。
【0053】
本実施の形態において、前記キャビン8は、図3から図5及び図17に示すように、運転席80が載置される運転席マウントプレート89を有している。前記運転席マウントプレート89は、前記一対の下インナーサイドフレーム811及び前記一対の縦リヤ下方フレーム88に支持されている。
さらに、前記キャビン8は、略水平方向に沿うように前記一対の下インナーサイドフレーム811及び前記一対の縦リヤ下方フレーム88に支持された一対の後側マウントプレート90を有している。前記一対の後側マウントプレート90は、防振機構7を介して前記ミッションケース3又は前記リヤアクスルケース9に支持されている。本実施の形態においては、前記リヤアクスルケース9に支持されている。
【0054】
本実施の形態において、前記エアカットプレート86は、図3から図5に示すように、下端部が前記フロア部材851に溶接され且つ上方部分が前記一対の縦フロントフレーム821に連結された一対の横フロントフレーム91に溶接されている。
【0055】
本実施の形態において、前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812は、図6,図10,図14及び図19等に示すように、側面視において、上下方向に関して前記車輌フレーム2にオーバーラップしている。
より具体的には、前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812の前記フロア部85が設けられる領域における下面811a,812aは、前記メインフレーム22の上面22aより下方に位置し、且つ、前記下インナーサイドフレーム811及び前記下アウターサイドフレーム812の前記フロア部85が設けられる領域の上面811b,812bは、前記メインフレーム22の上面より上方に位置している。
上記構成を有することにより、前記フロア部85を低い位置に配置することができるため、前記作業車輌1の全高を抑えつつ前記キャビン8の室内高を高く確保することができる。
【0056】
図18に、本実施の形態に係る作業車輌1におけるフロア部85の部分組み付け図を示す。
本実施の形態において、前記フロア部材851は、図18に示すように、車輌幅方向外端部が前記下アウターサイドフレーム812の上方に位置し且つ車輌幅方向内端部が前記下インナーサイドフレーム811より車輌幅方向内方側に位置した左右一対のフロア部材851とされている。
即ち、前記フロア部材851は、車輌幅方向に関し前記一対のメインフレーム22間に開口851aを有している。
そして、前記フロア部85は、前記開口851aを閉塞するためのセンターカバー852を有している。前記センターカバー852は、前記エアカットプレート86及び前記左右一対のフロア部材851に取り外し可能に固定されている。
上記構成を有することにより、前記メインフレーム22間に配置する種々の部品の組み付けやメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、前記開口851aは、車輌幅方向に関し前記メインフレーム22間幅の1/3以上の幅を有することが好ましい。
【0057】
図19に、本実施の形態に係る作業車輌1のフレーム構造におけるメインフレーム22後端部近傍の側面図を示す。
本実施の形態において、前記メインフレーム22は、図19に示すように、前記トランスミッションケース3との連結部22bが上下方向に関し他の部分よりも幅広となっている。
上記構成を有することにより、前記メインフレーム22の板厚を厚くすることなく、前記メインフレーム22において前記ミッションケース3との連結により強度が必要とされる部分の強度を高めることができるため、前記車輌フレーム2において高い強度を確保しつつ可及的に軽量化することができる。
【0058】
本実施の形態において、前記メインフレーム22は、前記ミッションケース3との連結部22bとなる後端部が上下方向に関し他の部分よりも幅広となっており、前記メインフレーム22における幅広の後端部は、上端部が前記フロア部材851よりも上方に位置している。
さらに、前記フロア部材851及び/又は前記運転席マウントプレート89は、車輌前後方向に関し前記メインフレーム22の前記連結部22bに対応する部分が前記下アウターサイドフレーム812の上面より上方に位置している。
上記構成を有することにより、前記メインフレーム22と前記フロア部材851及び/又は前記運転席マウントプレート89との間に間隙を確保することができるため、前記キャビン8が振動した際に前記キャビン8が前記車輌フレーム2に接触することを有効に防止することができる。
【0059】
本実施の形態において、前記フロア部85は、図19に示すように、前記フロア部材851及び前記センターカバー852の上方を覆うフロアマット853を有している。
前記フロアマット853は、上面が平坦に形成され且つ下面が後端部において前記メインフレーム22の前記連結部22bに対応する部分に沿って傾斜した傾斜面853aを有している。
上記構成により、前記フロア部85の上面において平坦な面積を可及的に大きくすることができ、居住性を向上させることができる。
【0060】
図20及び図21に、図19に示すフレーム構造におけるフロア部85の透過平面図及び斜視組み図を示す。
本実施の形態において、前記センターカバー852は、図18から図21に示すように、前記一対のフロア部材851の上面から突出された固定部材854(締付ボルト等)によって係止するための貫通孔852aを有し、前記センターカバー852の上面からさらに前記固定部材854が突出した状態で係止されている。
そして、前記フロアマット853は、図19から図21に示すように、前記センターカバー852の上面から突出された前記固定部材854の周囲を囲むような複数のリブ853bが下面に設けられている。
上記構成を有することにより、前記フロアマット853をクリップ等の他の部品を用いることなく容易に固定することができるため、クリップ等を用いて前記フロアマット853を固定していた従来構成に比べて、コストの低減及び組み立て性の向上を図ることができる。
さらに、持ち上げることにより容易に取り外せるため、クリップ等を用いる従来構成に比べて清掃時等のメンテナンス性も向上させることができる。
【0061】
本実施の形態において、前記フロアマット853に設けられた前記複数のリブ853bは、円筒形状を有している。ただし、前記リブ853bの形状は、前記固定部材854により前記フロアマット853の水平方向の移動が規制される形状であればこれに限られず、断面矩形状等種々適用可能である。
さらに、本実施の形態において、前記複数のリブ853bは、前記センターカバー852の固定部材854に対応する位置以外の箇所にも設けられている。
上記構成により、前記フロアマット853の沈み込みを防止しつつ、前記フロアマット853と前記フロア部材851及び前記センターカバー852とで形成される床面との間に間隙(空気層)を設けることができるため、前記床面からの振動の伝達を抑制することができる。
さらに、前記間隙にウレタンフォーム等の吸音材を取り付けることもできる。
なお、前記吸音材を取り付ける際には、前記吸音材に前記フロアマット853の前記リブ853bと略同径又はより小径の孔を設けて当該孔に前記リブ853bを嵌め込み固定することが好ましい。
上記構成を備えることにより、前記吸音材を前記フロアマット853に容易に組み付けることができる一方で、簡単に外すこともできるため、前記フロアマット853の清掃時等のメンテナンス時において作業性を高めることができるとともに、前記フロアマット853のみを取り替えることもでき、メンテナンスのコストを下げることができる。
【0062】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 作業車輌
2 車輌フレーム
3 ミッションケース
6 固定構造体
7 防振機構
8 キャビン
17 油タンク
17a 給油口
18 昇降ステップ
19 袋状部
81 下フレーム部
82 縦フレーム部
85 フロア部
171 油タンクの本体部分
171a 水平面対向領域
172 油タンクの延在部分
173 貯留油残量センサ
181 昇降ステップのアーム部
182 昇降ステップのステップ部
811 下インナーサイドフレーム
812 下アウターサイドフレーム
813 連結部材
813a 連結部材の水平面
813b 連結部材の前面
821 縦フロントフレーム
851 フロア部材
X 溶接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌前後方向に沿った左右一対の車輌フレーム及び前記車輌フレームの後端部が連結されるミッションケースを含む固定構造体に防振機構を介して支持されたキャビンと、前記一対の車輌フレームの一方より車輌幅方向外方側に位置し且つ少なくとも一部が前記キャビンの直下に位置するように該一方の車輌フレームに支持された油タンクとを備えた作業車輌であって、前記キャビンは、前記一対の車輌フレームより車輌幅方向外方において上面が前記車輌フレームの上面より上方に位置する状態で車輌前後方向に沿った左右一対の下インナーサイドフレーム及び前記一対の下インナーサイドフレームより車輌幅方向外方で且つ上面が前記下インナーサイドフレームの上面と略同一位置に位置された状態で車輌前後方向に沿った一対の下アウターサイドフレームを含む下フレーム部と、略垂直方向に沿うように前記一対の下アウターサイドフレームの前端部に溶接された一対の縦フロントフレームを含む縦フレーム部と、前記一対の下アウターサイドフレーム及び前記一対の下インナーサイドフレームの上面に直接又は間接的に載置されるフロア部材を含むフロア部とを有している作業車輌において、
前記キャビンは、さらに、車輌幅方向同一側に位置する前記下アウターサイドフレーム及び前記下インナーサイドフレームの下面における前方部分同士を連結し且つ対応する前記車輌フレームに前記防振機構を介して支持される水平面を有する一対の連結部材を備え、
前記油タンクは、前記キャビンとの間に間隙を存した状態で前記キャビンの直下に配置される本体部分と、平面視において前記キャビンとは重合しないように前記本体部分から延在され且つ給油口が設けられた延在部分とを有し、
前記油タンクは、前記本体部分のうち前記水平面と対向する水平面対向領域での前記間隙が前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の他の領域での前記間隙よりも狭くなるような形状を有していることを特徴とする作業車輌。
【請求項2】
前記キャビンは、前記下アウターサイドフレームに連結された昇降ステップを有し、
前記昇降ステップは、前記下アウターサイドフレームに連結された上端部から車輌幅方向外方且つ下方へ延びる一対のアーム部と、前記一対のアーム部の下端部同士を連結するステップ部とを有し、
前記延在部分は、前記昇降ステップより前方側に位置し且つ正面視において前記昇降ステップとオーバーラップするように、前記本体部分から前記縦フロントフレーム及び前記下アウターサイドフレームの溶接点の直下を通り車輌幅方向外方且つ前方へ延びていることを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。
【請求項3】
前記油タンクは、前記本体部分のうち前記水平面対向領域以外の領域の上面に貯留油残量センサを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車輌。
【請求項4】
前記下インナーサイドフレームは、前端部が前記下アウターサイドフレームの前端部より後方に位置するように配置され、
前記連結部材は、前記下アウターサイドフレームの前端部を覆うように前記水平面の前端部から上方へ折り曲げられた前面を有しており、前記下インナーサイドフレーム、前記下アウターサイドフレーム、前記連結部材及び前記フロア部材によって車輌幅方向内方側及び後方側に開口された袋状部が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−162979(P2010−162979A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5548(P2009−5548)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】