説明

作業車

【課題】作業車に搭載される引き出し式の収納本体に収納された資機材の視認性および取り出し性を高める。
【解決手段】収納空間10に対して出入可能に装着された収納本体11は、当該収納本体11を収納空間10内に配設されたガイドレール21に沿って案内する案内ローラ24を有する。収納本体11が引き出され、案内ローラ24が外部側へ転動すると、収納本体11は案内ローラ24の支軸24a回りに回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとる。収納本体11の傾斜角θは、角度調整手段30によって調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮式のクレーン装置を搭載した救助工作車、作業用移動体としてのはしごを搭載したはしご付消防自動車、消防ポンプを搭載した消防ポンプ自動車、放水用の水槽を搭載した水槽付消防車等の作業車に関し、より詳細には、工具や救護具等の各種資機材を収納する収納庫が車両本体に搭載された作業車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災、震災、水難事故等の各種災害の発生時に出動する上記の各種作業車には、工具や救護具等の各種資機材を収納するための収納庫が設けられている。この種の作業車に設けられる収納庫は、出来るだけ多くの資機材を収納することができるように、消火活動や救助活動(以下、救助活動等という)に当たる作業者の頭を超えるような高さ位置に至って設けられているのが通例である。
【0003】
しかしながら、高位置に収納された資機材の取り出し性が悪いと、作業者の作業負担が大きくなり、また一刻を争う救助活動等に支障を来たすことも起こり得る。そこで、高位置に収納された資機材の取り出し性向上を図った作業車として、例えば以下に示す特許文献1に開示されたものがある。詳細には、収納庫の開口部(入口)を閉塞する扉板を、収納庫入口を閉塞する直立位置と外側に倒れる水平位置とに回動可能とし、外側に倒れた水平位置において扉板をステップ(踏み台)として利用可能に構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−100796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、資機材の収納効率向上等を図るべく、作業車の収納庫に、いわゆる引出装置を設置する試みがなされている。ここでいう引出装置とは、収納庫に画成した収納空間に対して出入可能に設けられたスライド式の収納本体(資機材を収納可能な上部開口の箱型形状をなすもの)を主要な構成として備えるものである。
【0006】
しかしながら、既存の作業車に設置されている上記の引出装置としては、収納本体が、収納空間の内外方向に沿った水平方向移動のみを許容されたタイプが一般的である。このような収納本体が高位置に設置されていると、当該収納本体を引き出しただけでは収納された資機材を作業者が視認することが困難であることに加え、収納された資機材の取り出し性が悪く、救助活動等を円滑に行う上での障害となるという問題が指摘されている。かかる問題は、上記特許文献1に記載のような踏み台を設けておくことである程度解消することができるが、踏み台の上り下りという動作が必要である分、作業者に余計な動作負担を強いることとなる。
【0007】
本発明の課題は、高位置に収納された資機材の視認性や取り出し性を向上し、これにより、救助活動等に当たる作業者の負担を軽減すると共に、救助活動等を一層円滑に実行することが可能な作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明は、車両本体と、車両本体に搭載されて資機材を収納する収納庫と、収納庫に画成された収納空間に対して出入可能に設けられた上部開口の収納本体とを備える作業車において、収納本体は、収納本体を収納空間内に配設されたガイドレールに沿って案内する案内ローラを有すると共に、案内ローラが外部側へ転動するのに伴って案内ローラの支軸回りに回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとるように構成され、かつ、収納本体の傾斜角を調整する角度調整手段を備えることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、本発明でいう作業車には、上述のように、伸縮式のクレーン装置を搭載した救助工作車、作業用移動体としてのはしごを搭載したはしご付消防自動車、消防ポンプを搭載した消防ポンプ自動車、放水用の水槽を搭載した水槽付消防車等が含まれる。また、本発明でいう外部側とは収納空間の外部側(開口側)を、内部側とは収納空間の内部側(奥側)を意味する。
【0010】
上記のように、収納本体に設けた案内ローラが外部側へ転動するのに伴って(収納本体が引き出されるのに伴って)、収納本体が案内ローラの支軸回りに回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとるように構成すれば、引き出し時における収納本体に収納した資機材の視認性および取り出し性を向上することができる。しかも、収納本体の傾斜角を調整する角度調整手段を備えることから、収納本体の設置高さや作業者の身長等に応じて、収納本体に収納された資機材の視認性や取り出し性を最適なものに設定することができる。従って、救助活動等に当たる作業者の作業負担を軽減すると共に、救助活動等を一層円滑に実行することが可能となる。また、救助活動等の終了後、資機材を収納本体に収納する際の作業性を向上することもできる。
【0011】
上記の角度調整手段は、収納空間の内外方向に可動に設けられ、固定位置に応じて収納本体を所定の傾斜角で支持する支持部材と、支持部材の収納空間の内外方向における固定位置を調整する調整部材とを備えるものとすることができる。このとき、調整部材を、外部側から操作可能に設けておけば、収納本体の傾斜角の調整を容易かつスムーズに行うことができる。
【0012】
ところで、救助活動等に使用する各種資機材は、高い強度を具備している必要があるために比較的重量物である場合が多い。このとき、収納本体が引き出し時に傾斜姿勢をとるものであると、資機材が収納されて重量物となった収納本体の格納動作に多大な力が必要となり、救助活動等を円滑に行う上での障害となる可能性がある。かかる事態に鑑み、収納空間内に定荷重ばねを設置し、収納本体に定荷重ばねの一端を取付け固定するのが望ましい。定荷重ばねとは、ばねの伸び量や撓み量に関わらず常に一定の力で往復するばねである。従って、収納本体が傾斜姿勢をとる上記本発明の構成においても、収納本体を小さな力でもって格納することが可能となり、作業性が向上する。
【0013】
収納空間内には、特に収納本体格納時に作用する衝撃力を吸収・緩和する緩衝装置(ショックアブソーバ)を設置しても良い。これにより、収納本体に収納された各種資機材が、収納本体の格納動作に伴って収納本体内で移動、破損等するような事態を可及的に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上に示すように、本発明によれば、高位置に収納された資機材の視認性や取り出し性、さらには資機材の収納本体に対する収納性を向上することができる。従って、本発明に係る作業車であれば、救助活動等に当たる作業者の負担を軽減すると共に、円滑な救助活動等を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る作業車の概略側面図である。
【図2】図1に示す作業車の収納庫を開口させた状態における概略側面図である。
【図3】(a)図は収納本体の格納状態における引出装置の概略正面図、(b)図は同概略背面図である。
【図4】収納本体の格納状態における引出装置の概略平面図である。
【図5】収納本体の格納状態における引出装置の概略底面図である。
【図6】(a)図は収納本体の格納状態における引出装置の概略左側面図、(b)図は同概略右側面図である。
【図7A】角度調整手段の拡大正面図である。
【図7B】角度調整手段の拡大背面図である。
【図7C】図7A中に示すY1方向矢視図であり、角度調整手段の拡大平面図である。
【図7D】図7A中に示すY2方向矢視図であり、角度調整手段の拡大底面図である。
【図7E】図7A中に示すX1方向矢視図であり、角度調整手段の拡大側面図である。
【図7F】図7A中に示すX2方向矢視図であり、角度調整手段の拡大側面図である。
【図8】収納本体の引き出し状態における引出装置の概略左側面図である。
【図9】収納本体の部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る作業車としての救助工作車を示している。この救助工作車は、車両本体1と、車両本体1に搭載され、救助活動等に用いる工具や救護具等の各種資機材を収納する収納庫2とを備えている。さらに、車両本体1の前部および後部には、フロントウィンチ3および伸縮式のクレーン装置4がそれぞれ搭載されている。
【0018】
収納庫2は、上部収納庫6と下部収納庫7とに分かれている。救助工作車の走行時において、上部収納庫6の開口部は電動式又は手動式のシャッター8によって閉塞され、下部収納庫7の開口部は回動可能な扉板9によって閉塞されている。そして、救助工作車が災害現場に到着すると、シャッター8を巻き上げて上部収納庫6を開口させると共に扉板9を回動させて下部収納庫7を開口させ、上部収納庫6および下部収納庫7に収納された必要な資機材を取り出す。なお、扉板9は、下部収納庫7の開口部を閉塞する直立位置と、下部収納庫7の開口部を開口させる外側に倒れた水平位置とに回動可能に構成されたものであり、外側に倒れた水平位置においてはステップ(踏み板)として利用可能である。
【0019】
図2に示すように、上部収納庫6は、アングルや棚板等を組み合わせることによって複数の収納空間10に区画されている。複数の収納空間10のうち、一又は複数の収納空間10(図2では中央部上側に画成された2つの収納空間10)には収納本体11が出入可能に装着されており、以下に詳述する引出装置18を構成している。なお、以下の説明においては方向性を示すために「外部側」および「内部側」なる語句を使用するが、これらはそれぞれ、収納空間10の外部側(開口側)および内部側(奥側)を意味する。
【0020】
以下、図3〜図9を参照しながら、本発明に係る作業車の要部である引出装置18について説明を行う。
【0021】
引出装置18は、収納空間10に対して出入可能に装着された収納本体11と、案内手段20と、角度調整手段30と、定荷重ばね40とを主要な構成として備える。
【0022】
収納本体11は、図3〜6に示すように、前パネル14、後パネル15、左右一対のサイドパネル16,16および底パネル17からなる上部開口の箱型形状をなし、棚板13と、車両本体1の車幅方向に延びた左右一対のL型アングル12,12とで画成された収納空間10に対して出入可能に装着されている。なお、図3以外の図面においては、棚板13の図示を省略している。
【0023】
案内手段20は、収納空間10に対する収納本体11の出入移動を案内するためのものであり、図4に示すように収納本体11の幅方向両側に一組ずつ設けられる。各案内手段20は、図3に示すように、L型アングル12の起立部12aの内面に固定され、収納空間10の内外方向に延びた断面コの字状をなすガイドレール21と、収納本体11のサイドパネル16に取り付けられ、収納本体11をガイドレール21に沿って案内する案内ローラ24とで主要部が構成される。
【0024】
ガイドレール21は、図6に示すように、水平方向に延びたストレート部22と、外部側が内部側よりも上方に変位し、水平方向に対して傾斜した傾斜部23とを備え、ストレート部23の内部側一端および傾斜部24の外部側一端は案内ローラ24の可動範囲を規制するために閉塞されている。案内ローラ24は、サイドパネル16に挿通された支軸24aと、この支軸24aに回転自在に外嵌され、ガイドレール21上を転動するローラ体24bとを備えるものであり、ここではサイドパネル16の内部側一端にのみ装着されている。このように、ガイドレール21に沿って収納本体11を案内する案内ローラ24が収納本体11の内部側一端にのみ装着されていることから、収納本体11は案内ローラ24の支軸24a回りに回転可能である。そして、ガイドレール21が上記の傾斜部23を備えることから、収納本体11は、引き出されるのに伴って(案内ローラ24が外部側へ転動するのに伴って)案内ローラ24の支軸24a回りに下方に回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとる(図8参照)。
【0025】
図3および図6に示すように、収納本体11の底パネル17の下方(底パネル17と棚板13との間)であって、収納空間10の外部側一端には、以下に詳述する角度調整手段30を構成する支持部材としての支持ローラ31が配設されている。これにより、収納本体11の引き出しおよび格納時には、収納本体11の外底面が支持ローラ31によって支持されるので、収納本体11の引き出しおよび格納動作はスムーズに行われる。
【0026】
角度調整手段30は、引き出し時における収納本体11の傾斜角(最大傾斜角)を調整するためのものであり、図4に示すように収納本体11の幅方向両側に一組ずつ設けられる。角度調整手段30は、図7A〜図7Fに拡大して示すように、上記した支持ローラ31と、支持ローラ31を回転自在に保持し、収納空間10の内外方向に可動に設けられた保持部材32と、収納空間10の内外方向における保持部材32および支持ローラ31の固定位置を調整する調整部材としての調整ねじ33とを主要部として構成される。
【0027】
調整ねじ33は、その外部側一端がL型アングル12に設けられた前パネル14と平行な前壁部12bに螺合し、その内部側が保持部材32に螺合している。L型アングル12の起立部12aには、収納空間10の内外方向に延びる長穴12a1が形成されている。長穴12a1にはL型アングル12の外側からボルト部材34が挿通されており、このボルト部材34はL型アングル12の内側で保持部材32に対して締結(ナット固定)されている。これにより、保持部材32およびこれに保持された支持ローラ31は、L型アングル12に支持されると共に、収納空間10の内外方向に可動となっている。以上の構成から、調整ねじ33を回転させると、調整ねじ33の回転方向に応じて、保持部材32およびこれに保持された支持ローラ31がL型アングル12の長穴12a1に沿って外部側若しくは内部側に移動する。
【0028】
上記のとおり、案内ローラ24が転動するガイドレール21は、外部側一端が閉塞されていることから、収納本体11の最大引き出し位置は一定である。そのため、調整ねじ33を回転させて保持部材32を外部側に移動させると、案内ローラ24(厳密には、収納本体11の回転動作を支持する案内ローラ24の支軸24a)と支持ローラ31の離間距離が大きくなり、両者を結ぶ線分の水平方向に対する傾斜角が小さくなる。これにより、引き出し時における収納本体11の傾斜角は小さくなる。これとは反対に保持部材32を内部側に移動させると、案内ローラ24と支持ローラ31の離間距離が小さくなり、両者を結ぶ線分の水平方向に対する傾斜角が上記の場合よりも大きくなる。これにより、引き出し時における収納本体11の傾斜角は大きくなる。
【0029】
調整ねじ33は外部側から操作可能、すなわち、引き出し時における収納本体11の傾斜角は外部側から調整可能となっている。詳細に述べると、図3(a)に示すように、収納本体11の前パネル14のうち、調整ねじ33を水平方向に投影した位置には貫通孔14aが設けられており、この貫通孔14aからドライバーを差し込むことによって調整ねじ33を回転させることが(角度調整手段30を操作することが)できるようになっている。このように、外部側から(収納本体11の前パネル14側から)調整ねじ33を操作可能とすることで、収納本体11の傾斜角の調整を容易かつスムーズに行うことができる。
【0030】
棚板13の内部側一端には一対のブラケット41,41が取り付けられており、定荷重ばね40は、ブラケット41,41間に懸架された支軸42によって回転自在に支持されている。定荷重ばね40のばね部40aの先端部は、連結部材43を介して収納本体11の外底面に取り付けられている(図5を参照。)。ここで定荷重ばね40とは、ばね部40aの伸び量や撓み量に関わらず常に一定の力で往復するばねである。本実施形態では、収納本体11の幅方向中間部に定荷重ばね40が設置されている。なお、定荷重ばね40の代表例として、サンコースプリング株式会社製のコンストン(登録商標)が挙げられる。
【0031】
図4〜図6に示すように、収納本体11よりも内部側であって、収納本体11の幅方向両端部には、収納本体11格納時に作用する衝撃力を吸収・緩和する緩衝装置(ショックアブソーバ)50がそれぞれ設けられている。これにより、収納本体11に収納された各種資機材が、収納本体11の格納動作に伴って収納本体11内で移動、破損等するような事態を可及的に防止することができる。なお、本実施形態では、ガイドレール21の内部側一端に緩衝装置50の先端部を挿通し、緩衝装置50の先端部を案内ローラ24と接触可能に設けることにより、収納本体11格納時に作用する衝撃力を吸収・緩和するようにしている。
【0032】
図3〜図6および図8においては図示を省略しているが、救助工作車の走行時等における収納空間10からの収納本体11の意図せぬ飛び出しを防止すべく、収納本体11には図9に示すようなロック機構60が設けられる。同図に示すロック機構60は、収納本体11の底パネル17に取り付けられた一対のラッチ錠61,61と、プッシュボタン62aを有し、前パネル14に取り付けられたハンドル62と、ハンドル62とラッチ錠61との間に介設され、プッシュボタン62aの押圧/解放に連動するかたちで動作する一対の連結部材63,63とで主要部が構成される。
【0033】
ラッチ錠61は、収納本体11の幅方向外向きに弾性的に付勢された係合片61aを有するものであり、係合片61aは、プッシュボタン62aが解放された状態においては、収納本体11のサイドパネル16よりも外側に突出して、静止側と係合する。これにより、収納空間10からの収納本体11の意図せぬ飛び出しが防止される。一方、プッシュボタン62aを押圧すると、これに連動するかたちで連結部材63が係合片61aを内向きに引っ張り、係合片61aが収納本体11の幅方向内側に後退移動する。これにより、係合片61aと静止側との係合状態が解消され、収納本体11が収納空間10から引き出し可能となる。
【0034】
以上で説明したように、本発明では、収納本体11に設けた案内ローラ24が外部側へ転動するのに伴って(収納本体11が引き出されるのに伴って)、収納本体11が案内ローラ24の支軸24a回りに回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとる。このような構成によれば、収納本体11に収納した資機材の視認性および取り出し性を向上することができる。しかも、収納本体11の傾斜角を調整する角度調整手段30を備えることから、収納本体11の設置高さや作業者の身長等に応じて、収納本体11に収納された資機材の視認性や取り出し性を最適なものに設定することができる。従って、救助活動等に当たる作業者の作業負担を軽減すると共に、救助活動等を一層円滑に実行することが可能となる。また、救助活動等の終了後、資機材を収納本体11に収納する際の作業性を向上することもできる。
【0035】
なお、引き出し時における収納本体11の水平方向に対する傾斜角θ(図8参照)は、これが小さ過ぎると資機材の視認性および取り出し性向上効果を有効に享受することができず、これが大き過ぎると、収納本体11に収納した資機材が引き出し時に落下等する可能性がある。かかる事情に鑑み、引き出し時における収納本体11の水平方向に対する傾斜角θは、10°〜60°、より好ましくは10°〜45°の範囲で設定可能とする。
【0036】
ちなみに、図2に示すように、収納本体11が上下二段に設けられた本実施形態においては、相対的に高位置にある収納本体11の傾斜角を相対的に低位置にある収納本体の傾斜角よりも大きく設定する。これにより、高位置にある収納本体11に収納された資機材の視認性および取り出し性を高めることができる。
【0037】
ところで、救助活動等に使用する各種資機材は、高い強度を具備している必要があるために比較的重量物である場合が多い。このとき、本発明のように、収納本体11が引き出し時に傾斜姿勢をとるものであると、資機材が収納されて重量物となった収納本体11の格納動作に多大な力が必要となり、救助活動等を円滑に行う上での障害となる可能性がある。これに対して本発明では、収納空間10内(棚板13)に定荷重ばね40を設置し、収納本体11に定荷重ばね40のばね部40aの一端を取付け固定したことから、収納本体11を小さな力でもって格納することが可能となり、作業性が向上する。
【0038】
以上では、伸縮式のクレーン装置を搭載した救助工作車に本発明を適用した場合について説明を行ったが、上記した本発明の構成は、作業用移動体としてのはしごを搭載したはしご付消防自動車、消防ポンプを搭載した消防ポンプ自動車、放水用の水槽を搭載した水槽付消防車等、資機材を収納する収納庫2を搭載したその他の作業車にも好ましく適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 車両本体
2 収納庫
10 収納空間
11 収納本体
18 引出装置
20 案内手段
21 ガイドレール
23 傾斜部
24 案内ローラ
24a 支軸
30 角度調整手段
31 支持ローラ(支持部材)
32 保持部材
33 調整ねじ(調整部材)
40 定荷重ばね
50 緩衝装置
60 ロック機構
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、該車両本体に搭載されて資機材を収納する収納庫と、該収納庫に画成された収納空間に対して出入可能に設けられた上部開口の収納本体とを備える作業車において、
前記収納本体は、前記収納本体を前記収納空間内に配設されたガイドレールに沿って案内する案内ローラを有すると共に、該案内ローラが外部側へ転動するのに伴って前記案内ローラの支軸回りに回転し、外部側が内部側よりも下方に位置した傾斜姿勢をとるように構成され、
かつ、前記収納本体の傾斜角を調整する角度調整手段を備えることを特徴とする作業車。
【請求項2】
前記角度調整手段は、前記収納空間の内外方向に可動に設けられ、固定位置に応じて前記収納本体を所定の傾斜角で支持する支持部材と、該支持部材の前記収納空間の内外方向における固定位置を調整する調整部材とを備えるものであり、
前記調整部材が、外部側から操作可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記収納空間内に定荷重ばねが設置され、前記収納本体に前記定荷重ばねの一端が取付け固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9】
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