作業車
【課題】ラジエータの冷却性能を良好に維持できる作業車を提供する。
【解決手段】ラジエータ56の上下幅に亘って配設され、ラジエータ56の側部からラジエータ56への空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材61と、ラジエータ56の横幅に亘って配設され、ラジエータ56の下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材65と、をボンネットの内部に備える。
【解決手段】ラジエータ56の上下幅に亘って配設され、ラジエータ56の側部からラジエータ56への空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材61と、ラジエータ56の横幅に亘って配設され、ラジエータ56の下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材65と、をボンネットの内部に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車として、ラジエータの上部および側部から外方側に延出してボンネットの内面に近接する仕切り板を設けたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業車においては、ラジエータからの温風がラジエータの下方を通ってラジエータの前方側に回り込むことがあり、ラジエータの冷却性能が低下することがあった。特に、走行を停止した状態でエンジンを作動させるときには、走行風が後方へ流動しないために、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込み易く、ラジエータの冷却性能が低下し易くなる。
【0005】
また、仕切り板の先端部とボンネットの内面との間に隙間が生じることがある。このとき、仕切り板の後方側の空間に滞留した高温の空気が、上記隙間から仕切り板の前方側の空間に漏れ出して、ラジエータの前方側に回り込むことがあり、ラジエータの冷却性能が低下することがあった。
【0006】
本発明の目的は、ラジエータの冷却性能を良好に維持できる作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車において、前記ラジエータの上下幅に亘って配設され、前記ラジエータの側部から前記ラジエータへの空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材と、前記ラジエータの横幅に亘って配設され、前記ラジエータの下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材と、をボンネットの内部に備えた点にある。
【0008】
本構成によれば、ラジエータの側部から前方側且つ側方に向かって延出する第1遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの側方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0009】
第1遮蔽部材の後方側の空間の体積が小さいと、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の多くが、前記後方側の空間の下方から後方に流動するとともに、前記高温の空気の一部が、第1遮蔽部材の先端部とボンネットの内面との間の隙間から第1遮蔽部材の前方側の空間に漏れ出して、ラジエータの前方側に回り込むことがある。
【0010】
これに対し、本構成のように、第1遮蔽部材がラジエータの前方側に位置してあれば、第1遮蔽部材の後方側の空間の体積を極力大きくとることができ、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の貯留性が高まる。このため、前記高温の空気のほとんどが、前記後方側の空間の下方から後方に流動してしまい、前記高温の空気の一部が、前記隙間から前記前方側の空間に漏れ出すことはなくなる。
【0011】
前記隙間がラジエータの前方側に位置しているので、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込む距離が増大する。このため、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0012】
走行時には、第1遮蔽部材によって走行風がラジエータの前方側へ集められてラジエータに案内される。よって、ラジエータの冷却性能が向上する。
【0013】
第2遮蔽部材は、ラジエータの下部に吊り下げてあるから、停止時には、第2遮蔽部材がラジエータの下部から下方に向かって延出する。このとき、ラジエータの下部から下方に向かって延出する第2遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの下方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0014】
第2遮蔽部材は、ラジエータの下部に吊り下げてあるから、走行時には、第2遮蔽部材が走行風を受けて後方に傾斜する。第2遮蔽部材によってラジエータからの温風が該第2遮蔽部材の先端部に案内される。また、第2遮蔽部材によってラジエータの下方を通過する走行風が該第2遮蔽部材の先端部に案内される。このとき、第2遮蔽部材の先端部に案内された走行風が、第2遮蔽部材の先端部に案内された温風を巻き込みつつ後方に流動することになる。このため、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、前記第1遮蔽部材は、前記ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部と、前記第1壁部の前記ラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部とを備える点にある。
【0016】
本構成によれば、ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部、および、第1壁部のラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部によって、ラジエータからの温風がラジエータの側方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、前記第1遮蔽部材は、前記第1壁部の上端部から前方に突出する庇部をさらに備える点にある。
【0018】
本構成によれば、第1壁部の上端部から前方に突出する庇部によって、ラジエータからの温風が第1壁部の上方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0019】
走行時には、庇部によって、走行風が第1壁部の上方を通ってラジエータの後方側に抜けることを低減させることができる。よって、走行風がラジエータの前方側に集中すると共に、走行風が増速する。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、前記第1壁部は、上方ほど幅が広くなるように形成されている点にある。
【0021】
本構成によれば、作業車が備えるタイヤ等との干渉を回避しつつ、第1壁部をラジエータの側部から横方向に向かって極力延出させることができる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、弾性部材で構成されている点にある。
【0023】
本構成によれば、第1遮蔽部材を所望の形状に折り曲げつつラジエータに取り付けることができる。また、第2遮蔽部材をラジエータの下部に吊り下げると、走行時に撓んで後方に傾斜し易くなる。
【0024】
さらに、第1遮蔽部材及び第2遮蔽部材の取り付けに際して、第1遮蔽部材や第2遮蔽部材の付勢力を利用して第1遮蔽部材や第2遮蔽部材をラジエータに密接させることが可能となる。よって、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】作業車を示す側面図である。
【図2】車体フレームを示す側面図である。
【図3】車体フレームを示す平面図である。
【図4】車体フレームを示す前面図である。
【図5】車体フレームを示す後面図である。
【図6】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図7】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す前面図である。
【図8】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】第1遮蔽部材の折り曲げの前後に亘る状態を示す斜視図である。
【図10】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す前面図である。
【図11】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す前面図である。
【図12】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す側面図である。
【図13】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る作業車について説明する。
【0027】
本発明の作業車としての多目的四輪車(UV)は、ラジエータに遮蔽部材を取り付けることで、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを防止するものである。以下、各図面に基づいて本発明に係る実施形態を説明する。
【0028】
図1に示すように、多目的四輪車(UV)は、操向操作可能で駆動可能な右および左の前輪1と駆動可能な右および左の後輪2とによって自走する車両本体3を備えている。その車両本体3の前後中間部には、ロプスフレーム9および乗員が着座可能な運転座席10を有する運転部4が装備されている。運転部4の後方には、荷を積載可能な荷台5が装備されている。車両本体3の車体フレーム6の後部には、エンジン8が装備され、そのエンジン8の後方には、静油圧式無段変速装置を有するミッションケース(図示しない)が装備されている。ミッションケースはエンジン8の後側でかつ右および左の後輪2の中間に位置している。車両本体3の前部には、ラジエータ56を覆うボンネット11が装備されている。ボンネット11は、側部カバーと、上部カバーと、空気を流入可能な前部カバーと、を備えている。
【0029】
ミッションケースの両横側部には、右および左の後輪2が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、ミッションケースを介して静油圧式無段変速装置に伝達されて右および左の後輪2が回転駆動する。
【0030】
ミッションケースから前輪駆動軸(図示しない)が前方に延び、この前輪駆動軸には、前輪デフ装置(図示しない)を介して右および左の前輪1が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、静油圧式無段変速装置を介して前輪デフ装置に伝達されて右および左の前輪1が回転駆動する。
【0031】
以下、車体フレームの各種フレームについて説明する。
図2〜図7に示すように、車体フレーム6は、左右一対の前後向きの第1フレーム21(メインフレーム)と、それら第1フレーム21に亘って架設された複数(本実施形態では4つ)の横向きの第2フレーム22とを備えて、平面視ではしご状に構成してある。第1フレーム21、並びに、前端および後端の第2フレーム22は、角筒状に構成してある。前寄りおよび後寄りの第2フレーム22は、上面部22bとその上面部22bの前後方向の両端から下方に延びる側面部22aと、それら側面部22aの下端から前後方向に延びる鍔部22cとを備えて、断面形状がハット状に構成してある。
【0032】
前端の第2フレーム22の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第3フレーム23が固定されている。それら第3フレーム23の下面には、金属製の前側の板状部材24が取り付けられている。
【0033】
左右一対の第1フレーム21の前端部の夫々には、左右一対の第4フレーム25が立設されている。それら第4フレーム25の上下中間部に亘って第5フレーム26が連結されている。第5フレーム26の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第6フレーム27が固定されている。第6フレーム27は、側面視で第3フレーム23よりも上方に位置しかつ平面視で第3フレーム23よりも横外側に位置してある。
【0034】
左右一対の第3フレーム23の前部および左右一対の第6フレーム27の前部には、台形状の第1支持板51が固定されている。具体的には、図4に示すように、右の第3フレーム23の上面が、第1支持板51の右下の角部に固定されている。左の第3フレーム23の上面が、第1支持板51の左下の角部に固定されている。右の第6フレーム27の内側面および下面の一部が、第1支持板51の右上の角部に固定されている。左の第6フレーム27の内側面および下面の一部が、第1支持板51の左上の角部に固定されている。第1支持板51には、台形状の穴が形成されている。これにより、第1支持板51は、台形のフレーム構造を構成してある。なお、第1支持板51の外周縁部および内周縁部には、それぞれ後方に延びる第1鍔部71および第2鍔部72が形成されている。
【0035】
左右一対の第4フレーム25の上端部の夫々には、前方に延びる左右一対の第7フレーム28が固定されている。左右一対の第7フレーム28の前部に亘って、横向きの第2支持板52が固定されている。左右一対の第6フレーム27と左右一対の第7フレーム28とに亘って、上下方向から横外方側に傾斜する方向に延びる左右一対の第17フレーム53が固定されている。これにより、第1支持板51の上辺部分、第2支持板52、および第17フレーム53は、台形のフレーム構造を構成してある。左右一対の第17フレーム53の上下中間部の夫々には、前方に延びる左右一対のステー54が固定されている。
【0036】
第2支持板52は、前面部52aと、前面部52aの上部から後方に延びる横面部52bと、横面部52bの後部の両端部分から上方に延びる左右一対の第1折曲部52cと、横面部52bの後部の中間部分から上方に延びる第2折曲部52dと、左右一対の第1折曲部52cに亘って固定された横向きの連結部52eと、を備えている。
【0037】
前面部52aには、横方向に並ぶ複数の丸穴が形成されている。前面部52aの両端部が左右一対の第17フレーム53の側面に支持固定されている。横面部52bの両端部が左右一対の第7フレーム28の上面に載置固定されている。第2折曲部52dの中央部には、1つの丸穴が形成されている。第2折曲部52dの両横側部にコ字状の切込を入れて前方に折り曲げることで、第2折曲部52dの両横側部に2つの矩形状の穴および矩形状の折曲部を形成してある。
【0038】
左右一対の第6フレーム27の前部の夫々には、横内方側に延びる左右一対の取付部材55が固定されている。左右一対の取付部材55には、ゴム等の防振部材を介してラジエータ56が載置固定されている。
【0039】
ラジエータ56は、エンジン8との間で冷却水を循環流動可能に構成してある。ラジエータ56は、フィンおよびパイプを有するコア部と、そのコア部の上部に設置されたアッパータンクと、その下部に設置されたロアータンクとを備えて、ダウンフロー式に構成してある。ラジエータ56の後側には、冷却ファン70が設置されている。冷却ファン70は、外気をラジエータ56のコア部に導入可能に構成してある。
【0040】
第3フレーム23および第6フレーム27の両横側部の夫々には、上下揺動可能な前側のサスペンションアーム31を介して右および左の前輪1が支持されている。
【0041】
左右一対の第1フレーム21の前後中間部、その前後中間部から後寄りの箇所、および後端部の夫々には、左右一対の第10〜第12フレーム32〜34が立設されている。第10フレーム32の上端部と第11フレーム33の上下中間部とに亘って第13フレーム35が連結されている。第11フレーム33の上端部と第12フレーム34の上端部とに亘って第14フレーム36が連結されている。第14フレーム36は第12フレーム34から後方に突出している。
【0042】
後端の第2フレーム22の左右中間部には、後方に延びる第15フレーム37が固定されている。その第15フレーム37の下面には、金属製の後側の板状部材38が取り付けられている。
【0043】
後側の板状部材38と第14フレーム36の突出部分とに亘って前後一対の第16フレーム39が連結されている。それら第16フレーム39の両横側部の夫々には、上下揺動可能な後側のサスペンションアーム40を介して右および左の後輪2が支持されている。
【0044】
以下、ラジエータに各遮蔽部材を取り付けた構成について説明する。
【0045】
図6から図8に示すように、ラジエータ56の上下幅(ラジエータ56の上端部から下端部)に亘って配設され、ラジエータ56の側部から前方(ラジエータ56への空気の流入方向の上手側)且つ側方に向かって延びているゴム製の第1遮蔽部材61(弾性部材の一例)をボンネット11の内部に備えている。
【0046】
具体的には、第1遮蔽部材61は、上方ほど幅が広くなる台形状の第1壁部62と、長方形状の第2壁部63と、正方形状の庇部64とを備えている。
【0047】
第1壁部62は、第17フレーム53に連結されている。第1壁部62の横内方側(ラジエータ56の側)の端部は、ラジエータ56の側部に近接させてある。第1壁部62は、ラジエータ56の側部から横方向(側方)に延びて該第17フレーム53から横方向に突出してある。
【0048】
第2壁部63は、ステー54に連結されている。第2壁部63は、第1壁部62の横外方側(ラジエータ56の側と反対側)の端部から前方に突出してある。第2壁部63は、上側の角部を切り欠いて傾斜部を形成してある。
【0049】
図9に示すように、第1壁部62の上端部には、略直角三角形状の第1突出部が形成されている。第2壁部63の上端部にも、同様に略直角三角形状の第2突出部が形成されている。第1突出部と第2突出部とを内方側に折り曲げ、第1突出部の斜辺部分と第2突出部の斜辺部分とを重ね合わせた状態で固定する。これにより、第1突出部および第2突出部が、正方形状の庇部64を構成する。
【0050】
ラジエータ56の横幅(ラジエータ56の右端部から左端部)に亘って配設され、ラジエータ56の下部に吊り下げ配置されるゴム製の第2遮蔽部材65(弾性部材の一例)を、ボンネット11の内部に備えている。
【0051】
具体的には、第2遮蔽部材65は、ラジエータ56の下部に連結されている。第2遮蔽部材65は、平面視で第1支持板51とほぼ同形の台形状に形成してあり、ラジエータ56の下部から下方に延びて第1支持板51の後部に近接する台形状の第3壁部66と、第3壁部66の下辺部から下方に延びて左右一対の第3フレーム23の間に入り込む矩形状の第5壁部68と、を備えている。
【0052】
ラジエータ56の幅に亘って配設され、ラジエータ56の上部から後方下方に向かって延びる導風板69を、ボンネット11の内部に備えている。
【0053】
以下、各遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止する構成について説明する。
【0054】
ラジエータ56の側部から横方向に突出している第1壁部62、および、第1壁部62の横外方側の端部から前方に突出している第2壁部63によって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の側方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。また、第2壁部63の先端部とボンネット11との隙間がラジエータ56の前方側に位置しているので、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の前方側に回り込む距離が増大する。
【0055】
しかも、第1遮蔽部材61がラジエータ56の前方側に位置してあるので、第1遮蔽部材61の後方側の空間の体積を極力大きくとることができ、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の貯留性が高まる。このため、前記高温の空気のほとんどが、前記後方側の空間の下方から後方に流れてしまい、前記高温の空気の一部が、第2壁部63の先端部とボンネット11との隙間から第1遮蔽部材61の前方側の空間に漏れ出すことはなくなる。
【0056】
ラジエータ56の下部から下方に向かって延びる第2遮蔽部材65によって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の下方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0057】
ラジエータ56の幅に亘って配設され、ラジエータ56の上部から後方下方に向かって延びる導風板69によって、ラジエータ56からの温風が後方下方に案内される。よって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の上方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0058】
走行時には、第1遮蔽部材61によって走行風がラジエータ56の前方側へ集められてラジエータ56に案内される。よって、ラジエータ56の冷却性能が向上する。
【0059】
また、第2遮蔽部材65が走行風を受けて後方に傾斜する。第2遮蔽部材65によってラジエータ56からの温風が該第2遮蔽部材65の先端部に案内される。また、第2遮蔽部材65によってラジエータ56の下方を通過する走行風が該第2遮蔽部材65の先端部に案内される。このとき、第2遮蔽部材65の先端部に案内された走行風が、第2遮蔽部材65の先端部に案内された温風を巻き込みつつ後方に流れることになる。このため、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)第1遮蔽部材61が、ラジエータ56の側部から横方向に延びる第1壁部62と、第1壁部62の横外方側の端部から前方に延びる第2壁部63と、庇部64とを備える構成に代えて、第1遮蔽部材61が、ラジエータ56の側部から横外方に傾斜する方向に延びる壁部と、庇部64とを備える構成にしてもよい。さらに、庇部64を省略してもよい。
【0061】
(2)図10〜図13に示すように、第2遮蔽部材65は、第3壁部66の両横側部の夫々から延びる左右一対の矩形状の第4壁部67を備えてもよい。
この第4壁部67は、図10に示すように、第3壁部66の両横側部の夫々から側方に延びている。
第2遮蔽部材65は、走行風を受けて後方に傾斜する。ただし、第2遮蔽部材65が走行風を受けてフラッタリング(バタツキ)を起こすこともある。このような場合、図11〜図13に示すように、第4壁部67を前方に折り曲げて第1支持板51の第1鍔部71の横内側に近接させ、ボルト73によって第1鍔部71と第4壁部67とを連結する。これにより、第2遮蔽部材65のフラッタリングを防止できる。
【0062】
つまり、第2遮蔽部材65を、第1鍔部71と第4壁部67とが連結する連結状態と、第1鍔部71と第4壁部67とが連結しない非連結状態とに切り換えることによって、第2遮蔽部材65のフラッタリングを防止しつつ温風の遮蔽機能を高めることができる。
【0063】
(3)第1遮蔽部材61及び第2遮蔽部材65の取り付けに際して、第1遮蔽部材61や第2遮蔽部材65の付勢力を利用して第1遮蔽部材61の横内方側の端部をラジエータ56の側部に密接させ、第2遮蔽部材65の上側の端部をラジエータ56の下部に密接させてもよい。これにより、ラジエータから56の温風がラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。
【0064】
(4)第1遮蔽部材61および第2遮蔽部材65は、板金製で構成してもよく、材質は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、多目的四輪車(UV)の他、各種トラクターやバックホー等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
8 エンジン
11 ボンネット
56 ラジエータ
61 第1遮蔽部材
62 第1壁部
63 第2壁部
64 庇部
65 第2遮蔽部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車として、ラジエータの上部および側部から外方側に延出してボンネットの内面に近接する仕切り板を設けたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業車においては、ラジエータからの温風がラジエータの下方を通ってラジエータの前方側に回り込むことがあり、ラジエータの冷却性能が低下することがあった。特に、走行を停止した状態でエンジンを作動させるときには、走行風が後方へ流動しないために、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込み易く、ラジエータの冷却性能が低下し易くなる。
【0005】
また、仕切り板の先端部とボンネットの内面との間に隙間が生じることがある。このとき、仕切り板の後方側の空間に滞留した高温の空気が、上記隙間から仕切り板の前方側の空間に漏れ出して、ラジエータの前方側に回り込むことがあり、ラジエータの冷却性能が低下することがあった。
【0006】
本発明の目的は、ラジエータの冷却性能を良好に維持できる作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車において、前記ラジエータの上下幅に亘って配設され、前記ラジエータの側部から前記ラジエータへの空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材と、前記ラジエータの横幅に亘って配設され、前記ラジエータの下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材と、をボンネットの内部に備えた点にある。
【0008】
本構成によれば、ラジエータの側部から前方側且つ側方に向かって延出する第1遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの側方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0009】
第1遮蔽部材の後方側の空間の体積が小さいと、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の多くが、前記後方側の空間の下方から後方に流動するとともに、前記高温の空気の一部が、第1遮蔽部材の先端部とボンネットの内面との間の隙間から第1遮蔽部材の前方側の空間に漏れ出して、ラジエータの前方側に回り込むことがある。
【0010】
これに対し、本構成のように、第1遮蔽部材がラジエータの前方側に位置してあれば、第1遮蔽部材の後方側の空間の体積を極力大きくとることができ、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の貯留性が高まる。このため、前記高温の空気のほとんどが、前記後方側の空間の下方から後方に流動してしまい、前記高温の空気の一部が、前記隙間から前記前方側の空間に漏れ出すことはなくなる。
【0011】
前記隙間がラジエータの前方側に位置しているので、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込む距離が増大する。このため、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0012】
走行時には、第1遮蔽部材によって走行風がラジエータの前方側へ集められてラジエータに案内される。よって、ラジエータの冷却性能が向上する。
【0013】
第2遮蔽部材は、ラジエータの下部に吊り下げてあるから、停止時には、第2遮蔽部材がラジエータの下部から下方に向かって延出する。このとき、ラジエータの下部から下方に向かって延出する第2遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの下方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0014】
第2遮蔽部材は、ラジエータの下部に吊り下げてあるから、走行時には、第2遮蔽部材が走行風を受けて後方に傾斜する。第2遮蔽部材によってラジエータからの温風が該第2遮蔽部材の先端部に案内される。また、第2遮蔽部材によってラジエータの下方を通過する走行風が該第2遮蔽部材の先端部に案内される。このとき、第2遮蔽部材の先端部に案内された走行風が、第2遮蔽部材の先端部に案内された温風を巻き込みつつ後方に流動することになる。このため、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、前記第1遮蔽部材は、前記ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部と、前記第1壁部の前記ラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部とを備える点にある。
【0016】
本構成によれば、ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部、および、第1壁部のラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部によって、ラジエータからの温風がラジエータの側方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、前記第1遮蔽部材は、前記第1壁部の上端部から前方に突出する庇部をさらに備える点にある。
【0018】
本構成によれば、第1壁部の上端部から前方に突出する庇部によって、ラジエータからの温風が第1壁部の上方を通ってラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。よって、ラジエータの冷却性能が低下することを防止できる。
【0019】
走行時には、庇部によって、走行風が第1壁部の上方を通ってラジエータの後方側に抜けることを低減させることができる。よって、走行風がラジエータの前方側に集中すると共に、走行風が増速する。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、前記第1壁部は、上方ほど幅が広くなるように形成されている点にある。
【0021】
本構成によれば、作業車が備えるタイヤ等との干渉を回避しつつ、第1壁部をラジエータの側部から横方向に向かって極力延出させることができる。
【0022】
本発明の第5特徴構成は、前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、弾性部材で構成されている点にある。
【0023】
本構成によれば、第1遮蔽部材を所望の形状に折り曲げつつラジエータに取り付けることができる。また、第2遮蔽部材をラジエータの下部に吊り下げると、走行時に撓んで後方に傾斜し易くなる。
【0024】
さらに、第1遮蔽部材及び第2遮蔽部材の取り付けに際して、第1遮蔽部材や第2遮蔽部材の付勢力を利用して第1遮蔽部材や第2遮蔽部材をラジエータに密接させることが可能となる。よって、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】作業車を示す側面図である。
【図2】車体フレームを示す側面図である。
【図3】車体フレームを示す平面図である。
【図4】車体フレームを示す前面図である。
【図5】車体フレームを示す後面図である。
【図6】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図7】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す前面図である。
【図8】ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】第1遮蔽部材の折り曲げの前後に亘る状態を示す斜視図である。
【図10】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けた状態を示す前面図である。
【図11】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す前面図である。
【図12】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す側面図である。
【図13】別実施形態における、ラジエータに遮蔽部材を取り付けるとともに、第1支持板に第4壁部を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る作業車について説明する。
【0027】
本発明の作業車としての多目的四輪車(UV)は、ラジエータに遮蔽部材を取り付けることで、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを防止するものである。以下、各図面に基づいて本発明に係る実施形態を説明する。
【0028】
図1に示すように、多目的四輪車(UV)は、操向操作可能で駆動可能な右および左の前輪1と駆動可能な右および左の後輪2とによって自走する車両本体3を備えている。その車両本体3の前後中間部には、ロプスフレーム9および乗員が着座可能な運転座席10を有する運転部4が装備されている。運転部4の後方には、荷を積載可能な荷台5が装備されている。車両本体3の車体フレーム6の後部には、エンジン8が装備され、そのエンジン8の後方には、静油圧式無段変速装置を有するミッションケース(図示しない)が装備されている。ミッションケースはエンジン8の後側でかつ右および左の後輪2の中間に位置している。車両本体3の前部には、ラジエータ56を覆うボンネット11が装備されている。ボンネット11は、側部カバーと、上部カバーと、空気を流入可能な前部カバーと、を備えている。
【0029】
ミッションケースの両横側部には、右および左の後輪2が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、ミッションケースを介して静油圧式無段変速装置に伝達されて右および左の後輪2が回転駆動する。
【0030】
ミッションケースから前輪駆動軸(図示しない)が前方に延び、この前輪駆動軸には、前輪デフ装置(図示しない)を介して右および左の前輪1が連動連結されている。これにより、エンジン8からの動力が、静油圧式無段変速装置を介して前輪デフ装置に伝達されて右および左の前輪1が回転駆動する。
【0031】
以下、車体フレームの各種フレームについて説明する。
図2〜図7に示すように、車体フレーム6は、左右一対の前後向きの第1フレーム21(メインフレーム)と、それら第1フレーム21に亘って架設された複数(本実施形態では4つ)の横向きの第2フレーム22とを備えて、平面視ではしご状に構成してある。第1フレーム21、並びに、前端および後端の第2フレーム22は、角筒状に構成してある。前寄りおよび後寄りの第2フレーム22は、上面部22bとその上面部22bの前後方向の両端から下方に延びる側面部22aと、それら側面部22aの下端から前後方向に延びる鍔部22cとを備えて、断面形状がハット状に構成してある。
【0032】
前端の第2フレーム22の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第3フレーム23が固定されている。それら第3フレーム23の下面には、金属製の前側の板状部材24が取り付けられている。
【0033】
左右一対の第1フレーム21の前端部の夫々には、左右一対の第4フレーム25が立設されている。それら第4フレーム25の上下中間部に亘って第5フレーム26が連結されている。第5フレーム26の左右中間部には、前方上方に延びる左右一対の第6フレーム27が固定されている。第6フレーム27は、側面視で第3フレーム23よりも上方に位置しかつ平面視で第3フレーム23よりも横外側に位置してある。
【0034】
左右一対の第3フレーム23の前部および左右一対の第6フレーム27の前部には、台形状の第1支持板51が固定されている。具体的には、図4に示すように、右の第3フレーム23の上面が、第1支持板51の右下の角部に固定されている。左の第3フレーム23の上面が、第1支持板51の左下の角部に固定されている。右の第6フレーム27の内側面および下面の一部が、第1支持板51の右上の角部に固定されている。左の第6フレーム27の内側面および下面の一部が、第1支持板51の左上の角部に固定されている。第1支持板51には、台形状の穴が形成されている。これにより、第1支持板51は、台形のフレーム構造を構成してある。なお、第1支持板51の外周縁部および内周縁部には、それぞれ後方に延びる第1鍔部71および第2鍔部72が形成されている。
【0035】
左右一対の第4フレーム25の上端部の夫々には、前方に延びる左右一対の第7フレーム28が固定されている。左右一対の第7フレーム28の前部に亘って、横向きの第2支持板52が固定されている。左右一対の第6フレーム27と左右一対の第7フレーム28とに亘って、上下方向から横外方側に傾斜する方向に延びる左右一対の第17フレーム53が固定されている。これにより、第1支持板51の上辺部分、第2支持板52、および第17フレーム53は、台形のフレーム構造を構成してある。左右一対の第17フレーム53の上下中間部の夫々には、前方に延びる左右一対のステー54が固定されている。
【0036】
第2支持板52は、前面部52aと、前面部52aの上部から後方に延びる横面部52bと、横面部52bの後部の両端部分から上方に延びる左右一対の第1折曲部52cと、横面部52bの後部の中間部分から上方に延びる第2折曲部52dと、左右一対の第1折曲部52cに亘って固定された横向きの連結部52eと、を備えている。
【0037】
前面部52aには、横方向に並ぶ複数の丸穴が形成されている。前面部52aの両端部が左右一対の第17フレーム53の側面に支持固定されている。横面部52bの両端部が左右一対の第7フレーム28の上面に載置固定されている。第2折曲部52dの中央部には、1つの丸穴が形成されている。第2折曲部52dの両横側部にコ字状の切込を入れて前方に折り曲げることで、第2折曲部52dの両横側部に2つの矩形状の穴および矩形状の折曲部を形成してある。
【0038】
左右一対の第6フレーム27の前部の夫々には、横内方側に延びる左右一対の取付部材55が固定されている。左右一対の取付部材55には、ゴム等の防振部材を介してラジエータ56が載置固定されている。
【0039】
ラジエータ56は、エンジン8との間で冷却水を循環流動可能に構成してある。ラジエータ56は、フィンおよびパイプを有するコア部と、そのコア部の上部に設置されたアッパータンクと、その下部に設置されたロアータンクとを備えて、ダウンフロー式に構成してある。ラジエータ56の後側には、冷却ファン70が設置されている。冷却ファン70は、外気をラジエータ56のコア部に導入可能に構成してある。
【0040】
第3フレーム23および第6フレーム27の両横側部の夫々には、上下揺動可能な前側のサスペンションアーム31を介して右および左の前輪1が支持されている。
【0041】
左右一対の第1フレーム21の前後中間部、その前後中間部から後寄りの箇所、および後端部の夫々には、左右一対の第10〜第12フレーム32〜34が立設されている。第10フレーム32の上端部と第11フレーム33の上下中間部とに亘って第13フレーム35が連結されている。第11フレーム33の上端部と第12フレーム34の上端部とに亘って第14フレーム36が連結されている。第14フレーム36は第12フレーム34から後方に突出している。
【0042】
後端の第2フレーム22の左右中間部には、後方に延びる第15フレーム37が固定されている。その第15フレーム37の下面には、金属製の後側の板状部材38が取り付けられている。
【0043】
後側の板状部材38と第14フレーム36の突出部分とに亘って前後一対の第16フレーム39が連結されている。それら第16フレーム39の両横側部の夫々には、上下揺動可能な後側のサスペンションアーム40を介して右および左の後輪2が支持されている。
【0044】
以下、ラジエータに各遮蔽部材を取り付けた構成について説明する。
【0045】
図6から図8に示すように、ラジエータ56の上下幅(ラジエータ56の上端部から下端部)に亘って配設され、ラジエータ56の側部から前方(ラジエータ56への空気の流入方向の上手側)且つ側方に向かって延びているゴム製の第1遮蔽部材61(弾性部材の一例)をボンネット11の内部に備えている。
【0046】
具体的には、第1遮蔽部材61は、上方ほど幅が広くなる台形状の第1壁部62と、長方形状の第2壁部63と、正方形状の庇部64とを備えている。
【0047】
第1壁部62は、第17フレーム53に連結されている。第1壁部62の横内方側(ラジエータ56の側)の端部は、ラジエータ56の側部に近接させてある。第1壁部62は、ラジエータ56の側部から横方向(側方)に延びて該第17フレーム53から横方向に突出してある。
【0048】
第2壁部63は、ステー54に連結されている。第2壁部63は、第1壁部62の横外方側(ラジエータ56の側と反対側)の端部から前方に突出してある。第2壁部63は、上側の角部を切り欠いて傾斜部を形成してある。
【0049】
図9に示すように、第1壁部62の上端部には、略直角三角形状の第1突出部が形成されている。第2壁部63の上端部にも、同様に略直角三角形状の第2突出部が形成されている。第1突出部と第2突出部とを内方側に折り曲げ、第1突出部の斜辺部分と第2突出部の斜辺部分とを重ね合わせた状態で固定する。これにより、第1突出部および第2突出部が、正方形状の庇部64を構成する。
【0050】
ラジエータ56の横幅(ラジエータ56の右端部から左端部)に亘って配設され、ラジエータ56の下部に吊り下げ配置されるゴム製の第2遮蔽部材65(弾性部材の一例)を、ボンネット11の内部に備えている。
【0051】
具体的には、第2遮蔽部材65は、ラジエータ56の下部に連結されている。第2遮蔽部材65は、平面視で第1支持板51とほぼ同形の台形状に形成してあり、ラジエータ56の下部から下方に延びて第1支持板51の後部に近接する台形状の第3壁部66と、第3壁部66の下辺部から下方に延びて左右一対の第3フレーム23の間に入り込む矩形状の第5壁部68と、を備えている。
【0052】
ラジエータ56の幅に亘って配設され、ラジエータ56の上部から後方下方に向かって延びる導風板69を、ボンネット11の内部に備えている。
【0053】
以下、各遮蔽部材によって、ラジエータからの温風がラジエータの前方側に回り込むことを阻止する構成について説明する。
【0054】
ラジエータ56の側部から横方向に突出している第1壁部62、および、第1壁部62の横外方側の端部から前方に突出している第2壁部63によって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の側方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。また、第2壁部63の先端部とボンネット11との隙間がラジエータ56の前方側に位置しているので、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の前方側に回り込む距離が増大する。
【0055】
しかも、第1遮蔽部材61がラジエータ56の前方側に位置してあるので、第1遮蔽部材61の後方側の空間の体積を極力大きくとることができ、前記後方側の空間に滞留した高温の空気の貯留性が高まる。このため、前記高温の空気のほとんどが、前記後方側の空間の下方から後方に流れてしまい、前記高温の空気の一部が、第2壁部63の先端部とボンネット11との隙間から第1遮蔽部材61の前方側の空間に漏れ出すことはなくなる。
【0056】
ラジエータ56の下部から下方に向かって延びる第2遮蔽部材65によって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の下方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0057】
ラジエータ56の幅に亘って配設され、ラジエータ56の上部から後方下方に向かって延びる導風板69によって、ラジエータ56からの温風が後方下方に案内される。よって、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の上方を通ってラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0058】
走行時には、第1遮蔽部材61によって走行風がラジエータ56の前方側へ集められてラジエータ56に案内される。よって、ラジエータ56の冷却性能が向上する。
【0059】
また、第2遮蔽部材65が走行風を受けて後方に傾斜する。第2遮蔽部材65によってラジエータ56からの温風が該第2遮蔽部材65の先端部に案内される。また、第2遮蔽部材65によってラジエータ56の下方を通過する走行風が該第2遮蔽部材65の先端部に案内される。このとき、第2遮蔽部材65の先端部に案内された走行風が、第2遮蔽部材65の先端部に案内された温風を巻き込みつつ後方に流れることになる。このため、ラジエータ56からの温風がラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止できる。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)第1遮蔽部材61が、ラジエータ56の側部から横方向に延びる第1壁部62と、第1壁部62の横外方側の端部から前方に延びる第2壁部63と、庇部64とを備える構成に代えて、第1遮蔽部材61が、ラジエータ56の側部から横外方に傾斜する方向に延びる壁部と、庇部64とを備える構成にしてもよい。さらに、庇部64を省略してもよい。
【0061】
(2)図10〜図13に示すように、第2遮蔽部材65は、第3壁部66の両横側部の夫々から延びる左右一対の矩形状の第4壁部67を備えてもよい。
この第4壁部67は、図10に示すように、第3壁部66の両横側部の夫々から側方に延びている。
第2遮蔽部材65は、走行風を受けて後方に傾斜する。ただし、第2遮蔽部材65が走行風を受けてフラッタリング(バタツキ)を起こすこともある。このような場合、図11〜図13に示すように、第4壁部67を前方に折り曲げて第1支持板51の第1鍔部71の横内側に近接させ、ボルト73によって第1鍔部71と第4壁部67とを連結する。これにより、第2遮蔽部材65のフラッタリングを防止できる。
【0062】
つまり、第2遮蔽部材65を、第1鍔部71と第4壁部67とが連結する連結状態と、第1鍔部71と第4壁部67とが連結しない非連結状態とに切り換えることによって、第2遮蔽部材65のフラッタリングを防止しつつ温風の遮蔽機能を高めることができる。
【0063】
(3)第1遮蔽部材61及び第2遮蔽部材65の取り付けに際して、第1遮蔽部材61や第2遮蔽部材65の付勢力を利用して第1遮蔽部材61の横内方側の端部をラジエータ56の側部に密接させ、第2遮蔽部材65の上側の端部をラジエータ56の下部に密接させてもよい。これにより、ラジエータから56の温風がラジエータ56の前方側に回り込むことを阻止して、温風の遮蔽機能を高めることができる。
【0064】
(4)第1遮蔽部材61および第2遮蔽部材65は、板金製で構成してもよく、材質は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、多目的四輪車(UV)の他、各種トラクターやバックホー等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
8 エンジン
11 ボンネット
56 ラジエータ
61 第1遮蔽部材
62 第1壁部
63 第2壁部
64 庇部
65 第2遮蔽部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車において、前記ラジエータの上下幅に亘って配設され、前記ラジエータの側部から前記ラジエータへの空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材と、前記ラジエータの横幅に亘って配設され、前記ラジエータの下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材と、をボンネットの内部に備えた作業車。
【請求項2】
前記第1遮蔽部材は、前記ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部と、前記第1壁部の前記ラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部とを備える請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記第1遮蔽部材は、前記第1壁部の上端部から前方に突出する庇部をさらに備える請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記第1壁部は、上方ほど幅が広くなるように形成されている請求項2又は3に記載の作業車。
【請求項5】
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、弾性部材で構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の作業車。
【請求項1】
エンジン冷却水を冷却するラジエータを備えた作業車において、前記ラジエータの上下幅に亘って配設され、前記ラジエータの側部から前記ラジエータへの空気の流入方向の上手側且つ側方に向かって延出している第1遮蔽部材と、前記ラジエータの横幅に亘って配設され、前記ラジエータの下部に吊り下げ配置される第2遮蔽部材と、をボンネットの内部に備えた作業車。
【請求項2】
前記第1遮蔽部材は、前記ラジエータの側部から側方に突出した第1壁部と、前記第1壁部の前記ラジエータの側と反対側の端部から前方に突出した第2壁部とを備える請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記第1遮蔽部材は、前記第1壁部の上端部から前方に突出する庇部をさらに備える請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記第1壁部は、上方ほど幅が広くなるように形成されている請求項2又は3に記載の作業車。
【請求項5】
前記第1遮蔽部材及び前記第2遮蔽部材は、弾性部材で構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−25282(P2012−25282A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166300(P2010−166300)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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