作業車
【課題】操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるものでありながら、制御手段が故障した場合であってもエンジンを始動させることが可能となる作業車を提供する。
【解決手段】エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段Hが、キースイッチ90がオン操作されている状態において、キースイッチ90以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にてエンジンの作動を停止させたのちにエンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成され、制御手段Hからのエンジン始動用装置Jに対する作動指令が無い場合であっても、キースイッチ90の操作によりエンジン始動用装置Jを作動させることが可能な操作連係部Zが設けられている。
【解決手段】エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段Hが、キースイッチ90がオン操作されている状態において、キースイッチ90以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にてエンジンの作動を停止させたのちにエンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成され、制御手段Hからのエンジン始動用装置Jに対する作動指令が無い場合であっても、キースイッチ90の操作によりエンジン始動用装置Jを作動させることが可能な操作連係部Zが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、
前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としての乗用型田植機では、従来、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されるとエンジン停止処理を実行し、走行用の変速操作具がエンジン停止位置から別の操作位置に操作されると、エンジン始動処理を実行するように構成されており、キースイッチからの指令が制御手段としての制御装置に入力され、セルモータと調速装置とが夫々、制御装置にて制御される構成のものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された作業車は、例えば、消費された植付け苗を補給する作業等を行うために圃場内での作業を一時中断させるような場合に、キースイッチ以外の他の操作具としての走行用の変速操作具を操作することにより、前記エンジン停止処理及び前記エンジン始動処理を実行することにより、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−94753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、制御装置が正常に作動しているときは問題はないが、例えば、エンジンが作動停止している状態で、制御装置が故障すると、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されたり、キースイッチによりエンジンの始動が指令されても、制御装置から制御信号が出力されない状態になり、エンジンを始動させることができないものとなる。そうすると、例えば、圃場内で作業しているような場合に制御手段が故障すると、車体を圃場から脱出させて修理を行える場所まで移動させる等の対応が取ることができない不利がある。
【0006】
本発明の目的は、操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるものでありながら、制御手段が故障した場合であっても、エンジンを始動させることが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記制御手段からの前記エンジン始動用装置に対する作動指令が無い場合であっても、前記キースイッチの操作により前記エンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられている点にある。
【0008】
第1特徴構成によれば、キースイッチ以外の他の操作具を操作して前記エンジン停止処理を実行し、その後、前記エンジン始動処理を実行することにより、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となる。
【0009】
そして、制御手段からのエンジン始動用装置に対する作動指令が無くても、キースイッチの操作によりエンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられるから、エンジンが作動停止している状態で、制御手段が故障したような場合であっても、キースイッチを操作することによりエンジン始動用装置を作動させることが可能となる。
その結果、例えば、圃場内で作業しているような場合に制御手段が故障したような場合であれば、車体を圃場から脱出させて修理を行える場所まで移動させる等の対応が取ることが可能となる。
【0010】
従って、操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり騒音の低減を図ることが可能となるものでありながら、制御手段が故障した場合であっても、エンジンを始動させることが可能となる作業車を提供できるに至った。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記エンジン始動用装置が、前記エンジンのクランク軸を回動操作するエンジン始動用電動モータと、前記エンジンに対して燃料を供給するための燃料ポンプとを備えて構成されている点にある。
【0012】
第2特徴構成によれば、キースイッチを操作することによりエンジン始動用装置を作動させると、燃料ポンプによりエンジンに対して燃料を供給され、且つ、エンジン始動用電動モータによりエンジンのクランク軸が回動操作されることになり、エンジンを良好に始動させることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記キースイッチが、オン操作されている状態においてエンジン始動位置に操作自在に構成され、
前記操作連係部が、
前記キースイッチのオフ操作にて非導通状態となり且つ前記キースイッチのオン操作にて導通状態となる第1のリレーと、前記制御手段から前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ前記制御手段から前記燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとを、バッテリーから前記燃料ポンプに対する電源供給路に直列状態で備えて構成され、さらに、
前記キースイッチによる前記エンジン始動位置への操作あるいは前記制御手段からの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、前記エンジン始動位置への操作及び前記回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーを、バッテリーから前記エンジン始動用モータに対する電源供給路に備えて構成されている点にある。
【0014】
第3特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されると、第1のリレーが導通状態となる。又、制御手段から燃料供給指令がなければ第2のリレーが導通状態となり、バッテリーから燃料ポンプに対する電源供給路が導通状態となって、燃料ポンプが作動する。そして、キースイッチのエンジン始動位置への操作があれば、制御手段からの回動操作指令が無くても、第3のリレーが導通状態になり、バッテリーからエンジン始動用モータに対する電源供給路が導通状態となって、エンジン始動用モータが作動する。
【0015】
その結果、エンジンに対して燃料が供給されるとともに、クランク軸が回動操作されることになり、制御手段からの燃料供給指令及び回動操作指令のいずれも指令されていない状態であっても、キースイッチの操作によりエンジンを始動させることができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、エンジン冷却用のラジエータに冷却風を供給する電動ファンが備えられ、
前記操作連係部が、前記キースイッチのオン操作により前記燃料ポンプを作動させるときは前記燃料ポンプと共に前記電動ファンを作動させるように構成されている点にある。
【0017】
第4特徴構成によれば、エンジン冷却用のラジエータが電動ファンによって冷却されるが、この電動ファンは、キースイッチのオン操作により燃料ポンプを作動させるときに燃料ポンプと共に作動することになる。
【0018】
電動ファンをキースイッチの操作とは別に、別途設けられた操作具にて作動を指令する構成とすることもできるが、このような構成では、キースイッチの操作によりエンジンを始動させたときに、前記操作具による電動ファンの始動操作を忘れるおそれがあるが、第4特徴構成によれば、このような不利がなく、電動ファンを適切に作動させることができる。
【0019】
従って、制御手段が故障しており、キースイッチの操作によりエンジンを始動させるときに、電動ファンも適切に作動させることができ、エンジンを有効に冷却させることができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、車体に搭載される複数の電装品のうちの特定の電装品への電源供給路を断続自在な電源断続手段が設けられ、
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行すると、前記電源断続手段を遮断状態に切り換えるように構成されている点にある。
【0021】
第5特徴構成によれば、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止処理が実行されると、電源断続手段が遮断状態に切り換えられて、特定の電装品への電源供給が遮断されることになる。
【0022】
エンジン停止処理が実行されるときは、キースイッチがオン操作されている状態であり、バッテリーから車体に搭載される複数の電装品に対する電源供給が継続して行われている状態である。しかし、そのとき、エンジンが作動を停止しており、バッテリーに対する充電処理が行われていないので、電装品にて多くの電力が消費されると、バッテリーの充電量が早期に低下してしまうおそれがある。
【0023】
そこで、車体に搭載される複数の電装品のうちで、特に電力消費が多く且つ作動を停止させても作業上支障がないと考えられる特定の電装品について電源供給を遮断する構成とすることで、電力消費量を抑制して、バッテリーの充電量が早期に低下する不利を回避させることができる。
【0024】
本発明の第6特徴構成は、前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記他の操作具が操作された場合であっても、前記特定の電装品が作動しているときは、前記エンジン停止処理を実行しないように構成されている点にある。
【0025】
第6特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されている状態において、特定の電装品が作動しているときは、他の操作具が操作された場合であってもエンジン停止処理を実行しないのである。
【0026】
エンジン停止処理が実行されるときは、キースイッチがオン操作されている状態であり、バッテリーから車体に搭載される電装品に対する電源供給が継続して行われている状態である。しかし、そのとき、エンジンが作動を停止しており、バッテリーに対する充電処理が行われていないので、電装品にて多くの電力が消費されると、バッテリーが放電して充電量が早期に低下してしまうおそれがある。
【0027】
そこで、車体に搭載される複数の電装品のうちで、特に電力消費が多い特定の電装品が作動しているときにエンジンを停止させると、バッテリーの放電量が多くなるので、特定の電装品が作動して車体全体として電力消費が多いときは、エンジンを停止させないようにすることで、バッテリーの充電量が早期に低下する不利を回避させることができる。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、前記特定の電装品が、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するために点灯する補助作業灯である点にある。
【0029】
補助作業灯は、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するためのものであり、大きな光量を必要とするものであり、しかも、複数備えられる場合があるので、電力消費が大きくなる。
【0030】
そこで、このような補助作業灯を使用しているときに、キースイッチ以外の他の操作具の操作があると、補助作業灯への電源供給を遮断してエンジン停止処理が実行するようにしたり、又は、補助作業灯への電源供給を継続しながらエンジン停止処理の実行を停止させたりするようにすることで対応するのである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】動力系統図である。
【図4】主変速装置の操作構造を示す側面図である。
【図5】主変速装置の操作構造を示す正面図である。
【図6】変速操作用のガイド板の平面図である。
【図7】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図8】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図9】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】電源供給状態を示す図である。
【図12】情報表示部の表示内容を示す図である。
【図13】制御動作のフローチャートである。
【図14】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る作業車の実施形態を作業車の一例としての乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0033】
図1,2に示すように、本発明の実施形態に係る乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1、及び左右一対の駆動自在な後輪2が装備された走行機体3を備え、この走行機体3の後部に作業装置としての苗植付装置4がアクチュエータとしての油圧シリンダ5にて駆動昇降自在にリンク機構6を介して連結され、走行機体3の車体後部に施肥装置7を備えて構成されている。
【0034】
走行機体3における機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9から前方に延出された前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載されてボンネット13で覆われているとともに、エンジン12の後方に位置する搭乗運転部には、前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14、運転座席15、運転部ステップ16などが備えられ、また、機体前部の左右には、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台17が設けられている。
【0035】
エンジン12は水冷式であり、図示しないウォータージャケット内のエンジン冷却水をラジエータ30との間で循環させ、ラジエータ冷却用の電動式のファン(以下、ラジエータ電動ファンという)31によりラジエータ30に送風して冷却するように構成されている。
【0036】
苗植付装置4は、6条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台21、苗のせ台21の下端から1株分ずつ苗を切り出して圃場に植付けてゆく6組の回転式の植付機構22、植付け箇所を整地する3個の接地フロート23等を備えて構成されている。
【0037】
施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー24、この肥料ホッパー24内の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構25、繰り出された肥料を供給ホース26を介して各接地フロート23に備えた作溝器27に風力搬送する電動ブロア28等を備えており、作溝器27によって田面Gに形成した溝に肥料を送り込んで埋設してゆくよう構成されている。
【0038】
図3に示すように、ミッションケース9の側面には、エンジン12にベルト連動された静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が連結され、その出力がミッションケース9に入力されて作業系と走行系とに分岐される。分岐された作業系の動力は、ワンウェイクラッチ42によってその正転動力のみが取出され、手動操作にて6段のギヤ変速が可能な株間変速機構43および植付クラッチ(図示せず)を経て作業用動力取出し軸(PTO軸)45から取出され、苗植付装置4に伝達されるようになっている。
【0039】
分岐された走行系動力は、ギヤ式の副変速装置47によって高低2段に変速された後、前輪系と後輪系に再度分岐され、前輪系の動力はデフロック可能な差動装置48を介して左右の前輪1に伝達されるとともに、後輪系の動力は伝動軸49を介して後部伝動ケース10に伝達され、多板式のサイドクラッチ50を介して左右の後輪2に伝達される。又、後部伝動ケース10には機体停止用の多板式のブレーキ51が装備されており、このブレーキ51は、運転部ステップ16の右側足元に配備された足踏み操作式のブレーキ操作具52に機械的に連動連結されている。
【0040】
又、図8〜図10に示すように、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されたことを検出するブレーキ操作検出手段としてのブレーキセンサS1が備えられている。このブレーキセンサS1は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されていなければオフ状態となり、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されるとオン状態に切り換わるように構成されている。
【0041】
主変速装置41は、ステアリングハンドル14の左脇に配備された主変速レバー53(他の操作具Dの一例)で変速操作され、副変速装置47は、運転座席15の左横側に配備された副変速レバー54によって切換え操作されるようになっている。
【0042】
次に、主変速装置41の変速操作構造について説明する。
図4,5に示すように、ステアリングハンドル14を支持するように立設されたハンドルポスト55には支持ブラケット56が固着され、この支持ブラケット56の左側端部には、支軸57を介してデテント板58が横向き支点a周りに前後揺動可能に支持され、このデテント板58に主変速レバー53が前後向き支点b周りに左右揺動可能に支持されている。ハンドルポスト55を立設支持する支持枠59に、横向き支点c周りに回動可能に中継回動部材60が支持されており、この中継回動部材60とデテント板58とが連係ロッド61を介して連係され、さらに、この中継回動部材60と、主変速装置41の変速操作軸62に連結された変速アーム63とが操作ロッド64を介して連係されている。
【0043】
支持ブラケット56にはガイド板65が固着されており、このガイド板65に形成された段違い状の案内溝66に係合する基端側案内部53aが主変速レバー53の基端部に一体的に設けられている。
すなわち、図5及び図6に示すように、主変速レバー53の基部に、棒体を略L字形に折り曲げて形成された基端側案内部53aが一体的に固定される状態で設けられている。この基端側案内部53aがデテント板58にて前後向き支点bの周りで回動自在に支持されており、案内溝66を上下に貫通しており、案内溝66と基端側案内部53aとの係合案内作用によって主変速レバー53を所定の段違い操作経路に沿って前後に揺動すべく案内するように構成されている。
【0044】
図6に示すように、段違い操作経路の段違い部位が主変速装置41の中立位置Nに相当し、中立位置Nは前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとがあり、前進側中立位置Nfの前方に前進変速操作経路Fが形成され、且つ、後進側中立位置Nrの後方に後進変速操作経路Rが形成されている。
【0045】
図4に示すように、デテント板58の外周に並列形成した9つの凹部67に、片持ちバネレバー68の遊端に支持したデテントローラ69を弾性係入させることで、主変速レバー53を前進5段(F1〜F5)、中立位置N、および、後進3段(R1〜R3)の各変速位置に保持することができるようになっている。
【0046】
図6に示すように、ガイド板65に形成される案内溝66における前進側中立位置Nfの横外側には、走行停止状態をもたらすエンジン停止位置Qが設定されるとともに、主変速レバー53の基端側案内部53aがエンジン停止位置Qに操作されたことを検知する停止位置検出センサS2が装備されている。
【0047】
そして、主変速レバー53の横方向への操作の中心となる前後向き支点bには、ネジリバネ70が装備されており、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに向けて移動付勢されるように構成されている。
又、案内溝66における前進側中立位置Nfとエンジン停止位置Qとの間には、バネ板からなる弾性抵抗部材79が設けられ、前進側中立位置Nfからエンジン停止位置Qへの移動に適度の抵抗が付与されるように構成されている。
【0048】
弾性抵抗部材79による抵抗力を、主変速レバー53がネジリバネ70によってエンジン停止位置Qに向けて操作される付勢力よりも大きく設定しておくことで、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに位置する状態で手を離しても直ちにエンジン停止位置Qに移行することはなく、意識的に弾性抵抗部材79を乗り越える操作を行ってエンジン停止位置Qに移行させることになる。
【0049】
主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作すると停止位置検出センサS2がオン状態になり、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから離れると、停止位置検出センサS2がオフ状態になるように構成されている。
【0050】
次に、図7〜図9を参照しながら、主変速レバー53とブレーキ操作具52との連係構造について説明する。
主変速レバー53が前進変速操作経路Fに操作されている前進走行状態、あるいは、後進変速操作経路Rに操作されている後進走行状態において、機体停止用のブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、主変速レバー53が中立位置Nにまで強制的に復帰操作されるように、主変速レバー53とブレーキ操作具52とが連動連係されている。
【0051】
説明を加えると、中継回動部材60の機体後方側箇所に、支点e周りに前後揺動可能に牽制作動部材81が配備されている。この牽制作動部材81にはアジャストボルト81bによって支点f周りに位置微調節可能な牽制金具81aが備えられており、牽制作動部材81の前縁部が、前記中継回動部材60の支点cより上方箇所に設けた第1接当ピン82に後方から対向するよう構成されるとともに、牽制金具81aの前縁部が、中継回動部材60の支点cより下方箇所に設けた第2接当ピン83に後方から対向するよう配備されている。
【0052】
他方、ブレーキ操作具52を連結したペダル支軸84の他端部には牽制操作アーム85が固着され、この牽制操作アーム85の遊端に回動自在に枢支したボス部材86に、前記牽制作動部材81の下端から後方に向けて延出された押し引きロッド87の後端部が挿通連結されている。ここで、押し引きロッド87は、ボス部材86に対して一定範囲でのみ前後にスライド自在に挿通支持されるとともに、予め初期圧縮変形して押し引きロッド87に外嵌装着した圧縮コイルバネ88によって押し引きロッド87はボス部材86に対して前方スライド限界にスライド付勢されている。
【0053】
図7は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が前進の最高速である前進5速F5にある状態を示し、また、図8は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が後進の最高速である後進3速R3にある状態を示している。
【0054】
主変速レバー53が前進変速操作経路Fにある状態(図7の状態)でブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、牽制操作アーム85が図中反時計方向に回動されることで押し引きロッド87が前方(図では左方)に突き出され、牽制作動部材81は支点e周りに時計方向に揺動操作される。これによって、図9に示すように、牽制作動部材81は第1接当ピン82を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り反時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0055】
また、主変速レバー53が後進変速操作経路Rにある状態(図8の状態)でブレーキ操作具52を踏み込み操作するときには、牽制作動部材81の牽制金具81aが第2接当ピン83を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0056】
主変速レバー53が中立位置Nに到ると(図9の状態)、第1接当ピン82および第2接当ピン83が共に牽制作動部材81に接当することで、牽制作動部材81及び中継回動部材60は、主変速レバー53が中立位置Nとなる一定姿勢に保持される。
なお、牽制作動部材81の牽制金具81aを位置調節することで、第1接当ピン82および第2接当ピン83を共に牽制作動部材81に接当させて中継回動部材60を正確に中立復帰させることができる。
【0057】
ここで、圧縮コイルバネ88によって与えられた初期圧縮力は、主変速レバー53を強制移動させるのに必要な操作力より大きく設定されており、主変速レバー53が中立位置Nに到るまでは、圧縮コイルバネ88は操作反力で圧縮変形されることはない。そして、主変速レバー53が中立位置Nに到った後、更にブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、前方に移動不能となった押し引きロッド87に対して牽制操作アーム85が圧縮コイルバネ88を更に圧縮変形させながら図中反時計方向に回動されることで十分なブレーキ操作ストロ−クが確保される。
【0058】
前記副変速装置47は、植付け作業用の植付け変速状態と路上走行用変速状態の2段階に切り換え自在に構成されるとともに、この副変速装置47は運転座席15の左脇に配備された副変速レバー54で操作されるように構成されている。つまり、圃場での植付け作業中は、副変速装置47は植付け変速状態に維持されることになる。
【0059】
図10に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁32が備えられており、制御弁32により油圧シリンダ5に作動油が供給されると、油圧シリンダ5が収縮作動して苗植付装置4が上昇し、制御弁32により油圧シリンダ5から作動油が排出されると、油圧シリンダ5が伸長作動して苗植付装置4が下降するように構成されている。
【0060】
又、走行機体3に対するリンク機構6の昇降角度を検出するポテンショメータからなるリンク角センサS3が備えられて、走行機体3に対するリンク機構6の角度を検出することにより、走行機体3に対する苗植付装置4の高さを検出することができるようになっている。
【0061】
運転座席15の前方に位置する操作パネル35の中央部には、液晶表示パネルを用いた情報表示部36が備えられている。詳述はしないが、情報表示部36には、例えば、苗のせ台21上に苗残量が少なくなったことやバッテリーVの電圧が低下していること等を表示したり、その他の種々の情報が表示される。
【0062】
図12に示すように、情報表示部36には、累計稼動時間(アワーメータ)及びエンジン回転数を表示する4桁の数値表示部37が備えられている。そして、この数値表示部37は、アワーメータやエンジン回転数を表示するだけではなく、アルファベット及び*印等を表示することができるようになっており、後述するエンジン自動発停制御についての表示としても利用するようになっている。ちなみに、図12(a)は数値表示部37の全てのセグメントが点灯している全点灯状態を示し、図12(b)はエンジン回転数の表示例を示している。図12(c),(d),(e)は、後述するように、エンジン自動発停制御における表示例を示している。
【0063】
図10に示すように、ブレーキセンサS1、停止位置検出センサS2、リンク角センサS3の検出値が制御装置H(制御手段の一例)に入力されており、これ以外にも、エンジン12の回転数を検出するエンジン始動状態検出手段としてのエンジン回転数センサS4が備えられ、このエンジン回転数センサS4の情報も制御装置Hに入力されるように構成されている。
【0064】
図11は、制御装置Hやその他の電装品への電源供給状態を示しており、この図に示すように、制御装置Hは、キーKにて操作されるキースイッチ90が電源入り位置(ON)に操作されると(オン操作されると)、バッテリーVの電源が投入されて起動される。また、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたときには、エンジン始動用装置Jとしての電動式の燃料ポンプ91を作動させてエンジン12に対する燃料供給を開始し、且つ、スターター起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用装置Jとしてのエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12のクランク軸12aを回転させて、エンジン12を始動させることができるように構成されている。つまり、エンジン始動用装置Jがエンジン始動用モータ93と燃料ポンプとを備えて構成されている。
尚、図示はしていないが、エンジン12に対する燃料供給量を変更調節自在な調速装置が備えられ、主変速レバー53(他の操作具Dの一例)の操作状態に対応して速度が大になるほど燃料供給量を増加させるように調速装置を連動操作する連動操作機構が備えられている。
【0065】
又、バッテリーVから制御装置Hを含む全ての電装品に対して電力が供給されるが、そのうち、特定の電装品としての補助作業灯71に対する電力供給線72には、電力供給を断続自在な断続回路73が介装されており、この断続回路73は、制御装置Hの出力端子d4からの電源断続指令によって電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成されている。補助作業灯71は、夜間において車体の周囲における作業状況すなわち、苗の植付け状況を目視で確認できるようにするためのものである。補助作業灯71は、図2に示すように、機体横側外方箇所や機体後方側箇所を照明するために左右の予備苗のせ台21と苗植付装置4の左右両側に支持される状態で合計4個備えられている。
【0066】
そして、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具としての主変速レバー53のエンジン停止位置Qへの操作に基づいてエンジン12の作動を停止させるエンジン停止処理、且つ、エンジン停止処理にてエンジン12の作動を停止させたのちにエンジン始動用操作に基づいてエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0067】
このような処理は、圃場において苗植付け作業を行なっている場合に、例えば、苗植付け作業にて消費された植付け苗を補給する苗補給作業等を行うときに、エンジン12を一時的に停止させることにより、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。又、苗補給作業等が終了すると、エンジン12を始動させて苗植付け作業を行うことができる。
【0068】
具体的には、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されると、エンジン12の作動を自動で停止させるエンジン停止処理を実行し、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されて、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出され、且つ、停止位置検出センサS2がオフ操作されているとエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0069】
停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されることを条件とするのは、誤操作により短時間だけオン操作されることによりエンジン12を停止させないようにしたものである。
【0070】
エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12に対する燃料供給を遮断するエンジン停止手段としての燃料遮断弁74を遮断状態に切り換える構成である。すなわち、図11に示すように、制御装置Hの出力端子d2から燃料遮断指令が指令されると導通状態となり、且つ、制御装置Hから燃料遮断指令がなければ非導通状態となる燃料遮断用リレー75が、バッテリーVから燃料遮断弁74への電源供給路中に備えられている。この燃料遮断用リレー75が導通状態になると、燃料遮断弁74が作動してエンジン12に対する燃料供給を遮断することになる。
尚、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12が点火プラグを備えるものであれば、点火プラグに対する通電を遮断する構成とするものでもよい。
【0071】
次に、図13及び図14のフローチャートに基づいて、制御装置Hによる制御動作について説明する。
【0072】
キースイッチ90がオン操作されると、オン操作されてから設定時間(例えば数秒間)が経過するまでの間は、エンジン作動時間の積算値を情報表示部36に表示させる(ステップ1,2,3)。
このときの情報表示部36の表示内容としては、例えば、図12(b)に示すように、数値表示部37を利用してエンジン作動時間の積算値を数値で表示する(アワーメータ表示)。図12に示す例では、エンジン作動時間の積算値が「250時間」であることを表している。
【0073】
キースイッチ90がオン操作されてから設定時間が経過すると、情報表示部36の表示内容を変更する(ステップ4)。具体的には、例えば、図12(c)に示すように、情報表示部36に「*ECO」という表示を行う。
【0074】
主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2がオン状態になり、その状態が設定時間(数秒間)以上継続すると(ステップ5,6)、情報表示部36の表示内容を、エンジン12が停止している状態であることを表す表示に変更して(ステップ7)、苗植付装置4の上昇操作(ステップ8)を実行したのちに、燃料ポンプ91及びラジエータ電動ファン31の作動を停止させるとともに、燃料遮断弁74を遮断状態に切り換えてエンジン12を停止させるエンジン停止処理を実行する(ステップ9)。又、このとき、断続回路73を遮断状態に切り換えて補助作業灯71への電力供給を停止させる(ステップ10)。このようにしてバッテリーVによる電力消費を抑制するようにしている。
【0075】
ステップ7の表示処理について説明すると、具体的には、図12(d)に示すように、情報表示部36に「*ECO」という文字を表示する状態と、エンジン停止時間の積算値を数値で表示する状態とを設定周期(数秒間)毎に交互に切り換えて表示する。図12に示す例では、エンジン停止時間の積算値が「15時間」であることを表している。
【0076】
ステップ12の苗植付装置4の上昇操作について説明を加えると、リンク角センサS3の検出情報に基づいて、油圧シリンダ5を収縮作動させるように制御弁29を制御して、苗植付装置4を最大上昇位置にまで上昇させる操作を実行する。
【0077】
尚、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されてエンジン12が停止したのちに、運転者が主変速レバー53から手を離しても、弾性抵抗部材79による抵抗力により主変速レバー53はエンジン停止位置Qに維持される。
【0078】
エンジン停止処理によってエンジン12を停止させている場合、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されることにより、ブレーキセンサS1がオフ状態からオン状態に切り換わったことが検出され(ステップ11)、さらに、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから外れて、停止位置検出センサS2がオフ状態に切り換わると(ステップ12)、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行し、情報表示部36に「*ECO」という表示を行う(ステップ13,14)。
【0079】
エンジン始動処理について説明すると、電動式の燃料ポンプ91を作動させてエンジン12に対する燃料供給を開始し、且つ、スターター起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12のクランク軸12aを回転させる。このとき、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始させた後、エンジン回転数センサS4にて検出されるエンジン回転数が設定回転数以上になってエンジン12が始動したことが検出されると、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。
【0080】
詳述はしないが、このエンジン始動処理においては、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始してから始動用設定時間(例えば、数秒間)が経過してもエンジン12の始動が検出されないときは、エンジン12が始動していなくてもエンジン始動用モータ93の回転作動を停止させ、その後、待機用設定時間が経過すると、再度、エンジン始動用モータ93を作動させるようにして、電力の無駄な消費を抑制しながらも的確にエンジン12を始動させることができるようにしている。尚、始動処理を設定回数実行しても始動しなければ、例えばブザーを作動させる等の異常報知を実行して処理を終了するようにしている。
【0081】
運転者がブレーキ操作具52を踏み操作している状態で、主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作してエンジン12を停止させたような場合には、ブレーキセンサS1はオン状態に維持されているが、そのときは、オフ状態からオン状態への切り換わりではないので、ステップ16における切り換えの判別は行われず、エンジン12が始動することはない。又、エンジン12が停止したのちに、運転者が一旦、ブレーキ操作具52の踏み込み操作を解除してブレーキセンサS1をオフ状態に切り換えたのちに、再度、ブレーキ操作具52を踏み込み操作すると、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されてエンジン12が始動することになる。
【0082】
キースイッチ90がオン操作されている状態から、キースイッチ90がオフ操作されると、そのときエンジン12が作動中であれば、エンジン12の作動を停止させる(ステップ20,21)。キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されると、始動位置(ST)に操作されている間はエンジン始動用モータ93を回転作動させる(ステップ22)。エンジン12が始動して運転者がキースイッチ90から手を離すと、キースイッチ90は始動位置(ST)から電源入り位置(ON)に自動復帰する。
【0083】
そして、この乗用型田植機では、制御装置Hからエンジン始動用装置Jとしての燃料ポンプ91及びエンジン始動用モータ93に対する作動指令が無い場合であっても、キースイッチ90の操作により燃料ポンプ91とエンジン始動用モータ93を作動させることが可能な操作連係部Zが設けられている。
【0084】
図11に示すように、前記操作連係部Zは、キースイッチ90のオフ操作にて非導通状態となり且つキースイッチ90のオン操作にて導通状態となる第1のリレーとしての第1始動用リレーRy1と、制御装置Hから前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ制御装置Hから燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとしての第2始動用リレーRy2と、バッテリーVから燃料ポンプ91に対する電源供給路94に直列状態で備えて構成され、さらに、キースイッチ90によるエンジン始動位置(ST)への操作あるいは制御装置Hからの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、キースイッチ90によるエンジン始動位置(ST)への操作及び回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーとしての第3始動用リレーRy3を、バッテリーVからエンジン始動用モータ93に対する電源供給路95に備えて構成されている。
又、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91を作動させるときは燃料ポンプ91と共にラジエータ電動ファン31を作動させるように構成されている。
【0085】
説明を加えると、図11に示すように、第1始動用リレーRy1の接点回路96における一端側端子と第2始動用リレーRy2の接点回路97の一端側端子とが直列状態で接続されており、第1始動用リレーRy1の接点回路96における他端側端子とバッテリーVの正極側端子(A)とが接続され、第2始動用リレーRy2の接点回路97における他端側端子と接地部GND(バッテリーの負極側端子)との間に、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31とが並列状態で接続されている。
【0086】
第1始動用リレーRy1の接点回路96は、コイル98に通電が行われていない非励磁状態では接点が開状態となり、コイル98に通電が行われて励磁される状態で接点が閉状態となるノーマルオフ形式の接点回路にて構成されている。そして、第1始動用リレーRy1のコイル98における一端側端子は、バッテリーVの正極側端子(A)に接続され、コイル98における他端側端子は接地部GNDに接続されている。つまり、キースイッチ90がオフ操作されると、第1始動用リレーRy1は非導通状態となり、キースイッチ90がオン操作されると、コイル98に通電されて第1始動用リレーRy1が導通状態となる。
【0087】
一方、第2始動用リレーRy2の接点回路97は、コイル99に通電が行われていない非励磁状態では接点が閉状態となり、コイル99に通電が行われる励磁状態では接点が開状態となるノーマルオン形式の接点回路にて構成されている。そして、第2始動用リレーRy2のコイル99における一端側端子はバッテリーVの正極側端子(A)に接続され、コイル99における他端側端子は制御装置Hの出力端子d1に接続されている。つまり、制御装置Hの始動用出力端子d1がハイレベル状態であれば第2始動用リレーRy2は非導通状態となり、始動用出力端子d1がローレベル状態になると、第2始動用リレーRy2が導通状態となる。
【0088】
このように構成することで、制御装置Hが正常に動作している場合には、キースイッチ90をオン操作している状態で、制御装置Hにおける始動用出力端子d1をローレベル状態にすると、第2始動用リレーRy2が導通状態となって燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31が作動状態となり、制御装置Hにおける始動用出力端子d1をハイレベル状態にすると、第2始動用リレーRy2が非導通状態となって燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31が非作動状態となるように切り換えることができる。
又、制御装置Hが故障している場合であっても、第2始動用リレーRy2は、コイル99が非励磁状態であると接点回路97が導通状態となるので、キースイッチ90をオン操作させることで、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31を作動状態にすることができ、キースイッチ90をエンジン始動位置(ST)へ操作することにより、エンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12を始動させることができる。
【0089】
第3始動用リレーRy3の接点回路100は、コイル101に通電が行われていない非励磁状態では、接点が開状態となり、コイル101に通電が行われて励磁される状態で接点が閉状態となるノーマルオフ形式の接点回路にて構成されている。
この第3始動用リレーRy3の接点回路100における一端側端子が、バッテリーVの正極側端子(A)に接続されるキースイッチ90よりも通電方向下手側箇所(B)に接続され、第3始動用リレーRy3の接点回路における他端側端子が、エンジン始動用モータ93を介して接地部GNDに接続されている。
【0090】
そして、第3始動用リレーRy3のコイル101における一端側端子は、キースイッチ90の始動用端子(ST)に接続されるとともに、制御装置Hにおける出力端子d3に接続されている。コイル101における他端側端子は、ブレーキ検知スイッチ102を介して接地部GNDに接続されている。このブレーキ検知スイッチ102は、ブレーキ操作具52が踏み操作されるとオン状態となるものであり、安全のためにブレーキ操作具52が踏み操作されている状態でのみエンジン始動を可能とするためのものである。
【0091】
尚、エンジン12が作動している状態で制御装置Hが故障したような場合には、キースイッチ90をオフ操作することで、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31を非作動状態となるように切り換えることができるが、燃料遮断弁74を作動させることができず、しかも、燃料供給路内に残っている燃料がエンジン12に供給され続けると、エンジン12の作動が継続することがある。そこで、燃料遮断弁74は、手動操作にて燃料遮断状態に切り換えることが可能に構成されており、手動操作にて遮断状態に切り換えることでエンジン12を停止させることができるようになっている。
【0092】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、前記エンジン始動処理を実行するときには、断続回路を遮断状態に切り換えて補助作業灯71への電力供給を停止させる構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
つまり、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、他の操作具としての主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作された場合であっても、特定の電装品としての補助作業灯71が作動しているときは、エンジン停止処理を実行しないように構成するものでもよい。
【0093】
(2)上記実施形態では、特定の電装品として補助作業灯71への電力供給を停止させるようにしたが、特定の電装品としては、補助作業灯71に限らず、前照灯や施肥装置7における電動ブロア28、指標作成用のマーカー(図示せず)を出退させるアクチュエータ、苗植付装置4の左右傾斜姿勢修正用の電動モータ(図示せず)等のうちのいずれか1つ又は2つ以上のものを特定の電装品とするようにしてもよい。又、このような構成に代えて、エンジン停止処理を実施するのに必要な電装品と、苗の補給作業において必要となる電装品(例えば、苗のせ台21における苗残量を検出するセンサや、肥料ホッパー24の肥料貯留量のセンサ等あるいは、それの検出情報を表示する表示部等)以外の電装品を特定の電装品としてもよく、エンジン停止状態においては、これらの電装品への電源供給を停止させるようにしてもよい。
【0094】
(3)上記実施形態では、エンジン12が水冷式に構成され、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91を作動させるときに燃料ポンプ91と共にラジエータ電動ファン31を作動させるように構成したが、エンジン12として空冷式のものを使用して、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91だけを作動させる構成としてもよい。
【0095】
(4)上記実施形態では、作業車として乗用型田植機を例示したが、本発明は乗用型の直播機や乗用型耕耘機等の作業車にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の作業車であって、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
3 走行機体
12 エンジン
12a クランク軸
30 ラジエータ
31 電動ファン
71 電装品
72 電源供給路
73 電源遮断手段
74 エンジン停止手段
90 キースイッチ
91 燃料ポンプ
93 エンジン始動用モータ
94 電源供給路
95 電源供給路
D 他の操作具
H 制御手段
J エンジン始動用装置
Ry1 第1のリレー
Ry2 第2のリレー
Ry3 第3のリレー
ST エンジン始動位置
V バッテリー
Z 操作連係部
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、
前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としての乗用型田植機では、従来、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されるとエンジン停止処理を実行し、走行用の変速操作具がエンジン停止位置から別の操作位置に操作されると、エンジン始動処理を実行するように構成されており、キースイッチからの指令が制御手段としての制御装置に入力され、セルモータと調速装置とが夫々、制御装置にて制御される構成のものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された作業車は、例えば、消費された植付け苗を補給する作業等を行うために圃場内での作業を一時中断させるような場合に、キースイッチ以外の他の操作具としての走行用の変速操作具を操作することにより、前記エンジン停止処理及び前記エンジン始動処理を実行することにより、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−94753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、制御装置が正常に作動しているときは問題はないが、例えば、エンジンが作動停止している状態で、制御装置が故障すると、他の操作具としての走行用の変速操作具がエンジン停止位置に操作されたり、キースイッチによりエンジンの始動が指令されても、制御装置から制御信号が出力されない状態になり、エンジンを始動させることができないものとなる。そうすると、例えば、圃場内で作業しているような場合に制御手段が故障すると、車体を圃場から脱出させて修理を行える場所まで移動させる等の対応が取ることができない不利がある。
【0006】
本発明の目的は、操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるものでありながら、制御手段が故障した場合であっても、エンジンを始動させることが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車は、エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記制御手段からの前記エンジン始動用装置に対する作動指令が無い場合であっても、前記キースイッチの操作により前記エンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられている点にある。
【0008】
第1特徴構成によれば、キースイッチ以外の他の操作具を操作して前記エンジン停止処理を実行し、その後、前記エンジン始動処理を実行することにより、キースイッチを再度操作するといった操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となる。
【0009】
そして、制御手段からのエンジン始動用装置に対する作動指令が無くても、キースイッチの操作によりエンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられるから、エンジンが作動停止している状態で、制御手段が故障したような場合であっても、キースイッチを操作することによりエンジン始動用装置を作動させることが可能となる。
その結果、例えば、圃場内で作業しているような場合に制御手段が故障したような場合であれば、車体を圃場から脱出させて修理を行える場所まで移動させる等の対応が取ることが可能となる。
【0010】
従って、操作の煩わしさの少ない状態で、燃料の無駄な消費を抑制したり騒音の低減を図ることが可能となるものでありながら、制御手段が故障した場合であっても、エンジンを始動させることが可能となる作業車を提供できるに至った。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記エンジン始動用装置が、前記エンジンのクランク軸を回動操作するエンジン始動用電動モータと、前記エンジンに対して燃料を供給するための燃料ポンプとを備えて構成されている点にある。
【0012】
第2特徴構成によれば、キースイッチを操作することによりエンジン始動用装置を作動させると、燃料ポンプによりエンジンに対して燃料を供給され、且つ、エンジン始動用電動モータによりエンジンのクランク軸が回動操作されることになり、エンジンを良好に始動させることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記キースイッチが、オン操作されている状態においてエンジン始動位置に操作自在に構成され、
前記操作連係部が、
前記キースイッチのオフ操作にて非導通状態となり且つ前記キースイッチのオン操作にて導通状態となる第1のリレーと、前記制御手段から前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ前記制御手段から前記燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとを、バッテリーから前記燃料ポンプに対する電源供給路に直列状態で備えて構成され、さらに、
前記キースイッチによる前記エンジン始動位置への操作あるいは前記制御手段からの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、前記エンジン始動位置への操作及び前記回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーを、バッテリーから前記エンジン始動用モータに対する電源供給路に備えて構成されている点にある。
【0014】
第3特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されると、第1のリレーが導通状態となる。又、制御手段から燃料供給指令がなければ第2のリレーが導通状態となり、バッテリーから燃料ポンプに対する電源供給路が導通状態となって、燃料ポンプが作動する。そして、キースイッチのエンジン始動位置への操作があれば、制御手段からの回動操作指令が無くても、第3のリレーが導通状態になり、バッテリーからエンジン始動用モータに対する電源供給路が導通状態となって、エンジン始動用モータが作動する。
【0015】
その結果、エンジンに対して燃料が供給されるとともに、クランク軸が回動操作されることになり、制御手段からの燃料供給指令及び回動操作指令のいずれも指令されていない状態であっても、キースイッチの操作によりエンジンを始動させることができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、エンジン冷却用のラジエータに冷却風を供給する電動ファンが備えられ、
前記操作連係部が、前記キースイッチのオン操作により前記燃料ポンプを作動させるときは前記燃料ポンプと共に前記電動ファンを作動させるように構成されている点にある。
【0017】
第4特徴構成によれば、エンジン冷却用のラジエータが電動ファンによって冷却されるが、この電動ファンは、キースイッチのオン操作により燃料ポンプを作動させるときに燃料ポンプと共に作動することになる。
【0018】
電動ファンをキースイッチの操作とは別に、別途設けられた操作具にて作動を指令する構成とすることもできるが、このような構成では、キースイッチの操作によりエンジンを始動させたときに、前記操作具による電動ファンの始動操作を忘れるおそれがあるが、第4特徴構成によれば、このような不利がなく、電動ファンを適切に作動させることができる。
【0019】
従って、制御手段が故障しており、キースイッチの操作によりエンジンを始動させるときに、電動ファンも適切に作動させることができ、エンジンを有効に冷却させることができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、車体に搭載される複数の電装品のうちの特定の電装品への電源供給路を断続自在な電源断続手段が設けられ、
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行すると、前記電源断続手段を遮断状態に切り換えるように構成されている点にある。
【0021】
第5特徴構成によれば、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止処理が実行されると、電源断続手段が遮断状態に切り換えられて、特定の電装品への電源供給が遮断されることになる。
【0022】
エンジン停止処理が実行されるときは、キースイッチがオン操作されている状態であり、バッテリーから車体に搭載される複数の電装品に対する電源供給が継続して行われている状態である。しかし、そのとき、エンジンが作動を停止しており、バッテリーに対する充電処理が行われていないので、電装品にて多くの電力が消費されると、バッテリーの充電量が早期に低下してしまうおそれがある。
【0023】
そこで、車体に搭載される複数の電装品のうちで、特に電力消費が多く且つ作動を停止させても作業上支障がないと考えられる特定の電装品について電源供給を遮断する構成とすることで、電力消費量を抑制して、バッテリーの充電量が早期に低下する不利を回避させることができる。
【0024】
本発明の第6特徴構成は、前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記他の操作具が操作された場合であっても、前記特定の電装品が作動しているときは、前記エンジン停止処理を実行しないように構成されている点にある。
【0025】
第6特徴構成によれば、キースイッチがオン操作されている状態において、特定の電装品が作動しているときは、他の操作具が操作された場合であってもエンジン停止処理を実行しないのである。
【0026】
エンジン停止処理が実行されるときは、キースイッチがオン操作されている状態であり、バッテリーから車体に搭載される電装品に対する電源供給が継続して行われている状態である。しかし、そのとき、エンジンが作動を停止しており、バッテリーに対する充電処理が行われていないので、電装品にて多くの電力が消費されると、バッテリーが放電して充電量が早期に低下してしまうおそれがある。
【0027】
そこで、車体に搭載される複数の電装品のうちで、特に電力消費が多い特定の電装品が作動しているときにエンジンを停止させると、バッテリーの放電量が多くなるので、特定の電装品が作動して車体全体として電力消費が多いときは、エンジンを停止させないようにすることで、バッテリーの充電量が早期に低下する不利を回避させることができる。
【0028】
本発明の第7特徴構成は、前記特定の電装品が、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するために点灯する補助作業灯である点にある。
【0029】
補助作業灯は、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するためのものであり、大きな光量を必要とするものであり、しかも、複数備えられる場合があるので、電力消費が大きくなる。
【0030】
そこで、このような補助作業灯を使用しているときに、キースイッチ以外の他の操作具の操作があると、補助作業灯への電源供給を遮断してエンジン停止処理が実行するようにしたり、又は、補助作業灯への電源供給を継続しながらエンジン停止処理の実行を停止させたりするようにすることで対応するのである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】乗用型田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型田植機の全体平面図である。
【図3】動力系統図である。
【図4】主変速装置の操作構造を示す側面図である。
【図5】主変速装置の操作構造を示す正面図である。
【図6】変速操作用のガイド板の平面図である。
【図7】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図8】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図9】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】電源供給状態を示す図である。
【図12】情報表示部の表示内容を示す図である。
【図13】制御動作のフローチャートである。
【図14】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る作業車の実施形態を作業車の一例としての乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0033】
図1,2に示すように、本発明の実施形態に係る乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1、及び左右一対の駆動自在な後輪2が装備された走行機体3を備え、この走行機体3の後部に作業装置としての苗植付装置4がアクチュエータとしての油圧シリンダ5にて駆動昇降自在にリンク機構6を介して連結され、走行機体3の車体後部に施肥装置7を備えて構成されている。
【0034】
走行機体3における機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9から前方に延出された前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載されてボンネット13で覆われているとともに、エンジン12の後方に位置する搭乗運転部には、前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14、運転座席15、運転部ステップ16などが備えられ、また、機体前部の左右には、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台17が設けられている。
【0035】
エンジン12は水冷式であり、図示しないウォータージャケット内のエンジン冷却水をラジエータ30との間で循環させ、ラジエータ冷却用の電動式のファン(以下、ラジエータ電動ファンという)31によりラジエータ30に送風して冷却するように構成されている。
【0036】
苗植付装置4は、6条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台21、苗のせ台21の下端から1株分ずつ苗を切り出して圃場に植付けてゆく6組の回転式の植付機構22、植付け箇所を整地する3個の接地フロート23等を備えて構成されている。
【0037】
施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー24、この肥料ホッパー24内の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構25、繰り出された肥料を供給ホース26を介して各接地フロート23に備えた作溝器27に風力搬送する電動ブロア28等を備えており、作溝器27によって田面Gに形成した溝に肥料を送り込んで埋設してゆくよう構成されている。
【0038】
図3に示すように、ミッションケース9の側面には、エンジン12にベルト連動された静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が連結され、その出力がミッションケース9に入力されて作業系と走行系とに分岐される。分岐された作業系の動力は、ワンウェイクラッチ42によってその正転動力のみが取出され、手動操作にて6段のギヤ変速が可能な株間変速機構43および植付クラッチ(図示せず)を経て作業用動力取出し軸(PTO軸)45から取出され、苗植付装置4に伝達されるようになっている。
【0039】
分岐された走行系動力は、ギヤ式の副変速装置47によって高低2段に変速された後、前輪系と後輪系に再度分岐され、前輪系の動力はデフロック可能な差動装置48を介して左右の前輪1に伝達されるとともに、後輪系の動力は伝動軸49を介して後部伝動ケース10に伝達され、多板式のサイドクラッチ50を介して左右の後輪2に伝達される。又、後部伝動ケース10には機体停止用の多板式のブレーキ51が装備されており、このブレーキ51は、運転部ステップ16の右側足元に配備された足踏み操作式のブレーキ操作具52に機械的に連動連結されている。
【0040】
又、図8〜図10に示すように、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されたことを検出するブレーキ操作検出手段としてのブレーキセンサS1が備えられている。このブレーキセンサS1は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されていなければオフ状態となり、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されるとオン状態に切り換わるように構成されている。
【0041】
主変速装置41は、ステアリングハンドル14の左脇に配備された主変速レバー53(他の操作具Dの一例)で変速操作され、副変速装置47は、運転座席15の左横側に配備された副変速レバー54によって切換え操作されるようになっている。
【0042】
次に、主変速装置41の変速操作構造について説明する。
図4,5に示すように、ステアリングハンドル14を支持するように立設されたハンドルポスト55には支持ブラケット56が固着され、この支持ブラケット56の左側端部には、支軸57を介してデテント板58が横向き支点a周りに前後揺動可能に支持され、このデテント板58に主変速レバー53が前後向き支点b周りに左右揺動可能に支持されている。ハンドルポスト55を立設支持する支持枠59に、横向き支点c周りに回動可能に中継回動部材60が支持されており、この中継回動部材60とデテント板58とが連係ロッド61を介して連係され、さらに、この中継回動部材60と、主変速装置41の変速操作軸62に連結された変速アーム63とが操作ロッド64を介して連係されている。
【0043】
支持ブラケット56にはガイド板65が固着されており、このガイド板65に形成された段違い状の案内溝66に係合する基端側案内部53aが主変速レバー53の基端部に一体的に設けられている。
すなわち、図5及び図6に示すように、主変速レバー53の基部に、棒体を略L字形に折り曲げて形成された基端側案内部53aが一体的に固定される状態で設けられている。この基端側案内部53aがデテント板58にて前後向き支点bの周りで回動自在に支持されており、案内溝66を上下に貫通しており、案内溝66と基端側案内部53aとの係合案内作用によって主変速レバー53を所定の段違い操作経路に沿って前後に揺動すべく案内するように構成されている。
【0044】
図6に示すように、段違い操作経路の段違い部位が主変速装置41の中立位置Nに相当し、中立位置Nは前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとがあり、前進側中立位置Nfの前方に前進変速操作経路Fが形成され、且つ、後進側中立位置Nrの後方に後進変速操作経路Rが形成されている。
【0045】
図4に示すように、デテント板58の外周に並列形成した9つの凹部67に、片持ちバネレバー68の遊端に支持したデテントローラ69を弾性係入させることで、主変速レバー53を前進5段(F1〜F5)、中立位置N、および、後進3段(R1〜R3)の各変速位置に保持することができるようになっている。
【0046】
図6に示すように、ガイド板65に形成される案内溝66における前進側中立位置Nfの横外側には、走行停止状態をもたらすエンジン停止位置Qが設定されるとともに、主変速レバー53の基端側案内部53aがエンジン停止位置Qに操作されたことを検知する停止位置検出センサS2が装備されている。
【0047】
そして、主変速レバー53の横方向への操作の中心となる前後向き支点bには、ネジリバネ70が装備されており、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに向けて移動付勢されるように構成されている。
又、案内溝66における前進側中立位置Nfとエンジン停止位置Qとの間には、バネ板からなる弾性抵抗部材79が設けられ、前進側中立位置Nfからエンジン停止位置Qへの移動に適度の抵抗が付与されるように構成されている。
【0048】
弾性抵抗部材79による抵抗力を、主変速レバー53がネジリバネ70によってエンジン停止位置Qに向けて操作される付勢力よりも大きく設定しておくことで、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに位置する状態で手を離しても直ちにエンジン停止位置Qに移行することはなく、意識的に弾性抵抗部材79を乗り越える操作を行ってエンジン停止位置Qに移行させることになる。
【0049】
主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作すると停止位置検出センサS2がオン状態になり、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから離れると、停止位置検出センサS2がオフ状態になるように構成されている。
【0050】
次に、図7〜図9を参照しながら、主変速レバー53とブレーキ操作具52との連係構造について説明する。
主変速レバー53が前進変速操作経路Fに操作されている前進走行状態、あるいは、後進変速操作経路Rに操作されている後進走行状態において、機体停止用のブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、主変速レバー53が中立位置Nにまで強制的に復帰操作されるように、主変速レバー53とブレーキ操作具52とが連動連係されている。
【0051】
説明を加えると、中継回動部材60の機体後方側箇所に、支点e周りに前後揺動可能に牽制作動部材81が配備されている。この牽制作動部材81にはアジャストボルト81bによって支点f周りに位置微調節可能な牽制金具81aが備えられており、牽制作動部材81の前縁部が、前記中継回動部材60の支点cより上方箇所に設けた第1接当ピン82に後方から対向するよう構成されるとともに、牽制金具81aの前縁部が、中継回動部材60の支点cより下方箇所に設けた第2接当ピン83に後方から対向するよう配備されている。
【0052】
他方、ブレーキ操作具52を連結したペダル支軸84の他端部には牽制操作アーム85が固着され、この牽制操作アーム85の遊端に回動自在に枢支したボス部材86に、前記牽制作動部材81の下端から後方に向けて延出された押し引きロッド87の後端部が挿通連結されている。ここで、押し引きロッド87は、ボス部材86に対して一定範囲でのみ前後にスライド自在に挿通支持されるとともに、予め初期圧縮変形して押し引きロッド87に外嵌装着した圧縮コイルバネ88によって押し引きロッド87はボス部材86に対して前方スライド限界にスライド付勢されている。
【0053】
図7は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が前進の最高速である前進5速F5にある状態を示し、また、図8は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が後進の最高速である後進3速R3にある状態を示している。
【0054】
主変速レバー53が前進変速操作経路Fにある状態(図7の状態)でブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、牽制操作アーム85が図中反時計方向に回動されることで押し引きロッド87が前方(図では左方)に突き出され、牽制作動部材81は支点e周りに時計方向に揺動操作される。これによって、図9に示すように、牽制作動部材81は第1接当ピン82を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り反時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0055】
また、主変速レバー53が後進変速操作経路Rにある状態(図8の状態)でブレーキ操作具52を踏み込み操作するときには、牽制作動部材81の牽制金具81aが第2接当ピン83を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0056】
主変速レバー53が中立位置Nに到ると(図9の状態)、第1接当ピン82および第2接当ピン83が共に牽制作動部材81に接当することで、牽制作動部材81及び中継回動部材60は、主変速レバー53が中立位置Nとなる一定姿勢に保持される。
なお、牽制作動部材81の牽制金具81aを位置調節することで、第1接当ピン82および第2接当ピン83を共に牽制作動部材81に接当させて中継回動部材60を正確に中立復帰させることができる。
【0057】
ここで、圧縮コイルバネ88によって与えられた初期圧縮力は、主変速レバー53を強制移動させるのに必要な操作力より大きく設定されており、主変速レバー53が中立位置Nに到るまでは、圧縮コイルバネ88は操作反力で圧縮変形されることはない。そして、主変速レバー53が中立位置Nに到った後、更にブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、前方に移動不能となった押し引きロッド87に対して牽制操作アーム85が圧縮コイルバネ88を更に圧縮変形させながら図中反時計方向に回動されることで十分なブレーキ操作ストロ−クが確保される。
【0058】
前記副変速装置47は、植付け作業用の植付け変速状態と路上走行用変速状態の2段階に切り換え自在に構成されるとともに、この副変速装置47は運転座席15の左脇に配備された副変速レバー54で操作されるように構成されている。つまり、圃場での植付け作業中は、副変速装置47は植付け変速状態に維持されることになる。
【0059】
図10に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁32が備えられており、制御弁32により油圧シリンダ5に作動油が供給されると、油圧シリンダ5が収縮作動して苗植付装置4が上昇し、制御弁32により油圧シリンダ5から作動油が排出されると、油圧シリンダ5が伸長作動して苗植付装置4が下降するように構成されている。
【0060】
又、走行機体3に対するリンク機構6の昇降角度を検出するポテンショメータからなるリンク角センサS3が備えられて、走行機体3に対するリンク機構6の角度を検出することにより、走行機体3に対する苗植付装置4の高さを検出することができるようになっている。
【0061】
運転座席15の前方に位置する操作パネル35の中央部には、液晶表示パネルを用いた情報表示部36が備えられている。詳述はしないが、情報表示部36には、例えば、苗のせ台21上に苗残量が少なくなったことやバッテリーVの電圧が低下していること等を表示したり、その他の種々の情報が表示される。
【0062】
図12に示すように、情報表示部36には、累計稼動時間(アワーメータ)及びエンジン回転数を表示する4桁の数値表示部37が備えられている。そして、この数値表示部37は、アワーメータやエンジン回転数を表示するだけではなく、アルファベット及び*印等を表示することができるようになっており、後述するエンジン自動発停制御についての表示としても利用するようになっている。ちなみに、図12(a)は数値表示部37の全てのセグメントが点灯している全点灯状態を示し、図12(b)はエンジン回転数の表示例を示している。図12(c),(d),(e)は、後述するように、エンジン自動発停制御における表示例を示している。
【0063】
図10に示すように、ブレーキセンサS1、停止位置検出センサS2、リンク角センサS3の検出値が制御装置H(制御手段の一例)に入力されており、これ以外にも、エンジン12の回転数を検出するエンジン始動状態検出手段としてのエンジン回転数センサS4が備えられ、このエンジン回転数センサS4の情報も制御装置Hに入力されるように構成されている。
【0064】
図11は、制御装置Hやその他の電装品への電源供給状態を示しており、この図に示すように、制御装置Hは、キーKにて操作されるキースイッチ90が電源入り位置(ON)に操作されると(オン操作されると)、バッテリーVの電源が投入されて起動される。また、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたときには、エンジン始動用装置Jとしての電動式の燃料ポンプ91を作動させてエンジン12に対する燃料供給を開始し、且つ、スターター起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用装置Jとしてのエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12のクランク軸12aを回転させて、エンジン12を始動させることができるように構成されている。つまり、エンジン始動用装置Jがエンジン始動用モータ93と燃料ポンプとを備えて構成されている。
尚、図示はしていないが、エンジン12に対する燃料供給量を変更調節自在な調速装置が備えられ、主変速レバー53(他の操作具Dの一例)の操作状態に対応して速度が大になるほど燃料供給量を増加させるように調速装置を連動操作する連動操作機構が備えられている。
【0065】
又、バッテリーVから制御装置Hを含む全ての電装品に対して電力が供給されるが、そのうち、特定の電装品としての補助作業灯71に対する電力供給線72には、電力供給を断続自在な断続回路73が介装されており、この断続回路73は、制御装置Hの出力端子d4からの電源断続指令によって電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができるように構成されている。補助作業灯71は、夜間において車体の周囲における作業状況すなわち、苗の植付け状況を目視で確認できるようにするためのものである。補助作業灯71は、図2に示すように、機体横側外方箇所や機体後方側箇所を照明するために左右の予備苗のせ台21と苗植付装置4の左右両側に支持される状態で合計4個備えられている。
【0066】
そして、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具としての主変速レバー53のエンジン停止位置Qへの操作に基づいてエンジン12の作動を停止させるエンジン停止処理、且つ、エンジン停止処理にてエンジン12の作動を停止させたのちにエンジン始動用操作に基づいてエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0067】
このような処理は、圃場において苗植付け作業を行なっている場合に、例えば、苗植付け作業にて消費された植付け苗を補給する苗補給作業等を行うときに、エンジン12を一時的に停止させることにより、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。又、苗補給作業等が終了すると、エンジン12を始動させて苗植付け作業を行うことができる。
【0068】
具体的には、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されると、エンジン12の作動を自動で停止させるエンジン停止処理を実行し、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されて、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出され、且つ、停止位置検出センサS2がオフ操作されているとエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0069】
停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されることを条件とするのは、誤操作により短時間だけオン操作されることによりエンジン12を停止させないようにしたものである。
【0070】
エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12に対する燃料供給を遮断するエンジン停止手段としての燃料遮断弁74を遮断状態に切り換える構成である。すなわち、図11に示すように、制御装置Hの出力端子d2から燃料遮断指令が指令されると導通状態となり、且つ、制御装置Hから燃料遮断指令がなければ非導通状態となる燃料遮断用リレー75が、バッテリーVから燃料遮断弁74への電源供給路中に備えられている。この燃料遮断用リレー75が導通状態になると、燃料遮断弁74が作動してエンジン12に対する燃料供給を遮断することになる。
尚、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12が点火プラグを備えるものであれば、点火プラグに対する通電を遮断する構成とするものでもよい。
【0071】
次に、図13及び図14のフローチャートに基づいて、制御装置Hによる制御動作について説明する。
【0072】
キースイッチ90がオン操作されると、オン操作されてから設定時間(例えば数秒間)が経過するまでの間は、エンジン作動時間の積算値を情報表示部36に表示させる(ステップ1,2,3)。
このときの情報表示部36の表示内容としては、例えば、図12(b)に示すように、数値表示部37を利用してエンジン作動時間の積算値を数値で表示する(アワーメータ表示)。図12に示す例では、エンジン作動時間の積算値が「250時間」であることを表している。
【0073】
キースイッチ90がオン操作されてから設定時間が経過すると、情報表示部36の表示内容を変更する(ステップ4)。具体的には、例えば、図12(c)に示すように、情報表示部36に「*ECO」という表示を行う。
【0074】
主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2がオン状態になり、その状態が設定時間(数秒間)以上継続すると(ステップ5,6)、情報表示部36の表示内容を、エンジン12が停止している状態であることを表す表示に変更して(ステップ7)、苗植付装置4の上昇操作(ステップ8)を実行したのちに、燃料ポンプ91及びラジエータ電動ファン31の作動を停止させるとともに、燃料遮断弁74を遮断状態に切り換えてエンジン12を停止させるエンジン停止処理を実行する(ステップ9)。又、このとき、断続回路73を遮断状態に切り換えて補助作業灯71への電力供給を停止させる(ステップ10)。このようにしてバッテリーVによる電力消費を抑制するようにしている。
【0075】
ステップ7の表示処理について説明すると、具体的には、図12(d)に示すように、情報表示部36に「*ECO」という文字を表示する状態と、エンジン停止時間の積算値を数値で表示する状態とを設定周期(数秒間)毎に交互に切り換えて表示する。図12に示す例では、エンジン停止時間の積算値が「15時間」であることを表している。
【0076】
ステップ12の苗植付装置4の上昇操作について説明を加えると、リンク角センサS3の検出情報に基づいて、油圧シリンダ5を収縮作動させるように制御弁29を制御して、苗植付装置4を最大上昇位置にまで上昇させる操作を実行する。
【0077】
尚、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されてエンジン12が停止したのちに、運転者が主変速レバー53から手を離しても、弾性抵抗部材79による抵抗力により主変速レバー53はエンジン停止位置Qに維持される。
【0078】
エンジン停止処理によってエンジン12を停止させている場合、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されることにより、ブレーキセンサS1がオフ状態からオン状態に切り換わったことが検出され(ステップ11)、さらに、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから外れて、停止位置検出センサS2がオフ状態に切り換わると(ステップ12)、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行し、情報表示部36に「*ECO」という表示を行う(ステップ13,14)。
【0079】
エンジン始動処理について説明すると、電動式の燃料ポンプ91を作動させてエンジン12に対する燃料供給を開始し、且つ、スターター起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12のクランク軸12aを回転させる。このとき、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始させた後、エンジン回転数センサS4にて検出されるエンジン回転数が設定回転数以上になってエンジン12が始動したことが検出されると、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。
【0080】
詳述はしないが、このエンジン始動処理においては、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始してから始動用設定時間(例えば、数秒間)が経過してもエンジン12の始動が検出されないときは、エンジン12が始動していなくてもエンジン始動用モータ93の回転作動を停止させ、その後、待機用設定時間が経過すると、再度、エンジン始動用モータ93を作動させるようにして、電力の無駄な消費を抑制しながらも的確にエンジン12を始動させることができるようにしている。尚、始動処理を設定回数実行しても始動しなければ、例えばブザーを作動させる等の異常報知を実行して処理を終了するようにしている。
【0081】
運転者がブレーキ操作具52を踏み操作している状態で、主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作してエンジン12を停止させたような場合には、ブレーキセンサS1はオン状態に維持されているが、そのときは、オフ状態からオン状態への切り換わりではないので、ステップ16における切り換えの判別は行われず、エンジン12が始動することはない。又、エンジン12が停止したのちに、運転者が一旦、ブレーキ操作具52の踏み込み操作を解除してブレーキセンサS1をオフ状態に切り換えたのちに、再度、ブレーキ操作具52を踏み込み操作すると、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されてエンジン12が始動することになる。
【0082】
キースイッチ90がオン操作されている状態から、キースイッチ90がオフ操作されると、そのときエンジン12が作動中であれば、エンジン12の作動を停止させる(ステップ20,21)。キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されると、始動位置(ST)に操作されている間はエンジン始動用モータ93を回転作動させる(ステップ22)。エンジン12が始動して運転者がキースイッチ90から手を離すと、キースイッチ90は始動位置(ST)から電源入り位置(ON)に自動復帰する。
【0083】
そして、この乗用型田植機では、制御装置Hからエンジン始動用装置Jとしての燃料ポンプ91及びエンジン始動用モータ93に対する作動指令が無い場合であっても、キースイッチ90の操作により燃料ポンプ91とエンジン始動用モータ93を作動させることが可能な操作連係部Zが設けられている。
【0084】
図11に示すように、前記操作連係部Zは、キースイッチ90のオフ操作にて非導通状態となり且つキースイッチ90のオン操作にて導通状態となる第1のリレーとしての第1始動用リレーRy1と、制御装置Hから前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ制御装置Hから燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとしての第2始動用リレーRy2と、バッテリーVから燃料ポンプ91に対する電源供給路94に直列状態で備えて構成され、さらに、キースイッチ90によるエンジン始動位置(ST)への操作あるいは制御装置Hからの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、キースイッチ90によるエンジン始動位置(ST)への操作及び回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーとしての第3始動用リレーRy3を、バッテリーVからエンジン始動用モータ93に対する電源供給路95に備えて構成されている。
又、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91を作動させるときは燃料ポンプ91と共にラジエータ電動ファン31を作動させるように構成されている。
【0085】
説明を加えると、図11に示すように、第1始動用リレーRy1の接点回路96における一端側端子と第2始動用リレーRy2の接点回路97の一端側端子とが直列状態で接続されており、第1始動用リレーRy1の接点回路96における他端側端子とバッテリーVの正極側端子(A)とが接続され、第2始動用リレーRy2の接点回路97における他端側端子と接地部GND(バッテリーの負極側端子)との間に、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31とが並列状態で接続されている。
【0086】
第1始動用リレーRy1の接点回路96は、コイル98に通電が行われていない非励磁状態では接点が開状態となり、コイル98に通電が行われて励磁される状態で接点が閉状態となるノーマルオフ形式の接点回路にて構成されている。そして、第1始動用リレーRy1のコイル98における一端側端子は、バッテリーVの正極側端子(A)に接続され、コイル98における他端側端子は接地部GNDに接続されている。つまり、キースイッチ90がオフ操作されると、第1始動用リレーRy1は非導通状態となり、キースイッチ90がオン操作されると、コイル98に通電されて第1始動用リレーRy1が導通状態となる。
【0087】
一方、第2始動用リレーRy2の接点回路97は、コイル99に通電が行われていない非励磁状態では接点が閉状態となり、コイル99に通電が行われる励磁状態では接点が開状態となるノーマルオン形式の接点回路にて構成されている。そして、第2始動用リレーRy2のコイル99における一端側端子はバッテリーVの正極側端子(A)に接続され、コイル99における他端側端子は制御装置Hの出力端子d1に接続されている。つまり、制御装置Hの始動用出力端子d1がハイレベル状態であれば第2始動用リレーRy2は非導通状態となり、始動用出力端子d1がローレベル状態になると、第2始動用リレーRy2が導通状態となる。
【0088】
このように構成することで、制御装置Hが正常に動作している場合には、キースイッチ90をオン操作している状態で、制御装置Hにおける始動用出力端子d1をローレベル状態にすると、第2始動用リレーRy2が導通状態となって燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31が作動状態となり、制御装置Hにおける始動用出力端子d1をハイレベル状態にすると、第2始動用リレーRy2が非導通状態となって燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31が非作動状態となるように切り換えることができる。
又、制御装置Hが故障している場合であっても、第2始動用リレーRy2は、コイル99が非励磁状態であると接点回路97が導通状態となるので、キースイッチ90をオン操作させることで、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31を作動状態にすることができ、キースイッチ90をエンジン始動位置(ST)へ操作することにより、エンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12を始動させることができる。
【0089】
第3始動用リレーRy3の接点回路100は、コイル101に通電が行われていない非励磁状態では、接点が開状態となり、コイル101に通電が行われて励磁される状態で接点が閉状態となるノーマルオフ形式の接点回路にて構成されている。
この第3始動用リレーRy3の接点回路100における一端側端子が、バッテリーVの正極側端子(A)に接続されるキースイッチ90よりも通電方向下手側箇所(B)に接続され、第3始動用リレーRy3の接点回路における他端側端子が、エンジン始動用モータ93を介して接地部GNDに接続されている。
【0090】
そして、第3始動用リレーRy3のコイル101における一端側端子は、キースイッチ90の始動用端子(ST)に接続されるとともに、制御装置Hにおける出力端子d3に接続されている。コイル101における他端側端子は、ブレーキ検知スイッチ102を介して接地部GNDに接続されている。このブレーキ検知スイッチ102は、ブレーキ操作具52が踏み操作されるとオン状態となるものであり、安全のためにブレーキ操作具52が踏み操作されている状態でのみエンジン始動を可能とするためのものである。
【0091】
尚、エンジン12が作動している状態で制御装置Hが故障したような場合には、キースイッチ90をオフ操作することで、燃料ポンプ91とラジエータ電動ファン31を非作動状態となるように切り換えることができるが、燃料遮断弁74を作動させることができず、しかも、燃料供給路内に残っている燃料がエンジン12に供給され続けると、エンジン12の作動が継続することがある。そこで、燃料遮断弁74は、手動操作にて燃料遮断状態に切り換えることが可能に構成されており、手動操作にて遮断状態に切り換えることでエンジン12を停止させることができるようになっている。
【0092】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、前記エンジン始動処理を実行するときには、断続回路を遮断状態に切り換えて補助作業灯71への電力供給を停止させる構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
つまり、制御装置Hは、キースイッチ90がオン操作されている状態において、他の操作具としての主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作された場合であっても、特定の電装品としての補助作業灯71が作動しているときは、エンジン停止処理を実行しないように構成するものでもよい。
【0093】
(2)上記実施形態では、特定の電装品として補助作業灯71への電力供給を停止させるようにしたが、特定の電装品としては、補助作業灯71に限らず、前照灯や施肥装置7における電動ブロア28、指標作成用のマーカー(図示せず)を出退させるアクチュエータ、苗植付装置4の左右傾斜姿勢修正用の電動モータ(図示せず)等のうちのいずれか1つ又は2つ以上のものを特定の電装品とするようにしてもよい。又、このような構成に代えて、エンジン停止処理を実施するのに必要な電装品と、苗の補給作業において必要となる電装品(例えば、苗のせ台21における苗残量を検出するセンサや、肥料ホッパー24の肥料貯留量のセンサ等あるいは、それの検出情報を表示する表示部等)以外の電装品を特定の電装品としてもよく、エンジン停止状態においては、これらの電装品への電源供給を停止させるようにしてもよい。
【0094】
(3)上記実施形態では、エンジン12が水冷式に構成され、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91を作動させるときに燃料ポンプ91と共にラジエータ電動ファン31を作動させるように構成したが、エンジン12として空冷式のものを使用して、操作連係部Zが、キースイッチ90のオン操作により燃料ポンプ91だけを作動させる構成としてもよい。
【0095】
(4)上記実施形態では、作業車として乗用型田植機を例示したが、本発明は乗用型の直播機や乗用型耕耘機等の作業車にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の作業車であって、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
3 走行機体
12 エンジン
12a クランク軸
30 ラジエータ
31 電動ファン
71 電装品
72 電源供給路
73 電源遮断手段
74 エンジン停止手段
90 キースイッチ
91 燃料ポンプ
93 エンジン始動用モータ
94 電源供給路
95 電源供給路
D 他の操作具
H 制御手段
J エンジン始動用装置
Ry1 第1のリレー
Ry2 第2のリレー
Ry3 第3のリレー
ST エンジン始動位置
V バッテリー
Z 操作連係部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、
前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車であって、
前記制御手段からの前記エンジン始動用装置に対する作動指令が無い場合であっても、前記キースイッチの操作により前記エンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられている作業車。
【請求項2】
前記エンジン始動用装置が、前記エンジンのクランク軸を回動操作するエンジン始動用電動モータと、前記エンジンに対して燃料を供給するための燃料ポンプとを備えて構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記キースイッチが、オン操作されている状態においてエンジン始動位置に操作自在に構成され、
前記操作連係部が、
前記キースイッチのオフ操作にて非導通状態となり且つ前記キースイッチのオン操作にて導通状態となる第1のリレーと、前記制御手段から前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ前記制御手段から前記燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとを、バッテリーから前記燃料ポンプに対する電源供給路に直列状態で備えて構成され、さらに、
前記キースイッチによる前記エンジン始動位置への操作あるいは前記制御手段からの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、前記エンジン始動位置への操作及び前記回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーを、バッテリーから前記エンジン始動用モータに対する電源供給路に備えて構成されている請求項2記載の作業車。
【請求項4】
エンジン冷却用のラジエータに冷却風を供給する電動ファンが備えられ、
前記操作連係部が、前記キースイッチのオン操作により前記燃料ポンプを作動させるときは前記燃料ポンプと共に前記電動ファンを作動させるように構成されている請求項2又は3記載の作業車。
【請求項5】
車体に搭載される複数の電装品のうちの特定の電装品への電源供給路を断続自在な電源断続手段が設けられ、
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行すると、前記電源断続手段を遮断状態に切り換えるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項6】
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記他の操作具が操作された場合であっても、前記特定の電装品が作動しているときは、前記エンジン停止処理を実行しないように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記特定の電装品が、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するために点灯する補助作業灯である請求項5又は6記載の作業車。
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体の各部の作動を制御する制御手段が備えられ、
前記制御手段が、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止手段を作動させてエンジンの作動を停止させるエンジン停止処理、及び、そのエンジン停止処理にて前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動用装置を作動させて前記エンジンを始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている作業車であって、
前記制御手段からの前記エンジン始動用装置に対する作動指令が無い場合であっても、前記キースイッチの操作により前記エンジン始動用装置を作動させることが可能な操作連係部が設けられている作業車。
【請求項2】
前記エンジン始動用装置が、前記エンジンのクランク軸を回動操作するエンジン始動用電動モータと、前記エンジンに対して燃料を供給するための燃料ポンプとを備えて構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記キースイッチが、オン操作されている状態においてエンジン始動位置に操作自在に構成され、
前記操作連係部が、
前記キースイッチのオフ操作にて非導通状態となり且つ前記キースイッチのオン操作にて導通状態となる第1のリレーと、前記制御手段から前記作動指令としての燃料供給指令がなければ導通状態となり且つ前記制御手段から前記燃料供給指令があれば非導通状態となる第2のリレーとを、バッテリーから前記燃料ポンプに対する電源供給路に直列状態で備えて構成され、さらに、
前記キースイッチによる前記エンジン始動位置への操作あるいは前記制御手段からの前記作動指令としての回動操作指令のいずれかがあれば導通状態となり、且つ、前記エンジン始動位置への操作及び前記回動操作指令のいずれも無ければ非導通状態となる第3のリレーを、バッテリーから前記エンジン始動用モータに対する電源供給路に備えて構成されている請求項2記載の作業車。
【請求項4】
エンジン冷却用のラジエータに冷却風を供給する電動ファンが備えられ、
前記操作連係部が、前記キースイッチのオン操作により前記燃料ポンプを作動させるときは前記燃料ポンプと共に前記電動ファンを作動させるように構成されている請求項2又は3記載の作業車。
【請求項5】
車体に搭載される複数の電装品のうちの特定の電装品への電源供給路を断続自在な電源断続手段が設けられ、
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記エンジン停止処理を実行すると、前記電源断続手段を遮断状態に切り換えるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項6】
前記制御手段が、前記キースイッチがオン操作されている状態において、前記他の操作具が操作された場合であっても、前記特定の電装品が作動しているときは、前記エンジン停止処理を実行しないように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記特定の電装品が、夜間において車体の周囲における作業状況を確認するために点灯する補助作業灯である請求項5又は6記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−70658(P2013−70658A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211278(P2011−211278)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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