説明

作物搬送装置

【課題】作物を整列させながら搬送できる作物搬送装置を提供すること。
【解決手段】作物を投入するホッパ部1から作物を第1搬送装置3のローラコンベア2で搬送して整列装置5に送る際に搬送装置3の中央に搬送方向に沿って作物の移動を規制する仕切部材10を設けて作物が一箇所に集中して汲み上げられることを防止し、搬送装置3の搬送前半部に設けた横揃えベルト15で搬送中の作物をローラコンベアの両端側方向に移動させ、該ベルト15よりも搬送後半部側で且つ仕切部材10の外側に搬送装置3の内側寄りの作物を突起18により落下させてホッパ部1に戻すことで、整列装置5に投入される際に作物同士がぶつかり合って傷付くことが防止すると共に、整列搬送が滞ることがなくなり、作業能率を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した人参や大根等を搬送する作物搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の技術分野に関して、例えば特開2005−238165号公報には、洗浄した作物を選別装置まで搬送し、選別装置で搬送されながら重量毎に選別し、選別装置の搬送方向左右一側に回収する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−238165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の選別装置は、該選別装置で選別された後の作物を回収する作業者にとって、より回収しやすい場所に配置できる装置である。この選別装置は、作物を選別作業するまでの工程が長く、選別するために作物を搬送する過程で作物が整列されることなく搬送されるので、搬送作業が能率的に行えるとは言いえなかった。そのため作物の大きさを基準に選別する作業に支障をきたすことがあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は作物を整列させながら搬送できる作物搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次の技術的手段を用いる。
すなわち、請求項1記載の発明は、作物を貯留する貯留部(1)と、該貯留部(1)から作物を機体後部へと搬送する複数の搬送体(2)を備えた第1搬送装置(3)とから構成する作物搬送装置において、第1搬送装置(3)の搬送作用面に作物の移動を規制する仕切部材(10)と、第1搬送装置(3)の搬送方向前側に搬送中の作物を機体内側又は機体外側方向に移動させる移動装置(15)と、該移動装置(15)よりも第1搬送装置(3)の搬送方向後側で且つ移動装置(15)の移送方向反対側に第1搬送装置(3)で搬送される作物を落下させて第1搬送装置(3)の搬送始端側に戻す突起(18)とを設けた作物搬送装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、第1搬送装置(3)を構成する搬送体(2)の下方に板体(13)を設け、仕切部材(10)の下方に位置する板体(13)に凸型部材(13c)を設けた請求項1記載の作物搬送装置である。
【0007】
請求項3記載の発明は、移動装置(15)よりも搬送方向後側で且つ移動装置(15)の移送方向終端側に第1搬送装置(3)から作物の脱落を防止する脱落防止部材(19)を設けた請求項1及び2記載の作物搬送装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、第1搬送装置(3)の終端部に作物の搬送姿勢を変更する案内部材(26〜28,32)と、第1搬送装置(3)の終端部の中央に搬送姿勢を変更された作物の移動を規制する規制部材(30)とを設けた請求項1〜3のいずれかに記載の作物搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、貯留部(1)から作物を搬送して機体後部に送る第1搬送装置(3)の搬送作用面に仕切部材(10)を設けることによって、作物が一箇所に集中して汲み上げられることを防止できるので、第1搬送装置(3)から作物が一本ずつ排出されるようになるので正確な整列搬送を行うことができ、作業能率が向上する。
【0010】
また、一台の第1搬送装置(3)で搬送する作物を二列に並べることができるので、二ヶ所に作物を排出する場合、一列に作物を一本ずつ排出することができ、作業能率が向上する。
【0011】
そして、第1搬送装置(3)の搬送前半部に搬送中の作物を機体内側又は機体外側方向に移動させる移動装置(15)を設けたことによって、作物を二列で搬送する際に互いの距離を十分に開けることができるので、作物が二ヶ所に排出される際に作物同士がぶつかり合って傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、第1搬送装置(3)の終端部で作物が滞ることがなくなり、作業能率が向上する。
【0012】
さらに、移動装置(15)よりも搬送方向後側で且つ移動装置(15)の移送方向反対側に突起(18)を設けたことによって、移動装置(15)の移送方向に移動されなかった作物があったとしても、突起(18)が作物を落下させて第1搬送装置(3)の搬送始端側へと戻すので、第1搬送装置(3)の終端部から輩出される作物同士がぶつかり合い傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、作物の排出が滞ることがなくなるので、作業能率が向上する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1搬送装置(3)を構成する搬送体(2)の下方に設ける板体(13)のうち、仕切部材(10)の下方に位置する部分に凸型部材(13c)を設けたことによって、作物の端部が仕切部材(10)と板体(13)との間にはまり込んでしまうことが防止されるので、作物が傷付くことが防止されて作物の品質劣化が向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、移動装置(15)よりも搬送終端側で且つ移動装置(15)の移送方向終端側に脱落防止部材(19)を設けたことによって、移動装置(15)の移送方向終端側に移動させられた作物が搬送途中に落下することが防止されるので、作物が一本ずつ確実に第1搬送装置(3)から排出されるため、作業能率が向上する。
また、作物が第1搬送装置(3)の搬送始端側へと落下する際にぶつかって傷付くことを防止できるので、作物の品質が向上する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1搬送装置(3)の終端側部に作物の搬送姿勢を変更する案内部材(26〜28,32)を設けたことによって、搬送方向に対して適切な搬送姿勢で作物が第1搬送装置(3)から排出されるため、搬送姿勢を変更するための搬送部材の設置を省略することができるので、機体構成が簡潔になると共にコストダウンを図ることができる。
【0016】
また、第1搬送装置(3)の終端中央部に規制部材(30)を設けたことによって、案内部材(26〜28,32)に作物の搬送姿勢が変更される際、作物が転がり落ちたり、作物が第1搬送装置(3)から排出される際に他方の排出口から落下することが防止されるので、作物が傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、作物を人手で搬送経路に戻す作業が省略されるので、作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
本実施例の作物搬送装置の第1搬送装置側面図を図1に示し、平面図を図2に示し、図3(a)に図2のA−A線切断面図を示し、図3(b)に図2のB−B線切断面図を示す。
【0018】
図1と図2に示す作物搬送装置は作物を投入するホッパ部(貯留部)1と該ホッパ部(貯留部)1から作物をローラコンベア(搬送体)2で搬送する汲上搬送装置3(第1搬送装置)と、該汲上搬送装置3の終端部から作物を受け取り、整列させる整列装置(第2搬送装置)5とからなる。
【0019】
ホッパ部(貯留部)1は傾斜壁面を周囲に設けた構成であり、該傾斜面には水切り用のスリット1aを備えている。ホッパ部(貯留部)1に人手により、もしくはホッパ部1の近傍に配置される洗浄装置(図示せず)から自動的に作物が投入され、ホッパ部(貯留部)1の内部の水平搬送路を始端部とするローラコンベア2を備えた汲上搬送装置3が配置されている。汲上搬送装置3の中間部は昇り勾配を有する傾斜状の搬送路を備えており、該傾斜状の搬送路を上ると汲上搬送装置3で搬送される作物を整列するための整列装置5へ作物を搬送するための水平搬送路を有する。
【0020】
汲上搬送装置3には複数の搬送ローラ2a・・・を所定間隔に並列配置したローラコンベア2を備えており、このローラコンベア2は各搬送ローラ2aを回転自在に支持する支持軸2bの両側に設けた駆動スプロケット6aと従動スプロケット6bの間に掛け渡されたチェーン7に支持されてに沿って駆動スプロケット6aを駆動するモータ8に駆動されて移動する構成である。また、駆動スプロケット6aと従動スプロケット6bの間には上下のテンションスプロケット6c、6dがチェーン7の駆動の補助をしている。
【0021】
なお、図1、図2では各部の構成を明らかにするため、ローラコンベア2の複数の搬送ローラ2a・・・のうち一部のみを図示した。作物は複数の搬送ローラ2a・・・間の空間部に入り、搬送ローラ2aに押し上げられながら汲上搬送装置3の後部へと搬送される。
【0022】
また、図1、図2に示すように、汲上搬送装置3のローラコンベア2の中央部には搬送方向に長手方向を向けた仕切部材10をメインフレーム11に支持させている。該仕切部材10を設けたことによって、作物がローラコンベア2の搬送方向に二列で搬送されるようになるので、作物同士が重なることが防止されると共に、整列装置5に作物が二本ずつ送られるので、作物の整列が効率よく行われる。
ホッパ部1の内部から仕切部材10を汲上搬送装置3のローラコンベア2の終端部でまで延設しているので、ローラコンベア2により長い距離を搬送中に仕切部材10による作物の区別が確実となる。
【0023】
なお、ホッパ部1の内部の仕切部材10の上下高さを搬送ローラ2aの下端部よりも低くしておくと、ホッパ部1内に作物が投入されるときに、仕切部材10がホッパ部1内で作物が移動することを妨げないので、作物は仕切部材10で仕切られたローラコンベア2に左右均等に搬送されていくので、作業能率が向上すると共に、整列装置5に作物が偏って落下することが防止され、作業能率が向上する。
【0024】
上記仕切部材10としてチェンプレート(図示せず)を用いても良い。このチェーンプレートはローラコンベア2の各搬送ローラ2aの支持軸2bと同軸上に設けられたスプロケット(図示せず)で回動自在とすれば、ローラコンベア2の駆動力を利用できる。さらに、チェーンプレートは、作物が当たっても傷つかない様にコーナ部をゴム等の弾性体とし、作物が触れても破損しないようにチェーンプレートのコーナには丸みを付ける。
【0025】
前述のように仕切部材10は第1搬送装置3の搬送作用面上で作物が搬送方向に直交する方向に移動することを規制する機能を有しており、作物が一箇所に集中して汲み上げられることを防止でき、整列装置5に作物が一本ずつ送られるようになり正確な整列搬送を行うことができる。また、一台の第1搬送装置3で搬送する作物を仕切部材10で二列に並べることができるので、整列装置5を用いる場合、一列に作物を一本ずつ送ることができ、作業能率が向上する。
【0026】
また、図1に示すように仕切部材10の下方のホッパ部1の内部には第一底板13aが配置され、また第1搬送装置3の傾斜後半部には第二底板13bが配置されている。
【0027】
さらに前記第一底板13aと第二底板13bの間であって、第1搬送装置3の傾斜前半部の下方には一対の横揃いベルト15と該ベルト15を駆動させるモータ16が設けられている。
【0028】
また、図3に示すように第1搬送装置3の傾斜後半部の底板13bに横断面が凸状のレール13cを形成することで作物の端部が仕切部材10と凸状のレール13cとの間にはまり込んでしまうことを防止できるので、作物が傷付くことが防止されて作物の品質劣化がない。
【0029】
さらに、横揃えベルト15がある部分の底部には底板13bを設けられないが、仕切部材10の下方には底板13bに構成される凸状のレール13cが配置可能なスペースがあので、図3(a)には図3(b)に示す凸状のレール13cの延長した部分を示す。
【0030】
また、図3に示すようにローラコンベア2を構成する各搬送ローラ2aの中央側の角部を丸み形状もしくはテーパ形状とすることによって、作物がスムーズに横移動(搬送方向に直交する方向)に移動できると共に、搬送ローラ2aの角部に作物が接触しても作物が傷付くことを防止できる。
【0031】
さらに、汲上搬送装置3の傾斜前半部のローラコンベア2の下方であって、仕切部材10で二分される各領域にはローラコンベア2で搬送中の作物の搬送方向を直交する方向に移動させる横揃えベルト(移動装置)15がそれぞれ配置されている。該横揃えベルト15は、ベルト上の作物を仕切部材10から離間する方向(ローラコンベア2の機体外側両方向)に搬送するように回動する。
【0032】
従ってホッパ部(貯留部)1から汲上搬送装置3のローラコンベア2で搬送される作物は、横揃えベルト15の上に来るとローラコンベア2の機体外側両方向に搬送されると共に、ローラコンベア2の搬送方向に搬送される。また、横揃えベルト(移動装置)15が汲上搬送装置3で搬送中の作物をローラコンベア2の機体外側両方向に移動させるので、作物を二列で搬送する際に互いの距離を十分に開けることができ、作物が整列装置5に投入される際に作物同士がぶつかり合って傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、整列装置5での作物整列搬送が滞ることがなくなるので、作業能率が向上する。
【0033】
第1搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の下方であって、仕切部材10で二分される各領域には仕切部材10に平行な位置にそれぞれ突起からなる排出キール18が設けられている。図3に示すように排出キール18の上端部はローラ2a1とローラ2a2との間で、且つ、ローラ支持軸2bに接触しない高さとする。
【0034】
排出キール18は汲上搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の下方に設置される底板13b上に設けられている。従って第1搬送装置3の傾斜後半部の各ローラコンベア2は仕切部材10と排出キール18で四分割されて支持軸2bに支持されている。また汲上搬送装置3の傾斜後半部の両端部のローラコンベア2とは間隔を開けて、ローラコンベア2上に脱落防止ホルダ19を設けている。
【0035】
前記排出キール18は、前記横揃えベルト15でロールコンベア2の両端部方向に移動しきれなかった作物があったとしても、該排出キール18に持ち上げられて、作物がロールコンベア2上を落下してホッパ部1まで戻るので、汲上搬送装置3の中央部側から作物が整列装置5に投入された場合、作物同士がぶつかり合って傷付くおそれがあるが、本実施例では、そのような不具合が防止されて作物の品質劣化がないだけでなく、整列装置5の整列搬送が滞ることがなくなるので、作業能率が向上する。
【0036】
また、図4に汲上搬送装置3の変形例の側面図に示すように汲上搬送装置3の傾斜状の搬送路の前半部の傾斜角度(θ0)を後半部の傾斜角度(θ1)よりゆるくすることにより(角度θ0<θ1)、作物の重量がローラコンベア2の搬送面に大きく掛かるため、摩擦力を向上させて汲上搬送装置3のローラコンベア2の搬送方向に直交する方向への作物の移送が易しくなるので、整列装置5で複数の作物がぶつかりあって傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、整列装置5の整列搬送が滞ることが防止されて作業能率が向上する。
【0037】
さらに図1、図2に示す汲上搬送装置3の一部変形例を図5の側面図と図6の平面図に示す。この変形例では汲上搬送装置3のローラコンベア2の上部に回収シュータ22を配置した構成である。
この回収シュータ22は大きなサイズの作物を選別するためのものであり、従来傾斜搬送面を形成するローラコンベア2を用いて上方に向かって作物を搬送する場合に、搬送し切れない大きなサイズの作物は常にローラコンベア2から落とされるため、選別不可になっていた。
【0038】
そこで、ローラコンベア2から落とされていた作物を形状選別するために図5と図6に示す形状の回収シュータ22を用いる。この回収シュータ22は、第1搬送装置3の搬送始端部から傾斜前半部のローラコンベア2の上方に該ローラコンベア2の傾斜面に沿って傾斜状に配置され、汲上搬送装置3の傾斜前半部のローラコンベア2から傾斜後半部のローラコンベア2に搬送され始めた作物の中で、ローラコンベア2で搬送するには、大き過ぎる作物が傾斜後半部のローラコンベア2から転げ落ちるので、それを回収してホッパ部1に向けて落とすことができる。
【0039】
ここで、回収シュータ22に回収される作物は汲上搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の支持軸2bと平行した方向に、その長手方向が向いた状態で搬送されている作物が、ローラコンベア2の左右端部と排出キール18との間隔より大きなサイズであると、排出キール18により回収シュータ22に向けて落下を始める。
【0040】
上記回収シュータ22は、汲上搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の始端部の幅とほぼ同じ幅で、平面状の作物回収部22aを備え、傾斜部の下方側になるほど両側を反り上げて落下してくる作物が中央に集められて通る窪みを設けている。また、回収シュータ22の傾斜部の最下端部の中央部には所定の大きさの開口部(割り溝)22bがあり、該開口部22bの下方は傾斜前半部のローラコンベア2の始端部があり、前記開口部22bから落下する大きさの作物は再びローラコンベア2上に載って整列装置5に向けて搬送される。また、前記開口部22bから落下し得ない大きさの作物はホッパ部1まで落下することになり、他の比較的小さなサイズの作物と選別されてホッパ部1’内に残留することになる。
【0041】
また、上記回収シュータ22の上端の平面状の作物回収部22aは図5に示すように回動軸22cを中心として揺動自在の開閉シャッタとなっており、該作物回収部22aの裏面側で大きなサイズの作物がローラコンベア2で搬送されるときには、作物回収部22aは上方に開き、作物を後方に搬送させた後、作物が回収シュータ22上を落下するときには作物回収部22aは閉じる(先端がローラコンベア2に接する位置に戻る。)ので、スムーズに作物を落下させることができ、作業能率が従来より向上する。
【0042】
本実施例では図1と図2に示すように、汲上搬送装置3の傾斜後半部の両端部に脱落防止ホルダ19を配置している。脱落防止ホルダ19を配置したことによって、汲上搬送装置3の傾斜前半部にある一対の横揃えベルト15で汲上搬送装置3の両側に移動させられた作物を該脱落防止ホルダ19によって下方に向かって押圧することができるので、作物が汲上搬送装置3の傾斜後半部の両端部から落下して他の作物に衝突するなどして傷付くことが防止されて作物の商品価値が向上すると共に、作物が一本ずつ確実に整列装置5に搬入されるので、整列装置5で複数の作物がぶつかりあって傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、整列装置5の整列搬送が滞ることが防止されて作業能率が向上する。
【0043】
図7(a)と図7(b)に図1の汲上搬送装置3の一部変形例の側面図と平面図を示すように、前記排出キール18に代えて汲上搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の間に排出偏心ローラ18’を配置しても良い。該排出偏心ローラ18’の回転はローラコンベア2と同期させ、その回転方向は、汲上搬送装置3の傾斜前半部のローラコンベア側へ、より確実に作物を戻すことができるようにするために、ローラコンベア2の回転方向に対して逆方向に回転する構成とする。
【0044】
該排出偏心ローラ18’,18’は、仕切部材10から夫々機体左右外側方向に等距離離間させて回転自在に設けると共に、ローラコンベア2の搬送方向後方ほど左右に離間するように配置する。なお、排出偏心ローラ18’ ,18’は前記脱落防止ホルダ19の下方には配置しない。
【0045】
上記構成により、機体両外側端で搬送される作物以外は、排出偏心ローラ18’ ,18’に接触してローラコンベア2の搬送始端側へと戻されるので、整列装置5で複数の作物がぶつかりあって傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、整列装置5の整列搬送が滞ることが防止されて作業能率が向上する。
【0046】
図8(a)の側面図と図8(b)の平面図に示すように、図1の汲上搬送装置3の一部変形例のローラコンベア2’のローラ形状を中央部を最大径とし、両端部にいくほど小径となっているテーパ状にすることにより、図1、図2に示す構成のように横揃えベルト15を設置することなく、搬送中の作物をローラコンベア2’の両端側に寄せることができる。
【0047】
前記ローラコンベア2’の各搬送ローラ2a’の外周にブラシ2b’を植毛すると共に、ローラコンベア2’の下部に搬送始端部から終端部に亘って底板13dを設けることによって、搬送ローラ2a’に植毛したブラシ2b’が底板13dに接触して平らになると共に底板13dから離間する際に起立するため、搬送ローラ2a’は作物を機体外側端方向に寄せることができ、機体構成が簡単になると共に作業能率が向上する。
【0048】
また、ブラシ2b’の先端部をローラコンベア2’の中央から機体外側端方向に向けて対称的に傾斜させてローラコンベア2’に植毛することによって、搬送中の作物をローラコンベア2’の機体外側端方向に寄せることができる。
【0049】
また、図9に図1の汲上搬送装置3の一部変形例の平面図を示すように、汲上搬送装置3のローラコンベア2”の搬送ローラ2a”の形状の中央部の径を最大径とし、両側端部にいくほど小径となるテーパ状とし、さらに、ローラコンベア2”の表面に螺旋溝2c”を設けた構成とすることにより、より効果的に搬送中の作物をローラコンベア2”の機体外側端方向に寄せることができる。
【0050】
図10(a)の平面図と図10(b)の図10(a)の搬送ローラ2a取り付け部の拡大図に図1の第1搬送装置3の一部変形例を示すように、汲上搬送装置3のローラコンベア2の中央側を先行させて、ローラコンベア2が山形形状となるように搬送ローラ2aを傾斜配置する構成にしても良い。この場合は、より効果的に搬送中の作物をローラコンベア2の両端側に寄せることができる。図10に示す構成ではローラコンベア2は搬送方向中央部で二分されて、搬送ローラ2aの移動用のセンタチェーン2eとサイドチェーン2fの間に傾斜配置されるローラを取り付ける。
【0051】
また、図10(c)に第1搬送装置3の部分図を示すように、汲上搬送装置3の傾斜後半部のローラコンベア2の下方にロックボルト37を緩めるとメインフレーム11に機体上下方向に設けた長孔に沿って機体上下方向に移動自在に構成した底板13fを設けたことによって、該底板13fとローラコンベア2の上方に設ける各搬送ローラ2aとのクリアランスを変更することができるので、作物の径の大小でローラコンベア2による搬送力を変更でき、作業能率が向上する。
【0052】
上記した各種の汲上搬送装置3で搬送される作物は、図1、図2に示すように、汲上搬送装置3の終端部において、シュータ20で整列装置5に受け渡されるが、その底板13bが、作物が周り込まないようするために下向きに折り返されていき、さらに底板13bの下には整列装置5に作物を導くシュータ20を配置している。
【0053】
また、汲上搬送装置3のローラコンベア2から整列装置5のベルト式コンベア25上に作物を、その長手方向が搬送方向に沿って引き継ぐために作物(人参)の方向を90度変えなければならない。図11に汲上搬送装置3の終端部の平面図(図11(a))と側面図(図11(b))を示し、図12に汲上搬送装置3の終端部から見た背面図に示すように、汲上搬送装置3の横揃えベルト15で搬送路の両端に横寄せされた作物を90度搬送方向を変えるための横調節部材26と抵抗体27をメインフレーム11に取り付けている。さらに抵抗体27の搬送方向後方にサイドガイド28が機体に取り付けられており、該サイドガイド28は抵抗体27による作物の縦送りを補助する。抵抗体27は図11(b)に示すように折り曲げ形状をしており、作物の端部をこの抵抗体27の上に載せることで搬送方向への移動を遅らせて作物の搬送方向を90度変えることができる。
【0054】
また、抵抗体27は横調節部材26の伸縮により汲上搬送装置3の搬送方向に直交する方向に、その作用位置を変えて調整できる。また横調節部材26のメインフレーム11への取付部には長孔(図示せず)があり、該長孔に対するボルト固定位置を調整して抵抗体27のメインフレーム11への取り付け高さ位置を調整することができる。
【0055】
たとえば、長い作物では抵抗体27の高さを高くすることで、長い作物の先端が整列装置5のベルト式コンベア25上に載った時点でも作物の後端を抵抗体で縦送り方向に誘導できるようにする。こうして作物の大きさに応じて抵抗体27の設置位置を3次元的に変更することで、作物の搬送方向を容易に変更できる。
【0056】
なお、抵抗体27は図11(b)に示すように、その折り曲げたコーナ部は丸みを帯びた形状として作物の引っ掛かりによる損傷を防ぐことができる。
【0057】
抵抗体27を設けたことによって、搬送方向に対して適切な搬送姿勢で作物が搬送方向に長手方向を向けて整列装置5に投入されるため、作物の搬送姿勢を変更するための搬送装置を省略することができ、構成が簡潔になると共にコストダウンを図ることができる。
【0058】
また、汲上搬送装置3の終端部の中央部に底板13b(もしくはレール13c)に基部を取り付けたセンタガイド30を設けたことによって、抵抗体27に作物の搬送姿勢が変更される際、作物が転がり落ちたり、本来落下すべきベルト式コンベア25の隣のベルト式コンベア25に移動してしまうことが防止できるので、作物が傷付くことが防止され、作物の品質が向上する共に、作物を人手で整列装置5の搬送経路に戻す作業が省略されるので、作業能率が向上する。
【0059】
また、図11に示すセンタガイド30を設置し、該センタガイド30の頂部は作物の搬送方向後方側が低くなるように傾斜状にしている。そのため長い人参などの作物がセンタガイド30に載っても、抵抗体27を支点にころがり落ちる様になっている。このようにセンタガイド30により作物が縦送りができるように誘導され、センタガイド30上を滑り落ちた作物は前記サイドガイド28で止められ、ベルト式コンベア25上から転がり落ちないようにする。また、センタガイド30の長さ≧サイドガイド27の長として、確実に作物をベルト式コンベア25上に載せることができる。
【0060】
従って、第1搬送装置3のローラコンベア2上を横向き(長手方向を搬送方向に直交する方向に向けている)に搬送されていた作物は第1搬送装置3のローラコンベア2の終端部側では縦向き(長手方向を搬送方向に向けている)変えることができ、第1搬送装置3のローラコンベア2の中央側にあった作物の端部を先に第2搬送装置(整列装置)5のベルト式コンベア25上に落下させ、第1搬送装置3のローラコンベア2の端部側にあった作物の端部の落下を遅らせる。すなわち作物を、その長手方向が搬送方向に向くように向きを変えて、第2搬送装置5のベルト式コンベア25上に落下させる。
【0061】
また、図13(a)に図1の一部変形例の第1搬送装置3の終端部の平面図と図13(b)にその側面図を示すように、第1搬送装置3のローラコンベア2から第2搬送装置(整列装置)5のベルト式コンベア25上に作物を、その長手方向が搬送方向に沿って搬送されるように作物(人参)の方向を90度変えるための横調節部材26と抵抗体27とサイドガイド28とセンタガイド30を機体に取り付けた構成において、センタガイド30として搬送方向に沿って一対の回転軸30aを設け、該回転軸30aを中心に互いに外側に向けて回転する回転ブラシ又は弾性体からなる回転体30bを取り付けた構成にしても良い。なお、各回転体30bはモータ30cにより駆動される。
【0062】
この構成の場合は、搬送方向中央部付近では回転ブラシ又は弾性体からなる回転体30bがガイドとなり、センタガイド30上に落ちて来た作物を第2搬送装置5のベルト式コンベア25上にかき落とすため、安定した搬送ができる。
【0063】
また、回転体30bとして回転ブラシを用いる場合には、ブラシの回転体30bに対する取り付け角度を搬送方向に向いた回転軸30aに対して、例えば5°傾斜させておくと、作物がブラシ毛の傾斜に沿って整列装置5の方向に移動しながらベルト式コンベア25に掻き落とされ、整列作業が安定して行われて作業能率が良くなる。
【0064】
また、図13(c)に図13(a)、(b)の第2搬送装置5側から見た第1搬送装置3の終端部の背面図を示すように、前記回転体30bの下には、案内ガイド31を設けたことによって、前記回転体30bの下方に作物が巻き込まれるのを防止することができるので、作物が回転体30bの下方から落下することが防止され、作物が傷付くことが無く商品価値が向上する。
【0065】
また、図14(a)に図1の一部変形例の第1搬送装置3の終端部の平面図と図14(b)にその側面図を示し、図14(c)に第2搬送装置5側から見た第1搬送装置3の終端部の背面図を示すように、第1搬送装置3のローラコンベア2から第2搬送装置5のベルト式コンベア25上に作物を、その長手方向が搬送方向に沿って搬送されるように90度向きを変えるための横調節部材26と抵抗体27とサイドガイド28とセンタガイド30を設けた構成において、
搬送方向の横断面が両側のコンベア25に向けて山形の傾斜面を有するセンタガイド30の前側であって抵抗体27と並行する位置の搬送方向中央にそれぞれ縦回転軸32aを有する円筒状の回転体32bと該回転体32bの外側に隣接させてシュータ20を設けた構成にしても良い。なお、回転体32bはモータ32cにより駆動される。このように縦回転軸32aを有する円筒状回転体32bで作物を確実に方向転換させることができる。
【0066】
また、図15(a)に図1の一部変形例の第1搬送装置3の終端部の平面図と図15(b)にその側面図を示すように、図14に示す装置の円筒状の縦回転体32bに替えて縦回転軸32a’を有する回転体32b’を円錐形状とすることでも作物を確実に方向転換させることができる。なお、回転体32b’はモータ32c’により駆動される。このときセンタガイド30’の先端部も回転体32b’の円錐形状に沿った形状をしている。
【0067】
また、図16(a)に図1の一部変形例の第1搬送装置3の終端部の平面図と図16(b)にその側面図を示すように、図14に示す装置の円筒状の縦回転体32bに替えて縦回転軸32a”の方向を鉛直に対して30°〜60°の範囲で傾斜させた回転体32b”によっても、作物を確実に方向転換させることができる。なお、回転体32b”はモータ32c”により駆動される。このときセンタガイド30”の先端部も回転体32b”の形状に沿った形状をしている。
【0068】
また、図17(a)に図1の一部変形例の第1搬送装置3の終端部の平面図と図17(b)にその側面図を示し、図17(c)に第2搬送装置5側から見た第1搬送装置3の終端部の背面図を示すように、第1搬送装置3のローラコンベア2から第2搬送装置5のベルト式コンベア25上に作物を、その長手方向が搬送方向に沿って搬送されるように作物(人参)の方向を90度変えるための横調節部材26と抵抗体27とサイドガイド28を設けた構成において、抵抗体27と搬送方向に直交する方向に回転軸35aを配置した中央部に最大径を有し、両端部に行くほど径が小さくなるドラム状の回転体35を配置する構成でもよい。
【0069】
ドラム状の回転体35の中央部の最大径部分は抵抗体27より高い位置にあり、該回転体35の両端部側の最小径部分は抵抗体27より低い位置にあるため、抵抗体27で中央よりに押される作物は搬送方向を変えやすい。
【0070】
このようなドラム状の回転体35が抵抗体27と並行する位置にあるので、例えば図14に示す構成のような搬送方向中央部にセンタガイド30として搬送方向に沿って回転軸30aが設けられた回転体30bを用いなくても、作物を確実に方向転換させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の作物搬送装置によれは、搬送方向に直交する左右両側の何れかに作物を回収できるよう選択することが出来ることで、屋内に作業者が所望する配置で、かつコンパクトな作物搬送設備とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の作物搬送装置の第1搬送装置の側面図である。
【図2】本発明の作物搬送装置の第1搬送装置の平面図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A線切断面図、図3(b)は図2のB−B線切断面図である。
【図4】図1の第1搬送装置の変形例の側面である。
【図5】図1の第1搬送装置の一部変形例の側面図である。
【図6】図1の第1搬送装置の一部変形例の平面図である。
【図7】図1の第1搬送装置の一部変形例の側面図(図7(a))と平面図(図7(b))である。
【図8】図1の第1搬送装置の一部変形例の側面図(図7(a))と平面図(図7(b))である。
【図9】図1の第1搬送装置の一部変形例の平面図である。
【図10】図1の第1搬送装置の一部変形例の側面図(図10(a))と図10(a)のローラ取り付け部の拡大図(図10(b))と第1搬送装置の部分図(図10(c))である。
【図11】図1の第1搬送装置の終端部の平面図(図11(a))と側面図(図11(b))である。
【図12】図1の第1搬送装置の終端部から見た背面図である。
【図13】図1の第1搬送装置の終端部の一部変形例の平面図(図13(a))と側面図(図13(b))と第1搬送装置の終端部から見た背面図(図13(c))である。
【図14】図1の第1搬送装置の終端部の一部変形例の平面図(図14(a))と側面図(図14(b))と第1搬送装置の終端部から見た背面図(図14(c))である。
【図15】図1の第1搬送装置の終端部の一部変形例の平面図(図15(a))と側面図(図15(b))である。
【図16】図1の第1搬送装置の終端部の一部変形例の平面図(図16(a))と側面図(図16(b))である。
【図17】図1の第1搬送装置の終端部の一部変形例の平面図(図17(a))と側面図(図17(b))と第2搬送装置側から見た第1搬送装置の終端部の背面図(図17(c))である。
【符号の説明】
【0073】
1 ホッパ部(貯留部) 1a スリット
2、2’、2” ローラコンベア(搬送体)
2a、2a’、2a” ローラ
2b 支持軸 2b’ ブラシ
2c” 螺旋溝 2e センタチェーン
2f サイドチェーン 3 第1搬送装置
5 整列装置(第2搬送装置) 6a 駆動スプロケット
6b 従動スプロケット 6c 6d テンションスプロケット
7 チェーン 8 モータ
10 仕切部材 11 本作物搬送装置機体
13a 第一底板 13b 第二底板
13c レール 15 横揃いベルト
16 モータ 18 排出キール
18’ 排出偏心ローラ 19 脱落防止部材(ホルダ)
20 シュータ 22 回収シュータ
22a 作物回収部 22b 開口部(割り溝)
22c 回動軸 25 ベルト式コンベア
26 横調節部材 27 抵抗体
28 サイドガイド 30、30’、30” センタガイド
30a 回転軸 30b 回転体
30c モータ 31 案内ガイド
32a’、32a” 縦回転軸 32b’、32b” 円筒状回転体
32c’、32c” モータ 35 ドラム状の回転体
35a 回転軸 37 ロックボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を貯留する貯留部(1)と、該貯留部(1)から作物を機体後部へと搬送する複数の搬送体(2)を備えた第1搬送装置(3)とから構成する作物搬送装置において、
第1搬送装置(3)の搬送作用面に作物の移動を規制する仕切部材(10)と、
第1搬送装置(3)の搬送方向前側に搬送中の作物を機体内側又は機体外側方向に移動させる移動装置(15)と、
該移動装置(15)よりも第1搬送装置(3)の搬送方向後側で且つ移動装置(15)の移送方向反対側に第1搬送装置(3)で搬送される作物を落下させて第1搬送装置(3)の搬送始端側に戻す突起(18)とを設けたことを特徴とする作物搬送装置。
【請求項2】
第1搬送装置(3)を構成する搬送体(2)の下方に板体(13)を設け、仕切部材(10)の下方に位置する板体(13)に凸型部材(13c)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物搬送装置。
【請求項3】
移動装置(15)よりも搬送方向後側で且つ移動装置(15)の移送方向終端側に第1搬送装置(3)から作物の脱落を防止する脱落防止部材(19)を設けたことを特徴とする請求項1及び2記載の作物搬送装置。
【請求項4】
第1搬送装置(3)の終端部に作物の搬送姿勢を変更する案内部材(26〜28,32)と、第1搬送装置(3)の終端部の中央に搬送姿勢を変更された作物の移動を規制する規制部材(30)とを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−154978(P2009−154978A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331504(P2007−331504)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】