説明

作物選別装置

【課題】搬送中の作物が回収部に転げ落ちることや、バウンドして重量検知装置を誤作動させることを防止する構成とし、選別精度の高い作物選別装置を提供する。
【解決手段】作物を後方に送る移送装置を設け、移送装置から作物を受けて後側に送る搬送無端帯68を設け、作物の重量を検知する複数の重量検知装置を設け、重量検知装置の一側に重量検知装置が設定以上の重量を検知すると作物を送り出す送出装置を搬送方向に沿って設け、重量検知装置の他側に送出装置より送り出された作物を回収する回収部を搬送方向に沿って設け、搬送無端帯68の搬送方向前端側に移送装置から排出される作物を引き継ぐ引継部材71を設け、各重量検知装置の間に搬送無端帯68を支持案内する案内支持部材76を設け、案内支持部材76の前側を下方に折り曲げて屈曲部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を等級別に選別する作物選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作物選別装置としては、整列搬送装置で姿勢を整えた作物を一本ずつ選別搬送装置に移動させて等級別に選別する技術が存在する。(特許文献1,2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183539号公報
【特許文献2】特開2010−005603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載され作物選別装置は、整列搬送コンベアと選別搬送コンベアとの間に作物を引き継ぐ案内シュータを設けていないため、落下の衝撃で作物の姿勢が乱れて重量検知装置で上手く重量が検知されず、作物が実際の等級よりも低い等級で選別されてしまう問題がある。
【0005】
そして、特許文献2の整列搬送コンベアと選別搬送コンベアとの間に設ける案内シュータは、前後長さが略均一であるため、案内シュータの前後長さよりも短い作物は案内シュータ上に滞留しやすく、複数の作物が密接した状態で選別搬送コンベアに運ばれ、複数の作物が一つの作物として選別されてしまい、本来の等級とは異なる等級で選別されてしまう問題がある。
【0006】
また、重量検知装置は作物の重量によって上下動する構造であるため、作物が重量検知装置を通過する際に選別搬送コンベアの搬送ベルトがフレームと上下動する重量検知装置との間に引っ掛かり、搬送中の作物が回収部に転げ落ちることや、重量検知が正確に行なわれず作物が異なる等級として選別される問題がある。
【0007】
さらに、作物を回収部に送り出す送出装置と、この送出装置の前後間に設ける側壁との間に作物の先端部が引っ掛かり、作物が重量検知装置上に滞留して後続の作物と共に重量検知されてしまい、異なる等級として選別される問題がある。
【0008】
本発明は、これらの問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、作物を後方に移送する移送装置(D)を設け、該移送装置(D)から作物を受けて搬送方向後側に搬送する搬送無端帯(68)を設け、該搬送無端帯(68)で搬送中の作物の重量を検知する複数の重量検知装置(75)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記重量検知装置(75)の左右一側に重量検知装置(75)が設定値以上の重量を検知すると搬送無端帯(68)で搬送中の作物を送り出す送出装置(84)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記重量検知装置(75)の左右他側に送出装置(84)より送り出された作物を回収する回収部(93)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記搬送無端帯(68)の搬送方向前端側に移送装置(D)から排出される作物を引き継ぐ引継部材(71)を設け、前記各重量検知装置(75)の間に搬送無端帯(68)を下方から支持して案内する案内支持部材(76)を設け、該案内支持部材(76)の搬送方向前側を下方に折り曲げた屈曲部(76a)を形成したことを特徴とする作物選別装置とした。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記核送出装置(84)の間に作物の落下を防止する規制部材(85)を設け、該規制部材(85)の前端部を搬送方向前側の送出装置(84)の後端部よりも左右外側に偏倚させて配置したことを特徴とする請求項1記載の作物選別装置とした。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記引継部材(71)を左右両側から左右中央部に向かって下方傾斜する樋状に構成すると共に、該引継部材(71)の後端部を左右中央部よりも左右両側が後側に位置する構成としたことを特徴とする請求項1記載の作物選別装置とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、各重量検知装置(75)の間に設ける案内支持部材(76)の搬送方向前側を下方に折り曲げた屈曲部(76a)を形成したことにより、重量検知装置(75)を作物が通過して下降する際、搬送無端帯(68)はこの屈曲部(76a)に沿って移動することができるので、搬送無端帯(68)が案内支持部材(76)や重量検知装置(75)の前後端部に引っ掛かり、搬送無端帯(68)が揺れたり一時停止することが防止され、搬送中の作物が異なる等級の回収部(93)に転げ落ちることが無く、作物の選別精度が向上する。
【0013】
また、作物の重量が重量検知装置(75)で正確に検知されるので、設定した重量以上の作物を重量検知装置(75)が検知すると送出装置(84)が確実に作動して、作物を適切な等級の回収部(93)に送り出すため、選別精度が向上する。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、規制部材(85)の前端部を搬送方向前側の送出装置(84)の後側端部よりも左右外側に偏倚させて配置したことにより、規制部材(85)と送出装置(84)との間に大きな隙間が生じるため、作物が規制部材(85)と送出装置(84)との端部間に引っ掛かって滞留し、後続の作物と一緒に重量検知装置(75)で検知されることを防止できるので、異なる等級の回収部(93)に作物が送り出されることが防止され、作物の選別精度が向上する。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、引継部材(71)を左右両側から左右中央部に向かって下方傾斜する樋形状としたことにより、移送装置(D)から引き継がれる作物を引継部材(71)の左右中央部に移動させることができるので、作物は搬送無端帯(68)に引き継がれても左右中央部に位置するため、重量検知前に回収部(93)に移動することが防止され、作物の選別精度が向上する。
【0016】
そして、引継部材(71)の後端部を、左右中央部よりも左右両側が後側に位置する構成としたことにより、引継部材(71)の左右中央部の前後長さが短くなるため、前後長さの短い作物でも引継部材(71)上に滞留することなく搬送無端帯(68)に引き継がれるので、複数の作物が同時に重量検知装置(75)に検知され、誤って異なる等級の回収部(93)に送り出されることが防止されて作物の選別精度が向上する。
【0017】
また、異なる等級に入り込んだ作物を作業者が選別し直す作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】整列搬送部の側面図
【図2】整列搬送部の平面図
【図3】選別コンベアの平面図
【図4】選別コンベアの側面図
【図5】(a) 第1整列搬送コンベアの部分拡大正面図、(b) 第2整列搬送コンベアの部分拡大正面図
【図6】整列搬送部の伝動機構図
【図7】作物選別装置の全体側面図
【図8】作物選別装置の全体平面図
【図9】選別搬送部の側面図
【図10】選別搬送部の平面図
【図11】(a) 引継シュータの要部平面図、(b) 引継シュータの要部側面図、(c) 引継シュータの要部背面図
【図12】選別搬送部の要部平面図
【図13】選別搬送部の要部側面図
【図14】選別搬送部の要部断面図
【図15】選別搬送部の要部平面図
【図16】選別搬送部の背面図
【図17】選別搬送部の別実施例の平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図16に示すように、実施例の一つとして示す選別装置の一種である人参選別装置は、洗浄された人参を貯留する貯留部Aと、貯留部Aから人参を上方に搬送する汲上搬送部Bと、上方搬送装置Bから人参を引き継いで人参を一本ずつ整列させる整列搬送部Cとからなる移送装置Dと、移送装置Dから人参を受けて搬送し、設定した条件に応じた人参を回収部に跳ね出す選別搬送部Eとから構成される。
【0020】
まず、貯留部Aについて説明する。
図1、図2、図7及び図8で示すように、メインフレーム1の搬送方向上手側前部に人参を貯留するホッパ2を取り付け、該ホッパ2の搬送方向上手側の前端部に下り傾斜姿勢の傾斜板2aを取り付けると共に、ホッパ2の左右両側端部に夫々下り傾斜姿勢の左右傾斜板2b,2bを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
【0021】
次に、汲上搬送部Bについて説明する。
図1、図2、図7及び図8で示すように、前記ホッパ2の内側下部に左右側板3,3を取り付けると共に、該左右側板3,3の後端部に左右汲上側板4,4を後上り傾斜姿勢に取り付ける。また、該左右汲上側板4,4の後端部左右間に左右駆動スプロケット5,5を左右両端に軸着した駆動シャフト6を回転自在に取り付け、左右側板3,3と左右汲上側板4,4の境目に左右テンションスプロケット8,8を軸着した左右中間シャフト9を回転自在に取り付けると共に、左右側板3,3の前端部に左右従動スプロケット10,10を軸着した従動シャフト11を回転自在に取り付ける。
【0022】
そして、該左右駆動スプロケット5,5と左右テンションスプロケット8,8と左右従動スプロケット10,10とに左右伝動チェーン12,12を無端状に巻き掛ける。さらに、該左右伝動チェーン12,12の左右間に人参を搬送方向下手側へ搬送する複数の搬送ローラ14…を回転自在に取り付け、該搬送ローラ14…同士の前後間隔を広い間隔部S1と狭い間隔部S2が交互に形成されるよう配置し、前記左右汲上側板4,4の終端部に人参を排出する排出シュータ15を取り付けて、汲上搬送コンベア16を構成する。該汲上搬送コンベア16の伝動構成は、図6に示している。
【0023】
なお、この排出シュータ15は金属、プラスチック等の硬質部材で構成すると排出位置が安定しやすく、塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると汲上搬送コンベア16の搬送終端部の直下の、左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端部に乗せることができ、効率よく人参を整列搬送させることができると共に、排出シュータ15の端部に人参が接触して傷付くことが防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0024】
そして、前記メインフレーム1の前後方向の略中央部で且つ上側に支持台17を取り付け、該支持台17の上部に汲上搬送コンベア16に駆動力を供給する駆動モータ18を取り付ける。また、前記左右汲上側板4,4の左右一側に汲上伝動ケース19を取り付け、該汲上伝動ケース19の内側上部に出力スプロケット20を前記駆動シャフト6の左右一側の端部に軸着して配置し、汲上伝動ケース19の内部下部に入力スプロケット21を駆動モータ18の入力軸に軸着して取り付けると共に、該出力スプロケット20と入力スプロケット21との間に汲上伝動チェーン22を無端状に巻き掛けることによって、汲上搬送部Bが構成される。
【0025】
上記構成によれば、搬送ローラ14…同士の前後方向の間隔を、広い間隔部S1と狭い間隔部S2とが交互に形成されるよう配置したことによって、広い間隔部S1ではS〜Lサイズの人参が混在して搬送されるか、あるいは2L、3Lサイズの人参が一本ずつ搬送されるとともに、狭い間隔部ではS〜Lサイズの人参が搬送され、2L、3Lサイズの人参はその後側の広い間隔部S1に移動させられるので、後述する左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端部に2L、3Lの人参が一度に大量に投入されることを防止でき、人参の整列制度が向上するので、後述する選別搬送部Eでの選別精度も向上する。
【0026】
なお、前記搬送ローラ14…同士の前後間隔のうち、広い間隔部S1の幅は2L、3Lサイズの人参の平均的な直径である80mm〜100mm前後とし、狭い間隔部の幅はS〜Lサイズの人参の平均的な直径である60〜80mm前後とすると、上記の効果がいっそう発揮されやすくなるので、整列装置の整列精度及び選別搬送部Dの選別精度をさらに向上させることができる。
【0027】
次に、整列搬送部Cについて説明する。
図1〜図5、図7、図8に示すように、前記メインフレーム1の後側上部に整列搬送フレーム23を取り付け、該整列搬送フレーム23の上部左右両側に左右側板24,24を取り付ける。そして、該左右側板24,24の左右間の略中央部に、汲上搬送コンベア16の搬送終端部から排出される人参を後述する左右第1整列搬送コンベア37,37の左右いずれか一方に振り分ける山型の振分板25を取り付け、該振分板25の後側で且つ後述する左右第2整列搬送コンベア48,48の側方に姿勢の整っていない人参を落下させ、該左右第2整列搬送コンベア48,48の下方空間部を通過して機体左右外側方向に移動させる左右開口部26,26を形成する。
【0028】
なお、該振分板25の上面に平坦な塩化ビニル板等を敷設すると人参が滑り落ちやすくなるため、振分板25の上に人参が停滞してしまい、手作業で左右第1整列搬送コンベア37,37に戻す作業が必要なくなるので、作業能率が向上するとともに、大径の人参が連続して搬送されることを防止できるので、整列精度及び選別精度が向上する。
【0029】
また、前記汲上搬送コンベア16から人参が振分板25に落下する位置、即ち振分板25の前部に3〜5mm程度の厚みのクッション部材27を山型形状に沿わせて敷設しておくと、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0030】
さらに、左右開口部26,26の長さは240mm〜400mm程度に設定しておくと、平均的な長さ(120〜200mm)の人参が2本同時に左右開口部26,26に入り込んできても左右開口部26,26に詰まることが防止されるので、作業者が詰まった人参を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0031】
そして、前記整列搬送フレーム23に左右第1整列搬送コンベア37,37及び左右第2整列搬送コンベア48,48に駆動力を供給する整列駆動モータ28を取り付け、該整列駆動モータ28の出力軸に出力スプロケット29を軸着する。また、前記左右側板24,24の前後方向の中央部近傍に入力スプロケット30と左右端部に三本の搬送ベルトを巻き掛ける溝部を形成した左右第1駆動プーリ31,31を軸着した第1駆動軸32を回転自在に取り付けとともに、前記左右側板24,24の搬送方向の前端部近傍に三本の搬送ベルトを巻き掛ける溝部を形成した左右第1従動プーリ33,33を軸着した第1従動軸34を回転自在に取り付ける。
【0032】
さらに、前記左右第1駆動プーリ31,31と左右第1従動プーリ33,33の機体外側と内側の溝に左右第1搬送ベルト35i,35oを無端状に巻回するとともに、前記出力スプロケット29と入力スプロケット30とに整列伝動チェーン36を無端状に巻回することにより、左右第1整列搬送コンベア37,37が構成される。該左右第1整列搬送コンベア37,37の伝動構成は、図6に示している。
【0033】
なお、左右第1整列搬送コンベア37,37の左右側板24,24に上下方向に長穴を形成し、この長穴に第1従動軸34を取り付けて左右従動プーリ33,33の上下位置を変更可能に構成すると、人参の大きさや生育条件等に応じて左右第1整列搬送コンベア37,37の傾斜角度を変更することができるので、人参が左右第1整列搬送コンベア37,37で停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0034】
また、人参の平均的なサイズが小さめである場合や割れ易い品種である場合、左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端部を上昇させて汲上搬送コンベア16の搬送終端部と左右第1整列搬送コンベア37,37との落差を小さくすることによって、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上する。逆に、人参の平均的なサイズが大きい場合には、左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端部を下降させて汲上搬送コンベア16の搬送終端部と左右第1整列搬送コンベア37,37との落差を大きくし、空間部を広く確保することによって、汲上搬送コンベア16と左右第1整列搬送コンベア37,37との間に人参が詰まって搬送作業が中断されることが防止されて作業能率が向上すると共に、左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端部に人参を多く乗せることができる。
【0035】
さらに、第1駆動軸32が左右第1整列搬送コンベア37,37の回動支点となることによって、左右第1整列搬送コンベア37,37の搬送始端側を上下方向に移動させても、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48との高さ関係が殆ど変化しないので、人参が左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48との間で停滞することが防止され、人参の整列搬送が円滑に行われるので、作業能率が向上する。
【0036】
そして、前記第1駆動軸32の左右方向の略中央部に出力スプロケット38を軸着し、第1駆動軸32よりも搬送方向後側で且つ左右方向の略中央部に入力スプロケット39を軸着した第2駆動軸40を回転自在に取り付ける。さらに、該第2駆動軸40の左右両側部に、左右一対の第3駆動プーリ41i,41oの間に受プーリ42を独立して回転自在に設けて構成する左右第2駆動プーリ43,43を取り付ける。また、前記左右側板24,24の搬送方向下手側の端部近傍に二本の搬送ベルトを巻き掛ける溝部を形成した左右一対の第2従動プーリ44,44を第2従動軸の左右両側部に軸着する。
【0037】
そして、前記第2駆動プーリ43,43の内外両側に左右第2駆動プーリ43,43よりも大径のフランジ45,45を夫々取り付け、該左右第2駆動プーリ43,43と左右第2従動プーリ44,44とに第2整列搬送ベルト46i,46oを無端状に巻き掛ける。さらに、前記出力スプロケット38と入力スプロケット39とに中継伝動チェーン47を無端状に巻き掛けて、左右第2整列搬送コンベア48,48が構成される。該左右第2整列搬送コンベア48,48の伝動構成は、図6に示している。
【0038】
また、左右第1搬送ベルト35i,35oと左右第2整列搬送ベルト46i,46oとの左右間で且つ前記左右第1駆動プーリ31,31と左右第1従動プーリ33,33と左右受プーリ42,42とに中央搬送ベルト49,49を無端状に巻き掛けることによって、整列コンベア50が構成される。
【0039】
なお、左右第1搬送ベルト35i,35o及び左右第2整列搬送ベルト46i,46oの厚み(上下高さ)を中央搬送ベルト49,49の厚み(上下高さ)よりも厚く構成する。具体的には、左右第1搬送ベルト35i,35oと左右第2整列搬送ベルト46i,46oとを断面視六角形の六角ベルトで構成し、中央搬送ベルト49,49を断面視台形の台形ベルト(Vベルト)で構成するとよい。
【0040】
そして、前記左右開口部26,26の前側で且つ左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送経路上方に、人参の搬送姿勢を整えて左右開口部26,26の上方を移動させると共に、左右第2整列搬送コンベア48,48に複数の人参が載っているときには余分な人参を左右開口部26,26に落下させる左右一対の第1ガイドプレート51,51を搬送方向下手側ほど左右第2整列搬送コンベア48,48の上方に向かわせて取り付ける。
【0041】
なお、該第1ガイドプレート51,51の搬送下手側端部の第1間隔51aは、人参が一本通過可能な間隔である60〜80mm程度に設定するとよい。
そして、前記左右開口部26,26の後側で且つ左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送経路上方に、左右開口部26,26の上方を通過する際に姿勢の乱れた人参の姿勢を修正すると共に、姿勢が乱れて左右第2選別搬送コンベア48,48から大幅にはみ出した人参が接触すると左右開口部26,26に落下させる左右の第2ガイドプレート52,52を搬送方向下手側ほど左右間隔が狭くなるように取り付ける。
【0042】
なお、該第2ガイドプレート52,52の搬送下手側端部の第2間隔52aは、前記第1ガイドプレート51,51の搬送下手側端部の第1間隔51aよりも大きい、左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送方向に対して横向きになった人参が姿勢を修正されながら通過可能な間隔である80〜100mm程度に設定するとよい。
【0043】
また、前記左右の第1ガイドプレート51,51及び第2ガイドプレート52,52は、軟質ゴム、塩化ビニル等の軟質材で構成すると、人参が傷付くことを防止できるので人参の商品価値が向上すると共に、人参が接触した際に柔軟に屈曲するので、搬送中の人参を停滞させることが防止され、作業能率が向上する。
【0044】
さらに、前記整列搬送フレーム23の後端部で且つ左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送終端部に人参を一本ずつ排出する左右整列排出シュータ53,53を下り傾斜姿勢で取り付け、前記左右開口部26,26の排出口の外側に人参をホッパ2に流下させる左右フィードバックシュータ54,54を搬送方向上手側に向かって下方傾斜させて、且つ着脱自在に取り付けることによって、整列搬送部Cが構成される。
【0045】
なお、前記左右開口部26,26及び左右フィードバックシュータ54,54の表面に、平坦な塩化ビニル板等を敷設しておくと、人参に加わる落下の衝撃が吸収されるので、人参が傷付くことが防止されて商品価値が向上する。また、平坦な塩化ビニル板等を敷設することにより、人参が左右開口部26,26や左右フィードバックシュータ54,54から滑り落ちやすくなるので、左右開口部26,26や左右フィードバックシュータ54,54上で停止した人参を人手でホッパ2に戻す作業が省略されるので、作業者の労力が軽減されると共に、整列搬送作業の自動化を計ることができるので、作業能率が向上する。
【0046】
上記構成によれば、汲上搬送コンベア16の搬送終端部の下方に山型形状の振分板30を設けたことによって、汲上搬送コンベア16の終端部から排出された人参を左右第1整列搬送コンベア37,37の左右いずれか一側に送ることができるので、整列作業の自動化を計ることができ、作業能率が向上する。
【0047】
そして、振分板30に左右開口部26,26を形成したことによって、左右第2整列搬送コンベア48,48に不安定な姿勢のまま乗った人参や、複数本同時に乗った人参を落下させることができるので、左右第2整列搬送コンベア48,48から排出される人参は安定した姿勢で且つ1本ずつ排出されるため、排出時に人参同士がぶつかって傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、整列搬送部Cの後部に人参のサイズや形状に応じて選別作業を行う選別搬送部Dを設置する場合、一本ずつ人参を投入することにより、誤選別を減少させることができる。
【0048】
さらに、左右開口部26,26の排出口の外側に、落下した人参をホッパ2に流下させる左右フィードバックシュータ54,54を搬送方向上手側ほど下方傾斜させて設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア48,48から落下した人参を自動的にホッパ2に戻して汲上搬送コンベア16で再び搬送させることができるので、作業の無人化を計られて作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。
【0049】
また、左右第1整列搬送コンベア37,37を左右第1整列搬送ベルト35i,35oと、該左右第1整列搬送ベルト35i,35oの左右間に設ける左右第1整列搬送ベルト35i,35oよりも薄い(上下幅の短い)中央搬送ベルト49の三本のベルトで構成したことによって、左右第1整列搬送コンベア37,37が正面視(背面視)で凹形状になるので、人参がこの凹部に沿った姿勢で左右第1整列搬送コンベア37,37に載りやすくなるので、人参の長尺方向を整列コンベア50の搬送方向に沿って搬送することができ、左右第2整列搬送コンベア48,48に一本ずつ姿勢の整った人参を送りやすく、整列制度が向上する。
【0050】
そして、中央搬送ベルト37,37を左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送始端側の第2駆動プーリ43,43に亘って巻回したことによって、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48との間に隙間が生じなくなるので、この隙間に先端部の細い人参や生育不良等の極小サイズの人参が詰まることが防止でき、作業者が手作業で詰まった人参を取り除く必要がなくなるので作業の自動化が図られるとともに、人参の整列搬送が停滞することを防止できるので、作業能率が向上する。
【0051】
さらに、左右第2駆動プーリ43,43を、左右一対の第3駆動プーリ41i,41oの間に受プーリ42を独立して回転自在に設けて構成したことによって、左右第3駆動プーリ41i,41oが第2駆動軸40の回転により左右第2整列搬送コンベア38,38を駆動させる際、受プーリ42は中央搬送ベルト49,49の回転により左右第1整列搬送コンベア37,37と同速で回転することができるので、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48との搬送速度に速度差をつけると、左右第1整列搬送コンベア37,37から左右第2整列搬送コンベア48,48に人参を引き継ぐ際に人参同士の間隔を大きく開けることができる。
【0052】
また、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48との隙間を中央搬送ベルト49,49が塞ぐので、先端部の細い人参や生育不良等の極小サイズの人参が詰まることが防止でき、作業者が手作業で詰まった人参を取り除く必要がなくなるので作業の自動化が図られるとともに、人参の整列搬送が停滞することを防止できるので、作業能率が向上する。
【0053】
なお、第1整列搬送コンベア37の搬送速度V1を0.2〜0.3m/s、第2整列搬送コンベア48の搬送速度V2を0.4〜0.5m/s、即ち第2整列搬送コンベア48の搬送速度V2を第1整列搬送コンベア37の搬送速度V1の約二倍に設定すると、左右第1整列搬送コンベア37,37から左右第2整列搬送コンベア48,48に人参が引き継がれる際に、人参同士の間隔を大きく取ることができるので、選別装置 の選別精度がいっそう向上する。
【0054】
そして、左右第2駆動プーリ43,43の内外両側に左右第2駆動プーリ43,43よりも大径のフランジ45,45を取り付けたことによって、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48の引継部での高低差が小さくなるので、人参の引継ぎが円滑に行われるようになり、作業能率が向上する。
【0055】
なお、左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48の引継部での高低差は10〜15mm前後に設定すると、引き継ぎの際に人参の姿勢がぶれにくくなるので、人参が円滑に左右第2整列搬送コンベア48,48に引き継がれるので、作業能率がいっそう向上する。
【0056】
上記左右第1整列搬送コンベア37,37と左右第2整列搬送コンベア48,48、及び汲上搬送コンベア16の搬送速度は、汲上搬送部Bに設ける操作装置(図示せず)によって行うものとする。
【0057】
さらに、左右開口部26,26の前端部に第1ガイドプレート51,51を設けたことによって、左右第1整列搬送コンベア37,37から左右第2整列搬送コンベア48,48に引き継がれる人参の搬送姿勢が乱れていたり、複数の人参が積み重なって引き継がれてきても、第1ガイドプレート51,51が一本の人参の搬送姿勢を整えるとともに重なり合った余分な人参を左右開口部26,26に落下させるので、引き継ぎの際に全ての人参が落下し、整列搬送され終わった人参と整列搬送中の人参との間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0058】
また、左右開口部26,26の後端部に左右の第2ガイドプレート52,52を設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア48,48で搬送中に人参の姿勢が乱れることがあっても、第2ガイドプレート52,52によって搬送姿勢を正されるので、整列コンベア50から排出される前に全ての人参が左右開口部26,26から落下し、整列搬送され終わった人参と整列搬送中の人参との間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0059】
そして、第2ガイドプレート52,52の搬送下手側端部間に形成する第2間隔52aを第1ガイドプレート51,51の第1間隔51aよりも大きく設定したことによって、人参の搬送姿勢が左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送方向に対して横方向に向いていても、左右の第2ガイドプレート52,52が人参の姿勢を左右第2整列搬送コンベア48,48の搬送方向に沿った姿勢に修正することができるので、左右第2整列搬送コンベア48,48に一本載った人参を落としてしまうことが防止され、ホッパ2に戻る人参の数が減少するため、作業能率が向上する。
【0060】
さらに、左右開口部26,26の外側に左右フィードバックシュータ54,54を設けたことによって、左右開口部26,26から落下した人参が自動的にホッパ2に流下するので、作業者が人参をホッパ2に戻す必要が無くなり、作業能率が向上する。
【0061】
上記の貯留部Aと汲上搬送部Bと整列搬送部Cとから、人参を後方に搬送する移送装置Dが構成される。
次に、選別搬送部Eについて説明する。
【0062】
図9、図16で示すように、整列搬送部Cの後方に選別フレーム55を配置し、該選別フレーム55の機体後下部で且つ左右一側に出力スプロケット57を出力軸に装着した駆動モータ56を設け、該駆動モータ56の上部にモータカバー58を設ける。そして、該駆動モータ56の上方で且つ選別フレーム55の左右幅に亘る長さのカウンターシャフト60の左右一側端部に入力スプロケット59を軸着し、該入力スプロケット59と出力スプロケット57とに第1伝動チェーン61を無端状に巻回する。
【0063】
また、前記カウンターシャフト60に左右の第2出力スプロケット62,62を軸着し、該第2出力スプロケット62,62の上方に左右の駆動回転軸63,63を設け、該駆動回転軸63,63に左右の第2入力スプロケット64,64を回転自在に装着する。さらに、該第2入力スプロケット64,64と第2出力スプロケット62,62とに第2伝動チェーン65,65を無端状に巻回して、選別搬送部Eの伝動経路を構成する。
【0064】
そして、前記駆動回転軸63,63の端部にV字型の溝を円周上に形成した左右の駆動ローラ66,66を設け、該駆動ローラ66,66と略同じ上下位置で且つ選別フレーム55の機体前側にV字型の溝を円周上に形成した左右の従動ローラ67,67を回転自在に設ける。また、該駆動ローラ66,66と従動ローラ67,67とに外側端部で且つ裏面にV字型の溝に入り込む突起体68aを設けた左右の搬送ベルト68,68を無端状に巻回する。さらに、該搬送ベルト68,68の非搬送作用側(巻回域下側)に搬送ベルト68,68の下方への弛みを防止すると共に搬送ベルト68,68に付着した水気を除去する複数のテンションローラ69,69…を回転自在に設けて、作物を機体前側から後側に向けて搬送する左右の搬送コンベア70,70を構成する。なお、前記駆動ローラ66,66と従動ローラ67,67は搬送ベルト68,68のそれぞれ外側端部の巻回域内に配置されるため、搬送ベルト68,68上に重量物が載ると、搬送ベルト68,68は重量に合わせて柔軟に撓むことができる。
【0065】
図7〜図9、図11(a)(b)(c)で示すように、該左右の搬送コンベア70,70の搬送始端部の上方位置で且つ選別フレーム55の上部に、前記移送装置Dから排出される人参を受けて搬送コンベア70,70に移動させる後下り傾斜姿勢の左右の引継シュータ71,71を備える側面視L字型の取付フレーム72,72をボルト・ナットで選別フレーム55に着脱自在に設ける。
【0066】
該引継シュータ71,71は、図11(a)(b)(c)で示すように、左右方向中央部の前後長さを2Sサイズの人参約1本分(約60〜80mm)と同じ長さ、又は短い長さに形成し、左右両端部に向かうにつれて前後幅を長く形成して、左右両端部では3Lサイズの人参の全長の40%〜60%程度を支持可能な長さ(約100〜150mm)で形成している。これにより、前記引継シュータ71,71の後部側は平面視でV字型(ハの字型)に形成される。また、引継シュータ71,71の人参との接触面(表面)に滑りやすい樹脂材でコーティング層71aを形成し、該コーティング層71aの後側端部を引継シュータ71の後側端部よりも5mm前後後方に延出させる。
【0067】
そして、図9〜図11(a)(b)(c)で示すように、該引継シュータ71,71の後下側で且つ搬送ベルト68,68の巻回域内に前記搬送ベルト68,68の弛みを防止すると共に移動を促進する左右の前側スライダ板72,72を設け、該前側スライダ板72,72の上部に引継シュータ71,71または移送装置Dの終端部から搬送ベルト68,68に飛び出した人参が落下の衝撃でバウンドすることを防止するクッションプレート73,73を取り付ける。前側スライダ板72,72は滑りやすい樹脂材でコーティング処理しており、クッションプレート73,73はゴム等の弾性体やゲルクッション等の軟質材で構成する。
【0068】
また、図9、図10で示すように、前記搬送ベルト68,68の機体後端側の巻回域内に左右の後側スライダ板74,74を設け、該後側スライダ板74,74の前後端部を下方傾斜方向に折り曲げて屈曲部74a,74aを形成する。さらに、該前側スライダ板72,72と後側スライダ板74,74との間に、左右の搬送コンベア70,70で搬送される人参の重量を検知する複数の重量検知装置75,75…と搬送ベルト68,68の弛みを防止すると共に移動を促進する複数の選別スライダ板76,76…を交互に配置する。
【0069】
図9、図11(a)(b)(c)で示すように、該選別スライダ板76の機体前側に前側下方に向かい傾斜する前側屈曲部76aを形成し、選別スライダ板76の機体後側に屈曲面がR形状となるように下方に向かって略直角に折り曲げた後側屈曲部76bを形成する。そして、該前側屈曲部76aに前側支持アーム77aの基部側を設け、後側屈曲部76bに後側支持アーム77bの基部側を設け、該前側支持アーム77aと後側支持アーム77bの端部側を選別フレーム55に取り付けて、複数の選別スライダ板76…を固定する。
【0070】
なお、前側屈曲部76aをR形状となるように屈曲させると、選別スライダ板76に搬送ベルト68がいっそう引っ掛かりにくくなるので、選別搬送の能率が向上する。
図10、図15で示すように、上記前側スライダ板72と後側スライダ板74と前後間の複数の選別スライダ板76…の左右両側上部には、搬送ベルト68の移動を促進する左右のリブ82,82(突起体)を前後方向に亘って貼り付ける。
【0071】
なお、該リブ82,82は断面形状を凸部と凹部が連続する鋸刃状に形成すると、搬送ベルト68との接触密度が低下して搬送ベルト68の移動をより円滑にすることができると共に、搬送ベルト68に付着した水気が入り込んでもスリップしにくいため、作業能率が向上する。
【0072】
また、図14、図15で示すように、前記重量検知装置75は、搬送ベルト68,68の巻回域内に配置する上下回動自在なリンクアーム77と、該リンクアーム77の上側で且つ機体内側端部に設ける搬送コンベア70,70で搬送中の人参が通過する重量検知板78と、該重量検知板78が一定距離以上回動すると後述する跳出装置84を作動させる信号を発する検知センサ79と、前記リンクアーム77の機体外側端部に設ける内側に重り80aを入れて重量検知装置75が判別する人参の重量を調節する調節皿80と、微細な検知重量を調節するバランスウェイト81とで構成する。
【0073】
図13で示すように、該重量検知板78の機体内側端部を下方に向けて直角に屈曲させ、直角部78aを形成する。
本実施例では、重量検知装置75を3L,2L,L,M,Sに対応する五基設け、五つの等級に人参を選別可能に構成している。検知する等級は調節皿80に入れる重り81aの数を増減させることにより、容易に変更が可能である。検知する重量を機体前側ほど重いもの、機体後側ほど軽いものと設定すると、全ての重量検知装置75は検知を開始する下限値だけを設定すればよく、検知する重量の設定が容易となる。
【0074】
そして、図7〜図10で示すように、前記選別フレーム55の機体左右両外側で且つ左右の重量検知板78,78の前後方向略中央部から機体後側の複数の選別スライダ板76,76…の前後方向略中央部に亘って搬送ベルト68,68で搬送中の人参を側方から打撃して後述する回収シュータ93に送り出す左右の跳出装置84,84を配置する。そして、該跳出装置84,84の前後間に人参が機体外側に移動することを防止する左右の中間板85,85…を夫々固定して設け、選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75,75の前端部に亘って左右の前部側壁86,86を固定して設けると共に、最後列の重量検知装置75,75の後端部から選別フレーム55の後端部に亘って左右の後部側壁87,87を固定して設ける。
【0075】
図14、図15で示すように、前記跳出装置84は、機体左右方向に回動自在な跳出板88と、前記検知センサ79から信号を受けると作動するソレノイド89と、該ソレノイド89が作動すると跳出板88を機体外側から搬送コンベア70の搬送経路上に押し出す押出アーム90で構成する。該跳出板88の打撃作用面にはゴム等の弾性体を貼り付けることにより、打撃の衝撃で人参が傷付くことを防止している。
【0076】
そして、図10、図15で示すように、前記複数の中間板85…を前端部が後端部よりも機体外側に位置するように配置する。なお、中間板85…の前端部はボルト等の固定部材で選別フレーム55に固着し、固定部材を取り除くと後端側を回動中心として回動可能に構成する。回動可能な範囲は、前後方向略直線位置(0度)から約30度までとするとよい。
【0077】
さらに、図8、図10で示すように、前記左右の搬送コンベア70,70の左右間で且つ選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75,75の前後方向略中央部に亘って正面視又は背面視で山型の分離板91を設け、該分離板91の後側に人参をサイズ毎に落下させてコンテナ等の回収部材92に移動させる複数の回収シュータ93…を前後方向に亘って設け、該複数の回収シュータ93…を連結すると共に作業者が手で掴んで回収シュータ93…を持ち上げることのできる連結取っ手94を回収シュータ93…の前後間に亘って上方に配置する。そして、該連結取っ手94の下部から回収シュータ93の内側に亘って左右一側の搬送コンベア70から跳出装置84で送り出された人参を受け止めて下方に落下させるガイドカーテン95を取り付ける。
【0078】
このガイドカーテン95は、ゴムや塩化ビニル等の軟質部材で構成すると人参がぶつかっても傷付きにくく、人参の商品価値が維持される。
そして、前記左右の搬送コンベア70,70の搬送終端部に、大き過ぎる(4L以上)、あるいは小さ過ぎる(3S未満)ため選別されなかった規格外の人参を回収する回収部材92を載置する左右の載置台96,96を機体前後方向に回動自在に配置することにより、選別搬送部Eが構成される。
【0079】
上記構成により、左右の搬送コンベア70,70を一つの駆動モータ56で駆動させることができるので、部品点数が削減されて低コスト化、省資源化が図られる。
また、左右の搬送コンベア70,70の搬送速度が略同速度となるので、左右の選別作業の効率を略同じにすることができ、左右の搬送コンベア70,70で順次人参が選別され、作業能率が向上する。
【0080】
そして、引継シュータ71の中央部の前後幅を最も短くしたことにより、2Sサイズ以下の小さな人参は引継シュータ71上に滞留する前に搬送コンベア70に落下移動させられるため、引継シュータ71で二本以上の人参が合流してしまい、二本以上の人参が同時に重量検知装置75で重量検知することを防止できるので、重量検知装置75が二本の小さな人参を一本の大きな人参と誤認して跳出装置84を作動させてしまうことがなく、人参の選別精度が向上する。
【0081】
さらに、引継シュータ71の左右両側の長さを、3Lサイズの人参を支持可能な長さとしたことにより、大きな人参が引継シュータ71から左右方向にはみ出し、搬送コンベア70に移動せず機外に落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持されると共に、落下した人参を拾い直す作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0082】
また、引継シュータ71の作用面にコーティング層71aを形成し、コーティング層71aの後端部を引継シュータ71の後端部よりも後方に突出させたことにより、引継シュータ71の後端部の尖ったエッジに人参が接触することを防止できるので、人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0083】
これにより、引継シュータ71を金属板のような頑丈な素材で構成することができ、引継シュータ71の取り付けが容易になるとともに、耐久性が向上する。
そして、引継シュータ71の後下側で且つ搬送ベルト68,68の巻回域内に設ける前側スライド板72にクッションプレート73を設けたことにより、移送装置Dから引き継いだ人参が選別コンベア70に落下する衝撃をクッションプレート73が吸収するため、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0084】
さらに、クッションプレート73が人参の落下の衝撃を吸収することにより、人参がバウンドして重量検知装置75に飛び乗り、落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させて跳出装置84を作動させてしまうことを防止できるので、人参の選別精度が向上する。
【0085】
なお、該クッションプレート73,73は前側スライダ板72,72の前端部から前後方向略中央位置に亘って配置し、重量選別装置75に近接する後端部側には設けないことにより、3Lサイズのような長くて重い人参の一部がクッションプレート73上に載ったまま重量検知されることを防止でき、選別精度が向上する。
【0086】
また、後側スライダ板74の前側及び複数の選別スライダ板76…の機体前側を隣接する重量検知装置75に向かうほど下方傾斜となる屈曲部74a及び前側屈曲部76aを形成したことにより、重量検知装置75の重量検知板78を人参が下降させながら通過する際、人参を載置した搬送ベルト68は下降した重量検知板78の後端部から屈曲部74a及び前側屈曲部76aに沿って移動することができるので、搬送ベルト68が後側スライダ板74及び選別スライダ板76…の前側端部に引っ掛かり回転駆動に乱れが生じることが防止され、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
【0087】
さらに、人参が搬送ベルト68から落下することが防止されるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0088】
従来構成では、重量検知板の後端部とスライダ板の前端部とを略直線状に配置されているため、人参の重量で重量検知板が押し下げられた際に搬送ベルトがスライダ板の前端部に接触し、あるいは重量検知板とスライダ板との間に挟まれてしまうことがあり、搬送コンベアの搬送速度に乱れが生じたり、停止したりしてしまう問題がある。
【0089】
そして、選別スライダ板76…の機体後側に屈曲面がR形状となる後側屈曲部76bを形成したことにより、選別スライダ板76…から重量検知板78に人参を載置して移動させる際に搬送ベルト68が揺らぐことがなく、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
【0090】
なお、前側屈曲部76aの前後長さは、選別スライダ板76の前側に設ける重量検知装置75の検出重量に応じて変更してもよい。重量検知装置75が検知する重量が重いほど前側屈曲部76aの長さを長くし、検知する重量が軽いほど長さを短くすると、重量検知装置75の重量検知板78が上下移動する際に押し上げられるのは前側下方に傾斜した人参の端部だけとなるので、次の重量検知装置75まで人参がジャンプしてしまうことを防止でき、人参が落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させてしまうことを防止できるので、選別精度が向上する。
【0091】
本実施例を例に挙げると、3Lサイズの重量検知装置75の後側では約30〜40mm、2Lサイズでは約25〜35mm、Lサイズでは約20〜30mm、Mサイズでは約10〜20mmとしている。Sサイズの部分では前側屈曲部76aを屈曲させていないが、本実施例ではSサイズが最後の重量検知位置であるので、誤検知となり得ないためにこのような構成としている。2S,3Sなどより小さな人参を選別する場合は、人参のジャンプによる誤検知を防止すべく、Sサイズの部分にも前側屈曲部76aを形成する。
【0092】
上記の長さに幅があるのは、前後に長く径が小さいもの、前後に短く径が大きいもの、果肉の密度が高いもの等、人参に様々な種類があるために、若干の余裕を持たせるためである。
【0093】
また、調節皿80に重り80aを出し入れして重量検知装置75の検知重量を変更することができるので、人参の品種や生育状況等の選別条件の違いがあっても人参の選別精度を向上させられる。
【0094】
さらに、バランスウェイト81を調節して検知重量を微細に調節することができるので、僅かな重量の差により跳ね出されない人参の発生が防止され、選別精度が向上すると共に、手作業で人参を選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0095】
また、重量検知板78の機体内側を下方に向けて直角に屈曲させ、屈曲部78aを形成したことにより、搬送ベルト68が回収シュータ93側に傾きにくくなるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0096】
なお、左右の搬送コンベア70,70を、機体外側から内側に向けて0.5〜1度程度上方傾斜させると、人参は搬送コンベア70,70の機体外側に寄って移動することができるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0097】
そして、中間板85…の前端部が跳出板88の後端部よりも機体外側に位置するので、人参が跳出板88の後端部側に接触する際に中間板85…の先端部側に引っ掛かり、次の人参が来て重量検知装置75が二本を一本の人参と誤認してしまうことを防止でき、人参の選別精度が向上する。
【0098】
さらに、中間板85…の先端部に引っ掛からずとも、衝突の衝撃で跳ね返され、重量検知装置75に強い衝撃と共に載ってしまい、重量検知装置75を誤動作させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
【0099】
なお、跳出板88の回動軸88aを跳出板88よりも機体外側に配置し、跳出板88の機体前側が機体後側よりも機体外側に位置する構成としてもよい。
上記構成により、跳出板88と中間板85…とは平面視で鋸刃形状に配置され、跳出板88の後側端部と中間板85…の前側端部との間に空間部が生じるので、人参がいっそう中間板85…の先端部側に接触しにくくなり、重量検知装置75は人参の重量を一本ずつ確実に検知でき、選別精度がいっそう向上する。
【0100】
また、左右の選別コンベア70,70の左右間に回収シュータ93…を重量検知装置75及び跳出装置84と同数設けたことにより、重量検知装置75で検知した重量の人参を跳出装置84で対応する等級の回収シュータ93…に送り出し、コンテナ等の回収部材92で人参を等級ごとに回収することができる。
【0101】
そして、回収シュータ93…を連結取っ手94で上方から連結したことにより、作業者は複数の回収シュータ93…を同時に取り外すことができるので、メンテナンス作業のスペースが容易に確保される。
【0102】
さらに、連結取っ手94の下部に跳出装置84で打撃されて送り出された人参を受けて下方の回収シュータ93…に落下案内するガイドカーテン95を設けたことにより、跳出装置84に送り出された人参が隣の列の搬送コンベア70まで移動してしまい、人参が同じ箇所に二本乗りして、あるいは落下の衝撃で隣の列の重量検知装置75を誤作動させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
【0103】
また、隣の列の搬送コンベア70で搬送中の人参にぶつかることを防止できるので、衝突の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持される。
そして、左右の搬送コンベア70,70の搬送終端部に、規格外の人参を回収する回収部材92を載置する左右の載置台95,95を設けたことにより、選別条件の設定が難しい規格外の人参をただ搬送するだけで回収することができるので、選別作業の能率が向上する。
【0104】
また、載置台95,95を前後方向に回動自在に設けたことにより、選別搬送部Eを収納するときには載置台95,95を機体に近接させて前後幅を短くすることができるので、収納スペースが狭くても容易に収納することができる。
【0105】
以下、本件人参の整列選別装置の別実施例を説明する。
図17で示すように、前側スライダ板72と前後間の複数の選別スライダ板76…の左右両側上部に左右のリブ82,82を機体後側に向かうほど左右間隔が狭くなるように、平面視で八の字形状に貼り付ける。そして、該リブ82,82の機体後側の左右間隔は、前側スライダ板72では約60〜80mmとし、複数の選別スライダ板76…では、搬送する人参のサイズに対応させて、2Lサイズの手前では約50〜60mm、Lサイズの手前では約45〜55mm、Mサイズの手前では約40〜50mm、Sサイズの手前では約30〜40mmとする。後側スライダ板74には、本構成と同じく左右両側に直線状に左右のリブ82,82を貼り付ける。
【0106】
そして、複数の選別スライダ板76…に形成した前側屈曲部76a…と平面部76b…の境目で且つ左右方向略中央部にゲル等の軟質部材で構成するゲルクッション97…を夫々配置する。
【0107】
上記構成により、左右の搬送ベルト68,68に人参が載ると、搬送ベルト68,68は平面視八の字型に配置した左右のリブ82,82に沿って撓むので、搬送ベルト68,68で搬送中の人参を左右方向中央部に揃える事ができるので、人参が左右の搬送コンベア70,70から落下することが防止され、落下の衝撃で人参が傷付くことが無く、人参の商品価値が維持される。
【0108】
また、落下した人参を拾い集める作業が必要なくなるため、作業者の労力が軽減される。
そして、選別スライダ板76の前側屈曲部76aと平面部76bの境目で且つ左右方向中央部にゲルクッション97を配置したことにより、重量検知装置75から引き継がれる際に人参がバウンドすることを防止できるので、人参は安定した姿勢で重量検知装置75に移動して正確に重量を検知されるため、選別精度が向上する。
【符号の説明】
【0109】
68 搬送ベルト(搬送無端帯)
71 引継シュータ(引継部材)
75 重量検知装置
76 選別スライダ板(案内部材)
76a 屈曲部
84 跳出装置(送出装置)
85 中間板(規制部材)
93 回収シュータ(回収部)
D 移送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を後方に移送する移送装置(D)を設け、該移送装置(D)から作物を受けて搬送方向後側に搬送する搬送無端帯(68)を設け、該搬送無端帯(68)で搬送中の作物の重量を検知する複数の重量検知装置(75)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記重量検知装置(75)の左右一側に重量検知装置(75)が設定値以上の重量を検知すると搬送無端帯(68)で搬送中の作物を送り出す送出装置(84)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記重量検知装置(75)の左右他側に送出装置(84)より送り出された作物を回収する回収部(93)を搬送無端帯(68)の搬送方向に沿って設け、前記搬送無端帯(68)の搬送方向前端側に移送装置(D)から排出される作物を引き継ぐ引継部材(71)を設け、前記各重量検知装置(75)の間に搬送無端帯(68)を下方から支持して案内する案内支持部材(76)を設け、該案内支持部材(76)の搬送方向前側を下方に折り曲げた屈曲部(76a)を形成したことを特徴とする作物選別装置。
【請求項2】
前記核送出装置(84)の間に作物の落下を防止する規制部材(85)を設け、該規制部材(85)の前端部を搬送方向前側の送出装置(84)の後端部よりも左右外側に偏倚させて配置したことを特徴とする請求項1記載の作物選別装置。
【請求項3】
前記引継部材(71)を左右両側から左右中央部に向かって下方傾斜する樋状に構成すると共に、該引継部材(71)の後端部を左右中央部よりも左右両側が後側に位置する構成としたことを特徴とする請求項1記載の作物選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−206652(P2011−206652A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75535(P2010−75535)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】