説明

作用薬及び逆作用薬を含有する不正使用防止共押出剤型、及びその製造方法

本発明は、作用薬、例えばオピオイドアゴニスト、及び逆作用薬、例えばオピオイドアンタゴニストを含有する共押出医薬組成物及び剤型に関する。そのような組成物及び剤型は、活性薬剤、例えばオピオイドを含有する剤型の不正使用、乱用、誤用又は転用を予防又は阻止するために有用である。本発明はまた、そのような剤型で患者を治療する方法、及びそのような剤型と患者を治療するために前記剤型を使用するための指示書を含むキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剤型の不正使用、乱用、誤用又は転用を防止する又は阻止するために有用な、作用薬(active agent)、例えばオピオイドアゴニスト、及び逆作用薬(adverse agent)、例えばオピオイドアンタゴニストを含有する共押出医薬組成物及び剤型に関する。本発明はまた、そのような剤型で患者を治療する方法、並びにそのような剤型を、患者を治療するために前記剤型を使用するための指示書と共に含むキットに関する。本発明はさらに、そのような医薬組成物及び剤型の製造のための共押出工程に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、剤型、例えばオピオイド鎮痛薬剤型の不正使用防止性を高めるための試みが当技術分野において為されてきた。不正使用防止オピオイド剤型の開発へのこれまでのアプローチには、オピオイドアゴニストをオピオイドアンタゴニストと組み合わせることが含まれていた。そのような組合せの特定例は、ナロキソンとモルフィン又はオキシモルフォン(Lewensteinらへの米国特許第3,493,657号);メタドンとナロキソン(Pachterらへの米国特許第3,773,955号);メタドール又はアセチルメタドールとナロキソン(Pachterらへの米国特許第3,966,940号);オキシコドンとナロキソン(Gordonらへの米国特許第4,457,933号);及びブプレノルフィンとナロキソン(Lewisらへの米国特許第4,582,835号)を含む組成物を含む。
【0003】
Palermoらへの米国特許第6,228,863号は、アゴニストを単離するために少なくとも2つの分離工程を必要とする、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストを組み合わせた経口投与剤型を開示する。
【0004】
Roseらへの米国特許第5,935,975号は、薬剤の併用投与、すなわち薬剤のアゴニストとアンタゴニストの併用投与によって薬物依存を治療するための方法を開示する。
【0005】
Oshlackらへの米国特許出願公開第2003/0143269 Al号は、放出可能形態のオピオイドアゴニストと、無傷剤型の投与後には実質的に放出されない隔離されたオピオイドアンタゴニストを含有する剤型を開示する。
【0006】
加えて、治療上の作用薬の制御放出を提供する経口投与剤型を製造することは製薬分野において公知である。そのような制御放出組成物は、薬剤の用量の少なくとも一部の吸収を、それが胃腸管の特定部分に達するまで遅延させるために使用される。薬剤のそのような制御放出は、従来の即時又は迅速放出剤型を投与した場合に起こるよりも長い期間、血流中で薬剤の所望濃度を維持するのに役立つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
長年にわたって、例えば押出、造粒、被覆ビーズ等を含む、制御放出医薬剤型を製造するいくつかの異なる方法が示唆されてきた。
【0008】
改善された不正使用防止剤型及びそれらの製造のための改善された手法の必要性が現在もなお当技術分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、作用薬と逆作用薬を含有する共押出医薬組成物及び剤型、並びにそのような組成物及び剤型を製造する共押出法に関する。本発明はまた、そのような医薬組成物又は剤型で患者を治療する方法、並びにそのような医薬組成物又は剤型と患者を治療するための前記組成物又は剤型の使用法を指導する指示書を含むキットに関する。本発明の剤型は、経口投与剤型を包含し、限定はされないが、カプセル又は錠剤、肛門坐剤及び膣坐剤を含む。剤型は、1以上の粒子、例えば共押出を含む工程によって調製される溶融押出マルチ微粒子(「MEM」)を含むがこれらに限定されない、共押出組成物を含む。
【0010】
1つの実施形態では、本発明は、逆作用薬を含有するコア(core)、及び作用薬を含有する1以上のシェル(shell)層又は成分を含む共押出剤型に関する。この実施形態では、シェル層又は成分は、コアを少なくとも部分的に取り囲み、好ましくはコアの大部分を取り囲む。剤型は、コアとシェルの共押出を含む工程によって調製される。
【0011】
もう1つの実施形態では、本発明は、コア、1以上のシース(sheath)層又は成分を含むシース、及び1以上のシェル層又は成分を含むシェルを含む共押出剤型に関する。剤型は、コア、シース及びシェルの共押出を含む工程によって調製される。この実施形態では、コアは作用薬を含有し、シースは疎水性物質を含有してコアを少なくとも部分的に取り囲み、及びシェルは作用薬を含有してシースを少なくとも部分的に取り囲む。
【0012】
好ましくは、1つの実施形態では、シェルは、患者への投与時に作用薬の制御放出を提供することができる。また、1つの実施形態では、シース成分は、コアに含まれる逆作用薬のインビボ(in vivo)での放出を遅延及び/又は低減することに寄与し得る。
【0013】
1つの実施形態では、本発明は、a)逆作用薬を含有するコア及び前記コアを少なくとも部分的に取り囲む、作用薬を含有するシェルを共押出することによって多層押出物を形成すること;及びb)前記多層押出物に少なくとも1個の粒子を形成させること、を含む、不正使用防止剤型を製造する方法を対象とする。1つの実施形態では、多層押出物を1以上の粒子にするためにローリングパンチを使用する。
【0014】
1つの実施形態では、本発明は、a)逆作用薬と疎水性物質を含有するコア;コアを少なくとも部分的に取り囲む、疎水性物質を含有するシース;及びシースを少なくとも部分的に取り囲む、作用薬と疎水性物質を含有するシェル、を共押出することによって多層押出物を形成すること;b)ローリングパンチを使用して多層押出物から1以上の粒子を形成すること、並びにc)1以上の粒子を剤型に組み込むこと、を含む、不正使用防止剤型を製造する方法を包含する。
【0015】
本発明の組成物及び剤型は、作用薬の即時放出又は制御放出を提供することができる。
【0016】
ある実施形態では、逆作用薬を隔離することができる。隔離された逆作用薬はコア中に存在することができ、1つの実施形態では、逆作用薬は剤型のコア中にのみ存在し得る。
【0017】
本発明はさらに、本発明の剤型を患者に投与することを含む、患者を治療する方法に関する。本発明の1つの実施形態では、患者は疼痛のために治療される。
【0018】
本発明はまた、その必要のある患者に本発明の剤型を投与することを含む、疼痛を治療するための剤型の乱用、誤用又は転用を低減する方法を包含する。
【0019】
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの本発明の剤型及び患者を治療するための剤型の使用法を説明する指示書のセットを含む、患者を治療するためのキットに関する。本発明の1つの実施形態では、キットは患者の疼痛を治療することを目的とする。
【0020】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態を例示することを意図する、以下の詳細な説明及び実施例を参照することによってよりよく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】

定義
何らかの薬剤、例えば作用薬、逆作用薬、オピオイドアゴニスト又はオピオイドアンタゴニストへのここでの言及は、特に異なる記述がない限り、そのような薬剤の製薬上許容されうる形態、例えば遊離形態、製薬上許容されうる塩形態、製薬上許容されうる塩基形態、製薬上許容されうる水和物、製薬上許容されうる溶媒和物、立体異性体、光学異性体、更にそのような薬剤のプロドラッグとそのような薬剤の製薬上活性な類似体、及び前記のいずれか2つ以上の混合物を包含するものとする。
【0022】
本明細書で使用する「製薬上許容されうる塩」という語句は、作用薬又は逆作用薬の、酸性基及び塩基性基、例えば窒素基から形成される塩であり得る。一般に、そのような塩の例は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルビオナート及びパルモエート(すなわち1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩を含むが、これらに限定されない。「製薬上許容されうる塩」という用語は、選択的に、酸性官能基、例えばカルボン酸又はスルホン酸官能基を有する作用薬又は逆作用薬と、製薬上許容されうる無機又は有機塩基から製造される塩であり得る。一般に、そのような塩基の例は、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム及びリチウムの水酸化物;アルカリ土類金属、例えばカルシウム及びマグネシウムの水酸化物;他の金属、例えばアルミニウム及び亜鉛の水酸化物;アンモニア、及び有機アミン、例えば非置換又はヒドロキシ置換モノ−、ジ−又はトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチルアミン、N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えばモノ−、ビス−又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えばN,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;並びにアミノ酸、例えばアルギニン、リシン等を含むが、これらに限定されない。
【0023】
「患者」又は「動物」は、好ましくは哺乳動物であり、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモット、最も好ましくはヒトを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用する、「作用薬(active agent)」という語句は、患者の血流中に十分な量で吸収されたとき生物学的作用を生じさせる薬剤を指す。
【0025】
本明細書で使用する「逆作用薬(adverse agent)」という語句は、剤型中に存在する作用薬の少なくとも1つの生物学的作用、例えば陶酔作用を部分的に又は完全に取り消す又は無効にする、或いは患者又は動物の血流中に十分な量で吸収されたとき、1以上の不快な生理的反応、例えば嘔吐、吐き気、下痢、まずい味を生じさせる薬剤を指す。
【0026】
本明細書で使用する、「制御放出」という用語は、即時放出剤型の単回用量よりも長い作用期間を提供する速度での投与後の剤型からの作用薬のインビボ放出を指す。例えば、薬剤を、例えば5〜24時間間隔にわたって放出することができる制御放出経口投与剤型と比較して、典型的な即時放出経口投与剤型は、薬剤を、例えば1時間間隔にわたって放出することができる。
【0027】
本明細書で使用する、「層」という用語は、単一の厚さを有する被覆物又は層(stratum);多数の厚さを有する被覆物又は層;平行する対向面を有する被覆物又は層;平行でない対向面を有する被覆物又は層;平面である1以上の表面を有する被覆物又は層;及び平面でない1以上の表面を有する被覆物又は層を含むがこれらに限定されない、被覆物又は層を指す。
【0028】
本明細書で使用する「ラミネート」という用語は、2以上の層を含む構造、すなわち多層構造を指す。
【0029】
本明細書で使用する「オピオイドアゴニスト」という語句は、場合により立体特異的に、オピオイド受容体のいくつかの亜種の1以上に結合して、アゴニスト活性を生じさせる作用薬を指す。
【0030】
本明細書で使用する「オピオイドアンタゴニスト」という語句は、患者又は動物の血流中に十分な量で吸収されたとき、オピオイドアゴニストの少なくとも1つの生物学的作用、例えば陶酔作用を低減、遅延、又は無効にする逆作用薬を指す。

作用薬と逆作用薬とを含有する共押出剤型
【0031】
上述したように、本発明は、作用薬と逆作用薬とを含有する共押出医薬組成物及び剤型、並びにそのような組成物及び剤型を製造する共押出法を対象とする。1つの実施形態では、本発明は、作用薬と逆作用薬を含有する1以上の共押出粒子を含む剤型に関する。
【0032】
本発明の組成物及び剤型は、作用薬の即時放出又は制御放出を提供することができる。
【0033】
ある実施形態では、逆作用薬は隔離されていない。それらの実施形態では、逆作用薬は、即時放出及び制御放出を含む、いかなる速度でもインビボで放出され得る。
【0034】
ある実施形態では、逆作用薬は隔離されている。それらの実施形態では、本発明の組成物及び剤型は、無傷剤型の患者への意図された通りの投与後に、隔離された逆作用薬が血流中にインビボで放出又は吸収されるのを大きく低減又は防止するように製剤又は製造される。そこで、剤型中に存在する隔離された逆作用薬の小量だけが、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約1重量%未満又は0%が、無傷剤型の患者への意図された通りの投与後にインビボで血流中に放出又は吸収される。隔離された逆作用薬がオピオイドアンタゴニストであるとき、ある実施形態では、好ましくは約0.5mg未満、より好ましくは約0.05mg未満のオピオイドアンタゴニストが、無傷剤型の患者への意図された通りの投与後にインビボで放出される。例えば1つの実施形態では、隔離された逆作用薬がナルトレキソンであるとき、好ましくは0.0625mg未満のナルトレキソンが無傷剤型の患者への意図された通りの投与後にインビボで放出される。
【0035】
1つの実施形態では、逆作用薬は、逆作用薬を少なくとも1つの疎水性物質及び、場合により、結合剤、可塑剤、加工助剤、賦形剤等、又は前記の2若しくはそれ以上の組合せと共に押し出すことによって隔離することができる。その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0143269 Al号は、隔離された逆作用薬と作用薬を含有する剤型を製剤するための組成物及び方法を開示する。1つの実施形態では、剤型は、1以上のシース層又は成分によって少なくとも部分的に覆われた又は取り囲まれたコアの中に存在する隔離された逆作用薬を含有し、前記シース成分は、作用薬を含有する1以上のシェル層又は成分によって少なくとも部分的に取り囲まれている。前記剤型は、コア、シース成分及びシェル成分の共押出を含む工程によって製造される。1つの実施形態では、コアをシースによって少なくとも部分的に取り囲むか又は覆って、逆作用薬含有コアの一部を露出することができる。シースは、コアの少なくとも一部、好ましくは大部分を覆うか又は取り囲む2つのシース層又は成分を含み得る。1つの実施形態では、シースはコアの上部と底部の大部分を覆うか又は取り囲み、一方コアの側面の一部又は全部は覆わずに残す。1つの実施形態では、シースは、コアの上部、底部及び側面の実質的に全部を覆うか又は取り囲む。
【0036】
1つの実施形態では、シースはシェルによって少なくとも部分的に取り囲まれるか又は覆われており、好ましくはシースの大部分がシェルによって取り囲まれるか又は覆われている。シェルは2つのシェル層又は成分を含み得る。1つの実施形態では、シェルはシースの上部と底部の大部分を覆うか又は取り囲み、一方、シースの周囲表面又は側面の一部又は全部は覆わずに残す。1つの実施形態では、シェルは、シースの上部、底部及び側面の実質的に全部を覆うか又は取り囲む。
【0037】
ある実施形態では、シースはコアの必ずしも全部を覆わない又は取り囲まない。それらの実施形態では、シェルの一部は、シースによって覆われない又は取り囲まれないコアの部分に隣接し、その一部又は全部を覆うか又は取り囲むことができる。
【0038】
1つの実施形態では、本発明は、作用薬と逆作用薬を含有する複数の共押出粒子を含み、前記粒子が逆作用薬を含有するコアを含み、前記コアが作用薬を含有するシェルによって少なくとも部分的に取り囲まれている、固体剤型に関する。粒子は、コアとシェルの共押出を含む工程によって調製される。好ましくは、シェルはコア成分の大部分を取り囲む。コアは、逆作用薬と疎水性物質を含むことができ、シェルは作用薬と疎水性物質を含むことができる。1つの実施形態では、逆作用薬は隔離されている。
【0039】
ある実施形態では、逆作用薬はコア全体に存在し得る。1つの実施形態では、逆作用薬はコアとシースの両方に存在し得る。もう1つの実施形態では、逆作用薬は多層粒子の1以上の内層に存在し得る。
【0040】
ある実施形態では、シースは逆作用薬又は作用薬を全く含まない。他の実施形態では、シースは逆作用薬及び/又は作用薬を含み得る。1つの実施形態では、シース中に存在する逆作用薬の量は、コア中に存在する量よりも少ない。同様に、1つの実施形態では、シース中に存在する作用薬の量は、シェル中に存在する量よりも少ない。
【0041】
ある実施形態では、シェルは逆作用薬を全く含まない。他の実施形態では、シェルは逆作用薬を含み得る。1つの実施形態では、シェル中に存在する逆作用薬の量は、コア中に存在する逆作用薬の量よりも少ない。存在する場合、シェル中に含まれる逆作用薬は、即時放出又は制御放出であり得るか、又は隔離され得る。
【0042】
1つの実施形態では、逆作用薬はコアにのみ存在し、作用薬はシェルにのみ存在し、共押出された剤型のシース中には逆作用薬又は作用薬は存在しない。この実施形態では、共押出後に小量の作用薬及び/又は逆作用薬が他の成分又は層に移動することが許容されうる。
【0043】
本発明の剤型は、経口的に、例えば錠剤又はカプセルの形態で;直腸又は膣経路で、例えば坐薬の形態で投与することができる。好ましい実施形態では、本発明は経口投与剤型を対象とする。
【0044】
本発明の剤型は、適切な大きさの1以上の共押出粒子を含み得る。1つの実施形態では、剤型は、複数の小さな粒子、例えば、全ての寸法において(in all dimensions)約0.1mm〜約5.0mmの大きさを有する粒子を含み得る。もう1つの実施形態では、粒子は全ての寸法において約0.1mm〜約3.0mmの大きさを有する。粒子は、所望に応じていかなる形状も有することができ、例えば円柱状、球状、正方形、楕円体、又は何らかの規則的な若しくは不規則な形態をとり得る。
【0045】
1つの実施形態では、経口投与剤型は、硬又は軟ゼラチンカプセル内に有効量の溶融押出マルチ微粒子(「MEM」)を含むように製造される。例えばコア、シース及びシェルを含む複数のMEMを、摂取されて体液と接触したとき、隔離された逆作用薬の有意の放出を伴わずに、作用薬の有効な持続放出用量を提供するのに十分な量でゼラチンカプセルに入れることができる。本発明の剤型のマルチ微粒子の粒径は、全ての寸法において約0.1mm〜約5.0mmであり;もう1つの実施形態では、全ての寸法において約0.1mm〜約3.0mmである。
【0046】
もう1つの実施形態では、複数の粒子又はMEMを、例えば、その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第4,957,681号(Klimeschら)に述べられている手順によって、錠剤に圧縮することができる。錠剤(圧縮及び成形)、カプセル(硬及び軟ゼラチン)及び他の形態の丸剤を製造するための手法及び組成物も、その全体が全ての目的に関して参照して本明細書に組み込まれる、Remington's Pharmaceutical Sciences (Arthur Osol編), 1553-1593(1980)に述べられている。
【0047】
もう1つの実施形態では、錠剤は、装置を用いて、例えば成形圧延機、ピンチ装置、ベルト及びローラー又は牽引ローラーを使用して、共押出物を錠剤に成形することによって製造できる。もう1つの実施形態では、錠剤は、図2に示すようなローリングパンチを使用して押出物シートから製造することができる。
【0048】
錠剤は何らかの幾何学的形状、例えば球、長円体、ペレット等であり得、製造方法及び患者に依存していかなる寸法においても大きさが異なり得ることを了解すべきである。錠剤は、いかなる方向でも約5mm〜約75mmの寸法を有し得る。1つの実施形態では、錠剤は、いかなる方向でも約5mm〜約30mmの寸法を有する。もう1つの実施形態では、錠剤は、いかなる方向でも約5mm〜約15mmの寸法を有する。
【0049】
本発明の粒子又は錠剤は、上記及び/又は5.5節(コア)で定義するような製薬上許容されうる疎水性被覆材料;結合剤などの賦形剤(例えばプレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、滑石又はシリカ);崩壊剤(例えばジャガイモデンプン又はグリコール酸デンプンナトリウム);湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム);及び当技術分野で周知の他の添加物又は賦形剤をさらに含み得る。粒子又は錠剤は、被覆が意図する使用を妨げないことを条件として、当技術分野で周知の方法によって被覆することができる。被覆工程の非限定的な例は、噴霧被覆及び浸漬被覆である。
【0050】
ある実施形態では、剤型は、例えば約5〜8時間又はそれ以上にわたって、好ましくは少なくとも12時間にわたって、より好ましくは少なくとも24時間、又はそれ以上にわたって、インビボで作用薬の制御放出を提供するように製剤される。
【0051】
本発明者は、ある種の目的に関して、作用薬と逆作用薬の放出速度はインビボ法又はインビトロ(in vitro)法によって測定することができると考えるが、2つの異なる方法によって得られる結果の間に直接の相関があると主張するわけではない。
【0052】
意図された通りに患者に投与されたときは、無傷剤型からの逆作用薬のインビボ放出は、好ましくは、作用薬の恩恵を実質的に低下させない又は不快な生理的反応を生じさせないような十分に低いものである。逆作用薬の放出速度は、主としてコア、シース及びシェルの組成によって決定される。本発明の剤型は、典型的には無傷剤型の意図された通りの投与後にインビボで約10重量%未満、好ましくは約1重量%未満の隔離された逆作用薬を放出し、より好ましくは隔離された逆作用薬を実質的に全く放出しない。隔離された逆作用薬がオピオイドアンタゴニストであるとき、剤型は、無傷剤型の意図された通りの投与後にインビボで、好ましくは約0.5mg未満、より好ましくは約0.05mg未満のオピオイドアンタゴニストを放出する。例えば1つの実施形態では、逆作用薬がナルトレキソンオピオイドアンタゴニストであるとき、好ましくは0.0625mg未満のナルトレキソンが、意図された通りの無傷剤型の投与後にインビボで放出される。
【0053】
ある実施形態では、剤型は、標準インビトロ溶解試験において36時間にわたって、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の逆作用薬を放出し、より好ましくは逆作用薬を実質的に全く放出しない。例えば経口投与剤型が5.0mgの隔離されたオピオイドアンタゴニストを含有し、USPバスケット法(USP I型バスケット、100rpm;擬似胃液700ml;酵素なしでpH1.2を37℃で1時間充填、次いで擬似腸液900ml;酵素なしでpH7.5を試験期間中充填)を用いて溶解試験を実施するとき、36時間にわたって擬似胃腸液中に放出されるオピオイドアンタゴニストの量は、0.5mg未満、より好ましくは0.05mg未満であり得る。
【0054】
作用薬と隔離された逆作用薬を含有する無傷剤型(intact dosage form)を患者に投与するとき、隔離された逆作用薬の小量だけがインビボで放出され、好ましくはほとんど全く放出されず、一方、作用薬は、即時放出から制御放出まで変化し得る意図された速度で放出される。しかし、作用薬及び隔離された逆作用薬粒子を含有する剤型が、特に熱で(例えば約45℃〜約50℃以上、約100℃まで又はそれ以上で)溶媒中に、例えば砕かれるか、破砕、粉砕又は溶解されて不正使用されているとき、体内での吸収のために利用され得る逆作用薬の量は実質的に上昇する。逆作用薬は、その後、作用薬の少なくとも1つの作用、例えば陶酔作用(euphoric effect)を低減すること、又は患者において1以上の不快な作用を惹起することによってその作用を及ぼすために利用可能となる。そこで、逆作用薬が作用薬のアンタゴニストである場合、逆作用薬の作用によって作用薬の少なくとも1つの作用が、好ましくは実施的に低下するか、さらには排除される。例えば作用薬がオピオイドアゴニストであり、逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである場合、剤型が、オピオイド−受容体結合を妨げ、オピオイドアゴニストの陶酔作用を低減することで不正使用されているとき、高い量のオピオイドアンタゴニストが体内で利用可能となる。従って、無傷剤型として意図された通りに本発明の剤型を服用する患者だけが、実質的に作用薬の完全な薬理作用を経験する。逆作用薬が催吐薬であり、剤型が不正使用されている場合、催吐薬の放出及び吸収は吐き気及び/又は嘔吐を誘発して、使用者が剤型を不正使用するのを阻止し、また、ある種の場合には、被験者の体内から作用薬を除去する。すなわち、剤型中の作用薬を乱用しても、逆作用薬により生じる望ましくない作用のため、より望ましいものではなくなる。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、固体剤型は場合により化粧被覆物(cosmetic coating)によって覆うことができる。医薬剤型のために使用されるいかなる公知の種類の化粧被覆物も、被覆された剤型が本発明の意図する目的を達成する限り、使用することができる。
【0056】
ある実施形態では、剤型は、安定性を高めるために長時間高温に暴露することによって硬化できる。本明細書で使用する「硬化」という用語は、安定化された最終剤型を得ることを目的とする剤型(又は中間生成物)の熱処理を意味する。当業者に了解されるように、本発明の製剤が疎水性遅延剤の一部又は全部としてポリマーを組み込んでいるとき、熱処理は硬化作用を引き起こし、ポリマーはおそらくそれ自体でより安定な状態へと架橋する。本発明の製剤が、疎水性物質、例えば水添(hydrogenated)植物油又はステアリルアルコールを含むとき、熱処理は、ポリマーの硬化よりはむしろ製剤の徐冷に類似し得る。しかし、本発明の目的のために、「硬化」という用語の使用は、硬化と徐冷の両方を包含するとみなされる。疎水性物質がロウ様物質だけを含む状況では、硬化は、最大の安定性を達成するのに十分な時間、例えば約4〜約72時間、約35℃〜約65℃の温度で実現することができる。他の実施形態では、硬化は、約5〜約48時間又はそれ以上、好ましくは少なくとも約24時間、約40℃〜約60℃の温度で実施する。安定な剤型の意図する結果を達成する適切な硬化時間は当業者によって決定され得る。

作用薬
【0057】
いかなる種類の作用薬も本発明の共押出剤型において使用できる。有用な作用薬の例は、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗真菌薬、抗痛風薬、抗高血圧薬、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗腫瘍薬、勃起機能不全改善薬、免疫抑制剤、抗原虫薬、抗甲状腺薬、抗不安薬、鎮静薬、催眠薬、神経弛緩薬、β−遮断薬、心臓イオンチャネル薬、コルチコステロイド、利尿薬、抗パーキンソン病薬、胃腸薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、角質溶解薬、脂質調節薬、抗狭心症薬、cox−2阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド系抗生物質、筋弛緩薬、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、プロテアーゼ阻害剤、性ホルモン、興奮薬、筋弛緩薬、抗骨粗しょう症薬、抗肥満薬、認知増強薬、抗尿失禁薬、栄養油、抗良性前立腺肥大症薬、必須脂肪酸及び非必須脂肪酸を含むが、これらに限定されない。剤型は2以上の作用薬を含み得る。
【0058】
作用薬のより詳細な例は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、及び刺激薬、例えばメチルフェニデート及びアンフェタミン、ドロナビノール、グルテチミド、メチルフェニデート、ナビロン、タンパク質同化ステロイド、メチルプリロン、エトクロルビノール、エチナメート、フェンフルラミン、メプロバメート、ペモリン、レボメタジル、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、メブタメート、クロルテルミン、フェニルアセトン、ドロナビノール、ナビロン、ベンフェタミン、抱水クロラール、エトクロルビノール、パラアルデヒド、ミダゾラム、及びデトロプロポキシフェンを含むが、これらに限定されない。
【0059】
ある実施形態では、作用薬はオピオイドアゴニストである。有用なオピオイドアゴニストは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロモルフォドン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトフォン、モルフィン、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パントポン、パパベレタム、パレゴリック、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0060】
ある実施形態では、オピオイドアゴニストは、ヒドロコドン、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル及びその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール及びそれらの混合物から成る群より選択される。1つの実施形態では、オピオイドアゴニストは、オキシコドン、ヒドロモルフォン又はヒドロコドンである。
【0061】
「ベンゾジアゼピン」という用語は、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピンの誘導体であって中枢神経系を抑制することができる薬剤を指す。ベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、メチルフェニデート及び前記のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0062】
バルビツレートは、バルビツール酸(2,4,6−トリオキソヘキサヒドロピリミジン)から誘導される鎮静−催眠薬を指す。バルビツレートは、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メトヘキシタール、メフォバルビタール、メタルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール及び前記のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0063】
刺激薬は、中枢神経系を刺激する薬剤を指す。刺激薬は、アンフェタミン、例えばアンフェタミン、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート及び前記のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0064】
作用薬は、結腸疾患、例えば過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、クローン病、便秘、術後アトニー、胃腸感染を治療するために結腸領域で局所的に作用する薬剤、及び抗原性物質をリンパ系組織に送達する治療薬を含むが、これらに限定されない、結腸への送達を意図する薬剤であり得る。結腸疾患の治療のための作用薬は、5−ASA;ステロイド類、例えばヒドロコルチゾン及びブデゾニド;緩下薬;軟便剤;オクトレオチド;シサプリド;抗コリン作用薬;オピオイド;カルシウムチャネル遮断薬;結腸の細胞への送達のためのDNA;グルコサミン;トロボキサンA2シンテターゼ阻害剤、例えばリドグレル;5HT3−拮抗薬、例えばオンダンセトロン;感染性細菌、例えばクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)に対する抗体;及び、例えばHIVの予防のための、抗ウイルス薬を含むが、これらに限定されない。
【0065】
あるいは、作用薬は、全身的に活性であり、結腸領域において吸収が高い薬剤であり得る。そのような薬剤は、極性化合物、例えばヘパリン;インスリン;カルシトニン;ヒト成長ホルモン(HGH);成長ホルモン放出ホルモン(GHRH);インターフェロン;ソマトスタチン及び類似体、例えばオクトレオチド及びバプレオチド;エリトロポエチン(EPO);顆粒球コロニー刺激因子(GCSF);副甲状腺ホルモン(PTH);黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)及びその類似体;心房性ナトリウム利尿因子(ANF);バソプレシン;デスモプレシン;カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP);及び鎮痛薬を含む。
【0066】
作用薬粒子は、疎水性物質、結合剤、可塑剤、賦形剤、及び前記のいずれか2つ又はそれ以上の組合せをさらに含み得る。適切なマトリックス材料は、所望結果、例えば即時放出又は持続放出を達成するのに十分な速度での作用薬の放出を可能にするものを含む。1つの実施形態では、作用薬の胃腸液への拡散放出を可能にする、透過性マトリックス材料を使用する。

逆作用薬
【0067】
上述したように、本発明は、分離することができる、作用薬と逆作用薬を含有する共押出剤型及び医薬組成物、並びにそのような剤型及び組成物を製造し、投与するための共押出方法を対象とする。1つの実施形態では、本発明は、分離することができる、作用薬と逆作用薬を含有する複数の粒子を含む剤型に関する。
【0068】
逆作用薬は、作用薬の生物学的作用を少なくとも部分的に低減するか又は遮断する、あるいは動物又は患者の血流中に吸収されたとき不快な作用を作り出す、何らかの医薬活性物質であり得る。逆作用薬の例は、何らかの治療作用物質のアンタゴニストを含むが、これらに限定されない。オピオイドアゴニストを本発明の剤型中の作用薬として使用するときは、オピオイドアンタゴニストを逆作用薬として使用することができる。同様に、ベンゾジアゼピンを本発明の剤型中の作用薬として使用するときは、ベンゾジアゼピンアンタゴニストを逆作用薬として使用することができる。バルビツレートを本発明の剤型中の作用薬として使用するときは、バルビツレートアンタゴニストを逆作用薬として使用することができる。アンフェタミンを本発明の剤型中の作用薬として使用するときは、アンフェタミンアンタゴニストを逆作用薬として使用することができる。作用薬が、その通常治療範囲以上の用量で投与したとき毒性であるときは、すなわち過量の有意の潜在的可能性が存在するときは、毒性作用薬の解毒薬を逆作用薬として使用することができる。
【0069】
1つの実施形態では、逆作用薬はオピオイドアンタゴニストである。本発明において有用なオピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、シクラゾシン、レバロルファン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0070】
有用なオピオイドアンタゴニスト塩は、オピオイドアンタゴニストの酸及び塩基性窒素基から形成される塩を包含する。オピオイドアンタゴニスト塩の例は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパルモエート(すなわち1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩を含むが、これらに限定されない。
【0071】
他のオピオイドアンタゴニスト塩は、酸性官能基、例えばカルボン酸又はスルホン酸官能基を有するアンタゴニストと、製薬上許容されうる無機又は有機塩基から製造される塩を包含する。適切な塩基は、5.1節(定義)の「製薬上許容されうる塩」という用語に言及した項において上記で特定したものを含むが、これらに限定されない。
【0072】
ある実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、又はこれらの製薬上許容されうる塩である。もう1つの実施形態では、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン塩、例えば、塩酸ナルトレキソンである。
【0073】
本発明の逆作用薬として使用することができるベンゾジアゼピンアンタゴニストは、フルマゼニルを含むが、これに限定されない。
【0074】
本発明の逆作用薬として使用することができるバルビツレートアンタゴニストは、本明細書で述べるようなアンフェタミンを含むが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の逆作用薬として使用することができる刺激薬アンタゴニストは、本明細書で述べるベンゾジアゼピンを含むが、これらに限定されない。
【0076】
本発明のもう1つの実施形態では、逆作用薬は、望ましくない生理的反応、例えば嘔吐を引き起こす薬剤である。このタイプの逆作用薬は、オピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、又は刺激薬を含むいかなる種類の治療薬に関しても使用できる。本発明における逆作用薬としての使用に適する催吐薬の例は、トコン及びアポモルフィンを含むがこれらに限定されない、投与後安全且つ有効に嘔吐を誘発する薬剤を包含する。

コア
【0077】
本発明のある実施形態では、隔離することができる逆作用薬は、共押出多層粒子のコア又は内層に存在し得る。1つの実施形態では、本発明の逆作用薬含有コアは、好ましくは疎水性マトリックス材料を含む。本発明において有用な疎水性マトリックス材料は、胃腸管において不溶性であるか又は低い溶解度を有することが当技術分野で公知であるものを含む。そのような材料は、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、並びにアルキルセルロースから成る群より選択される疎水性材料を含むが、これらに限定されない。マトリックスはまた、付加的な疎水性材料、例えばゼイン、シェラック、水添ヒマシ油、水添植物油又はそれらの混合物を含有し得る。不溶性であるが、そのような疎水性材料は経時的に分解し、それによって最終的に逆作用薬の一部を放出することができる。製薬技術分野の当業者は、例えば逆作用薬のインビボ放出を変化させるために、逆作用薬中の疎水性マトリックス材料の含量を変えることにより、そのような放出の速度を制御することができる。
【0078】
1つの実施形態では、疎水性マトリックス材料はアクリルポリマーを含む。適切なアクリルポリマーの例は、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、メチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリレートコポリマーを含むが、これらに限定されない。適切なアクリルポリマーの付加的な例は、アクリル及びメタクリルモノマー1モル当たり約0.02〜0.03モルのトリ(低級アルキル)アンモニウム基を含む、アクリル酸及びメタクリル酸エステルから合成されるコポリマー(例えばアクリル酸低級アルキルエステルとメタクリル酸低級アルキルエステルのコポリマー)を含む、アクリル樹脂を含むが、これらに限定されない。
【0079】
アクリルポリマーは、1以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを含み得る。アンモニオメタクリレートコポリマーは当技術分野において周知であり、低い含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸とメタクリル酸エステルの十分に重合されたコポリマーである。所与の治療薬について望ましい溶解プロフィールを得るために、異なる物理的性質を有する2以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを組み込むことが必要な場合がある。例えば第四級アンモニウム基対中性アクリル(メタクリル)エステルのモル比を変化させることによって、生じる被覆物の透過特性を変更し得ることが知られている。当業者は、モノマーを組み合わせて、所望放出速度で治療薬を放出するコポリマーを容易に提供することができる。第四アンモニウム基の官能性を有するアクリレート及びメタクリレートのコポリマーは、EUDRAGIT RSTM及びEUDRAGIT RLTM(Rohm Pharma, GmbH, Weiterstat, Germany)として市販されている。好ましいアンモニオメタクリレート樹脂は、全ての形態のEUDRAGIT RSTM、例えばEUDRAGIT RS POTMを含む。EUDRAGIT RSTMは、EA:MM:TAMのモル比が1:2:0.01である、エチルアクリレート(EA)、メチルメタクリレート(MM)及びトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド(TAM)の水不溶性コポリマーであることが知られている;例えば米国特許第6,306,391号参照。EUDRAGIT RS POTMは、EUDRAGIT RSTMの粉末化形態であることが知られている;例えば米国特許第5,492,692号参照。
【0080】
1つの実施形態では、疎水性マトリックス材料は、水不溶性セルロースポリマーを含む。ある実施形態では、セルロースポリマーは、セルロースエーテル、セルロースエステル、又はセルロースエステルエーテルである。好ましくは、セルロースポリマーは、約ゼロから約3(3を含む)までの無水グルコース単位上の置換度(「D.S.」)を有する。本明細書で使用するD.S.という用語は、置換基によって置換されている、セルロースポリマーの無水グルコース単位上に存在するヒドロキシル基の平均数を意味する。代表的セルロースポリマーは、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ−、ジ−及びトリセルロースアルカニレート、モノ−、ジ−及びトリセルロースアロイレート、並びにモノ−、ジ−及びトリセルロースアルケニレートから選択されるポリマーを含むが、これらに限定されない。例示的なセルロースポリマーは、約1〜約2のD.S.を有するセルロースアセテート及び約2〜約3のD.S.を有するセルロースアセテートを含む。好ましくは、セルロースポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低、中又は高分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、又はセルローストリアセテートである。より好ましいセルロースはエチルセルロースである。
【0081】
より詳細なセルロースポリマーは、約1.8のD.S.を有するセルロースプロピオネート;約1.8のD.S.を有するセルロースアセテートブチレート;約2.9〜3のD.S.を有するセルローストリアシレート、例えばセルローストリアセテート、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネート及びセルローストリオクタノエート;約2.2〜2.6のD.S.を有するセルロースジアシレート、例えばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジペンタノエート;並びにセルロースのコエステル、例えばセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートオクタノエートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートを含む。
【0082】
ある実施形態では、コアは一般に、約30重量%〜約99重量%の1以上の疎水性マトリックス材料、好ましくは約50重量%〜約95重量%の1以上の疎水性マトリックス材料、より好ましくは約60重量%〜約95重量%の1以上の疎水性マトリックス材料を含み得る。
【0083】
逆作用薬含有コアは、場合により1以上の結合剤、付加的な遅延剤、可塑剤、及び/又は賦形剤を含み得る。結合剤は、マトリックスの完全性を維持するために有用であり、また体液中への薬剤の放出を遅延させるのを助けることができる。結合剤の例は、天然及び合成ロウ、水不溶性ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸、水添(hydrogenated)脂肪、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、炭化水素、炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性ポリマー、並びに混合物、例えばステアリルアルコール、ステアリン酸及び水溶性ポリマー、例えばヒドロキシセルロースを含む。
【0084】
可塑剤は、疎水性マトリックス材料がセルロースポリマー又はアクリルポリマーを含むときに有用である。適切な可塑剤の非限定的な例は、例えばアセチルトリエチルシトレート及び/又はアセチルトリブチルシトレートを含む。
【0085】
逆作用薬コアはまた、押出の間の製剤の加工性を改善するため及び/又は最終生成物の性質を改善するために添加することができる、他の賦形剤も含み得る。液体賦形剤の非限定的な例は、水及び、石油、動物、植物又は合成起源のものを含む油、例えば落花生油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油、ヒマシ油、トリグリセリド等を含む。固体賦形剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、滑石、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等を含む。着色料もコアに添加し得る。
【0086】
ある実施形態では、コアは、本発明の剤型のシェルに関して5.7節(シェル)で開示する物質の1以上を含み得る。

シース
【0087】
ある実施形態では、本発明の剤型は、逆作用薬含有コアを少なくとも部分的に取り囲む、好ましくは逆作用薬含有コアの大部分を取り囲むシースを含み得る。ある実施形態では、シースは、好ましくは疎水性マトリックス材料を含み、及び場合により結合剤、付加的な遅延剤、可塑剤及び賦形剤を含む。ある実施形態では、シースは逆作用薬及び/又は作用薬を含み得るが、シースはいかなる逆作用薬又は作用薬も含まないことが好ましい。
【0088】
1つの実施形態では、シースの疎水性材料は、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、並びにコアについて上述した水不溶性アルキルセルロースから成る群より選択される1以上の物質を含む。シースは、場合により1以上の付加的な疎水性材料、例えばコアについて上述したような、シェラック、ゼイン、水添ヒマシ油、水添植物油及びそれらの混合物を含み得る。
【0089】
シースにおいて使用される疎水性マトリックス材料は、逆作用薬コアにおいて使用されるものと同じか又は異なり得る。シースにおいて使用される疎水性材料は、好ましくは胃腸管内で実質的に不溶性であるが、この材料は、ある限られた程度まで経時的にインビボで溶解又は生分解することができ、それによって小量の隔離された逆作用薬のコアからのインビボ放出を可能にする。製薬技術分野の当業者は、例えばシースの組成を変化させること、シースの厚さを高めること、コアのより大きな割合をシースで取り囲むこと、コアの大きさ及び/又は寸法を変化させること、並びに/或いはシース及び/又はコアの組成を変化させることによって、そのような放出の速度を変化させることができる。これらや他の方法は当業者に公知であるか又は本開示を考慮して常套的実験によって決定され得る。
【0090】
ある実施形態では、シースは、約10重量%〜約99重量%、好ましくは約40重量%〜約95重量%、より好ましくは約60重量%〜約90重量%の1以上の疎水性マトリックス材料を含み得る。
【0091】
シースは、1以上の付加的な遅延剤、或いは1以上の結合剤又は可塑剤又は賦形剤、或いはそれらの何らかの組合せ、例えば逆作用薬含有コアに関して上述したものをさらに含有し得る。

シェル
【0092】
本発明の共押出剤型は、作用薬を含有するシェルを含む。剤型は、投与後にインビボで作用薬の即時放出及び/又は制御放出を提供することができる。ある実施形態では、剤型は、作用薬、例えばオピオイドアゴニストの制御放出を提供する。オピオイドアゴニストの制御放出剤型の製剤及び製造の押出方法は、当技術分野において公知である。例えば、各々その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第5,958,452号;同第5,965,161号;同第5,968,551号;同第6,294,195号及び同第6,335,033号は、オピオイドアゴニスト剤型の制御放出を開示している。そのような特許の1以上の開示は、制御放出オピオイドアゴニスト剤型のための詳細、例えば製剤、疎水性マトリックス材料、遅延剤、結合剤、可塑剤及び賦形剤、並びにMEMを含有する錠剤、カプレット及びカプセルを形成するための押出方法を含む。
【0093】
ある実施形態では、作用薬は、経口投与後インビボで作用薬の制御放出を提供するマトリックス中に分散し得る。医薬組成物又は剤型を製造するためにいかなる適切な制御放出マトリックスも使用できる。ある種の制御放出マトリックスが経口製剤に関して知られており(例えばその開示全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、Remington's Pharmaceutical Sciences 1684-85 (18th ed. 1990)参照)。上記で特定した特許及び出版物に開示されている制御放出剤型に加えて、有用な制御放出マトリックスの他の例は、その内容全体が、各々、全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第6,143,328号;同第6,063,405号;同第5,462,747号;同第5,451,409号;同第5,334,392号;同第5,266,331号;同第5,549,912号;同第5,508,042号;同第5,656,295号;同第5,324,351号;同第5,356,467号及び同第5,472,712号に述べられている。
【0094】
制御放出マトリックスは、場合により親水性材料と組み合わせた、可融疎水性材料を含み得る。疎水性可融材料は、例えば約45℃〜約100℃の融点、1つの実施形態では、約50℃〜約90℃の融点を有し得る、例えば疎水性ポリマーあるいは天然又は合成ロウ又は油、例えば水添植物油又は水添ヒマシ油であり得る。親水性材料は、親水性ポリマー、例えばヒドロキシセルロース;水溶性可融材料、例えばポリエチレングリコール;或いは水溶性微粒子材料、例えばリン酸ジカルシウム又はラクトースであり得る。
【0095】
本発明に従った制御放出剤型を製造するためにいかなる公知の共押出方法も使用できるが、好ましい方法は、適切なマトリックス材料と成分の溶融共押出である。例えば制御放出マトリックスに分散した作用薬を含有するシェルは、例えば以下の1以上を含むがこれらに限定されない、適切な非可融材料と共に作用薬を押し出すことによって製造できる:
【0096】
(a)親水性又は疎水性ポリマー、例えばゴム、セルロースエーテル、タンパク質由来物質、ナイロン、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、デンプン、ポリビニルピロリドン、及びセルロースアセテートフタレート。これらのポリマーのうちで、セルロースエーテル、例えば置換セルロースエーテル、例えばアルキルセルロース(例えばエチルセルロース)、C1−C6ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース)、及びアクリル樹脂(例えばメタクリレート、例えばメタクリル酸コポリマー)が使用できる。制御放出マトリックスは、好ましくは約1%〜約80%(重量)の疎水性及び/又は親水性ポリマーを含み得る。
【0097】
(b)可消化、長鎖(C8−C50、1つの実施形態ではC8−C40)置換又は非置換炭化水素、例えば脂肪酸;水添植物油;脂肪アルコール、例えばラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチル又は、1つの実施形態ではセトステアリルアルコール;脂肪酸のグリセリルエステル、例えばグリセリルモノステアレート;鉱物油;並びにロウ、例えば蜜ロウ、グリコワックス(glycowax)、カスターワックス、及びカルナバロウ。約25℃〜約90℃の融点を有する炭化水素が1つの実施形態で使用される。これらの長鎖炭化水素物質のうちで、脂肪(族)アルコールは1つの実施形態において有用である。制御放出マトリックスは、約60%(重量)までの少なくとも1つの可消化長鎖炭化水素を含み得る。
【0098】
(c)ポリアルキレングリコール。制御放出マトリックスは、約60%(重量)までの少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含み得る。
【0099】
本発明の剤型における使用のための適切な制御放出マトリックスは、1以上のセルロースエーテル又はアクリル樹脂、1以上のC12−C36脂肪アルコール、1つの実施形態ではC12−C22脂肪アルコール、並びに/或いは1以上の水添植物油を含み得る。特に適切なマトリックスは、1以上のアルキルセルロース、1以上のC12−C36脂肪アルコール、1つの実施形態ではC12−C22脂肪アルコール、及び場合により1以上のポリアルキレングリコールを含む。もう1つの実施形態では、マトリックスは、約0.5重量%〜約60重量%、もう1つの実施形態では約1重量%〜約50重量%のセルロースエーテルを含む。
【0100】
アクリル樹脂は、例えばメタクリレート、例えばメタクリル酸コポリマー、USNF A型(EUDRAGIT LTM)、B型(EUDRAGIT STM)、C型(EUDRAGIT L 100−55TM)、EUDRAGIT NE 30 DTM、 EUDRAGIT ETM、EUDRAGIT RLTM、又はEUDRAGIT RSTM(Rohm Pharma GmbH, Weiterstat, Germanyから市販されている)であり得る。1つの実施形態では、マトリックスは、約0.5重量%〜約95重量%のアクリル樹脂、もう1つの実施形態では約10重量%〜約50重量%のアクリル樹脂を含む。
【0101】
ポリアルキレングリコールが存在しない場合、マトリックスは、1つの実施形態では約1重量%〜約40重量%、もう1つの実施形態では約2重量%〜約36重量%の脂肪アルコールを含む。ポリアルキレングリコールが経口投与剤型中に存在するときは、脂肪アルコールとポリアルキレングリコールの合計重量は、1つの実施形態ではマトリックスの約2重量%〜約40重量%、もう1つの実施形態ではマトリックスの約2〜約36重量%を構成する。
【0102】
ポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコール又は、1つの実施形態ではポリエチレングリコールであり得る。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、1つの実施形態では約200〜約15,000ダルトン、もう1つの実施形態では約400〜約12,000ダルトンである。
【0103】
シェルはまた、コアの含有物に関して開示した物質の1以上を含み得る。例えばシェルは、5.5節(コア)において上記で開示した疎水性マトリックス材料、結合剤、遅延剤、可塑剤及び/又は賦形剤の1以上を含み得る。

共押出工程
【0104】
本発明はまた、医薬組成物又は剤型を製造するための共押出方法に関する。本発明は、逆作用薬を含有するコア;場合によりコアを少なくとも部分的に取り囲むシース;及びコアを少なくとも部分的に取り囲む、作用薬を含有するシェルを、及び存在する場合はシースを、共押出すること、例えば溶融共押出することを含む工程を包含する。ある実施形態では、共押出工程は、多層押出物シートを生産し、それを適切な大きさの1以上の粒子にして、次にそれらを、各々が複数の粒子を含有し得る、錠剤、カプレット又はカプセルを含むがこれらに限定されない1以上の剤型に組み込む。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物を粒子又は錠剤にするためにローリングパンチを使用することを含む。
【0105】
一般に、押出によって作用薬含有組成物又は剤型を製造する方法は周知である。例えば粒子を含有する剤型を含む、医薬剤型を押出し、形成するための公知の方法を開示する、各々その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第5,958,452号、同第5,965,161号及び同第6,335,033号参照。作用薬を含有する剤型を形成するための共押出方法も公知である。例えば各々その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第4,880,585号及び同第5,073,379号参照。
【0106】
また、装置、例えば成形圧延機、ピンチ装置、ベルト及びローラー又は牽引ローラーを使用することにより、鋳造可能な共押出物を錠剤に成形することも公知である。例えば各々その全体が全ての目的に関して明白に参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第6,120,802号及び同第5,073,379号参照。
【0107】
本発明に従って、共押出工程を使用して、作用薬及び隔離し得る逆作用薬を含有する多層医薬組成物又は剤型を生産する。1つの実施形態では、剤型は、コア、シェル及び、場合により、シースを共押出すること及びローリングパンチを使用して前記押出物を粒子にすることを含む工程によって生産される。
【0108】
1つの実施形態では、本発明は、a)逆作用薬を含有するコア及びコアを少なくとも部分的に取り囲む、好ましくはコアの大部分を取り囲む、より好ましくはコアを実質的に又は完全に取り囲む、作用薬を含有するシェルを共押出して、多層押出物シートを形成すること;及びb)多層押出物シートを剤型に、例えば錠剤、カプレット又は複数の粒子に成形することによって剤型を製造する方法に関する。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物シートを粒子にするためのローリングパンチの使用を含む。
【0109】
もう1つの実施形態では、本発明は、a)逆作用薬を含有するコア;コアを少なくとも部分的に取り囲む、好ましくはコアの大部分を取り囲む、より好ましくはコアを実質的に又は完全に取り囲むシース;及びシースを少なくとも部分的に取り囲む、好ましくはシースの大部分を取り囲む、より好ましくはシースを実質的に又は完全に取り囲む、作用薬を含有するシェルを共押出して、多層押出物シート又はラミネートを形成すること;及びb)多層押出物シートを剤型に、例えば錠剤、カプレット又は複数の粒子に成形することによって剤型を製造する方法に関する。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物シートを粒子にするためのローリングパンチの使用を含む。
【0110】
1つの実施形態では、剤型は、カプセル、好ましくはゼラチンカプセルに入った、コア、場合によりシース、及びシェルを含む複数の粒子を含有する。
【0111】
1つの実施形態では、本発明はさらに、逆作用薬と疎水性マトリックス材料を含有するコア製剤を第一押出機に充填すること;作用薬と疎水性マトリックス材料を含有するシェル製剤を第二押出機に充填すること;前記製剤を加熱し、多層金型を通して押出して、作用薬を含有するシェルによって少なくとも部分的に覆われた逆作用薬コアを含む多層押出物シート又はラミネートを形成すること;及び多層押出物シートを剤型に、例えば錠剤、カプレット又は複数の粒子にすることを含む、剤型を製造する方法に関する。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物を1以上の粒子又は剤型にするためのローリングパンチの使用を含み得る。
【0112】
本発明の1つの実施形態のために有用な装置の一例は、2台の粉末供給ホッパー(powder-feeder hoppers)を含み、1台は逆作用薬コア成分を負荷するため及び1台はシェル成分を負荷するためである。コア成分は、逆作用薬及び疎水性マトリックス材料、及び場合により、上述したような付加的な遅延剤、結合剤、可塑剤、加工助剤及び賦形剤を含むがこれらに限定されない付加的な物質を含有し得る。シェル成分は、作用薬及び疎水性マトリックス材料、及び場合により、上述したような遅延剤、結合剤、可塑剤、加工助剤及び賦形剤を含むがこれらに限定されない付加的な物質を含有する。各々のホッパーの内容物を押出機に負荷する。各々の押出機の出口は、共押出工程において使用するように大きさを決め、寸法を合わせて設計された共押出金型口に連結され(全ての押出機が同じ共押出金型に連結される)、それによってコア中に逆作用薬及びシェル中に作用薬を含有する、多層押出物シート又はラミネートを形成する。ある実施形態では、多層押出物シートは、シェルがコアの上部と底部を覆うように設計される。その後多層押出物シートは剤型に成形される。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物シートを粒子又は剤型にするためのローリングパンチの使用を含む。
【0113】
もう1つの実施形態では、本発明はさらに、逆作用薬と疎水性マトリックス材料を含有するコア製剤を第一押出機に充填すること;疎水性マトリックス材料を含有するシース製剤を第二押出機に充填すること;及び作用薬と疎水性材料を含有するシェル製剤を第三押出機に充填すること;第一、第二及び第三押出機において前記製剤を加熱し、押出すること;製剤を、多層金型を通して共押出して、多層押出物シート又はラミネートを形成すること;及び多層押出物シートを、逆作用薬を含有するコア;コアを少なくとも部分的に覆うシース;及びシースを少なくとも部分的に覆う、作用薬を含有するシェルを含む剤型又は粒子にすることを含む、剤型を製造する方法に関する。
【0114】
本発明のこの実施形態のために有用な装置の一例は、3台の粉末供給ホッパーを含み、1台はコア成分を負荷するため、1台はシース成分を負荷するため及び1台はシェル成分を負荷するためである。コア成分は、逆作用薬及び疎水性マトリックス材料、及び場合により、上述したような付加的な遅延剤、結合剤、可塑剤、加工助剤及び賦形剤を含むがこれらに限定されない付加的な物質を含有し得る。シース成分は、疎水性マトリックス材料及び上述したような付加的な遅延剤、結合剤、可塑剤及び賦形剤を含むがこれらに限定されない付加的な物質を含有し得る。また、上述したように、シース成分は作用薬及び/又は逆作用薬を含有し得る。シェル成分は、作用薬及び疎水性マトリックス材料、及び場合により、上述したような遅延剤、結合剤、可塑剤、加工助剤及び賦形剤を含むがこれらに限定されない付加的な物質を含有し得る。各々のホッパーの内容物を押出機に負荷する。各々の押出機の出口は、多層シート又はラミネートの共押出において使用するように大きさを決め、寸法を合わせて設計された共押出金型口に連結され(全ての押出機が同じ共押出金型に連結される)、それによって、コア中に逆作用薬;コアを少なくとも部分的に取り囲む、例えば少なくともコアの上部と底部を取り囲むシース;及びシースを少なくとも部分的に覆う、例えば少なくともシースの上部と底部を覆う、作用薬を含有するシェルを含む、多層押出物シート又はラミネートを形成する。1つの実施形態では、前記方法は、多層押出物シートを粒子又は剤型にするためのローリングパンチの使用を含む。
【0115】
組成物及び剤型を共押出するために使用する押出機の設計及び設定の詳細は、本発明にとって決定的に重要ではない。本明細書に示す押出機の詳細は例示である。各々の押出機は、例えば単軸又はニ軸スクリューと加熱バレルを備え得る。各々のスクリュー押出機は、独立して、(i)逆方向回転(すなわち反対方向の回転で駆動される)非かみ合い型;(ii)同方向回転(すなわち同方向の回転で駆動される)非かみ合い型;(iii)逆方向回転かみ合い型;又は(iv)同方向回転かみ合い型、又はそれらの何らかの組合せであり得る。各々の押出機は、独立して、その架構(ハウジング)の先端に位置する単一排出口又は放射状排出口を有し得る。各々のスクリュー押出機は、独立して、スクリューの各先端の駆動手段又は1つの先端にだけ存在する駆動手段を有し得る。各々のスクリュー押出機は、独立して、5〜70、好ましくは20〜60の長さ対直径、又はL/D比を有し得る。当業者はそのような装置、例えば真空付属物を有するLeistritz二軸スクリュー押出機、Leistritz Micro 18/GL 40D二軸スクリュー押出機、又はWarner & Pfleiderer ZSK−30型二軸スクリュー押出機に精通している。
【0116】
各々の押出機の各々個別に調節可能なバレル区域の温度は、所与の製剤のために必要な温度に設定し、押出機を、典型的には約30分間、熱平衡させることができる。二軸スクリュー押出機の内圧は、マイナス約600〜約980ミリバールに維持することができる。
【0117】
定常状態温度に達した後、各々の粉末供給ホッパーの内容物を別々の予備加熱した押出機に供給し、それによって各々の押出機内で、かみ合い型スクリュー及び混練機によって一連の区域を通って駆動されながら、加熱及び混合を通して、典型的には約30℃〜約200℃の温度、好ましくは約50℃〜約150℃の緊密に混合された溶融塊を形成する。場合により、空気流通口が押出機内に存在し得る。液体成分を、粉末製剤とは独立して、溶融塊に添加することを所望する場合は、何らかの公知の手段によって、例えば容積移送式ポンプ、例えば歯車ポンプによって供給される注入口によって、液体を押出機内に注入することができる。
【0118】
各々の押出機を出てくる溶融塊は、場合により結合ブロック及び/又は主ゲートアダプターの下流にある共押出金型口に連結され、次に金型口を通過して、それによって逆作用薬コア;場合により、コアを少なくとも部分的に取り囲むシース;及びコア、又は存在する場合はシースを少なくとも部分的に覆うシェルを含む、多層押出物シート又はラミネートを形成する。一般に、各々の押出機の回転速度(rpm)は、それらの結合産出量が、金型出口で、約1〜約20kg/時又はそれ以上、例えば約6〜約8kg/時であるように調節される。各々の押出機の回転速度は、各々の押出機の産出量が、コア対シェル及び、場合によりシースの所望比率を生じるように調節することができるパラメータの1つである。
【0119】
金型口の寸法及び/又は横断面形状は、生じる多層シートの厚さ及び形状を変化させるように調節することができる。例えば金型口は長方形横断面形状に限定されず、台形特徴(すなわち押出物の上部の幅が押出物の底部の幅より小さい場合、又はその逆の場合)を有し得るか;多層シート又はラミネートの幅及び/又は厚さに関連してある程度の屈曲を有し得るか(すなわち厚みが押出物の幅に沿って変化するように、上部及び/又は底部側面が凹型及び/又は凸状屈曲を有し得る;1つの実施形態では、金型口開口部は非常に扁平な卵形を有する);又はそれらの何らかの組合せを有し得る。例えば円形横断面を有する口は、約0.1mm〜約50mm、あるいは約0.5mm〜約20mm、例えば約1mm−約10mmの直径を有する多層シート又はラミネートを提供するように調節することができる。
【0120】
共押出工程から生産される多層押出物シート又はラミネートは、その後金型口から離れて運搬され、当業者に公知の方法によって、例えば扇冷却トンネル又はその上で多層押出物シートが冷却時に凝固する、堅くなる又は硬化する連続移動ベルトを使用して、凝固される。多層押出物シートは、押出された多層押出物シートを、ローリングパンチ装置を用いて又は当技術分野で公知の何らかの方法によって剤型、例えば複数の粒子にするために適切な装置に送られる。多層押出物シートを剤型にすることは、凝固/硬化の前、凝固/硬化の間又は凝固/硬化の後に実施することができる。
【0121】
好ましい実施形態では、共押出工程から生じる多層押出物シートを部分的に冷却して凝固させ、次に、図2に示すように、多層押出物をローリングパンチによってカレンダー切断する。装置、例えば成形圧延機、ピンチ装置、ベルト及びローラー又は牽引ローラーを使用することにより、鋳造可能な共押出物を錠剤に成形するための他の方法は公知である(例えば米国特許第6,120,802号及び同第5,073,379号参照)。
【0122】
1つの実施形態では、共押出された多層押出物を切断するか、挟むか又は圧着して、多数の錠剤又は微粒子、例えば逆作用薬含有コアがシース層及びシェル層によって実質的に又は完全に包まれている、図1に示すものを形成する。好ましい実施形態では、ローリングパンチ装置の作用は、シースがコアを実質的に又は完全に取り囲み、シェルがシースを実質的に又は完全に取り囲むように、シェル及びシース層を圧着する又は挟む。いかなる場合も、コア及びシースの組成は、隔離された逆作用薬のインビボ放出の速度を制限する又は妨げるように然るべく製剤すべきである。
【0123】
加えて、錠剤又は粒子は、共押出多層シート又はラミネートから錠剤又は微粒子を生産する方法に依存して、所望サイズ範囲内のいかなる幾何学的形状でも、例えばビーズ、シード、ペレット等であり得ることを理解すべきである。例えば経口投与剤型を所望する場合は、形状は、球状、楕円体、円柱状、変形円柱状(例えば上部及び/又は底部が屈曲している円柱状側面を有する;側面はある程度屈曲しており、実質的に扁平な上部及び/又は底部を有する、又はそれらの組合せ)、卵型、楕円形等、又はそれらの何らかの組合せを含み得るが、これらに限定されず、「円柱状」は、円形横断面だけでなく以下の横断面の1以上を含み得る:角が少なくとも部分的に丸くなった形状を含む、三角形、四角形、菱形、ダイアモンド形、台形、五角形、六角形、八角形、星形(例えば3、4、5、6又はそれ以上の点を有する)、又はそれらの何らかの組合せ。1つの実施形態では、形成される微粒子は、約0.1mm〜約3.0mmの寸法(高さ、長さ及び幅)を有する楕円体であり得る。もう1つの実施形態では、形成される微粒子は、類似の寸法を有する円柱状であり得る。1つの実施形態では、錠剤又は粒子は六角形であり得る。押出可能シートからの六角形錠剤又は粒子の生成は、例えば丸い錠剤又は粒子に比べて、廃棄物の低減を可能にし得る。
【0124】
コア、選択的なシース及びシェルの組成及び寸法は、作用薬の所望放出速度を達成するため及び逆作用薬を適切に隔離するために変化させ得ることは製薬押出の当業者には明白である。例えば共押出金型出口寸法を変えることにより、コア、シース及びシェルの厚さを変化させ得る。1つの実施形態では、コア、選択的なシース及びシェルの厚さは、約5.0mm以下、もう1つの実施形態では約3.0mm以下の最大寸法を有する粒子を提供するように調節することができる。ある実施形態では、コア、シース及びシェルの厚さは約0.05mm〜約3.0mm、もう1つの実施形態では約0.2mm〜約1.0mmである。シースの所望の厚さは、例えば疎水性マトリックス材料の溶解速度及びコアの厚さによって決定され得る。1つの実施形態では、シースの厚さは約0.05mm〜約3.0mm、もう1つの実施形態では約0.1mm〜約1.0mmである。シェルの厚さは、例えばシェル組成及び作用薬の所望放出速度に基づいて、調節することができる。1つの実施形態では、シェルの厚さは約0.05mm〜約3.0mm、もう1つの実施形態では約0.1mm〜約1.0mmである。1つの実施形態では、剤型は、いずれの寸法においても約0.1mm〜約3.0mmの範囲の大きさを有する複数の粒子を含み得る。
【0125】
1つの実施形態では、剤型は複数のMEMを含む。場合により、切断及び/又はパンチ後、例えば#16 TBC(約0.054”)及び#26 TBC(約0.031”)オープニングスクリーンを使用して、粒子を分離器に通して、収集することができる。1つの実施形態では、粒子を患者への経口投与のための硬又は軟ゼラチンカプセルに入れる。
【0126】
図1a、1b及び1cは、本発明の共押出粒子の3つの実施形態の透視図を示す。図1a、1b及び1cの各々において、コア3は逆作用薬と疎水性材料を含有する。図1aにおいて、疎水性材料を含有するシース2は、コア3を完全に覆って取り囲む。シェル1は、作用薬と疎水性材料を含有し、シース2を完全に覆って取り囲む。
【0127】
図1bに示す実施形態では、シース2は上方シース成分2aと下方シース成分2bを含む。シース2はコア3の上部と底部を取り囲むが、小量のコア3を粒子の側面に沿って露出されたまま残す。同様に、シェル1は、上方シェル成分1aと下方シェル成分1bを含む。シェル1はシース2の上部と底部を取り囲み、シース2及び/又はコア3の小さな部分を粒子の側面に沿って露出されたまま残す。
【0128】
図1cでは、シース2は、コア3の上部と底部を取り囲み、コア3の小さな部分を側面に沿って露出されたまま残す、上方シース成分2aと下方シース成分2bを含む。この実施形態では、シェル1はシース2とコア3の両方を完全に覆って取り囲む。
【0129】
図2は、多層押出物を複数の粒子にするためのローリングパンチの使用を含む、本発明の剤型を形成する1つの方法の非限定的な例を示す。図2に例示するように、共押出多層押出物シート16が共押出金型から出てくる。多層押出物は、逆作用薬を含有するコア3、疎水性材料を含有するシース2及び作用薬を含有するシェル1を含む。多層押出物16は共押出金型出口からローリングパンチ10へと運搬され、ローリングパンチ10は多層押出物16を複数の粒子14にする。ある実施形態では、シェルとシースをローリングパンチによって挟むか又は圧着してコアを実質的に被包し、それによって楕円体形状の多層粒子を生成する。多層押出物が単純に切断されるか又は不完全に挟まれて圧着される場合を含むがこれに限定されない、ある実施形態では、コア及び/又はシースの露出領域、例えば剤型又は粒子の側面又は縁が存在し得る。

投与方法
【0130】
本発明はまた、治療の必要のある患者に本発明の剤型を投与することを含む、患者の病状を治療するための方法を対象とする。剤型は、例えば経口投与剤型、例えば錠剤又はカプセル、あるいは直腸又は膣投与剤型、例えば坐薬であり得る。1つの実施形態では、病状は疼痛であり、剤型は、オピオイド及び隔離されたオピオイドアンタゴニストを含有する。ある実施形態では、剤型を1日2回患者に投与し、他の実施形態では1日1回投与する。

投与単位当たりの量
【0131】
本発明の剤型では、投与単位当たりの作用薬の量は、その特定適応症のための有効量であり、逆作用薬の量とは無関係である。例えば治療薬がオピオイドアゴニストである場合は、本発明の剤型中のオピオイドアゴニストの量は、一般に約1mg〜約800mg;1つの実施形態では約5mg〜約160mgである。当業者は、過度の実験を必要とせずに、特定適応症のために必要な治療薬の量を容易に決定することができる。
【0132】
本発明の剤型中の逆作用薬の量は、不正使用されたとき、実質的な量の逆作用薬が直ちに剤型から放出され、動物の血液中に吸収された場合に、逆作用薬が意図する逆作用を与えることができる量である。剤型が不正使用された場合に、逆作用薬が作用薬の薬理作用の1以上、例えば陶酔作用を低減又は排除することを意図するとき、剤型中の逆作用薬の量は、少なくとも、不正使用が起こった後、両方の薬剤が剤型から実質的に又は完全に放出されて動物の血液中に吸収されたとき、作用薬の作用を低減又は排除するのに十分である。
【0133】
逆作用薬がオピオイドアンタゴニスト、例えばナルトレキソン又はナルメフェンであるとき、本発明の剤型中に存在するオピオイドアンタゴニストの量は約0.5mg〜約50mgであり得る。オピオイドアンタゴニストのシクラゾシン及びナルトレキソンは、経口投与したとき、24時間に近い長い作用期間で、それらの効果の多くを保持する。これらのオピオイドアンタゴニストの約10mg以下の量が、本発明の経口製剤において典型的に使用される。
【0134】
不正使用された場合、逆作用薬が望ましくない生理的反応、例えば嘔吐を引き起こすことを意図するとき、剤型中の逆作用薬の量は、少なくとも、不正使用が起こった後、放出時にそのような作用を引き起こすのに十分である。
【0135】
安全性の理由から、剤型中に存在する逆作用薬の量は、全部が直ちに放出された場合でもヒトに対する有害性を伴わずに意図される逆作用を惹起すべきである。
【0136】
本発明のある実施形態では、剤型中の治療薬対逆作用薬の比率は、重量比で約1:1〜約50:1、1つの実施形態では重量比で約1:1〜約20:1であり得る。他のある実施形態では、前記比率は、重量比で約1:1〜約10:1であり得る。
【0137】
オピオイドアゴニストがヒドロコドンである非限定的な実施形態では、制御放出剤型は、投与単位当たりヒドロコドン約5mg〜約80mgの鎮痛用量を含有し得る。オピオイドアゴニストがヒドロモルフォンである非限定的実施形態では、投与単位当たり塩酸ヒドロモルフォン約2mg〜約64mgの量で含有され得る。オピオイドアゴニストがモルフィンである非限定的実施形態では、投与単位当たりモルフィン約2.5mg〜約800mgが剤型中に存在し得る。オピオイドアゴニストがオキシコドンである非限定的実施形態では、剤型は、投与単位当たりオキシコドン約2.5mg〜約160mg、もう1つの実施形態では、オキシコドン約20mg〜約30mgを含有し得る。制御放出オキシコドン製剤は当技術分野において公知である。非限定的実施形態では、オピオイドアゴニストは、投与単位当たりトラマドール約25mg〜800mgの量のトラマドールであり得る。剤型は1以上のオピオイドアゴニストを含有することができ、各々の用量は適宜に調節され得る。
【0138】
「単位用量」という用語は、本発明の目的に関して、作用薬(例えばオピオイドアゴニスト)の単回所望用量を患者に投与するために必要な剤型の総量と定義される。

膣又は直腸投与のための方法
【0139】
上述したように、本発明はまた、作用薬及び隔離することができる逆作用薬を含有する剤型の、膣又は直腸を通した吸収のための坐薬の形態での、その必要のある患者への投与を対象とする。坐薬として投与するとき、組成物は、好ましくは坐薬基材を含む。微粒子を溶解しないことを条件として、いかなる坐薬基剤も使用できる。例えばココアバターは伝統的な坐薬基材であり、その融点を上昇させるためにロウを添加することによって改変し得る。1以上の水混和性坐薬基材、例えば様々な分子量のポリエチレングリコールを含有し得る。坐薬として投与したとき、坐薬製剤中の第一及び第二の複数粒子の合計濃度は、典型的には組成物の約5重量%〜約80重量%である。

キット
【0140】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの剤型を含むキットを対象とする。1つの実施形態では、剤型は容器、例えばビン又は箱の中に存在する。もう1つの実施形態では、キットは、例えば疼痛のために、患者を治療するための剤型の使用を指示する指示書のセットをさらに含む。1つの実施形態では、指示書は、容器に貼付された印刷ラベルであるか又は容器上に印刷され得る。もう1つの実施形態では、指示書は、容器中又は容器を含む包装中に挿入された印刷紙を含み得る。指示書はまた、剤型及び/又はその使用が剤型の乱用、誤用又は転用を低減するように設計されていることを言明し得る。

実施例
【0141】
以下の実施例は本発明の理解を助けるために提示するものであり、本明細書に説明し、特許請求する本発明を特に限定すると解釈されるべきではない。当業者の範囲内である、現在公知の又は今後開発される全ての等価物の置換、及び製剤の変更若しくは実験計画の小さな変更を含む、本発明の変形例は、本発明の範囲内に属するとみなされる。
【実施例1】
【0142】
溶融共押出によるオピオイドアゴニスト及び隔離されたオピオイドアンタゴニストを含有する粒子の製造
実施例1は、オピオイドアンタゴニストを含有するコア、シース、及びオピオイドアゴニストを含有するシェルを含む粒子の溶融共押出による製造に適するはずである工程の机上の実施例を説明する。作用薬は塩酸ヒドロモルフォンであり、隔離されたオピオイドアンタゴニストは塩酸ナルトレキソンである。コアの上部と底部は、いかなるヒドロモルフォン又はナルトレキソンも含まないシースによって覆われる。コア押出機、シース押出機及びシェル押出機への供給材料の製剤を表1に示す。
【0143】
【表1】

【0144】
実施例1の多層粒子は、コア、シース及びシェルのための製剤成分を3つの別々の押出機に充填することによって製造できる。例えば各々の製剤を、真空付属物を有するLeistritz二軸スクリュー押出機の粉末供給ホッパーに充填することができる。各々の押出機は、二軸スクリューと多区域加熱バレルを備え得る。各々の押出機では、初期区域、中間及び最終区域を約30℃〜約150℃の標的温度に維持することができる。各々の押出機を約30分間熱平衡させることができる。各々の二軸スクリュー押出機の内圧は、マイナス約600〜約980ミリバールに維持することができる。各押出機バレルの入口はそれぞれの粉末供給ホッパーの出口先端に連結している。別々のコア、シース及びシェル押出機バレルの出口を、多層押出物シート又はラミネートを形成するために共押出金型の適切な引入れ口に連結することができる。各々の押出機の回転速度は、金型口で、所望結合産出量を生産するためのレベル、例えば約5〜15kg/時に設定することができる。それぞれの溶融塊が形成されるまで、製剤を混合しながら加熱することができる。各々の生じた粘性塊を、次に、それぞれの押出共押出バレルを通してそれぞれの共押出金型入口に押し出して、コア、シース及びシェルを含む多層押出物シートを形成することができる。多層押出物シートを、その後、部分的に冷却して凝固したときに連続移動可能なベルト上でローリングパンチ装置へと運搬することができる。1つの実施形態では、部分凝固して硬化した多層シートを、ローリングパンチ装置で、各々約0.1〜約3.0mmの長軸直径、約0.1〜3.0mmの短軸直径及び約0.1〜約3.0mmの厚さを有する六角形粒子にペレット化することができる。これらの粒子においては、コアの平均厚さは約0.05〜約3.0mm、シースの平均厚さは約0.05〜約3.0mm、シェルの平均厚さは約0.05〜約3.0mmとすることができる。
【0145】
インビトロでの剤型の溶解速度はUSPバスケット法を用いて測定することができる。装置はUSP I型バスケット(100rpm)で構成され得る。微粒子剤型を37℃で1時間、擬似胃液(SGF)700mL(酵素なしでpH1.2)と接触させる。その後、微粒子剤型を、試験期間中、擬似腸液(SIF)900mL(酵素なしでpH7.5)と接触させる。HPLCを用いて各々の液体を検定することによって溶解速度を測定する。
【0146】
インビボで放出される逆作用薬の量は、作用薬の薬剤作用に有意の影響を及ぼす量より少なく、また有意の不快な生理的症を惹起する量よりも少ないとみなされる。
【0147】
上記で引用した全ての特許、特許出願、出版物、試験方法、文献及び他の資料は、それらの全体が、全ての目的に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1a、1b及び1cは、本発明の剤型の実施形態の透視図を示す。
【図2】本発明の微粒子を、ローリングパンチを使用して多層シートから製造する、本発明の1つの実施形態を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆作用薬を含有するコア、及び作用薬を含有するシェルを含み、前記シェルが前記コアを少なくとも部分的に取り囲んでなる、共押出剤型。
【請求項2】
前記コアがさらに疎水性物質を含有する、請求項1記載の共押出剤型。
【請求項3】
前記シェルが前記コアの大部分を取り囲んでなる、請求項2記載の共押出剤型。
【請求項4】
前記シェルがさらに疎水性物質を含有する、請求項3記載の共押出剤型。
【請求項5】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、前記逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項1記載の共押出剤型。
【請求項6】
前記剤型が経口投与剤型である、請求項1記載の共押出剤型。
【請求項7】
前記剤型が錠剤又はカプレットである、請求項6記載の共押出剤型。
【請求項8】
前記剤型が複数の粒子を含有するカプセルである、請求項6記載の共押出剤型。
【請求項9】
前記粒子が、全ての寸法において約0.1mm〜約3.0mmの範囲内の大きさである、請求項8記載の共押出剤型。
【請求項10】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、前記逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項9記載の共押出剤型。
【請求項11】
前記剤型が、患者への投与後に前記オピオイドアゴニストの制御放出を提供する、請求項10記載の共押出剤型。
【請求項12】
逆作用薬を含有するコア、
疎水性物質を含有し前記コアの少なくとも一部を取り囲むシース、及び
作用薬を含有し前記シースの少なくとも一部を取り囲むシェル
を含む共押出剤型。
【請求項13】
前記コアがさらに疎水性物質を含有する、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項14】
前記シースが前記コアの大部分を取り囲み、前記シェルが前記シースの大部分を取り囲んでなる、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項15】
前記シェルがさらに疎水性物質を含有する、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項16】
前記疎水性物質が、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、アルキルセルロース、天然及び合成ロウ、水不溶性ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸、水添脂肪、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、炭化水素、炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性ポリマー、並びに上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物から成る群より選択される物質を含む、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項17】
前記疎水性物質がアンモニオメタクリレートコポリマーを含む、請求項16記載の共押出剤型。
【請求項18】
前記剤型が経口投与剤型である、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項19】
前記経口投与剤型が錠剤又はカプレットである、請求項18記載の共押出剤型。
【請求項20】
前記経口投与剤型が複数の粒子を含有するカプセルである、請求項18記載の共押出剤型。
【請求項21】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、前記逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項12記載の共押出剤型。
【請求項22】
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトフォン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項23】
前記オピオイドアゴニストが、モルフィン、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、ジヒドロコデイン、ヒジドロモルフィン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項24】
前記オピオイドアンタゴニストが、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、レバロルファン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項25】
前記オピオイドアンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したもののいずれか2つ又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項26】
前記剤型が、患者への投与後に前記オピオイドアゴニストの制御放出を提供する、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項27】
前記剤型が、患者への投与後にインビボで約0.5mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項28】
前記剤型が、患者への投与後にインビボで約0.05mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項21記載の共押出剤型。
【請求項29】
請求項12記載の共押出剤型を患者に投与することを含み、作用薬がオピオイドアゴニストであり、逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、患者の疼痛を治療するための方法。
【請求項30】
a)作用薬がオピオイドアゴニストであり、逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項13記載の共押出剤型、及び
b)患者の疼痛を治療するための剤型の使用法を指示する印刷されたセットの指示書
を含む、患者の疼痛を治療するためのキット。
【請求項31】
a)逆作用薬を含有するコアと、作用薬を含有し前記コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを共押出することによって多層押出物を形成すること、並びに
b)前記多層押出物から少なくとも1個の粒子を形成すること
を含む、不正使用防止剤型を製造する方法。
【請求項32】
前記剤型が、患者への投与後に前記作用薬の制御放出を提供する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、前記逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトフォン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記オピオイドアゴニストが、モルフィン、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、ジヒドロコデイン、ヒジドロモルフィン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記オピオイドアンタゴニストが、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、レバロルファン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記オピオイドアンタゴニストが、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記剤型が、全ての寸法において約0.1mm〜約3mmの大きさを有する複数の粒子を含有する、請求項31記載の方法。
【請求項39】
複数の粒子をカプセルに入れることをさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記不正使用防止剤型が経口投与剤型である、請求項31記載の方法。
【請求項41】
前記コア及び前記シェルの各々が疎水性物質を含有する、請求項31記載の方法。
【請求項42】
前記疎水性物質が、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、アルキルセルロース、天然及び合成ロウ、水不溶性ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸、水添脂肪、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、炭化水素、炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性ポリマー、並びに上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記疎水性物質がアンモニオメタクリレートコポリマーを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記不正使用防止剤型が、少なくとも約12時間、インビボで前記作用薬の制御放出を提供する、請求項31記載の方法。
【請求項45】
前記不正使用防止剤型が、少なくとも約24時間、インビボで前記作用薬の制御放出を提供する、請求項31記載の方法。
【請求項46】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、逆作用薬がオピオイドアンタゴニストであって、前記不正使用防止剤型が、投与後にインビボで約0.5mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記不正使用防止剤型が、投与後にインビボで約0.05mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
a)逆作用薬及び疎水性物質を含有するコア;
疎水性物質を含有し前記コアを少なくとも部分的に取り囲むシース;及び
作用薬及び疎水性物質を含有し前記シースを少なくとも部分的に取り囲むシェル
を共押出することによって多層押出物を形成すること、
b)ローリングパンチを用いて前記多層押出物から1以上の粒子を形成すること、並びに
c)1以上の粒子を剤型に組み込むこと
を含む、不正使用防止剤型を製造する方法。
【請求項49】
前記剤型が、患者への投与時に作用薬の制御放出を提供する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、前記逆作用薬がオピオイドアンタゴニストである、請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記オピオイドアゴニストが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトフォン、モルフィン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記オピオイドアゴニストが、モルフィン、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルフォン、ジヒドロコデイン、ヒジドロモルフィン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項53】
前記オピオイドアンタゴニストが、シクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、レバロルファン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記オピオイドアンタゴニストが、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、これらの製薬上許容されうる塩、及び上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記粒子が、全ての寸法において約0.1mm〜約3mmの大きさを有する、請求項48記載の方法。
【請求項56】
複数の粒子をカプセルに入れることをさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記不正使用防止剤型が経口投与剤型である、請求項48記載の方法。
【請求項58】
前記疎水性物質が、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、アルキルセルロース、天然及び合成ロウ、水不溶性ロウ、脂肪アルコール、脂肪酸、水添脂肪、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、炭化水素、炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性ポリマー、並びに上記したものの2又はそれ以上の混合物から成る群より選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項48記載の方法。
【請求項59】
前記疎水性物質がアンモニオメタクリレートコポリマーを含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記不正使用防止剤型が、少なくとも約12時間、インビボで前記作用薬の制御放出を提供する、請求項48記載の方法。
【請求項61】
前記不正使用防止剤型が、少なくとも約24時間、インビボで前記作用薬の制御放出を提供する、請求項48記載の方法。
【請求項62】
前記作用薬がオピオイドアゴニストであり、逆作用薬がオピオイドアンタゴニストであって、前記不正使用防止剤型が、投与後にインビボで約0.5mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記不正使用防止剤型が、投与後にインビボで約0.05mg以下のオピオイドアンタゴニストを放出する、請求項62記載の方法。
【請求項64】
請求項48記載の方法により製造された不正使用防止剤型を患者に投与することを含む、患者の病状又はその症状を治療する方法。
【請求項65】
前記病状又は症状が疼痛を含む、請求項64記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−513960(P2007−513960A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543959(P2006−543959)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/041154
【国際公開番号】WO2005/055981
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】