説明

使い捨ておむつ

【課題】ファスニングテープにおける止着部と、該止着部に係合する被着部との係合力が高まった使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】ファスニングテープ120における止着部120aが面ファスナのフック部材からなるとともに、止着部120aと係合する不織布10からなる被着部が裏面シート112の表面に設けられている使い捨ておむつである。不織布10が、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部19及び凹部18を有し、凸部19を構成する該熱伸長性繊維は、その熱伸長率が、凸部19の下部よりも上部の方が高くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファスニングテープを備えた使い捨ておむつの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に、メカニカルテープのオス材を用いて形成されたファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、このファスニングテープを係合させる係合部が、原反不織布にエンボス処理を施してなり、CD方向の2N/25mm荷重時における伸長率が、該原反不織布の75%以下であるものを提案した(特許文献1参照)。この使い捨ておむつには、メカニカルテープのオス材と係合部との係合力が高まり、また毛羽立ちが小さいものとなるという利点がある。更に、おむつの風合いが損なわれることなく、フィット性に優れるという利点もある。
【0003】
このおむつとは別に、前記の係合部が、多数の熱融着性短繊維からなるウエッブに、高温エアーを吹き付けて該繊維同士を高密度に交絡させて熱融着してなるエアスルー不織布からなる使い捨ておむつも知られている(特許文献2参照)。この不織布は、その坪量が17〜50g/m2であり、該不織布の短繊維の繊度が0.5〜8デニールである。このおむつによれば、ファスニングテープのオス部材と係合部との剥離強さが大きくなるとともに、繰り返し止着脱後の剥離強さの低下が抑制されると、同文献には記載されている。
【0004】
近年、使い捨ておむつは、下着のような肌触りが重視されてきており、裏面シートに肌触りのよい不織布を採用することが主流となっている。また、止着システムとしては、特許文献1及び2に記載されているように、ファスニングテープとしてメカニカルテープのオス材を用い、被着部材としては、基材テープ上に多数の繊維をループ状又はアーチ状に編み込んでなるやや硬い編み物や、風合いが良好な不織布を用いることが提案されている。しかしながら、特許文献1及び2の不織布では、係合力を高めるために、不織布強度を高めたり、繊度の太い繊維を使用したりするなどの理由によって、不織布としての肌触りは決してよいものとはいえない。使い捨ておむつの裏面シートとしてこれらの文献に記載の不織布を使用した場合、肌触りの悪さや、硬さに起因する動きに対しての追従性の悪さが課題となる。
【0005】
使い捨ておむつの技術とは別に、本出願人は先に、加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、構成繊維が圧着又は接着されている多数の圧接着部を有するとともに、圧接着部以外の部分において構成繊維どうしの交点が圧接着以外の手段によって接合しており、圧接着部が凹部となっているとともに該凹部間が凸部となっている凹凸形状を少なくとも一方の面に有する立体賦形不織布を提案した(特許文献3参照)。この不織布は、熱伸長性繊維を原料とすることで、特殊な製造方法を用いなくても、三次元的な凹凸形状を有し、また柔軟であり、低坪量でもあるという利点を有する。この不織布は、使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの使い捨て衛生物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シートなどとして好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−335960号公報
【特許文献2】特開2003−180748号公報
【特許文献3】特開2005−350836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ファスニングテープを備えた使い捨ておむつにおいて、面ファスナのフック部材に対する係合力が高く、肌触りが良好で、毛羽立ちが小さく、生産性に優れた、被着部材である不織布を用いてなる肌触りのよい使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状であり、長手方向の一方の端部における左右両側縁から側方にそれぞれ延出したファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、
ファスニングテープにおける止着部が面ファスナのフック部材からなるとともに、該止着部と係合する不織布からなる被着部が裏面シートの表面に設けられており、
不織布が、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部及び凹部を有し、該凸部を構成する繊維は、その熱伸長率が、凸部の下部よりも上部の方が高くなっている使い捨ておむつを提供するものである。
【0009】
また本発明は、着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状である使い捨ておむつであって、
裏面シートの外面に不織布が配されており、該不織布が、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部及び凹部を有し、該凸部を構成する該熱伸長性繊維は、その熱伸長率が、凸部の下部よりも上部の方が高くなっている使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の使い捨ておむつによれば、ファスニングテープにおける止着部と、該止着部に係合する被着部との係合力が高まる。また、繰り返し付け剥がしを行っても、被着部に毛羽立ちが起こりづらく、また係合力の低下が少ない。更に、被着部の肌触りが良好であり、風合いに優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態の装着状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すおむつを展開した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4(a)は、図1に示すおむつに用いられる不織布を示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示す不織布の縦断面の要部拡大図である。
【図5】図5は、図4に示す不織布の製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の使い捨ておむつの一実施形態の装着状態が示されている。図2は、図1に示すおむつを展開した状態であり、図3は図2におけるIII−III線断面図である。
【0013】
図1ないし3に示すおむつ100は、いわゆる展開型(テープ止めタイプ)のものである。おむつ100は、着用者の肌に近い側に位置する表面シート111と、着用者の肌から遠い側に位置する裏面シート112と、両シート111,112間に配置された吸収体113とを有している。展開状態におけるおむつ100は、実質的に縦長の形状となっている。おむつ100はその長手方向の一端側に背側領域Aを有し、他端側に腹側領域Cを有している。また背側領域Aと腹側領域Cとの間に股下領域Bを有している。
【0014】
吸収体113は、おむつ100の背側領域Aから腹側領域Cにわたって延在している。吸収体113は、表面シート111及び裏面シート112によって挟持・固定されている。表面シート111及び裏面シート112は、吸収体113の前後端縁から前後方向にそれぞれ延出してウエストフラップ114,114を形成している。また表面シート111及び裏面シート112は、吸収体113の左右側縁から横方向に延出してレッグフラップ115,115を形成している。
【0015】
レッグフラップ115には、おむつ着用者におむつ100を着用者の足回りにフィットさせるためのレッグ弾性ストランド117が設けられている。レッグ弾性ストランド117はおむつ100の左右両側部に配置され、おむつ100の長手方向に延びている。レッグ弾性ストランド117の一方の端は、おむつ100の背側領域Aと股下領域Bとの境界部付近で終端している。レッグ弾性ストランド117の他方の端は、おむつ100の腹側領域Cと股下領域Bとの境界部付近で終端している。しかし、場合によっては、レッグ弾性ストランド117の端が、背側領域A及び/又は腹側領域Cに位置していることもある。レッグ弾性ストランド117の収縮によって、レッグフラップ115にはギャザーが形成されている。
【0016】
おむつ100の表面シート側における左右両側には一対の立体ガード形成用シート116が配されて、立体ガード118がそれぞれ形成されている。立体ガード118の自由端には立体ガード弾性部材119が配されてギャザーが形成されている。先に述べたレッグ弾性ストランド117は伸長状態で、立体ガード形成用シート116と裏面シート112によって挟持固定されている。
【0017】
おむつ100の背側領域Aにおけるウエストフラップ114の左右両側部には、一対のファスニングテープ120,120が取り付けられている。ファスニングテープ120における表面、すなわちおむつ100における表面シート111と同じ側の面には、該ファスニングテープ120を裏面シート112に止着させるための止着手段120aが設けられている。止着手段120aとしては例えば面ファスナのフック部材が用いられている。
【0018】
おむつ100の背側領域Aにおけるウエストフラップ114のファスニングテープ120,120間には、おむつ100の幅方向へ延びるウエスト弾性ストランド121が伸長状態で配されている。同様に、おむつ100の腹側領域Cにおけるウエストフラップ114にも、おむつ100の幅方向へ延びるウエスト弾性ストランド121が伸長状態で配されている。ウエスト弾性ストランド121は、表面シート111と裏面シート112との間に挟持固定されている。ウエスト弾性ストランド121の収縮によって、ウエストフラップ114にはギャザーが形成されている。
【0019】
おむつ100を構成する各部材の構成材料としては、従来この種のおむつに用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば表面シート111としては各種不織布などの液透過性のシート材を用いることができる。不織布の構成繊維が疎水性の場合には不織布に親水化処理を施すことができる。裏面シート112としては液不透過性又は難透過性のシート材、例えば各種合成樹脂製のシートや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布などを用いることができる。このシートは液不透過性又は難透過性であることに加えて透湿性であることが好ましい。吸収体113としては例えばフラッフパルプと高吸収性ポリマーの粒子との積繊体をティッシュペーパー等で包んだものを用いることができる。立体ガード形成用シート116としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
【0020】
図3に示すように、裏面シート112の表面には不織布10が配されている。裏面シート112と不織布10とは、例えばホットメルト粘着剤の間欠塗布等の手段によって貼り合わされている。不織布10は、裏面シート12の全域に配されており、おむつ100の外面を構成している。これとともに不織布10は、先に述べたファスニングテープ120における止着手段120aである面ファスナのフック部材と係合する被着部としての働きも有する。本発明のおむつは、この不織布に特徴の一つを有している。
【0021】
図4(a)には、不織布10の斜視図が示されている。また図4(b)には、図4(a)に示す不織布の縦断面の要部拡大図が示されている。本実施形態の不織布10は、多層構造をしている。不織布10はその一面(図4(a)における裏面10b)がほぼ平坦となっており、他面(図4(a)における表面10a)が多数の凸部19及び凹部18を有する凹凸形状となっている。つまり立体賦形されたものである。裏面10bは、裏面シート112と対向する面であり、表面10aは、おむつ100の外面を構成する面である。したがって不織布10は、その2つの面10a,10bのうち凸部19及び凹部18を有する側の面である表面10aが、ファスニングテープ120と係合するように、裏面シート112の表面に配されている。凹部18は、不織布10の構成繊維が圧密化され接合されて形成された接合部を含んでいる。接合部の形成手段としては、例えば熱を伴うか又は伴わないエンボス加工、超音波エンボス加工などが挙げられる。一方、凸部19は非接合部となっている。凹部18の厚みは凸部19の厚みよりも小さくなっている。凸部19は、不織布10の表面側(図4(b)における上面側)に向けて隆起した形状になっている。凸部19内は、不織布10の構成繊維で満たされている。凸部19においては、不織布10の構成繊維どうしが、それらの交点において融着している。凸部19において繊維の交点が熱融着していることで、不織布10の表面における毛羽立ちが起こりにくくなる。繊維どうしが熱融着しているか否かは、不織布10を走査型電子顕微鏡観察することで判断する。
【0022】
凹部18は、互いに平行に一方向へ延びる第1の線状部18aを有している。また凹部18は、第1の線状部と交差するように、互いに平行に一方向へ延びる第2の線状部18bを有している。両線状部18a,18bが交差することで、閉じた形状の菱形部が形成される。この菱形部が凸部19となっている。つまり凸部19は、連続した閉じた形状の凹部18によって取り囲まれて形成されている。
【0023】
不織布10における凹部18と凸部19との面積比は、エンボス化率(エンボス面積率、すなわち不織布10全体に対する凹部18の面積の合計の比率)で表され、不織布10の嵩高感や強度、面ファスナとの係合力、毛羽立ち性に影響を与える。これらの観点から、不織布10におけるエンボス化率は、5〜35%、特に10〜25%であることが好ましい。このエンボス化率は、以下の方法によって測定される。まず、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)を用いて不織布10表面の拡大写真を得、この不織布表面の拡大写真にスケールを合わせ、凹部18(すなわちエンボス部分)の寸法を測定し、測定部位の全体面積Qにおける、凹部18の面積の合計Pを算出する。エンボス化率は、計算式(P/Q)×100によって算出することができる。
【0024】
不織布10は、その構成繊維として、加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を含んでいる。ここで言う不織布10とは、おむつ100に組み込まれた状態の不織布のことである。つまり不織布10は、おむつ100に組み込まれた後の状態で、その構成繊維が熱伸長性を有している。また、不織布10は、おむつ100に組み込まれる前の状態(つまり原反不織布の状態)においても、その構成繊維が熱伸長性を有している。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して伸びたりする繊維が挙げられる。熱伸長性繊維を用いて製造された不織布10は、不織布10の製造過程における熱処理により、該繊維の熱伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。また、熱伸長性繊維は、不織布10中において、加熱によって伸長可能な状態で存在している。したがって、不織布10を裏面シート112と貼り合わせる前にこれを加熱することで、それに含まれている熱伸長性繊維が伸長し、不織布10は加熱前に比べてより嵩高感が高まり、被着部としての機能及びおむつ100の外層材としての機能が高まる。具体的には、繊維間距離が増加することに起因して、面ファスナのフック部材が容易に繊維間に入り込めるという有利な効果が奏される。その結果、ファスニングテープ120と不織布10との係合力が高まる。また、嵩高になることに起因して、不織布10の風合いが増す。熱伸長性繊維の詳細については後述する。
【0025】
不織布10において特に好ましく用いられる熱伸長性繊維は、高融点樹脂からなる第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点(後述する融点を持たない樹脂の場合には、軟化点で代用する)を有する低融点樹脂からなる第2樹脂成分とを含み、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維(以下、この繊維を「熱伸長性複合繊維」という)である。熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。また、不織布10は非熱伸長性繊維を含んでいてもよい。特に好ましく用いられる非熱伸長性繊維は、高融点樹脂からなる第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点(後述する融点を持たない樹脂の場合には、軟化点で代用する)を有する低融点樹脂からなる第2樹脂成分とを含み、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維である。該複合繊維における第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。熱伸長性繊維及び非熱伸長性繊維の詳細については後述する。
【0026】
不織布10の各凸部19においては、凸部19の上部19aに位置する繊維と、下部19bに位置する繊維とで、熱伸長率に違いがある。不織布10は、この点に特徴の一つを有する。この特徴は、不織布10がおむつ100に組み込まれた状態、及び不織布10がおむつ100に組み込まれる前の状態(つまり原反不織布の状態)の双方において満たされている。
【0027】
不織布10においては、同じ加熱温度で比較した場合、凸部19を構成する繊維は、凸部19の下部19bに位置するものよりも、上部19aに位置するものの方が、熱伸長率が相対的に高くなっている。つまり、ある温度の熱を加えたときに、凸部10の上部19aに位置する繊維の方が、下部19bに位置する繊維よりも熱伸長の程度が大きい。逆に言えば、凸部10の下部19bに位置する繊維の方が、上部19aに位置する繊維よりも熱伸長の程度が小さい。凸部19に含まれる繊維の熱伸長の程度がこのようになっていることで、不織布10は、表面10a側に位置する繊維が熱伸長しやすいので、不織布10を裏面シート112に貼り合わせる前に、熱風の吹き付けなどの嵩回復のための加工に付して不織布10の被着部としての機能及びおむつ10の外層材としての機能を高めたときに、表面10a側の繊維が熱伸長し、嵩回復性が良好になるという有利な効果が奏される。また嵩回復によって表面10a側の繊維間距離が、裏面10b側の繊維間距離よりも大きくなり、面ファスナのフック部材が容易に繊維間に入り込めるという有利な効果も奏される。その結果、ファスニングテープ120と不織布10との係合力が高まる。不織布10への熱風の吹き付けによる嵩回復については後述する。
【0028】
熱伸長性繊維は、通常の繊維形成性樹脂からなる繊維(熱伸長しないか、あるいは熱収縮する繊維)に比べ、ヤング率が低いことが本発明者らの検討の結果判明した。したがって、不織布10と、ファスニングテープ120の止着部120aである面ファスナのフック部材とが係合している状態で、ファスニングテープ120を引き剥がすとき、不織布10の構成繊維が塑性変形しやすい。その結果、繊維相互間の結合点の破壊が効果的に防止される。このことによって、不織布10に毛羽立ちが起こりづらく、繰り返し付け剥がしを行っても係合力の低下が少なくなる。繊維相互間の結合点の破壊が防止されることは、該結合点の結合強度を高める必要がないことを意味する。このことは、不織布10の風合いの向上に寄与する。更に、繊維のヤング率が低いことは、繊維自体が柔らかいことを意味する。繊維が柔らかいことも不織布10の肌触りの向上に寄与し、不織布10に良好な風合いをもたらす。また、不織布10において、不織布10の凸部19の上部19a側の方が凸部19の下部19b側よりも繊維のヤング率が低いことが、毛羽立ち防止や風合いの点でより好ましい。
【0029】
以上の観点から、不織布10に含まれる熱伸長性繊維は、そのヤング率が0.2〜1GPa、特に0.4〜0.8GPaであることが好ましい。ヤング率をこの範囲に設定するためには、熱伸長性繊維を製造するときの延伸条件(延伸倍率を低くする)、熱伸長性繊維を構成する樹脂の種類、樹脂の配合量(二成分系繊維の場合)等を適切に調整すればよい。ヤング率は次の方法で測定される。
[ヤング率測定方法]
セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。測定環境温度は25℃とする。試料としては、繊維長さが10mm以上の繊維を繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装着し、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷する。その後、240mN/minの条件下で応力−歪み曲線を得た後、歪みが0.1%時における曲線の接線の傾きをヤング率とする。
【0030】
凸部19に含まれる繊維の熱伸長率は、下部19bから上部19aに向けて徐々に高くなっていてもよく、あるいはステップ状に高くなっていてもよい。本発明において、凸部19の上部19aと下部19bとの間には明確な境界があるわけではなく、不織布10の厚さ方向に関する「上部19a」及び「下部19b」は、凸部19における相対的な位置関係を示すものである。
【0031】
上述の効果を一層顕著なものとする観点から、凸部の上部に位置する繊維の少なくとも一種として熱伸長性繊維を用い、該熱伸長性繊維を構成する低融点樹脂の融点+20℃の温度において(融点を持たない樹脂の場合は軟化点+20℃の温度において)、凸部19の上部19aに位置する熱伸長性繊維の熱伸長率が0.5%以上、50%未満、特に0.5%以上、20%未満、とりわけ0.9%以上、10%未満であることが好ましい。一方、凸部19の下部19bに位置する繊維の熱伸長率は、前記の温度において、−50%以上、0.5%未満、特に−20%以上、0.5%未満、とりわけ−10%以上、0.4%未満であることが好ましい。この熱伸長率は、凸部19に含まれている繊維を対象として測定されたものである。熱伸長率の測定方法は後述する。熱伸長率がマイナスの値であることは、繊維が熱によって収縮することを意味する。
【0032】
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を、昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。
【0033】
不織布10の原料となる繊維としては、熱伸長性繊維を用いることができる。以下の説明においては、不織布10に含まれる熱伸長性繊維と、不織布10の原料となる熱伸長性繊維とを区別することを目的として、不織布10の原料となる熱伸長性繊維のことを「熱伸長性原料繊維」と呼ぶ。単に「熱伸長性繊維」と言うときには、不織布10に含まれる熱伸長性繊維を指す。また、不織布10の原料となる繊維としては、熱伸長性原料繊維に加えて、非熱伸長性繊維を用いることができる、以下の説明においては、不織布10に含まれる非熱伸長性繊維と、不織布10の原料となる非熱伸長性繊維とを区別することを目的として、不織布10の原料となる非熱伸長性繊維のことを「非熱伸長性原料繊維」と呼ぶ。単に「非熱伸長性繊維」と言うときには、不織布10に含まれる非熱伸長性繊維を指す。
【0034】
不織布10の原料となる繊維としては、熱伸長性原料繊維と非熱伸長性原料繊維とを組み合わせて用いることが好ましい。この場合には、凸部19の上部19a側が、熱伸長性原料繊維を用いて形成され、凸部19の下部19b側が、非熱伸長性原料繊維を用いて形成されていることが好ましい。両者の配合比率(重量)は、熱伸長性原料繊維:非熱伸長性原料繊維の比で表して、好ましくは95:5〜5:95、更に好ましくは80:20〜20:80、一層好ましくは60:40〜40:60、更に一層好ましくは55:45〜45:55である。不織布10の好ましい製造方法については後述する。
【0035】
不織布10の原料となる繊維としては、熱伸長を開始する温度が異なる2種の熱伸長性原料繊維を用いることもできる。つまり。相対的に高温で伸長する熱伸長性原料繊維(以下、「高温伸長性原料繊維」と言う)と、相対的に低温で伸長する熱伸長性原料繊維(以下、「低温伸長性原料繊維」と言う)とを用いることができる。かかる2種の繊維を用いて製造された不織布10においては、凸部19の上部19a側が、高温伸長性原料繊維を用いて形成され、凸部19の下部19b側が、低温伸長性原料繊維を用いて形成されていることが好ましい。両者の配合比率(重量)は、高温伸長性原料繊維:低温伸長性原料繊維の比で表して、好ましくは95:5〜5:95、更に好ましくは80:20〜20:80、一層好ましくは60:40〜40:60、更に一層好ましくは55:45〜45:55である。
【0036】
不織布10において特に好ましく用いられる熱伸長性原料繊維(低温伸長性原料繊維及び高温伸長性原料繊維を含む)は、高融点樹脂からなる第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有する低融点樹脂からなる第2樹脂成分とからなり、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している2成分系複合繊維(以下、この繊維を「熱伸長性複合原料繊維」という)である。熱伸長性複合原料繊維における第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。
【0037】
熱伸長性複合原料繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合原料繊維は、第2樹脂成分の融点又は軟化点より10℃高い温度での熱伸長率が0.5〜20%、特に3〜20%、とりわけ5〜20%であることが好ましい。このような伸長率の繊維を原料として製造された不織布10は、不織布10の製造過程における該繊維の伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。例えば不織布10の表面の凹凸形状が顕著なものになる。
【0038】
原料繊維の熱伸長率は次の方法で測定される。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、長さが10mm以上の繊維を、繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態で5℃/minの昇温速度で昇温させる。その際の繊維の伸び量を測定し、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点を持たない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での伸び量X(mm)を読み取る。
原料繊維の熱伸長率は、(X/10)×100[%]から算出する。
また、原料繊維の熱伸長を開始する温度は、上式で算出された原料繊維の熱伸長率が1%になった温度とする。
【0039】
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の種類に特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。特に、両樹脂成分の融点差、又は第1樹脂成分の融点と第2樹脂成分の軟化点との差が20℃以上、特に25℃以上であることが、熱融着による不織布10の製造を容易に行い得る点から好ましい。熱伸長性複合原料繊維が芯鞘型である場合には、鞘成分の融点又は軟化点よりも芯成分の融点の方が高い樹脂を用いる。特にポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を芯とし、これらよりも融点の低い樹脂を鞘とする芯鞘型の熱伸長性複合原料繊維を用いることが好ましい。第1樹脂成分と第2樹脂成分との好ましい組み合わせとしては、第1樹脂成分をPPとした場合の第2樹脂成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン(PE)、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、第1樹脂成分としてPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、第2樹脂成分として、前述した第2樹脂成分の例に加え、PP、共重合ポリエステルなどが挙げられる。更に、第1樹脂成分としては、ポリアミド系重合体や前述した第1樹脂成分の2種以上の共重合体も挙げられ、また第2樹脂成分としては前述した第2樹脂成分の2種以上の共重合体なども挙げられる。これらは適宜組み合わされる。
【0040】
2種類の熱伸長性原料繊維を用いる場合には、不織布10の凸部19の上部19a側が、芯がポリエチレンテレフタレートで、鞘がポリエチレンである芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含み、凸部19の下部19b側が、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンである芯鞘型の熱伸長性複合繊維を含むことが、不織布10に熱風を吹き付けたときの不織布10の嵩回復を一層顕著にできる点から好ましい。
【0041】
熱伸長性原料繊維としては、例えば特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報、特開2008−101285号公報等に記載の繊維を用いることができる。
【0042】
熱伸長性原料繊維と非熱伸長性原料繊維とを組み合わせて用いる場合には、非熱伸長性原料繊維として、融点の異なる2成分からなり、かつ延伸処理されてなる、非熱伸長性の熱融着性複合繊維を用いることが好ましい。この熱融着性複合繊維は、熱を付与してもその長さは実質的に伸びない。場合によっては、若干収縮することもある。そして非熱伸長性原料繊維は、第2樹脂成分の融点又は軟化点より20℃高い温度での熱伸長率が−50%〜0.5%、特に−20〜0.4%、とりわけ−10%〜0.1%であることが好ましい。この熱融着性複合繊維は、高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維である。複合繊維の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型など種々の形態があり、いずれの形態でも用いることができる。熱融着性複合繊維は原料の段階で(つまり、不織布10に用いられる前の段階で)、延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、例えば延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。
【0043】
熱伸長性原料繊維及び非熱伸長性原料繊維の繊維長は、不織布10の製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布10を例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。
【0044】
熱伸長性原料繊維は、熱伸長によってその繊維径が小さくなる。したがって、不織布10に含まれる熱伸長性繊維は、一般に、その原料である熱伸長性原料繊維の繊維径よりも小さい繊維径を有している。不織布10に含まれる熱伸長性繊維の繊維径は、不織布10の具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布10を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、不織布10に含まれる熱伸長性繊維の繊維径は、10〜35μm、特に15〜30μm、とりわけ15〜25μmであることが好ましい。熱伸長性原料繊維の繊維径は、不織布10に含まれる熱伸長性繊維の繊維径を考慮して決定される。一方、不織布10に含まれる非熱伸長性繊維の繊維径は、不織布10を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合、10〜35μm、特に15〜30μm、とりわけ15〜25μmであることが好ましい。
【0045】
不織布10は、上述した繊維に加え、例えば、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を付加的に含んでいてもよい。
【0046】
不織布10は、これを例えば不織布10を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合、その坪量が10〜80g/m2、特に15〜60g/m2、とりわけ20〜40g/m2であることが好ましい。同様の用途に用いる場合、不織布10の厚みは、熱風による嵩回復後(これについては後述する)の状態において0.5〜3mm、特に0.7〜3mmであることが好ましい。なお不織布の厚みは、後述する方法で測定した。
【0047】
次に、不織布10の好適な製造方法について図5を参照しながら説明する。図5に示す装置20は、ウエブ製造部30、エンボス加工部40、熱風吹き付け部50を備えている。ウエブ製造部30においては、熱伸長性原料繊維及び必要に応じて非熱伸長性原料繊維を用いてウエブ10aが製造される。熱伸長性原料繊維としては、上述した第1樹脂成分及び第2樹脂成分を含む2成分系の複合繊維が用いられることが好ましい。
【0048】
ウエブ製造部30としては例えば、図示するような2台のカード機31a,31bを用いることができる。不織布10の具体的な用途に応じ、カード機に代えて、他のウエブ製造装置、例えばエアレイド装置を用いることもできる。カード機31aには、熱伸長性原料繊維が供給される。カード機31bには、非熱伸長性原料繊維が供給される。2種類の熱伸長性繊維を用いる場合には、カード機31aには、高温伸長性原料繊維が供給され、カード機31bには、低温伸長性原料繊維が供給される。
【0049】
各カード機によって形成されたウエブは積層されてウエブ10aとなる。ウエブ10aにおいては、熱伸長性原料繊維が上層に位置し、非熱伸長性原料繊維が下層に位置する。2種類の熱伸長性繊維を用いる場合には、高温伸長性原料繊維が上層に位置し、低温伸長性原料繊維が下層に位置する。ウエブ10aの上層に位置する繊維は、製造された不織布10の凸部19における上側19aを主として構成する。ウエブ10aの下層に位置する繊維は、凸部19における下側19bを主として構成する。以下の説明においては、ウエブ10aにおいて、熱伸長性原料繊維(又は高温伸長性原料繊維)が存在する側の表面を第1の面101と呼び、非熱伸長性原料繊維(又は低温伸長性原料繊維)が存在する側の表面を第2の面102と呼ぶこととする。第1の面101は、後述するエンボス加工部40において、パターンロール41と当接する面であり、かつ熱風吹き付け部50において、熱風が吹き付けられる面である。第2の面102は、エンボス加工部40において、フラットロール42と当接する面であり、かつ後述する熱風吹き付け部50において、通気性ネットからなるコンベアベルト52に対向する面である。
【0050】
ウエブ製造部30において製造されたウエブ10aは、その構成繊維どうしが緩く絡合した状態にあり、シートとしての保形性を獲得するにはいたっていない。そこでウエブ10aに、シートとしての保形性を付与するために、該ウエブ10aをエンボス加工部40において処理し、エンボスウエブ10bを形成する。
【0051】
エンボス加工部40は、ウエブ10aを挟んで対向配置された一対のロール41,42を備えている。両ロールは、所定のクリアランスを隔てて離間している。ロール41はその周面に多数の凹凸が形成された金属製のパターンロールからなる。このパターンロールにおける凹凸のパターンは、不織布10の具体的な用途に応じ適切に選択することができる。例えば図4に示す菱形格子状のエンボスパターンを形成する場合には、その菱形格子に対応した形状の凸部を、ロール41の周面に形成すればよい。また、ドット状のエンボスパターン(図示せず)を不織布10に形成したい場合には、そのドットに対応した形状の凸部を、ロール41の周面に形成すればよい。一方、ロール42はその周面が平滑なフラットロールからなる。ロール42は金属製、ゴム製、紙製等である。
【0052】
エンボス加工部40においては、ウエブ10aを両ロール41,42で挟圧してエンボス加工を行う。具体的には、熱を伴うか又は伴わない圧密化によって、ウエブ10aの構成繊維を圧密化して、該ウエブ10aに多数のエンボス部からなる接合部を形成し、エンボスウエブ10bを製造する。本製造方法においてはロール41及びロール42は加熱可能な構造になっている。エンボス加工部40の動作時には、パターンロール41及び/又はフラットロール42が所定温度に加熱されていることが好ましい。
【0053】
エンボス加工部40において、パターンロール41及びフラットロール42の少なくともいずれか一方を加熱する場合、その加熱温度は次のように設定することが好ましい。すなわち、熱伸長性原料繊維と非熱伸長性原料繊維との組み合わせを採用する場合には、熱伸長性原料繊維における第2樹脂成分の融点−20℃以上かつ第1樹脂成分の融点未満とすることが好ましい。高温伸長性原料繊維と低温伸長性原料繊維との組み合わせを採用する場合には、低温伸長性原料繊維における第2樹脂成分の融点−20℃以上かつ第1樹脂成分の融点未満とすることが好ましい。
【0054】
エンボス加工部40よる処理で保形性が付与されたエンボスウエブ10bは、次いで熱風吹き付け部50に搬送される。熱風吹き付け部50は、フード51を備えている。エンボスウエブ10bは、このフード51内を通過する。また、熱風吹き付け部50は、通気性ネットからなるコンベアベルト52を備えている。コンベアベルト52は、フード51内を周回している。エンボスウエブ10bはコンベアベルト52上に載置されて熱風吹き付け部50内を搬送される。コンベアベルト52は、金属や、ポリアミド及びポリエステル等の樹脂から形成されている。
【0055】
熱風吹き付け部50においてはエンボスウエブ10bに対して熱風がエアスルー方式で吹き付けられる。すなわち熱風吹き付け部50は、所定温度に加熱された熱風が、エンボスウエブ10bを貫通するように構成されている。エアスルー加工は、エンボスウエブ10b中の熱伸長性原料繊維(高温伸長性原料繊維及び低温伸長性原料繊維)が加熱によって伸長する温度で行われる。かつ、エンボスウエブ10bにおけるエンボス部以外の部分に存するフリーな状態の熱伸長性原料繊維(高温伸長性原料繊維及び低温伸長性原料繊維)どうしの交点及び非熱伸長性原料繊維どうしが熱融着する温度で行われる。
【0056】
熱風の温度は、次のように設定することが好ましい。すなわち、熱伸長性原料繊維と非熱伸長性原料繊維との組み合わせを採用する場合には、熱伸長性原料繊維が熱伸長する温度とする。また熱伸長性原料繊維どうしが融着し、かつ非熱伸長性原料繊維どうしが融着する温度とする。具体的には、熱風の温度は、熱伸長性原料繊維の第2樹脂成分の融点+5℃以上、かつ第1樹脂成分の融点以下であることが好ましい。特に、第2樹脂成分の融点+10℃以上かつ、第1樹脂成分の融点−10℃以下であることが、強度と風合いの観点から好ましい。この温度の熱風を吹き付けることで、熱伸長性原料繊維が伸長する。一方、非熱伸長性繊維は実質的に伸長せず、元の長さを実質的に保っている。熱伸長性原料繊維はその一部がエンボス部によって固定されているので、伸長するのはエンボス部間の部分である。そして、熱伸長性原料繊維はその一部がエンボス部によって固定されていることによって、伸長した繊維の伸び分は、エンボスウエブ10bの平面方向への行き場を失い、該エンボスウエブ10bの厚み方向へ移動する。これによって、エンボス部間に凸部19が形成され、不織布10が嵩高になる。また、多数の凸部19が形成された立体的な外観を有するようになる。更に、熱伸長性原料繊維どうしの交点が融着し、かつ非熱伸長性原料繊維どうしの交点が融着する。
【0057】
一方、高温伸長性原料繊維と低温伸長性原料繊維との組み合わせを採用する場合には、熱風の温度は、高温伸長性原料繊維及び低温伸長性原料繊維の双方が熱伸長する温度とする。また、高温伸長性原料繊維どうしが融着し、かつ低温伸長性原料繊維どうしが融着する温度とする。具体的には、熱風の温度は、低温伸長性原料繊維の第2樹脂成分の融点+5℃以上、かつ第1樹脂成分の融点以下であることが好ましい。特に、第2樹脂成分の融点+10℃以上かつ、第1樹脂成分の融点−10℃以下であることが、強度と風合いの観点から好ましい。この温度の熱風を吹き付けることで、低温伸長性原料繊維及び高温伸長性原料繊維が伸長する。そして、その伸長に起因して、エンボス部間に凸部19が形成され、不織布10が嵩高になる。また、多数の凸部19が形成された立体的な外観を有するようになる。更に、高温伸長性原料繊維どうしの交点が融着し、かつ低温伸長性原料繊維どうしの交点が融着する。
【0058】
本製造方法における熱風の吹き付けは、熱伸長性原料繊維が完全に伸長しきらないうちに終了させる。これによって、以後の熱処理工程で伸長可能な熱伸長性繊維を含む不織布が得られる。したがって不織布10は、熱伸長性原料繊維を用いて製造されたものであり、かつ熱伸長性繊維を含むものである。
【0059】
熱伸長性原料繊維と非熱伸長性原料繊維との組み合わせを採用した場合には、熱伸長性原料繊維が完全に伸長しきらないうちに熱風の吹き付けを終了させるので、更に熱処理を行ったときに、該熱伸長性原料繊維は更に伸長することができる。一方、非熱伸長性原料繊維は、更に熱処理を行っても実質的に伸長しない。この理由によって、得られた不織布10においては、凸部19を構成する繊維は、同温度で測定された熱伸長率が、凸部19の下部19bよりも上部19cの方が高くなる。
【0060】
高温伸長性原料繊維と低温伸長性原料繊維との組み合わせを採用した場合には、低温伸長性原料繊維の方が、伸長を開始する温度が低い分だけ、高温伸長性原料繊維よりも伸長の程度が大きくなる。その結果、更に熱処理を行うときには、低温伸長性原料繊維の方が、熱伸長の伸びしろが小さいので、熱伸長率が相対的に低くなる。逆に言えば、更に熱処理を行うときには、高温伸長性原料繊維の方が、熱伸長の伸びしろが大きいので、伸長率が相対的に高くなる。この理由によって、得られた不織布10においては、凸部19を構成する繊維は、同温度で測定された熱伸長率が、凸部19の下部19bよりも上部19aの方が高くなる。
【0061】
このようにして得られた不織布10は、一般にロール状に巻回された状態で保存されている。このことに起因して不織布10は、その嵩高さが減じられている場合が多い、そこで不織布10を裏面シート112に貼り付けておむつ100を製造するときには、該不織布10にエアスルー方式で熱風を吹き付けて、減じられた嵩を回復させて不織布10の被着部としての機能及びおむつ10の外層材としての機能を高めることが好ましい。嵩の回復においては、不織布10に吹き付ける熱風として、熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分の融点未満で、かつ該融点−50℃以上の温度の熱風を用いることが好ましい。2種類の熱伸長性原料繊維を用いた場合には、低温伸長性原料繊維における第1樹脂成分の融点未満で、かつ該融点−50℃以上の温度の熱風を用いることが好ましい。このような不織布の嵩回復方法としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−137655号公報、特開2007−177364号公報及び特開2008−231609号公報等に記載の技術を用いることができる。
【0062】
熱風の吹き付けによる嵩回復で、不織布10に含まれる熱伸長性繊維が伸長する。この場合、熱伸長性繊維は熱風の吹き付けによって完全には伸びきらず、熱風の吹き付け後においても、熱伸長性を保っている。したがって、嵩回復後、裏面シート112に貼り付けられた状態での不織布10における凸部19を構成する熱伸長性繊維は、その熱伸長率が、凸部19の下部よりも上部の方が依然として高い状態になっている。
【0063】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態における不織布10の凹部は、菱形格子状をなす形状をしていたが、これに代えて散点状に分散配置されたドット状の凹部を採用してもよい。また正方形若しくは長方形の格子状や、亀甲模様をなす形状を採用してもよい。
【0064】
また前記実施形態においては、接合部(凹部18)の形成に熱エンボス加工を用いたが、これに代えて超音波エンボス加工によって接合部を形成することもできる。また、不織布10は多層の構造のものに限られず、単層構造であってもよい。更に、不織布10の裏面10b側に他の不織布を更に積層してもよい。
【0065】
また前記実施形態の不織布10は、その2つの面のうちの一方の面が、凹凸になっており、他方の面が平坦になっていたが、これに代えて、各面とも凹凸になっていてもよい。
【0066】
また前記実施形態においては、不織布10における表面10aがおむつ100の外面を構成し、裏面10bが裏面シート112と対向していたが、これに代えて、不織布10の表面10aを裏面シート112と対向させてもよい。
【0067】
また前記実施形態においては、不織布10が裏面シート112の全域を被覆するように配されていたが、これに代えて面ファスナのフック部材からなる止着部が係合する位置にのみ不織布10を配してもよい。
【0068】
また前記実施形態においては、不織布10を、面ファスナのフック部材からなる止着部に対する被着部として用いたが、これに代えて、不織布10を被着部としては用いず、おむつ100の外面を構成する風合いの良好なシートとして用いてもよい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0070】
〔実施例1〕
図5に示す装置を用い、図4に示す多層の不織布10を製造した。図5に示す装置におけるパターンロール41は、線の幅が0.8mmである菱形格子状の凸部を有するものであった。この不織布10におけるエンボス化率は23%であった。熱伸長性原料繊維として、表1に示す芯がポリプロピレン(融点161℃)で、鞘がポリエチレン(融点126℃)からなる熱伸長性原料繊維(繊度4dtex、熱伸長率7.9%)を用い坪量20g/m2の第1のカードウエブを製造した。これとは別に、表1に示す非熱伸長性原料繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート(融点250℃)で、鞘がポリエチレン(融点126℃)からなる熱融着性複合繊維(4dtex、熱伸長率−1.3%)を用い、坪量20g/m2の第2のカードウエブを製造した。第2のカードウエブ上に第1のカードウエブを重ね、この積層ウエブを図5に示す装置に供給して不織布(坪量40g/m2)を製造した。製造条件は表1に示すとおりである。このとき、第1のカードウエブの表面に凹凸が形成され、第2のカードウエブの表面は平坦になるように、積層ウエブを図5に示す装置に供給した。得られた不織布においては、熱伸長性繊維どうしの交点が融着していた。得られた不織布をロール状に巻回して保存した。
【0071】
次に、図1ないし3に示す使い捨ておむつを製造した。まず、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、加工速度150m/分、熱風温度115℃、風速2.0m/分、処理時間0.3秒、とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、おむつの裏面シートとしての透湿性防漏シート(ポリエチレンと炭酸カルシウムを主成分とする延伸処理されたシート、坪量20g/m2)と、その全域において貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。また、おむつの表面シートとして親水化処理されたエアスルー不織布(坪量25g/m2)を用いた。吸収体としては、解繊したパルプと高吸収性樹脂を混合積繊し、台紙で包んだ吸収体を用いた。ファスニングテープとしては、スパンボンド不織布(坪量80g/m2)を基材とするシートに、面ファスナのフック部材(きのこ形状、フック密度256個/cm2、フック高さ0.15mm)を取り付けたものを用いた。その他の部材としては、当該技術分野において公知の材料を用いて使い捨ておむつを得た。
【0072】
〔比較例1〕
実施例1で用いた不織布に代えて、表1に示す繊維を用いて以下の方法で不織布を製造する以外は実施例1と同様にして不織布を得、以下の方法でおむつを製造する以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
芯がポリプロピレンで、鞘が低融点ポリプロピレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度9dtex、熱伸長率−1.0%)を用い、坪量25g/m2の第1のカードウエブを製造した。これとは別に、芯がポリプロピレンで、鞘が低融点ポリプロピレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度3.3dtex、熱伸長率−1.0%)を用い、坪量15g/m2の第2のカードウエブを製造した。第2のカードウエブ上に第1のカードウエブを重ね、この積層ウエブを図5に示す装置に供給して不織布を製造した。製造条件は表1に示すとおりである。このとき、第1のカードウエブの表面に凹凸が形成され、第2のカードウエブの表面は平坦になるように、積層ウエブを図5に示す装置に供給した。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。その後、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、実施例1と同様とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、実施例1で用いた裏面シートと同様のシートに貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
【0073】
〔比較例2〕
実施例1で用いた不織布に代えて、表1に示す繊維を用いて以下の方法で不織布を製造する以外は実施例1と同様にして不織布を得、以下の方法でおむつを製造する以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型熱融着性複合繊維(繊度3.3dtex、熱伸長率−0.5%)を用い、表1に示す条件で不織布(坪量40g/m2)を得た。得られた不織布を、ロール状に巻回して保存した。その後、不織布をロールから繰り出し、エアスルー方式による熱風の吹き付けで、嵩回復及び繊維の伸長処理を行った。熱風の吹き付け条件は、実施例1と同様とした。熱風の吹き付け後の不織布における繊維の熱伸長率、繊度、ヤング率及び厚み(49Pa荷重下)は表1に示すとおりであった。次いで不織布を、実施例1で用いた裏面シートと同様のシートに貼り合わせた。貼り合わせにおいては、不織布における平坦な面(図4における裏面10b)が裏面シートと対向するようにした。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
【0074】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた使い捨ておむつについて、ファスニングテープとおむつ外面との剥離力(初期、繰り返し後)を以下の方法で測定した。またおむつ外面の毛羽立ち防止性(初期、繰り返し後)を以下の方法で評価した。更に、おむつ外面の肌触りを以下の方法で評価した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0075】
〔ファスニングテープとおむつ外面との剥離力(初期、繰り返し後)〕
作製した使い捨ておむつより面ファスナを取り付けたファスニングテープを切り取り、おむつ装着時と同様の付け方となる様に、裏面シート上の不織布に静置する。このとき使い捨ておむつは裏面側を上面として、拡げた状態で平らに作業台上に置く。次いで、不織布上に置かれた面ファスナの上を、1kgのローラーを1往復させて、面ファスナを不織布に圧着させる。ファスナ端部と不織布(使い捨ておむつ)を掴んで、引張試験機によって引張り、面ファスナが不織布より剥離するのに要する力を測定した。引張速度は300mm/分、n=10で行い、その時の最大点の平均値を初期の剥離力とする。
繰り返し付け剥がし後の剥離力は、上記作業を同じ部材で同じ場所に繰り返し10回行い、最後の10回目の測定値を繰り返し後の剥離力とする。
【0076】
〔おむつ外面の毛羽立ち防止性(初期、繰り返し後)〕
毛羽立ちについては、前記剥離力評価後の不織布の表面を、10人のモニターに目視させ、以下の判断基準によって評価させた。
◎:毛羽立ちなし
○:毛羽立ちが僅かにあるが明確ではない
△:毛羽立ちがある
×:毛羽立ちが多い
【0077】
〔おむつ外面の肌触り〕
評価は、おむつ外面を手のひらでの触感で、以下の4段階の基準により判定した。結果は、10人のモニターを対象として実施し、その平均で示した。
判定基準
4:柔らかく、なめらかな感じがある
3:やや柔らかい。なめらかな感じが少しある。
2:やや硬い。抵抗感(ざらざら感)が少しある。
1:硬い。抵抗感(ざらざら感)がある。
評価結果
◎:判定平均3.5以上、4以下
○:判定平均2.7以上、3.5未満
△:判定平均1.7以上、2.7未満
×:判定平均1以上、1.7未満
【0078】
【表1】

【0079】
表1に示す結果から明らかなように、実施例のおむつにおいては、ファスニングテープとおむつ外面との剥離力が、初期及び繰り返し後のいずれにおいても、比較例よりも高いことが判る。特に繰り返し後の剥離力の低下が防止されていることが判る。また、実施例のおむつにおいては、おむつ外面の毛羽立ち防止性が、初期及び繰り返し後のいずれにおいても、比較例よりも優れていることが判る。特に繰り返し後の毛羽立ち防止性の低下が防止されていることが判る。更に実施例のおむつは、おむつ外面の肌触りが比較例よりも優れていることが判る。
【符号の説明】
【0080】
10 不織布
18 凹部
19 凸部
20 製造装置
30 ウエブ製造部
40 エンボス加工部
50 熱風吹き付け部
110 使い捨ておむつ
111 表面シート
112 裏面シート
113 吸収体
114 ウエストフラップ
115 レッグフラップ
116 立体ガード形成用シート
117 レッグ弾性ストランド
118 立体ガード
119 立体ガード弾性部材
120 ファスニングテープ
120a 止着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状であり、長手方向の一方の端部における左右両側縁から側方にそれぞれ延出したファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、
ファスニングテープにおける止着部が面ファスナのフック部材からなるとともに、該止着部と係合する不織布からなる被着部が裏面シートの表面に設けられており、
前記不織布が、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部及び凹部を有し、該凸部を構成する繊維は、その熱伸長率が、凸部の下部よりも上部の方が高くなっている使い捨ておむつ。
【請求項2】
凸部の上部に、熱伸長性繊維として、高融点樹脂とこれより融点の低い低融点樹脂とを含む熱伸長性複合繊維が位置し、
前記低融点樹脂の融点+20℃において、凸部の上部に位置する前記熱伸長性複合繊維の熱伸長率が0.5%以上、50%未満であり、
凸部の下部に位置する繊維の熱伸長率が−50%以上、0.5%未満である請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
凸部の上部側が、熱伸長性原料繊維を用いて形成され、凸部の下部側が、非熱伸長性原料繊維を用いて形成されている請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
凸部の上部側が、相対的に高温で熱伸長する熱伸長性原料繊維を用いて形成され、凸部の下部側が、相対的に低温で熱伸長する熱伸長性原料繊維を用いて形成されている請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記不織布に含まれる熱伸長性繊維のヤング率が0.2〜1GPaである1ないし4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記不織布は、その面のうち前記凸部及び凹部を有する側の面が、前記止着部と係合するように、前記裏面シートの表面に配されている1ないし5のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
着用者の肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを備え、実質的に縦長形状である使い捨ておむつであって、
裏面シートの外面に不織布が配されており、該不織布が、加熱によって伸長する熱伸長性繊維を含み、一方の面側に多数の凸部及び凹部を有し、該凸部を構成する該熱伸長性繊維は、その熱伸長率が、凸部の下部よりも上部の方が高くなっている使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−250966(P2011−250966A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126355(P2010−126355)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】