使い捨ておむつ
【課題】伸縮材が過度に伸張することがなく快適な着用感を得られるとともに、容易に製造することができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】後被包部6を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部80と、伸縮部80と重畳する位置に配置され、伸縮部80を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シート82と、止着材48が付設され、後被包部6を前被包部2に対して止め付ける止着テープ11と、を備え、胴周り方向に伸張させた状態の伸縮部80と、ギャザー形成シート82とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されており、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ1。
【解決手段】後被包部6を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部80と、伸縮部80と重畳する位置に配置され、伸縮部80を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シート82と、止着材48が付設され、後被包部6を前被包部2に対して止め付ける止着テープ11と、を備え、胴周り方向に伸張させた状態の伸縮部80と、ギャザー形成シート82とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されており、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、着用者の胴周りを被包するように装着される吸収性物品であり、排泄物を吸収・保持させるための吸収体を備えている。
【0003】
前記のような使い捨ておむつにおいては、伸張状態の伸縮材を固定することが行われている。この伸縮材は、着用感やフィット感を向上させ、おむつの開口部や縁部からの排泄物の漏れを防止する目的で固定されるものである。
【0004】
しかし、単に伸張状態の伸縮材を固定するのみでは、伸縮材固定部に伸縮性を付与することはできても、柔軟性、クッション性等が不十分となる場合がある。例えば、以下の問題があった。
1)伸縮材による締め付けが強過ぎて着用者の肌にゴム跡(タイマーク)がつくこと。
2)伸縮材固定部は接着剤の塗工や伸縮材の熱融着等によって硬くなり易いため、おむつの柔軟性や触感が損なわれること。
3)伸縮材固定部が硬くなっていると、着用者自身の肌は勿論のこと、交換作業をする者の手指を傷つける場合があること。
【0005】
そこで、使い捨ておむつにおいては、伸縮材固定部に伸縮性を付与しつつ、柔軟性、クッション性等を改善するための種々の提案がなされている。例えば、外層シート、内層シート及び複数本の弾性部材により吸収性物品の外包材が形成され、前記外層シート及び前記内層シートが、胴周り方向及びその直交方向に向かって間欠的に形成した接合部によって相互に接合されたパンツ型吸収性物品が提案されている。この吸収性物品においては、前記弾性部材が前記接合部を通らないように配されている(特許文献1〜5参照)。
【0006】
このパンツ型吸収性物品では、前記弾性部材が前記外層シート及び前記内層シートに固定されないように構成されている。そして、ウエスト部の全周に、ウエスト部の外端部から内端部に亘って延びる複数本の襞が形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−136793号公報
【特許文献2】特開2008−136794号公報
【特許文献3】特開2008−142316号公報
【特許文献4】特開2008−142341号公報
【特許文献5】特開2008−142342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜5に記載のパンツ型吸収性物品は、弾性部材により外層シート及び内層シートをウエスト周方向に収縮させて複数本の襞を形成させるものである。そして、前記襞により形成される凸曲面が外装シートと内層シートの厚み方向にボリュームを出し、伸縮材配置部の柔軟性、クッション性等を改善することを企図していると考えられる。
【0009】
しかしながら、前記の構造は外装シートと内層シートの間欠的な接合部を通らないように弾性部材が配された特殊な構造である。この構造では弾性部材は外装シート及び内層シートの何れにも拘束されず、自由に伸張することができる。例えば製造時に300%の伸張率で弾性部材を配置しても、使用時において局所的にはその300%の伸張率を超えて弾性部材が伸張する場合が起こり得る。即ち、弾性部材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張する場合がある。従って、硬く張り詰めた弾性部材が内層シートを介して肌に当接し、痛みや不快感を生ずるおそれがあるという課題があった。更に、前記の特殊な構造を得るために、製造に際して精密な接合技術が必要となり、製造が困難であるという課題もあった。
【0010】
本発明は、前記のような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。具体的には、伸縮材が過度に伸張することがなく快適な着用感を得られるとともに、容易に製造することができる使い捨ておむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、1)おむつ本体を胴周り方向に伸縮させる伸縮部を形成し、2)前記伸縮部と重畳する位置に、前記伸縮部を被覆するギャザー形成シートを配置し、3)胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとを胴周り方向に向かって間欠的に接合し、4)前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートと重畳する位置に止着テープを接合することによって、前記課題が解決されることに想到して、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の使い捨ておむつが提供される。
【0012】
[1]着用者の股下を被包し、吸収体が配置された股下被包部、着用者の胴周り前方を被包する前被包部、及び着用者の胴周り後方を被包する後被包部の各部から形成されたおむつ本体と、前記前被包部及び前記後被包部のうちの一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部と、前記伸縮部と重畳する位置に配置され、前記伸縮部を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シートと、前記一方の被包部における左側縁よりも胴周り方向左側に延出された左止着テープ及び前記一方の被包部における右側縁よりも胴周り方向右側に延出された右止着テープからなり、止着材が付設され、前記一方の被包部を他方の被包部に対して止め付ける止着テープと、を備え、胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されており、前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ。
【0013】
[2]前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の左側縁部に直接接合され、前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の右側縁部に直接接合されている前記[1]に記載の使い捨ておむつ。
【0014】
[3]前記おむつ本体とは別体の伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたギャザーバンドを備え、前記ギャザーバンドは、一の方向に伸張させた状態の前記伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが、前記一の方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されたものであり、前記ギャザーバンドは、前記一の方向が前記胴周り方向と一致するように、前記一方の被包部に接合され、前記伸縮部が、前記ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布によって形成されている前記[1]又は[2]に記載の使い捨ておむつ。
【0015】
[4]前記ギャザーバンドは、前記一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されるとともに、前記一方の被包部の左側縁より胴周り方向左側に延出された左延出部及び前記一方の被包部の右側縁より胴周り方向右側に位置する右延出部を有するように前記一方の被包部の肌当接面に接合されており、前記左止着テープは、前記ギャザーバンドの前記左延出部に接合され、前記右止着テープは、前記ギャザーバンドの前記右延出部に接合されている前記[3]に記載の使い捨ておむつ。
【0016】
[5]前記ギャザーバンドの左側縁部と重畳する位置に、左補強シートが接合され、前記左止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、前記ギャザーバンドの右側縁部と重畳する位置に、右補強シートが接合され、前記右止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている前記[3]又は[4]に記載の使い捨ておむつ。
【0017】
[6]前記ギャザーバンドの左側縁部と前記左補強シートとの接合部が、前記左止着テープと前記左補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されるとともに、前記ギャザーバンドの右側縁部と前記右補強シートとの接合部が、前記右止着テープと前記右補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されている前記[5]に記載の使い捨ておむつ。
【0018】
[7]前記ギャザーバンドが、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたものであり、前記ギャザーバンドのうち前記一方の被包部に接合される部分は、前記不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、前記一方の被包部に接合されている前記[3]〜[6]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【発明の効果】
【0019】
本発明の使い捨ておむつにおいては、伸縮部に対してギャザー形成シートが接合されているため、伸縮部を構成する伸縮材が過度に伸張することがなく快適な着用感を得られる。
【0020】
また、伸縮部に対してギャザー形成シートが間欠的に接合されているため、図1D及び図1Eに示すように、伸縮部80の収縮に伴ってギャザー形成シート82が撓んで波型に変形され、ギャザー88が形成される。このギャザー88によって、エアクッションのような緩衝機能が発揮され、またギャザー内空間86によって通気性も向上する。この構造は、伸縮部に対してギャザー形成シートを間欠的に接合することにより製造可能である。従って、本発明の使い捨ておむつは容易に製造することができる。
【0021】
更に、伸縮部から浮き上がったギャザー形成シートによってギャザーが形成されるため、伸縮部自体によってギャザーが形成される場合と比較して、ギャザーが容易に変形し、形状追従性にも優れる。即ち、着用者の肌に対するギャザーのフィット性が高い。従って、着用者が座る動作、這う動作、寝返りを打つ動作等を行った場合でも着用者の肌に対してギャザーが追従し易く、おむつのずれを防止することができる。
【0022】
更にまた、伸縮部がギャザー形成シートによって被覆されているため、伸縮部を構成する伸縮材や伸縮材を固着する接着剤等の硬い触感が着用者の肌に伝わり難い。従って、着用者の肌に対して柔軟な触感を与えることができる。
【0023】
また、伸縮部及びギャザー形成シートと重畳する位置に止着テープが接合されているため、おむつの装着時に止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接伝達される。従って、おむつの装着時に、着用者の肌に対してギャザーをフィットさせ易い。更に、着用者が座った状態のまま身体を前に傾ける動作に対してもギャザーが追従し易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図1B】図1Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図1C】図1Aに示す使い捨ておむつの概略裏面図である。
【図1D】図1Aに示す使い捨ておむつの伸縮部近傍を模式的に示す斜視図である。
【図1E】図1Dに示す使い捨ておむつのX−X’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図1F】図1Aに示す使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。接合部の形態を示している。
【図2A】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1Fに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図2B】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1F又は図2Aに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図2C】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1F、図2A又は図2Bに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図3A】図1Aに示す使い捨ておむつのギャザーバンドを模式的に示す概略平面図である。
【図3B】図3Aに示すギャザーバンドのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3C】図3Aに示すギャザーバンドのB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3D】図3Aに示すギャザーバンドのC−C’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3E】図3Aに示すギャザーバンドの概略裏面図である。
【図4A】図1Aに示す使い捨ておむつのギャザーバンド及び止着テープを模式的に示す概略平面図である。
【図4B】図4Aに示すギャザーバンド及び止着テープのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図5A】本発明の使い捨ておむつの別の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図5B】図5Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図6A】本発明の使い捨ておむつの更に別の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図6B】図6Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図6C】図6Aに示す使い捨ておむつの概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明には所定の特定事項を備えた使い捨ておむつが広く包含される。従って、本発明は、以下に具体的に示す使い捨ておむつに限定されるものではない。
【0026】
[1]本発明の特徴的構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように、少なくとも、(1)おむつ本体70、(2)伸縮部80、(3)ギャザー形成シート82、及び(4)止着テープ11を構成要素として備えている。
【0027】
[1−1]おむつ本体:
図1A〜図1Cに示すように、おむつ本体70は、(a)股下被包部4、(b)前被包部2、及び(c)後被包部6の各部から形成されている。
【0028】
[1−1A]股下被包部:
図1A〜図1Cに示すように、股下被包部4は、おむつ本体70のうち着用者の股下を被包し、吸収体22が配置された部分である。即ち、股下被包部は排泄物を吸収・保持する機能を有する。
【0029】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70が砂時計型(ウエスト端縁70c,70d側が幅広く、股下側に幅狭い括れを有する形状。)に形成されている。この場合、ウエスト端縁70c(即ち、おむつ本体前端)側の括れの起点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁70d(即ち、おむつ本体後端)側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「股下被包部」と称することにする。
【0030】
吸収体の構成については特に限定されず、従来公知の吸収性物品に用いられる吸収体を用いることができる。吸収体の具体的な構成については後述する。なお、本発明においては、股下被包部以外に吸収体が配置されていてもよい。例えば図1A〜図1Cに示すように前被包部2及び後被包部6に吸収体22が配置されていてもよい。
【0031】
[1−1B]前被包部、後被包部:
図1A〜図1Cに示すように、前被包部2はおむつ本体70のうち着用者の胴周り前方を被包する部分であり、後被包部6はおむつ本体70のうち着用者の胴周り後方を被包する部分である。
【0032】
既述のように、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70が砂時計型に形成されている。従って、ウエスト端縁70c(即ち、おむつ本体前端)と、ウエスト端縁70c側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「前被包部」と称することにする。一方、ウエスト端縁70d(即ち、おむつ本体後端)と、ウエスト端縁70d側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「後被包部」と称することにする。
【0033】
[1−2]伸縮部:
図1A〜図1Cに示すように、伸縮部80は前被包部2及び後被包部6のうちの一方の被包部(図示の例では後被包部6)を胴周り方向に伸縮させるように形成された部分である。伸縮部は伸縮部を構成する伸縮材(ゴムや熱可塑性エラストマー等)の収縮力によってギャザー形成シートを撓み変形させ、ギャザーを形成させる機能を有する。
【0034】
「前被包部及び後被包部のうちの一方の被包部」とは、前被包部及び後被包部のいずれか一方又は双方の意味である。但し、図1A〜図1Cに示すように後被包部6を胴周り方向に伸縮させる伸縮部80が形成されていることが好ましい。後被包部側にギャザーが形成されると、着用者の背中に対してギャザーがフィットする。従って、着用者の背中とおむつの間に隙間が形成され難くなり、背中を伝った軟便漏れが防止される。
【0035】
「胴周り方向」とは、着用者がおむつを装着した際に着用者の胴を取り囲む方向を指す。換言すれば、前被包部又は後被包部の幅方向(左右方向)である。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1においては、ウエスト端縁70cと平行する方向(ないしは左側縁70a及び右側縁70bと直交する方向)に、後被包部6を収縮させるように伸縮部80が形成されている。
【0036】
「胴周り方向に伸縮させるように形成」とは、単に伸縮部を形成するのみでは不十分で、伸縮部の伸縮方向が前記一方の被包部の胴周り方向に沿っている必要があることを意味する。例えば線状の伸縮材は長手方向に伸縮し易く、短手方向には伸縮し難い。このように特定の方向に伸縮し易い伸縮材を用いて伸縮部を構成する場合には、前記特定の方向が胴周り方向に沿うように伸縮部を形成する必要がある。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は後被包部6のウエスト端縁70cと平行に線状の伸縮材(この例では伸縮材)を配置することで、胴周り方向に伸縮する伸縮部80を形成している。
【0037】
但し、前記一方の被包部が胴周り方向に伸縮する限り、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように胴周り方向と伸縮部80の伸縮方向が完全に合致している必要はない。例えばウエスト端縁と平行な方向に対して上に凸ないし下に凸のカーブを描くように線状の伸縮材が配置されていてもよい。
【0038】
なお、伸縮部は「一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成」されていればよい。即ち、「一方の被包部」自体に伸縮部が形成されている必要はない。例えば図1A〜図1Cに示すように、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備え、伸縮性不織布58によって伸縮部80が形成されていてもよい。ギャザーバンドの具体的な構成については後述する。
【0039】
伸縮部は伸縮性不織布によって形成することができる。例えば図1A〜図1Cに示す伸縮部80は、2枚の不織布シート52,54の層間に伸張状態の線状の伸縮材56が配置されている。また、線状の伸縮材56が2枚の不織布シート52,54に対して固着されている。そして、2枚の不織布シート52,54及び伸縮材56が一体的に挙動する伸縮性不織布58によって形成されている。このような構造とすれば、特許文献1〜5のパンツ型吸収性物品とは異なり、伸縮材がシート幅以上に伸張することがない。即ち、伸縮材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張されることがない。
【0040】
但し、伸縮部を形成する伸縮性不織布は必ずしも図1A〜図1Cに示す構成でなくてもよい。例えば伸縮材を固定する不織布シートは2枚に限られず、3枚以上であってもよい。
【0041】
また、伸縮性不織布として、伸縮性フィルムが不織布シートに対して固着され、不織布シート及び伸縮性フィルムが一体的に挙動するものを用いてもよい。このような伸縮性不織布も、図1A〜図1Cに示す構造の伸縮性不織布58と同様の効果を奏する。この形態には2枚の不織布シートの層間に伸縮性フィルムが配置されたものの他、1枚の不織布シートの表面に伸縮性フィルムが配置されたものも含まれる。
【0042】
更には、伸縮性不織布として、不織布自体が伸縮性を有するものを用いてもよい。例えば、市販のエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布等を用いることができる。具体的には、以下全て商品名で、ストラフレックス(出光ユニテック社製)、エスパンシオーネ(KBセーレン社製)等を好適に用いることができる。これらのエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものである。
【0043】
以上説明したように、本明細書に言う「伸縮性不織布」には、非伸縮性の不織布シートに伸縮材を接合等することによって伸縮性を付与したものの他、不織布自体が伸縮性を有するものも広く包含される。
【0044】
なお、使い捨ておむつは、不織布シートの層間に伸縮材を配した構造を有していることが多い。従って、必ずしも別途、伸縮性不織布を配する必要はない。即ち、従来の使い捨ておむつの構造の一部を伸縮部として利用してもよい。例えば、後被包部を構成する複数の不織布シートの層間にウエスト伸縮材が配されている場合には、その部分を伸縮部として利用することができる。
【0045】
[1−3]ギャザー形成シート:
図1A〜図1Cに示すように、ギャザー形成シート82は、伸縮部80と重畳する位置に配置されるシート状の部材である。ギャザー形成シートは伸縮部を被覆するギャザーを形成する機能を有する。
【0046】
「伸縮部と重畳する位置に配置」とは、伸縮部の位置とギャザー形成シートの配置位置が重なっていることを意味する。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備え、伸縮性不織布58によって伸縮部80が形成されている。従って、伸縮部80の位置とギャザー形成シート82の配置位置が完全に重なっている。このような形態は伸縮部を被覆するというギャザー形成シートの機能を十分に発揮させることができる点で好ましい。
【0047】
本発明においては、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように伸縮部80の位置とギャザー形成シート82の配置位置が完全に重なっている必要はない。但し、伸縮部の幅(ウエスト端縁と平行する方向の長さ)の60%以上をカバーするようにギャザー形成シートを配置することが好ましい。
【0048】
ギャザー形成シートは伸縮部の肌当接面に配置されていることが好ましい。「肌当接面」とは、使い捨ておむつの着用時に、着用者の肌に直接当たる面、即ち使い捨ておむつの最内面を意味する。ギャザー形成シートを伸縮部の肌当接面に配置することで、着用者の肌に対する柔軟性やフィット性を向上させることができる。
【0049】
ギャザー形成シートの構成材料としては不織布が好ましく、撥水性不織布が更に好ましい。撥水性不織布を用いることで、ギャザー形成シートを伝った排泄物の漏れが生じ難くなる。「撥水性不織布」としては、後述するサイドシートと同様の素材を用いることができる。
【0050】
ギャザー形成シートの坪量は8〜50g/m2とすることが好ましい。8g/m2未満とすると、肌に当接するギャザーが薄すぎて、ギャザーにコシがなく、フィット性を向上させる効果が得られ難い。一方、50g/m2を超えると、1)シートの剛性が高過ぎて伸縮材の収縮に連動して撓み難くなり、ギャザー構造を形成し難くなる、2)シートの嵩が大き過ぎて、肌に当接するギャザーがゴワゴワし、着用感が低下する等のおそれがある。
【0051】
ギャザー形成シートには、おむつの内部空間とギャザー内空間(ギャザー形成シートと伸縮部の層間に形成された空間を指す。)とを連通させる孔が形成されていてもよい。このような構造とすることで、おむつの内部空間から孔を経由してギャザー内空間に湿気が流入し、ギャザー内空間を通過した湿気がおむつの外部空間へ排出される。
【0052】
「孔」とは、おむつの内部空間とギャザー内空間とを連通させる開口部を意味し、その形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等の形状を挙げることができる。
【0053】
なお、「孔」には常時開口しているもののみならず、開閉可能な構造のものも含まれる。例えばギャザー形成シートに軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットを形成することにより、弁として機能する舌片を有する孔とすることができる。前記舌片により、ギャザー内空間に尿や体液が侵入することを抑制しつつ、湿気を通過させることができる。
【0054】
スリットの形態は特に限定されない。「軌跡が凸形状のスリット」としては、a)湾曲部を有するスリット(逆U字状スリット等)、b)屈曲部を有するスリット(逆V字状スリット等)等を挙げることができる。また、「交差する複数本のスリット」としては、c)二本のスリットを交差させて形成した十字状のスリット、d)3本のスリットを交差させて形成した星型のスリット等を挙げることができる。
【0055】
また、ギャザー形成シートには孔を複数形成してもよい。孔を複数形成することによって、通気性が向上し湿気をおむつ外部に排出し易くなる。
【0056】
「複数」の具体的な数は特に限定されない。孔の開口面積によっても異なる。開口面積が0.5〜10mm2の孔であれば5〜200個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで通気性向上効果を得ることができる。一方、200個以下とすることで尿や体液がギャザー内空間に流入することを有効に防止することができる。
【0057】
ギャザー形成シートに薬剤を付着させておくことも好ましい形態の一つである。薬剤を付着させることにより、着用者の肌と直接接触するギャザー形成シートに当該薬品に基づく薬効を付与することができる。
【0058】
薬剤の種類は特に限定されない。例えば保湿剤(アロエエキス、プロピレングリコール等)、保湿効果を奏することに加え、ウレアーゼ阻害活性を有するスキンケア用添加物(ユーカリ抽出物等)を挙げることができる。また、消毒剤、抗菌剤(エデト酢酸、塩化ベンザルコニウム等)、消臭剤(各種ポリフェノール化合物等)等を挙げることができる。
【0059】
[1−4]止着テープ:
図1A〜図1Cに示すように、止着テープ11は、左止着テープ11A及び右止着テープ11Bからなる。左止着テープ11Aは、一方の被包部(後被包部6)における左側縁70aよりも胴周り方向左側に延出されている。そして、右止着テープ11Bは一方の被包部(後被包部6)における右側縁70bよりも胴周り方向右側に延出されている。即ち、左右の止着テープが対をなす。止着テープは一方の被包部(例えば後被包部)を他方の被包部(例えば前被包部)に対して止め付ける機能を有する。
【0060】
[1−5]伸縮部とギャザー形成シートとの関係:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように胴周り方向に伸張させた状態の伸縮部80と、ギャザー形成シート82とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されている。
【0061】
「伸張させた状態の伸縮部」とは、収縮力が作用している状態の伸縮部を意味する。例えば複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布等は自然状態において原寸より収縮された状態となっており、収縮力は作用していない。従って、このような伸縮性不織布等については収縮状態から伸張させた状態でギャザー形成シートを接合する。一方、不織布シートに伸縮性フィルムが固着された伸縮性不織布、エラスチック不織布又はエラストマースパンボンド不織布等は、自然状態(張力をかけていない状態)において原寸の状態となっており、収縮力は作用していない。従って、これらの伸縮性不織布等については原寸より伸張させた状態でギャザー形成シートを接合する。
【0062】
伸縮部とギャザー形成シートの接合は、伸縮部の表面とギャザー形成シートとが接合されることで行われる。
【0063】
「間欠的」とは、接合部が非連続的ないし断続的に形成されていることを意味する。この接合状態では、接合部においては伸縮部とギャザー形成シートが一体不可分の状態となっている。一方、非接合部においては伸縮部とギャザー形成シートが相互に拘束されず、自由に離間可能な状態となっている。
【0064】
本発明においては、ギャザー形成シートや伸縮部における一の接合部と他の接合部との間隙部が収縮してギャザーを形成する。従って、接合部同士の間隔は胴周り方向に向かって2〜50mmとすることが好ましく、5〜10mmとすることが特に好ましい。
【0065】
なお、「間欠的」とは胴周り方向(即ち、伸縮部の収縮方向)に向かって間欠的であればよい。即ち、接合部が胴周り方向と直交する方向(直交方向)に向かっていかなる形状に形成されているかは特に限定されない。但し、接合部は前記直交方向に向かって連続的に形成されていることが好ましい。このような形態は、前記直交方向に向かうギャザーを形成することができ、肌触りや通気性に優れる。例えば、前記直交方向に向かって連続的に形成され、かつ、胴周り方向に対して規則的な間隔で形成された接合部等を挙げることができる。
【0066】
図1Fは、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1の伸縮部80、ギャザー形成シート82及び接合部84を拡大し、ギャザー形成シート82の一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1Fに示すように接合部84は前記直交方向(図面上下方向)に向かう、複数の線状接合部90からなる。そして、線状接合部90が胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。更に、線状接合部90の各々は、複数のドット状接合部92が前記直交方向に向かって一列に配置された集合体として形成されている形態である。
【0067】
図1Fに示す例では、線状接合部90が前記直交方向に向かって配向している。従って、胴周り方向に向かって配向させた場合と比較して湿気等が前記直交方向に向かって流れ易く、おむつのウエスト端縁側からの湿気等の排気を促進することができる。また、着用者の胴周りの曲線的な形状におむつを追従させ易く、フィット性、着用感にも優れる。
【0068】
なお、本明細書において「線状」というときは、前記直交方向に延びる形状を広く包含するものとし、いわゆる線状の他、帯状、短冊状等の形状も含むものとする。また、複数のドット状接合部が「集合体」と把握されるためには、隣接するドット状接合部との間隔が5mm以下であることを要する。
【0069】
また、図2Aに示す形態は、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。接合部84Aは、前記直交方向に向かう複数の線状接合部90Aからなる。そして、線状接合部90Aが胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。更に、線状接合部90Aが円形状のドット状接合部92Aの集合体として形成されている。従って、図1Fに示す形態の効果に加えて、触感が硬くなり易い接合部84Aが肌に当たっても痛みを生じ難いという効果を奏する。
【0070】
また、図2Bに示す形態も、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。接合部84Bは、前記直交方向に向かう複数の線状接合部90Bからなる。そして、線状接合部90Bが胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。
【0071】
更に、線状接合部90Bの各々は、複数のドット状接合部92Bが前記直交方向にn行、胴周り方向にm列で、n<mを満たすマトリクス状に配置された集合体して形成されている形態である。この形態は「n<m」とすることで、各々の線状接合部90Bにおいて前記直交方向に比して胴周り方向に、より多くのドット状接合部92Bを配置し、胴周り方向より前記直交方向が長い線状に形成したものである。
【0072】
図2Bに示す例では、線状接合部90Bが円形状のドット状接合部92Bの集合体として形成され、そのドット状接合部92Bが2行5列のマトリクス状に配置された集合体として形成されている。
【0073】
前記のような形態では、幅1〜4mm×長さ2〜80mmの線状接合部を、前記直交方向に1〜30箇所形成することが好ましい。各々の線状接合部は1個当たりの面積が1〜4mm2のドット状接合部を胴周り方向に0.5〜5mm間隔、前記直交方向に0.5〜3mm間隔でマトリクス状に配置した集合体とすることが好ましい。
【0074】
図2A及び図2Bにおいては、線状接合部をドット状接合部の集合体として形成した例で説明した。但し、図2Cに示すように胴周り方向に向かって間欠的に、かつ、前記直交方向に向かって連続的に形成された接合部84Cであることも好ましい(線状接合部90C)。図2Cに示す形態も、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。
【0075】
中でも、図2Cに示す形態のように、接合部84Cのように前記直交方向に延びる線状に形成され、接合部84Cがウエスト端縁70cを横切る方向に並んでいる形態が好ましい。このような形態とすると、おむつの内部空間に通ずるギャザー内空間が、ウエスト端縁に向かって開口される。従って、ギャザー内空間によって、おむつの内部空間と外部空間とが連通される。即ち、十分な通気を図ることができ、湿気等の排気が促進される点において好ましい。
【0076】
図2Cに示す形態と同様の思想から、図2A及び図2Bに示す形態のように、前記直交方向に向かう一直線上に乗るように、複数の接合部を一列に整列させて形成することが好ましい。このような形態も、図2Cに示す形態と同様に、前記直交方向に連続する直線的なギャザーを形成し易くなる。従って、形成されるギャザーが潰れ難くなり、通気性を向上させ易い点において好ましい。
【0077】
本発明の使い捨ておむつにおいては、ギャザー形成シートと伸縮部とが、おむつの胴周り方向と前記直交方向の両方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されていることも好ましい。
【0078】
例えば、複数のドット状接合部が千鳥に配置されたものであってもよい。このような形態でも、ギャザーを形成することができることに加え、おむつの内部空間と外部空間を連通するギャザー内空間が形成される。従って、柔軟性や形状追従性を向上させるのは勿論のこと、図2A〜図2Cに示す形態と同様に通気性を向上させることができる。
【0079】
[1−6]ギャザーバンド:
本発明の使い捨ておむつは、図1A〜図1C、図3A〜図3Eに示すようにおむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備えていることが好ましい。この形態においては、ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布が伸縮部を構成する。従って、おむつ本体に伸縮部が形成されていなくても、ギャザーを形成することができる。
【0080】
図3A〜図3Eに示すように、ギャザーバンド78は、一の方向に伸張させた状態の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが、一の方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されている。そして、ギャザーバンド78は、一の方向(即ち、伸縮性不織布58の伸縮方向)が胴周り方向と一致するように、一方の被包部(後被包部6)に接合されている。
【0081】
図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)に対して胴周り方向に向かって連続的に、かつ、全面的に接合されている。このような形態はギャザーシートの伸縮性を一方の被包部に対して付与することができる。
【0082】
但し、ギャザーバンドは一方の被包部に対して胴周り方向に向かって間欠的に接合してもよい。例えば、一方の被包部に胴周り方向に向かって間欠的に(例えばストライプ状に)ホットメルト接着剤を塗工し、ギャザーバンドを接合する。これにより、一方の被包部とギャザーバンドの間に隙間が形成され、通気性やクッション性を向上させることができる。
【0083】
また、ギャザーバンドのウエスト端縁側の端縁部のみを接合し、股下側の端縁部を非接合としてもよい。このような形態は、左右の立体ギャザーとギャザーバンドが相俟って股下側に開口するポケット構造を形成することができる。前記ポケット構造は軟便をトラップする効果がある。
【0084】
ギャザーバンドと一方の被包部との接合は、ホットメルト接着剤による接合が好ましい。この場合、ホットメルト接着剤はギャザーバンドに塗工してもよいし、一方の被包部に塗工してもよい。
【0085】
図1A〜図1Cに示すように、ギャザーバンド78は、一方の被包部(後被包部6)の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されていることが好ましい。そして、一方の被包部の左側縁70aより胴周り方向左側に延出された左延出部60及び一方の被包部の右側縁70bより胴周り方向右側に位置する右延出部62を有するように一方の被包部の肌当接面に接合されていることが好ましい。
【0086】
前記形態は、ギャザーバンドの左延出部及び右延出部が一方の被包部との接合状態に拘らず自由に伸縮することができる。即ち、左延出部及び右延出部は一方の被包部によって挙動を拘束されることがない。従って、着用者の動作に対して追従し易く、フィット性を向上させることができる。また、左延出部及び右延出部が大きく伸縮し、着用者の肌と擦れ合うことがあっても、表面に形成されるギャザーによって機械的刺激が低減される。左延出部又は右延出部は、一の被包部の側縁より10〜150mm延出されていることが好ましい。
【0087】
但し、図6A〜図6Cに示すように、ギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)の胴周り方向の幅よりも幅狭く構成され、左延出部及び右延出部を有していなくてもよい。このような形態であっても、ギャザーによる柔軟性向上、通気性向上の効果を得ることができる。
【0088】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、ギャザーバンド78が、複数の不織布シート52,54の層間に伸張状態の伸縮材56が配置された伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたものである。このような形態においては、ギャザーバンドのうち一方の被包部に接合される部分が、不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、一方の被包部に接合されていることが好ましい。
【0089】
おむつの装着時には止着テープを両サイドに引っ張るため、前記一方の被包部が原寸通りの状態に伸展される。前記形態はギャザーバンドが常に収縮状態にあるため、前記一方の被包部が原寸通りの状態に伸展されていても、ギャザーが形成されるという利点がある。このような形態は図6A〜図6Cに示すようなギャザーバンドが一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅狭く構成され、左延出部及び右延出部を有しない形態に特に有効である。
【0090】
「不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態」とは、ギャザーバンドが自然長(即ち、完全に収縮した状態)より長く、かつ、不織布シートの原寸(即ち、最大長)より短い寸法となるように収縮している状態を具体的に規定したものである。ギャザーバンドが前記状態で一方の被包部に接合されていると、ギャザーバンドは完全に伸張することができず、伸縮性不織布が有する伸縮性を100%発揮できない状態になる。しかし、伸縮性不織布が収縮した状態ではギャザー形成シート撓ませてギャザーを形成することができる。また、前記のように一方の被包部が原寸通りの状態に伸展されていても、ギャザーバンド(ひいてはギャザー形成シート)は未だ収縮された状態となっていてギャザーが形成されることになる。この形態においては、ギャザーバンドが一方の被包部と間欠的に接合されていてもよいし、一方の被包部と連続的に接合されていてもよい。
【0091】
図1A〜図1Cに示すように、ギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)の左側縁部から右側縁部に至る連続体として構成されていることが好ましい。このような形態は一方の被包部の胴周り方向中央部にもギャザーが形成されるため、おむつの背側に隙間が形成され難い。従って、臀溝を伝った軟便漏れを有効に防止することができる。
【0092】
但し、ギャザーバンドを左右に分割する形態としてもよい。例えば一方の被包部の左側縁部に左ギャザーバンドを付設し、一方の被包部の右側縁部に右ギャザーバンドを付設し、一方の被包部の胴周り方向中央部にはギャザーバンドが存在しない形態としてもよい。
【0093】
また、図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は、止着テープ11の配置部位を除き、連続的に伸縮材56が配置されている。但し、中途で伸縮材を切断する等して、ギャザーバンドの一部に伸縮性が発揮されない部分を形成してもよい。
【0094】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、一方の被包部(後被包部6)の左側縁部から右側縁部に至る連続体のギャザーバンドを1本配置したものである。但し、成人用おむつのようにサイズが大きい場合は、ギャザーバンドを並列的に2本配置してもよい。この場合においても、ギャザーバンドの基本的な構成は同様である。おむつのサイズやギャザーバンドの数に応じて、ギャザーバンドのサイズや伸縮材の配置ピッチ等を適宜調整すればよい。
【0095】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すようにギャザーバンド78が一の被包部(後被包部6)の肌当接面に配置されていることが好ましい。この形態によれば着用者の肌に対するギャザーの接触面積を増加させることができ、柔軟な肌当たり、フィット性の向上という効果が大きくなる。
【0096】
但し、ギャザーバンドが左延出部及び右延出部を有する形態においては、ギャザーバンドが一の被包部の最外面に配置されていてもよい。このような形態でも左延出部及び右延出部における伸縮性向上効果を得ることができる。また、この形態では左延出部及び右延出部に形成されるギャザーが肌当接面側に露出される。従って、左延出部及び右延出部が大きく伸縮し、着用者の肌と擦れ合うことがあっても、機械的刺激が低減される。
【0097】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すようにギャザーバンド78が一の被包部(後被包部6)のウエスト端縁70cから離隔され、やや股下側に配置されていてもよい。製造工程において、隣接する使い捨ておむつとの間で個々に切断するので、ギャザーバンド78を切断することを避けるために、ウエスト端縁とギャザーバンドの端縁との間隔を4〜50mmとするのが好ましい。
【0098】
また、ギャザーバンドを構成するギャザー形成シートはその両端縁が、ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布の表面側ないしは裏面側に折り込まれていることが好ましい。ギャザーバンドの端部にギャザー形成シートの端縁が露出されていると、ギャザーバンドの伸縮に伴って、当該端縁と着用者の肌とが擦れ合い、着用者の肌に機械的刺激を与えるおそれがある。
【0099】
ギャザーバンドの胴周り方向と直交する方向(直交方向)への長さは特に限定されない。おむつのサイズやギャザーバンドの本数等に応じて適宜設定すればよい。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は乳幼児用のおむつであり、ギャザーバンド78が1本配置されている。このような形態であれば、ギャザーバンドの前記直交方向への長さは20〜100mmとすることが好ましい。
【0100】
[1−7]伸縮部及びギャザー形成シートと止着テープとの関係:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されている。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている。
【0101】
前記のような構造においては、止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接的に伝搬される。従って、おむつの装着時において着用者の肌にギャザーをフィットさせ易いという効果がある。そして、着用者が座った状態で身体を前に倒す動作を行っても背中側のギャザーが追従し、背中側の隙間を埋める効果がある。また、伸縮部の収縮力が止着テープに直接的に伝搬されるので、止着材(メカニカルファスナーのフック材等)が被止着材(メカニカルファスナーのループ材等)に対して十分に食い込み、係合力が増加するという効果がある。
【0102】
前記効果をより確実に得るためには、図1A〜図1Cに示すように、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の左側縁部に直接接合されていることが好ましい。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の右側縁部に直接接合されていることが好ましい。
【0103】
図6A〜図6Cに示す使い捨ておむつ201も、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されている。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている。従って、止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接的に伝搬されるという効果を奏する。
【0104】
但し、図6A〜図6Cに示す使い捨ておむつ201は、止着テープ11が一方の被包部(後被包部6)を構成するサイドシート19とカバーシート24の間に挟み込まれている。そして、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の側縁部に直接接合されていない形態である。
【0105】
本発明の使い捨ておむつにおいては、伸縮部及びギャザー形成シートにおけるギャザー形成シート側の表面に止着テープが接合されていてもよいし、伸縮部側の表面に止着テープが接合されていてもよい。
【0106】
ギャザー形成シート側の表面に止着テープが接合されている形態は止着テープの根元側が外部に露出されないため、おむつの外観に優れる。逆に、伸縮部側の表面に止着テープが接合されている形態は、止着テープの根元側が着用者の肌当接面に露出されないため、着用者の肌に対して異物感を与え難い。前記のような各形態の利点及び製造の容易さ等を勘案して、いずれかの形態を選択することができる。
【0107】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1又は図5A〜図5Bに示す使い捨ておむつ101においては、ギャザーバンド78のギャザー形成シート82側の表面に止着テープ11が接合されている。従って、おむつの外観に優れる。
【0108】
前記形態においては、図1A〜図1C又は図5A〜図5Bに示すように、ギャザーバンド78の左右の側縁近傍に止着テープ11(11A,11B)が接合されていることが好ましい。おむつを使用する前の状態においては、図4A及び図4Bに示すように止着テープ11がおむつの肌当接面側に折り畳まれていることがある。そのような状態では使用者がおむつの外表面側から止着テープ11の位置を目視できない場合もある。そのような場合に、止着テープ11がギャザーバンド78の左右の側縁部、特に左延出部60及び右延出部62に接合されていると、使用者がギャザーバンド78の左右の側縁部を手で触ることにより、止着テープ11の位置を把握することができる。
【0109】
なお、ギャザーバンドのうち止着テープが接合される部分については伸縮材を切断する等して伸縮性を有しない状態としておくことが好ましい。伸縮性を有する部分に止着テープを接合すると、触感が硬い接合部に皺が寄り易くなり、着用者が異物感を感じることがある。具体的には、当該部分の伸縮材を部分的に破断させる、当該部分に伸縮材を配置しない等の手法で伸縮性を有しない状態とする方法を挙げることができる。
【0110】
また、前記方法に代えて、或いは前記方法と併せて、当該部分に非伸縮性の別素材を重畳的に接合する方法を採用してもよい。例えば図4A〜図4Bに示すギャザーバンド78は、左側縁部と重畳する位置(左止着テープ11Aが接合される部分)に非伸縮性の左補強シート64が接合されている。また、右側縁部と重畳する位置(右止着テープ11Bが接合される部分)に非伸縮性の右補強シート66が接合されている。
【0111】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図4A〜図4Bに示すようにギャザーバンド78の左側縁部と重畳する位置に、左補強シート64が接合されていることが好ましい。そして、左止着テープ11Aが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、左補強シート64の左側縁部と重畳する位置に接合されていることが好ましい。
【0112】
同様に、ギャザーバンド78の右側縁部と重畳する位置に、右補強シート66が接合されていることが好ましい。そして、右止着テープ11Bが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、右補強シート66の右側縁部と重畳する位置に接合されていることが好ましい。
【0113】
前記の構造は止着テープが付設されたギャザーバンドを連続的に製造することが容易となる点で好ましい。通常、ギャザーバンドを連続的に製造する場合、長尺の不織布シート及び長尺の線状伸縮材を連続的に送出して製造する。そうすると、長尺の不織布シート等の送出方向と平行に止着テープを接合する必要があり、技術的に困難である。
【0114】
従って、図4A及び図4Bに示す構造体が図面左右方向に複数連続するように製造し、図4A及び図4Bに示す構造体を切り出すようにする。この構造では止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向けた状態でギャザーバンドに接合されている。先端側が背向するように連続形成された2つの止着テープを、隣接するギャザーバンドに跨るように付設し、前記連続形成された2つの止着テープの中間をカットすればよい。こうすることによって、止着テープが付設されたギャザーバンドを同時に多数形成することが可能となり、止着テープが付設されたギャザーバンドの連続製造が容易になる。
【0115】
図4A及び図4Bに示す例では、ギャザーバンド78の側縁部の表面に、左補強シート64、右補強シート66が全面的に接合されている。そして、止着テープ11が、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、左補強シート64、右補強シート66の側縁部の表面に接合されている。止着テープ11を左補強シート64、右補強シート66との接合部68を起点に展開すると、図1A〜図1Cに示す構造となる。
【0116】
但し、止着テープと補強シートが直接接合されている必要はない。例えば、補強シート、ギャザーバンド、止着テープの順で積層され、これらの部材が相互に接合されていてもよい。
【0117】
図4A及び図4Bに示す例では、左補強シート64、右補強シート66は止着テープ11と等幅に形成されている。しかし、補強シートは止着テープより幅広に形成されていることが好ましい。止着テープを引っ張った際の力をギャザーバンドに伝え易くするためである。
【0118】
図A及び図4Bに示す例では、ギャザーバンド78の左側縁部と左補強シート64との接合部69が、左止着テープ11Aと左補強シート64との接合部68と重畳する位置に形成されている。そして、ギャザーバンド78の右側縁部と右補強シート66との接合部69が、右止着テープ11Bと右補強シート66との接合部68と重畳する位置に形成されている。
【0119】
このような形態は、ギャザーバンド、補強シート及び止着テープを積層して1箇所で接合することができるため好ましい。これらの部材の接合方法は特に限定されない。例えば、ヒートシールや超音波シール等の接合方法を採用することができる。
【0120】
前記接合は、複数の接合点により接合することが好ましい。連続的な面状に接合すると、接合部が樹脂板に匹敵する程度に硬化するおそれがあるからである。接合パターンは特に限定されない。例えば、胴周り方向に長い長方形や楕円形、或いは円形等の接合点を多数形成するパターンとすることができる。
【0121】
止着テープについては、図1A〜図1C、図4A〜図4Bに示す止着テープ11の形状のみならず、従来公知の止着テープを用いてもよい。図5A〜図5Bに示す使い捨ておむつ101は、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1と同様の構成において、止着テープ11として従来公知の止着テープを用いたものである。
【0122】
図1A〜図1Cに示す例では、止着テープ11や補強シート(左補強シート64、右補強シート66)が矩形状に構成されている。但し、止着テープや補強シートの形状については特に限定されない。例えば、先端が直線的に幅狭くなる台形やカーブを描いて幅狭くなる富士山型としてもよいし、先端が波形にカットされていてもよい。
【0123】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように左止着テープ11Aがギャザーバンド78の左延出部60に接合され、右止着テープ11Bがギャザーバンド78の右延出部62に接合されていることが好ましい。このような形態は止着テープを引っ張ることにより、左延出部及び右延出部を十分に伸張させることができ、着用者の肌に対するフィット性を向上させることができる。
【0124】
[2]その他の構成:
本発明の使い捨ておむつは、前記特徴的構成以外の構成については特に限定されない。例えば以下の構成を採用することができる。
【0125】
[2−1]おむつ本体:
おむつ本体は、吸収体と、吸収体を被覆する各種シートが一体的に構成された構造体からなる。例えば図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、吸収体22と、吸収体22を被覆するトップシート18、サイドシート19、バックシート20及びカバーシート24が一体的に構成されたおむつ本体70を備えている。
【0126】
[2−1A]吸収体:
吸収体は、吸収性材料によって構成された構造体である。着用者の尿等を吸収し保持する目的で用いられる。前記吸収性材料としては、例えばフラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。前記フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したもの等を、前記SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウム等を、前記親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
【0127】
吸収体としては、1種又は2種以上の吸収性材料をマット状に成形したものを用いることが好ましい。マットは単層であっても複層であってもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させてもよいし、複数のフラッフパルプマットの層間に層状に配置して用いてもよい。
【0128】
なお、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するために、吸収体全体を前記親水性シートによって被包しておくことが好ましい。例えば、図1A〜図1Cに示す吸収体22は、吸収体22の上面側を図示されない上ティシュで被包し、吸収体22の側面側及び底面側を図示されない下ティシュで被包することで、吸収体22全体を親水性シートによって被包する形態を採用している。
【0129】
吸収体は、目的に応じて矩形状、砂時計型等の所望の形状に成形されたものを用いればよい。例えば、図1A〜図1Cに示す吸収体22は、矩形状の吸収体を用いた例である。
【0130】
[2−1B]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時に着用者の肌と対向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。着用者の尿等を透過させる必要があるため、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
【0131】
前記液透過性材料としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0132】
前記不織布としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。前記親水化処理は、不織布の原綿に対して界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
【0133】
トップシートは「少なくとも一部」が液透過性材料によって構成されている。その位置については特に限定されない。但し、平面視した場合に股下被包部における吸収体の配置位置と重畳する部分が液透過性材料により構成されていることが好ましい。
【0134】
なお、おむつ本体においては、着用者の肌と対向する側の面全てがトップシートによってカバーされている必要はない。例えば図1A〜図1Cに示すように、おむつの胴周り方向中央部のみにトップシート18を配置し、おむつの胴周り方向側縁部には通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置してもよい。前記通気撥水性材料としては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により得られた不織布シートを用いることが好ましい。特に防水性が高いSMS、SMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0135】
[2−1C]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時に着用者の肌と背向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0136】
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体に吸収された尿の漏れを防止するという観点から、例えば図1A〜図1Cに示すように、少なくとも吸収体22の配置位置をカバーするようにバックシート20が配置されていることが好ましい。
【0137】
前記液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されたフィルムであり、液不透過性であるが透湿性を有する。従って、防漏性を確保しつつ、おむつ内部空間の蒸れを防止することができる。
【0138】
図1A〜図1Cに示すようにバックシート20の外表面側にカバーシート24を貼り合わせる形態を採用してもよい。カバーシートはバックシートの外表面を被覆するように配置されるシートである。カバーシートはバックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとする目的で配置される。
【0139】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0140】
[2−2]立体ギャザー:
立体ギャザーは、おむつの肌当接面に配置された、立体的に起立する防漏壁である。着用者の肌に対して当接させ、レッグ伸縮材と相俟って排泄物の横漏れを防止する目的で用いられる。図1A〜図1Cに示す立体ギャザー26のように、不織布シート32によって構成され、不織布シート32の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36が挟み込まれて固定された構造のものを用いることが多い。このような構造とすれば、立体ギャザー伸縮材36の収縮力によって立体ギャザー26が立体的に起立する。
【0141】
図1A〜図1Cに示すように立体ギャザー26は、吸収体22の両側に左右一対配置することが多い。但し、吸収体の両側に左右二対以上の立体ギャザーを配置してもよい。
【0142】
不織布シートの材質は特に限定されない。但し、サイドシートと同様に、通気撥水性材料からなる不織布シートを好適に用いることができる。
【0143】
不織布シートは、専ら立体ギャザーを形成するものであってもよいし、立体ギャザーとおむつの他の部材を形成するものであってもよい。テープ型使い捨ておむつの場合、図1A〜図1Cに示すように撥水性不織布等からなる不織布シート32によって立体ギャザー26とサイドシート19を構成する形態とすることが多い。
【0144】
[2−3]各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつには、レッグ伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。
【0145】
[2−3A]レッグ伸縮材:
レッグ伸縮材は、股下被包部に配置される伸縮材である。レッグ伸縮材によって股下被包部にレッグギャザーが形成される。
【0146】
図1A〜図1Cに示すように、レッグ伸縮材40としては、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、少なくとも股下被包部4に、吸収体22の両側縁に沿うように、左右複数対の線状伸縮材を直線的に配置する形態を採用することが多い。
【0147】
[2−3B]伸縮材の構成、その他:
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴム、合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴム等を好適に用いることができる。また、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を用いることもできる。
【0148】
伸縮材は、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することが好ましい。この範囲とすることで着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることができる。伸縮材は、接着剤を用いた接着、熱や超音波等による溶着によって固定することができる。前記接着剤としてはホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いることができる。溶着の方法としてはヒートシール等を挙げることができる。
【0149】
伸縮材の固定の方法は特に限定されない。但し、伸縮材及び前記伸縮材を挟み込む不織布シートの少なくとも一つに、接着剤を塗工ないし噴霧し、固定する方法等を挙げることができる。塗工方法としては、例えばスパイラル塗工等を挙げることができる。
【0150】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、不織布シート32によって構成されるサイドシート19と、バックシート20との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40を固定している。但し、図1A〜図1Cに示すように、サイドシート19とカバーシート24との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40を固定してもよい。
【0151】
[2−4]止着テープ:
止着テープには止着材が付設されている。止着材の種類は特に限定されない。但し、メカニカルファスナー(面状ファスナー)のフック材を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは止着力が高く、複数回の脱着を行っても止着力が低下し難い点で好ましい。例えば、図1A〜図1Cに示すように止着テープ11を構成する基材50の先端近傍に止着材48を付設する。一方、図1A〜図1Cに示すように前被包部2に、被止着材46(メカニカルファスナーのループ材)からなるフロントパッチ13を付設する。止着材48を被止着材46に止め付けることで、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。
【0152】
止着テープの数は特に限定されない。但し、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
【実施例】
【0153】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の使い捨ておむつは、その発明特定事項を備えた使い捨ておむつを全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0154】
〔実施例1〕
実施例1として、図1A〜図1Cに示すテープ型の使い捨ておむつ1を作製した。このテープ型使い捨ておむつ1は、乳児用Mサイズのものであり、おむつ本体70の前後方向長さが455mm、前被包部2及び後被包部6の幅が252mm、股下被包部4の幅が235mmの砂時計型に構成した。
【0155】
図3A〜図3Eに示すように、ギャザーバンド78は、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたものとした。
【0156】
伸縮性不織布58を構成する不織布シート52,54としては、坪量15g/m2の撥水性のSMS不織布シートを用いた。不織布シート52,54のサイズは、幅62mm×長さ348mmとした。不織布シート52,54の層間に、伸縮材56として太さ480dtexの糸ゴムを伸長率250%で配置し固定して伸縮性不織布58とした。伸縮材56は5mmピッチで13本配置した。
【0157】
ギャザー形成シート82としては、スパンボンド不織布からなり、坪量18g/m2のポリプロピレン製不織布シートを用いた。このギャザー形成シート82を超音波シールにより、不織布シート52,54の原寸まで伸張させた伸縮性不織布58の肌当接面に接合し、ギャザーバンド78とした。
【0158】
接合部84は、幅0.4mm、長さ10mmの矩形状接合部を複数個集合的に形成したものであり、前記矩形状接合部を胴周り方向に7mm間隔、胴周り方向と直交する方向に1mm間隔で配列するものとした。
【0159】
図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)に対して胴周り方向に向かって連続的に、かつ、全面的に接合した。この際、左延出部60又は右延出部62が、一の被包部(後被包部6)の左側縁70a又は右側縁70bより48mm延出されているように接合した。また、ギャザーバンド78は、ウエスト端縁70cから離隔し、やや股下側に配置した。ウエスト端縁70cとギャザーバンド78の端縁との間隔は12mmとした。
【0160】
止着テープ等の構造は、図4A〜図4Bに示すものとした。左補強シート64、右補強シート66としては、ポリプロプレンを原料としたスパンボンド不織布からなるシートを用いた。形状は幅35mm×長さ25mmの矩形状とした。止着テープ11としては、ポリプレンを原料としたスパンボンド不織布からなる基材50の先端部に止着材48が付設されたものとした。基材50の形状は幅35mm×長さ29mmの矩形状とした。止着材48としては、メカニカルファスナーのフック材を用いた。形状は幅35mm×長さ15mmの矩形状とした。
【0161】
ギャザーバンド78、補強シート(左補強シート64、右補強シート66)及び止着テープ11は積層して1箇所で接合した。接合方法としては超音波シールを採用した。接合部68,69は、ギャザーバンド78の側縁から4mm内側に、胴周り方向に長い長方形(幅1mm×長さ4mm)の接合点を多数形成するパターンとした。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明の使い捨ておむつは、乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ、より具体的にはテープ型使い捨ておむつとして利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1:使い捨ておむつ、2:前被包部、4:股下被包部、6:後被包部、11:止着テープ、11A:左止着テープ、11B:右止着テープ、13:フロントパッチ、18:トップシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、24:カバーシート、26:立体ギャザー、32:不織布シート、36:立体ギャザー伸縮材、40:レッグ伸縮材、46:被止着材、48:止着材、50:基材、52,54:不織布シート、56:伸縮材、58:伸縮性不織布、60:左延出部、62:右延出部、64:左補強シート、66:右補強シート、68,69:接合部、70:おむつ本体、70a:左側縁、70b:右側縁、70c,70d:ウエスト端縁、78:ギャザーバンド、80:伸縮部、82:ギャザー形成シート、84,84A,84B,84C:接合部、86:ギャザー内空間、88:ギャザー、90,90A,90B,90C:線状接合部、92,92A,92B:ドット状接合部、101,201:使い捨ておむつ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、着用者の胴周りを被包するように装着される吸収性物品であり、排泄物を吸収・保持させるための吸収体を備えている。
【0003】
前記のような使い捨ておむつにおいては、伸張状態の伸縮材を固定することが行われている。この伸縮材は、着用感やフィット感を向上させ、おむつの開口部や縁部からの排泄物の漏れを防止する目的で固定されるものである。
【0004】
しかし、単に伸張状態の伸縮材を固定するのみでは、伸縮材固定部に伸縮性を付与することはできても、柔軟性、クッション性等が不十分となる場合がある。例えば、以下の問題があった。
1)伸縮材による締め付けが強過ぎて着用者の肌にゴム跡(タイマーク)がつくこと。
2)伸縮材固定部は接着剤の塗工や伸縮材の熱融着等によって硬くなり易いため、おむつの柔軟性や触感が損なわれること。
3)伸縮材固定部が硬くなっていると、着用者自身の肌は勿論のこと、交換作業をする者の手指を傷つける場合があること。
【0005】
そこで、使い捨ておむつにおいては、伸縮材固定部に伸縮性を付与しつつ、柔軟性、クッション性等を改善するための種々の提案がなされている。例えば、外層シート、内層シート及び複数本の弾性部材により吸収性物品の外包材が形成され、前記外層シート及び前記内層シートが、胴周り方向及びその直交方向に向かって間欠的に形成した接合部によって相互に接合されたパンツ型吸収性物品が提案されている。この吸収性物品においては、前記弾性部材が前記接合部を通らないように配されている(特許文献1〜5参照)。
【0006】
このパンツ型吸収性物品では、前記弾性部材が前記外層シート及び前記内層シートに固定されないように構成されている。そして、ウエスト部の全周に、ウエスト部の外端部から内端部に亘って延びる複数本の襞が形成されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−136793号公報
【特許文献2】特開2008−136794号公報
【特許文献3】特開2008−142316号公報
【特許文献4】特開2008−142341号公報
【特許文献5】特開2008−142342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜5に記載のパンツ型吸収性物品は、弾性部材により外層シート及び内層シートをウエスト周方向に収縮させて複数本の襞を形成させるものである。そして、前記襞により形成される凸曲面が外装シートと内層シートの厚み方向にボリュームを出し、伸縮材配置部の柔軟性、クッション性等を改善することを企図していると考えられる。
【0009】
しかしながら、前記の構造は外装シートと内層シートの間欠的な接合部を通らないように弾性部材が配された特殊な構造である。この構造では弾性部材は外装シート及び内層シートの何れにも拘束されず、自由に伸張することができる。例えば製造時に300%の伸張率で弾性部材を配置しても、使用時において局所的にはその300%の伸張率を超えて弾性部材が伸張する場合が起こり得る。即ち、弾性部材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張する場合がある。従って、硬く張り詰めた弾性部材が内層シートを介して肌に当接し、痛みや不快感を生ずるおそれがあるという課題があった。更に、前記の特殊な構造を得るために、製造に際して精密な接合技術が必要となり、製造が困難であるという課題もあった。
【0010】
本発明は、前記のような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。具体的には、伸縮材が過度に伸張することがなく快適な着用感を得られるとともに、容易に製造することができる使い捨ておむつを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、1)おむつ本体を胴周り方向に伸縮させる伸縮部を形成し、2)前記伸縮部と重畳する位置に、前記伸縮部を被覆するギャザー形成シートを配置し、3)胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとを胴周り方向に向かって間欠的に接合し、4)前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートと重畳する位置に止着テープを接合することによって、前記課題が解決されることに想到して、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の使い捨ておむつが提供される。
【0012】
[1]着用者の股下を被包し、吸収体が配置された股下被包部、着用者の胴周り前方を被包する前被包部、及び着用者の胴周り後方を被包する後被包部の各部から形成されたおむつ本体と、前記前被包部及び前記後被包部のうちの一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部と、前記伸縮部と重畳する位置に配置され、前記伸縮部を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シートと、前記一方の被包部における左側縁よりも胴周り方向左側に延出された左止着テープ及び前記一方の被包部における右側縁よりも胴周り方向右側に延出された右止着テープからなり、止着材が付設され、前記一方の被包部を他方の被包部に対して止め付ける止着テープと、を備え、胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されており、前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ。
【0013】
[2]前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の左側縁部に直接接合され、前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の右側縁部に直接接合されている前記[1]に記載の使い捨ておむつ。
【0014】
[3]前記おむつ本体とは別体の伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたギャザーバンドを備え、前記ギャザーバンドは、一の方向に伸張させた状態の前記伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが、前記一の方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されたものであり、前記ギャザーバンドは、前記一の方向が前記胴周り方向と一致するように、前記一方の被包部に接合され、前記伸縮部が、前記ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布によって形成されている前記[1]又は[2]に記載の使い捨ておむつ。
【0015】
[4]前記ギャザーバンドは、前記一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されるとともに、前記一方の被包部の左側縁より胴周り方向左側に延出された左延出部及び前記一方の被包部の右側縁より胴周り方向右側に位置する右延出部を有するように前記一方の被包部の肌当接面に接合されており、前記左止着テープは、前記ギャザーバンドの前記左延出部に接合され、前記右止着テープは、前記ギャザーバンドの前記右延出部に接合されている前記[3]に記載の使い捨ておむつ。
【0016】
[5]前記ギャザーバンドの左側縁部と重畳する位置に、左補強シートが接合され、前記左止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、前記ギャザーバンドの右側縁部と重畳する位置に、右補強シートが接合され、前記右止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている前記[3]又は[4]に記載の使い捨ておむつ。
【0017】
[6]前記ギャザーバンドの左側縁部と前記左補強シートとの接合部が、前記左止着テープと前記左補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されるとともに、前記ギャザーバンドの右側縁部と前記右補強シートとの接合部が、前記右止着テープと前記右補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されている前記[5]に記載の使い捨ておむつ。
【0018】
[7]前記ギャザーバンドが、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたものであり、前記ギャザーバンドのうち前記一方の被包部に接合される部分は、前記不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、前記一方の被包部に接合されている前記[3]〜[6]のいずれか一に記載の使い捨ておむつ。
【発明の効果】
【0019】
本発明の使い捨ておむつにおいては、伸縮部に対してギャザー形成シートが接合されているため、伸縮部を構成する伸縮材が過度に伸張することがなく快適な着用感を得られる。
【0020】
また、伸縮部に対してギャザー形成シートが間欠的に接合されているため、図1D及び図1Eに示すように、伸縮部80の収縮に伴ってギャザー形成シート82が撓んで波型に変形され、ギャザー88が形成される。このギャザー88によって、エアクッションのような緩衝機能が発揮され、またギャザー内空間86によって通気性も向上する。この構造は、伸縮部に対してギャザー形成シートを間欠的に接合することにより製造可能である。従って、本発明の使い捨ておむつは容易に製造することができる。
【0021】
更に、伸縮部から浮き上がったギャザー形成シートによってギャザーが形成されるため、伸縮部自体によってギャザーが形成される場合と比較して、ギャザーが容易に変形し、形状追従性にも優れる。即ち、着用者の肌に対するギャザーのフィット性が高い。従って、着用者が座る動作、這う動作、寝返りを打つ動作等を行った場合でも着用者の肌に対してギャザーが追従し易く、おむつのずれを防止することができる。
【0022】
更にまた、伸縮部がギャザー形成シートによって被覆されているため、伸縮部を構成する伸縮材や伸縮材を固着する接着剤等の硬い触感が着用者の肌に伝わり難い。従って、着用者の肌に対して柔軟な触感を与えることができる。
【0023】
また、伸縮部及びギャザー形成シートと重畳する位置に止着テープが接合されているため、おむつの装着時に止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接伝達される。従って、おむつの装着時に、着用者の肌に対してギャザーをフィットさせ易い。更に、着用者が座った状態のまま身体を前に傾ける動作に対してもギャザーが追従し易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本発明の使い捨ておむつの一の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図1B】図1Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図1C】図1Aに示す使い捨ておむつの概略裏面図である。
【図1D】図1Aに示す使い捨ておむつの伸縮部近傍を模式的に示す斜視図である。
【図1E】図1Dに示す使い捨ておむつのX−X’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図1F】図1Aに示す使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。接合部の形態を示している。
【図2A】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1Fに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図2B】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1F又は図2Aに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図2C】本発明の使い捨ておむつの伸縮部、ギャザー形成シート及び接合部を拡大し、ギャザー形成シートの一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1F、図2A又は図2Bに示す形態とは異なる接合部の形態を示している。
【図3A】図1Aに示す使い捨ておむつのギャザーバンドを模式的に示す概略平面図である。
【図3B】図3Aに示すギャザーバンドのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3C】図3Aに示すギャザーバンドのB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3D】図3Aに示すギャザーバンドのC−C’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図3E】図3Aに示すギャザーバンドの概略裏面図である。
【図4A】図1Aに示す使い捨ておむつのギャザーバンド及び止着テープを模式的に示す概略平面図である。
【図4B】図4Aに示すギャザーバンド及び止着テープのA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。
【図5A】本発明の使い捨ておむつの別の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図5B】図5Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図6A】本発明の使い捨ておむつの更に別の実施形態を模式的に示す概略平面図である。
【図6B】図6Aに示す使い捨ておむつのA−A’切断端面の部材の積層状態を模式的に示す概略端面図である。
【図6C】図6Aに示す使い捨ておむつの概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明には所定の特定事項を備えた使い捨ておむつが広く包含される。従って、本発明は、以下に具体的に示す使い捨ておむつに限定されるものではない。
【0026】
[1]本発明の特徴的構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように、少なくとも、(1)おむつ本体70、(2)伸縮部80、(3)ギャザー形成シート82、及び(4)止着テープ11を構成要素として備えている。
【0027】
[1−1]おむつ本体:
図1A〜図1Cに示すように、おむつ本体70は、(a)股下被包部4、(b)前被包部2、及び(c)後被包部6の各部から形成されている。
【0028】
[1−1A]股下被包部:
図1A〜図1Cに示すように、股下被包部4は、おむつ本体70のうち着用者の股下を被包し、吸収体22が配置された部分である。即ち、股下被包部は排泄物を吸収・保持する機能を有する。
【0029】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70が砂時計型(ウエスト端縁70c,70d側が幅広く、股下側に幅狭い括れを有する形状。)に形成されている。この場合、ウエスト端縁70c(即ち、おむつ本体前端)側の括れの起点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁70d(即ち、おむつ本体後端)側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「股下被包部」と称することにする。
【0030】
吸収体の構成については特に限定されず、従来公知の吸収性物品に用いられる吸収体を用いることができる。吸収体の具体的な構成については後述する。なお、本発明においては、股下被包部以外に吸収体が配置されていてもよい。例えば図1A〜図1Cに示すように前被包部2及び後被包部6に吸収体22が配置されていてもよい。
【0031】
[1−1B]前被包部、後被包部:
図1A〜図1Cに示すように、前被包部2はおむつ本体70のうち着用者の胴周り前方を被包する部分であり、後被包部6はおむつ本体70のうち着用者の胴周り後方を被包する部分である。
【0032】
既述のように、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70が砂時計型に形成されている。従って、ウエスト端縁70c(即ち、おむつ本体前端)と、ウエスト端縁70c側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「前被包部」と称することにする。一方、ウエスト端縁70d(即ち、おむつ本体後端)と、ウエスト端縁70d側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域を「後被包部」と称することにする。
【0033】
[1−2]伸縮部:
図1A〜図1Cに示すように、伸縮部80は前被包部2及び後被包部6のうちの一方の被包部(図示の例では後被包部6)を胴周り方向に伸縮させるように形成された部分である。伸縮部は伸縮部を構成する伸縮材(ゴムや熱可塑性エラストマー等)の収縮力によってギャザー形成シートを撓み変形させ、ギャザーを形成させる機能を有する。
【0034】
「前被包部及び後被包部のうちの一方の被包部」とは、前被包部及び後被包部のいずれか一方又は双方の意味である。但し、図1A〜図1Cに示すように後被包部6を胴周り方向に伸縮させる伸縮部80が形成されていることが好ましい。後被包部側にギャザーが形成されると、着用者の背中に対してギャザーがフィットする。従って、着用者の背中とおむつの間に隙間が形成され難くなり、背中を伝った軟便漏れが防止される。
【0035】
「胴周り方向」とは、着用者がおむつを装着した際に着用者の胴を取り囲む方向を指す。換言すれば、前被包部又は後被包部の幅方向(左右方向)である。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1においては、ウエスト端縁70cと平行する方向(ないしは左側縁70a及び右側縁70bと直交する方向)に、後被包部6を収縮させるように伸縮部80が形成されている。
【0036】
「胴周り方向に伸縮させるように形成」とは、単に伸縮部を形成するのみでは不十分で、伸縮部の伸縮方向が前記一方の被包部の胴周り方向に沿っている必要があることを意味する。例えば線状の伸縮材は長手方向に伸縮し易く、短手方向には伸縮し難い。このように特定の方向に伸縮し易い伸縮材を用いて伸縮部を構成する場合には、前記特定の方向が胴周り方向に沿うように伸縮部を形成する必要がある。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は後被包部6のウエスト端縁70cと平行に線状の伸縮材(この例では伸縮材)を配置することで、胴周り方向に伸縮する伸縮部80を形成している。
【0037】
但し、前記一方の被包部が胴周り方向に伸縮する限り、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように胴周り方向と伸縮部80の伸縮方向が完全に合致している必要はない。例えばウエスト端縁と平行な方向に対して上に凸ないし下に凸のカーブを描くように線状の伸縮材が配置されていてもよい。
【0038】
なお、伸縮部は「一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成」されていればよい。即ち、「一方の被包部」自体に伸縮部が形成されている必要はない。例えば図1A〜図1Cに示すように、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備え、伸縮性不織布58によって伸縮部80が形成されていてもよい。ギャザーバンドの具体的な構成については後述する。
【0039】
伸縮部は伸縮性不織布によって形成することができる。例えば図1A〜図1Cに示す伸縮部80は、2枚の不織布シート52,54の層間に伸張状態の線状の伸縮材56が配置されている。また、線状の伸縮材56が2枚の不織布シート52,54に対して固着されている。そして、2枚の不織布シート52,54及び伸縮材56が一体的に挙動する伸縮性不織布58によって形成されている。このような構造とすれば、特許文献1〜5のパンツ型吸収性物品とは異なり、伸縮材がシート幅以上に伸張することがない。即ち、伸縮材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張されることがない。
【0040】
但し、伸縮部を形成する伸縮性不織布は必ずしも図1A〜図1Cに示す構成でなくてもよい。例えば伸縮材を固定する不織布シートは2枚に限られず、3枚以上であってもよい。
【0041】
また、伸縮性不織布として、伸縮性フィルムが不織布シートに対して固着され、不織布シート及び伸縮性フィルムが一体的に挙動するものを用いてもよい。このような伸縮性不織布も、図1A〜図1Cに示す構造の伸縮性不織布58と同様の効果を奏する。この形態には2枚の不織布シートの層間に伸縮性フィルムが配置されたものの他、1枚の不織布シートの表面に伸縮性フィルムが配置されたものも含まれる。
【0042】
更には、伸縮性不織布として、不織布自体が伸縮性を有するものを用いてもよい。例えば、市販のエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布等を用いることができる。具体的には、以下全て商品名で、ストラフレックス(出光ユニテック社製)、エスパンシオーネ(KBセーレン社製)等を好適に用いることができる。これらのエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものである。
【0043】
以上説明したように、本明細書に言う「伸縮性不織布」には、非伸縮性の不織布シートに伸縮材を接合等することによって伸縮性を付与したものの他、不織布自体が伸縮性を有するものも広く包含される。
【0044】
なお、使い捨ておむつは、不織布シートの層間に伸縮材を配した構造を有していることが多い。従って、必ずしも別途、伸縮性不織布を配する必要はない。即ち、従来の使い捨ておむつの構造の一部を伸縮部として利用してもよい。例えば、後被包部を構成する複数の不織布シートの層間にウエスト伸縮材が配されている場合には、その部分を伸縮部として利用することができる。
【0045】
[1−3]ギャザー形成シート:
図1A〜図1Cに示すように、ギャザー形成シート82は、伸縮部80と重畳する位置に配置されるシート状の部材である。ギャザー形成シートは伸縮部を被覆するギャザーを形成する機能を有する。
【0046】
「伸縮部と重畳する位置に配置」とは、伸縮部の位置とギャザー形成シートの配置位置が重なっていることを意味する。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備え、伸縮性不織布58によって伸縮部80が形成されている。従って、伸縮部80の位置とギャザー形成シート82の配置位置が完全に重なっている。このような形態は伸縮部を被覆するというギャザー形成シートの機能を十分に発揮させることができる点で好ましい。
【0047】
本発明においては、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1のように伸縮部80の位置とギャザー形成シート82の配置位置が完全に重なっている必要はない。但し、伸縮部の幅(ウエスト端縁と平行する方向の長さ)の60%以上をカバーするようにギャザー形成シートを配置することが好ましい。
【0048】
ギャザー形成シートは伸縮部の肌当接面に配置されていることが好ましい。「肌当接面」とは、使い捨ておむつの着用時に、着用者の肌に直接当たる面、即ち使い捨ておむつの最内面を意味する。ギャザー形成シートを伸縮部の肌当接面に配置することで、着用者の肌に対する柔軟性やフィット性を向上させることができる。
【0049】
ギャザー形成シートの構成材料としては不織布が好ましく、撥水性不織布が更に好ましい。撥水性不織布を用いることで、ギャザー形成シートを伝った排泄物の漏れが生じ難くなる。「撥水性不織布」としては、後述するサイドシートと同様の素材を用いることができる。
【0050】
ギャザー形成シートの坪量は8〜50g/m2とすることが好ましい。8g/m2未満とすると、肌に当接するギャザーが薄すぎて、ギャザーにコシがなく、フィット性を向上させる効果が得られ難い。一方、50g/m2を超えると、1)シートの剛性が高過ぎて伸縮材の収縮に連動して撓み難くなり、ギャザー構造を形成し難くなる、2)シートの嵩が大き過ぎて、肌に当接するギャザーがゴワゴワし、着用感が低下する等のおそれがある。
【0051】
ギャザー形成シートには、おむつの内部空間とギャザー内空間(ギャザー形成シートと伸縮部の層間に形成された空間を指す。)とを連通させる孔が形成されていてもよい。このような構造とすることで、おむつの内部空間から孔を経由してギャザー内空間に湿気が流入し、ギャザー内空間を通過した湿気がおむつの外部空間へ排出される。
【0052】
「孔」とは、おむつの内部空間とギャザー内空間とを連通させる開口部を意味し、その形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等の形状を挙げることができる。
【0053】
なお、「孔」には常時開口しているもののみならず、開閉可能な構造のものも含まれる。例えばギャザー形成シートに軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットを形成することにより、弁として機能する舌片を有する孔とすることができる。前記舌片により、ギャザー内空間に尿や体液が侵入することを抑制しつつ、湿気を通過させることができる。
【0054】
スリットの形態は特に限定されない。「軌跡が凸形状のスリット」としては、a)湾曲部を有するスリット(逆U字状スリット等)、b)屈曲部を有するスリット(逆V字状スリット等)等を挙げることができる。また、「交差する複数本のスリット」としては、c)二本のスリットを交差させて形成した十字状のスリット、d)3本のスリットを交差させて形成した星型のスリット等を挙げることができる。
【0055】
また、ギャザー形成シートには孔を複数形成してもよい。孔を複数形成することによって、通気性が向上し湿気をおむつ外部に排出し易くなる。
【0056】
「複数」の具体的な数は特に限定されない。孔の開口面積によっても異なる。開口面積が0.5〜10mm2の孔であれば5〜200個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで通気性向上効果を得ることができる。一方、200個以下とすることで尿や体液がギャザー内空間に流入することを有効に防止することができる。
【0057】
ギャザー形成シートに薬剤を付着させておくことも好ましい形態の一つである。薬剤を付着させることにより、着用者の肌と直接接触するギャザー形成シートに当該薬品に基づく薬効を付与することができる。
【0058】
薬剤の種類は特に限定されない。例えば保湿剤(アロエエキス、プロピレングリコール等)、保湿効果を奏することに加え、ウレアーゼ阻害活性を有するスキンケア用添加物(ユーカリ抽出物等)を挙げることができる。また、消毒剤、抗菌剤(エデト酢酸、塩化ベンザルコニウム等)、消臭剤(各種ポリフェノール化合物等)等を挙げることができる。
【0059】
[1−4]止着テープ:
図1A〜図1Cに示すように、止着テープ11は、左止着テープ11A及び右止着テープ11Bからなる。左止着テープ11Aは、一方の被包部(後被包部6)における左側縁70aよりも胴周り方向左側に延出されている。そして、右止着テープ11Bは一方の被包部(後被包部6)における右側縁70bよりも胴周り方向右側に延出されている。即ち、左右の止着テープが対をなす。止着テープは一方の被包部(例えば後被包部)を他方の被包部(例えば前被包部)に対して止め付ける機能を有する。
【0060】
[1−5]伸縮部とギャザー形成シートとの関係:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように胴周り方向に伸張させた状態の伸縮部80と、ギャザー形成シート82とが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されている。
【0061】
「伸張させた状態の伸縮部」とは、収縮力が作用している状態の伸縮部を意味する。例えば複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布等は自然状態において原寸より収縮された状態となっており、収縮力は作用していない。従って、このような伸縮性不織布等については収縮状態から伸張させた状態でギャザー形成シートを接合する。一方、不織布シートに伸縮性フィルムが固着された伸縮性不織布、エラスチック不織布又はエラストマースパンボンド不織布等は、自然状態(張力をかけていない状態)において原寸の状態となっており、収縮力は作用していない。従って、これらの伸縮性不織布等については原寸より伸張させた状態でギャザー形成シートを接合する。
【0062】
伸縮部とギャザー形成シートの接合は、伸縮部の表面とギャザー形成シートとが接合されることで行われる。
【0063】
「間欠的」とは、接合部が非連続的ないし断続的に形成されていることを意味する。この接合状態では、接合部においては伸縮部とギャザー形成シートが一体不可分の状態となっている。一方、非接合部においては伸縮部とギャザー形成シートが相互に拘束されず、自由に離間可能な状態となっている。
【0064】
本発明においては、ギャザー形成シートや伸縮部における一の接合部と他の接合部との間隙部が収縮してギャザーを形成する。従って、接合部同士の間隔は胴周り方向に向かって2〜50mmとすることが好ましく、5〜10mmとすることが特に好ましい。
【0065】
なお、「間欠的」とは胴周り方向(即ち、伸縮部の収縮方向)に向かって間欠的であればよい。即ち、接合部が胴周り方向と直交する方向(直交方向)に向かっていかなる形状に形成されているかは特に限定されない。但し、接合部は前記直交方向に向かって連続的に形成されていることが好ましい。このような形態は、前記直交方向に向かうギャザーを形成することができ、肌触りや通気性に優れる。例えば、前記直交方向に向かって連続的に形成され、かつ、胴周り方向に対して規則的な間隔で形成された接合部等を挙げることができる。
【0066】
図1Fは、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1の伸縮部80、ギャザー形成シート82及び接合部84を拡大し、ギャザー形成シート82の一部を切り欠いて模式的に示す概略平面図である。図1Fに示すように接合部84は前記直交方向(図面上下方向)に向かう、複数の線状接合部90からなる。そして、線状接合部90が胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。更に、線状接合部90の各々は、複数のドット状接合部92が前記直交方向に向かって一列に配置された集合体として形成されている形態である。
【0067】
図1Fに示す例では、線状接合部90が前記直交方向に向かって配向している。従って、胴周り方向に向かって配向させた場合と比較して湿気等が前記直交方向に向かって流れ易く、おむつのウエスト端縁側からの湿気等の排気を促進することができる。また、着用者の胴周りの曲線的な形状におむつを追従させ易く、フィット性、着用感にも優れる。
【0068】
なお、本明細書において「線状」というときは、前記直交方向に延びる形状を広く包含するものとし、いわゆる線状の他、帯状、短冊状等の形状も含むものとする。また、複数のドット状接合部が「集合体」と把握されるためには、隣接するドット状接合部との間隔が5mm以下であることを要する。
【0069】
また、図2Aに示す形態は、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。接合部84Aは、前記直交方向に向かう複数の線状接合部90Aからなる。そして、線状接合部90Aが胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。更に、線状接合部90Aが円形状のドット状接合部92Aの集合体として形成されている。従って、図1Fに示す形態の効果に加えて、触感が硬くなり易い接合部84Aが肌に当たっても痛みを生じ難いという効果を奏する。
【0070】
また、図2Bに示す形態も、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。接合部84Bは、前記直交方向に向かう複数の線状接合部90Bからなる。そして、線状接合部90Bが胴周り方向に向かって間欠的に形成されている。
【0071】
更に、線状接合部90Bの各々は、複数のドット状接合部92Bが前記直交方向にn行、胴周り方向にm列で、n<mを満たすマトリクス状に配置された集合体して形成されている形態である。この形態は「n<m」とすることで、各々の線状接合部90Bにおいて前記直交方向に比して胴周り方向に、より多くのドット状接合部92Bを配置し、胴周り方向より前記直交方向が長い線状に形成したものである。
【0072】
図2Bに示す例では、線状接合部90Bが円形状のドット状接合部92Bの集合体として形成され、そのドット状接合部92Bが2行5列のマトリクス状に配置された集合体として形成されている。
【0073】
前記のような形態では、幅1〜4mm×長さ2〜80mmの線状接合部を、前記直交方向に1〜30箇所形成することが好ましい。各々の線状接合部は1個当たりの面積が1〜4mm2のドット状接合部を胴周り方向に0.5〜5mm間隔、前記直交方向に0.5〜3mm間隔でマトリクス状に配置した集合体とすることが好ましい。
【0074】
図2A及び図2Bにおいては、線状接合部をドット状接合部の集合体として形成した例で説明した。但し、図2Cに示すように胴周り方向に向かって間欠的に、かつ、前記直交方向に向かって連続的に形成された接合部84Cであることも好ましい(線状接合部90C)。図2Cに示す形態も、図1Fに示す形態と伸縮部の構成が同一で、接合部の形態が異なるものである。
【0075】
中でも、図2Cに示す形態のように、接合部84Cのように前記直交方向に延びる線状に形成され、接合部84Cがウエスト端縁70cを横切る方向に並んでいる形態が好ましい。このような形態とすると、おむつの内部空間に通ずるギャザー内空間が、ウエスト端縁に向かって開口される。従って、ギャザー内空間によって、おむつの内部空間と外部空間とが連通される。即ち、十分な通気を図ることができ、湿気等の排気が促進される点において好ましい。
【0076】
図2Cに示す形態と同様の思想から、図2A及び図2Bに示す形態のように、前記直交方向に向かう一直線上に乗るように、複数の接合部を一列に整列させて形成することが好ましい。このような形態も、図2Cに示す形態と同様に、前記直交方向に連続する直線的なギャザーを形成し易くなる。従って、形成されるギャザーが潰れ難くなり、通気性を向上させ易い点において好ましい。
【0077】
本発明の使い捨ておむつにおいては、ギャザー形成シートと伸縮部とが、おむつの胴周り方向と前記直交方向の両方向に向かって間欠的に形成された接合部により接合されていることも好ましい。
【0078】
例えば、複数のドット状接合部が千鳥に配置されたものであってもよい。このような形態でも、ギャザーを形成することができることに加え、おむつの内部空間と外部空間を連通するギャザー内空間が形成される。従って、柔軟性や形状追従性を向上させるのは勿論のこと、図2A〜図2Cに示す形態と同様に通気性を向上させることができる。
【0079】
[1−6]ギャザーバンド:
本発明の使い捨ておむつは、図1A〜図1C、図3A〜図3Eに示すようにおむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたギャザーバンド78を備えていることが好ましい。この形態においては、ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布が伸縮部を構成する。従って、おむつ本体に伸縮部が形成されていなくても、ギャザーを形成することができる。
【0080】
図3A〜図3Eに示すように、ギャザーバンド78は、一の方向に伸張させた状態の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが、一の方向に向かって間欠的に形成された接合部84を介して接合されている。そして、ギャザーバンド78は、一の方向(即ち、伸縮性不織布58の伸縮方向)が胴周り方向と一致するように、一方の被包部(後被包部6)に接合されている。
【0081】
図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)に対して胴周り方向に向かって連続的に、かつ、全面的に接合されている。このような形態はギャザーシートの伸縮性を一方の被包部に対して付与することができる。
【0082】
但し、ギャザーバンドは一方の被包部に対して胴周り方向に向かって間欠的に接合してもよい。例えば、一方の被包部に胴周り方向に向かって間欠的に(例えばストライプ状に)ホットメルト接着剤を塗工し、ギャザーバンドを接合する。これにより、一方の被包部とギャザーバンドの間に隙間が形成され、通気性やクッション性を向上させることができる。
【0083】
また、ギャザーバンドのウエスト端縁側の端縁部のみを接合し、股下側の端縁部を非接合としてもよい。このような形態は、左右の立体ギャザーとギャザーバンドが相俟って股下側に開口するポケット構造を形成することができる。前記ポケット構造は軟便をトラップする効果がある。
【0084】
ギャザーバンドと一方の被包部との接合は、ホットメルト接着剤による接合が好ましい。この場合、ホットメルト接着剤はギャザーバンドに塗工してもよいし、一方の被包部に塗工してもよい。
【0085】
図1A〜図1Cに示すように、ギャザーバンド78は、一方の被包部(後被包部6)の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されていることが好ましい。そして、一方の被包部の左側縁70aより胴周り方向左側に延出された左延出部60及び一方の被包部の右側縁70bより胴周り方向右側に位置する右延出部62を有するように一方の被包部の肌当接面に接合されていることが好ましい。
【0086】
前記形態は、ギャザーバンドの左延出部及び右延出部が一方の被包部との接合状態に拘らず自由に伸縮することができる。即ち、左延出部及び右延出部は一方の被包部によって挙動を拘束されることがない。従って、着用者の動作に対して追従し易く、フィット性を向上させることができる。また、左延出部及び右延出部が大きく伸縮し、着用者の肌と擦れ合うことがあっても、表面に形成されるギャザーによって機械的刺激が低減される。左延出部又は右延出部は、一の被包部の側縁より10〜150mm延出されていることが好ましい。
【0087】
但し、図6A〜図6Cに示すように、ギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)の胴周り方向の幅よりも幅狭く構成され、左延出部及び右延出部を有していなくてもよい。このような形態であっても、ギャザーによる柔軟性向上、通気性向上の効果を得ることができる。
【0088】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、ギャザーバンド78が、複数の不織布シート52,54の層間に伸張状態の伸縮材56が配置された伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたものである。このような形態においては、ギャザーバンドのうち一方の被包部に接合される部分が、不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、一方の被包部に接合されていることが好ましい。
【0089】
おむつの装着時には止着テープを両サイドに引っ張るため、前記一方の被包部が原寸通りの状態に伸展される。前記形態はギャザーバンドが常に収縮状態にあるため、前記一方の被包部が原寸通りの状態に伸展されていても、ギャザーが形成されるという利点がある。このような形態は図6A〜図6Cに示すようなギャザーバンドが一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅狭く構成され、左延出部及び右延出部を有しない形態に特に有効である。
【0090】
「不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態」とは、ギャザーバンドが自然長(即ち、完全に収縮した状態)より長く、かつ、不織布シートの原寸(即ち、最大長)より短い寸法となるように収縮している状態を具体的に規定したものである。ギャザーバンドが前記状態で一方の被包部に接合されていると、ギャザーバンドは完全に伸張することができず、伸縮性不織布が有する伸縮性を100%発揮できない状態になる。しかし、伸縮性不織布が収縮した状態ではギャザー形成シート撓ませてギャザーを形成することができる。また、前記のように一方の被包部が原寸通りの状態に伸展されていても、ギャザーバンド(ひいてはギャザー形成シート)は未だ収縮された状態となっていてギャザーが形成されることになる。この形態においては、ギャザーバンドが一方の被包部と間欠的に接合されていてもよいし、一方の被包部と連続的に接合されていてもよい。
【0091】
図1A〜図1Cに示すように、ギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)の左側縁部から右側縁部に至る連続体として構成されていることが好ましい。このような形態は一方の被包部の胴周り方向中央部にもギャザーが形成されるため、おむつの背側に隙間が形成され難い。従って、臀溝を伝った軟便漏れを有効に防止することができる。
【0092】
但し、ギャザーバンドを左右に分割する形態としてもよい。例えば一方の被包部の左側縁部に左ギャザーバンドを付設し、一方の被包部の右側縁部に右ギャザーバンドを付設し、一方の被包部の胴周り方向中央部にはギャザーバンドが存在しない形態としてもよい。
【0093】
また、図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は、止着テープ11の配置部位を除き、連続的に伸縮材56が配置されている。但し、中途で伸縮材を切断する等して、ギャザーバンドの一部に伸縮性が発揮されない部分を形成してもよい。
【0094】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、一方の被包部(後被包部6)の左側縁部から右側縁部に至る連続体のギャザーバンドを1本配置したものである。但し、成人用おむつのようにサイズが大きい場合は、ギャザーバンドを並列的に2本配置してもよい。この場合においても、ギャザーバンドの基本的な構成は同様である。おむつのサイズやギャザーバンドの数に応じて、ギャザーバンドのサイズや伸縮材の配置ピッチ等を適宜調整すればよい。
【0095】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すようにギャザーバンド78が一の被包部(後被包部6)の肌当接面に配置されていることが好ましい。この形態によれば着用者の肌に対するギャザーの接触面積を増加させることができ、柔軟な肌当たり、フィット性の向上という効果が大きくなる。
【0096】
但し、ギャザーバンドが左延出部及び右延出部を有する形態においては、ギャザーバンドが一の被包部の最外面に配置されていてもよい。このような形態でも左延出部及び右延出部における伸縮性向上効果を得ることができる。また、この形態では左延出部及び右延出部に形成されるギャザーが肌当接面側に露出される。従って、左延出部及び右延出部が大きく伸縮し、着用者の肌と擦れ合うことがあっても、機械的刺激が低減される。
【0097】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すようにギャザーバンド78が一の被包部(後被包部6)のウエスト端縁70cから離隔され、やや股下側に配置されていてもよい。製造工程において、隣接する使い捨ておむつとの間で個々に切断するので、ギャザーバンド78を切断することを避けるために、ウエスト端縁とギャザーバンドの端縁との間隔を4〜50mmとするのが好ましい。
【0098】
また、ギャザーバンドを構成するギャザー形成シートはその両端縁が、ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布の表面側ないしは裏面側に折り込まれていることが好ましい。ギャザーバンドの端部にギャザー形成シートの端縁が露出されていると、ギャザーバンドの伸縮に伴って、当該端縁と着用者の肌とが擦れ合い、着用者の肌に機械的刺激を与えるおそれがある。
【0099】
ギャザーバンドの胴周り方向と直交する方向(直交方向)への長さは特に限定されない。おむつのサイズやギャザーバンドの本数等に応じて適宜設定すればよい。図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は乳幼児用のおむつであり、ギャザーバンド78が1本配置されている。このような形態であれば、ギャザーバンドの前記直交方向への長さは20〜100mmとすることが好ましい。
【0100】
[1−7]伸縮部及びギャザー形成シートと止着テープとの関係:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されている。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている。
【0101】
前記のような構造においては、止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接的に伝搬される。従って、おむつの装着時において着用者の肌にギャザーをフィットさせ易いという効果がある。そして、着用者が座った状態で身体を前に倒す動作を行っても背中側のギャザーが追従し、背中側の隙間を埋める効果がある。また、伸縮部の収縮力が止着テープに直接的に伝搬されるので、止着材(メカニカルファスナーのフック材等)が被止着材(メカニカルファスナーのループ材等)に対して十分に食い込み、係合力が増加するという効果がある。
【0102】
前記効果をより確実に得るためには、図1A〜図1Cに示すように、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の左側縁部に直接接合されていることが好ましい。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の右側縁部に直接接合されていることが好ましい。
【0103】
図6A〜図6Cに示す使い捨ておむつ201も、左止着テープ11Aが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の左側縁部と重畳する位置に接合されている。そして、右止着テープ11Bが、伸縮部80及びギャザー形成シート82の右側縁部と重畳する位置に接合されている。従って、止着テープを引っ張る力が伸縮部及びギャザー形成シートに直接的に伝搬されるという効果を奏する。
【0104】
但し、図6A〜図6Cに示す使い捨ておむつ201は、止着テープ11が一方の被包部(後被包部6)を構成するサイドシート19とカバーシート24の間に挟み込まれている。そして、伸縮部80及びギャザー形成シート82の少なくとも一方の側縁部に直接接合されていない形態である。
【0105】
本発明の使い捨ておむつにおいては、伸縮部及びギャザー形成シートにおけるギャザー形成シート側の表面に止着テープが接合されていてもよいし、伸縮部側の表面に止着テープが接合されていてもよい。
【0106】
ギャザー形成シート側の表面に止着テープが接合されている形態は止着テープの根元側が外部に露出されないため、おむつの外観に優れる。逆に、伸縮部側の表面に止着テープが接合されている形態は、止着テープの根元側が着用者の肌当接面に露出されないため、着用者の肌に対して異物感を与え難い。前記のような各形態の利点及び製造の容易さ等を勘案して、いずれかの形態を選択することができる。
【0107】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1又は図5A〜図5Bに示す使い捨ておむつ101においては、ギャザーバンド78のギャザー形成シート82側の表面に止着テープ11が接合されている。従って、おむつの外観に優れる。
【0108】
前記形態においては、図1A〜図1C又は図5A〜図5Bに示すように、ギャザーバンド78の左右の側縁近傍に止着テープ11(11A,11B)が接合されていることが好ましい。おむつを使用する前の状態においては、図4A及び図4Bに示すように止着テープ11がおむつの肌当接面側に折り畳まれていることがある。そのような状態では使用者がおむつの外表面側から止着テープ11の位置を目視できない場合もある。そのような場合に、止着テープ11がギャザーバンド78の左右の側縁部、特に左延出部60及び右延出部62に接合されていると、使用者がギャザーバンド78の左右の側縁部を手で触ることにより、止着テープ11の位置を把握することができる。
【0109】
なお、ギャザーバンドのうち止着テープが接合される部分については伸縮材を切断する等して伸縮性を有しない状態としておくことが好ましい。伸縮性を有する部分に止着テープを接合すると、触感が硬い接合部に皺が寄り易くなり、着用者が異物感を感じることがある。具体的には、当該部分の伸縮材を部分的に破断させる、当該部分に伸縮材を配置しない等の手法で伸縮性を有しない状態とする方法を挙げることができる。
【0110】
また、前記方法に代えて、或いは前記方法と併せて、当該部分に非伸縮性の別素材を重畳的に接合する方法を採用してもよい。例えば図4A〜図4Bに示すギャザーバンド78は、左側縁部と重畳する位置(左止着テープ11Aが接合される部分)に非伸縮性の左補強シート64が接合されている。また、右側縁部と重畳する位置(右止着テープ11Bが接合される部分)に非伸縮性の右補強シート66が接合されている。
【0111】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図4A〜図4Bに示すようにギャザーバンド78の左側縁部と重畳する位置に、左補強シート64が接合されていることが好ましい。そして、左止着テープ11Aが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、左補強シート64の左側縁部と重畳する位置に接合されていることが好ましい。
【0112】
同様に、ギャザーバンド78の右側縁部と重畳する位置に、右補強シート66が接合されていることが好ましい。そして、右止着テープ11Bが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、右補強シート66の右側縁部と重畳する位置に接合されていることが好ましい。
【0113】
前記の構造は止着テープが付設されたギャザーバンドを連続的に製造することが容易となる点で好ましい。通常、ギャザーバンドを連続的に製造する場合、長尺の不織布シート及び長尺の線状伸縮材を連続的に送出して製造する。そうすると、長尺の不織布シート等の送出方向と平行に止着テープを接合する必要があり、技術的に困難である。
【0114】
従って、図4A及び図4Bに示す構造体が図面左右方向に複数連続するように製造し、図4A及び図4Bに示す構造体を切り出すようにする。この構造では止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向けた状態でギャザーバンドに接合されている。先端側が背向するように連続形成された2つの止着テープを、隣接するギャザーバンドに跨るように付設し、前記連続形成された2つの止着テープの中間をカットすればよい。こうすることによって、止着テープが付設されたギャザーバンドを同時に多数形成することが可能となり、止着テープが付設されたギャザーバンドの連続製造が容易になる。
【0115】
図4A及び図4Bに示す例では、ギャザーバンド78の側縁部の表面に、左補強シート64、右補強シート66が全面的に接合されている。そして、止着テープ11が、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、止着材48が付設された面をギャザーバンド78側に向けた状態で、左補強シート64、右補強シート66の側縁部の表面に接合されている。止着テープ11を左補強シート64、右補強シート66との接合部68を起点に展開すると、図1A〜図1Cに示す構造となる。
【0116】
但し、止着テープと補強シートが直接接合されている必要はない。例えば、補強シート、ギャザーバンド、止着テープの順で積層され、これらの部材が相互に接合されていてもよい。
【0117】
図4A及び図4Bに示す例では、左補強シート64、右補強シート66は止着テープ11と等幅に形成されている。しかし、補強シートは止着テープより幅広に形成されていることが好ましい。止着テープを引っ張った際の力をギャザーバンドに伝え易くするためである。
【0118】
図A及び図4Bに示す例では、ギャザーバンド78の左側縁部と左補強シート64との接合部69が、左止着テープ11Aと左補強シート64との接合部68と重畳する位置に形成されている。そして、ギャザーバンド78の右側縁部と右補強シート66との接合部69が、右止着テープ11Bと右補強シート66との接合部68と重畳する位置に形成されている。
【0119】
このような形態は、ギャザーバンド、補強シート及び止着テープを積層して1箇所で接合することができるため好ましい。これらの部材の接合方法は特に限定されない。例えば、ヒートシールや超音波シール等の接合方法を採用することができる。
【0120】
前記接合は、複数の接合点により接合することが好ましい。連続的な面状に接合すると、接合部が樹脂板に匹敵する程度に硬化するおそれがあるからである。接合パターンは特に限定されない。例えば、胴周り方向に長い長方形や楕円形、或いは円形等の接合点を多数形成するパターンとすることができる。
【0121】
止着テープについては、図1A〜図1C、図4A〜図4Bに示す止着テープ11の形状のみならず、従来公知の止着テープを用いてもよい。図5A〜図5Bに示す使い捨ておむつ101は、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1と同様の構成において、止着テープ11として従来公知の止着テープを用いたものである。
【0122】
図1A〜図1Cに示す例では、止着テープ11や補強シート(左補強シート64、右補強シート66)が矩形状に構成されている。但し、止着テープや補強シートの形状については特に限定されない。例えば、先端が直線的に幅狭くなる台形やカーブを描いて幅狭くなる富士山型としてもよいし、先端が波形にカットされていてもよい。
【0123】
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1A〜図1Cに示すように左止着テープ11Aがギャザーバンド78の左延出部60に接合され、右止着テープ11Bがギャザーバンド78の右延出部62に接合されていることが好ましい。このような形態は止着テープを引っ張ることにより、左延出部及び右延出部を十分に伸張させることができ、着用者の肌に対するフィット性を向上させることができる。
【0124】
[2]その他の構成:
本発明の使い捨ておむつは、前記特徴的構成以外の構成については特に限定されない。例えば以下の構成を採用することができる。
【0125】
[2−1]おむつ本体:
おむつ本体は、吸収体と、吸収体を被覆する各種シートが一体的に構成された構造体からなる。例えば図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、吸収体22と、吸収体22を被覆するトップシート18、サイドシート19、バックシート20及びカバーシート24が一体的に構成されたおむつ本体70を備えている。
【0126】
[2−1A]吸収体:
吸収体は、吸収性材料によって構成された構造体である。着用者の尿等を吸収し保持する目的で用いられる。前記吸収性材料としては、例えばフラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。前記フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したもの等を、前記SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウム等を、前記親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
【0127】
吸収体としては、1種又は2種以上の吸収性材料をマット状に成形したものを用いることが好ましい。マットは単層であっても複層であってもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させてもよいし、複数のフラッフパルプマットの層間に層状に配置して用いてもよい。
【0128】
なお、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するために、吸収体全体を前記親水性シートによって被包しておくことが好ましい。例えば、図1A〜図1Cに示す吸収体22は、吸収体22の上面側を図示されない上ティシュで被包し、吸収体22の側面側及び底面側を図示されない下ティシュで被包することで、吸収体22全体を親水性シートによって被包する形態を採用している。
【0129】
吸収体は、目的に応じて矩形状、砂時計型等の所望の形状に成形されたものを用いればよい。例えば、図1A〜図1Cに示す吸収体22は、矩形状の吸収体を用いた例である。
【0130】
[2−1B]トップシート:
トップシートは、吸収体の表面(おむつの装着時に着用者の肌と対向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。着用者の尿等を透過させる必要があるため、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
【0131】
前記液透過性材料としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0132】
前記不織布としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。前記親水化処理は、不織布の原綿に対して界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
【0133】
トップシートは「少なくとも一部」が液透過性材料によって構成されている。その位置については特に限定されない。但し、平面視した場合に股下被包部における吸収体の配置位置と重畳する部分が液透過性材料により構成されていることが好ましい。
【0134】
なお、おむつ本体においては、着用者の肌と対向する側の面全てがトップシートによってカバーされている必要はない。例えば図1A〜図1Cに示すように、おむつの胴周り方向中央部のみにトップシート18を配置し、おむつの胴周り方向側縁部には通気撥水性材料からなるサイドシート19を配置してもよい。前記通気撥水性材料としては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により得られた不織布シートを用いることが好ましい。特に防水性が高いSMS、SMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0135】
[2−1C]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時に着用者の肌と背向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0136】
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体に吸収された尿の漏れを防止するという観点から、例えば図1A〜図1Cに示すように、少なくとも吸収体22の配置位置をカバーするようにバックシート20が配置されていることが好ましい。
【0137】
前記液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されたフィルムであり、液不透過性であるが透湿性を有する。従って、防漏性を確保しつつ、おむつ内部空間の蒸れを防止することができる。
【0138】
図1A〜図1Cに示すようにバックシート20の外表面側にカバーシート24を貼り合わせる形態を採用してもよい。カバーシートはバックシートの外表面を被覆するように配置されるシートである。カバーシートはバックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとする目的で配置される。
【0139】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0140】
[2−2]立体ギャザー:
立体ギャザーは、おむつの肌当接面に配置された、立体的に起立する防漏壁である。着用者の肌に対して当接させ、レッグ伸縮材と相俟って排泄物の横漏れを防止する目的で用いられる。図1A〜図1Cに示す立体ギャザー26のように、不織布シート32によって構成され、不織布シート32の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36が挟み込まれて固定された構造のものを用いることが多い。このような構造とすれば、立体ギャザー伸縮材36の収縮力によって立体ギャザー26が立体的に起立する。
【0141】
図1A〜図1Cに示すように立体ギャザー26は、吸収体22の両側に左右一対配置することが多い。但し、吸収体の両側に左右二対以上の立体ギャザーを配置してもよい。
【0142】
不織布シートの材質は特に限定されない。但し、サイドシートと同様に、通気撥水性材料からなる不織布シートを好適に用いることができる。
【0143】
不織布シートは、専ら立体ギャザーを形成するものであってもよいし、立体ギャザーとおむつの他の部材を形成するものであってもよい。テープ型使い捨ておむつの場合、図1A〜図1Cに示すように撥水性不織布等からなる不織布シート32によって立体ギャザー26とサイドシート19を構成する形態とすることが多い。
【0144】
[2−3]各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつには、レッグ伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。
【0145】
[2−3A]レッグ伸縮材:
レッグ伸縮材は、股下被包部に配置される伸縮材である。レッグ伸縮材によって股下被包部にレッグギャザーが形成される。
【0146】
図1A〜図1Cに示すように、レッグ伸縮材40としては、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、少なくとも股下被包部4に、吸収体22の両側縁に沿うように、左右複数対の線状伸縮材を直線的に配置する形態を採用することが多い。
【0147】
[2−3B]伸縮材の構成、その他:
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴム、合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴム等を好適に用いることができる。また、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を用いることもできる。
【0148】
伸縮材は、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することが好ましい。この範囲とすることで着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることができる。伸縮材は、接着剤を用いた接着、熱や超音波等による溶着によって固定することができる。前記接着剤としてはホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いることができる。溶着の方法としてはヒートシール等を挙げることができる。
【0149】
伸縮材の固定の方法は特に限定されない。但し、伸縮材及び前記伸縮材を挟み込む不織布シートの少なくとも一つに、接着剤を塗工ないし噴霧し、固定する方法等を挙げることができる。塗工方法としては、例えばスパイラル塗工等を挙げることができる。
【0150】
図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1は、不織布シート32によって構成されるサイドシート19と、バックシート20との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40を固定している。但し、図1A〜図1Cに示すように、サイドシート19とカバーシート24との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40を固定してもよい。
【0151】
[2−4]止着テープ:
止着テープには止着材が付設されている。止着材の種類は特に限定されない。但し、メカニカルファスナー(面状ファスナー)のフック材を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは止着力が高く、複数回の脱着を行っても止着力が低下し難い点で好ましい。例えば、図1A〜図1Cに示すように止着テープ11を構成する基材50の先端近傍に止着材48を付設する。一方、図1A〜図1Cに示すように前被包部2に、被止着材46(メカニカルファスナーのループ材)からなるフロントパッチ13を付設する。止着材48を被止着材46に止め付けることで、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。
【0152】
止着テープの数は特に限定されない。但し、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
【実施例】
【0153】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の使い捨ておむつは、その発明特定事項を備えた使い捨ておむつを全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0154】
〔実施例1〕
実施例1として、図1A〜図1Cに示すテープ型の使い捨ておむつ1を作製した。このテープ型使い捨ておむつ1は、乳児用Mサイズのものであり、おむつ本体70の前後方向長さが455mm、前被包部2及び後被包部6の幅が252mm、股下被包部4の幅が235mmの砂時計型に構成した。
【0155】
図3A〜図3Eに示すように、ギャザーバンド78は、おむつ本体70とは別体の伸縮性不織布58と、ギャザー形成シート82とが一体的に構成されたものとした。
【0156】
伸縮性不織布58を構成する不織布シート52,54としては、坪量15g/m2の撥水性のSMS不織布シートを用いた。不織布シート52,54のサイズは、幅62mm×長さ348mmとした。不織布シート52,54の層間に、伸縮材56として太さ480dtexの糸ゴムを伸長率250%で配置し固定して伸縮性不織布58とした。伸縮材56は5mmピッチで13本配置した。
【0157】
ギャザー形成シート82としては、スパンボンド不織布からなり、坪量18g/m2のポリプロピレン製不織布シートを用いた。このギャザー形成シート82を超音波シールにより、不織布シート52,54の原寸まで伸張させた伸縮性不織布58の肌当接面に接合し、ギャザーバンド78とした。
【0158】
接合部84は、幅0.4mm、長さ10mmの矩形状接合部を複数個集合的に形成したものであり、前記矩形状接合部を胴周り方向に7mm間隔、胴周り方向と直交する方向に1mm間隔で配列するものとした。
【0159】
図1A〜図1Cに示すギャザーバンド78は一方の被包部(後被包部6)に対して胴周り方向に向かって連続的に、かつ、全面的に接合した。この際、左延出部60又は右延出部62が、一の被包部(後被包部6)の左側縁70a又は右側縁70bより48mm延出されているように接合した。また、ギャザーバンド78は、ウエスト端縁70cから離隔し、やや股下側に配置した。ウエスト端縁70cとギャザーバンド78の端縁との間隔は12mmとした。
【0160】
止着テープ等の構造は、図4A〜図4Bに示すものとした。左補強シート64、右補強シート66としては、ポリプロプレンを原料としたスパンボンド不織布からなるシートを用いた。形状は幅35mm×長さ25mmの矩形状とした。止着テープ11としては、ポリプレンを原料としたスパンボンド不織布からなる基材50の先端部に止着材48が付設されたものとした。基材50の形状は幅35mm×長さ29mmの矩形状とした。止着材48としては、メカニカルファスナーのフック材を用いた。形状は幅35mm×長さ15mmの矩形状とした。
【0161】
ギャザーバンド78、補強シート(左補強シート64、右補強シート66)及び止着テープ11は積層して1箇所で接合した。接合方法としては超音波シールを採用した。接合部68,69は、ギャザーバンド78の側縁から4mm内側に、胴周り方向に長い長方形(幅1mm×長さ4mm)の接合点を多数形成するパターンとした。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明の使い捨ておむつは、乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ、より具体的にはテープ型使い捨ておむつとして利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1:使い捨ておむつ、2:前被包部、4:股下被包部、6:後被包部、11:止着テープ、11A:左止着テープ、11B:右止着テープ、13:フロントパッチ、18:トップシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、24:カバーシート、26:立体ギャザー、32:不織布シート、36:立体ギャザー伸縮材、40:レッグ伸縮材、46:被止着材、48:止着材、50:基材、52,54:不織布シート、56:伸縮材、58:伸縮性不織布、60:左延出部、62:右延出部、64:左補強シート、66:右補強シート、68,69:接合部、70:おむつ本体、70a:左側縁、70b:右側縁、70c,70d:ウエスト端縁、78:ギャザーバンド、80:伸縮部、82:ギャザー形成シート、84,84A,84B,84C:接合部、86:ギャザー内空間、88:ギャザー、90,90A,90B,90C:線状接合部、92,92A,92B:ドット状接合部、101,201:使い捨ておむつ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股下を被包し、吸収体が配置された股下被包部、着用者の胴周り前方を被包する前被包部、及び着用者の胴周り後方を被包する後被包部の各部から形成されたおむつ本体と、
前記前被包部及び前記後被包部のうちの一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部と、
前記伸縮部と重畳する位置に配置され、前記伸縮部を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シートと、
前記一方の被包部における左側縁よりも胴周り方向左側に延出された左止着テープ及び前記一方の被包部における右側縁よりも胴周り方向右側に延出された右止着テープからなり、止着材が付設され、前記一方の被包部を他方の被包部に対して止め付ける止着テープと、を備え、
胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されており、
前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、
前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の左側縁部に直接接合され、
前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の右側縁部に直接接合されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記おむつ本体とは別体の伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたギャザーバンドを備え、
前記ギャザーバンドは、一の方向に伸張させた状態の前記伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが、前記一の方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されたものであり、
前記ギャザーバンドは、前記一の方向が前記胴周り方向と一致するように、前記一方の被包部に接合され、
前記伸縮部が、前記ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布によって形成されている請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記ギャザーバンドは、前記一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されるとともに、前記一方の被包部の左側縁より胴周り方向左側に延出された左延出部及び前記一方の被包部の右側縁より胴周り方向右側に位置する右延出部を有するように前記一方の被包部の肌当接面に接合されており、
前記左止着テープは、前記ギャザーバンドの前記左延出部に接合され、
前記右止着テープは、前記ギャザーバンドの前記右延出部に接合されている請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ギャザーバンドの左側縁部と重畳する位置に、左補強シートが接合され、
前記左止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、
前記ギャザーバンドの右側縁部と重畳する位置に、右補強シートが接合され、
前記右止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている請求項3又は4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記ギャザーバンドの左側縁部と前記左補強シートとの接合部が、前記左止着テープと前記左補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されるとともに、
前記ギャザーバンドの右側縁部と前記右補強シートとの接合部が、前記右止着テープと前記右補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されている請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記ギャザーバンドが、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたものであり、
前記ギャザーバンドのうち前記一方の被包部に接合される部分は、前記不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、前記一方の被包部に接合されている請求項3〜6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項1】
着用者の股下を被包し、吸収体が配置された股下被包部、着用者の胴周り前方を被包する前被包部、及び着用者の胴周り後方を被包する後被包部の各部から形成されたおむつ本体と、
前記前被包部及び前記後被包部のうちの一方の被包部を胴周り方向に伸縮させるように形成された伸縮部と、
前記伸縮部と重畳する位置に配置され、前記伸縮部を被覆するギャザーを形成するギャザー形成シートと、
前記一方の被包部における左側縁よりも胴周り方向左側に延出された左止着テープ及び前記一方の被包部における右側縁よりも胴周り方向右側に延出された右止着テープからなり、止着材が付設され、前記一方の被包部を他方の被包部に対して止め付ける止着テープと、を備え、
胴周り方向に伸張させた状態の前記伸縮部と、前記ギャザー形成シートとが、胴周り方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されており、
前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、
前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記左止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の左側縁部に直接接合され、
前記右止着テープが、前記伸縮部及び前記ギャザー形成シートの少なくとも一方の右側縁部に直接接合されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記おむつ本体とは別体の伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたギャザーバンドを備え、
前記ギャザーバンドは、一の方向に伸張させた状態の前記伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが、前記一の方向に向かって間欠的に形成された接合部を介して接合されたものであり、
前記ギャザーバンドは、前記一の方向が前記胴周り方向と一致するように、前記一方の被包部に接合され、
前記伸縮部が、前記ギャザーバンドを構成する伸縮性不織布によって形成されている請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記ギャザーバンドは、前記一方の被包部の胴周り方向の幅よりも幅広く構成されるとともに、前記一方の被包部の左側縁より胴周り方向左側に延出された左延出部及び前記一方の被包部の右側縁より胴周り方向右側に位置する右延出部を有するように前記一方の被包部の肌当接面に接合されており、
前記左止着テープは、前記ギャザーバンドの前記左延出部に接合され、
前記右止着テープは、前記ギャザーバンドの前記右延出部に接合されている請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ギャザーバンドの左側縁部と重畳する位置に、左補強シートが接合され、
前記左止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの左側縁部と重畳する位置に接合されるとともに、
前記ギャザーバンドの右側縁部と重畳する位置に、右補強シートが接合され、
前記右止着テープが、その先端を胴周り方向中央側に向け、かつ、前記止着材が付設された面を前記ギャザーバンド側に向けた状態で、前記左補強シートの右側縁部と重畳する位置に接合されている請求項3又は4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記ギャザーバンドの左側縁部と前記左補強シートとの接合部が、前記左止着テープと前記左補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されるとともに、
前記ギャザーバンドの右側縁部と前記右補強シートとの接合部が、前記右止着テープと前記右補強シートとの接合部と重畳する位置に形成されている請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記ギャザーバンドが、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布と、前記ギャザー形成シートとが一体的に構成されたものであり、
前記ギャザーバンドのうち前記一方の被包部に接合される部分は、前記不織布シートの原寸に対し40〜90%の長さに収縮された状態で、前記一方の被包部に接合されている請求項3〜6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公開番号】特開2013−70909(P2013−70909A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213806(P2011−213806)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
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