使い捨ておむつ
【課題】インジケータの表示が途切れることがないようにする。
【解決手段】上記課題は、液不透過性シート11に、無色透明のインジケータ80を、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、包装シート58におけるインジケータ80と少なくとも一部が重なる部分に、インジケータ80を発色させるための顕色剤81を塗布してなり、包装シート58におけるインジケータ80と重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分58h,59となし、顕色剤81が排泄液に溶けて排泄液とともにインジケータ80に接触し、インジケータ80が発色するように構成したことにより解決される。
【解決手段】上記課題は、液不透過性シート11に、無色透明のインジケータ80を、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、包装シート58におけるインジケータ80と少なくとも一部が重なる部分に、インジケータ80を発色させるための顕色剤81を塗布してなり、包装シート58におけるインジケータ80と重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分58h,59となし、顕色剤81が排泄液に溶けて排泄液とともにインジケータ80に接触し、インジケータ80が発色するように構成したことにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿等の排泄の有無を呈色によって外部から視認可能とする排泄インジケータを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在汎用されている乳幼児用使い捨ておむつの多くは、尿等の排泄の有無を呈色や消色によって外部から視認可能とするインジケータを備えている(例えば特許文献1,2参照)。使用者は、使い捨ておむつを装着した状態で、インジケータの呈色(発色又は変色)や消色を外部から視認することにより、排泄のあったことを認識でき、おむつ交換の目安にすることができるという利点がある。
【0003】
これら従来の排泄インジケータのうち、変色タイプのインジケータは排泄前後で有色なことに変わりがないため、排泄に気付き難いことが多く、消色タイプのインジケータはインジケータの存在を排泄後までしっかりと覚えている訳ではないので、インジケータが無くなったことを認識できず、排泄に気付き難いことが多い。
【0004】
これに対して、発色タイプのインジケータは、排泄前は見えていなかったインジケータが排泄により浮き出てくるものであるため、最も気づきやすいタイプである。また、インジケータをキャラクターや動物等のイラストやデザインにすると、当該イラストやデザインの出現により子供の興味を引くことができるため、トイレトレーニングにおいて子供に排尿への関心をもたせるのに非常に役に立つものとなる。
【0005】
しかし、発色タイプのインジケータを動物やキャラクターのイラストの形状とした場合には、排泄液が十分に行き渡らないと、当該動物やキャラクターの全体像が出現せず、例えば顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めしてしまう等の問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60−75405号公報
【特許文献2】特開2008−099947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、インジケータの表示が途切れることがないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体とを備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体よりも裏側に位置する下側シートと、前記下側シートと前記吸収体との間に位置する液透過性の上側シートとを備え、
前記下側シートに、無色透明のインジケータを、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、
前記上側シートにおける前記インジケータと少なくとも一部が重なる部分に、前記インジケータを発色させるための顕色剤を塗布してなり、
前記上側シートにおける前記インジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分となし、
前記顕色剤が排泄液に溶けて排泄液とともに前記インジケータに接触し、前記インジケータが発色するように構成した
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0009】
(作用効果)
本発明では、上側シートにおけるインジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分としたため、顕色剤を含む上側シートにおいてインジケータと重なる部分全体にわたり排泄液が拡散し、顕色剤を溶かし出してインジケータ全体に供給することができる。よって、インジケータの表示が途切れ難くなる。例えば、動物やキャラクター等のインジケータの全体像が出現せず、顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めするといった事態を抑制することができる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記上側シートが不織布であり、前記高拡散部分が厚み方向の圧縮により形成された高密度部分である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
このような高密度部分は、毛細管現象による液吸引力が相対的に高くなるため、高拡散部分内での液拡散はもちろん、周囲からの液吸引もなされるため好ましい。また、この形態は素材の追加なしに高拡散部分を形成できる利点もある。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記上側シートの表裏少なくとも一方における前記インジケータと重なる部分全体に、前記上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シートを貼り付けることにより、前記高拡散部分が形成されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
この形態は、上側シート全体を不織布で形成せずに済む点で好ましいものである。
【0014】
<請求項4記載の発明>
前記顕色剤塗布部分が前記インジケータの全体と重なるように設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
これにより、上記本発明の効果がより一層のものとなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明によれば、インジケータの表示が途切れ難くなる等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】図1の4−4断面図である。
【図5】図1の5−5断面図である。
【図6】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。
【図8】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
【図9】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図10】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図11】要部のみを示す平面図である。
【図12】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図13】要部のみを示す平面図である。
【図14】吸収要素を含む要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、パンツタイプ使い捨ておむつへの適用例に基づき詳説する。
図1〜図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シート12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0019】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0020】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0021】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0022】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックシートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた多孔質プラスチックシートが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0023】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通りトップシート30の側部表面まで延在し且つこのトップシート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0024】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0025】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
【0026】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0027】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0028】
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト端縁から後身頃Bのウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0029】
外装シート12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴回り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と間)として定まる中間部Lとを有する。胴回り部Tは、概念的にウエスト開口部の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0030】
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0031】
シート基材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
【0033】
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0034】
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0035】
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下部弾性伸縮部材15,19が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0036】
ウエスト下部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0037】
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0038】
中間部弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0039】
なお、図示のように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0040】
また、各部の細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
【0041】
(後処理テープ)
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100をトップシート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100をトップシート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
【0042】
(印刷シート)
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
【0043】
(外装シート分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
【0044】
(インジケータ)
図6及び図9(a)に示すように、液不透過性シート11の上面に、無色透明のインジケータ80が設けられるとともに、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分の下面に、インジケータ80を発色させるための顕色剤81が、インジケータ80の全体が重なる範囲に含有されている。顕色剤81は、インジケータ80の一部と重なる範囲に含有することも、また、インジケータ80と同じかそれ以上の範囲にわたるように設けることもでき、例えばインジケータ80と同じかそれ以上の幅でインジケータ80を通り前後方向に沿って連続するように設けることができる。このような使い捨ておむつにおいて排泄があると、図9(b)に示すように、顕色剤81が排泄液に溶けて排泄液とともにインジケータ80に接触し、インジケータ80が発色するように構成されている。図8はインジケータ80が表示された状態を示している。このように、顕色剤81を含有する上側シートが包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分であり、かつインジケータ80を設ける下側シートが液不透過性シート11であると、顕色剤81が排泄液に溶け出し易く、また顕色剤81を含む排泄液がインジケータ80に効率良く接触するという利点がある。
【0045】
インジケータ80の形状は、適宜定めることができ、前後方向に沿う直線状等の幾何学的形状とする他、図示形態のように、動物やキャラクター、文字のイラストの形状、又はこれらを前後方向に適宜の間隔を空けて配置したもの等、適宜のデザインとすることができる。
【0046】
なお、包装シート58に顕色剤81が含有される構造には、顕色剤81の全部が包装シート58の外面に層状に残留する形態(図示形態)、顕色剤81の全部が包装シート58内部に吸収されて保持された形態、及び顕色剤81の一部が包装シート58の内部に吸収されて保持され、残部が包装シート58の外面に層状に残留する形態の全てが含まれる。また、上側シートすなわち顕色剤81の含有部材は吸収体56とインジケータ80との間にある部材であれば、包装シート58に限られず、専用の又は別の目的で設けられた他の液透過性部材とすることもできる。下側シートすなわちインジケータ80を設ける部材は、顕色剤81の含有部材よりも裏側であれば、液不透過性シート11に限られず、専用の又は別の目的で設けられた他の部材でも良く、不織布等のように液透過性を有するものでも良い。インジケータ80を液不透過性シート11に設ける場合には、インジケータ80は液不透過性シート11上に層状に付着することになる(図示形態)が、インジケータ80を液透過性部材に設ける場合には、インジケータ80の全部が液透過性部材の外面に層状に残留する形態、インジケータ80の全部が液透過性部材の内部に吸収されて保持された形態、及びインジケータ80の一部が液透過性部材の内部に吸収されて保持され、残部が液透過性部材の外面に層状に残留する形態、のいずれの形態とすることもできる。
【0047】
図示形態のように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2については、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分をその上側の部材、つまり図示形態では吸収体56に固定するためのホットメルト接着剤91も塗布されていないと、より好ましい。排泄液は吸収体56又はその周囲を経た後、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分に供給され、ここで顕色剤81が溶け混じった後にインジケータ80に接触する。よって、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2の液透過性は発色効率に影響する。なお、この顕色剤81の含有部分N2の上側の接着においても、5g/m2以下の塗布量で間欠塗布するのであれば、ホットメルト接着剤91で接着することも可能である。
【0048】
また、上述のインジケータ80の発色原理を考慮すると、吸収体56における顕色剤81の含有部分と重なる部分の液透過性は発色効率に影響するため、図示形態のように、吸収体56における、顕色剤81の含有部分の全体(一部でも良く、より大きい範囲でも良い)と重なる領域に、周囲と比べて厚み方向の液透過性の高い高透液部分56Tを設けるのも好ましい。このような高透液部分56Tは、吸収体56における繊維目付け及び高吸収性ポリマー粒子の目付けを相対的に低いものとする他、吸収体56の所定部分に表裏方向に貫通する透過孔を設ける等により形成することができる。
【0049】
また、図示形態のように、高吸収性ポリマー粒子が包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分の上面に存在していると、顕色剤81が排泄液に溶け出しても、それを高吸収性ポリマー粒子が吸収してしまい、インジケータ80への顕色剤供給不足が発生するおそれがある。よって、図9(c)に示すように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2と吸収体56との間に、吸収体56に含まれる高吸収性ポリマー粒子(図示略)が包装シート58における顕色剤含有部分N2に接触しないように遮蔽する液透過性遮蔽層57を設けるのも好ましい形態である。このような液透過性遮蔽層57を設けることにより、顕色剤81を含む排泄液を高吸収性ポリマー粒子が吸収することによるインジケータ80への顕色剤供給不足が発生し難くなる。この液透過性遮蔽層57は特に限定されるものではないが、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の不織布が望ましく、特にスパンボンド不織布やメルトブローン不織布、及びスパンボンド不織布層間にメルトブローン不織布層を挟んでなる積層不織布(SMS不織布やSMMS不織布など)が好適であり、親水性不織布が好適である。
【0050】
さらに、図10に示すように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2と、液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分との間に、液透過性スペーサー82を介在させ、顕色剤81とインジケータ80とを非接触とするのも一つの好ましい形態である。これにより、高温多湿下において顕色剤81の含有部分N2が多少吸湿しても、顕色剤81がインジケータ80に供給され難いため、誤発色がより一層発生し難くなる。液透過性スペーサー82は特に限定されるものではないが、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の不織布が望ましく、特にエアスルー不織布が好適であり、親水性不織布が好適である。
【0051】
インジケータ80は、顕色剤により無色から有色に変化する発色剤を含有するものであれば公知のものを特に限定無く採用することができるが、ロイコ染料を発色剤とするものが好適である。ロイコ染料を用いたインジケータ80は、発色剤としてのロイコ染料をバインダー及び溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより形成することができる。
【0052】
ロイコ染料は特に限定されるものではないが、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、3,6−ジメチルオキシフルオラン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−トリメチル−インドリン、2−{2−[4−(ドデシルオキシ)−3−メトキシフェニル]−エテニル}キノリン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3,3−トリメチル−インドリノ−7’−クロル−β−ナフトスピロピラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−ブロム−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、6−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、6−p−トリル,エチルアミノ−2−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,3−ビス(1−エチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ―(4−ニトロ)−アニリノラクタム、ローダミンBラクタム、エチルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン、ジ−β−ナフトスピロピラン、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4―アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドイル−3)フタリド、3,7−ビス(ジメチルアミド)−10―ベンゾイルフェノシアジン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4―アザフタリド、マラカイトグリーンラクトン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンゾイルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3,6,5‘−トリ(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−1’−(3‘−イソベンゾフラン)、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−イソアミル,エチルアミノ−3−メチル−2−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−2,4−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイデノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの群から選択された一種又は複数種の電子供与性呈色性有機化合物を好適に用いることができる。
【0053】
バインダーは適宜選択すれば良いが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、酪酢酸繊維素系樹脂、硝化綿、ポリアミド系樹脂、ガムコーパル、ガムロジン、セラック、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を好適に用いることができる。
【0054】
溶媒は適宜選択すれば良いが、例えばトルエン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を好適に用いることができる。
【0055】
ロイコ染料を発色剤とする無色透明のインジケータ80と、これを発色させるための顕色剤81とを組み合わせて用いる場合、発色効率を考慮すると、吸収体56よりも裏側において顕色剤81を上にインジケータ80を下にして隣接配置するのが好ましい。したがって、通常の場合、吸収体56よりも裏側に位置する上側シート(図示形態では包装シート58)に顕色剤81を含有し、その下側に位置する下側シート(図示形態では液不透過性シート11)上にインジケータ80を設けるのが好ましい。しかし、使い捨ておむつにおいてはシート間にズレが生じないようにホットメルト接着剤により接着することが普通であり、これをそのまま適用すると、顕色剤81の含有部分とインジケータ80との間がある程度の量のホットメルト接着剤により遮断されることにより、顕色剤81がインジケータ80に接触し難くなり、発色効率が低下するという問題点を知見した。また、それだけではなく、高温多湿下に保管すると、ホットメルト接着剤の塗布部分(当所は、それがホットメルト接着剤の塗布部分であるかどうか分かり難いものであった)が選択的に発色してしまうという問題点も知見した(理由は定かでない)。
【0056】
したがって、図示形態のように、少なくとも、包装シート58における顕色剤81の含有部分及び液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分N1には、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分及び液不透過性シート11を貼り合わせるためのホットメルト接着剤90が塗布されていない形態が望ましい。このようなホットメルト接着剤非塗布部分N1は、前後方向に連続させても、またインジケータ又は顕色剤の配置に応じて前後方向に間欠的に設けても良い。特に前後の縁部は接着することが望ましい。このような非塗布部分N1を設けると、顕色剤81の含有部分とインジケータ80との間がホットメルト接着剤90により遮断され難く、顕色剤81がインジケータ80に効率良く接触できるようになり、また高温多湿下に保管してもホットメルト接着剤の塗布部分の選択的発色が防止されるようになる。
【0057】
なお、包装シート58における顕色剤81の含有部分及び液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分N1において、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分及び液不透過性シート11を接着しないと皺が寄る等の問題が生ずる場合、5g/m2以下の塗布量で間欠塗布するのであれば、ホットメルト接着剤90で接着することも可能である。ただしこの場合、排泄液の遮断防止及び選択的発色の防止という点では多少劣るものとなる。なお、「間欠塗布」とは、スパイラル状や、縞状、点状等の接着部分に間隔が空くパターンで塗布することを意味する。
【0058】
また、ロイコ染料を発色剤としたインジケータ80は、耐光性が乏しく、購入した製品を太陽光に当たる場所に保管すると、インジケータ80が黄変化するとともに、発色が薄れるおそれがある。特に、インジケータ80の外側を覆う被覆部分の紫外線透過率が45〜99%である場合にはその可能性は高くなる。そこで、インジケータ80に紫外線吸収材を含有させることも提案する。これにより、太陽光によるインジケータ80の黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤の群から選択された一種又は複数種の物質を好適に用いることができる。
【0059】
また、これとともに又はこれに代えて、外装シート12及び液不透過性シート11の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有させることができる。この場合、外装シート12及び液不透過性シート11に紫外線吸収剤を含有する塗布液を塗布する他、シートの原料樹脂中に紫外線吸収剤を混合するのも好ましい形態である。
【0060】
インジケータ80(製品状態)の組成は適宜定めればよいが、例えばロイコ染料を0.05〜30.0重量%、バインダーを0.01〜10.0重量%、及び紫外線吸収剤を0.5〜5重量%含有するものとすることができる。
【0061】
一方、顕色剤81は溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより対象部材に含有させることができる。顕色剤81は特に限定されるものではないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩酸チアミン、塩化亜鉛、サリチル酸、サリチル酸亜鉛、ビスフェノールA、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、グリコール酸、琥珀酸、酒石酸、タンニン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸の群から選択された一種又は複数種の電子受容性顕色化合物を好適に用いることができる。
【0062】
顕色剤81にも紫外線吸収材を含有させるのは好ましい。これにより、太陽光によるインジケータ80の黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は上述したものの中から一種又は複数種を選択して使用することができ、発色剤に用いるものと同じにする他、異ならすことも可能である。
【0063】
顕色剤81の溶媒適宜選択すれば良いが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、その他にエステル類脂肪族炭化水素、ケトン類等を好適に用いることができる。
【0064】
顕色剤81の含有量(含有対象シートの単位面積当たりの重量)は適宜定めればよいが、例えば3.0〜10.0g/m2程度とすることができる。
【0065】
他方、液不透過性シート11としては多孔質構造の透湿性シートを用いることが一般的となっているが、このような透湿性液不透過性シート11を用いた場合、インジケータ80のロイコ染料が排泄液に溶け出すと、通気孔を介して液不透過性シート11の裏側に通り抜け、衣類や手等の接触物を汚してしまうおそれがある。これに対して、透湿度を2,000〜5,000g/24h/m2に抑えると、このようなロイコ染料の裏抜けを防止することができる。なお、透湿度とは、JIS Z 0208の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準じて測定される値を意味する。
【0066】
(高拡散部分及び拡散シート)
特徴的には、図11〜図14に示すように、顕色剤を含有させる上側シート、つまり図示形態の包装シートにおける吸収体の裏側に位置する部分のうち、インジケータと重なる部分全体が、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分58h,59として構成されている。高拡散部分58h,59は、インジケータ80の全体を含むように設ける限り、インジケータ80と同じでも、またそれ以上の範囲にわたるように設けることもでき、例えばインジケータ80と同じかそれ以上の大きさでインジケータ80を有する部分のみに設けたり(図示形態)、インジケータ80を通り前後方向に沿って連続するように設けたりすることができる。このような高拡散部分58h,59を設けることにより、顕色剤81を含む包装シート58においてインジケータ80と重なる部分全体にわたり排泄液が拡散し、顕色剤81を溶かし出してインジケータ80全体に供給することができる。よって、インジケータ80の表示が途切れ難くなる。例えば、動物やキャラクター等のインジケータ80の全体像が出現せず、顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めするといった事態を抑制することができる。
【0067】
高拡散部分58h,59は適宜形成することができるが、図11及び図12に示すように、包装シート58を不織布とするとともに、インジケータ80と重なる部分全体にわたる円形、四角形等の平面形状のパターンで、エンボス加工等により厚み方向に圧縮して得られる高密度部分58hとすることができる。この高密度部分58hにおける圧縮による凹部は、図12(a)に示すように包装シート58の吸収体56側の面に設けてもよいが、図12(b)に示すように液不透過性シート11側の面に設けるのが好ましく、図示しないが両面に設けても良い。このような高密度部分58hは、毛細管現象による液吸引力が相対的に高くなるため、高密度部分58hの範囲内での液拡散はもちろん、周囲からの液吸引もなされるため好ましい。なお、この場合の包装シート58を構成する不織布としては、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の親水性不織布が望ましく、特にメルトブローン不織布、及びスパンボンド不織布層間にメルトブローン不織布層を挟んでなる積層不織布(SMS不織布やSMMS不織布など)が好適である。また、高密度部分58hの密度は30.0〜40.0g/m3程度とし、その周囲部分の密度は15〜25g/m3程度とするのが望ましい。この形態は素材の追加なしに高拡散部分を形成できる利点がある。
【0068】
これに対して、図13及び図14に示すように、上側シートの表裏少なくとも一方におけるインジケータ80と重なる部分全体に、上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シート59を貼り付けることにより、高拡散部分58h,59を形成することもできる。拡散シート59は、図14(a)に示すように包装シート58の吸収体56側の面に設けてもよいが、図14(b)に示すように液不透過性シート11側の面に設けるのが好ましく、図示しないが両面に設けても良い。このような拡散シート59としては、JIS P 8141:2004に規定される「紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法」に準じて測定される5分後のクレム吸水度が10〜150mmの紙又は不織布が好適である。不織布としては、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の親水性不織布が望ましく、特にメルトブローン不織布等が好適である。この形態は、包装シート58全体を不織布で形成せずに済む点で好ましいものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ、パッドタイプ等の形態を問わず、利用できるものである。
【符号の説明】
【0070】
11…液不透過性シート、12…外装シート、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、56T…高透液部分、58…包装シート、58h,59…高拡散部分、58h…高密度部分、59…拡散シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、80…インジケータ、81…顕色剤、82…液透過性スペーサー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿等の排泄の有無を呈色によって外部から視認可能とする排泄インジケータを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在汎用されている乳幼児用使い捨ておむつの多くは、尿等の排泄の有無を呈色や消色によって外部から視認可能とするインジケータを備えている(例えば特許文献1,2参照)。使用者は、使い捨ておむつを装着した状態で、インジケータの呈色(発色又は変色)や消色を外部から視認することにより、排泄のあったことを認識でき、おむつ交換の目安にすることができるという利点がある。
【0003】
これら従来の排泄インジケータのうち、変色タイプのインジケータは排泄前後で有色なことに変わりがないため、排泄に気付き難いことが多く、消色タイプのインジケータはインジケータの存在を排泄後までしっかりと覚えている訳ではないので、インジケータが無くなったことを認識できず、排泄に気付き難いことが多い。
【0004】
これに対して、発色タイプのインジケータは、排泄前は見えていなかったインジケータが排泄により浮き出てくるものであるため、最も気づきやすいタイプである。また、インジケータをキャラクターや動物等のイラストやデザインにすると、当該イラストやデザインの出現により子供の興味を引くことができるため、トイレトレーニングにおいて子供に排尿への関心をもたせるのに非常に役に立つものとなる。
【0005】
しかし、発色タイプのインジケータを動物やキャラクターのイラストの形状とした場合には、排泄液が十分に行き渡らないと、当該動物やキャラクターの全体像が出現せず、例えば顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めしてしまう等の問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60−75405号公報
【特許文献2】特開2008−099947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、インジケータの表示が途切れることがないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体とを備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体よりも裏側に位置する下側シートと、前記下側シートと前記吸収体との間に位置する液透過性の上側シートとを備え、
前記下側シートに、無色透明のインジケータを、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、
前記上側シートにおける前記インジケータと少なくとも一部が重なる部分に、前記インジケータを発色させるための顕色剤を塗布してなり、
前記上側シートにおける前記インジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分となし、
前記顕色剤が排泄液に溶けて排泄液とともに前記インジケータに接触し、前記インジケータが発色するように構成した
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0009】
(作用効果)
本発明では、上側シートにおけるインジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分としたため、顕色剤を含む上側シートにおいてインジケータと重なる部分全体にわたり排泄液が拡散し、顕色剤を溶かし出してインジケータ全体に供給することができる。よって、インジケータの表示が途切れ難くなる。例えば、動物やキャラクター等のインジケータの全体像が出現せず、顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めするといった事態を抑制することができる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記上側シートが不織布であり、前記高拡散部分が厚み方向の圧縮により形成された高密度部分である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
このような高密度部分は、毛細管現象による液吸引力が相対的に高くなるため、高拡散部分内での液拡散はもちろん、周囲からの液吸引もなされるため好ましい。また、この形態は素材の追加なしに高拡散部分を形成できる利点もある。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記上側シートの表裏少なくとも一方における前記インジケータと重なる部分全体に、前記上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シートを貼り付けることにより、前記高拡散部分が形成されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
この形態は、上側シート全体を不織布で形成せずに済む点で好ましいものである。
【0014】
<請求項4記載の発明>
前記顕色剤塗布部分が前記インジケータの全体と重なるように設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
これにより、上記本発明の効果がより一層のものとなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明によれば、インジケータの表示が途切れ難くなる等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】図1の4−4断面図である。
【図5】図1の5−5断面図である。
【図6】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。
【図8】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
【図9】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図10】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図11】要部のみを示す平面図である。
【図12】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図13】要部のみを示す平面図である。
【図14】吸収要素を含む要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、パンツタイプ使い捨ておむつへの適用例に基づき詳説する。
図1〜図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シート12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0019】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0020】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0021】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0022】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックシートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた多孔質プラスチックシートが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0023】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通りトップシート30の側部表面まで延在し且つこのトップシート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0024】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0025】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
【0026】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0027】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0028】
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト端縁から後身頃Bのウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0029】
外装シート12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴回り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と間)として定まる中間部Lとを有する。胴回り部Tは、概念的にウエスト開口部の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0030】
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0031】
シート基材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0032】
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
【0033】
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0034】
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0035】
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下部弾性伸縮部材15,19が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0036】
ウエスト下部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0037】
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0038】
中間部弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0039】
なお、図示のように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0040】
また、各部の細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
【0041】
(後処理テープ)
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100をトップシート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100をトップシート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
【0042】
(印刷シート)
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
【0043】
(外装シート分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
【0044】
(インジケータ)
図6及び図9(a)に示すように、液不透過性シート11の上面に、無色透明のインジケータ80が設けられるとともに、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分の下面に、インジケータ80を発色させるための顕色剤81が、インジケータ80の全体が重なる範囲に含有されている。顕色剤81は、インジケータ80の一部と重なる範囲に含有することも、また、インジケータ80と同じかそれ以上の範囲にわたるように設けることもでき、例えばインジケータ80と同じかそれ以上の幅でインジケータ80を通り前後方向に沿って連続するように設けることができる。このような使い捨ておむつにおいて排泄があると、図9(b)に示すように、顕色剤81が排泄液に溶けて排泄液とともにインジケータ80に接触し、インジケータ80が発色するように構成されている。図8はインジケータ80が表示された状態を示している。このように、顕色剤81を含有する上側シートが包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分であり、かつインジケータ80を設ける下側シートが液不透過性シート11であると、顕色剤81が排泄液に溶け出し易く、また顕色剤81を含む排泄液がインジケータ80に効率良く接触するという利点がある。
【0045】
インジケータ80の形状は、適宜定めることができ、前後方向に沿う直線状等の幾何学的形状とする他、図示形態のように、動物やキャラクター、文字のイラストの形状、又はこれらを前後方向に適宜の間隔を空けて配置したもの等、適宜のデザインとすることができる。
【0046】
なお、包装シート58に顕色剤81が含有される構造には、顕色剤81の全部が包装シート58の外面に層状に残留する形態(図示形態)、顕色剤81の全部が包装シート58内部に吸収されて保持された形態、及び顕色剤81の一部が包装シート58の内部に吸収されて保持され、残部が包装シート58の外面に層状に残留する形態の全てが含まれる。また、上側シートすなわち顕色剤81の含有部材は吸収体56とインジケータ80との間にある部材であれば、包装シート58に限られず、専用の又は別の目的で設けられた他の液透過性部材とすることもできる。下側シートすなわちインジケータ80を設ける部材は、顕色剤81の含有部材よりも裏側であれば、液不透過性シート11に限られず、専用の又は別の目的で設けられた他の部材でも良く、不織布等のように液透過性を有するものでも良い。インジケータ80を液不透過性シート11に設ける場合には、インジケータ80は液不透過性シート11上に層状に付着することになる(図示形態)が、インジケータ80を液透過性部材に設ける場合には、インジケータ80の全部が液透過性部材の外面に層状に残留する形態、インジケータ80の全部が液透過性部材の内部に吸収されて保持された形態、及びインジケータ80の一部が液透過性部材の内部に吸収されて保持され、残部が液透過性部材の外面に層状に残留する形態、のいずれの形態とすることもできる。
【0047】
図示形態のように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2については、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分をその上側の部材、つまり図示形態では吸収体56に固定するためのホットメルト接着剤91も塗布されていないと、より好ましい。排泄液は吸収体56又はその周囲を経た後、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分に供給され、ここで顕色剤81が溶け混じった後にインジケータ80に接触する。よって、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2の液透過性は発色効率に影響する。なお、この顕色剤81の含有部分N2の上側の接着においても、5g/m2以下の塗布量で間欠塗布するのであれば、ホットメルト接着剤91で接着することも可能である。
【0048】
また、上述のインジケータ80の発色原理を考慮すると、吸収体56における顕色剤81の含有部分と重なる部分の液透過性は発色効率に影響するため、図示形態のように、吸収体56における、顕色剤81の含有部分の全体(一部でも良く、より大きい範囲でも良い)と重なる領域に、周囲と比べて厚み方向の液透過性の高い高透液部分56Tを設けるのも好ましい。このような高透液部分56Tは、吸収体56における繊維目付け及び高吸収性ポリマー粒子の目付けを相対的に低いものとする他、吸収体56の所定部分に表裏方向に貫通する透過孔を設ける等により形成することができる。
【0049】
また、図示形態のように、高吸収性ポリマー粒子が包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分の上面に存在していると、顕色剤81が排泄液に溶け出しても、それを高吸収性ポリマー粒子が吸収してしまい、インジケータ80への顕色剤供給不足が発生するおそれがある。よって、図9(c)に示すように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2と吸収体56との間に、吸収体56に含まれる高吸収性ポリマー粒子(図示略)が包装シート58における顕色剤含有部分N2に接触しないように遮蔽する液透過性遮蔽層57を設けるのも好ましい形態である。このような液透過性遮蔽層57を設けることにより、顕色剤81を含む排泄液を高吸収性ポリマー粒子が吸収することによるインジケータ80への顕色剤供給不足が発生し難くなる。この液透過性遮蔽層57は特に限定されるものではないが、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の不織布が望ましく、特にスパンボンド不織布やメルトブローン不織布、及びスパンボンド不織布層間にメルトブローン不織布層を挟んでなる積層不織布(SMS不織布やSMMS不織布など)が好適であり、親水性不織布が好適である。
【0050】
さらに、図10に示すように、包装シート58における顕色剤81の含有部分N2と、液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分との間に、液透過性スペーサー82を介在させ、顕色剤81とインジケータ80とを非接触とするのも一つの好ましい形態である。これにより、高温多湿下において顕色剤81の含有部分N2が多少吸湿しても、顕色剤81がインジケータ80に供給され難いため、誤発色がより一層発生し難くなる。液透過性スペーサー82は特に限定されるものではないが、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の不織布が望ましく、特にエアスルー不織布が好適であり、親水性不織布が好適である。
【0051】
インジケータ80は、顕色剤により無色から有色に変化する発色剤を含有するものであれば公知のものを特に限定無く採用することができるが、ロイコ染料を発色剤とするものが好適である。ロイコ染料を用いたインジケータ80は、発色剤としてのロイコ染料をバインダー及び溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより形成することができる。
【0052】
ロイコ染料は特に限定されるものではないが、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、3,6−ジメチルオキシフルオラン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−トリメチル−インドリン、2−{2−[4−(ドデシルオキシ)−3−メトキシフェニル]−エテニル}キノリン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3,3−トリメチル−インドリノ−7’−クロル−β−ナフトスピロピラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−ブロム−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、6−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、6−p−トリル,エチルアミノ−2−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,3−ビス(1−エチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ―(4−ニトロ)−アニリノラクタム、ローダミンBラクタム、エチルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン、ジ−β−ナフトスピロピラン、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4―アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドイル−3)フタリド、3,7−ビス(ジメチルアミド)−10―ベンゾイルフェノシアジン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4―アザフタリド、マラカイトグリーンラクトン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンゾイルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3,6,5‘−トリ(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−1’−(3‘−イソベンゾフラン)、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−イソアミル,エチルアミノ−3−メチル−2−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−2,4−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイデノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの群から選択された一種又は複数種の電子供与性呈色性有機化合物を好適に用いることができる。
【0053】
バインダーは適宜選択すれば良いが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、酪酢酸繊維素系樹脂、硝化綿、ポリアミド系樹脂、ガムコーパル、ガムロジン、セラック、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を好適に用いることができる。
【0054】
溶媒は適宜選択すれば良いが、例えばトルエン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を好適に用いることができる。
【0055】
ロイコ染料を発色剤とする無色透明のインジケータ80と、これを発色させるための顕色剤81とを組み合わせて用いる場合、発色効率を考慮すると、吸収体56よりも裏側において顕色剤81を上にインジケータ80を下にして隣接配置するのが好ましい。したがって、通常の場合、吸収体56よりも裏側に位置する上側シート(図示形態では包装シート58)に顕色剤81を含有し、その下側に位置する下側シート(図示形態では液不透過性シート11)上にインジケータ80を設けるのが好ましい。しかし、使い捨ておむつにおいてはシート間にズレが生じないようにホットメルト接着剤により接着することが普通であり、これをそのまま適用すると、顕色剤81の含有部分とインジケータ80との間がある程度の量のホットメルト接着剤により遮断されることにより、顕色剤81がインジケータ80に接触し難くなり、発色効率が低下するという問題点を知見した。また、それだけではなく、高温多湿下に保管すると、ホットメルト接着剤の塗布部分(当所は、それがホットメルト接着剤の塗布部分であるかどうか分かり難いものであった)が選択的に発色してしまうという問題点も知見した(理由は定かでない)。
【0056】
したがって、図示形態のように、少なくとも、包装シート58における顕色剤81の含有部分及び液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分N1には、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分及び液不透過性シート11を貼り合わせるためのホットメルト接着剤90が塗布されていない形態が望ましい。このようなホットメルト接着剤非塗布部分N1は、前後方向に連続させても、またインジケータ又は顕色剤の配置に応じて前後方向に間欠的に設けても良い。特に前後の縁部は接着することが望ましい。このような非塗布部分N1を設けると、顕色剤81の含有部分とインジケータ80との間がホットメルト接着剤90により遮断され難く、顕色剤81がインジケータ80に効率良く接触できるようになり、また高温多湿下に保管してもホットメルト接着剤の塗布部分の選択的発色が防止されるようになる。
【0057】
なお、包装シート58における顕色剤81の含有部分及び液不透過性シート11におけるインジケータ80を有する部分N1において、包装シート58における吸収体56の裏側に位置する部分及び液不透過性シート11を接着しないと皺が寄る等の問題が生ずる場合、5g/m2以下の塗布量で間欠塗布するのであれば、ホットメルト接着剤90で接着することも可能である。ただしこの場合、排泄液の遮断防止及び選択的発色の防止という点では多少劣るものとなる。なお、「間欠塗布」とは、スパイラル状や、縞状、点状等の接着部分に間隔が空くパターンで塗布することを意味する。
【0058】
また、ロイコ染料を発色剤としたインジケータ80は、耐光性が乏しく、購入した製品を太陽光に当たる場所に保管すると、インジケータ80が黄変化するとともに、発色が薄れるおそれがある。特に、インジケータ80の外側を覆う被覆部分の紫外線透過率が45〜99%である場合にはその可能性は高くなる。そこで、インジケータ80に紫外線吸収材を含有させることも提案する。これにより、太陽光によるインジケータ80の黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤の群から選択された一種又は複数種の物質を好適に用いることができる。
【0059】
また、これとともに又はこれに代えて、外装シート12及び液不透過性シート11の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有させることができる。この場合、外装シート12及び液不透過性シート11に紫外線吸収剤を含有する塗布液を塗布する他、シートの原料樹脂中に紫外線吸収剤を混合するのも好ましい形態である。
【0060】
インジケータ80(製品状態)の組成は適宜定めればよいが、例えばロイコ染料を0.05〜30.0重量%、バインダーを0.01〜10.0重量%、及び紫外線吸収剤を0.5〜5重量%含有するものとすることができる。
【0061】
一方、顕色剤81は溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより対象部材に含有させることができる。顕色剤81は特に限定されるものではないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩酸チアミン、塩化亜鉛、サリチル酸、サリチル酸亜鉛、ビスフェノールA、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、グリコール酸、琥珀酸、酒石酸、タンニン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸の群から選択された一種又は複数種の電子受容性顕色化合物を好適に用いることができる。
【0062】
顕色剤81にも紫外線吸収材を含有させるのは好ましい。これにより、太陽光によるインジケータ80の黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は上述したものの中から一種又は複数種を選択して使用することができ、発色剤に用いるものと同じにする他、異ならすことも可能である。
【0063】
顕色剤81の溶媒適宜選択すれば良いが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、その他にエステル類脂肪族炭化水素、ケトン類等を好適に用いることができる。
【0064】
顕色剤81の含有量(含有対象シートの単位面積当たりの重量)は適宜定めればよいが、例えば3.0〜10.0g/m2程度とすることができる。
【0065】
他方、液不透過性シート11としては多孔質構造の透湿性シートを用いることが一般的となっているが、このような透湿性液不透過性シート11を用いた場合、インジケータ80のロイコ染料が排泄液に溶け出すと、通気孔を介して液不透過性シート11の裏側に通り抜け、衣類や手等の接触物を汚してしまうおそれがある。これに対して、透湿度を2,000〜5,000g/24h/m2に抑えると、このようなロイコ染料の裏抜けを防止することができる。なお、透湿度とは、JIS Z 0208の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準じて測定される値を意味する。
【0066】
(高拡散部分及び拡散シート)
特徴的には、図11〜図14に示すように、顕色剤を含有させる上側シート、つまり図示形態の包装シートにおける吸収体の裏側に位置する部分のうち、インジケータと重なる部分全体が、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分58h,59として構成されている。高拡散部分58h,59は、インジケータ80の全体を含むように設ける限り、インジケータ80と同じでも、またそれ以上の範囲にわたるように設けることもでき、例えばインジケータ80と同じかそれ以上の大きさでインジケータ80を有する部分のみに設けたり(図示形態)、インジケータ80を通り前後方向に沿って連続するように設けたりすることができる。このような高拡散部分58h,59を設けることにより、顕色剤81を含む包装シート58においてインジケータ80と重なる部分全体にわたり排泄液が拡散し、顕色剤81を溶かし出してインジケータ80全体に供給することができる。よって、インジケータ80の表示が途切れ難くなる。例えば、動物やキャラクター等のインジケータ80の全体像が出現せず、顔や胴体が切れてしまう等により、見栄えが悪くなる、又は子供が興醒めするといった事態を抑制することができる。
【0067】
高拡散部分58h,59は適宜形成することができるが、図11及び図12に示すように、包装シート58を不織布とするとともに、インジケータ80と重なる部分全体にわたる円形、四角形等の平面形状のパターンで、エンボス加工等により厚み方向に圧縮して得られる高密度部分58hとすることができる。この高密度部分58hにおける圧縮による凹部は、図12(a)に示すように包装シート58の吸収体56側の面に設けてもよいが、図12(b)に示すように液不透過性シート11側の面に設けるのが好ましく、図示しないが両面に設けても良い。このような高密度部分58hは、毛細管現象による液吸引力が相対的に高くなるため、高密度部分58hの範囲内での液拡散はもちろん、周囲からの液吸引もなされるため好ましい。なお、この場合の包装シート58を構成する不織布としては、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の親水性不織布が望ましく、特にメルトブローン不織布、及びスパンボンド不織布層間にメルトブローン不織布層を挟んでなる積層不織布(SMS不織布やSMMS不織布など)が好適である。また、高密度部分58hの密度は30.0〜40.0g/m3程度とし、その周囲部分の密度は15〜25g/m3程度とするのが望ましい。この形態は素材の追加なしに高拡散部分を形成できる利点がある。
【0068】
これに対して、図13及び図14に示すように、上側シートの表裏少なくとも一方におけるインジケータ80と重なる部分全体に、上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シート59を貼り付けることにより、高拡散部分58h,59を形成することもできる。拡散シート59は、図14(a)に示すように包装シート58の吸収体56側の面に設けてもよいが、図14(b)に示すように液不透過性シート11側の面に設けるのが好ましく、図示しないが両面に設けても良い。このような拡散シート59としては、JIS P 8141:2004に規定される「紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法」に準じて測定される5分後のクレム吸水度が10〜150mmの紙又は不織布が好適である。不織布としては、繊度1.0〜4.0dtex程度、目付け10.0〜40.0g/m2程度の親水性不織布が望ましく、特にメルトブローン不織布等が好適である。この形態は、包装シート58全体を不織布で形成せずに済む点で好ましいものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ、パッドタイプ等の形態を問わず、利用できるものである。
【符号の説明】
【0070】
11…液不透過性シート、12…外装シート、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、56T…高透液部分、58…包装シート、58h,59…高拡散部分、58h…高密度部分、59…拡散シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、80…インジケータ、81…顕色剤、82…液透過性スペーサー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体とを備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体よりも裏側に位置する下側シートと、前記下側シートと前記吸収体との間に位置する液透過性の上側シートとを備え、
前記下側シートに、無色透明のインジケータを、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、
前記上側シートにおける前記インジケータと少なくとも一部が重なる部分に、前記インジケータを発色させるための顕色剤を塗布してなり、
前記上側シートにおける前記インジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分となし、
前記顕色剤が排泄液に溶けて排泄液とともに前記インジケータに接触し、前記インジケータが発色するように構成した
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記上側シートが不織布であり、前記高拡散部分が厚み方向の圧縮により形成された高密度部分である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記上側シートの表裏少なくとも一方における前記インジケータと重なる部分全体に、前記上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シートを貼り付けることにより、前記高拡散部分が形成されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記顕色剤塗布部分が前記インジケータの全体と重なるように設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体とを備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体よりも裏側に位置する下側シートと、前記下側シートと前記吸収体との間に位置する液透過性の上側シートとを備え、
前記下側シートに、無色透明のインジケータを、上方から来る排泄液と接触するように設けるとともに、
前記上側シートにおける前記インジケータと少なくとも一部が重なる部分に、前記インジケータを発色させるための顕色剤を塗布してなり、
前記上側シートにおける前記インジケータと重なる部分全体を、周囲と比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い高拡散部分となし、
前記顕色剤が排泄液に溶けて排泄液とともに前記インジケータに接触し、前記インジケータが発色するように構成した
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記上側シートが不織布であり、前記高拡散部分が厚み方向の圧縮により形成された高密度部分である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記上側シートの表裏少なくとも一方における前記インジケータと重なる部分全体に、前記上側シートと比べて厚み方向と直交する方向の液拡散性の高い拡散シートを貼り付けることにより、前記高拡散部分が形成されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記顕色剤塗布部分が前記インジケータの全体と重なるように設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−74981(P2013−74981A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216129(P2011−216129)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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