説明

使い捨ておむつ

【課題】どの程度の量まで吸収したかが分かるインジケータを備えた使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】上記課題は、排泄液の吸収の際、排泄液の吸収量が所定量に達するまでは、一次顕色剤含有部に接触して一次顕色剤81aを取り込んだ後に一次インジケータ80aに接触して一次インジケータ80aを発色させるものの、排泄液が内部液不透過性シート59Aにより遮られて二次吸収体56B側に供給されず、排泄液の吸収量が所定量を超えると、排泄液が一次吸収体56Aに吸収されずに内部液不透過性シート59Aの両側を回り込んで二次吸収体56B側に至り、二次顕色剤含有部に接触して二次顕色剤81bを取り込んだ後に二次インジケータ80bに接触して二次インジケータ80bを発色させるように構成することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿等の排泄の有無を呈色によって外部から視認可能とする排泄インジケータを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在汎用されている乳幼児用使い捨ておむつの多くは、尿等の排泄の有無を呈色や消色によって外部から視認可能とするインジケータを備えている(例えば特許文献1,2参照)。使用者は、使い捨ておむつを装着した状態で、インジケータの呈色(発色又は変色)や消色を外部から視認することにより、排泄のあったことを認識でき、おむつ交換の目安にすることができるという利点がある。
【0003】
これら従来の排泄インジケータのうち、変色タイプのインジケータは排泄前後で有色なことに変わりがないため、排泄に気付き難いことが多く、消色タイプのインジケータはインジケータの存在を排泄後までしっかりと覚えている訳ではないので、インジケータが無くなったことを認識できず、排泄に気付き難いことが多い。
【0004】
これに対して、発色タイプのインジケータは、排泄前は見えていなかったインジケータが排泄により浮き出てくるものであるため、最も気づきやすいタイプである。また、インジケータをキャラクターや動物等のイラストやデザインにすると、当該イラストやデザインの出現により子供の興味を引くことができるため、トイレトレーニングにおいて子供に排尿への関心をもたせるのに非常に役に立つものとなる。
【0005】
また、液接触後から色の変化が生じるまでの時間が異なる複数のインジケータを設け、排泄からの経過時間が分かるようにした使い捨ておむつも提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
しかし、従来のものは、排泄の有無は分かっても、どの程度の量まで吸収したか分かるようなインジケータはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭60−75405号公報
【特許文献2】特開2008−099947号公報
【特許文献3】特開2004−222868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、どの程度の量まで吸収したかが分かるインジケータを備えた使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
液透過性のトップシートと、
このトップシートより裏側に設けられた一次吸収体と、
この一次吸収体より裏側に設けられた二次吸収体と、
前記一次吸収体と二次吸収体との間に介在された一次液不透過性シートと、
前記二次吸収体より裏側に設けられた二次液不透過性シートと、
前記一次吸収体と前記一次液不透過性シートとの間にそれぞれ設けられた、無色透明の一次インジケータ及びこの一次インジケータを発色させるための一次顕色剤を放出する一次顕色剤含有部と、
前記二次吸収体と前記二次不透過性シートとの間にそれぞれ設けられた、無色透明の二次インジケータ及びこの二次インジケータを発色させるための二次顕色剤を放出する二次顕色剤含有部と、を備え、
排泄液の吸収の際、排泄液の吸収量が所定量に達するまでは、一次顕色剤含有部に接触して一次顕色剤を取り込んだ後に前記一次インジケータに接触して前記一次インジケータを発色させるものの、排泄液が一次液不透過性シートにより遮られて二次吸収体側に供給されず、
排泄液の吸収量が前記所定量を超えると、排泄液が一次吸収体に吸収されずに前記一次液不透過性シートの両側を回り込んで前記二次吸収体側に至り、二次顕色剤含有部に接触して二次顕色剤を取り込んだ後に前記二次インジケータに接触して前記二次インジケータを発色させるように構成した、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0010】
(作用効果)
本発明では無色透明のインジケータが、吸収量の増加により一次、二次の順に発色するため、どの程度の量まで吸収したかが分かるようになる。よって、交換時期を判断し易くなり、漏れやかぶれを防ぐのにも有効である。
【0011】
<請求項2記載の発明>
前記二次吸収体は、前記一次液不透過性シートの幅方向中間部と重なる部分には設けられておらず、その両側に設けられており、前記二次顕色剤含有部が前記二次吸収体の幅方向外側の側部よりも幅方向中央側に設けられている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0012】
(作用効果)
これにより、おむつの向き等により所定の吸収量に達する前に、一次液不透過性シートの両側から二次吸収体側に排泄液が多少回り込んだとしても、二次吸収体により吸収され、二次顕色剤含有部までは到達し難くなり、二次インジケータの誤発色を防止することができる。
【0013】
<請求項3記載の発明>
前記一次インジケータと前記二次インジケータとが重ならないように配置されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0014】
(作用効果)
これにより、吸収量の変化が見やすくなり、確認が容易となる。
【0015】
<請求項4記載の発明>
前記一次インジケータと前記二次インジケータとは発色の色、寸法、及び形状の少なくとも一つ方が異なる、請求項2記載の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
一次インジケータと二次インジケータとでこのような相違を設けることにより、吸収量の変化が見やすくなり、確認が容易となる。
【0017】
<請求項5記載の発明>
前記一次吸収体から前記二次吸収体と前記二次液不透過性シートとの間までを包む包装シートと、前記一次吸収体と前記一次インジケータとの間に介在された液透過性シートとを有し、
前記液透過性シートに前記一次顕色剤が含有されて前記一次顕色剤含有部が形成され、
前記包装シートにおける前記二次吸収体と前記二次液不透過性シートとの間の部分に前記二次顕色剤が含有されて前記二次顕色剤含有部が形成され、
前記一次インジケータが前記一次液不透過性シート上に設けられ、
前記二次インジケータが前記二次液不透過性シート上に設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0018】
(作用効果)
このような構造とすることにより、既存の製造技術で、かつ少ない資材増加で、上記特徴的なインジケータの使い捨ておむつを製造できるようになる。
【0019】
<請求項6記載の発明>
前記一次インジケータ及び二次インジケータは、それぞれ発色剤として、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、3,6−ジメチルオキシフルオラン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−トリメチル−インドリン、2−{2−[4−(ドデシルオキシ)−3−メトキシフェニル]−エテニル}キノリン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3,3−トリメチル−インドリノ−7’−クロル−β−ナフトスピロピラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−ブロム−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、6−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、6−p−トリル,エチルアミノ−2−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,3−ビス(1−エチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ―(4−ニトロ)−アニリノラクタム、ローダミンBラクタム、エチルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン、ジ−β−ナフトスピロピラン、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4―アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドイル−3)フタリド、3,7−ビス(ジメチルアミド)−10―ベンゾイルフェノシアジン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4―アザフタリド、マラカイトグリーンラクトン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンゾイルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3,6,5‘−トリ(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−1’−(3‘−イソベンゾフラン)、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−イソアミル,エチルアミノ−3−メチル−2−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−2,4−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイデノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの群から選択された一種又は複数種の電子供与性呈色性有機化合物を含み、
前記一次顕色剤及び二次顕色剤は、それぞれ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩酸チアミン、塩化亜鉛、サリチル酸、サリチル酸亜鉛、ビスフェノールA、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、グリコール酸、琥珀酸、酒石酸、タンニン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸の群から選択された一種又は複数種の電子受容性顕色化合物である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0020】
(作用効果)
本発明では、このようなインジケータ及び顕色剤を用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり、本発明によれば、どの程度の量まで吸収したかが分かるインジケータを備えた使い捨ておむつとなる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図2】パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】図1の4−4断面図である。
【図5】図1の5−5断面図である。
【図6】パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。
【図7】吸収要素を含む要部の断面図である。
【図8】パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。
【図9】吸収要素を含む要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、パンツタイプ使い捨ておむつへの適用例に基づき詳説する。
図1〜図8は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シート12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0024】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、主液不透過性シート(本発明の二次液不透過性シートに相当)11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0025】
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
立体ギャザー60を設ける場合、トップシート30の両側部は、主液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、主液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0026】
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収要素50へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収要素50からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0027】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通りトップシート30の側部表面まで延在し且つこのトップシート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200におけるトップシート30、主液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図3に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、図4に示すように、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0028】
(吸収要素)
吸収要素50は、一次吸収体56A及び二次吸収体56Bと、これら一次吸収体と二次吸収体との間に介在された内部液不透過性シート59Aと、これらの全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0029】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
【0030】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0031】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0032】
(主液不透過性シート・内部液不透過性シート)
主液不透過性シート11及び内部液不透過性シート59Aの素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。主液不透過性シート11及び内部液不透過性シート59Aには、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックシートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた多孔質プラスチックシートが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、主液不透過性シート11及び内部液不透過性シート59Aとして用いることができる。
主液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
内部液不透過性シート59Aは、一次顕色剤及び一次インジケータよりも側方に延在しているのが好ましい。また、内部液不透過性シート59Aは二次吸収体上に位置しているのが好ましい。特に、内部液不透過性シート59Aは、これらの条件を満たす範囲で可能な限り幅が広い方が好ましく、その側縁は少なくとも一次吸収体56Aの側縁の幅方向中央側近傍まで達しているのが望ましい。
【0033】
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、図8に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト端縁から後身頃Bのウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0034】
外装シート12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴回り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と間)として定まる中間部Lとを有する。胴回り部Tは、概念的にウエスト開口部の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図8に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0035】
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0036】
シート基材12S,12Hとしては、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
【0037】
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインを製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
【0038】
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸長率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
【0039】
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0040】
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下部弾性伸縮部材15,19が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0041】
ウエスト下部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0042】
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0043】
中間部弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0044】
なお、図示のように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
【0045】
また、各部の細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
【0046】
(後処理テープ)
外装シート12の後身頃Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けることができる。後処理テープ70は、おむつ100をトップシート30が内側に且つ前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、図5に示すように、基端部71が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この基端部71よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで折り畳まれて、折り重なり部分間が仮止め接着剤72により剥離可能に固定(仮固定)されている。また、先端部に白色等の不透明色に着色された摘み部73を有するとともに、この摘み部73を除く部分が透明または半透明であり、この後処理テープ70における透明または半透明の部分を通して、後処理テープ70の外面側から後述するデザインが視認可能になっている。具体的な構造は適宜構成することができるが、図示形態では、全体を透明又は半透明の複数の基材を長手方向に連結して形成するとともに、摘み部73に着色テープ74を張り合わせた構造を採用している。
廃棄時には、おむつ100をトップシート30が内側になるとともに前身頃Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつ100の後身頃Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
後処理テープ70等の固定手段は、前身頃Fに設けてもよく、後身頃Bと前身頃Fの両方に設けてもよい。
【0047】
(印刷シート)
主液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。外装シート12を省略し、印刷シート25が外面に露出する形態とすることもできる。また、図示例の印刷シート25は、それが配置される身頃よりも小さい面積を有しており、前身頃F及び後身頃Bに個別に設けられているが、前身頃Fから股間部を通り後身頃Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅は吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、デザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
【0048】
(外装シート分割構造)
上述の例では、前身頃Fから後身頃Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における主液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。股間部外装シートも本発明の外装シートに相当する。
【0049】
(インジケータ)
特徴的には、図6及び図7(a)に示すように、一次吸収体56Aと内部液不透過性シート59Aとの間には、内部液不透過性シート59A側に無色透明の一次インジケータ80aが設けられるともに、一次吸収体56A側に一次インジケータ80aを発色させるための一次顕色剤81aを放出する一次顕色剤含有部が設けられており、また、二次吸収体56Bと二次不透過性シートとの間には、主液不透過性シート11側に、無色透明の二次インジケータ80bが設けられるとともに、二次吸収体56B側に二次インジケータ80bを発色させるための二次顕色剤81bを放出する二次顕色剤含有部が設けられている。そして、排泄液の吸収の際には、排泄液の吸収量が所定量に達するまでは、図8及び図7(b)に示すように、一次顕色剤含有部に接触して一次顕色剤81aを取り込んだ後に一次インジケータ80aに接触して一次インジケータ80aを発色させるものの、排泄液が内部液不透過性シート59Aにより遮られて二次吸収体56B側に供給されない。しかし、排泄液の吸収量が所定量を超えると、図8の要部拡大部分及び図7(b)に示すように、排泄液が一次吸収体56Aに吸収されずに内部液不透過性シート59Aの両側を回り込んで二次吸収体56B側に至り、二次顕色剤含有部に接触して二次顕色剤81bを取り込んだ後に二次インジケータ80bに接触して二次インジケータ80bを発色させる。したがって、無色透明のインジケータが、吸収量の増加により一次、二次の順に発色するため、どの程度の量まで吸収したかが分かるようになる。よって、交換時期を判断し易くなり、漏れやかぶれを防ぐのにも有効である。
【0050】
一次及び二次顕色剤含有部は、排泄液との接触によりそれぞれ一次顕色剤81a及び二次顕色剤81bを放出できるものであれば特に限定されない。例えば図示例の一次顕色剤含有部は、専用の液透過性シート57Aの裏面に一次顕色剤81aを含む塗布液を塗布したものを介在させることにより構成しているが、一次吸収体56Aの裏面に一次顕色剤81aを含む塗布液を塗布することにより形成したり、一次顕色剤81aを含有する水溶性フィルムを介在させることにより構成したりしても良い。また、図示例の二次顕色剤含有部は、包装シート58における二次吸収体56Bの裏側に位置する部分の下面に、二次顕色剤81bを塗布することにより形成しているが、専用の液透過性シート(図示略)の裏面に二次顕色剤81bを含む塗布液を塗布したものや、二次顕色剤81bを含有する水溶性フィルムを介在させることにより構成しても良い。なお、一次及び二次顕色剤含有部における「含有」には、保持材(図示例では液透過性シート57A、包装シート58)の外面に顕色剤の全部が層状に残留する形態(図示形態)、顕色剤の全部が保持材の内部に保持された形態、及び顕色剤の一部が保持材の内部に保持され、残部が保持材の外面に層状に残留する形態の全てが含まれる。
【0051】
一次インジケータ80a及び二次インジケータ80bは、それぞれ一次吸収体56Aと内部液不透過性シート59Aとの間及び二次吸収体56Bと主液不透過性シート11との間に位置していれば良いが、それぞれ一次顕色剤81a及び二次顕色剤81bよりも裏側に位置しているのが好ましい。図示形態の一次インジケータ80a及び二次インジケータ80bは、それぞれ内部液不透過性シート59Aの上面(一次吸収体56A側の面)及び主液不透過性シート11の上面(二次吸収体56B側の面)に設けられているが、専用のシート(図示略)に二次顕色剤81bを含む塗布液を塗布したものや、専用の又は別の目的で設けられた他の部材でも良く、不織布等のように液透過性を有するものでも良い。また、インジケータ80a,80bを保持材(図示例では内部液不透過性シート59A、主液不透過性シート11)に保持させる形態には、保持材の外面にインジケータ80a,80bの全部が層状に残留する形態(図示形態)、インジケータ80a,80b80の全部が保持材の内部に保持された形態、及びインジケータ80a,80b80の一部が保持材の内部に保持され、残部が保持材の外面に層状に残留する形態の全てが含まれる。ただし、図示形態のように、インジケータ80a,80bが液不透過性シートの上面に設けられていると、顕色剤81a,81bを含む排泄液がインジケータ80a,80bに効率良く接触するという利点がある。
【0052】
インジケータ80a,80bの形状は、適宜定めることができ、前後方向に沿う直線状等の幾何学的形状とする他、図示形態のように、動物やキャラクター、文字のイラストの形状、又はこれらを前後方向に適宜の間隔を空けて配置したもの等、適宜のデザインとすることができる。特に、一次インジケータ80aと二次インジケータ80bとが、発色の色、寸法(図示形態)、及び形状の少なくとも一つ方が異なると、吸収量の変化が見やすくなり、確認が容易となる。また、図示形態のように、一次インジケータ80aと二次インジケータ80bとが重ならないように配置されていると、吸収量の変化が見やすくなり、確認が容易となる。特に、上述の発色原理を考慮すると、図示形態のように、一次インジケータ80aは幅方向中間部に設け、二次インジケータ80bは一次インジケータ80aよりも幅方向外側に設けるのが好ましい。
【0053】
一次インジケータ80aに対する一次顕色剤含有部の位置、及び二次インジケータ80bに対する二次顕色剤含有部の位置は適宜定めることができ、全く重ならないように配置することもできるが、厚み方向の位置が異なる場合には少なくとも一部が重なるように配置するのが好ましい。特に、各顕色剤81a,81b含有部は対応するインジケータ80a,80bと同じかそれ以上の範囲にわたるように設けることもでき、例えば対応するインジケータ80a,80bと同じかそれ以上の幅で対応するインジケータ80a,80bを通り前後方向に沿って連続するように設けることができる。
【0054】
二次吸収体56Bは一次吸収体56Aと同様に幅方向に連続する形態でも良いが、図示形態のように、二次吸収体56Bが、内部液不透過性シート59Aの幅方向中間部と重なる部分には設けられておらず、その両側に設けられており、二次顕色剤含有部が二次吸収体56Bの幅方向外側の側部よりも幅方向中央側に設けられていると、おむつの向き等により所定の吸収量に達する前に、一次液不透過性シートの両側から二次吸収体56B側に排泄液が多少回り込んだとしても、二次吸収体56Bにより吸収され、二次顕色剤含有部までは到達し難くなり、二次インジケータ80bの誤発色を防止することができるため好ましい。この観点から、二次顕色剤含有部は二次吸収体56Bの幅方向中央側の側縁よりも幅方向中央側に位置しているのが好ましい。
【0055】
上記例は、二段階での吸収量の変化が現れる実施形態であるが、図9(a)に示すように、二次吸収体56Bの裏側に三次吸収体56Cを追加するとともに、二次吸収体56Bと三次吸収体56Cとの間に第二内部液不透過性シート59Bを追加し、二次吸収体と第二内部液不透過性シート59Bとの間に、無色透明の二次インジケータ及びこの二次インジケータを発色させるための二次顕色剤を放出する二次次顕色剤含有部を設け、三次吸収体と主液不透過性シート11との間に、無色透明の三次インジケータ80c及びこの三次インジケータ80cを発色させるための三次顕色剤81cを放出する三次次顕色剤含有部を設け、図9(b)に示すように、三段階の吸収量の変化が現れる構造とすることもできる。符号57Bは、二次顕色剤81bの専用の保持材である液透過性シートを示している。図示しないが、同様に吸収体、顕色剤含有部、インジケータを追加することにより、四段階以上の吸収量の変化が現れる構造とすることもできる。
【0056】
他方、インジケータ80a,80b,80cは、顕色剤81a,81b,81cにより無色から有色に変化する発色剤を含有するものであれば公知のものを特に限定無く採用することができるが、ロイコ染料を発色剤とするものが好適である。ロイコ染料を用いたインジケータ80a,80b,80cは、発色剤としてのロイコ染料をバインダー及び溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより形成することができる。
【0057】
ロイコ染料は特に限定されるものではないが、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、3,6−ジメチルオキシフルオラン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−トリメチル−インドリン、2−{2−[4−(ドデシルオキシ)−3−メトキシフェニル]−エテニル}キノリン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3,3−トリメチル−インドリノ−7’−クロル−β−ナフトスピロピラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−ブロム−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、6−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、6−p−トリル,エチルアミノ−2−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,3−ビス(1−エチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ―(4−ニトロ)−アニリノラクタム、ローダミンBラクタム、エチルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン、ジ−β−ナフトスピロピラン、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4―アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドイル−3)フタリド、3,7−ビス(ジメチルアミド)−10―ベンゾイルフェノシアジン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4―アザフタリド、マラカイトグリーンラクトン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンゾイルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3,6,5‘−トリ(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−1’−(3‘−イソベンゾフラン)、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−イソアミル,エチルアミノ−3−メチル−2−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−2,4−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイデノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの群から選択された一種又は複数種の電子供与性呈色性有機化合物を好適に用いることができる。バインダーは適宜選択すれば良いが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、酪酢酸繊維素系樹脂、硝化綿、ポリアミド系樹脂、ガムコーパル、ガムロジン、セラック、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を好適に用いることができる。溶媒は適宜選択すれば良いが、例えばトルエン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を好適に用いることができる。
【0058】
インジケータ80a,80b,80cは、同じ組成、同じ塗布量とすることもできるが、少なくとも一方を異ならしめることもできる。
【0059】
また、ロイコ染料を発色剤とするインジケータ80a,80b,80cは、耐光性が乏しく、購入した製品を太陽光に当たる場所に保管すると、インジケータ80a,80b,80cが黄変化するとともに、発色が薄れるおそれがある。特に、インジケータ80a,80b,80cの外側を覆う被覆部分の紫外線透過率が45〜99%である場合にはその可能性は高くなる。そこで、インジケータ80a,80b,80cに紫外線吸収材を含有させることも提案する。これにより、太陽光によるインジケータ80a,80b,80cの黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤の群から選択された一種又は複数種の物質を好適に用いることができる。
【0060】
また、これとともに又はこれに代えて、外装シート12及び主液不透過性シート11の少なくとも一方に紫外線吸収剤を含有させることができる。この場合、外装シート12及び主液不透過性シート11に紫外線吸収剤を含有する塗布液を塗布する他、シートの原料樹脂中に紫外線吸収剤を混合するのも好ましい形態である。
【0061】
インジケータ80a,80b,80c(製品状態)の組成は適宜定めればよいが、例えばロイコ染料を0.05〜30.0重量%、バインダーを0.01〜10.0重量%、及び紫外線吸収剤を0.5〜5重量%含有するものとすることができる。
【0062】
一方、顕色剤81a,81b,81c含有部は、顕色剤81a,81b,81cを溶媒と混合して塗布液にした後、対象部材に所定の形状で塗布することにより形成することができる。顕色剤81a,81b,81cは特に限定されるものではないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩酸チアミン、塩化亜鉛、サリチル酸、サリチル酸亜鉛、ビスフェノールA、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、グリコール酸、琥珀酸、酒石酸、タンニン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸の群から選択された一種又は複数種の電子受容性顕色化合物を好適に用いることができる。
【0063】
顕色剤81a,81b,81cにも紫外線吸収材を含有させるのは好ましい。これにより、太陽光によるインジケータ80a,80b,80cの黄変化及び発色の薄れを効果的に防止することができる。紫外線吸収剤は上述したものの中から一種又は複数種を選択して使用することができ、発色剤に用いるものと同じにする他、異ならすことも可能である。
【0064】
顕色剤81a,81b,81cの溶媒は適宜選択すれば良いが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、その他にエステル類脂肪族炭化水素、ケトン類等を好適に用いることができる。顕色剤81a,81b,81cの含有量(含有対象シートの単位面積当たりの重量)は適宜定めればよいが、例えば3.0〜10.0g/m2程度とすることができる。
【0065】
顕色剤81a,81b,81cは、同じ組成、同じ塗布量とすることもできるが、少なくとも一方を異ならしめることもできる。
【0066】
他方、主液不透過性シート11としては多孔質構造の透湿性シートを用いることが一般的となっているが、このような透湿性の主液不透過性シート11を用いた場合、インジケータ80a,80b,80cのロイコ染料が排泄液に溶け出すと、通気孔を介して主液不透過性シート11の裏側に通り抜け、衣類や手等の接触物を汚してしまうおそれがある。これに対して、主液不透過性シート11の透湿度を2,000〜5,000g/24h/m2に抑えると、このようなロイコ染料の裏抜けを防止することができる。内部液不透過性シート59Aについても同様の透湿度とすることもできるが、主液不透過性シート11よりも透湿度を高く、例えば6,000〜10,000g/24h/m2程度とするのが好ましい。なお、透湿度とは、JIS Z 0208の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準じて測定される値を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ、パッドタイプ等の形態を問わず、利用できるものである。
【符号の説明】
【0068】
11…主液不透過性シート、12…外装シート、12r…折り返し部分、25…印刷シート、200…内装体、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56A…一次吸収体、56B…二次吸収体、58…包装シート、59A…内部液不透過性シート、59B…第二内部液不透過性シート、60…側部立体ギャザー、62…ギャザーシート、80a,80b,80c…インジケータ、80a…一次インジケータ、80b…二次インジケータ、80c…三次インジケータ、81a,81b,81c…顕色剤、81a…一次顕色剤、81b…二次顕色剤、81c…三次顕色剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、
このトップシートより裏側に設けられた一次吸収体と、
この一次吸収体より裏側に設けられた二次吸収体と、
前記一次吸収体と二次吸収体との間に介在された一次液不透過性シートと、
前記二次吸収体より裏側に設けられた二次液不透過性シートと、
前記一次吸収体と前記一次液不透過性シートとの間にそれぞれ設けられた、無色透明の一次インジケータ及びこの一次インジケータを発色させるための一次顕色剤を放出する一次顕色剤含有部と、
前記二次吸収体と前記二次不透過性シートとの間にそれぞれ設けられた、無色透明の二次インジケータ及びこの二次インジケータを発色させるための二次顕色剤を放出する二次顕色剤含有部と、を備え、
排泄液の吸収の際、排泄液の吸収量が所定量に達するまでは、一次顕色剤含有部に接触して一次顕色剤を取り込んだ後に前記一次インジケータに接触して前記一次インジケータを発色させるものの、排泄液が一次液不透過性シートにより遮られて二次吸収体側に供給されず、
排泄液の吸収量が前記所定量を超えると、排泄液が一次吸収体に吸収されずに前記一次液不透過性シートの両側を回り込んで前記二次吸収体側に至り、二次顕色剤含有部に接触して二次顕色剤を取り込んだ後に前記二次インジケータに接触して前記二次インジケータを発色させるように構成した、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記二次吸収体は、前記一次液不透過性シートの幅方向中間部と重なる部分には設けられておらず、その両側に設けられており、前記二次顕色剤含有部が前記二次吸収体の幅方向外側の側部よりも幅方向中央側に設けられている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記一次インジケータと前記二次インジケータとが重ならないように配置されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記一次インジケータと前記二次インジケータとは発色の色、寸法、及び形状の少なくとも一つ方が異なる、請求項2記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記一次吸収体から前記二次吸収体と前記二次液不透過性シートとの間までを包む包装シートと、前記一次吸収体と前記一次インジケータとの間に介在された液透過性シートとを有し、
前記液透過性シートに前記一次顕色剤が含有されて前記一次顕色剤含有部が形成され、
前記包装シートにおける前記二次吸収体と前記二次液不透過性シートとの間の部分に前記二次顕色剤が含有されて前記二次顕色剤含有部が形成され、
前記一次インジケータが前記一次液不透過性シート上に設けられ、
前記二次インジケータが前記二次液不透過性シート上に設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記一次インジケータ及び二次インジケータは、それぞれ発色剤として、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、3,6−ジメチルオキシフルオラン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−トリメチル−インドリン、2−{2−[4−(ドデシルオキシ)−3−メトキシフェニル]−エテニル}キノリン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,3,3−トリメチル−インドリノ−7’−クロル−β−ナフトスピロピラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−ブロム−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、6−ジエチルアミノ−ベンゾ〔α〕−フルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、6−p−トリル,エチルアミノ−2−メチルフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,3−ビス(1−エチル−2−メチル−インドイル−3)フタレート、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ―(4−ニトロ)−アニリノラクタム、ローダミンBラクタム、エチルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン、ジ−β−ナフトスピロピラン、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4―アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドイル−3)フタリド、3,7−ビス(ジメチルアミド)−10―ベンゾイルフェノシアジン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4―アザフタリド、マラカイトグリーンラクトン、2−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンゾイルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3,6,5‘−トリ(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−1’−(3‘−イソベンゾフラン)、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−イソアミル,エチルアミノ−3−メチル−2−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−2,4−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キリデノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トルイデノ)−フルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの群から選択された一種又は複数種の電子供与性呈色性有機化合物を含み、
前記一次顕色剤及び二次顕色剤は、それぞれ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩酸チアミン、塩化亜鉛、サリチル酸、サリチル酸亜鉛、ビスフェノールA、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、グリコール酸、琥珀酸、酒石酸、タンニン酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、クエン酸の群から選択された一種又は複数種の電子受容性顕色化合物である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74982(P2013−74982A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216131(P2011−216131)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】