説明

使い捨ての圧縮ティッシュ包装体及びその製造方法

【課題】
圧縮ティッシュを液体と共に一層容易に大量に包装して製造できるようにし、この液体が吸収された圧縮ティッシュを便利に使用できるようにする使い捨ての圧縮ティッシュ包装体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
圧縮ティッシュ包装体は、液体が収容されるための第1収容部と、該第1収容部の上部にその断面より 大きい断面を有する段差を持ち、前記段差上に熱融着によって融着された分離膜で前記第1収容部と区画され圧縮乾燥されたティッシュを収めるための第2収容部、及び前記第2収容部の上部をカバーするカバー膜と、から構成され、液体収容部とティッシュ箱が段差を形成するように一体に成形されることによって、製造コストを節減すると同時に、使用後廃棄物の回収時液体収容部とティッシュ箱とが一体として回収し易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨ての圧縮ティッシュ包装体に係り、さらに詳しくは圧縮ティッシュを液体と共に一層容易に大量に包装して製造できるようにし、ユーザをしてこの液体が吸収された圧縮ティッシュを便利に使用できるようにする使い捨ての圧縮ティッシュ包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、使い捨ての圧縮ティッシュは、ティッシュを便利に使用できるように開発された新たなティッシュであって、パルプ又は不織布又はこれに似た材料よりなり、所定サイズ及び形状、望ましくは矩形又は円形の形状を有するティッシュを所定の方向及び枚数に畳んで円筒形又は所定形状で乾燥してから成形シリンダ内に挿入して、所定の圧力を有するピストンを通じて圧縮成形される。
また、前記圧縮ティッシュに水のような所定の液体が添加されれば、前記圧縮成形されたティッシュが前記液体を吸収して圧縮される前の状態に速やかに復元されて、ユーザに使用上の便利さを提供する。
【0003】
しかし、前述したような圧縮ティッシュを使用するためには、常に水又は機能性液体が別に具備されるべきなので、前述した問題点を解決するために韓国特許出願第10−2003−91984号のような“使い捨てのティッシュ包装体”を出願したことがある。
以下、従来の使い捨てのティッシュ包装体(韓国特許出願第10−2003−91984号)について説明すれば次の通りである。
図1乃至図8は従来の使い捨てのティッシュ包装体を示した断面図である。
図1に示すように、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、ティッシュ1を収めるティッシュ箱11を有する上層部材10と、上層部材10に対向して付着され液体2を収容する液体収容部21を有する下層部材20、及び前記上層部材10と下層部材20との間に液体2とティッシュ1を隔離させる中層部材30とを含む。
【0004】
図2に示すように、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、液体2が収容される液体収容部21を有する下層部材20と、下層部材20の上側に接合され液体収容部21の内側に内蔵されるティッシュ箱11が形成された上層部材10、及び上層部材10の上側に接着されティッシュ箱11を密閉させるカバー膜40とを含む。
しかし、上層部材10と下層部材20がそれぞれ別のケーシングによって形成され、下層部材20から上層部材10の着脱を容易にする分離案内手段(図示せず)が別に形成されるべきなので、高コスト及び大した回収の不便さを招き、その製造過程も一括的に行われない問題点がある。
【0005】
図3及び図4に示すように、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、収容部50にティッシュ1と、液体2が収容された液体チューブ60又は液体ケース70が共に収められるように構成されている。
しかし、前記液体チューブ60又は液体ケース70を別に製造しなければならない煩わしさがあり、その費用がアップする問題点がある。また、前記使い捨てのティッシュ包装体の使用において液体チューブ60又は液体ケース70を破損するために一定した圧力を加える時、前記収容部50のカバー膜40が共に破損する恐れがある。
【0006】
前記図3及び図4の使い捨てのティッシュ包装体は、液体2とティッシュ1が収容される収容空間(液体チューブ60又は液体ケース70と収容部50)の断面積が殆ど同一なので、液体2が収容された液体チューブ60又は液体ケース70から液体2を分離するために収容部50の下部に一定した圧力を加えると、収容部50の加圧部位に印加された圧力が液体チューブ60又は液体ケース70よりもカバー膜40の方にさらに大きく作用するようになる。
したがって、液体2が収容された液体チューブ60又は液体ケース70から液体2が分離される前にカバー膜40が先に破裂してしまう問題点がある。
【0007】
図5に示すように、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、液体収容部21とティッシュ箱11との間に液体通路部22が形成され、液体通路部22に栓部材23が挿入された封止部材80とから構成されているが、封止部材80に液体2を収容し液体通路部22に栓部材23を挿入して封止する作業が極めて複雑で、かつ不便な問題点がある。
【0008】
図6に示すように、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、合成樹脂材の封筒90にティッシュ1と液体チューブ60が共に密封内蔵されるように構成されているが、液体チューブ60を別に製造すべき煩わしさがあり、その費用がアップし、外圧によって封筒90が破裂する問題点がある。
また、従来の使い捨てのティッシュ包装体は、使用時液体が周囲に流れ出る問題があるのみならず、組立個体数が多いことから、製造コストのアップ、作業能率の低下、使用後多大な回収量を要するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2003−91984号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的は一つの収容部材に液体収容空間とティッシュ収容空間とを同時に一体に成形できる構造にすることによって、製造コストの節減、作業能率の向上、使用後の回収個体数の減少、及び使用時ワンタッチ加圧能率の向上と共に液体の流出を防止できる使い捨てのティッシュ包装体を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明は使い捨ての圧縮ティッシュ包装体において、液体が収容されるための第1収容部と、第1収容部の上部にその端面より大きい断面を有する段差を持ち、段差上に熱融着によって融着された分離膜で第1収容部と区画されて圧縮乾燥されたティッシュを収容するための第2収容部と、第2収容部の上部をカバーするカバー膜とを含む。この時分離膜は金属薄膜である。
【0012】
液体を収容するための第1収容部と、前記第1収容部の断面より大きい断面を有するように段差が形成されて圧縮乾燥されたティッシュを収めるための第2収容部を備えた合成樹脂材を一体に成形する第1段階と、第1収容部に液体が収容された後段差上に分離膜を融着する第2段階と、圧縮乾燥されたティッシュを第2収容部に収めた後第2収容部の上部をカバーする第3段階とを備える。分離膜は真空吸着によって段差上に安着されて熱融着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液体収容部とティッシュ箱が段差を形成するように一体に成形されることによって、製造コストを節減すると同時に、使用後廃棄物の回収時液体収容部とティッシュ箱とが一体として回収できる。また、液体収容部とティッシュ箱との間の段差が形成されることによって、ピックアップ及び熱融着装置によって分離膜が自動化工程で容易に安着すると同時に、熱融着が行われることによって作業能率を向上させることができる。また金属薄膜よりなる分離膜の中央部は合成樹脂材段差との熱融着面より弱いため、収容体の下部加圧時一番最初に破裂してティッシュ箱内に収められたティッシュに液体が毛細管現象を通じて急速に吸収されることによって、ワンタッチの使用が可能になるのみならず、液体が外側に流れ出ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図2】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図3】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図4】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図5】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図6】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図7】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図8】従来の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図9】本発明に係る使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の斜視図である。
【図10】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
【図11】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造過程を示す図である。
【図12】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造過程を示す図である。
【図13】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造過程を示す図である。
【図14】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造過程を示す図である。
【図15】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態を示す図である。
【図16】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態を示す図である。
【図17】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態と内部の圧力変化の関係を示す図である。
【図18】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態と内部の圧力変化の関係を示す図である。
【図19】図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態と内部の圧力変化の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実施例について詳述する。
図9は本発明の望ましい実施例による使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した斜視図であり、図10は図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体を示した断面図である。
図9及び図10に示すように、本発明の望ましい実施例による使い捨ての圧縮ティッシュ包装体は、圧縮乾燥されたティッシュ102に水分を供給するための液体101が収容される液体収容部110と液体収容部110の上側に液体収容部110の断面積より大きい断面積を有するように段差110aが形成され、ティッシュ102を収めるティッシュ箱120が一体に成形された収容体130と、液体収容部110の上側段差110aに熱融着される分離膜140、及びティッシュ箱120の上側に熱融着されるカバー膜150とを含む。
【0016】
収容体130の液体収容部110は、液体101がティッシュ102の全体に十分に吸収されるほどの量が収容されるようにティッシュ102の体積よりやや大きい体積を有し、上側が開放された円筒形又は六面体形状を有するのが望ましい。
したがって、液体収容部110の上側にティッシュ箱120が段差110a(図11及び図13参照)を形成するように一体に成形されることによって、液体収容部材とティッシュ収容部材をそれぞれ形成する必要がなくなり、それによる組立工程も要らなくなって、製造コストの節減と共に自動化に伴う作業能率の向上を期することができる。
分離膜140は液体収容部110の段差110a(図11及び図13参照)上に熱融着される膜であって、液体収容部110の下部に所定の圧力を加えると、破裂しやすい極薄の金属薄膜よりなるのが望ましい。カバー膜150はティッシュ箱120の上側垂直延長部121に熱融着される膜であって、液体収容部110の下部に所定の圧力を加えると破裂される金属薄膜よりなるのが望ましい。
【0017】
一方、図11乃至図14は図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造過程を示した図である。また、図17乃至図19は図9に示す使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の使用状態と内部の圧力変化の関係を示す図である。
まず、図11に示すように、複数の収容ケース100がマトリックス状に配列された収容ケースグループ100Aの各液体収容部110に液体供給手段(図示せず)から一定量の液体101が供給収容された後、ティッシュ箱120の上側に複数の分離膜140が部分的にパンチングされた分離膜グループ140Aが位置する。ここで、収容ケース100は所定間隔に配列された複数の収容体130が切断ライン103を通じて相互分離されるように形成されるのが望ましい。すなわち、複数の分離膜グループ140Aは真空吸着ピックアップ手段によってティッシュ箱120上に整列された後加圧される時複数の分離膜140が正確に液体収容部110の段差110a上に安着するように部分的にパンチングされた切開部140aと非切開部140bとを備える。
【0018】
したがって、図12に示すように、第1ピックアップ/熱融着手段200によって液体収容部110の段差110a上に分離膜140が順次に真空吸着によってピックアップ、加圧及び熱融着され液体収容部110が封止される。ここで、第1ピックアップ/熱融着手段200は液体収容部110の段差110aの外郭に対応する断面構造を有し、その中心には分離膜140を真空でピックアップ(pick up)するための吸着部220と給排気ポンプ(図示せず)と連結された流路221とを備える。
【0019】
すなわち、図13に示すように、第1ピックアップ/熱融着手段200が前記分離膜140を真空でピックアップした状態で下降することによって、分離膜140が分離膜グループ140Aの切開部140aを基準にして非切開部140bが切開されながら液体収容部110の段差110a上に安着する。また、第1ピックアップ/熱融着手段200の下部には分離膜140を液体収容部110の段差110a上に熱融着させるための熱融着部210がさらに備えられる。したがって、第1ピックアップ/熱融着手段200によって分離膜140を対応する液体収容部110の段差110a上に真空吸着で整列させた後、熱融着部210によって分離膜140を液体収容部110の段差110a上に熱融着させる。その後、分離膜140が除去された分離膜グループ140Aを収容ケースグループ100Aの上部から除去する。
【0020】
その後、図14に示すように、圧縮乾燥されたティッシュ102がティッシュ箱120内に収められた後、カバー膜150が第2ピックアップ/熱融着手段300によりピックアップされて収容ケースグループ100Aの上部に整列させる。ここで、第2ピックアップ/熱融着手段300の構成は熱融着部(図示せず)がティッシュ箱120の開口部を除いた部分にカバー膜150が熱融着されるように具備されることを除けば、第1ピックアップ/熱融着手段200の構成と同じである。
【0021】
したがって、図15に示すように、液体101が収容された液体収容部110の下部に一定した圧力が加わると、前記圧力によって液体収容部110とティッシュ箱120の段差110aに熱融着された分離膜140が破裂される。それにより液体収容部110の液体101がティッシュ箱120に流入され、これによりティッシュ102が液体101を吸収して膨張するようになり、この際液体が収容ケースの外側に流れ出なくなって便利さと衛生が一層向上される。その後、図16に示すように、前記圧力が加わり続けると、前記膨張されたティッシュ102によりティッシュ箱120に熱融着されたカバー膜150が破裂しつつティッシュ102がティッシュ箱120の外部に露出される。この際廃棄物は単一体として回収しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造及びその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
100 収容ケース
110 液体収容部
120 ティッシュ箱
130 収容体
140 分離膜
150 カバー膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨ての圧縮ティッシュ包装体において、
液体が収容されるための第1収容部と;
前記第1収容部の上部にその端面より大きい断面を有する段差を持ち、前記段差上に熱融着によって融着された分離膜で前記第1収容部と区画されて圧縮乾燥されたティッシュを収めるための第2収容部と;
前記第2収容部の上部をカバーするカバー膜と;を含むことを特徴とする使い捨ての圧縮ティッシュ包装体。
【請求項2】
前記分離膜は、金属薄膜であることを特徴とする請求項1記載の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体。
【請求項3】
液体を収容するための第1収容部と、前記第1収容部の断面より大きい断面を有するように段差が形成されて圧縮乾燥されたティッシュを収めるための第2収容部とを備えた合成樹脂材を一体に成形する第1段階と;
前記第1収容部に液体が収容された後前記段差上に分離膜を融着する第2段階と;
圧縮乾燥されたティッシュを前記第2収容部に収めた後前記第2収容部の上部をカバーする第3段階と;を備えることを特徴とする使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造方法。
【請求項4】
前記分離膜は、真空吸着によって前記段差上に安着されて熱融着されることを特徴とする請求項3記載の使い捨ての圧縮ティッシュ包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−542530(P2009−542530A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517967(P2009−517967)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003064
【国際公開番号】WO2008/002041
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509005948)
【氏名又は名称原語表記】SEO,Dongwon
【住所又は居所原語表記】104−1805,Wonang Apartment.,854−2,Sutack−Dong,Guri−Si,Gyounggi−do 471−030 Korea
【Fターム(参考)】