説明

使い捨てアイパッチ、及び患者の眼を保護する方法

【課題】製造するのにより安価で、着用者にとって使用感がよりよく、IPL装置からの光のみならずLED装置からの光、及び好ましくは低出力レーザー装置からの光から着用者を適切に保護することのできる、使い捨てアイパッチを提供する。
【解決手段】使い捨てアイパッチは、少なくとも1枚のシート部材と、当該シート部材に取り付けられた遮光層とを含む。アイパッチは、2枚のシート部材を含んでいてもよく、当該シート部材の間に遮光層が介入していてよい。当該アイパッチは好ましくは、着用者の顔に取り付けられるために、アイパッチの周縁部に接着剤が塗布されているのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てアイパッチ、及び患者の眼を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容整形外科的処置(例えば、美容整形)及び職業的フェイシャルケア処置は、ますます流行している。鼻梁、額、こめかみ、及び眼を直接に囲む部分といった顔の部位の処置を患者が要求するケースもある。そのような顔の部位を対象とする手術または他の処置の間は、医師及び他の専門家はしばしばできる限り遮蔽物のないエリアにアクセスできなければならない。同時に、医師や他の専門家は、例えばアブレーション方式、化学薬品、エアジェット、エアストリーム、液体、医薬品、薬品塗布器、手術道具(例えば、外科用メス、止血鉗子、手術針等)、発光装置及びそこから発する光、及び他の装置といった、様々な手術、医療、及び美容整形の用品から、患者の眼の損傷を避ける必要がある。発光装置が発する光には、レーザー、波長が広範囲に及ぶ強烈な散光パルスを発する超短パルス光(IPL)、及び波長が比較的狭い範囲の光を発する発光ダイオード(LED)が含まれる。
【0003】
使い捨てアイパッチには、医師または他の専門家が手術及びフェイシャルケア処置のために眼の周りのエリアに完全なアクセスを与え、かつ様々な種類の処置の間に着用者の眼を効果的に保護することのできるものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
GPT Glendale株式会社は1年以上にもわたって、IPL装置と共に使用されることを目的とする、使い捨てアイパッチを市販してきた。当該アイパッチは前記特許文献1で開示されている実施の形態に類似するが、4ミル(すなわち、0.004インチ)の厚さを有する黒いビニル層を含む。当該アイパッチはIPL装置が発する光から着用者の眼を効果的に保護する。
【0005】
GPT Glendale株式会社はまた1年以上にもわたって、レーザー装置と共に使用されることを対象とする、使い捨てアイパッチを市販してきた。当該アイパッチは前記特許文献1で開示されている実施の形態に類似するが、金属層を含む。当該アイパッチはレーザー装置が発する光から着用者の眼を効果的に保護する。
【特許文献1】米国特許第6,320,094号
【0006】
上述のアイパッチは、その対象とする使用用途に効果的であり、複数の種類の使用用途に適したものもある。例えば、IPLパッチは、マイクロダーマブレーション処置にも使用されることができ、レーザーパッチは、IPL処置、LED処置及びマイクロダーマブレーション処置にも使用されることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、IPLパッチは、LEDまたはレーザー処置には適さない。レーザーパッチはレーザー、IPL及びLED処置に適しているが、IPLパッチよりも製造するのに費用がかかり、いくぶん硬いので着用者にとって使用感が悪くなる。製造するのにより安価で、着用者にとって使用感がよりよく、IPL装置からの光のみならずLED装置からの光、及び好ましくは低出力レーザー装置からの光から着用者を適切に保護することのできる、使い捨てアイパッチを提供することは有益である。
【0008】
本発明の典型的な実施の形態では、医師または他の専門家にとって、LED処置、IPL処置及び好ましくは低出力レーザー処置のような光を用いた処置を含む、手術及びフェイシャルケア処置のために眼の周りのエリアへの完全なアクセスがあり、患者にとって着用の使用感のよい、小さなサイズの使い捨てアイパッチが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
典型的な実施の形態によれば、使い捨てアイパッチは、少なくとも1枚のシート部材と、当該シート部材に付着させた、例えばビニル層のような遮光層とを含む。アイパッチは少なくとも2枚のシート部材を含み、当該シート部材間に遮光層が介入していてもよい。好ましくは、アイパッチを着用者の顔に付着させるために、アイパッチの周縁部に接着剤が塗布されているのがよい。
【0010】
これら及び他の特徴及び利点は、以下の典型的な実施の形態の記述に含まれ、またはそこから明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態は添付の図を参照して説明され、そこでは同様な参照符号は同様な部材を表す。
【0012】
図1及び図2に示されているように、使い捨てアイパッチ10には、第1シート部材11とオプション的な第2シート部材12が含まれる。これら第1及び第2シート部材は好ましくは楕円形であるのがよいが、例えば涙滴形状、多角形またはそれに類する形状といった他の形状でもよい。本利用との関連で、「楕円形」とは、楕円、長楕円、及び卵型を含む。
【0013】
図1及び図2でわかるように、表現されている本実施の形態における、第1シート部材11及び第2シート部材12の平面状の形状は、眼球を全体的に覆う眼球保護エリアを含む。アイパッチ10は好ましくは概ね楕円形、涙滴形状またはそれに類する形状であるのがよいが、タブ11Aのような部分がアイパッチ10の端に備えられ、アイパッチ10を使用後に眼及び瞼から掴み易く及び剥がし易くしてもよい。そのようなタブは指で掴めるほどに大きくなければならないが、好ましくは、できるだけ小さいか、さもなければできるだけ顔のエリアが露出したままになるよう構成されているのがよい。
【0014】
アイパッチ10を患者の眼の周りの組織に付着させ、さらに好ましくは第1シート部材11を第2シート部材12に付着させるために、当該アイパッチ10は第1接着層13を第1シート部材11の片面上に含む。当該第1接着層13は例えば、第1シート部材11と平面上のサイズがほぼ等しく、好ましくは粘着剤(すなわち、周縁と接着剤との間の圧力が増すにつれて、隣接面との付着の強度が増す)から作られているのがよく、好ましくはゴムを含まない低刺激性素材であるのがよい。当該接着層13の付着の度合いは、皮膚に確実に付着されるほど強度であるべきだが、使用後に皮膚から容易に除去できるほど弱くなければならない。接着層13は、例えば吹き付け、またはローラー、ブラシ等により塗布されることによって直接第1シート部材に貼り付けられてもよいし、または例えば両面を接着剤でコーティングされた、既成のシートまたはリングに貼り付けられてもよい。そのような既成のシートまたはリングは、片面で接着剤により第1シート部材に付着され、もう片面の接着剤は着用者の皮膚に付着される。片面の接着剤は、もう片面の接着剤と同一、または異なっていてもよい。既に知られている、または後に開発されるタイプの接着層もまた接着層13として許容されうる。
【0015】
図3に示されるとおり、遮光層30はシート部材11の片面に設置され、好ましくは示されているように、第1シート部材11と第2シート部材12との間に設置されるのがよい。上述したように、遮光層30は楕円形または他の形状をしていてよい。よって、遮光層30の平面状の形状は、眼球を全体的に覆う眼球保護エリアを含んでいてもよい。遮光層30の全ての部分または少なくとも遮光層30の眼球保護エリアの全ての部分は、全ての光、または少なくとも低出力レーザー装置、IPL装置またはLED装置の任意の、全てのまたは任意の組み合わせからの直接の光といった、眼損傷を引き起こす光(eye―damaging light)が眼に届くことが妨げられる。ある実施の形態では、遮光層30は孔または微細孔を含まないことによって、少なくとも眼損傷を引き起こす光、及びオプションとして全ての光が眼に届くことが妨げられる。他の実施の形態では、遮光層30は、曲がりくねった孔または微細孔を有し、光を通してもよいが、それは光が孔または微細孔の中の様々な表面に反射した後の光にすぎず、眼に直接には影響がないので、少なくとも眼損傷を引き起こす光、及びオプションとして全ての光が眼に届くことが妨げられる。言い換えれば、孔または微細孔の曲がりくねった性質によって、光が眼を直接通り抜けることが妨げられ、好ましくは、孔または微細孔から入る、眼損傷を引き起こす全ての光が分散されて、もはや眼損傷が起きないようにするのである。
【0016】
遮光層30は、第1シート部材11よりも小さくてもよく、接着層13の周縁部13Aが露出するよう設置されてもよい。または、遮光層30は第1シート部材11と同一のサイズでもよい。この場合、着用者の顔にアイパッチ10を付着させるために、遮光層30の周縁部の上に接着層が備えられてもよい。
【0017】
実施の形態では、接着層13は、シート部材11の全面にわたって備えられていなくてもよいが、備えられていてもよい。例えば接着層13は、間隙のある斑点や細長い切れといったような状態で、シート部材上の断続的な場所に貼り付けられてもよい。縫合、熱接合または任意の他の既知のまたは後に開発される付着方法といった、他の方法によって、遮光層30がシート部材11に取り付けられた場合、シート部材11の露出した周縁のみにおいて接着剤を塗布してもよい。接着層13はシート部材11の全ての周縁上にあってもよいし、またはシート部材11の周縁の一部のみの上にあってもよい。
【0018】
さらに、遮光層30が接着剤によってシート部材11に取り付けられる場合、シート部材11に遮光層を取り付ける接着剤は、アイパッチ10を着用者の顔に取り付けるためにシート部材11の周縁部上に備えられた接着剤と、同一、または異なっていてもよい。例えば、着用者の顔に接触させる接着剤は、上述したように、低刺激性及び/または粘着する及び/またはゴムを含まない接着剤であってもよいが、遮光層30とシート部材11との間の接着剤は、例えば発泡プラスチック材のようなシート部材材料と遮光層材料との間の付着の強度を増すよう特別に考案されたものである。ある実施の形態では、2つの接着剤が使用されてもよい―1つはあらかじめ遮光層30に塗布され、1つはあらかじめシート部材11に塗布される。そのような実施の形態では、例えば、これらの部材間の付着は、シート部材11と患者の組織との間の付着よりも強化されていてもよい。
【0019】
第2シート部材12は好ましくは、遮光層30と同一のサイズまたは遮光層30よりも若干大きいのがよい。また第2シート部材12は好ましくは、(例えば第1シート部材11よりも小さいといったように)接着層13の周縁部が露出したままになるような形状をしているのがよい。
【0020】
シート部材11のように、シート部材12は接着層14により直接的にまたは間接的に遮光層30に取り付けられ、当該接着層14はあらかじめ第2シート部材12上、遮光層30上及び/または第1シート部材11上に備えられていてもよい。第2接着層14は、第1接着層13と同一、または異なる材料からできていてもよい。接着層14はシート部材12、遮光層30及び/またはシート部材11上の全面にわたって備えられていてもよいし、または間隙のある斑点や細長い切れといったような状態で、シート部材12、遮光層30及び/またはシート部材11上の断続的な場所に貼り付けられてもよい。縫合、熱接合または任意の他の既知のまたは後に開発される取り付け方法といった、接着剤を用いる以外の方法によって、遮光層30を直接的にまたは間接的にシート部材11に取り付けてもよい。
【0021】
第1シート部材11は貼り付けられたとき、患者の眼及び瞼を十分に覆うほどのサイズを有する。例えば、成人の患者用のものでは、第1シート部材11は好ましくは、長さが約40mmから約60mm、より好ましくは約50mm、幅が約20mmから約35mm、さらにより好ましくは約28mmであるのがよい。図2に示されるとおり、第2シート部材12は好ましくは、第1接着層13の中心部において第1シート部材11と接しているのがよい。
【0022】
上述の長さ及び幅を有していると、アイパッチ10は患者の眼窩にフィットし、よって医師または他の専門家がアクセス可能な顔のエリアを最大化させることができる。アイパッチ10が患者の瞼のほとんどの部分と接触する部分は、好ましくは接着剤が露出していないのがよい。こうすると、着用者にとってより使用感がよく、アイパッチ10の下で眼及び瞼を若干動かすことができる。好ましくは、シート部材12の眼及び瞼に面する側は接着剤が付いていないのがよく、特に接着性のない材料からできているのがよい。特に接着性のない材料の例としては、生体適合性発泡プラスチック材がある。これによってまた、アイパッチが使用後に取り外されるときに、不必要な痛みや不快感が生じないようになる。適切な生体適合性発泡プラスチック材の例としては、ミネソタ州セントポールの3M製の、9781として知られる製品である、フォームメディカルテープがある。
【0023】
第2シート部材12と重なっていない第1接着層13の周縁部13Aは、顔の眼の周りのエリアにアイパッチ10が十分に付着されるほど大きくなければならない。例えば、周縁部13Aは約5mmの幅を有していてもよい。記述されている実施の形態では、周縁部13Aはシート部材11の全ての周縁に沿って延び、遮光層30とシート部材12とは、周縁部13Aの全ての部分において重なり合わない。他の実施の形態では、遮光層30及び/またはシート部材12は周縁部13Aの一部に重なっていてもよい。
【0024】
第1シート部材11と第2シート部材12とはそれぞれ、好ましくは約0.1mmから約5mm、より好ましくは約0.1mmから約2mmの厚さ、さらにより好ましくは約0.5mmの厚さを有しているのがよい。アイパッチの使用の対象とする処置の種類によって当該厚さの適切な値は異なるが、一般的には、アイパッチ10のかさ高性を減じ、患者の使用感をよくするので、アイパッチはより薄い方が望ましい。例えば、いわゆるマイクロダーマブレーションプロセスでは、酸化アルミニウム結晶等が患者の顔面上にペン型器具から吹き付けられるが、厚さが約0.5mmの第1シート部材11と厚さが約0.5mmの第2シート部材12とを有するアイパッチ10により眼が効果的に保護される。遮光層30もまた、そのような治療中に眼を保護するのに物理的に役に立つ。
【0025】
第1シート部材11は好ましくは、生体適合性発泡プラスチック材からできているのがよい。第2シート部材12もまた好ましくは生体適合性発泡プラスチック材からできているのがよい。遮光層30の材料については以下で議論される。
【0026】
フェイシャル及び他の処置として、光を用いた様々な処置がますます流行している。例えば、IPL処置はしわを減少させる治療に使用される。LED処置は創傷治癒や疼痛管理に使用される。そのような目的のために考案されたLEDは傷口や捻挫等に局部的な熱を与え、治癒の処置を容易にする。レーザー処置は手術、及び母斑、シミ及び刺青を除去するのに使用される。LED処置、IPL処置及び低出力レーザー処置といった光を用いた処置から眼を保護するには、アイパッチ10は好ましくは、2006年1月1日施行のヨーロッパ規格EN207、及び同日施行の任意の修正、付属書類等の下の、波長範囲が315〜1400nmのレーザー放射を対象とする、テスト条件D、I、R及びMの、任意、全て、または任意の組み合わせの下で、L4等級に達するのがよい。当該ヨーロッパ規格EN207及び全ての関連する修正、付属書類等はここで参照することにより全体として組み込まれる。参照のため、これらのテスト条件は以下の表に要約されており、EN207の、レーザー照射に対するフィルター及びアイプロテクターを対象とする標準テストの持続時間を示す。
【表1】

【0027】
当業者に知られているように、L4等級はL1からL10までの範囲のうちの等級数であり、テストに使用されるレーザーの波長における最大分光透過率を示す。分光透過率とは、テストに使用されるレーザーによって照射されたときに試験片を通して伝わったエネルギー量をいう。L4等級に達するには、EN207に示されるとおり、アイパッチの分光透過率は10−4以下でなければならない。当業者に知られているように、分光透過率の測定の単位はワット(Watts)/mである。L5等級に達するためには、アイパッチの分光透過率は10−5以下、L6等級に達するためには、10−6以下、以下同様でなければならない。
【0028】
レーザー光直径、様々な波長範囲におけるレーザー光の出力及びエネルギー密度といった、L4等級を規定するのに使用される他のテスト条件はEN207に示され、当該EN207は、ここで参照することにより組み込まれ、また当業者にも知られている。
【0029】
アイパッチ10がL4等級に達するためには、遮光層30は例えば、8ミル(すなわち0.008インチ)以上の厚さを有する黒い不透明なビニル材でできていてもよい。適切な黒色ビニル材の例としては、マサチューセッツ州スペンサーのFLEXcon株式会社製の、FLEXmark(登録商標)V800F BLACK V−344 SPEC 50K−8として知られる製品がある。ビニル層が8ミルの厚さであるのに加え、この製品は1.2−1.3ミルの厚さの、粘着性アクリル系接着層を含む。当該接着層は上述した接着層の1つとして使用されてもよい。別の例は、同じくFLEXcon株式会社製の、FLEXmark(登録商標)V800F BLACK V−23 90 PFWがある。ビニル層が8ミルの厚さであるのに加え、この製品は1.7−1.8ミルの厚さの、粘着性アクリル系接着層を含む。当該接着層は上述した接着層の1つとして使用されてもよい。いくつかの実施の形態では金属層を含んでいてもよいが、遮光層30として金属層の代わりに、ビニル材のような非金属層を使用することの利点は、例えば、製造費用が減じられ、アイパッチ10が、金属層が使用されるときと比べて若干柔軟性を持つ(よって着用者にはより使用感がよくなる)ことである。この利用との関連で、「非金属層」とは、層の主要な成分及び/または主要な担体として金属を含まないことを意味する。例えば、いかなる金属も含まない層は、非金属層である。別の例は、金属量が全重量、体積及び/または平面エリアの約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満含まれる層もまた、非金属層である。この後者の例では当該金属は、非金属材料に組み込まれ及び/または支持された、繊維、細長い切れ、薄片、または粒子等の形状を取りうる。
【0030】
上述のように、眼損傷を引き起こす光が眼に達するのを妨げるならば、様々な織物材または編み物材もまた、遮光層として適切でありうる。
【0031】
アイパッチ10の構成要素の中で通常、遮光層30が光を妨害するに最も寄与する。しかし、シート部材11及び12の材料及び厚さによっても、テスト結果は異なりうるので、L4等級付けのテストはアイパッチ10に対し全体として実施される。
【0032】
アイパッチ10の色は例えばオフホワイト、クリーム色等発泡プラスチック材の天然の色であってもよく、または例えばベージュ、グレー、黒、蛍光グリーン等他の望ましい色であってもよい。
【0033】
図4及び図5に示されるように、アイパッチ10の接着層13の周縁部13A及び、第2シート部材12の眼と接触する側とが汚れないように、接着層13の周縁部13Aは剥離層15に取り付けられていてもよく、剥離層15はアイパッチ10の使用前に取り除かれる。当該剥離層15は例えば、パラフィン紙またはプラスチックフィルム等であってよい。
【0034】
接着層13はタブ11Aの全面または一部を覆っていなくてもよい。または、タブ11Aの全面または一部は、粘着性のない層(図示せず)を含み、タブ11Aが剥離層15または着用者の顔に付着しないようにしてもよい。こうすることで、使用者はタブ11Aを掴み易くなり、剥離層15または着用者の顔からアイパッチ10を取り除き易くなる。
【0035】
アイパッチ10が患者に適用される場合、剥離層15がまず使い捨てアイパッチ10から剥がされる。剥離層15が取り除かれると、接着剤が露出する。そしてアイパッチ10は患者の閉じられた眼及び瞼の上に配置され、アイパッチ10の端がそっと押し付けられてアイパッチが患者の眼及び瞼の周りの顔部組織に付着される。使用後は、アイパッチ10は眼及び瞼からそっと剥がされる。
【0036】
図6では、患者17が使い捨てアイパッチ10を着用している例を示している。患者の直接の眼の周りの組織エリアは露出しており、医師または療法士19がアクセス可能である。患者の眼がこのように保護されている間、医師または療法士は器具18を使用して処置を行う。処置は例えばLED処置、IPL処置または低出力レーザー処置のような光を用いた処置を含む、上述した任意の処置であってよい。本開示との関連で、「低出力レーザー処置」とは、光線がアイパッチに当たる時点において、約5ワット/cm以下のエネルギーを有する光線を出力するレーザーを使用した処置を意味する。遮光層30が8ミルの黒色不透明なビニル材でできている上記の実施の形態は、光線がアイパッチに当たる時点において、約1ワット/cmのエネルギーを有する光線を出力するレーザーを使用するのに適している。ある実施の形態では、アイパッチ10は少なくとも10秒間、1ワット/cmシステム(すなわち、光線がアイパッチに当たる時点において、約1ワット/cmのエネルギーを有する光線を出力するシステム)からの直接のレーザー照射を阻止するのに十分でなければならない。本特許出願との関連で、「直接のレーザー照射を阻止する」とは、「直接のレーザー照射の最中にL4の等級を維持する」ことを意味する。様々な実施の形態では、光線がアイパッチに当たる時点において少なくとも10秒間、約2ワット/cmのエネルギーを有するレーザーから、または光線がアイパッチに当たる時点において少なくとも10秒間、約3ワット/cmのエネルギーを有するレーザーから、または光線がアイパッチに当たる時点において少なくとも10秒間、約4ワット/cmのエネルギーを有するレーザーから、または光線がアイパッチに当たる時点において少なくとも10秒間、約5ワット/cmのエネルギーを有するレーザーから、の直接のレーザー照射を阻止するのに十分でなければならない。レーザー出力が上げられると、アイパッチ10によって確実に少なくとも10秒間、直接のレーザー照射が阻止されるよう、遮光層30の材料及び/または厚さが選択されなければならない。本開示と当業者の知識に照らすと、当業者の有する技術によってそのような選択は必要以上の実験を経ずして容易になされることができる。
【0037】
図7は、本発明の第2の例の実施の形態の、使い捨てアイパッチ10の断面図である。図7に示されるように、第2の実施の形態のアイパッチ10は、シート部材11と遮光層30とを含み、いずれも上述のような楕円形またはその他の形状を有していてもよい。シート部材11は上述のような大きさに作られてもよい。遮光層30の片面は接着層13を介して、シート部材11に付着されてもよい。本実施の形態でアイパッチは、遮光層30のもう片面に第2シート部材を含まない。
【0038】
本発明は上述の具体的な実施の形態とともに説明されているが、当該実施の形態は例示のためであり、これに限定するものではない。本発明の精神と範囲に含まれる様々な代替、改変、及び改良も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の例の実施の形態の、使い捨てアイパッチの平面図である。
【図2】図1の使い捨てアイパッチの底面図である。
【図3】図1の使い捨てアイパッチの断面図である。
【図4】剥離層上に取り付けられた、図1の使い捨てアイパッチの平面図である。
【図5】図4の使い捨てアイパッチ及び剥離層の断面図である。
【図6】フェイシャルケア処置の最中に使用されている、図1の使い捨てアイパッチの断面図である。
【図7】本発明の第2の例の実施の形態の、使い捨てアイパッチの断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 アイパッチ
11 第1シート部材
11A タブ
12 第2シート部材
13 第1接着層
13A 周縁部
14 第2接着層
30 遮光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート部材と、
前記第1シート部材に取り付けられた非金属の遮光層とを備え、2006年1月1日施行のヨーロッパ規格EN207のテスト条件D、I、RまたはMの少なくとも一つにおいて、L4等級に達し、かつ直接のレーザー照射の間に少なくとも10秒間、当該L4等級を維持する、
使い捨てアイパッチ。
【請求項2】
前記アイパッチは、前記ヨーロッパ規格EN207の少なくともテスト条件D、I及びRに対してL4等級に達する、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項3】
前記遮光層はビニル材を有する、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項4】
前記ビニル材は少なくとも8ミルの厚さを有する、請求項3に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項5】
前記第1シート部材は、人間の眼窩の少なくとも1つの寸法において、眼窩の内側に全体的にフィットするような大きさを有する眼球保護部を備える、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項6】
前記眼球保護部は、眼窩の横方向の寸法と眼窩の縦方向の寸法との両方において、眼窩の内側に全体的にフィットするような大きさを有する、請求項5に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項7】
前記眼球保護部は、約40mmから約60mmの横方向の寸法を有する、請求項5に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項8】
前記眼球保護部は、約20mmから約35mmの縦方向の寸法を有する、請求項5に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項9】
前記遮光層は、平面状の形状を有し、当該平面状の形状は眼球を全体的に覆う眼球保護エリアを含み、当該眼球保護エリアの全面は眼損傷を引き起こす光が眼に届くのを妨げる、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項10】
前記眼球保護エリアの全面は、全ての光が眼に直接に入射するのを妨げる、請求項9に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項11】
前記遮光層は、前記第1シート部材よりも小さく、前記第1シート部材の周縁部に重ならない、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項12】
前記周縁部は、前記第1シート部材の全ての周縁に沿って延び、前記遮光層は前記周縁部のいかなる部分とも重なり合わない、請求項11に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項13】
前記第1シート部材の周縁の少なくとも一部分の上に、接着層をさらに備える、請求項11に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項14】
さらに第2シート部材を有し、前記遮光層は前記第1シート部材と前記第2シート部材の間にある、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項15】
前記第1シート部材と前記第2シート部材は同一の材料から作成される、請求項14に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項16】
前記第1シート部材と前記第2シート部材はそれぞれ、約0.1mmから約5mmの範囲の厚さを有する、請求項14に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項17】
前記第1シート部材と前記第2シート部材との少なくとも一つは、生体適合性発泡プラスチック材を有する、請求項14に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項18】
前記第2シート部材は前記第1シート部材の周縁部に重ならない、請求項14に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項19】
前記周縁部は、前記第1シート部材の全ての周縁に沿って延び、前記第2シート部材は前記周縁部のいかなる部分とも重なり合わない、請求項18に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項20】
さらに前記第1シート部材の端に備えられたタブを有し、前記タブは前記アイパッチを掴み易くする、請求項1に記載の使い捨てアイパッチ。
【請求項21】
請求項1に記載の使い捨てアイパッチを眼の上に付着させる工程と、
患者の顔の隣接部に処置を施す工程と、
を備える、患者の顔の隣接部に処置を施しながら患者の眼を保護する方法。
【請求項22】
前記処置は光を用いた処置である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記処置はLED処置である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記処置はIPL処置である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記処置は低出力レーザー処置である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記処置はマイクロダーマブレーション処置である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記処置は、しわを減少させる治療、創傷治癒、疼痛管理、母斑の除去、シミの除去、または刺青の除去に使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記処置は手術である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記使い捨てアイパッチを付着させる工程は、人間の眼窩の少なくとも1つの寸法において、前記眼窩の内側に前記アイパッチの眼球保護部を配置する工程を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記使い捨てアイパッチを付着させる工程は、眼窩の横方向の寸法と眼窩の縦方向の寸法との両方において、眼窩の内側に全体的にフィットするように前記眼球保護部を配置する工程を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記遮光層は、平面状の形状を有し、当該平面状の形状は眼球を全体的に覆う眼球保護エリアを含み、前記使い捨てアイパッチを付着させる工程は、眼球保護エリアが眼損傷を引き起こす光が眼に届くのを妨げるように、前記アイパッチを配置する工程を備える、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−36440(P2008−36440A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206116(P2007−206116)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(504000890)ジーピーティ グレンデール, インコーポレイテッド (1)