使い捨てカイロ
【課題】包装袋(外装袋)などの外装材を不要として、製造の簡素化、低コスト化を図れ、簡単に使用でき、使用に伴うゴミの発生も少ない、外装レスタイプの二つ折り型使い捨てカイロにおいて、折り曲げ部分の両端における空気漏れを防止し、二つ折り形態における密閉性をより確実なものとする。
【解決手段】通気性シート3と非通気性シート4からなる、内部に発熱材1が封入された袋体2を、通気性シート3が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折りにする。通気性シート3における折り曲げ部分を除く互いに対向する縁部同士を剥離可能に熱圧着せしめて密封状の外装レス包装形態とする。二つ折り状の袋体2’の縁部同士を引き剥がし展開して使用する。二つ折り状の袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部に、二次熱圧着による封止圧着部(二次封止部)10が形成されている。
【解決手段】通気性シート3と非通気性シート4からなる、内部に発熱材1が封入された袋体2を、通気性シート3が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折りにする。通気性シート3における折り曲げ部分を除く互いに対向する縁部同士を剥離可能に熱圧着せしめて密封状の外装レス包装形態とする。二つ折り状の袋体2’の縁部同士を引き剥がし展開して使用する。二つ折り状の袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部に、二次熱圧着による封止圧着部(二次封止部)10が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨てカイロに関し、詳しくは、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士を、難剥離性をもって接合し扁平袋状に形成される袋体内に発熱材を封入した使い捨てカイロにおける、包装形態の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、鉄粉等を含有した発熱材を通気性のある扁平状の袋体内に封入した使い捨てカイロが広く普及している。この種使い捨てカイロは、非通気性シートよりなる包装袋(外装袋)の中に一つずつ気密状に封入して包装され、使用時にその包装袋を破って取り出したときに、空気中の酸素が袋体を通過して発熱材が発熱するようになっている。
発熱材を封入する袋体は、通常、略同一形状の通気性シートと非通気性シート、又は通気性シート同士における、互いの周縁部同士を熱圧着して扁平袋状に形成される。
【0003】
このような従来の使い捨てカイロは、製造時において、発熱材が封入された袋体を一つずつ包装袋(外装袋)に封入しなければならず、製造工程の簡素化や低コスト化に限界があった。また、使用時に包装袋を破って取り出さなければならないので面倒であるばかりか、包装袋はゴミになるので、地球環境保護などの面からも改良が望まれていた。
【0004】
このような問題を解消するために、本出願人は、図11,図12に示すように、通気性シート101と非通気性シート102の周縁部同士が難剥離性接合部103となる扁平袋状を成し、内部に発熱材104が封入された袋体100を、通気性シート101が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、該二つ折り状の袋体100における前記折り曲げ部分105を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性接合部106となる密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体100における前記易剥離性をもって接合された縁部同士(易剥離性接合部106)を引き剥がし展開状にして使用する、二つ折り型の新規な使い捨てカイロを先に提案した(特許文献1参照)。
この二つ折り型使い捨てカイロによれば、包装袋(外装袋)を不要として、製造の簡素化、低コスト化を図れ、且つ簡単に使用できると共に、カイロ本体以外のゴミを大幅に低減し得るなど、多くの効果を奏する。
【0005】
【特許文献1】特願2006−125787号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記した二つ折り型使い捨てカイロに関し、その技術内容をより詳細に検討したところ、以下の点について改良の余地があることが判明した。
すなわち、本出願人による先提案の二つ折り型使い捨てカイロによれば、図13に示すように、通気性シート101が内側になるよう袋体100を中央部分105で折り曲げて二つ折りにした際に、その折り曲げ部分105で皺が生じたり、折り曲げ部分105中に発熱材104が存在して所謂トンネル110が形成されるなどした場合、折り曲げ部分105の左右両端部(袋体100の幅方向両端部)において、通気性シート101の縁部同士が接合し難くなる。その結果、折り曲げ部分105の端部において密閉性が低減し、そこから空気が流入する虞れがあり、二つ折り状の袋体100が密封状態とならず、発熱材104が発熱してしまう可能性がある。
【0007】
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、前述した袋体を中央部分で折り曲げて二つ折りした際に、その折り曲げ部分の両端においても通気性シートの縁部同士が確実に密着し接合されるようにして、二つ折りにした包装形態において発熱材が発熱してしまうような虞れの無い、外装レス密封型使い捨てカイロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために本発明は、通気性シート(3)と非通気性シート(4)の周縁部同士が難剥離性をもって接合された扁平袋状を成し内部に発熱材(1)が封入された袋体(2)を、前記通気性シートが内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、且つ該二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士を引き剥がし展開状にして使用する二つ折り型の使い捨てカイロであって、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部に、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部(10)が形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、袋体を、非通気性シートが外側に、通気性シートが内側になるよう折り曲げて二つ折りにし、且つ、その通気性シートにおける互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合され、さらに、該二つ折り状の袋体における前記折り曲げ部分の左右の両端部を封止圧着部で封止するので、通気性シートが空気に触れることのない完全密閉状の外装レス包装構造となる。すなわち、袋体を二つ折りした際に、その折り曲げ部分で皺が生じたり、該折り曲げ部分中に発熱材が存在して所謂トンネルが形成されるなどし、該折り曲げ部分の左右両端部(袋体の幅方向両端部)において、通気性シートの縁部同士が接合し難くなったとしても、前記折り曲げ部分の両端部を封止圧着部でさらに封止するので、該折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができる。よって、二つ折り状の袋体における密封性を確保して、包装袋(外装袋)などを用いることなく、使用時(展開時)まで発熱材が空気に触れることのない、二つ折り密封状の使い捨てカイロとして提供可能になる。
【0010】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体(2’)における、前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部を熱圧着して形成することが好ましい。
【0011】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部(易剥離性接合部)の領域内に形成することができる。
【0012】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部(易剥離性接合部)の領域を超えて形成することができる。
【0013】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって形成することができる。
【0014】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって帯状に形成されており、該帯状の封止圧着部(10)で仕切られた左右の内部空間(2a,2b)に前記発熱材(1)が封入される構成とすることができる。
【0015】
袋体の折り曲げ部分(6)の両端部における密閉性確保の為には、前記封止圧着部(10)の形成領域が広い方が良く、前記折り曲げ部分(6)の全長にわたる帯状の封止圧着部(10)とすることが好ましい。
【0016】
二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成するには、前記通気性シート(3)が、該通気性シートの互いに対向する縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるイージーピールフィルムからなることが好ましい。
このような構成とした場合、二つ折りした袋体における互いに対向する縁部同士を、易剥離性をもって熱圧着(ヒートシール)することができ、密閉状の二つ折り形態を容易に形成することができる。且つ、使用時においては、二つ折りされた袋体における互いに対向する縁部同士を容易に引き剥がして、二つ折り状の袋体を容易に展開することができる。展開状にした袋体においては、通気性シート面が露出して空気に触れ、空気中の酸素が通気性シートを通過して袋体内の発熱材と反応し、発熱する。
【0017】
二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士の引き剥がしを容易に行えるようにする為に、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合される縁部同士の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部(30)を形成すると良い。
この場合、二つ折り状の袋体における密着状の縁部同士を、その非接合部を手がかりとして、極めて容易に引き剥がすことが可能になる。
非接合部は、前記二つ折りされた通気性シートにおける互いに対向する縁部同士を剥離可能に熱圧着する際に、該縁部の一部に延設した操作片を熱圧着しないことで、容易に形成することができる。
【0018】
本発明における使い捨てカイロは、そのまま手に持ったりポケットなどに入れて使用する、所謂貼らないタイプの使い捨てカイロとして使用することができる。
また、袋体の内側又は外側に、剥離シートで覆われる粘着層を備えたものとした場合、使用時に剥離シートを剥して粘着層を露出させることで、衣類などに貼って使用する、所謂貼るタイプの使い捨てカイロとして使用することができる。
【0019】
貼るタイプの使い捨てカイロとする場合の態様として、前記通気性シートの一部に粘着層を設けると共に、該粘着層を剥離シートで覆った態様をあげることができる。
また、前記非通気性シートの外側に粘着層を設けると共に、該粘着層を剥離シートで覆った態様をあげることができる。
また、前記貼るタイプの使い捨てカイロの一態様として、前記非接合部に、剥離シートで覆われた粘着層を形成する態様をあげることができる。
【0020】
尚、発熱材が封入される袋体を形成する通気性シートと非通気性シートの周縁部同士は、二つ折りされた前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の接合強度よりも大きい接合強度をもって接合させることは言うまでも無い。通常、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士を、難剥離性をもって熱圧着することで前記袋体が形成される。
【0021】
より具体的には、袋体が形成される際の、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士の熱圧着によるシール強度(接合強度)を、例えば15N/25mm以上、好ましくは20N/25mm以上として、該袋体自体の周縁部を難剥離性接合部とする。一方、二つ折りされた袋体の前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の熱圧着によるシール強度(剥離強度)を、例えば8〜24N/25mm、好ましくは10〜17N/25mm程度とし、且つ前記シール強度(接合強度)>該シール強度(剥離強度)となるようにして、該縁部を易剥離性接合部とする。
尚、前記した各シール強度(接合強度、剥離強度)は、熱圧着された二枚のシートを中央にしてその端部を180度開き、その状態で、各シートの端部を引張試験機のつかみ具に固定した後、前記熱圧着された二枚のシートが剥離するまで引張応力を加えて、剥離するまでの最大応力を求めたものである。
【0022】
二つ折り状袋体の前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の熱圧着によるシール強度(剥離強度)を前記した範囲になるようにして、該縁部を易剥離性接合部とするために、前述したように、通気性シートの少なくとも最外層が、該最外層の周縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるフィルム(所謂イージーピールフィルム)からなることが好ましい。
イージーピールフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムの表面にスチロール樹脂などを配置してなり、手で引き剥がし可能な剥離強度をもって相互に熱圧着されるイージーピール性を有するフィルム(例えば、東レフィルム加工(株)社製の「CFフィルム7601Eシリーズ」など)を用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明は、発熱材が封入された扁平袋体を中央で折り曲げて二つ折りにし、且つ対向する縁部同士を剥離可能に接合せしめて密封状の外装レス包装形態とし、前記接合せしめた縁部同士を引き剥がし展開して使用するよう形成した二つ折り型の使い捨てカイロであって、二つ折りした袋体における折り曲げ部分の左右の両端部に封止圧着部を備えるから、折り曲げ部分(二つ折り部分)の両端における空気漏れを防止し、二つ折り状の袋体の密封性をより確実なものとすることができる。
よって、包装袋(外装袋)などを用いることなく、使用時(展開時)まで発熱材が空気に触れることのない密封二つ折り型の使い捨てカイロとして供することができる。
【0024】
また、本発明のカイロは、使用時まで発熱材が空気に触れないようにした二つ折り型の使い捨てカイロであって、その周縁部を引き剥がして袋体を広げれば、発熱材が発熱して使用可能となる。よって、包装袋や外装シートなどの外装材が一切不要となり、製造の簡素化、低コスト化を促進し得ると共に、二つ折り状袋体を広げるだけで簡単に使用することができる。また、外装材を不要とした極めて簡素な外装レスタイプの包装構造を実現して、使用後のゴミの発生を大幅に低減し、地球環境にも優しい使い捨てカイロとして提供し得るなど、多くの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る使い捨てカイロの実施形態例を図1〜図10に基づいて説明する。
図1〜図3は第一例の使い捨てカイロ(以下、単に「カイロ」と言う)を示し、図1は二つ折り状の外装レス包装形態、図3は展開状の使用形態を表す。
【0026】
本例のカイロaは、従来のこの種カイロと同様に、発熱材1を扁平状の袋体2内に封入したものであって、発熱材1は、例えば鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭、塩類等が混合された混合粉体で、酸素と反応して発熱するものである。尚、発熱材として、前記混合粉体をシート状に成形したり、シート状物に前記混合粉体を保持させたものを用いることもできる。
【0027】
袋体2は、内部の発熱材1に酸素を供給できるように少なくともその一部分が通気性を有するようになっており、詳しくは、略同一形状の通気性シート3と非通気性シート4の周縁部同士を、20N/25mm程度のシール強度(接合強度)をもって熱圧着して難剥離性接合部5とすることにより、略扁平な袋状に形成されている。
【0028】
通気性シート3は、内層(非通気性シート4との接合面)が低密度ポリエチレンフィルムからなる多孔質通気性フィルム層であり、その上に、最外層(袋体2の内側の表面層)としてのイージーピールフィルムを積層した積層シートであって、イージーピールフィルムには、所定の通気性を確保するための針孔が多数形成されている。
【0029】
非通気性シート4は、最内層(通気性シート3との接合面)が低密度ポリエチレンフィルムなどからなる難剥離性接合層であり、その上に、塩化ビニリデンフィルムなどからなるバリアー層を積層し、その上に、最外層(袋体2の外側の表面層)としてのポリプロピレンフィルムからなる非通気層を積層した積層シートからなる。
【0030】
このような通気性シート3と非通気性シート4の周縁部同士を、所定温度と所定圧をもって熱圧着することで、互いの最内層である難剥離性接合層(低密度ポリエチレンフィルム)同士が20N/25mm程度のシール強度をもって接合され、これにより難剥離性接合部5が形成されて、袋体2が構成される。
【0031】
また、袋体2は、図1,図2に示すように、通気性シート3が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折りにし、且つ通気性シート3の折り曲げ部分6を除く互いに対向する縁部同士を剥離可能に接合せしめて密封状の外装レス包装形態とし、該二つ折り状の袋体2’における前記接合せしめた縁部同士を引き剥がし展開して使用するようになっている。
【0032】
すなわち、二つ折りされた袋体2’の通気性シート3における互いに対向する縁部同士は、所定温度と所定圧をもって熱圧着することで、互いの最外層である易剥離性接合層(イージーピールフィルム)の縁部同士が10〜17N/25mm程度のシール強度(剥離強度)をもって接合され、これにより易剥離性接合部7が形成されて、図1に示す二つ折り状の袋体2’となり、その状態から、該易剥離性接合部7を容易に引き剥がして、図3に示す展開状の袋体2に変形し得るようになっている。
【0033】
二つ折り状の袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部には、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部10が形成されている。
封止圧着部10は、二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体2’における、前記折り曲げ部分6の左右の両端部を、前記難剥離性接合部5と同様のシール強度をもって部分的に、二次熱圧着して形成される。
【0034】
このように、二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部を封止圧着部10で二次封止することで、該折り曲げ部分6の両端において、通気性シート3の縁部同士が確実に封止され、該折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができる。
【0035】
封止圧着部(二次封止部)10は、本例では、二つ折り状の袋体2’における前述の易剥離性接合部7の領域内において、三角形状に形成されているが、図4に示す第二例のように略台形状としたり、或いは、四角形状、半円形状とすることもできる。
要するに、折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができればどのような形状としても良く、図5〜図7に示す第三例〜第五例のように、易剥離性接合部6の領域を超えて形成しても良い。
【0036】
折り曲げ部分6の両端部における密閉性確保の為には、封止圧着部10の形成領域が広い方が良く、折り曲げ部分6の全長にわたる帯状の封止圧着部10とすることが好ましい。
【0037】
帯状の封止圧着部10とした例を図7〜図10に示す。この例では、二つ折り状の袋体2’の折り曲げ部分6の全長にわたり、難剥離性接合部5と同様のシール強度をもって帯状の封止圧着部10を形成しており、この封止圧着部10で仕切られた左右の内部空間2a,2bにそれぞれ発熱材1が封入されている。
【0038】
このように、袋体2の折り曲げ部分6に帯状の封止圧着部10を形成することで、該折り曲げ部分6の両端において通気性シート3の縁部同士がより確実に密着して熱圧着され、該折り曲げ部分両端からの空気の流入をより確実に防止することができる。
【0039】
尚、図中の符号3aは、前述した通気性シート3における内層(非通気性シート4との接合面)を構成する低密度ポリエチレンフィルムからなる多孔質通気性フィルム層であり、符号3bは、前述した通気性シート3における最外層(袋体2の内側の表面層)としてのイージーピールフィルムであり、符号3cは該イージーピールフィルム3bに形成した前述の針孔である。
【0040】
また、この例では、非通気性シート4の外側に粘着層20を設けると共に、該粘着層20を剥離シート21で覆うことで、貼るカイロとしての使用を可能としている。前記した粘着層20は、通気性シート3の端部に形成しても良い。
【0041】
また、前述した夫々の例では、二つ折り状の袋体2’における易剥離性接合部7の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部30を備えており、該非接合部30は、易剥離性接合部7を引き剥がす際の手がかり(操作片)となる。
【0042】
尚、各図示例においては、長方形状の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が、その幅方向(若しくは長さ方向)の中央部分で折り曲げられた四角形状の二つ折り型カイロを示したが、カイロの形状はこれに限定されない。例えば、正方形状の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が対角線で折り曲げられた三角形状の二つ折り型カイロとしたり、円形又は楕円形の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が、直径部分若しくは長さ方向中央部分で折り曲げられた半円形状又は半楕円形状の二つ折り型カイロとするなど、適宜選択可能である。
【0043】
以上、本発明に係る使い捨てカイロの実施形態例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の使い捨てカイロの実施形態例に係る二つ折り包装形態を示す正面図。
【図2】図1の(X)−(X)線に沿う拡大断面図。
【図3】図1における使い捨てカイロの使用形態を示す斜視図。
【図4】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図5】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図6】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図7】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図8】図7に示す使い捨てカイロの二つ折り状外装レス包装形態を示す斜視図。
【図9】図8の(Y)−(Y)線に沿う拡大断面図。
【図10】図7における使い捨てカイロの使用形態を示す拡大断面図。
【図11】従来の使い捨てカイロにおける二つ折り包装形態を示す斜視図。
【図12】図11の(Z)−(Z)線に沿う拡大断面図。
【図13】従来の使い捨てカイロの二つ折り形態においてトンネル現象が生じた場合を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
a:使い捨てカイロ
1:発熱材
2:袋体(展開状態を示す)
2’:袋体(二つ折り状態を示す)
3:通気性シート
3b:イージーピールフィルム
4:非通気性シート
5:難剥離性接合部
6:折り曲げ部分
7:易剥離性接合部
10:封止圧着部
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨てカイロに関し、詳しくは、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士を、難剥離性をもって接合し扁平袋状に形成される袋体内に発熱材を封入した使い捨てカイロにおける、包装形態の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、鉄粉等を含有した発熱材を通気性のある扁平状の袋体内に封入した使い捨てカイロが広く普及している。この種使い捨てカイロは、非通気性シートよりなる包装袋(外装袋)の中に一つずつ気密状に封入して包装され、使用時にその包装袋を破って取り出したときに、空気中の酸素が袋体を通過して発熱材が発熱するようになっている。
発熱材を封入する袋体は、通常、略同一形状の通気性シートと非通気性シート、又は通気性シート同士における、互いの周縁部同士を熱圧着して扁平袋状に形成される。
【0003】
このような従来の使い捨てカイロは、製造時において、発熱材が封入された袋体を一つずつ包装袋(外装袋)に封入しなければならず、製造工程の簡素化や低コスト化に限界があった。また、使用時に包装袋を破って取り出さなければならないので面倒であるばかりか、包装袋はゴミになるので、地球環境保護などの面からも改良が望まれていた。
【0004】
このような問題を解消するために、本出願人は、図11,図12に示すように、通気性シート101と非通気性シート102の周縁部同士が難剥離性接合部103となる扁平袋状を成し、内部に発熱材104が封入された袋体100を、通気性シート101が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、該二つ折り状の袋体100における前記折り曲げ部分105を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性接合部106となる密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体100における前記易剥離性をもって接合された縁部同士(易剥離性接合部106)を引き剥がし展開状にして使用する、二つ折り型の新規な使い捨てカイロを先に提案した(特許文献1参照)。
この二つ折り型使い捨てカイロによれば、包装袋(外装袋)を不要として、製造の簡素化、低コスト化を図れ、且つ簡単に使用できると共に、カイロ本体以外のゴミを大幅に低減し得るなど、多くの効果を奏する。
【0005】
【特許文献1】特願2006−125787号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記した二つ折り型使い捨てカイロに関し、その技術内容をより詳細に検討したところ、以下の点について改良の余地があることが判明した。
すなわち、本出願人による先提案の二つ折り型使い捨てカイロによれば、図13に示すように、通気性シート101が内側になるよう袋体100を中央部分105で折り曲げて二つ折りにした際に、その折り曲げ部分105で皺が生じたり、折り曲げ部分105中に発熱材104が存在して所謂トンネル110が形成されるなどした場合、折り曲げ部分105の左右両端部(袋体100の幅方向両端部)において、通気性シート101の縁部同士が接合し難くなる。その結果、折り曲げ部分105の端部において密閉性が低減し、そこから空気が流入する虞れがあり、二つ折り状の袋体100が密封状態とならず、発熱材104が発熱してしまう可能性がある。
【0007】
本発明はこのような従来事情に鑑みて成されたもので、その目的とする処は、前述した袋体を中央部分で折り曲げて二つ折りした際に、その折り曲げ部分の両端においても通気性シートの縁部同士が確実に密着し接合されるようにして、二つ折りにした包装形態において発熱材が発熱してしまうような虞れの無い、外装レス密封型使い捨てカイロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために本発明は、通気性シート(3)と非通気性シート(4)の周縁部同士が難剥離性をもって接合された扁平袋状を成し内部に発熱材(1)が封入された袋体(2)を、前記通気性シートが内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、且つ該二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士を引き剥がし展開状にして使用する二つ折り型の使い捨てカイロであって、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部に、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部(10)が形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、袋体を、非通気性シートが外側に、通気性シートが内側になるよう折り曲げて二つ折りにし、且つ、その通気性シートにおける互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合され、さらに、該二つ折り状の袋体における前記折り曲げ部分の左右の両端部を封止圧着部で封止するので、通気性シートが空気に触れることのない完全密閉状の外装レス包装構造となる。すなわち、袋体を二つ折りした際に、その折り曲げ部分で皺が生じたり、該折り曲げ部分中に発熱材が存在して所謂トンネルが形成されるなどし、該折り曲げ部分の左右両端部(袋体の幅方向両端部)において、通気性シートの縁部同士が接合し難くなったとしても、前記折り曲げ部分の両端部を封止圧着部でさらに封止するので、該折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができる。よって、二つ折り状の袋体における密封性を確保して、包装袋(外装袋)などを用いることなく、使用時(展開時)まで発熱材が空気に触れることのない、二つ折り密封状の使い捨てカイロとして提供可能になる。
【0010】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体(2’)における、前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部を熱圧着して形成することが好ましい。
【0011】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部(易剥離性接合部)の領域内に形成することができる。
【0012】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部(易剥離性接合部)の領域を超えて形成することができる。
【0013】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって形成することができる。
【0014】
また、前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって帯状に形成されており、該帯状の封止圧着部(10)で仕切られた左右の内部空間(2a,2b)に前記発熱材(1)が封入される構成とすることができる。
【0015】
袋体の折り曲げ部分(6)の両端部における密閉性確保の為には、前記封止圧着部(10)の形成領域が広い方が良く、前記折り曲げ部分(6)の全長にわたる帯状の封止圧着部(10)とすることが好ましい。
【0016】
二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成するには、前記通気性シート(3)が、該通気性シートの互いに対向する縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるイージーピールフィルムからなることが好ましい。
このような構成とした場合、二つ折りした袋体における互いに対向する縁部同士を、易剥離性をもって熱圧着(ヒートシール)することができ、密閉状の二つ折り形態を容易に形成することができる。且つ、使用時においては、二つ折りされた袋体における互いに対向する縁部同士を容易に引き剥がして、二つ折り状の袋体を容易に展開することができる。展開状にした袋体においては、通気性シート面が露出して空気に触れ、空気中の酸素が通気性シートを通過して袋体内の発熱材と反応し、発熱する。
【0017】
二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士の引き剥がしを容易に行えるようにする為に、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合される縁部同士の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部(30)を形成すると良い。
この場合、二つ折り状の袋体における密着状の縁部同士を、その非接合部を手がかりとして、極めて容易に引き剥がすことが可能になる。
非接合部は、前記二つ折りされた通気性シートにおける互いに対向する縁部同士を剥離可能に熱圧着する際に、該縁部の一部に延設した操作片を熱圧着しないことで、容易に形成することができる。
【0018】
本発明における使い捨てカイロは、そのまま手に持ったりポケットなどに入れて使用する、所謂貼らないタイプの使い捨てカイロとして使用することができる。
また、袋体の内側又は外側に、剥離シートで覆われる粘着層を備えたものとした場合、使用時に剥離シートを剥して粘着層を露出させることで、衣類などに貼って使用する、所謂貼るタイプの使い捨てカイロとして使用することができる。
【0019】
貼るタイプの使い捨てカイロとする場合の態様として、前記通気性シートの一部に粘着層を設けると共に、該粘着層を剥離シートで覆った態様をあげることができる。
また、前記非通気性シートの外側に粘着層を設けると共に、該粘着層を剥離シートで覆った態様をあげることができる。
また、前記貼るタイプの使い捨てカイロの一態様として、前記非接合部に、剥離シートで覆われた粘着層を形成する態様をあげることができる。
【0020】
尚、発熱材が封入される袋体を形成する通気性シートと非通気性シートの周縁部同士は、二つ折りされた前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の接合強度よりも大きい接合強度をもって接合させることは言うまでも無い。通常、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士を、難剥離性をもって熱圧着することで前記袋体が形成される。
【0021】
より具体的には、袋体が形成される際の、通気性シートと非通気性シートの周縁部同士の熱圧着によるシール強度(接合強度)を、例えば15N/25mm以上、好ましくは20N/25mm以上として、該袋体自体の周縁部を難剥離性接合部とする。一方、二つ折りされた袋体の前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の熱圧着によるシール強度(剥離強度)を、例えば8〜24N/25mm、好ましくは10〜17N/25mm程度とし、且つ前記シール強度(接合強度)>該シール強度(剥離強度)となるようにして、該縁部を易剥離性接合部とする。
尚、前記した各シール強度(接合強度、剥離強度)は、熱圧着された二枚のシートを中央にしてその端部を180度開き、その状態で、各シートの端部を引張試験機のつかみ具に固定した後、前記熱圧着された二枚のシートが剥離するまで引張応力を加えて、剥離するまでの最大応力を求めたものである。
【0022】
二つ折り状袋体の前記通気性シートにおける互いに対向する縁部同士の熱圧着によるシール強度(剥離強度)を前記した範囲になるようにして、該縁部を易剥離性接合部とするために、前述したように、通気性シートの少なくとも最外層が、該最外層の周縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるフィルム(所謂イージーピールフィルム)からなることが好ましい。
イージーピールフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムの表面にスチロール樹脂などを配置してなり、手で引き剥がし可能な剥離強度をもって相互に熱圧着されるイージーピール性を有するフィルム(例えば、東レフィルム加工(株)社製の「CFフィルム7601Eシリーズ」など)を用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明は、発熱材が封入された扁平袋体を中央で折り曲げて二つ折りにし、且つ対向する縁部同士を剥離可能に接合せしめて密封状の外装レス包装形態とし、前記接合せしめた縁部同士を引き剥がし展開して使用するよう形成した二つ折り型の使い捨てカイロであって、二つ折りした袋体における折り曲げ部分の左右の両端部に封止圧着部を備えるから、折り曲げ部分(二つ折り部分)の両端における空気漏れを防止し、二つ折り状の袋体の密封性をより確実なものとすることができる。
よって、包装袋(外装袋)などを用いることなく、使用時(展開時)まで発熱材が空気に触れることのない密封二つ折り型の使い捨てカイロとして供することができる。
【0024】
また、本発明のカイロは、使用時まで発熱材が空気に触れないようにした二つ折り型の使い捨てカイロであって、その周縁部を引き剥がして袋体を広げれば、発熱材が発熱して使用可能となる。よって、包装袋や外装シートなどの外装材が一切不要となり、製造の簡素化、低コスト化を促進し得ると共に、二つ折り状袋体を広げるだけで簡単に使用することができる。また、外装材を不要とした極めて簡素な外装レスタイプの包装構造を実現して、使用後のゴミの発生を大幅に低減し、地球環境にも優しい使い捨てカイロとして提供し得るなど、多くの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る使い捨てカイロの実施形態例を図1〜図10に基づいて説明する。
図1〜図3は第一例の使い捨てカイロ(以下、単に「カイロ」と言う)を示し、図1は二つ折り状の外装レス包装形態、図3は展開状の使用形態を表す。
【0026】
本例のカイロaは、従来のこの種カイロと同様に、発熱材1を扁平状の袋体2内に封入したものであって、発熱材1は、例えば鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭、塩類等が混合された混合粉体で、酸素と反応して発熱するものである。尚、発熱材として、前記混合粉体をシート状に成形したり、シート状物に前記混合粉体を保持させたものを用いることもできる。
【0027】
袋体2は、内部の発熱材1に酸素を供給できるように少なくともその一部分が通気性を有するようになっており、詳しくは、略同一形状の通気性シート3と非通気性シート4の周縁部同士を、20N/25mm程度のシール強度(接合強度)をもって熱圧着して難剥離性接合部5とすることにより、略扁平な袋状に形成されている。
【0028】
通気性シート3は、内層(非通気性シート4との接合面)が低密度ポリエチレンフィルムからなる多孔質通気性フィルム層であり、その上に、最外層(袋体2の内側の表面層)としてのイージーピールフィルムを積層した積層シートであって、イージーピールフィルムには、所定の通気性を確保するための針孔が多数形成されている。
【0029】
非通気性シート4は、最内層(通気性シート3との接合面)が低密度ポリエチレンフィルムなどからなる難剥離性接合層であり、その上に、塩化ビニリデンフィルムなどからなるバリアー層を積層し、その上に、最外層(袋体2の外側の表面層)としてのポリプロピレンフィルムからなる非通気層を積層した積層シートからなる。
【0030】
このような通気性シート3と非通気性シート4の周縁部同士を、所定温度と所定圧をもって熱圧着することで、互いの最内層である難剥離性接合層(低密度ポリエチレンフィルム)同士が20N/25mm程度のシール強度をもって接合され、これにより難剥離性接合部5が形成されて、袋体2が構成される。
【0031】
また、袋体2は、図1,図2に示すように、通気性シート3が内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折りにし、且つ通気性シート3の折り曲げ部分6を除く互いに対向する縁部同士を剥離可能に接合せしめて密封状の外装レス包装形態とし、該二つ折り状の袋体2’における前記接合せしめた縁部同士を引き剥がし展開して使用するようになっている。
【0032】
すなわち、二つ折りされた袋体2’の通気性シート3における互いに対向する縁部同士は、所定温度と所定圧をもって熱圧着することで、互いの最外層である易剥離性接合層(イージーピールフィルム)の縁部同士が10〜17N/25mm程度のシール強度(剥離強度)をもって接合され、これにより易剥離性接合部7が形成されて、図1に示す二つ折り状の袋体2’となり、その状態から、該易剥離性接合部7を容易に引き剥がして、図3に示す展開状の袋体2に変形し得るようになっている。
【0033】
二つ折り状の袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部には、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部10が形成されている。
封止圧着部10は、二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体2’における、前記折り曲げ部分6の左右の両端部を、前記難剥離性接合部5と同様のシール強度をもって部分的に、二次熱圧着して形成される。
【0034】
このように、二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体2’における折り曲げ部分6の左右の両端部を封止圧着部10で二次封止することで、該折り曲げ部分6の両端において、通気性シート3の縁部同士が確実に封止され、該折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができる。
【0035】
封止圧着部(二次封止部)10は、本例では、二つ折り状の袋体2’における前述の易剥離性接合部7の領域内において、三角形状に形成されているが、図4に示す第二例のように略台形状としたり、或いは、四角形状、半円形状とすることもできる。
要するに、折り曲げ部分両端からの空気の流入を防止することができればどのような形状としても良く、図5〜図7に示す第三例〜第五例のように、易剥離性接合部6の領域を超えて形成しても良い。
【0036】
折り曲げ部分6の両端部における密閉性確保の為には、封止圧着部10の形成領域が広い方が良く、折り曲げ部分6の全長にわたる帯状の封止圧着部10とすることが好ましい。
【0037】
帯状の封止圧着部10とした例を図7〜図10に示す。この例では、二つ折り状の袋体2’の折り曲げ部分6の全長にわたり、難剥離性接合部5と同様のシール強度をもって帯状の封止圧着部10を形成しており、この封止圧着部10で仕切られた左右の内部空間2a,2bにそれぞれ発熱材1が封入されている。
【0038】
このように、袋体2の折り曲げ部分6に帯状の封止圧着部10を形成することで、該折り曲げ部分6の両端において通気性シート3の縁部同士がより確実に密着して熱圧着され、該折り曲げ部分両端からの空気の流入をより確実に防止することができる。
【0039】
尚、図中の符号3aは、前述した通気性シート3における内層(非通気性シート4との接合面)を構成する低密度ポリエチレンフィルムからなる多孔質通気性フィルム層であり、符号3bは、前述した通気性シート3における最外層(袋体2の内側の表面層)としてのイージーピールフィルムであり、符号3cは該イージーピールフィルム3bに形成した前述の針孔である。
【0040】
また、この例では、非通気性シート4の外側に粘着層20を設けると共に、該粘着層20を剥離シート21で覆うことで、貼るカイロとしての使用を可能としている。前記した粘着層20は、通気性シート3の端部に形成しても良い。
【0041】
また、前述した夫々の例では、二つ折り状の袋体2’における易剥離性接合部7の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部30を備えており、該非接合部30は、易剥離性接合部7を引き剥がす際の手がかり(操作片)となる。
【0042】
尚、各図示例においては、長方形状の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が、その幅方向(若しくは長さ方向)の中央部分で折り曲げられた四角形状の二つ折り型カイロを示したが、カイロの形状はこれに限定されない。例えば、正方形状の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が対角線で折り曲げられた三角形状の二つ折り型カイロとしたり、円形又は楕円形の通気性シート3と非通気性シート4からなる袋体2が、直径部分若しくは長さ方向中央部分で折り曲げられた半円形状又は半楕円形状の二つ折り型カイロとするなど、適宜選択可能である。
【0043】
以上、本発明に係る使い捨てカイロの実施形態例を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の使い捨てカイロの実施形態例に係る二つ折り包装形態を示す正面図。
【図2】図1の(X)−(X)線に沿う拡大断面図。
【図3】図1における使い捨てカイロの使用形態を示す斜視図。
【図4】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図5】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図6】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図7】本発明の使い捨てカイロの実施形態の他例に係る使用形態を示す斜視図。
【図8】図7に示す使い捨てカイロの二つ折り状外装レス包装形態を示す斜視図。
【図9】図8の(Y)−(Y)線に沿う拡大断面図。
【図10】図7における使い捨てカイロの使用形態を示す拡大断面図。
【図11】従来の使い捨てカイロにおける二つ折り包装形態を示す斜視図。
【図12】図11の(Z)−(Z)線に沿う拡大断面図。
【図13】従来の使い捨てカイロの二つ折り形態においてトンネル現象が生じた場合を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
a:使い捨てカイロ
1:発熱材
2:袋体(展開状態を示す)
2’:袋体(二つ折り状態を示す)
3:通気性シート
3b:イージーピールフィルム
4:非通気性シート
5:難剥離性接合部
6:折り曲げ部分
7:易剥離性接合部
10:封止圧着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性シート(3)と非通気性シート(4)の周縁部同士が難剥離性をもって接合された扁平袋状を成し内部に発熱材(1)が封入された袋体(2)を、前記通気性シートが内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、且つ該二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士を引き剥がし展開状にして使用する二つ折り型の使い捨てカイロであって、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部に、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部(10)が形成されていることを特徴とする使い捨てカイロ。
【請求項2】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体(2’)における、前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部を熱圧着して形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の使い捨てカイロ。
【請求項3】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部の領域内に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項4】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部の領域を超えて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項5】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項6】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって帯状に形成されており、該帯状の封止圧着部(10)で仕切られた左右の内部空間(2a,2b)に前記発熱材(1)が封入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項7】
前記通気性シート(3)が、該通気性シートの互いに対向する縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるイージーピールフィルムからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【請求項8】
前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合される縁部同士の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部(30)が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【請求項9】
前記袋体(2)の内側又は外側に、剥離シート(21)で覆われる粘着層(20)を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【請求項1】
通気性シート(3)と非通気性シート(4)の周縁部同士が難剥離性をもって接合された扁平袋状を成し内部に発熱材(1)が封入された袋体(2)を、前記通気性シートが内側になるよう中央部分で折り曲げて二つ折り状にし、且つ該二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)を除く互いに対向する縁部同士が易剥離性をもって接合された密封状の外装レス包装形態を構成し、該二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部同士を引き剥がし展開状にして使用する二つ折り型の使い捨てカイロであって、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部に、該両端部からの空気の流入を防止する封止圧着部(10)が形成されていることを特徴とする使い捨てカイロ。
【請求項2】
前記封止圧着部(10)は、前記二つ折り状の外装レス包装形態とした袋体(2’)における、前記折り曲げ部分(6)の左右の両端部を熱圧着して形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の使い捨てカイロ。
【請求項3】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部の領域内に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項4】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合された縁部の領域を超えて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項5】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項6】
前記封止圧着部(10)が、前記二つ折り状の袋体(2’)における前記折り曲げ部分(6)の全長にわたって帯状に形成されており、該帯状の封止圧着部(10)で仕切られた左右の内部空間(2a,2b)に前記発熱材(1)が封入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨てカイロ。
【請求項7】
前記通気性シート(3)が、該通気性シートの互いに対向する縁部同士を熱圧着した際に、易剥離性をもって接合されるイージーピールフィルムからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【請求項8】
前記二つ折り状の袋体(2’)における前記易剥離性をもって接合される縁部同士の一部に、該縁部同士を引き剥がす際の非接合部(30)が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【請求項9】
前記袋体(2)の内側又は外側に、剥離シート(21)で覆われる粘着層(20)を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の使い捨てカイロ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−119090(P2008−119090A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303971(P2006−303971)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
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