説明

使い捨て容器

【課題】使い勝手の良い使い捨て容器を提供する。
【解決手段】蓋体21を開けず内容物を上から順に取り出す場合は、容器本体2の側面部8を第1側面切取線13,14および第2側面切取線15に沿って切って側面切取可能部16を切り取る。容器本体2を反転させると内容物を引き抜くように取り出すことができる。内容物が自重により順次下方に移動する。側面切取可能部16とともに蓋体21の天面部22を一対の第1蓋体切取線26,27および第2蓋体切取線28に沿って切って天面切取可能部29を切り取る。内容物を取り出すための開口を大きくできる。内容物の種類に応じて使い捨て容器1の使用方法を選択できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生材料などの内容物を包装する使い捨て容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガーゼや吸収性パッド等のシート状の使い捨ての衛生材料は、縦方向あるいは横方向に並べられた状態で容器内に収容されて封入されている。
【0003】
そして、この種の衛生材料などの内容物を包装する使い捨て容器としては、容器本体に蓋体が取り付けられており、この蓋体を開閉させることによって容器本体から内容物を出し入れできるように構成されている。
【0004】
また、この種の使い捨て容器としては、蓋体を閉めて内容物を保管する必要がない場合や、容器本体内の内容物をすぐに使い切ってしまう場合、個々の内容物がパッケージされている場合などの、蓋体を開閉する必要がないときには、内容物を封入させた容器本体の一部に設けられた切取線に沿って容器本体の一部を切り取ることによって、この容器本体から内容物を取り出し可能にする構成が知られている。
【0005】
さらに、この種の使い捨て容器である紙器としては、厚紙主体に端面部、前側面部、端面部、後側面部および結合部のそれぞれが折線にて順次連接されている。そして、各端面部および前後の側面部の下縁に、折線にて底面部が延設され、これら各端面部の上縁に、折線にて外蓋部が延設されている。さらに、各側面部の少なくとも一方には枠状の切取線が設けられ、この切取線に連続する切取線が外蓋部の少なくとも一方に設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭56−34591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように蓋体を開閉して内容物を出し入れする容器では、蓋体で塵の混入を防止できるが、使用する毎に蓋体を開閉する必要があるから手間が掛かる。また、切取線に沿って容器本体の一部を切り取って内容物を取り出す容器では、一度開封した後に蓋を閉塞できないので、内容物の種類によっては適さない場合がある。
【0007】
さらに、上記紙器では、連続して一体に形成されている前側面部および外蓋部に切取線が設けられていることから、これら前側面部および外蓋部の一方のみを切り取る際に、これら前側面部と外蓋部との間の切取線を切り取る必要があるので手間が掛かる。また、この切取線が側面部、外蓋部および端面部に設けられていないので、内容物の大きさが紙器の幅方向あるいは奥行き方向と略同一の大きさである場合に、この内容物を取り出しにくいから、使い勝手が余り良くないという問題を有している。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、使い勝手の良い使い捨て容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明の使い捨て容器は、幅方向と奥行き方向とを有する底面、この底面に対向する上側に位置した開口部、および前記幅方向と奥行き方向とのそれぞれに直交する高さ方向を有し前記開口部と前記底面との間に位置した側面を備えた容器本体と、この容器本体の開口部に取り付けられた蓋体とを具備し、前記容器本体の側面は、高さ方向および幅方向を有する前面部と、この前面部に対向して位置する後面部と、この後面部と前記前面部との間に位置し高さ方向および奥行き方向を有する一対の側面部とで形成され、これら一対の側面部の少なくとも一方には、この側面部と前記前面部および後面部との境界部に位置し前記開口部の開口縁から前記底面側に向けて高さ方向に沿って設けられた一対の第1側面切取線と、これら一対の第1側面切取線の底面側の各端部に連続して奥行き方向に沿って設けられた第2側面切取線と、これら一対の第1側面切取線および第2側面切取線にて囲まれた側面切取可能部とが形成され、前記蓋体は、一方側が前記後面部に接続され前記容器本体の開口部を閉塞する天面部と、この天面部の他方側に取り付けられ前記天面部で前記開口部を閉塞した状態で前記前面部の内側に位置する蓋体前面部とで形成され、前記蓋体の天面部には、前記蓋体の天面部と蓋体前面部および後面部それぞれとの境界部に位置し一方の前記側面側の端部から他方の側面側に向けて幅方向に沿って設けられた一対の第1蓋体切取線と、これら一対の第1蓋体切取線の他方の側面側の各端部に連続して奥行き方向に沿って設けられた第2蓋体切取線と、これら一対の第1蓋体切取線および第2蓋体切取線にて囲まれた天面切取可能部とが形成されているものである。
【0010】
請求項2記載の発明の使い捨て容器は、請求項1記載の使い捨て容器において、容器本体の一対の側面部の高さ方向の開口部側には、内側に向けて突出したフラップ部が奥行き方向に沿って形成され、蓋体の天面部の天面切取可能部側の幅方向の縁部には、フラップ部の幅方向の長さより短い幅方向の長さの切り欠き部が形成されているものである。
【0011】
請求項3記載の発明の使い捨て容器は、請求項1記載の使い捨て容器において、蓋体の天面部の天面切取可能部側の幅方向の縁部には、前記天面切取可能部側の反対側に向けて折り返し可能な折り返し部が形成され、この折り返し部を前記天面切取可能部側の反対側に向けて折り返すことによって切り欠き部が形成されるものである。
【0012】
請求項4記載の発明の使い捨て容器は、請求項1ないし3いずれか記載の使い捨て容器において、容器本体の前面部の開口部側の縁部には、略U字状に切り取り可能で蓋体の蓋体前面部に接合された前面切取部が設けられているものである。
【0013】
請求項5記載の発明の使い捨て容器は、請求項1ないし4いずれか記載の使い捨て容器において、第2側面切取線は、高さ方向に向けて間隔を空けて並列に複数設けられているものである。
【0014】
請求項6記載の発明の使い捨て容器は、請求項1ないし5いずれか記載の使い捨て容器において、第2蓋体切取線は、幅方向に向けて間隔を開けて並例に複数設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の使い捨て容器によれば、容器本体内に収容されている内容物を蓋体の開閉で出し入れできるとともに、この蓋体を開閉する必要がない場合は、側面切取可能部および天面切取可能部の少なくとも一方を切り取ることによって、この蓋体を開かなくても内容物を取り出すことができる。また、側面切取可能部と天面切取可能部とが一体的に連続していないので、これら側面切取可能部および天面切取可能部の各々を容易に切り取ることができる。さらに、これら側面切取可能部および天面切取可能部により容器本体の側面部および天面部を奥行き方向全体に亘って切り取られるから、容器本体の奥行き方向の大きさに略等しい大きさの内容物であっても取り出しやすいので、使い勝手が良い。
【0016】
請求項2記載の使い捨て容器によれば、例えば指などを切り欠き部に入れることにより、天面切取可能部および側面切取可能部の少なくとも一方を容易に切り取ることができる。また、フラップ部によって切り欠き部が覆われて開口しないので、使用前に切り欠き部から異物などが混入することを防止できる。
【0017】
請求項3記載の使い捨て容器によれば、例えば指などを切り欠き部に入れることにより、天面切取可能部および側面切取可能部の少なくとも一方を容易に切り取ることができる。また、切り欠き部を使用しない場合には、蓋体の天面部に切り欠きが形成されないので、異物などの混入を防止できる。
【0018】
請求項4記載の使い捨て容器によれば、使用前に蓋体が勝手に開くことを防止できるとともに、前面切取部を切り取りながら蓋体を開けることができるので、容器本体を容易に開閉自在にできる。
【0019】
請求項5記載の使い捨て容器によれば、例えば容器本体内に収容されている内容物が減った場合や、この内容物の大きさが大きい場合などに、側面切取可能部のいずれかを状況に応じて切り取ることができる。
【0020】
請求項6記載の使い捨て容器によれば、例えば容器本体内に収容されている内容物が減った場合や、この内容物の大きさが大きい場合などに、天面切取可能部のいずれかを状況に応じて切り取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の使い捨て容器の第1の実施の形態の構成を、図1ないし図4を参照して説明する。
【0022】
図1ないし図4において、1は使い捨て容器で、この使い捨て容器1は、少なくとも一部が切り欠き可能で、ガーゼあるいは吸収パッドなどの板状またはシート状の図示しない衛生材料や、これらガーゼあるいは吸収パッドを滅菌紙などで被覆したシート状の衛生材料を収容して封入させる容器である。そして、この使い捨て容器1の材質としては紙が好ましいが、その他の材質でも良く、衛生材料を使い捨て容器1ごと滅菌できオートクレーブ滅菌に絶えられる強度を有する厚さや材質のものが好ましい。
【0023】
さらに、この使い捨て容器1は、組み立てた状態で、高さ方向Aに長手方向を有する中空な直方体状の容器本体2を備えている。この容器本体2は、この容器本体2の下部に位置し高さ方向Aにそれぞれ直交する幅方向Bおよび奥行き方向Cを有する正方形板状の底面3と、この底面3に対向する反対側である上側の容器本体2の上部に位置しこの容器本体2の上部を開口させる正方形状の開口部4と、この開口部4と底面3との間に位置し容器本体2の側部を形成する計4枚の長方形状の側面5とで構成されている。ここで、これら側面5は、幅方向Bと、この幅方向Bに直交する奥行き方向Cとのそれぞれに直交する高さ方向Aをそれぞれ有している。
【0024】
さらに、容器本体2の側面5は、高さ方向Aおよび幅方向Bを有し容器本体2の前部を構成する前面部6と、高さ方向Aおよび幅方向Bを有し前面部6に対向する側に位置して容器本体2の後部を構成する後面部7と、高さ方向Aおよび奥行き方向Cを有し前面部6と後面部7との両側間に位置して容器本体2の側部を構成する一対の側面部8,9とで形成されている。ここで、これら前面部6、後面部7および側面部8のそれぞれは、高さ方向Aに長手方向を有する互いに等しい大きさの長方形板状に形成されている。
【0025】
また、容器本体2の一対の側面部8,9は、これら側面部8,9の奥行き方向Cの両側縁が前面部6および後面部7の幅方向Bの両側縁に連結されて接合されている。このことから、この容器本体2の底面3と、各側面5の前面部6、後面部7および側面部8,9とによって直方体状の内部空間Dが形成され、この内部空間Dがシート状の衛生材料を高さ方向Aに沿って積層させて収容させる収容空間となる。
【0026】
さらに、この容器本体2の一方の側面部8には、この側面部8と前面部6および後面部7との境界部である各折り曲げ部11,12に位置し、容器本体2の開口部4の開口縁から底面3側に向けて高さ方向Aに沿って設けられた一対の第1側面切取線13,14と、これら一対の第1側面切取線13,14の底面3側の各端部に連続して奥行き方向Cに沿って設けられた第2側面切取線15とが形成されている。
【0027】
また、一対の第1側面切取線13,14は、側面部8の奥行き方向Cの両側縁に沿って開口部4の開口縁から底面3側に向けて、この側面部8の高さ方向Aの約5分の1ほどに亘って設けられている。そして、この一方の側面部8の一対の第1側面切取線13,14と第2側面切取線15とによって囲まれた領域は、この側面部8から切り取り可能な片状の側面切取可能部16となる。ここで、この側面切取可能部16は、一方の側面部8だけではなく、一対の側面部8,9のそれぞれに設けても良い。
【0028】
さらに、容器本体2の一対の側面部8,9それぞれの高さ方向Aの開口部4側の縁部には、内側に向けて突出した折込部としての片状の本体フラップ部17,18が、これら側面部8,9の奥行き方向Cに沿って形成されている。これら本体フラップ部17,18は、奥行き方向Cに沿った長手方向を有する細長略矩形板状に形成されており、容器本体2の各側面部8,9の上端縁に一体的に折り曲げられて形成されている。さらに、これら本体フラップ部17,18の奥行き方向Cの両側部は、基端側から先端側に向けて幅狭になるように傾斜して形成されている。
【0029】
一方、容器本体2の開口部4には、この開口部4を開閉可能にさせる板状の蓋体21が一体的に取り付けられている。この蓋体21は、奥行き方向Cの一方側である後側が後面部7の高さ方向Aの一端縁である上端縁に一体的に接続され容器本体2の開口部4を閉塞する正方形板状の天面部22と、この天面部22の奥行き方向Cの他方側である前側に取り付けられ天面部22で開口部4を閉塞した状態で前面部6の内側に挿入されこの前面部6の内側に対向して位置する蓋体前面部としての折込部である片状の蓋体フラップ部23とで形成されている。
【0030】
ここで、天面部22は、この天面部22の奥行き方向Cの後端が後面部7の上端縁に一体的に折り曲げられて形成されている。また、蓋体フラップ部23は、天面部22の奥行き方向Cの前端縁に一体的に折り曲げられて形成されており、この天面部22の前端縁の幅方向Bに亘って形成されている。さらに、この蓋体フラップ部23は、幅方向Bに沿った長手方向を有する細長略矩形板状に形成され、この蓋体フラップ部23の幅方向Bの両側部が基端側から先端側に向けて幅狭になるように傾斜して形成されている。
【0031】
そして、蓋体21の天面部22には、この天面部22と蓋体フラップ部23および後面部7それぞれとの境界部である各折り曲げ部24,25に位置し一方の側面部8側の端部から他方の側面部9側に向けて幅方向Bに沿って設けられた一対の第1蓋体切取線26,27と、これら一対の第1蓋体切取線26,27の他方の側面部9側の各端部に連続して奥行き方向Cに沿って設けられた第2蓋体切取線28とが形成されている。
【0032】
また、一対の第1蓋体切取線26,27は、天面部22の奥行き方向Cの両側縁に沿って一方の側面部8側の端部から他方の側面部9側に向けて、この天面部22の幅方向Bの約3分の1ほどに亘って設けられている。すなわち、これら一対の第1蓋体切取線26,27は、容器本体2の幅方向Bの長さが本体フラップ部17の幅方向Bの長さより長く形成されている。そして、この天面部22の一対の第1蓋体切取線26,27と第2蓋体切取線28とによって囲まれた領域は、この天面部22から切り取り可能な片状の天面切取可能部29となる。ここで、この天面切取可能部29は、天面部22の一方の側面部8側だけではなく、この天面部22の一対の側面部8,9側のそれぞれに設けても良い。
【0033】
なお、第1側面切取線13,14、第2側面切取線15、第1蓋体切取線26,27および第2蓋体切取線28としては、側面切取可能部16および天面切取可能部29を切り取りできる切り込み、ミシン目あるいは凹状形状などであっても良い。
【0034】
次に、上記第1実施の形態の使い捨て容器の作用を説明する。
【0035】
まず、図2に示すように、使い捨て容器1の容器本体2の蓋体21を開閉させることにより、この容器本体2内に収容されているシート状の衛生材料の出し入れが可能となる。
【0036】
さらに、この容器本体2の蓋体21を開閉する必要がなく、この容器本体2内のシート状の衛生材料を上から順次取り出す場合には、図3に示すように、容器本体2の一方の側面部8を一対の第1側面切取線13,14および第2側面切取線15に沿って切って、この側面部8の上部の側面切取可能部16を切り取る。
【0037】
この場合に、この容器本体2の高さ方向Aである上下を反転させて、この容器本体2の底面3が上方に位置するように設置することにより、この容器本体2の側面切取可能部16が下方に位置するので、この容器本体2内からシート状の衛生材料を引き抜くように取り出すことができ、このシート状の衛生材料が自重により容器本体2内で順次下方に移動するようにできる。
【0038】
さらに、図4に示すように、容器本体2の側面切取可能部16とともに、蓋体21の天面部22を一対の第1蓋体切取線26,27および第2蓋体切取線28に沿って切って、この蓋体21の天面部22の天面切取可能部29を切り取る。
【0039】
この場合は、容器本体2の側面切取可能部16のみを切り取った場合に比べ、この容器本体2に形成されるシート状の衛生材料を取り出すための開口部の大きさを大きくできるので、この容器本体2内からシート状の衛生材料を取り出しやすくできる。
【0040】
したがって、容器本体2の側面切取可能部16および蓋体21の天面切取可能部29の少なくとも一方を切り取ることによって、この容器本体2の蓋体21を開かなくても、この容器本体2内のシート状の衛生材料を取り出すことができる。
【0041】
また、この容器本体2の側面部8に側面切取可能部16を設け、蓋体21の天面部22に天面切取可能部29を設けたことにより、これら側面切取可能部16と天面切取可能部29とが一体的に連続していないから、これら側面切取可能部16および天面切取可能部29の各々を容易に独立して切り取ることができる。
【0042】
さらに、これら側面切取可能部16および天面切取可能部29を切り取ることにより、容器本体2の一方の側面部8および天面部22を奥行き方向Cの全体に亘って切り取ることができるので、この容器本体2内のシート状の衛生材料の大きさが、この容器本体2の奥行き方向Cの大きさに略等しい大きさであっても取り出しやすいので、使い捨て容器1の使い勝手を向上できる。
【0043】
以上から、容器本体2内の内容物の種類に応じて、使い捨て容器1の使用方法を選ぶことができるとともに、この使い捨て容器1の容器本体2の一部を容易に切り取ることができるから、この容器本体2内の内容物を取り出しやすい使い捨て容器1にできる。
【0044】
なお、図5に示す第2の実施の形態のように、容器本体2の側面切取可能部16の一対の第1側面切取線13,14を同じ長さではなく、これら一対の第1側面切取線13,14の長さを変えて、一方の第1側面切取線14の長さを他方の第1側面切取線13の長さより長くすることもできる。この場合、これら一対の第1側面切取線13,14の底面3側の各端部に連続した第2側面切取線15が、容器本体2の高さ方向Aおよび奥行き方向Cのそれぞれに対して傾斜した状態となるから、この容器本体2内のシート状の衛生材料をより取り出しやすくできる。同様に、この容器本体2の天面切取可能部29の一対の第1蓋体切取線26,27の長さを変えて、第2蓋体切取線28を傾斜させた状態にすることもできる。
【0045】
さらに、図6に示す第3の実施の形態のように、容器本体2の第2側面切取線15を直線状ではなく、曲線状に湾曲させて凹弧状にすることもできる。この場合も、蓋体21の天面部22の天面切取可能部29の第2蓋体切取線28を凹弧状に湾曲させることもできる。
【0046】
また、図7ないし図9に示す第4の実施の形態のように、使い捨て容器1の蓋体21の天面部22の天面切取可能部29が形成されている側の幅方向Bの縁部に凹弧状の切り欠き部31を形成することもできる。この切り欠き部31は、図9に示すように、この切り欠き部31の幅方向Bの長さaが、容器本体2の開口部4の幅方向Bの縁部に設けられている本体フラップ部17の幅方向Bの長さbより短く形成されている。さらに、この切り欠き部31は、蓋体21の天面部22の奥行き方向Cの長さより短い長さに形成されており、容器本体2の奥行き方向Cの後面部7寄りの位置に設けられている。また、この切り欠き部31の奥行き方向Cの長さは、使用者の指先が1、2本程度入る程度の長さが好ましい。
【0047】
ここで、この切り欠き部31の位置や個数は任意であるが、天面切取可能部29の切り取りやすさの観点から、この切り欠き部31が一つの場合には、蓋体21の天面部22と後面部7との境界側に位置する第1蓋体切取線27の近傍に設けられていることが好ましい。さらに、この切り欠き部31を複数設ける場合には、例えば一対の第1蓋体切取線26,27近傍の位置に1つずつ設けたり、これら2個の間の幅方向の中央部に1個設けて、計3個ほど設けたりすることなどが考えられる。
【0048】
この結果、この切り欠き部31に指先を入れて引っ張ることにより、容器本体2の側面切取可能部16を容易に切り取ることができるとともに、この側面切取可能部16とともに本体フラップ部17を一緒に切り取ることができるから、この本体フラップ部17に切取線を設ける必要を無くすことができる。さらに、切り欠き部31が本体フラップ部17にて覆われていることから容器本体2を開口させないので、この切り欠き部31を使用する前の状態でも、この切り欠き部31からの容器本体2内への塵などの異物の混入を防止できる。
【0049】
なお、この切り欠き部31を蓋体21の天面部22の天面切取可能部29に設けたが、この切り欠き部31を容器本体2の側面切取可能部16に設けたり、これら天面切取可能部29および側面切取可能部16のそれぞれに設けたりすることもできる。
【0050】
さらに、図10および図11に示す第5の実施の形態のように、使い捨て容器1の蓋体21の天面部22の天面切取可能部29側の幅方向Bの縁部に、この天面切取可能部29が設けられている側の反対側に向けて折り返し可能な折り返し部32を形成することもできる。この折り返し部32は、蓋体21の天面部22の幅方向Bの天面切取可能部29が設けられている側の縁部の奥行き方向Cの両側部のそれぞれに対をなして計2個ほど設けられている。
【0051】
また、これら折り返し部32は、両側部が先端側から基端側に向けて縮径したテーパ状の平面視矩形状に形成されている。そして、これら折り返し部32は、これら折り返し部32を天面切取可能部29が設けられている側の反対側に向けて約90゜ほど折り返すことによって、切り欠き部31が形成されるとともに、図11に示すように、容器本体2を反転させた状態で側面切取可能部16側を反対側よりも起立させる脚部となる。
【0052】
よって、容器本体2の側面切取可能部16を切り取るととともに、蓋体21の各折り返し部32を上方に向けて約90゜ほど折り返した状態で、容器本体2の底面3が上方に位置するように高さ方向Aを反転させて使用することにより、図11に示すように、これら折り返した折り返し部32が脚部となって容器本体2の側面切取可能部16側が上方に向けて斜めに傾いた状態となり、この容器本体2からシート状の衛生材料を取り出しやすくできるから、使い捨て容器1をより使いやすくできる。また、この折り返し部32を使用しない場合には、蓋体21の天面部22に切り欠き部31が形成されないから、この蓋体21からの異物などの容器本体2内への混入を防止できる。
【0053】
さらに、図12および図13に示す第6の実施の形態のように、容器本体2の前面部6の開口部4側の縁部に、この縁部を略U字状に切取り可能な前面切取部33を形成することもできる。この前面切取部33は、容器本体2の前面部6の開口部4側に向けて拡開した略U字状に形成されており、この前面切取部33の裏面側が蓋体21の蓋体フラップ部23に接着されて接合されている。さらに、この前面切取部33は、第2蓋体切取線28を横切らず交差しない位置、具体的には容器本体2の前面部6の幅方向Bの中央部に設けられている。また、この前面切取部33は、この前面切取部33の高さ方向Aの長さが、蓋体21の蓋体フラップ部23の高さ方向Aの長さより小さく形成されている。
【0054】
この結果、図13に示すように、前面切取部33を切り取らなければ蓋体21を開くことができないので、使用前に蓋体21が勝手に開くことを防止できるとともに、前面切取部33を切り取りながら蓋体21を開けることができるので、容器本体2を容易かつ確実に開閉自在にできる。また、容器本体2の側面切取可能部16や蓋体21の天面切取可能部29を切り取って容器本体2内のシート状の衛生材料を取り出す場合においても、容器本体2内の衛生材料が残り少なくなった時などに、蓋体21を開くことによって、残りの衛生材料を取り出しやすくできる。
【0055】
また、図14に示す第7の実施の形態のように、容器本体2の側面切取可能部16および蓋体21の天面切取可能部29のそれぞれを、これら容器本体2の一方の側面部8および蓋体21の天面部22のそれぞれに複数段に亘って設けることもできる。この場合、側面切取可能部16は、一方の側面部8の高さ方向Aに沿って、この一方の側面部8の開口部4側から底面3側に向けて連続して、例えば3個ほど並例に設されている。すなわち、これら側面切取可能部16の各第2側面切取線15は、容器本体2の高さ方向Aに向けて所定の間隔を空けて並列に設けられている。
【0056】
また、天面切取可能部29もまた、天面部22の幅方向Bに沿って、この天面部22の一方の側面部8側から他方の側面部9側に向けて連続して、例えば2個ほど並設されている。すなわち、これら天面切取可能部29の各第2蓋体切取線28は、容器本体2の幅方向Bに向けて所定の間隔を空けて並列に設けられている。
【0057】
さらに、これら各側面切取可能部16の第2側面切取線15は、奥行き方向Cの両側部である接合部が各第1側面切取線13,14側に向けて円弧状に湾曲した形状に形成されている。さらに、天面切取可能部29の第2蓋体切取線28もまた、奥行き方向Cの両側部である接合部が各第1蓋体切取線26,27側に向けて円弧状に湾曲した形状に形成されている。
【0058】
この結果、容器本体2内のシート状の衛生材料がある程度減った場合や、この衛生材料の大きさが大きい場合などに、状況に応じて側面切取可能部16や天面切取可能部29を複数個切り取ることにより、残りの衛生材料を取り出しやすくできるとともに、大きな衛生材料を取り出しやすくできるから、使い捨て容器1の使い勝手をより向上できる。
【0059】
また、これら側面切取可能部16および天面切取可能部29のそれぞれの両側部を円弧状に湾曲させた形状としたことにより、これら側面切取可能部16あるいは天面切取可能部29を第1側面切取線13,14あるいは第1蓋体切取線26,27に沿って切断しようとした際に、誤ってこれら側面切取可能部16あるいは天面切取可能部29の下方にまで切断してしまう可能性を防止できる。よって、これら側面切取可能部16あるいは天面切取可能部29を切り取りやすくできる。さらに、これら側面切取可能部16および天面切取可能部29のいずれかのみを複数設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す使い捨て容器の斜視図である。
【図2】図1の使い捨て容器の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1の使い捨て容器の側面切取可能部を切り取った状態を示す斜視図である。
【図4】図1の使い捨て容器の側面切取可能部および天面切取可能部を切り取った状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す使い捨て容器を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す使い捨て容器を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す使い捨て容器を示す斜視図である。
【図8】図7の使い捨て容器の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
【図9】図7の使い捨て容器を示す平面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す使い捨て容器の斜視図である。
【図11】図10の使い捨て容器の折り返し部を折り返して反転させた状態を示す側面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態を示す使い捨て容器の斜視図である。
【図13】図12の使い捨て容器の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態を示す使い捨て容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 使い捨て容器
2 容器本体
3 底面
4 開口部
5 側面
6 前面部
7 後面部
8,9 側面部
13,14 第1側面切取線
15 第2側面切取線
16 側面切取可能部
17,18 フラップ部としての本体フラップ部
21 蓋体
22 天面部
23 蓋体前面部としての蓋体フラップ部
26,27 第1蓋体切取線
28 第2蓋体切取線
29 天面切取可能部
31 切り欠き部
32 折り返し部
33 前面切取部
A 高さ方向
B 幅方向
C 奥行き方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向と奥行き方向とを有する底面、この底面に対向する上側に位置した開口部、および前記幅方向と奥行き方向とのそれぞれに直交する高さ方向を有し前記開口部と前記底面との間に位置した側面を備えた容器本体と、
この容器本体の開口部に取り付けられた蓋体とを具備し、
前記容器本体の側面は、高さ方向および幅方向を有する前面部と、この前面部に対向して位置する後面部と、この後面部と前記前面部との間に位置し高さ方向および奥行き方向を有する一対の側面部とで形成され、
これら一対の側面部の少なくとも一方には、この側面部と前記前面部および後面部との境界部に位置し前記開口部の開口縁から前記底面側に向けて高さ方向に沿って設けられた一対の第1側面切取線と、これら一対の第1側面切取線の底面側の各端部に連続して奥行き方向に沿って設けられた第2側面切取線と、これら一対の第1側面切取線および第2側面切取線にて囲まれた側面切取可能部とが形成され、
前記蓋体は、一方側が前記後面部に接続され前記容器本体の開口部を閉塞する天面部と、この天面部の他方側に取り付けられ前記天面部で前記開口部を閉塞した状態で前記前面部の内側に位置する蓋体前面部とで形成され、
前記蓋体の天面部には、前記蓋体の天面部と蓋体前面部および後面部それぞれとの境界部に位置し一方の前記側面側の端部から他方の側面側に向けて幅方向に沿って設けられた一対の第1蓋体切取線と、これら一対の第1蓋体切取線の他方の側面側の各端部に連続して奥行き方向に沿って設けられた第2蓋体切取線と、これら一対の第1蓋体切取線および第2蓋体切取線にて囲まれた天面切取可能部とが形成されている
ことを特徴とした使い捨て容器。
【請求項2】
容器本体の一対の側面部の高さ方向の開口部側には、内側に向けて突出したフラップ部が奥行き方向に沿って形成され、
蓋体の天面部の天面切取可能部側の幅方向の縁部には、フラップ部の幅方向の長さより短い幅方向の長さの切り欠き部が形成されている
ことを特徴とした請求項1記載の使い捨て容器。
【請求項3】
蓋体の天面部の天面切取可能部側の幅方向の縁部には、前記天面切取可能部側の反対側に向けて折り返し可能な折り返し部が形成され、
この折り返し部を前記天面切取可能部側の反対側に向けて折り返すことによって切り欠き部が形成される
ことを特徴とした請求項1記載の使い捨て容器。
【請求項4】
容器本体の前面部の開口部側の縁部には、略U字状に切り取り可能で蓋体の蓋体前面部に接合された前面切取部が設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載の使い捨て容器。
【請求項5】
第2側面切取線は、高さ方向に向けて間隔を空けて並列に複数設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の使い捨て容器。
【請求項6】
第2蓋体切取線は、幅方向に向けて間隔を開けて並例に複数設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか記載の使い捨て容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−137712(P2008−137712A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327722(P2006−327722)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(391047503)白十字株式会社 (64)
【Fターム(参考)】