説明

使い捨て鍋

【目的】 豆腐など平面体を有する具材を紙製の使い捨て鍋に入れ、固形燃料により加熱する場合に、その具材と鍋底面とがぴったり付いて水分が介入しないため焼損するので、それを防ぐ。
【構成】 紙シート材より成形された底部を構成する凹部12と、その凹部より上方へ幅広となる開口末広がり部12wとからなる鍋容器10において、該底部内側下面を平面部と適当間隔により設けた凸部12c,12tとより構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は料理用鍋の分野で利用される。
本考案は、使い捨て鍋に関し、詳しくは主に固形燃料用こんろの上方開口縁に直接支持されて用いられるか、またはその上方開口縁に特別な支承台を係着させてその支承台に乗せて用いられる、使い捨て鍋に関し、とくに紙シート材からなる鍋底成形上において改良された使い捨て鍋に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙製使い捨て鍋は、例えば実開昭64−47329号公報、実開昭62−182134号公報、実開昭60−155420号公報などにより知られている。こんろの上方開口縁にこのような鍋容器を直接係着できない構成のものについて、特別な支承台が必要となり、このような支承台は例えば実公平1−21631号
公報、実公平1−12676号公報、実公昭60−12491号公報などにより知られている。また、鍋底凹部と周壁部からなり、その周壁部の折りひだを接着した紙鍋で支承台が不要としたものが、例えば実開平1−153129号公報、実開平1−153130号公報、実開平1−153131号公報などにより知られている。
【0003】
また、底部を構成する鍋底凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とからなる使い捨て用鍋容器も知られており、このような鍋容器では前記つば部を固形燃料のこんろの上部開口縁に直接当てることにより、特別な支承台が不要でコストが節限され、使い勝手がよいと評価されている。
【0004】
さらに、前記した支承台が不要な使い捨て鍋が可撓性金属箔シート、例えばアルミ箔から成形されたものについては、実開平4−41323号公報により知られており、他方紙シート材により成形したものについては実願平5−75652号の先行願により提案されている。
【0005】
そこで、前記した使い捨て鍋のうち特別な支承台が必要でないもので、紙シート材により成形されたもの、とくにその鍋底が平面である従来例について、その使用例が図4に示されている。この図示例の使い捨て鍋40は鍋底を構成する凹部42と上部に有する開口末広がり部46との間につば部44を備えて構成され、そのつば部44がこんろ50の上部開口縁52に直接支持されるので、特別な支承台が不要となり、使い勝手がよく、なによりも支承台のコストが節限される。なお、56は固形燃料を示している。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、図4に示した使い捨て鍋40の鍋底42はその内側下面が平面になっていることが注目される。48は料理の具材である豆腐切片であり、この豆腐切片48が鍋底下面と直接触れてその間に水など汁部分が介在しないと、固形燃料56の火力により鍋底下面の豆腐切片48と直接触れる部分がこげ付き易く、焼損して台なしになる恐れがある。このような恐れは、支承台が必要な使い捨て鍋についても起るため、火炎押さえ目皿を必要とする。
【0007】
本考案の目的は、直接固形燃料の火力を受ける鍋底部分の焼損を防止できるように成形され、使用を終えたならば、料理など残りものと一緒に丸ごと燃え易いごみとして扱われ、廃棄が容易な紙材により作られた使い捨て鍋を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した目的は、紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部より上方へ幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面が平面部と適当間隔により設けた凸部とからなることにより、達成される。
【0009】
同様の目的は、紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面が平面部と適当間隔により設けた凸部とからなることにより、達成される。
【0010】
さらに同様の目的は、紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面がその中心より同心円のリング状凸部を具備することにより、達成される。
【0011】
【作用】
ごみ廃棄処理の観点により紙材を使い、紙材による成形上において、料理の具材、とくに平面体を有する豆腐などが鍋底内側下面部に置かれた場合に、豆腐などがその下面部に直接触れず、少し浮いた状態にして水など汁が豆腐とその下面との間に介在させるようにするため、その底部内側下面が平面部と適当間隔により設けた凸部とからなるように、例えばその下面中心より同心円のリング状凸部が形成される。豆腐切片は凸部と凸部とにまたがって置かれるため、凸部間に水など汁部を介在させ得る空所が生ずる。
【0012】
【実施例】
本考案の好適な実施例は図面に基づいて説明される。
図1はその1実施例を示した平面図、図2はその斜視図、図3は鍋底内部を透視して示した平面図である。
【0013】
10は本考案による使い捨て鍋であり、紙材により成形される。紙材は堅い紙が使われ、方形状にして一般に成形される。好ましくはサイズ剤が含まれたものが選ばれたり、樹脂によりラミネートされたものが選ばれる。
【0014】
12は所定寸法の紙材の中央部分に成形された底部を構成するわん状凹部であり、14はその凹部12の上方周縁に連設されたつば部である。12wは凹部12の周壁を表わす。つば部14の外周縁をなす折曲周縁16fより幅広となって、開口末広がり部16が構成される。成形上、凹部周壁12wとつば部14にわたって多数のしわ18が形成され、またこれにより折りひだ部16pが形成され、型くずれが起り難くくなり、成形が保持される。
【0015】
本考案によれば、鍋底内側下面が平面部12pと適当間隔により設けた凸部12c、12tよりなる。図1の図示例によれば、12cは点状の凸部として、12tは鍋底中心より同心円のリング状凸部としてそれぞれ成形されている。このような凸部の成形により、図3に示されるように鍋底部に具材の豆腐切片48が置かれても、その下面より少し浮き上って、凸部12c、12t間に水など汁が介在して、その鍋底下面のこげ付きが起り難くなる。
【0016】
なお、図示の実施例では、鍋底部につば部を設けて特別な支承台を不要にした使い捨て鍋について説明されているが、このようなつば部がなく、特別な支承台が必要な使い捨て鍋についても本考案が適用される得ることは明白である。
また、図示例によれば、鍋底下面における凸部は点状凸部12cとリング状凸部12tとの組合わせになっているが、これに限定されない。水玉模様のように適当間隔により設けた点状凸部だけでもよい、また格子模様のように線状凸部を縦横に交差させたもの、さらには鍋底中心より放射状ないし半径方向にのびた線状凸部でもよい。
【0017】
【効果】
本考案によれば、紙材による成形でありながら、鍋底部がこげ付き難く、焼損が防止され、寿命が永く、使用を終えたならば、料理など残りものと一緒に丸ごと燃え易いごみとして扱われ、焼却廃棄が容易であり、また紙材によっては料理のあくが吸い込まれ、料理がおいしく味わえられる、使い捨て鍋が得られる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例を示した平面図。
【図2】同実施例を示した斜視図。
【図3】鍋底内部を透視して示した正面図。
【図4】従来例による鍋の半断面図。
【符号の説明】
10 使い捨て鍋
12 底部凹部
14 つば部
16 開口末広がり部
18 しわ
12w 底部周壁
16f 折曲周縁
16p 折りひだ部
12c 凸部
12t 凸部
50 こんろ
56 固形燃料

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部より上方へ幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面が平面部と適当間隔により設けた凸部とからなることを特徴とする、使い捨て鍋。
【請求項2】 紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面が平面部と適当間隔により設けた凸部とからなることを特徴とする、使い捨て鍋。
【請求項3】 紙シート材より成形された底部を構成する凹部と、その凹部の上方周縁に連設されたつば部と、そのつば部の外周縁をなす折曲周縁より幅広となる開口末広がり部とからなる鍋容器において、該底部内側下面がその中心より同心円のリング状凸部を具備していることを特徴とする、使い捨て鍋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3013843号
【登録日】平成7年(1995)5月17日
【発行日】平成7年(1995)7月25日
【考案の名称】使い捨て鍋
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−11515
【出願日】平成6年(1994)8月22日
【出願人】(000190736)新高化学工業株式会社 (33)
【出願人】(000005407)本州製紙株式会社 (4)
【出願人】(594155159)本州電材株式会社 (2)