説明

使用回数制限装置

【課題】本発明の課題は、前回使用したパスワードを装置内に保持しておき、前回のパスワードから今回使用すべきパスワードを演算し、ユーザーが入力したパスワードが一致しない場合、当該装置を使用させないように制御することを目的とする。
【解決手段】上記課題は、所定処理を行う装置をN回目に使用する場合に必要な第一パスワードを受信するパスワード受信手段と、前記装置のN−1回目に使用したパスワードから生成されたN回目に使用する第二パスワードを生成するパスワード生成手段と、前記受信した第一パスワードと前記生成した第二パスワードとの一致を検出する一致検出手段とを有し、前記一致検出手段による検出結果に応じて前記装置の使用の許可/不許可を行う使用回数制御装置により達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定処理を行う装置に備えられ、該装置の使用回数を制限する使用回数制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客に対して装置を宣伝などの目的で貸し出す場合、貸し出した装置が無制限に使用されないように装置になんらかの使用制限を設けたい場合がある。そのため、装置を顧客に貸し出す前に、装置のワンタイムパスワードデータベースに、例えば、100個のパスワードを記録しておいて装置を貸し出し、顧客側で毎回1つずつパスワードを用いて装置を100回使用すると、その装置の使用ができなくなるように装置の使用を制限する方法などが提案されている。
【特許文献1】特開2002−312319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の装置に対する使用制限の仕組みでは、顧客に対して装置の使用回数を例えば50回分延長する場合、顧客から装置を一旦返却してもらい、サポート側で50回分のワンタイムパスワードデータベースを設定し直して貸し出すか、又はエンジニアを顧客に貸し出した装置の所まで派遣し、その場で50回分のワンタイムパスワードデータベースをセットするなどのコストと時間が掛かってしまうという問題がある。
【0004】
また、装置自体にタイマー機能を付加することによって使用制限を設けた場合でも、使用制限を延長する場合には同様の問題がある。
【0005】
よって、本発明の目的は、前回使用したパスワードを装置内に保持しておき、前回のパスワードから今回使用すべきパスワードを演算し、ユーザーが入力したパスワードが一致しない場合、当該装置を使用させないように制御する使用回数制限装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、使用回数制限装置は、所定処理を行う装置をN回目に使用する場合に必要な第一パスワードを受信するパスワード受信手段と、前記装置のN−1回目に使用したパスワードから生成されたN回目に使用する第二パスワードを生成するパスワード生成手段と、前記受信した第一パスワードと前記生成した第二パスワードとの一致を検出する一致検出手段とを有し、前記一致検出手段による検出結果に応じて前記装置の使用の許可/不許可を行うように構成される。
【0007】
このような使用回数制限装置を、使用を制限したい装置に備えることによって、装置内で今回使用するためのN回目のパスワードが前回使用したN−1回目のパスワードを用いて生成することができる。また、前回使用したN−1回目のパスワードを装置内に保持しておくのみであるため、使用制限に応じたパスワードの管理が容易になる。ユーザーに対して使用回数分のパスワードを配布しておくのみでよく、かつ、回数を増やす場合にも単に増加分のパスワードをユーザーに配布するのみでよい。
【発明の効果】
【0008】
前回使用したパスワードを装置内に保持しておき、前回のパスワードから今回使用すべきパスワードを演算し、ユーザーが入力したパスワードが一致しない場合、当該装置を使用させないように制御することができるため、使用回数を増やす場合であっても、装置自身を回収することなく、単に増加分のパスワードをユーザーに配布するのみでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
使用回数が制限される拡販ボードが搭載されるコンピュータ装置のハードウェア構成について図1で説明する。図1において、コンピュータ装置100は、例えば、拡販ボード10を評価したいユーザーのコンピュータ装置であって、CPU(Central Processing Unit)11と、メモリユニット12と、表示ユニット13と、出力ユニット14と、入力ユニット15と、通信ユニット16と、ドライバ18とで構成され、夫々バスBに接続される。
【0011】
CPU11は、メモリユニット12に格納されたプログラムに従ってコンピュータ装置100を制御する。メモリユニット12は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)等にて構成され、CPU11にて実行されるプログラム、CPU11での処理に必要なデータ、CPU11での処理にて得られたデータ等を格納する。また、メモリユニット12の一部の領域が、CPU11での処理に利用されるワークエリアとして割り付けられている。
【0012】
表示ユニット13は、CPU11の制御のもとに必要な各種情報を表示する。出力ユニット14は、プリンタ等を有し、ユーザーからの指示に応じて各種情報を出力するために用いられる。入力ユニット15は、マウス、キーボード等を有し、ユーザーがコンピュータ装置100が処理を行なうための必要な各種情報を入力するために用いられる。通信ユニット16は、コンピュータ装置100が例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等を介してコンピュータ装置100と接続する場合に、コンピュータ装置100との間の通信制御をするための装置である。記憶装置17は、例えば、ハードディスクユニットにて構成され、各種処理を実行するプログラム等のデータを格納する。
【0013】
記憶媒体19は、例えば、拡販ボード10に添付して提供されるCPU11が拡販ボードを制御するためのプログラムが記憶された記憶媒体であり、このような拡販ボード制御プログラムは、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等の記憶媒体19によってコンピュータ装置100に提供される。即ち、プログラムが保存された記憶媒体19がドライバ18にセットされると、ドライバ18が記憶媒体19からプログラムを読み出し、その読み出されたプログラムがバスBを介して記憶装置17にインストールされる。そして、プログラムが起動されると、記憶装置17にインストールされたプログラムに従ってCPU11がその処理を開始する。
【0014】
尚、プログラムを格納する媒体としてCD−ROMに限定するものではなく、コンピュータが読み取り可能な媒体であればよい。拡販ボード制御プログラムは、通信ユニット16によってネットワークを介してダウンロードして記憶装置17にインストールするようにしても良い。また、USB対応のコンピュータ装置100であれば、USB接続可能な外部記憶装置からインストールするようにしても良い。更に、SDカード等のフラッシュメモリ対応のコンピュータ装置100であれば、そのようなメモリカードからインストールするようにしても良い。
【0015】
図1では、コンピュータ装置100に開発元から貸し出された拡販ボード10が搭載された状態が示されている。ユーザーは、記憶媒体19から拡販ボード制御プログラムをコンピュータ装置100にインストールする。また、貸し出された拡販ボード10をバスBに接続する。CPU11が拡販ボード制御プログラムを実行することによって後述される拡販ボード制御処理部として機能する。
【0016】
拡販ボード10が使用回数を制限するための使用回数制限装置を備えている場合について図2で説明する。図2は、拡販ボードが使用回数制限装置を実装した構成を示す図である。図2において、拡販ボード10は、所定機能を備えたLSI20と、CPU11からの指示に従ってLSI20の動作を制御する制御部22と、拡販ボード10の使用回数を制限する使用回数制限装置30とを備える。CPU11は、拡販ボード10を制御する拡販ボード制御プログラムを実行することによって拡販ボード制御処理部24として機能する。
【0017】
ユーザーは、開発元から提供された拡販ボード10をユーザーのコンピュータ装置100に実装し、開発元から使用回数分のパスワードを取得する。例えば100回の使用が許可されるのであれば使用順でリストされた100個のパスワードが、開発元からユーザーへ配布される。100個のパスワードがパスワードファイル37として電子ファイルで配布された場合には、例えば、記憶装置17の拡販ボード制御処理部24が読み出せる所定の記憶領域に格納される。この場合、拡販ボード制御処理部24が使用毎にパスワードファイル37から順次パスワードを1つ読み込んで拡販ボード10を使用できるようにする。パスワードの一覧をパスワードファイル37とすることにより、開発元は電子メールで簡単に配布することができる。
【0018】
一方、100個のパスワードを使用順に一覧にした用紙でユーザーに配布するようにしてもよい。この場合、ユーザーが拡販ボード10を使用する毎に、パスワードの一覧用紙で示される使用順に従って未使用のパスワードをユーザー自身が入力ユニット15を用いてコンピュータ装置100へ入力する。
【0019】
使用回数を超えて拡販ボード10を使用する(つまり、LSI20を動作させる)場合には、現在のパスワードファイル37を追加使用回数分のパスワードが格納された新しいパスワードファイルに置き換えるのみでよい。又は、追加使用回数分のパスワードの一覧用紙が配布されるのみでよい。
【0020】
拡販ボード10は、例えば、特定用途を目的としたLSI20を搭載した評価用として一時的に貸し出される基板であり、例えば、録音/再生装置、静止画像・動画の録画/再生装置等であり、ユーザーのオペレーションに応じてLSI20を動作させる。拡販ボード10が実装されるコンピュータ装置100は、PC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、PDA等の携帯情報端末などである。
【0021】
拡販ボード10では、N回目のパスワード(N)から次のN+1回目のパスワード(N+1)を生成するアルゴリズムを備えるように回路が構成される。例えば、
passwd_N+1 = F(passwd_N) (1)
ここで、passwd_NはN回目のパスワード(N)、passwd_N+1はN+1回目のパスワード(N+1)を夫々示す。
【0022】
N回目のパスワード(N)から次のN+1回目のパスワード(N+1)を生成するアルゴリズムを拡販ボード10に備えることによって、拡販ボード10の出荷前に初期値のみを設定しておけばよい。この演算F(passwd_N)のアルゴリズムをハードウェアで持たせることによって、拡販ボード10がユーザーのコンピュータ装置100に実装された場合においても容易に次のN+1回目のパスワード(N+1)を類推できないようにすることができる。
【0023】
図3は、図2に示す構成における使用回数の制限処理を説明するためのフローチャート図である。図2を参照しつつ、図3に示すフローチャートに従って使用回数の制限処理を説明する。図3中、パスワード(N−1)は最後に使われたパスワードを示し、パスワード(N)は今回使用されるパスワードを示す。
【0024】
CPU11の拡販ボード制御処理部24は、ユーザーによるオペレーションに応じてLSI20への動作要求を発生する(ステップS11)。ユーザーによるオペレーションは、例えば、音声の録音ボタン又は再生ボタンの操作、静止画像・動画の録画ボタン又は再生ボタンの操作などである。
【0025】
CPU11の拡販ボード制御処理部24は、拡販ボード10の制御部22を介して、使用回数制限装置30から最後に使われたパスワード(N−1)を参照し(ステップS12)、パスワードファイル37に格納されている最後のパスワードを取得して使用回数制限装置30から参照した最後のパスワード(N−1)と一致するか否かを判断する(ステップS13)。
【0026】
最後のパスワードと一致する場合、CPU11の拡販ボード制御処理部24は、パスワードファイル37のパスワード全てが使用済みであると判断して、表示ユニット13に拡販ボード10の使用回数分が既に終了していることを示すメッセージを表示させ(ステップS13−2)、処理を終了する。
【0027】
一方、最後のパスワードと一致しない場合、CPU11の拡販ボード制御処理部24は、パスワードファイル37から今回使用するパスワード(N)を入手する(ステップS14)。例えば、パスワードファイル37の先頭から今回使用するパスワード(N)を読み出す毎にパスワードファイル37の所定領域に次に使用するパスワード(N+1)へのポインタとなる情報を格納しておけばよい。或いは、所定領域には使用回数を格納し、この格納されている使用回数からパスワードファイル37の先頭から今回使用するパスワード(N)の格納位置を算出し、今回使用するパスワード(N)を読み出す毎にこの使用回数を減算しておけばよい。
【0028】
CPU11の拡販ボード制御処理部24は、拡販ボード10の制御部22を介して、使用回数制限装置30にLSI20を使用するための使用リクエストとパスワード(N)とを発行する(ステップS15)。そして、拡販ボード制御処理部24は、使用回数制限装置30からパスワード(N)によるパスワードの一致検出による結果を受信してLSI20の使用が許可されたか否かを判断する(ステップS16)。
【0029】
LSI20の使用が許可されなかった場合、CPU11の拡販ボード制御処理部24は、表示ユニット13にパスワードが不一致であり拡販ボード10を使用できないことを示すメッセージを表示させ(ステップS16−2)、処理を終了する。一方、LSI20の使用が許可された場合、CPU11の拡販ボード制御処理部24は、拡販ボード10の制御部22を介して、LSI20に対して動作指示を発行して(ステップS17)、この処理を終了する。
【0030】
そして、LSI20は、動作指示の内容に対応する処理を実行する。例えば、LSI20によって音声の録音又は再生、静止画像・動画の録画又は再生などが実行される。
【0031】
使用回数分のパスワードをリストにした所定の用紙がユーザーに配布される場合、ステップS12、S13、S13−2は省略され、ステップS14では、パスワードファイル37から今回使用するパスワード(N)を取得する代わりに、ユーザーに今回使用するパスワード(N)を入力させて取得する処理となる。
【0032】
図4は、使用回数制限装置の回路構成の例を示す図である。図4において、使用回数制限装置30は、前回使用したパスワード(N−1)を保持するパスワードメモリ31と、上記(1)式のF(passwd_N-1)によるアルゴリズムを演算して今回使用すべきパスワード(N)を生成するパスワード生成回路33と、CPU11の拡販ボード制御処理部24から供給される今回使用するパスワード(N*)と今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出する一致検出回路35とを有する。
【0033】
パスワードメモリ31は、保持しているパスワード(N−1)をパスワード生成回路33に供給し、一致検出回路35から受信したライト許可に応じて、パスワード生成回路33から供給される今回使用したパスワード(N)をパスワード(N−1)に上書きしてパスワード(N−1)として格納する。パスワードメモリ31には、拡販ボード10の出荷時に、初回使用時のパスワード(N)を生成するためのパスワード(N−1)が予め格納される。
【0034】
パスワード生成回路33は、パスワードメモリ31から供給される前回使用したパスワード(N−1)に基づいて今回使用すべきパスワード(N)を生成して出力する。パスワード(N)は、一致検出回路35とパスワードメモリ31とに供給される。
【0035】
一致検出回路35は、制御部22から入力された今回使用するパスワード(N*)とパスワード生成回路33から供給される今回使用すべきパスワード(N)とを比較して一致するか否かを判断し、その一致の検出結果を出力する。検出結果は、使用許可又は使用不許可を示し、制御部22へと出力される。また、その検出結果はパスワードメモリ31へも送出される。パスワードメモリ31では、使用許可をライト許可として受信する。
【0036】
図4(A)は、使用リクエスト/パスワード(N*)が使用回数装置30に入力された状態(ステップ1)を示している。図4(A)において、パスワードメモリ31は保持している前回使用したパスワード(N−1)をパスワード生成回路33へ入力し、パスワード生成回路33は供給されたパスワード(N−1)を用いて今回使用すべきパスワード(N)を生成して一致検出回路35へと供給している。この時点では、パスワードメモリ31は、一致検出回路35からライト許可を受信していないため、保持しているパスワード(N−1)の書き換えを行わない。
【0037】
使用リクエスト/パスワード(N*)が使用回数装置30に入力されると、一致検出回路35は、この入力されたパスワード(N*)とパスワード生成回路33から供給される今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出する。
【0038】
一致を検出しなかった場合、一致検出回路35は、使用不許可を示す信号を出力する。出力された使用不許可を示す信号は、制御部22とパスワードメモリ31へと供給される。パスワードメモリ31は、使用不許可を示す信号をライト許可と認識しないためパスワード生成回路33から供給されるパスワード(N)の書き込みを行わない。従って、前回使用したパスワード(N−1)がそのまま保持され、パスワード(N−1)がパスワード生成回路33へ供給され続けることとなる。
【0039】
図4(B)は、一致検出回路35によって一致が検出された状態(ステップ2)を示している。図4(B)において、入力されたパスワード(N*)とパスワード生成回路33から供給される今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出した場合、一致検出回路35は、使用許可を示す信号を出力する。出力された使用許可を示す信号は、制御部22とパスワードメモリ31へと供給される。
【0040】
パスワードメモリ31は、一致検出回路35からの使用許可を示す信号をライト許可と認識してパスワード生成回路33から供給されるパスワード(N)を書き込んでパスワード(N−1)として保持する。パスワード(N)が書き込まれると、パスワード(N)で置き換えられたパスワード(N−1)が、パスワードメモリ31からパスワード生成回路33へ供給される。
【0041】
図4に示す使用回数制限装置30の回路構成の例では、パスワードメモリ31に前回使用したパスワード(N−1)を保持する構成を示したが、パスワードメモリ31に使用した最後のパスワード(N)を保持するように構成することもできる。
【0042】
図5は、使用回数制限装置の回路構成の他の例を示す図である。図5において、使用回数制限装置30は、上記(1)式のF(passwd_N)によるアルゴリズムを演算して次回使用すべきパスワード(N+1)を生成するパスワード生成回路51と、今回使用すべきパスワード(N)を保持するパスワードメモリ53と、CPU11の拡販ボード制御処理部24から供給される今回使用するパスワード(N*)と今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出する一致検出回路55とを有するが、これら構成部の接続方法が異なる。
【0043】
パスワード生成回路51は、パスワードメモリ53から供給される今回使用されたパスワード(N)に基づいて次回使用すべきパスワード(N+1)を生成して出力する。パスワード(N+1)は、パスワードメモリ53のみに供給される。
【0044】
パスワードメモリ53は、保持しているパスワード(N+1)を今回使用すべきパスワード(N)としてパスワード生成回路51と一致検出回路55とに供給し、一致検出回路55から受信したライト許可に応じて、パスワード生成回路51から供給される次回使用すべきパスワード(N+1)をパスワード(N)に上書きしてパスワード(N)として格納する。パスワードメモリ53には、拡販ボード10の出荷時に、初回使用時のパスワード(N)が予め格納される。
【0045】
一致検出回路55は、制御部22から入力された今回使用するパスワード(N*)とパスワードメモリ53から供給される今回使用すべきパスワード(N)とを比較して一致するか否かを判断し、その一致の検出結果を出力する。検出結果は、使用許可又は使用不許可を示し、制御部22へと出力される。また、その検出結果はパスワードメモリ53へも送出される。パスワードメモリ53では、使用許可をライト許可として受信する。
【0046】
図5(A)は、使用リクエスト/パスワード(N*)が使用回数装置30に入力された状態(ステップ1)を示している。図5(A)において、パスワードメモリ53は保持している今回使用すべきパスワード(N)をパスワード生成回路51と一致検出回路55とに供給する。パスワード生成回路51は供給されたパスワード(N)を用いて次回使用すべきパスワード(N+1)を生成してパスワードメモリ53へと出力する。この時点では、パスワードメモリ53は、一致検出回路55からライト許可を受信していないため、保持しているパスワード(N)の書き換えを行わない。
【0047】
使用リクエスト/パスワード(N*)が使用回数装置30に入力されると、一致検出回路55は、この入力されたパスワード(N*)とパスワードメモリ53から供給される今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出する。
【0048】
一致を検出しなかった場合、一致検出回路55は、使用不許可を示す信号を出力する。出力された使用不許可を示す信号は、制御部22とパスワードメモリ53へと供給される。パスワードメモリ53は、使用不許可を示す信号をライト許可と認識しないためパスワード生成回路51から供給されるパスワード(N)の書き込みを行わない。従って、今回使用すべきパスワード(N)がそのまま保持され、パスワード(N)が一致検出回路55へ供給され続けることとなる。
【0049】
図5(B)は、一致検出回路55によって一致が検出された状態(ステップ2)を示している。図5(B)において、入力されたパスワード(N*)とパスワード生成回路51から供給される今回使用すべきパスワード(N)との一致を検出した場合、一致検出回路55は、使用許可を示す信号を出力する。出力された使用許可を示す信号は、制御部22とパスワードメモリ53へと供給される。
【0050】
パスワードメモリ53は、一致検出回路55からの使用許可を示す信号をライト許可と認識してパスワード生成回路51から供給されるパスワード(N+1)を書き込んでパスワード(N)として保持する。パスワード(N+1)が書き込まれると、パスワード(N+1)で置き換えられたパスワード(N)が、パスワードメモリ53からパスワード生成回路51へ供給される。
【0051】
図5に示す使用回数制限装置30の回路構成の例では、パスワードメモリ53に次回使用すべきパスワード(N+1)(最後に使用したパスワード(N))を保持する構成を示した。この構成では、パスワードメモリ53に保持されている次回使用すべきパスワード(N+1)が、外部から参照されないようにする必要がある。従って、図3に示すフローチャートにおいて、使用回数分のパスワードをリストにした所定の用紙がユーザーに配布される場合と同様に、ステップS12、S13、S13−2は省略され、ステップS14では、パスワードファイル37から今回使用するパスワード(N)を取得する代わりに、ユーザーに今回使用するパスワード(N)を入力させて取得する処理とする。
【0052】
使用回数装置30を実装する代わりに、前回使用したパスワード(N−1)を保持するパスワードメモリ32を実装させるようにした拡販ボード10について、図6で説明する。図6は、拡販ボードがパスワードメモリを実装した構成を示す図である。図6において、拡販ボード10は、所定機能を備えたLSI20と、CPU11からの指示に従ってLSI20の動作を制御する制御部22と、前回使用したパスワード(N−1)を保持するパスワードメモリ32とを備える。
【0053】
CPU11は、拡販ボード10を制御する拡販ボード制御プログラムを実行することによって拡販ボード制御処理部36として機能する。この実装例では、拡販ボード制御処理部36が演算F(passwd_N)を実行するが、前回使用したパスワード(N−1)が拡販ボード10のパスワードメモリ32で保持されるため、ユーザーが拡販ボード制御プログラムを再インストールしたとしても使用できる回数が変更されることはない。
【0054】
ユーザーは、開発元から提供された拡販ボード10をユーザーのコンピュータ装置100に実装し、開発元から使用回数分のパスワードが格納されているパスワードファイル37を電子メールなどで取得、又はパスワードの一覧用紙で取得する。
【0055】
使用回数を超えて拡販ボード10を使用する(つまり、LSI20を動作させる)場合(つまり、LSI20を動作させる)には、現在のパスワードファイル37を追加使用回数分のパスワードが格納された新しいパスワードファイルに置き換えるのみでよい。又は、追加使用回数分のパスワードの一覧用紙が配布されるのみでよい。
【0056】
使用回数を超えて拡販ボード10を使用する(つまり、LSI20を動作させる)場合(つまり、LSI20を動作させる)には、現在のパスワードファイル37を追加使用回数分のパスワードが格納された新しいパスワードファイルに置き換えるのみでよい。又は、追加使用回数分のパスワードの一覧用紙が配布されるのみでよい。
【0057】
図2に示す実装例と異なり、拡販ボード10は、上記(1)式の演算F(passwd_N)のアルゴリズムを備えていない。
【0058】
図7は、図6に示す構成における使用回数の制限処理を説明するためのフローチャート図である。図6を参照しつつ、図7に示すフローチャートに従って使用回数の制限処理を説明する。図7中、パスワード(N−1)は最後に使われたパスワードを示し、パスワード(N)は今回使用されるパスワードを示す。
【0059】
CPU11の拡販ボード制御処理部36は、ユーザーによるオペレーションに応じてLSI20への動作要求を発生する(ステップS71)。ユーザーによるオペレーションは、例えば、音声の録音ボタン又は再生ボタンの操作、静止画像・動画の録画ボタン又は再生ボタンの操作などである。
【0060】
CPU11の拡販ボード制御処理部36は、拡販ボード10の制御部22に、パスワードメモリ32から最後に使われたパスワード(N−1)をリードさせ(ステップS72)、パスワードファイル37に格納されている最後のパスワードを取得してパスワードメモリ32からリードした最後のパスワード(N−1)と一致するか否かを判断する(ステップS73)。
【0061】
最後のパスワードと一致する場合、CPU11の拡販ボード制御処理部36は、パスワードファイル37のパスワード全てが使用済みであると判断して、表示ユニット13に拡販ボード10の使用回数分が既に終了していることを示すメッセージを表示させ(ステップS73−2)、処理を終了する。
【0062】
一方、最後のパスワードと一致しない場合、CPU11の拡販ボード制御処理部36は、パスワードファイル37から今回使用するパスワード(N)を読み込んで入手する(ステップS74)。CPU11の拡販ボード制御処理部36は、ステップS72でパスワードメモリ32から取得した最後のパスワード(N−1)を用いて演算F(passwd_N-1)を実行して(ステップS75)、今回使用すべきパスワード(N)を取得する。
【0063】
そして、拡販ボード制御処理部36は、ステップS74でパスワードファイル37から読み込んだ今回使用するパスワード(N)と、ステップS75で演算F(passwd_N-1)によって取得した今回使用すべきパスワード(N)とが一致するか否かを判断する(ステップS76)。
【0064】
一致しなかった場合、CPU11の拡販ボード制御処理部36は、表示ユニット13にパスワードが不一致であり拡販ボード10を使用できないことを示すメッセージを表示させ(ステップS76−2)、処理を終了する。一方、一致した場合、拡販ボード制御処理部36は、拡販ボード10の制御部22へ、LSI20に対する動作指示を発行し、かつパスワードメモリ32にライト許可を示す信号を発行させて、今回使用したパスワード(N)を前回使用したパスワード(N−1)と置き換えるようにパスワードメモリ32にライトさせる(ステップS77)。そして、この処理を終了する。
【0065】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
所定処理を行う装置をN回目に使用する場合に必要な第一パスワードを受信するパスワード受信手段と、
前記装置のN−1回目に使用したパスワードから生成されたN回目に使用する第二パスワードを生成するパスワード生成手段と、
前記受信した第一パスワードと前記生成した第二パスワードとの一致を検出する一致検出手段とを有し、
前記一致検出手段による検出結果に応じて前記装置の使用の許可/不許可を行う使用回数制御装置。
(付記2)
前記一致検出手段によって一致が検出された場合、前記生成した第二パスワードを前記N−1回目に使用したパスワードとして保持するパスワード保持手段を有するようにした付記1記載の使用回数制御装置。
(付記3)
前記パスワード生成手段は、前記パスワード保持手段が保持する前記N−1回目に使用したパスワードを用いて前記N回目に使用すべき第二パスワードを生成して、前記一致検出手段に供給するようにした付記2記載の使用回数制御装置。
(付記4)
前記パスワード生成手段によって生成された前記N回目に使用すべき第二パスワードを保持して前記一致検出手段に供給し、前記一致検出手段によって一致が検出された場合、保持していた該N回目に使用すべき第二パスワードを該前記パスワード生成手段に供給するパスワード保持手段を有するようにした付記1記載の使用回数制御装置。
(付記5)
前記パスワード生成手段は、前記N−1回目に使用したパスワードとして前記パスワード保持手段から供給された前記N回目に使用すべき第二パスワードを使用して前記N回目に使用すべき第二パスワードを生成するようにした付記4記載の使用回数制御装置。
(付記6)
前記装置は着脱可能とし、バスを介して上位装置と接続される基板である付記1乃至5のいずれか一項記載の使用回数制限装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか一項に記載の使用回数制限装置を備えた装置に対して使用回数に基づいて動作要求を制御する使用回数制御方法であって、
記憶領域に前記装置の使用を許可するための使用回数分のパスワードを格納したパスワードファイルを記憶したコンピュータ装置に、
ユーザーの前記装置への動作要求に掛かるオペレーションが成されると、前記記憶領域に記憶されたパスワードファイルから順に今回使用するパスワードを読み出すパスワード読出手順と、
前記装置の使用回数制御装置に、該装置に対する使用リクエストと前記読み出したパスワードとを送信するリクエスト送信手順と、
前記使用回数制限装置から使用許可を受信した場合、前記装置へ動作指示を送信する動作指示送信手順とを実行させるようにした使用回数制御方法。
(付記8)
前記コンピュータ装置に、
ユーザーの前記装置への動作要求に掛かるオペレーションに応じて、前記装置の使用回数制御装置から最後に使用したパスワードを参照するパスワード参照手順と、
前記最後に使用したパスワードが前記記憶領域に記憶されたパスワードファイルに格納されている最後のパスワードと一致するか否かを判断する一致判断手順と、
前記最後のパスワードが不一致の場合、前記装置へのユーザーのオペレーションを無効とするようにした付記7記載の使用回数制御方法。(図3、S12、S13、S13−2)
(付記9)
使用回数が制限される、所定処理を行う装置であって、
前記装置に動作指示を行う上位装置がN−1回目に使用したパスワードから生成したN回目に使用すべきパスワードを生成する際に、該上位装置によって読み出される該N−1回目に使用したパスワードを保持し、該N回目に使用すべきパスワードが生成された際に、該N−1回目に使用したパスワードとして該N回目に使用すべきパスワードを書き換えるパスワードメモリを有する所定処理を行う装置。(図6)
(付記10)
付記9記載の装置に対して使用回数に基づいて動作要求を制御する使用回数制御方法であって、
記憶領域に前記装置の使用を許可するための使用回数分のパスワードを格納したパスワードファイルを記憶したコンピュータ装置に、
ユーザーの前記装置への動作要求に掛かるオペレーションが成されると、前記記憶領域に記憶されたパスワードファイルから順に今回使用するN回目のパスワードを読み出すパスワード読出手順と、
前記装置に備えられたN−1回目のパスワードを保持するパスワードメモリから該N−1回目のパスワードを取得するパスワード取得手順と、
前記取得したN−1回目のパスワードから今回使用すべきN回目のパスワードを所定演算によって算出するパスワード演算手順とを実行させ、
前記読み出したN回目のパスワードと前記算出したN回目のパスワードとが一致しない場合、前記装置への動作要求を抑止するようにした使用回数制御方法。
【0066】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】拡販ボードが搭載されるコンピュータ装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】拡販ボードが使用回数制限装置を実装した構成を示す図である。
【図3】図2に示す構成における使用回数の制限処理を説明するためのフローチャート図である。
【図4】使用回数制限装置の回路構成の例を示す図である。
【図5】使用回数制限装置の回路構成の他の例を示す図である。
【図6】拡販ボードがパスワードメモリを実装した構成を示す図である。
【図7】図6に示す構成における使用回数の制限処理を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0068】
10 拡販ボード
11 CPU
12 メモリユニット
13 表示ユニット
14 出力ユニット
15 入力ユニット
16 通信ユニット
17 記憶装置
18 ドライバ
19 記憶媒体
20 LSI
22 制御部
24 拡販ボード制御処理部
30 使用回数制限装置
31 パスワードメモリ
33 パスワード生成回路
35 一致検出回路
37 パスワードファイル
51 パスワード生成回路
53 パスワードメモリ
55 一致検出回路
100 コンピュータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定処理を行う装置をN回目に使用する場合に必要な第一パスワードを受信するパスワード受信手段と、
前記装置のN−1回目に使用したパスワードから生成されたN回目に使用する第二パスワードを生成するパスワード生成手段と、
前記受信した第一パスワードと前記生成した第二パスワードとの一致を検出する一致検出手段とを有し、
前記一致検出手段による検出結果に応じて前記装置の使用の許可/不許可を行う使用回数制御装置。
【請求項2】
前記一致検出手段によって一致が検出された場合、前記生成した第二パスワードを前記N−1回目に使用したパスワードとして保持するパスワード保持手段を有するようにした請求項1記載の使用回数制御装置。
【請求項3】
前記パスワード生成手段は、前記パスワード保持手段が保持する前記N−1回目に使用したパスワードを用いて前記N回目に使用すべき第二パスワードを生成して、前記一致検出手段に供給するようにした請求項2記載の使用回数制御装置。
【請求項4】
前記パスワード生成手段によって生成された前記N回目に使用すべき第二パスワードを保持して前記一致検出手段に供給し、前記一致検出手段によって一致が検出された場合、保持していた該N回目に使用すべき第二パスワードを該前記パスワード生成手段に供給するパスワード保持手段を有するようにした請求項1記載の使用回数制御装置。
【請求項5】
前記パスワード生成手段は、前記N−1回目に使用したパスワードとして前記パスワード保持手段から供給された前記N回目に使用すべき第二パスワードを使用して前記N回目に使用すべき第二パスワードを生成するようにした請求項4記載の使用回数制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−282794(P2009−282794A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134885(P2008−134885)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】