説明

使用済みカーペットのカーペット裏張りから表糸を分離して清浄化する方法およびそれにより製造された糸製品

【課題】再生された使用済みカーペット糸により合成繊維を製造するプロセスである。
【解決手段】表糸は薄削りデバイスを使用して使用済みカーペットから薄削りされて薄削り表糸を提供し、上記薄削り表糸はサイズが減少され、機械的選別器を使用して異物が除去され、上記表糸は溶融濾過されてから、紡糸される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2007年9月20日に出願された米国仮出願第60/960,211号に基づいており、これにより、その優先権が主張される。
本発明は、使用済みカーペットを再生(reclaimed)および再利用(recycled)するプロセスに関するものである。更に詳細には、本発明は、使用済みカーペットの表糸(face yarn)を再生および再利用するプロセスに関するものである。再生かつ再利用される表糸は、織物および床材の両方の用途に対する更なる糸を生成すべく使用され得る。再生かつ再利用される表糸はまた、射出成形品の如き他の非糸関連用途に対する製品を製造するためにも使用され得る。
【背景技術】
【0002】
過去20年に亙り、家庭および企業で使用されるカーペットは次第に合成ポリマ材料から作成されており、かかる床材が耐用寿命の限界に達したときにそれらの処分に関する重要な問題が生じている。かかる廃棄物の処分は、幾つかの手法で達成され得る。2つの手法は、埋立処分地に埋設するか、焼却設備にて燃焼させるかのいずれかによるものである。合衆国においては、推定で50億ポンドのカーペット廃棄物が埋立地に投棄されている。埋立処分地は次第に不足してきており、また、使用するには費用が掛かる。また最近の調査では、都市地域の近隣に好適に配置された埋立処分地は、地元住民の健康問題が関連することも示唆された。同様に廃棄物の焼却は、公的団体および幾つかの科学団体の両方により、環境的に非常に非難される主題でもある。また、廃棄プラスチックの焼却から回収されるエネルギは、特にかかる廃材の体積に関して低い。
【0003】
カーペットを構成する構成要素の殆どは、潜在的に再利用可能もしくは再使用可能である。故に、埋立地投棄もしくは焼却に対する代替的な選択肢、および、廃棄プラスチックを処理する最も好都合な選択肢は、それらを他の材料および/または製品へと再利用することである。但しこのことは、まず始めに想起され得るように、簡単な選択肢ではない。仮想的に同一である種々の物質を記述する単一の語句であるという“プラスチック”に関する一般的な認識に関わらず、当業界では、実際にはそうではないこと、および、異なる種類のプラスチックが一貫した単一の物質を形成すべく相互に容易には結合しないことは知られている。種類を分けずに、または、他の材料を添加せずに、混合プラスチック廃棄物の流れを再処理すると、常に、末端価値の低い材料に帰着する。また多くの場合、必要とされる機器のコスト、および、消費されるエネルギは、製品を販売する際に埋め合わせされ得ない。再利用物質から工業に対して有用な材料を製造するためには、相当な専門技術が適用されねばならず、且つ、既知の一貫した内容の特定廃棄物の流れが入手可能とされねばならない。
【0004】
最近のカーペットは概略的に、3つの主要構成要素から成る。第1に、多くの異なる繊維種類またはそれらの混合物であり得る表糸が在る。第2に、(それに対して上記糸が固定され、または、それに対して上記糸が織り込まれるという)主要裏張りが在り、これは最も一般的には、ポリエステルもしくはポリオレフィンの織成布または不織布である。第3に、補助裏張り層が在る。該補助裏張りは、構造の重量の大部分を形成する傾向があると共に、典型的には、タフテッド・カーペットに対して積層される。上記補助裏張りは、多くの場合には高レベルの粗い粒子状の無機充填物を含む薄寸状材料または発泡材料とされ得る。補助裏張りに対する基礎材料の例は、ポリオレフィン、ポリウレタン、PVC、ビチューメン(bitumen)およびラテックスである。
【0005】
上記の各構成要素を予め分離せずにカーペット廃材を再利用する種々の試みがなされてきた。特許文献1は、廃棄カーペットを粉砕し、約50:50の比率でエチレン−酢酸ビニルと混合し、且つ、カレンダ加工を行うことでカーペットに使用される裏張りシートを形成することを記述している。上記カレンダ加工は、繊維構成要素が溶融しない代わりに製品の全体に亙り単に分散される如く、低温にて実施される。特許文献2は同様の手法を主張しているが、この場合に廃材はカレンダ加工に先立ち高温で押出されていることから、全ての構成要素は溶融され且つ溶融状態で混合される。他の特許文献は、分離されないカーペット廃材の再利用に言及しているが、相溶剤としてマレイン酸ポリオレフィンおよび/またはエチレン−酢酸ビニルを用いている。たとえば、特許文献3、特許文献4および特許文献5を参照されたい。また特許文献6は、良好に寸断されたカーペット廃材を熱硬化樹脂前駆体と混合し、且つ、結果的混合物を架橋させて“合成木材”とすることにより、低エネルギの手法を採用している。しかし上記プロセスのいずれも、繊維もしくは糸を作成するに適した溶融紡糸可能製品には帰着しない。
【0006】
他の発明者等は、廃材カーペットの再利用に先立ち、該廃材カーペットの各構成要素を別体の製品流へと分離することを追求してきた。それらは主としてカーペットの細断、寸断および細粒化を含むと共に、サイクロン、ハイドロサイクロン、または、可変密度液体浮選浴による種々のポリマ成分の分離が追随する。たとえば、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11を参照されたい。溶解法も示唆されており、たとえば特許文献12は超臨界流体を使用する手法を記述しており、その場合には温度および圧力の変化が使用されることで、廃材カーペットの種々の構成要素が順次的に溶解されている。また、特許文献13および特許文献14に記述された如く、ナイロン6を含むカーペットに対して使用される別の代替的な手法は、カーペット廃材からカプロラクタムを直接的に回収することである。たとえば特許文献15および特許文献16は、ナイロン66およびナイロン混合物からモノマ回収のために同様の努力をしている。これらのプロセスから回収されたモノマは次に、再重合されて、更なる紡糸のためのポリマが製造され得る。上記の分離プロセスは多くの場合に多数の工程を含み複雑であると共に、それらを実現するには必要経費が嵩むことが明らかである。また、これらの手法の多くにおいては分離プロセスから得られるのは一種類のみの使用可能製品であり、且つ、製造プロセスからの他の残留物の廃棄の問題が依然として残されることも銘記されたい。
【0007】
使用済みカーペット表糸の分析によると、カーペットの寿命の間における該カーペットの露出に依存して、種々の異物が存在し得ることが示された。再生された表糸が紡糸プロセスにおいて再使用され得る様に除去される必要があり得る不都合な異物としては、限定的なものとしてでは無く、砂、(たとえば木材もしくは紙材の形態の)セルロース、ラテックス、ゴム、カーペット裏張り材、石膏、および、他の構造材料が挙げられる。他の可能的な異物としては、愛玩動物および人間からの獣毛、繊維布、および、植物質が挙げられる。これらの異物の全ては典型的に、個々のカーペット糸繊維のサイズと比較して非常に大きい“粒子”サイズの固形物である。これらの異物、特に、再利用されつつあるポリマの繊維押出し成形温度にて溶融しない異物、または、再利用されつつあるポリマと相溶的でない異物は、再生材料が紡糸に適合される前に、除去される必要がある。而して、溶融押出し紡糸法は典型的に、形成された繊維から大寸粒子異物が排除される様にプロセスの一部として、精細濾過を取入れている。大寸粒子異物が存在すると、形成される繊維の強度が低下し、該繊維は殆どのカーペットもしくは織物用途に対して不適切となる。これに加え、高レベルの異物、特に大寸粒子サイズの異物は、フィルタ網体の非常に頻繁な交換の故に紡糸プロセスが不経済となる如く、押出し成形機の短いフィルタ寿命に帰着する。
【特許文献1】特開昭60−206868号公報
【特許文献2】米国特許第5,728,741号明細書
【特許文献3】特開平5−287139号公報
【特許文献4】特開平5−293828号公報
【特許文献5】米国特許第5,719,198号明細書
【特許文献6】米国特許第5,626,939号明細書
【特許文献7】米国特許第5,230,473号明細書
【特許文献8】米国特許第5,518,188号明細書
【特許文献9】米国特許第5,535,945号明細書
【特許文献10】米国特許第5,598,980号明細書
【特許文献11】米国特許第5,722,603号明細書
【特許文献12】米国特許第5,233,021号明細書
【特許文献13】米国特許第5,169,870号明細書
【特許文献14】米国特許第5,668,277号明細書
【特許文献15】米国特許第5,526,694号明細書
【特許文献16】米国特許第5,468,900号明細書
【非特許文献1】“カーペット製造(Carpet Manufacture)”、ジー・エイチ・クローショー・チョーサー・プレス社(G.H. Crawshaw, Chaucer Press Ltd;)、2002年
【非特許文献2】“織成すき網参考書(Woven Wire Cloth Reference Book)”、ハーヴェン&ベーカー(Haven & Boecker)、1990年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の以前においては、溶融押出し紡糸での使用に適したカーペット表糸を再生および再使用し、不都合な脱重合および再重合方法を使用することなく、カーペットまたは織物用の糸を製造するに適した方法は無かった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該再生製品が、製造される糸の物理的特性を不都合に喪失せずに、更なるカーペット糸の製造に対して経済的に使用され得るに十分な清浄度を有するという使用済みカーペット糸の再生製品を製造する方法が見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の方法は、最初に表糸の化学的性質を識別する工程を含む。上記表糸は、限定的なものとしてでは無く、ポリプロピレン、たとえばポリエチレン・テレフタレートおよびポリトリメチレン・テレフタレートなどのポリエステル、ポリ乳酸、たとえばナイロン6およびナイロン66などのポリアミド、または、羊毛の如き天然繊維などの幾つかの異なる種類であり得る。
【0011】
サンプルが選択されると共に、湿式化学方法および機器技術の両方を含む種々の分析実験技術を用いて分析され得る。更に好適には携帯用もしくは手持ち式の識別デバイスが使用され、最も好適には、プラスチック廃材を現場で識別すべく特に設計された近赤外(NIR)分光器が用いられる。
【0012】
種類が支配的にひとつの種類である如く表糸の種類が化学的性質により識別して分類されたなら、次の工程は、分離された表糸が5%未満の裏張り材および好適には2%未満の裏張り材を含む如くカーペット裏張りから表糸を分離することである。分離された表糸は最も好適には、0.5%未満の裏張り材を含む。この分離は、表糸と共にそれほどの量のカーペット裏張り材を取出すことなく表糸を薄削りし得る薄削り、分割切断または剪断プロセスにより達成され得る。この目的のために、または、最適な使用のために可能的に適切に改変された市販のカーペット剪断機が使用され得る。この目的のためには、限定的なものとしてでは無く、ダブルフェース織成または融着において使用される分割切断機器を含む他のカーペット処理機器の改変物も使用され得る(参考:非特許文献1)。代替的で好適な方法は、自然もしくは合成の皮革を所望の厚みへと分割切断するために皮革の鞣(なめ)し分野において一般的に使用される皮革切断機を使用することである。皮革切断機は典型的に、相互に対向する2つのローラを備える。皮革は、これらの2つのローラ間に通されると共に、上記2つのローラ間に形成された領域内に配置された分割切断用のブレードへと前送りされる。カーペットのパイル高および裏張りの厚さは、カーペットの設計態様および構造に依存して、カーペット毎に変化し得る。故に、カーペットからの表糸を“分割切断”または“薄削り”するときには、一切のカーペット裏張りを薄削りせずに最大量の表糸が取出される如く、分割切断ブレードに対する各ローラの位置は適切に調節される。
【0013】
薄削りされて分離された表糸は次に、繊維へと再押出し成形される前に清浄化される。好適な方法は、最初における機械的選別デバイスの使用を伴う。分離された表糸のサイズを減少することは引き続く異物の除去に対して有用であり、サイズ減少プロセスの間に表糸を機械的に攪拌すると表糸から異物が遊離されることでそれらの異物の除去が促進される。上記サイズ減少プロセスはまた、捻られ、撚り合わされ、すなわち理髪店の看板模様の如き糸を拡開させることで、撚り合わされた糸構造内に捕捉されることもある異物の放出が許容される。ポリマが機械的もしくは熱的な劣化にそれほど委ねられないようにサイズ減少プロセスにおける摩擦熱が最小限とされるためには、高速で低強度の粉砕機が好適である。該粉砕機は、1/8インチ〜3/4インチ、好適には3/16インチ〜7/16インチの孔サイズの網体を装備している。
【0014】
サイズ減少された表糸は、サイクロンを介して機械的選別デバイスへと送給される。サイクロンによるこの搬送プロセスの間、送給流からは空中浮遊塵埃が除去され得る。好適な選別器の種類は、限定的なものとしてでは無く、回転網体、往復動網体、旋回往復動網体などの、軽い材料もしくは嵩高い材料の取り扱いに最も適した種類である。振動網体もまた使用され得る。更なる選択肢は回転網体の種類の改変であり、その場合に網体は静止的であると共に、当該材料は回転オーガを介して有孔円筒状網体を通して送給される。網体の開口サイズもしくは孔サイズは、1/8インチ〜3/4インチ、好適には3/16インチ〜7/16インチの最小寸法である。孔寸法の選択は、粉砕機網体上の孔サイズにより決定される。異物は、上記網体の孔を通して除去される。選別された表糸は、上記円筒の端部から放出される。上記網体の外側部に対しては減圧流または真空が印加されることで、表糸からの異物除去の効率が向上され得る。
【0015】
機械的に選別された表糸は次に、好適には、水性分離方法または洗浄プロセスにより更に清浄化され又は洗われる。表糸は好適には、界面活性剤ありで又はなしで、高温にて洗浄される。もし界面活性剤が使用されるなら、陰イオン性の界面活性剤が好適である。酸化還元環境における高pH条件も使用され得るが、使用される条件は、洗浄プロセスの間に表糸が相当に劣化される如きとされてはならない。高pH条件は、限定的なものとしてでは無く、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウムもしくはカリウム、または、リン酸三ナトリウム、または、それらの混合物などのアルカリの添加により達成され得る。漂白環境の選択的使用は、たとえば二酸化チオ尿素の添加により達成され得る。酸化的漂白条件は、次亜塩素酸塩、過酸化水素または亜塩素酸ナトリウムを使用することで達成され得る。この洗浄目的に対しては、市販の洗濯機器が使用され得る。別の非限定的な選択肢は、更に良好な清浄化効率および短い洗浄時間のために沸点より高い温度が使用され得るように、圧力容器を使用することである。高pH条件が使用されるなら、乾燥に先立ち、洗浄液体の中性化および表糸の高速回転が好適である。この洗浄プロセスはまた、もし所望されるなら、粉砕および機械的選別に先立って実施されても良い。
【0016】
実質的に異物の無い表糸は、細粒もしくはペレットの形態へと変換され得る。細粒形成プロセスとしては、限定的なものとしてでは無く、Netzsch-Condux Plastocompactorもしくはカリフォルニア・ペレットミル(California Pellet Mill)、溶融押出し成形、または、それらの組み合わせが挙げられる。ペレット形成プロセスは溶融押出し成形プロセスを含むが、これは、送給効率を高めるに適したラムもしくは詰め込みデバイスを用いて材料を溶融混合押出し成形器内へと送給する工程と、インライン濾過システムを用いて溶融材料を濾過する工程とを伴い、撚線の形成が追随し、該撚線は冷却されてからペレット化される。一定のポリマ種類に対しては水中ペレット化器も好適に使用されることで、再生された材料の撚りに対する必要性が排除され得る。再生された材料は次に、織物および床張りの両方の用途で使用される更なる合成繊維の調製に使用され得る。
【0017】
繊維押出し成形の準備ができた再生材料は、パイロット規模の単一スクリュ式の溶融押出し成形器による紡糸ライン上で溶融濾過試験を実施することで分析された。紡糸口金の上方には、80×700のオランダ斜文織り用の網体と、網体を支持する更に粗い網目体とから成るフィルタ網体パックが載置された。80×700のオランダ斜文織り用の網体は、呼び保持値が25ミクロンであり、絶対保持値は34〜36ミクロンであった(参考:非特許文献2)。上記網体パックの上方には、圧力変換器が布置された。RV=3.1として未使用PA66を種々の割合とした再生物の配合物が調製され、この機構を用いて試験され、圧力が監視された。
【0018】
実施例1(比較例)
商的な使用済み物再生用の工業的溶融押出し成形ラインが、未使用のナイロン6樹脂により浄化された。皮革切断機を用いて使用済みカーペットから薄削りされたナイロン66カーペット表糸が、コンベアを介して、単一スクリュ押出し成形機の送給取入口に対して公称500ポンド/時間にて送給された。ナイロン溶融物は、当該メッシュ網体を支持する粗い網目体を備えた325矩形メッシュ網体から成る網体パックを通してインライン濾過された。上記325矩形メッシュ網体は、43ミクロンの開口サイズを有していた。上記インライン・フィルタは、手動式フィルタ網体交換形式であった。圧力上昇は、再生材料が未使用ナイロン6を完全に一掃する前に圧力がフィルタの動作限界を超える如く、非常に急激であった。押出し成形ラインは更なるナイロン6樹脂により浄化されると共に、上記インライン・フィルタ内には、更に粗い支持網体を備える80矩形メッシュから成る更に粗い網体パックが設置された。上記80矩形メッシュ・フィルタ網体は、180ミクロンの開口サイズを有していた。押出し成形機に対しては、ナイロン66カーペット表糸が再び送給された。上記押出し成形機からナイロン6が一掃される前に、インライン・フィルタの動作限界は再び超過された。上記押出し成形機は未使用ナイロン6により浄化されると共に、インライン・フィルタ内には、3枚の20矩形メッシュ網体から成る更に粗い網体パックが設置された。上記20矩形メッシュ・フィルタは、860ミクロン〜910ミクロンの開口サイズを有していた。上記押出し成形機に対しては、ナイロン66表糸が再び送給された。上記フィルタに関する圧力上昇速度は、約0.03psi/グラムであった。
【0019】
実施例2(比較例)
ペレット化された実施例1の生成物が、25〜75重量%の比率でRV=3.1の未使用PA66と混合され、500ppm湿度まで乾燥された。上記ペレット混合物は更に、インラインのフィルタ網体自動交換器を備えた単一スクリュ式溶融混合押出し成形器にて更に処理された。フィルタの開孔サイズは75ミクロンであった。濾過された溶融物は、撚られてペレット化された。異物のレベルは、上記機械の動作限界を超過しなければ75ミクロン未満のフィルタ開孔サイズが使用され得ない如きであった。
【0020】
実施例3(本発明)
実施例1(比較例)と同様の様式で使用済みカーペットから薄削りされたナイロン66カーペット表糸が、5/16”メッシュ網体を備えたカンバーランド(Cumberland)造粒機にてサイズ減少された。サイズ減少された材料はサイクロンへと搬送された。表糸は次に、回転バルブを介し、有孔円筒状網体の内側に回転オーガを備える選別器へと送給された。異物は減圧下で上記網体を通して除去されると共に、表糸は上記オーガにより、第2の回転バルブを介して搬送されて収集された。収集された表糸は、上記したCondux Plastocompactorを用いて緻密化された。緻密化された表糸は、製造紡糸ライン上で未使用ナイロン66と5:95の比率で配合された。上記溶融フィルタ試験において使用されたのと同様のフィルタ網体パックを含むインライン・フィルタが使用された。約5時間のフィルタ寿命が得られた。
【0021】
実施例4(本発明)
実施例1と同様の様式で使用済みカーペットから薄削りされたナイロン66カーペット表糸が、5/16”メッシュ網体を備えたカンバーランド造粒機にてサイズ減少された。上記糸は、表糸のスループットが減少され且つ選別器から異物を除去すべく更なる高真空が使用されたことを除き、実施例3と同様の様式で更に処理された。
【0022】
実施例1および2(比較例)のペレット化材料、実施例3および4の緻密化再生物、および、実施例5の異物除去表糸が、上述の溶融フィルタ試験を用いて評価された。結果は、表1に図式的に示される。実施例3、4および5からの再生材料は、実施例1および2よりも相当に低いフィルタ圧力上昇を与えたことから、紡糸されてカーペット繊維とされ得る生成物を生成する上で、カーペット表糸における異物の除去は有効であることが示された。
【0023】
実施例5(本発明)
実施例3と同様の様式で、使用済みカーペットから、ナイロン66カーペット表糸が薄削りされ、サイズ減少され且つ機械的に選別された。上記糸は次に、Tide(登録商標)業務用洗剤(プロクター・アンド・ギャンブル社[Proctor and Gamble]の登録商標)およびClorox(登録商標)漂白剤(クロロックス・ケミカル社[Clorox Chemical Company]の登録商標)により、市販の洗濯機で洗濯された。清浄化された糸は、上記溶融フィルタ試験を用いて試験された。圧力上昇は実施例3および4より相当に小さく、異物除去の有効性に対する水性洗浄プロセスの付加的な利点が示された。
【0024】
実施例6(本発明)
実施例3と同様の様式で、使用済みカーペットから、ナイロン66カーペット表糸が薄削りされ、サイズ減少され且つ機械的に選別された。機械的に選別された糸は、カリフォルニア・ペレットミルを用いて緻密化された。緻密化された材料は、インライン溶融濾過システムを備えた二重スクリュ式溶融押出し成形機へと送給された。溶融物は、60メッシュの網体を通して濾過され、ペレット化された。ペレット化された材料は溶融フィルタ試験に委ねられた。結果は表1に示される。
【0025】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生された使用済みカーペット糸により合成繊維を製造するプロセスにおいて、
a.薄削りデバイスを使用して使用済みカーペットから表糸を薄削りして薄削り表糸を提供する工程と、
b.上記薄削り表糸のサイズを減少する工程と、
c.機械的選別器を使用して上記表糸から異物を除去する工程と、
d.水性洗浄プロセスを使用して上記表糸から異物を更に除去する工程と、
e.上記表糸を溶融濾過する工程と、
f.溶融濾過された表糸を紡糸する工程とから成ることを特徴とする
プロセス。
【請求項2】
前記薄削りデバイスは皮革切断機であることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記機械的選別器は、回転オーガを備えた静止的網体、往復動網体、旋回往復動網体、および、振動網体から成る群から選択されたことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記再生された使用済みカーペット糸は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン・テレフタレート、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリ乳酸、および、ポリプロピレンから成る群から選択されたことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記薄削りされた糸は2%未満の裏張り材を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項6】
再生された使用済みカーペット糸により合成繊維を製造するプロセスにおいて、
a.薄削りデバイスを使用して使用済みカーペットから表糸を薄削りして薄削り表糸を提供する工程と、
b.上記薄削り表糸のサイズを減少する工程と、
c.機械的選別器を使用して上記薄削りされた表糸から異物を除去する工程と、
d.上記薄削りされた表糸を溶融濾過する工程と、
e.溶融濾過された薄削り表糸を紡糸する工程とから成ることを特徴とする
プロセス。
【請求項7】
前記薄削りデバイスは皮革切断機であることを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【請求項8】
前記機械的選別器は、回転オーガを備えた静止的網体、往復動網体、旋回往復動網体、および、振動網体から成る群から選択されたことを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【請求項9】
前記再生された使用済みカーペット糸は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン・テレフタレート、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリ乳酸、および、ポリプロピレンから成る群から選択されたことを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【請求項10】
前記薄削りされた糸は5%未満のカーペット裏張り材を含むことを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【請求項11】
a)5%未満のカーペット裏張り材を含む、再生された使用済みカーペット糸と、
b)繊維を形成する熱可塑性樹脂とから成ることを特徴とする
合成繊維組成物。
【請求項12】
前記再生された使用済みカーペット糸は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン・テレフタレート、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリ乳酸、および、ポリプロピレンから成る群から選択されたことを特徴とする請求項11記載の合成繊維組成物。
【請求項13】
前記繊維を形成する熱可塑性樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン・テレフタレート、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリ乳酸、および、ポリプロピレンから成る群から選択されたことを特徴とする請求項11記載の合成繊維組成物。

【公開番号】特開2009−72569(P2009−72569A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−156211(P2008−156211)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(503080589)ユニバーサル.ファイバーズ.インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】