説明

使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理用温風供給方法・装置及び脱臭方法・脱臭装置

【課題】使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理装置において乾燥・破砕・滅菌処理及び臭気ガスの脱臭に要する熱エネルギーコスト(電気及び化石燃料)の大幅低減を可能にする技術を提供すること。及び紙おむつ燃料を院内処理することにより、院外への運搬委託コストを大幅低減する処理方法に関する。
【解決手段】使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理槽に紙おむつ燃料及び廃油を燃料とするハイブリッドボイラーを併設する。乾燥・破砕・滅菌・脱臭処理に必要な熱風は、ハイブリッドボイラーの温風及び燃焼ガスを利用する。従来の電気ヒーター、又は化石燃料を使用した熱風発生装置及び触媒脱臭装置のエネルギーコストを大幅削減可能。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【001】
本発明は、使用済み紙おむつ処理装置(乾燥・破砕・滅菌処理及び脱臭処理)のエネルギーコスト(電気及び化石燃料)を大幅低減する技術を提供すること。及び、紙おむつ処理物(乾燥・破砕・滅菌処理)を院内消費し院外への運搬委託コストを低減する処理方法に関する。
【背景技術】
【002】
病院や介護老人ホームから発生する使用済み紙おむつは、高齢化に伴って増大し、又、廃棄委託コスト(収集運搬委託コスト)の高騰は、病院、老人ホームの負担となっている。
現状、使用済み紙おむつは、焼却処理されている。しかしながら、多量の水分を含む紙おむつは、燃えにくい為、多量の補助燃料(化石燃料)を必要とし処理コストの増大及び処理設備能力不足が問題となっている。
【003】
このため、使用済み紙おむつを乾燥・破砕・滅菌処理し、燃料化する装置(例えば、特許文献1)が実用化されている。紙おむつ燃料(乾燥・破砕・滅菌処理物)は、院外へ搬出しバイオマスボイラー等の燃料として利用されている。
【004】
【特許文献1】特許第4196387
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【005】
ところで、特許文献1に記載の使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理装置は、乾燥・滅菌処理に熱風発生装置が使用されている。又、処理中に発生する悪臭ガスは、触媒脱臭装置により脱臭処理される。
温風発生装置及び触媒脱臭装置は、多量の熱エネルギー(電気又は化石燃料)を消費する為、運転コストが増大し、
又、紙おむつ燃料を院外処理の場合は、搬出運搬費用(業者への収集・運搬委託費用)がかかり操業コストが増大する為、一般には普及しなかった。
【006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、使用済み紙おむつの乾燥・破砕・滅菌処理に必要な熱エネルギー(電気又は化石燃料)を大幅削減すると共に、使用済み紙おむつ処理物(乾燥・破砕・滅菌処理)を院外搬出運搬費用(業者への収集・運搬委託費用)の低減を可能にする技術提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の温風供給装置は、使用済み紙おむつを乾燥・破砕・滅菌処理した紙おむつ燃料及び食用廃油を燃料とするハイブリッドボイラーを設置し、その温風(約80℃)を熱交換器で加熱した熱風(約150℃〜220℃)を使用済み紙おむつ処理槽へ供給し、乾燥・破砕・滅菌処理を行う処理方法である。
【008】
請求項2に記載の熱交換器の熱源は、ハイブリッドボイラーの燃焼排気ガス(約370℃)としハイブリッドボイラーの温風(約80℃)を熱交換器に通すことにより約150℃〜220℃の熱風を供給可能になる。
【009】
請求項4,5,6に記載の臭気脱臭方法は、使用済み紙おむつ処理(乾燥・破砕・脱臭)中に発生する悪臭ガス(約80℃〜100℃)を熱交換器で加熱後触媒脱臭装置へ供給し悪臭を熱分解してから、大気に放出する脱臭処理方法である。熱交換器の熱源は、ハイブリッドボイラーの燃焼ガス(約370℃)とし、悪臭ガス(約80〜100℃)を約180〜220℃に加熱し触媒脱臭装置に供給し、脱臭加熱エネルギーを大幅削減可能になる。
【発明の効果】
【010】
本発明によれば、使用済み紙おむつ処理(乾燥・破砕。滅菌)に必要な熱エネルギーとしてハイブリッドボイラーの温風及び燃焼排気ガスを利用することにより、大幅な熱エネルギー削減が可能になる。又、紙おむつ燃料(乾燥・破砕・滅菌処理物)を院内消費することにより廃棄委託コスト(院外へ搬出コスト)の削減が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の望ましい実施形態に係る使用済み紙おむつ処理(乾燥・破砕・滅菌)装置の概略構成図である。
使用済み紙おむつ処理能力が250kg/バッチ(処理時間は1バッチが約20時間)の詳細な処理工程は下記の通りである。
【012】
使用済み紙おむつは、投入口23より、ゴミ袋ごと投入する。投入された使用済み紙おむつは、攪拌パドルにより序々に破砕される。ハイブリッドボイラー10から供給された温風(風量3Nm/分、温度180℃)は、熱風給気送風機26により、給気口より処理槽20に給気される。投入された使用済み紙おむつは、序々に乾燥が進む。
最後に滅菌処理(220℃の温風で30分加熱)し冷却後、排出される。
【013】
ハイブリッド温風ボイラー10は、燃焼炉11、紙おむつ燃料自動投入機16、廃油貯留タンク19、焼却灰取出し口12からなる。
外気送風ファン13より取込まれた外気は、燃焼炉11で加熱され約80℃の温風が生成される。
燃焼炉の燃焼ガス(約370℃)を熱源にして、熱交換器30で約80℃の温風を180℃〜220℃に加熱され使用済み紙おむつ処理槽へ供給される。
【014】
使用済み紙おむつ処理槽の悪臭ガスは、熱交換器35で約180℃〜220℃に加熱後触媒脱臭装置35へ給気し、約270℃で焼却脱臭される。
【015】
以上、本発明の望ましい実施形態に係る使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理用温風供給方法・装置及び脱臭方法・脱臭装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば実施形態に記載した以外の部材を付加できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【016】
【図1】本発明の望ましい実施形態に係る使用済み紙おむつ処理(乾燥・破砕。滅菌処理)の温風供給装置、脱臭装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【017】
10 ハイブリッド温風ボイラー
11 燃焼炉
12 灰取出し口
13 外気送風ファン
14 臭気ガス吸入口
15 燃焼ガス排気口
16 紙おむつ燃料自動投入機
17 温風出口
18 廃油供給ポンプ
19 廃油タンク
20 使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理槽
21 処理物(紙おむつ燃料)排出口
22 排気フィルター
23 使用済み紙おむつ投入口
24 悪臭ガス排気口
25 悪臭ガス送風機
26 熱風給気送風機
27 熱風給気口
30 熱交換器
31 熱交換器排気口
32 金属触媒脱臭装置
33 脱臭装置排気口
34 燃焼ガス排気分岐管
35 熱交換器
36 熱交換器排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み紙おむつの乾燥・破砕・滅菌処理に必要な熱風供給装置及び熱風供給方法であって使用済み紙おむつを乾燥・破砕・滅菌処理した紙おむつ燃料及び厨房から出る食用廃油を燃料とするハイブリッドボイラーを備え、
ハイブリッドボイラーの温風を熱交換器によって昇温させた熱風を使用済み紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理槽へ供給することを特徴とする熱風供給装置及び熱風供給方法。
【請求項2】
前記熱交換器の熱源は、ハイブリッドボイラーの燃焼排気ガスである請求項1に記載の熱風供給装置。
【請求項3】
前記紙おむつ乾燥・破砕・滅菌処理の熱風温度は、150℃〜220℃で行なう請求項1,2のいずれかに記載の熱風供給方法。
【請求項4】
使用済み紙おむつの乾燥・破砕・滅菌処理に伴って発生する臭気ガスの脱臭処理方法であって、乾燥・破砕・滅菌処理槽の排気(悪臭)ガスを熱交換器によって昇温させた排気(悪臭)ガスをに脱臭装置で燃焼脱臭することにより、脱臭に要するエネルギーコストを大幅削減することを特徴とする脱臭方法。
【請求項5】
前記脱臭処理が、金属系触媒を用いた触媒脱臭処理である請求項3に記載の脱臭処理方法。
【請求項6】
前記脱臭処理を270℃〜300℃で行う請求項4、5のいずれかに記載の脱臭処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−88112(P2013−88112A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244935(P2011−244935)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(507187189)
【出願人】(508141195)株式会社アースバイオテクノロジー (2)
【Fターム(参考)】