説明

使用済排出海水の排出システム

【課題】放水路に放出される排出海水に同伴される泡の発生を抑制及び除去することができる使用済排出海水の排出システムを提供する。
【解決手段】使用済の排出海水11を例えば発電プラント等の施設(図示せず)から放水する放水溝101の出口近傍に設けられ、前記排出海水11中の浮遊塵を除去すると共に浮遊泡を分解する光触媒を設けたスクリーン50と、前記スクリーン50を通過後の排出海水11を海20に放出する放水路12の下流の幅方向に亙って設けられ、浮遊泡22を分解する光触媒を設けた浮体(フロート)23と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば火力発電所や原子力発電所等の発電プラントや化学プラント等の冷却水として、あるいは排ガスの洗浄用水として、海水を使用した後に再び海へ排出する使用済排出海水に同伴される泡を除去することができる使用済排出海水の排出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所、火力発電所などの種々の発電プラントでは、海水は復水器等の冷却水や、海水脱硫設備の排ガス処理用の水や熱交換器等の熱交換用の水として多量に使用されている。復水器で使用された後の使用済の排出海水、海水脱硫設備で用いた使用済の排出海水、熱交換器等から排出される排出海水は、温排水として放水路に排出され、海域や河川域に排出されている。
【0003】
放水路には、一般に海の潮位の変動に対応するため堰を設置しているが、この堰を越えて排水が下流側に流れ落ちて空気を巻き込むことで、放水路の水面上には多量の泡が発生する。また、放水路には、排水が空気を巻き込むことで生じる泡の他に、界面活性剤などの化学薬品、微生物や生物死骸など汚染物などの様々な原因により生じている泡も含まれている場合がある。
【0004】
空気を巻き込むことで生じる泡のほとんどは放水路の途中で消泡するが、化学薬品や汚染物等に起因して生じた泡は、化学薬品や汚染物等による界面活性作用により容易に破泡しないため、使用済海水や排出海水の表面に浮遊している場合が多く、放水路の排出口から海に排出される場合がある。
【0005】
また、化学薬品や汚染物等に起因して生じた泡は、空気を巻き込むことで生じる泡に比べ外観も悪く、排水基準に泡の規制がないものの、これらに起因して生じた泡が同伴された排出海水は、外観的に汚濁排水と認識されやすい、おそれがある。
【0006】
また、放水路の下流側にはフロートを設置して、放水路の水面上に浮遊している泡が海域や河川域に流れ出さないようにしている。しかし、放水路の水面上に浮遊している泡を海域や河川域に流れ出さないようにフロートで止めておくと、フロート周辺には多量の泡が集中して、高波が来た場合や強風が生じた場合には、フロート周辺に浮遊している泡が近隣に飛散してしまう場合がある。
【0007】
そこで、放水路の水面上に泡が発生するのを抑制するため、従来では、例えば、冷却水として用いる海水中に消泡剤等の薬剤を添加し、海水を冷却水として用いる際に泡が発生するのを抑制する発泡抑制方法などが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2008/041400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術に係る発泡抑制方法や、消泡剤を添加する方法では、例えば発電プラント等から排出される大量の使用済排出海水に浮遊泡の除去が追いつかない、という問題がある。
【0010】
そこで、簡易な構成で例えば発電プラント等から排出される大量の使用済排出海水に浮遊泡の除去を効率的に行う技術の出現が切望されている。
【0011】
本発明は、前記問題に鑑み、放水路に放出される排出海水に同伴される泡の発生を抑制及び除去することができる使用済排出海水の排出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、使用済の排出海水を放水する放水溝の出口近傍に設けられ、前記排出海水中の浮遊塵を除去すると共に浮遊泡を分解する光触媒を設けたスクリーンと、前記スクリーンを通過後の排出海水を海に放出する放水路の下流側に設けられ、浮遊泡を分解する光触媒を設けた浮体と、を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記光触媒を設けたスクリーンが、放水路の複数個所に水路幅に亙って設置されていることを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0014】
第3の発明は、第1又は2の発明において、放水路の複数個所に、排出海水が通過すると共に、光触媒を設けた複数の隙間を有する泡分解スリット部材を配置してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0015】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、放水路の側壁に光触媒を被覆してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0016】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、放水路の途中に光触媒を設けたブロック又は浮体を配置してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0017】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明において、前記光触媒に対して、紫外線を照射するUV照射装置を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0018】
第7の発明は、第1乃至6のいずれか一つの発明において、前記浮体近傍に浮遊した泡を採取する採取通路と、前記採取通路により採取した泡を同伴する排出海水を導入すると共に、内部に充填した光触媒充填物に接触させて、UV照射により泡を分解する泡分解容器と、前記泡分解容器で分解された泡分解物を放水路に供給する供給通路とを具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【0019】
第8の発明は、第7の発明において、前記浮体近傍に浮遊した泡を監視する泡監視手段と、前記泡監視手段の監視の結果、泡が所定量を超えた場合に、採取通路に泡を導入する制御手段と、を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システムにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用済の排出海水が放水溝から放出される際、及び放水路から海に放水される際に、排出海水に同伴した泡を光触媒作用により分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施例1に係る使用済排出海水の排出システムの概略図である。
【図2】図2は、その平面図である。
【図3】図3は、放水溝及び放水路にスクリーンを設置した様子を示す図である。
【図4】図4は、放水路にブロック体を設置した様子を示す図である。
【図5】図5は、放水路にスリット部材を設置した様子を示す図である。
【図6】図6は、実施例2に係る使用済排出海水の排出システムの概略図である。
【図7】図7は、実施例2に係る泡分解容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0023】
本発明による実施例に係る使用済排出海水の排出システムについて、図面を参照して説明する。図1は、実施例1に係る使用済排出海水の排出システムの概略図である。図2は、その平面図である。図3は、放水溝及び放水路にスクリーンを設置した様子を示す図である。図4は、放水路にブロック体を設置した様子を示す図である。図5は放水路に泡分解スリット部材を設置した様子を示す図である。
図1及び図2に示すように、使用済排出海水の排出システム10Aは、使用済の排出海水11を例えば発電プラント等の施設(図示せず)から放水する放水溝101の出口近傍に設けられ、前記排出海水11中の浮遊塵を除去すると共に、浮遊泡を分解する光触媒を設けたスクリーン50と、前記スクリーン50を通過後の排出海水11を海20に放出する放水路12の下流の幅方向に亙って設けられ、浮遊泡22を分解する光触媒を設けた浮体(フロート)23と、を具備する。
【0024】
排出海水11は、例えば、海20から取水した海水を火力発電所、原子力発電所等の発電プラントの復水器の冷却水として用い、復水器で熱交換されて温められた温排水であり、復水器から海に向けて排出される使用済の海水である。
【0025】
放水路12の途中には堰21が設けられ、放水路12の水面の高さは、例えば復水器の方が海20側よりも高くなるように形成され、海の潮位の変動を受けないようにしている。
【0026】
放水路12には、排出海水11が海に向けて排出されるまでの間に、排出海水11には泡22が多量に発生し、泡22を同伴した排出海水11が海に向けて流れている。泡22は、排出海水11が堰21を越えて下流側に流れ落ちた際に排出海水11が空気を巻き込むことで生じる泡や、界面活性剤などの化学薬品、微生物や生物死骸など汚染物などの様々な原因により生じている泡などがある。空気を巻き込むことで生じる泡のほとんどは放水路12の途中で消泡するが、化学薬品や汚染物等に起因して生じた泡は、化学薬品や汚染物等による界面活性作用により容易に破泡せず、放水路12の排出口まで排出海水11の表面に浮遊している場合が多い。
【0027】
本実施例では、放水溝101の出口近傍と、堰21の落下側の各々に、浮遊塵を除去すると共に浮遊泡を分解する光触媒を設けたスクリーン50を設置している。
スクリーン50の設置は、放水溝101から放出される排出海水11中の浮遊塵を除去すると共に、浮遊泡を光触媒により分解するようにしている。
【0028】
ここで、光触媒としては、例えば酸化チタン(TiO2)を用いるのが好ましい。
ここで、酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタン等を挙げることができる。なお、泡を分解する触媒反応効率の点からアナターゼ型酸化チタンを用いるが好ましい。
【0029】
また、光触媒として、酸化チタン以外としては、例えば酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化鉄等の公知の光触媒機能を発揮する材料を用いるようにしてもよい。
【0030】
この光触媒は、スクリーンの格子の表面に吹き付け、溶射、塗布等により設けるようにしている。なお、樹脂製のスクリーンとする場合には、光触媒を樹脂に練りこむようにしてもよい。
【0031】
なお、日中は太陽光により光触媒反応が促進されるが、夜間においては、光触媒としての機能を効果的に発揮させるために、エネルギーの高い紫外線(UV)照射装置51を設置し、紫外線(UV)を照射できるようにしている。
【0032】
このように、太陽光等の照射により光触媒に紫外線が照射されると、その表面から電子が放出され、電子が抜けた正孔にプラスの電荷が帯びる。正孔は強い酸化力を有し、水中にあるOH基(水酸化物イオン)等から電子を奪い、電子を奪われたOH基は、非常に不安定な状態のOHラジカルになる。このOHラジカルは強力な酸化力を有するので、泡を分解することとなる。
【0033】
すなわち、排出海水11に浮遊している泡22は、水中の藻類や細菌、多糖類、脂肪等の両親媒性生体高分子が気泡の周囲に吸着し、界面活性剤としての機能を果たす結果、気泡が割れにくくなっている。そこで、本発明では、光触媒作用により、例えば藻類や、細菌の分解が促進され、この藻類や細菌等の存在に起因する泡の破泡抑止性能を低下させ、消泡が促進される。これにより、微生物由来に起因し、破砲し難い汚濁泡に対して、効果的に消泡処理がなされる。
【0034】
放水路12の下流側には、泡22を同伴した排出海水11の表面近傍の流れを遮る浮体(フロート)23が幅方向に亙って設けられている。フロート23は放水路12の排出海水11の流れ方向と略直交する向きに複数設けられており、放水路12を流れる排出海水11の海水表層に浮遊泡22を、フロート23で堰きとめて排出海水11に同伴して海域に拡散するのを抑制するようにしている。
【0035】
フロート23同士は、例えば、紐等により各々連結されており、フロート23の数は、放水路12の幅大きさ等により調整される。また、発生する泡22に応じて、フロート23の高さや、水没量を適宜調整できるようにしてもよい。
【0036】
フロート23を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の有機系樹脂などを用いることが好ましい。
【0037】
本実施例では、このフロート23の表面にも、光触媒が設けられており、泡22を光触媒作用により分解除去するようにしている。
【0038】
このフロート23には、泡監視装置13が設けられている。
【0039】
フロート23にせき止められる泡の量は、赤外放射温度計15により計測される。
この赤外放射温度計15は、泡22を同伴した排出海水11の表面から放出される赤外線IRの放射エネルギーを赤外放射温度計15の赤外線センサで計測し、泡22を同伴した排出海水11の表面温度を測定するものである。すなわち、あらゆる物体は赤外線を放射しており、物体から放射される赤外線の強さ(エネルギー量)は物体の温度が高くなるにしたがって増加するため、物体から放射される放射エネルギー量を検知することにより、物体の温度を測定することができる。このため、赤外放射温度計15を用いることで、被測定物に接触することなく容易に被測定物の表面温度を測定することができる。
ここで、赤外放射温度計15は、フロート23の全体に亙って検出できるように、複数個(図示省略)設けられている。
【0040】
赤外放射温度計15で測定された測定結果は制御手段16に伝達される。
制御手段16は、赤外放射温度計15の測定結果に基づく判断結果を監視室のモニタ(表示手段)25に伝達し、モニタ25は制御手段16の判断結果に基づいて放水路12のフロート23近傍の排出海水11に泡22が浮遊しているか否かと、フロート23近傍に浮遊している泡22の占める範囲を表示する。
【0041】
これにより、放水路12のフロート23近傍の排出海水11に泡22が所定以上浮遊しているか否かを確認することができる。
【0042】
本実施例では、スクリーン50とフロート23との光触媒作用によりほとんどの泡22は消失されるが、排出海水11の状況等により泡22が多く発生する場合には、泡監視装置13により、フロート23近傍に浮遊している泡22の占める範囲を確認することで、容易に監視することができる。
【0043】
この結果、泡22の発生が多い場合には、公知の消泡装置(図示せず)からの薬剤の添加をするようにしてもよい。
消泡装置は、薬剤の薬液を噴霧するスプレーを有し、スプレーから排出海水11に薬剤を供給し、排出海水11中の微生物を殺菌する。例えば、高温ガスを噴射する高温ガス噴射装置などを用いてもよい。
【0044】
ここで、薬剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、オゾン、過酸化水素水などが挙げられる。消泡装置は、その先端のスプレーからNaClOが5ppm〜10ppm相当分となるように散布するようにしている。
【0045】
また、薬剤としてオゾンを用いる場合、オゾン殺菌効果を発揮するように、排出海水11のpHは、中性(pH6〜7)を保つように調整することが好ましい。また、薬剤として過酸化水素水を用いる場合、過酸化水素水による殺菌効果を発揮するように、排出海水11のpHを5〜8なるように、酸溶液を供給するようにするのが好ましい。
【0046】
また、夜間においては、泡監視装置13の監視により、泡22が所定量以上であるようであれば、UV照射装置51から紫外線(UV)を照射し、夜間においても光触媒作用により、分解除去するようにしている。
【0047】
このUV照射による光触媒の分解でも泡22が所定量以下とならない場合には、上述したように、消泡装置から薬剤を散布して除去するようにすればよい。
【0048】
このように、本実施例に係る使用済排出海水の排出システム10Aによれば、使用済の排出海水11が放水溝101から放出される際、及び放水路12から海20に放水される際に、排出海水11に同伴した泡22を光触媒作用により分解除去することができる。
このため、昼夜を通じて排出海水11の表面を浮遊泡22の分解が促進され、海20に泡22が放流するのを抑制することができる。
【0049】
さらに、図4に示すように、放水路12の側壁12aに、光触媒を被覆するようにして、放水路全体での光触媒効果を発揮するようにしてもよい。
【0050】
また、図4に示すように、放水路12の途中に光触媒を設けたブロック体55を複数個配置し、このブロック体55の間を排出海水11が通過する際に、排出海水11に浮遊泡22を分解除去するようにしてもよい。
【0051】
また、図5に示すように、排出海水11が通過すると共に、光触媒を設けた複数の隙間61を有する複数の泡分解スリット部材62を放水路12に配置するようにしてもよい。なお、泡分解スリット部材62は、隙間61以外にもその全体に光触媒を設けるようにしてもよい。
この泡分解スリット部材62の隙間61を排出海水11が通過する際に、排出海水11に浮遊泡22を分解除去するようにしてもよい。
【0052】
図4に示すブロック体55や、図5に示す泡分解スリット部材62は、放水路12の途中に複数設けることで、その泡除去効率が向上することとなる。
【実施例2】
【0053】
本発明による実施例に係る使用済排出海水の排出システムについて、図面を参照して説明する。図6は、実施例2に係る使用済排出海水の排出システムの概略図である。図7は、実施例2に係る泡分解容器の斜視図である。
図6に示すように、使用済排出海水の排出システム10Bは、使用済の排出海水11を例えば発電プラント等の施設(図示せず)から放水する放水路12と、前記浮体23近傍に浮遊した泡を採取する採取通路71と、前記採取通路71により採取した泡22を同伴する排出海水11をポンプPにより導入すると共に、内部に充填した光触媒充填物であるTiO2触媒担持体72に接触させて、紫外線(UV)照射により泡を分解する泡分解容器73と、前記泡分解容器73で分解された泡分解物を含む排出海水11を放水路12に供給する供給通路74とを具備するものである。
【0054】
実施例1においては、泡22がフロート23に発生した際、該泡22の発生量が所定量以上であると泡監視装置13で判断した場合、消泡装置から薬剤を散布等していた。
これに対し、本実施例では、薬剤を用いることなく、TiO2触媒担持体72に接触させて、泡を分解・除去するようにしている。
【0055】
図7の泡分解容器の斜視図に示すように、泡分解容器73の内部にはTiO2触媒担持体72が充填されている。泡分解容器73の周囲は太陽光等が通過できる採光部分が全面又は所定範囲に設けられている。例えば光透過性の樹脂(FRP等)を用いることができる。なお、泡22を含む排出海水11は、下方向から上方向に流すようにして、光触媒処理を行うようにしてもよい。
【0056】
TiO2触媒担持体72は、樹脂組成物からなる担体に、光触媒である酸化チタン(TiO2を担持させたものである。
【0057】
本実施例では、フロート23近傍での泡22の発生量が多い場合、泡監視装置13での監視の結果、泡22の発生量が所定量以上であると判断した場合、制御手段16によりポンプPを駆動して泡22が浮遊している排出海水11を泡分解容器73内に導入し、泡分解容器73内に充填されているTiO2触媒担持体72に接触させて、光触媒作用により泡22を分解するようにしている。
なお、夜間における分解処理のために、紫外線照射装置51も設置している。
【0058】
このように、本実施例に係る使用済排出海水の排出システム10Bによれば、使用済の排出海水11が放水溝から放出される際、及び放水路12から海20に放水される際に、排出海水11に同伴した泡22を光触媒作用により分解除去することができる。さらに、フロート23での泡22の発生が多い場合には、TiO2触媒担持体72を充填した泡分解容器73に導入して、ここで泡22を積極的に分解処理することとしている。
このため、昼夜を通じて排出海水11の表面を浮遊泡22の分解が促進され、海20に泡22が放流するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
10A、10B 使用済排出海水の排出システム
11 排出海水
12 放水路
20 海
22 泡
23 浮体(フロート)
50 スクリーン
51 紫外線照射装置
101 放水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済の排出海水を放水する放水溝の出口近傍に設けられ、前記排出海水中の浮遊塵を除去すると共に浮遊泡を分解する光触媒を設けたスクリーンと、
前記スクリーンを通過後の排出海水を海に放出する放水路の下流側に設けられ、浮遊泡を分解する光触媒を設けた浮体と、
を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記光触媒を設けたスクリーンが、放水路の複数個所に水路幅に亙って設置されていることを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
放水路の複数個所に、排出海水が通過すると共に、光触媒を設けた複数の隙間を有する泡分解スリット部材を配置してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
放水路の側壁に光触媒を被覆してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
放水路の途中に光触媒を設けたブロック又は浮体を配置してなることを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
前記光触媒に対して、紫外線を照射するUV照射装置を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
前記浮体近傍に浮遊した泡を採取する採取通路と、
前記採取通路により採取した泡を同伴する排出海水を導入すると共に、内部に充填した光触媒充填物に接触させて、UV照射により泡を分解する泡分解容器と、
前記泡分解容器で分解された泡分解物を放水路に供給する供給通路とを具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記浮体近傍に浮遊した泡を監視する泡監視手段と、
前記泡監視手段の監視の結果、泡が所定量を超えた場合に、採取通路に泡を導入する制御手段と、を具備することを特徴とする使用済排出海水の排出システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27854(P2013−27854A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167725(P2011−167725)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】