説明

使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器

【課題】本願発明は、使用者を小便器に使用者の意思によらず近づける手段の提供である。
【解決手段】本願発明は、小便器前方の使用者と小便器間の距離を検知するセンサを有し、検知の結果前記距離が適正でない場合、小便器を適正な位置まで移動する駆動装置を有する使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器である。使用者を検知し、自動的に水を流し洗浄する従来の小便器に使用者と小便器の距離が適正でないときは、小便器を使用者側に移動する手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器の技術に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサによる小便器使用者の検知に基づいて給水路の電磁弁を開き、洗浄水を小便器の鉢内面に噴射して小便器洗浄を自動的に行う小便器の自動洗浄装置が広く用いられている。
小便器鉢内の洗浄は上記自動洗浄装置により洗浄されるが、使用者は小便器に近寄らず必要以上に離れがちで、小便器前方の床が尿垂れで汚れやすく、不衛生になりやすいとともに清掃に手間と時間がかかる問題があった。
そのため特開2002-21160には小便器に立位置誘導装置を設け、使用者の立位置が適正位置よりも遠い時に適正位置に誘導するための視覚的な表示を行う手段が開示されている。
【0003】
特開2008-57195には、小便器放尿目標体を小便器鉢内部に設け、使用者の放尿の目標とすることで、使用者の興味を引きよせ目標体に命中させようとする意識を利用して小便器に近づける手段が開示されている。
【0004】
いずれも、使用者が小便器に近づくかどうかは使用者の意思しだいである。
使用者の意識によらず使用者を小便器に近づける方法が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2002-21160
【特許文献2】特開2008-57195
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、使用者を小便器に使用者の意思によらず近づける手段の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、小便器前方の使用者と小便器間の距離を検知するセンサを有し、検知の結果前記距離が適正でない場合、小便器を適正な位置まで移動する駆動装置を有する使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器である。使用者を検知し、使用者と小便器の距離が適正でないときは、小便器を使用者側に移動する手段を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、小便器前方の使用者と小便器との距離を検知し、その距離が適正でない場合、小便器を適正な位置まで移動させる手段を設けたため、使用者と小便器との距離が適正に保たれ、尿垂れが防止でき、小便器前方の床面が清潔に保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を図によって、より詳細に説明する。
図1、図2は、本発明である使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器の概念図である。図1a、図2aは、使用者が適切な距離を保って使用している状態を示しており、図1b、図2bは、距離を離して使用しようとするとき小便器を移動させ適切な距離をとり、使用している状態を示している。図1は小便器を使用者の向かって前後水平に移動させ、図2は小便器を使用者に向かって回転移動させる例である。
【0010】
本距離を適正に保つ装置は、従来の自動洗浄装置におけるセンサを兼用させることができる。図では通常の状態では小便器は鉢を備え壁に接して床上に設置されている。
小便器の後方には小便器を前後に移動させる駆動装置が設けられている。
小便器の上方にはボックスが設けられ使用者の立位置を検知するセンサが組み込まれている。従来の自動洗浄装置と同様小便器前方の使用者の有無、使用者までの距離を検知する赤外線式のセンサ(側距センサ)とセンサによる使用者の検知に基づいて給水管内の給水通路を開閉する電磁弁とその作動制御を行う制御部とを有している。それらが図3に示すように、小便器上部のボックス内に組み込まれている。
【0011】
本ボックス内には給水装置の制御装置に加えて小便器を前後に移動させる駆動装置の制御装置が組み込まれている。
図4に示す距離L1、L2を調整する調整部が設けられ、ここで距離L1は小便器の自動洗浄を行う場合の設定距離であり、距離L2は使用者が小便器を使用するための適正距離である。
【0012】
図5は、上記制御部による制御の内容を示している。
図に示すように、この例では使用者が小便器に対して、距離L1内に接近すると、そこでt1秒間電磁弁が開かれて小便器の予備洗浄が行われる(ステップS10,S12)。
【0013】
さらに使用者と小便器間の適正距離L2まで使用者が接近したか否かが判定され(ステップS14)、L2まで使用者が近づいていれば、その後使用者が小便器から立ち去った時点でt2秒間電磁弁が開いて、小便器の本洗浄が行われる(ステップS16,S18,S20)。
【0014】
一方、距離L1内に使用者が接近した後、距離L2まで接近していない場合、駆動装置を作動させ使用者と小便器との距離がL2となるまで小便器を前後水平にあるいは回転して移動させる。距離がL2となったら駆動装置の作動を停止する。(ステップS14、S22)
駆動装置を作動させて小便器を移動させた場合、再び駆動装置を作動させて小便器を元の位置に戻しておく。(ステップS24、S26)
【0015】
以上のような使用者と小便器の位置を適正位置に設定する駆動装置を設けておけば、使用者の立位置に係らず小便器と使用者の相対距離を適正なものとすることができる。そのため小便器前方の床が尿垂れにより汚れてしまうといった従来の問題を改善することができ、小便器周りを清潔に保つことができるとともに、清掃の手間と時間を短縮することができる。
【0016】
以上本発明による駆動装置による使用者と小便器との距離を適正に保つ装置は図1に示す床置きの小便器にかかわらず、壁に掛けた形式の小便器にも適応可能である。なお給水管、配水管はフレキシブル配管とするこというまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】は、本発明の使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器を示す第1の例を示す概念図である。
【図2】は、本発明の使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器を示す第2の例を示す概念図である。
【図3】は、センサ、給水装置、小便器駆動制御部を示す概念図である。
【図4】は、使用者と小便器間の距離を測定する概念図である。
【図5】は、使用者と小便器間の距離を適正に保つ制御手段を示している。
【符号の説明】
【0018】
1 小便器
2 駆動装置
21 駆動装置制御部
3 センサおよび制御部
31 L1制御部
32 L2制御部
4 給水装置
41 給水管
5 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器前方の使用者と小便器間の距離を検知するセンサを有し、検知の結果前記距離が適正でない場合、小便器を適正な位置まで移動する駆動装置を有する使用者と小便器間の距離を適正に保つ小便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−263959(P2009−263959A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113784(P2008−113784)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】