説明

使用量データ自動入力式環境家計簿

【課題】事業者側に特別なシステムを必要とせずに、環境家計簿に、電気使用量、ガス使用量、水道使用量といった複数の種別の使用量データを自動で入力することで、一般家庭等におけるCO2排出量をより容易に正確に把握することを可能とすることを目的とする。
【解決手段】電気事業者やガス事業者が既にインターネット上で各消費者向けに提供している、各消費者の使用実績を開示する開示サービスを利用し、それらのサービスに自動的に順次アクセスして、各種使用量データを収集することで、複数の種別の使用量データを自動的に環境家計簿に入力し、一般家庭等におけるCO2排出量をより容易に正確に把握することを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭等において、電気使用量やガス使用量といった各種使用量データが自動的に入力され、それにより正確なCO2排出量を把握できる環境家計簿に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が深刻化しており、CO2排出量の削減が求められているが、その前提条件として、また排出量取引の普及に対応するため、より正確なCO2排出量の把握が重要視されている。
【0003】
一般家庭においてCO2排出量を把握する手段として、環境家計簿と称されるものがある。これは、ユーザが、電気であればkWh、ガスであればm3といった使用量データを自ら手動で入力し、入力されたそれぞれの項目に応じたCO2排出係数を乗ずることでCO2排出量を算出するものである。
【0004】
また、ユーザの入力の手間を省くシステムとして、特許文献1の環境家計簿システムおよび環境家計簿サーバがある。特許文献1に記載の環境家計簿システムは、消費者が事業者から商品を購入した際に、事業者側で入力された売上データを管理する事業者サーバが環境家計簿サーバへ売上データを送信し、環境家計簿サーバでは、受信した売上データの支出金額と、対応する各品目もしくは各商品についての単位金額当たりのCO2排出係数をもとにCO2排出量を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−282279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の環境家計簿では、使用量データは手動で入力するものであることから、ユーザが毎月データを入力する煩わしさによる入力忘れや、入力漏れ、入力ミス等により、必ずしも正確なCO2排出量を把握できていない。
【0007】
また、特許文献1の環境家計簿システムでは、電気であればkWh、ガスであればm3といった使用量データではなく、支出金額をもとにCO2排出量を算出するため、必ずしも正確なCO2排出量を把握できない。
更に、この環境家計簿システムでは、事業者側に、特許文献1の環境家計簿システムに対応した事業者側システムが必要であり、この環境家計簿システムに対応した事業者側システムを保有していない事業者からは必要なデータを受信できない。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電気使用量、ガス使用量、水道使用量といった複数の種別の使用量データを自動で入力することで、一般家庭等におけるCO2排出量をより容易に正確に把握することができるものであり、且つ、事業者側に、環境家計簿に対応する特別なシステムを必要としない環境家計簿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、電気事業者やガス事業者がインターネット上で各消費者向けに提供している、各消費者の使用実績を開示する開示サービスにアクセスする通信手段と、各事業者が提供する前記開示サービスにアクセスするためのユーザIDおよびパスワードを記憶するデータベースと、前記データベースのユーザIDとパスワードを用いて各事業者が提供する前記サービスに順次アクセスするアクセス手段と、アクセスの応答として各事業者から前記開示サービスにより開示された各種使用量データを受信しそれを記憶するデータベースと、データベースに記憶された使用量データを表示する表示手段と、各種使用量データに対応したCO2排出係数を乗じてCO2排出量を算出する算出手段と、算出されたCO2排出量を表示する手段と、を持つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ユーザは手動で使用量データを入力する必要がなくなり、入力忘れや、入力漏れ、入力ミスがなくなることで、正確なCO2を算出できるようになる。
【0011】
また、電気事業者やガス事業者が既にインターネット上で各消費者向けに提供している、各消費者の使用実績を開示する開示サービスを利用することで、事業者側に特別なシステムを用意することなく、複数の種別の使用量データを自動的に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1の説明図
【図2】本発明の実施形態2の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の使用量データ自動入力式環境家計簿システムをユーザ側の端末コンピュータにアプリケーションプログラムとして実装した実施形態1のイメージ図である。インターネットに接続可能なユーザ側端末コンピュータ01、事業者1が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ11、事業者2が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ12、事業者3が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ13より構成される。もちろん事業者の数は、ユーザが開示サービスに登録する任意の数である。
【0014】
ユーザは、あらかじめ各事業者が提供する各消費者の使用実績を開示する開示サービスに登録したうえで、前記開示サービスにアクセスするためのユーザIDとパスワードを、ユーザ側端末コンピュータ01に実装された使用量データ自動入力式環境家計簿システムのデータベースに記憶させる。
使用量データ自動入力式環境家計簿システムを起動した際、またはユーザが使用量データ取得を要求する操作した際に、使用量データ自動入力式環境家計簿システムにおいて、各事業者が提供する前記開示サービスにアクセスするアクセス手段が動作して、データベースに記憶された各事業者のサービスごとのユーザIDとパスワードを用いて、事業者1のWebサーバ11、事業者2のWebサーバ12、事業者3のWebサーバ13に順次アクセスする。
アクセスに対する事業者Webサーバからの応答として、前記開示サービスにより開示された各種使用量データを受信すると、使用量データ自動入力式環境家計簿システムがその使用量データをデータベースに記憶する。
その後、使用量データ自動入力式環境家計簿システムは、記憶された、電気であればkWh、ガスであればm3といった使用量データを表示するとともに、それぞれの使用量データに対応したCO2排出係数を乗じてCO2排出量を算出し、算出されたCO2排出量を表示する。
【0015】
図2は、本発明の使用量データ自動入力式環境家計簿システムをインターネット上のサーバにアプリケーションプログラムとして実装した実施形態2のイメージ図である。インターネットに接続可能なユーザ1の端末コンピュータ01、ユーザ2の端末コンピュータ02、ユーザ3の端末コンピュータ03、使用量データ自動入力式環境家計簿システムを実装したサーバ20、事業者1が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ11、事業者2が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ12、事業者3が各消費者の使用実績を開示するサービスを提供するWebサーバ13より構成される。もちろん事業者の数は、ユーザが登録する任意の数であり、ユーザの数も使用量データ自動入力式環境家計簿システムを利用する任意の数である。
【0016】
インターネット上のサーバ20に実装された使用量データ自動入力式環境家計簿システムでは、ユーザごとに固有のページおよび環境家計簿を作成する。各ユーザは、あらかじめ各事業者が提供する各消費者の使用実績を開示する開示サービスに登録したうえで、前記開示サービスにアクセスするためのユーザIDとパスワードを、インターネット上のサーバ20に実装された使用量データ自動入力式環境家計簿システムのデータベースに記憶させる。
ユーザが、使用量データ自動入力式環境家計簿システムを実装するサーバ20にアクセスした際、またはユーザが各種使用量データの取得を要求する操作をした際、または使用量データ自動入力式環境家計簿システムが定期的に、各事業者が提供する前記開示サービスにアクセスするアクセス手段が動作して、データベースに記憶された各事業者のサービスごとのユーザIDとパスワードを用いて、事業者1のWebサーバ11、事業者2のWebサーバ12、事業者3のWebサーバ13に順次アクセスする。
アクセスに対する事業者Webサーバからの応答として、前記開示サービスにより開示された各種使用量データを受信すると、使用量データ自動入力式環境家計簿システムがその使用量データをデータベースに記憶する。
その後、使用量データ自動入力式環境家計簿システムは、記憶された、電気であればkWh、ガスであればm3といった使用量データと、それぞれの使用量データに対応したCO2排出係数を乗じて算出されたCO2排出量を、ユーザの端末01〜03へ送信する。
ユーザ端末へ送信された各データは、ユーザ端末にて表示される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上のように、本発明の使用量データ自動入力式環境家計簿システムは、電気使用量、ガス使用量、水道量使用量などを、自動的に入力し、CO2排出量を算出することで、正確なCO2排出量を把握することができる環境家計簿であり、一般家庭のみならず、企業や公的機関での活用に応用できる。特に全国に複数の事業所を持つような企業においては、各地域の電力事業者、ガス事業者における使用実績を開示する開示サービスに登録しておくことで、本環境家計簿システムにより一元的にCO2排出量を把握することが可能となる。
【符号の説明】
【0018】
01〜03・・・ユーザ端末
11〜13・・・事業者のWebサーバ
20・・・使用量データ自動入力式環境家計簿システムを実装したインターネット上のサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気事業者やガス事業者がインターネット上で各消費者向けに提供している、各消費者の使用実績を開示する開示サービスにアクセスする通信手段と、各事業者が提供する前記開示サービスにアクセスするためのユーザIDおよびパスワードを記憶するデータベースと、前記データベースのユーザIDとパスワードを用いて各事業者が提供する前記開示サービスに順次アクセスするアクセス手段と、各事業者が提供する前記開示サービスにより開示された各種使用量データを記憶するデータベースと、データベースに記憶された使用量データを表示する表示手段と、各種使用量データに対応したCO2排出係数を乗じてCO2排出量を算出する算出手段と、算出されたCO2排出量を表示する手段と、を持つことを特徴とする環境家計簿システム。
【請求項2】
前記アクセス手段は、使用量データ自動入力式環境家計簿システムを起動したとき、またはユーザが各種使用量データ取得を要求する操作をしたとき、または使用量データ自動入力式環境家計簿システムが定期的に、各事業者がインターネット上で各消費者向けに提供している、各消費者の使用実績を開示する開示サービスにアクセスすることを特徴とする、請求項1に記載の環境家計簿システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226715(P2012−226715A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104730(P2011−104730)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(511113202)