説明

供給機

【課題】落下口からの被供給物の所望しない落下を防止することができる、供給機を提供する。
【解決手段】オーガスクリュー7の駆動源として、レバーシブルモータ8が採用されている。レバーシブルモータ8への給電のための給電回路が制御されて、レバーシブルモータ8が正転されると、オーガスクリュー7が一方向に回転し、そのオーガスクリュー7の一方向の回転により、原料が落下口9に向けて搬送される。落下口9に到達した原料は、落下口9から落下し、計量ホッパ3に供給される。計量ホッパ3への原料の供給が停止される際には、給電回路が制御されて、レバーシブルモータ8の正転が減速され、レバーシブルモータ8に電子ブレーキが作動することなく、レバーシブルモータ8の逆転が加速された後に減速される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の原料などの被供給物を計量ホッパなどの供給対象機に供給する供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、樹脂成形品の原料を計量して、定量の原料を成形機などに供給する計量供給装置が知られている。
【0003】
例えば、原料(粉粒体)が貯蔵された貯蔵ホッパと、貯蔵ホッパから供給される原料を計量する計量ホッパとを備える計量装置が知られている。計量ホッパには、ロードセルが設けられている。貯蔵ホッパから計量ホッパに原料が供給されると、ロードセルにより、その供給された原料の質量(重量)が計測される。一定の質量(定量)の原料が計量ホッパに供給されると、貯蔵ホッパから計量ホッパへの原料の供給が停止される。その後、計量ホッパ内の原料が成形機などに送られる。
【0004】
貯蔵ホッパには、たとえば、原料を計量ホッパに供給するためのスクリューフィーダが設けられている。スクリューフィーダは、ほぼ水平に延びる供給筒部と、供給筒部内に配置されるスクリューと、スクリューを回転させるためのモータとを備えている。貯蔵ホッパ内の原料は、供給筒部に流入する。モータがオンされると、スクリューが回転し、スクリューにより、原料が供給筒部内を供給口に向けて送られる。供給筒部の供給口に達した原料は、供給口から落下して、計量ホッパに供給される。
【0005】
貯蔵ホッパから計量ホッパへの原料の供給が停止されるときには、モータの回転速度が下げられる。そして、モータの回転速度が零付近になると、電子ブレーキが作動される。電子ブレーキの作動により、モータが停止し、貯蔵ホッパから計量ホッパへの原料の供給が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−318152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、その原料の供給の停止時に、供給筒部内の原料が受ける慣性力および電子ブレーキの作動時に生じるスクリューフィーダの振動により、供給筒部の供給口から原料がこぼれ落ちる。慣性力および振動の大きさは、一定ではないので、供給筒部の供給口からこぼれ落ちる原料の量(落差量)には、ばらつきが生じる。また、原料の供給の停止後にも、供給筒部の供給口から原料がこぼれ落ちることもある。そのため、計量ホッパへの原料の高精度な定量供給が困難であった。
【0008】
スクリューフィーダの振動による原料の落下を防止するために、電子ブレーキを作動させることなく、モータを停止させることも考えられる。しかしながら、電子ブレーキが作動されないと、モータの回転が完全に停止するまでに時間がかかり、その間のスクリューの回転により、供給筒部内の原料が供給口から送り出されてしまう。そのため、計量ホッパに供給される原料の量には、やはりばらつきが生じる。
【0009】
本発明の目的は、落下口からの被供給物の所望しない落下を防止することができる、供給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、被供給物を落下口から落下させて供給対象機に供給する供給機において、前記落下口に向けて延びる軸線を中心に回転可能に設けられ、一方向の回転により被供給物を前記落下口に向けて搬送するスクリューと、前記スクリューを前記一方向およびその反対の他方向に回転させるための駆動力を発生するレバーシブルモータと、前記レバーシブルモータへの給電のための給電回路と、前記給電回路を制御して、前記レバーシブルモータの正転により前記スクリューが前記一方向に回転している状態から、前記レバーシブルモータの正転を減速させ、前記レバーシブルモータに電子ブレーキを作動させることなく、前記レバーシブルモータの逆転を加速させた後に減速させる制御手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
この供給機では、スクリューの駆動源として、正転および逆転の瞬時の切替えが可能なレバーシブルモータが備えられている。レバーシブルモータへの給電のための給電回路が制御されて、レバーシブルモータが正転されると、スクリューが一方向に回転し、そのスクリューの一方向の回転により、被供給物が落下口に向けて搬送される。落下口に到達した被供給物は、落下口から落下し、供給対象機に供給される。供給対象機への被供給物の供給が停止される際には、給電回路が制御されて、レバーシブルモータの正転が減速され、レバーシブルモータに電子ブレーキが作動されることなく、レバーシブルモータの逆転が加速された後に減速される。
【0012】
レバーシブルモータの正転から逆転に移行する際に、電子ブレーキを作動させないことにより、供給機に電子ブレーキの作動による振動が生じることを防止できる。そのため、供給機の振動による落下口からの被供給物の落下を防止することができる。
【0013】
また、レバーシブルモータの逆転により、スクリューが他方向に回転するので、スクリューから被供給物に落下口へ向かう方向と逆方向の力が作用する。これにより、供給対象機への被供給物の供給が停止される際に、被供給物の落下口へ向かう方向の慣性を軽減することができる。その結果、慣性により落下口から落下する被供給物の量(落差量)を減らすことができる。
【0014】
よって、落下口からの被供給物の所望しない落下を防止することができ、この供給機が供給対象機に定量の被供給物を供給する目的で使用される場合には、被供給物の供給量を高精度に定量とすることができる。
【0015】
レバーシブルモータの逆転が減速された後、レバーシブルモータに電子ブレーキが作動されることが好ましい。
【0016】
電子ブレーキの作動により、被供給物に落下口へ向かう方向と逆方向の慣性を働かせることができる。そのため、慣性により落下口から供給対象機に向けて落下する被供給物の量をさらに減らすことができる。
【0017】
さらに、レバーシブルモータの逆転の加速およびその後の減速、ならびに電子ブレーキの作動を含む一連の制御が複数回繰り返し実行されることが好ましい。
【0018】
これにより、被供給物に落下口へ向かう方向と逆方向の慣性を複数回働かせることができる。その結果、慣性により落下口から供給対象機に向けて落下する被供給物の量をより一層減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、落下口からの被供給物の所望しない落下を防止することができる。その結果、供給機が供給対象機に定量の被供給物を供給する目的で使用される場合に、被供給物の供給量を高精度に定量とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る供給機を備える計量供給装置の図解的な断面図である。
【図2】図2は、計量供給装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、供給機から計量ホッパへの原料の供給のための制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3に示される制御時のレバーシブルモータの回転速度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る供給機を備える計量供給装置の図解的な断面図である。
【0023】
計量供給装置1は、たとえば、図示されない成形機に接続されている。計量供給装置1では、樹脂成形品の原料が計量され、定量の原料が用意される。そして、計量供給装置1から成形機に定量の原料が供給(輸送)されて、成形機において、その原料からなる樹脂成形品が製造される。
【0024】
計量供給装置1には、供給機2と、供給機2から被供給物である原料の供給を受ける計量ホッパ3とが設けられている。
【0025】
供給機2は、供給ホッパ4を備えている。供給ホッパ4は、容器状をなし、内部に原料を貯留することができる。供給ホッパ4の下部は、下方に先細りとなる円錐状に形成されている。
【0026】
供給ホッパ4の下端部には、スクリューフィーダ5が接続されている。スクリューフィーダ5は、供給管6、オーガスクリュー7およびレバーシブルモータ8を備えている。
【0027】
供給管6は、供給ホッパ4の下方で、略水平方向に延びている。供給管6の一端部は、供給ホッパ4の下端部に接続されて、供給管6内は、供給ホッパ4内と連通している。供給管6の他端部は、下方に屈曲し、その下方を向いた他端面には、落下口9が形成されている。
【0028】
オーガスクリュー7は、供給管6の中心軸線上を延びるオーガ軸の周囲に螺旋状の羽根が形成された構成を有している。
【0029】
レバーシブルモータ8は、オーガスクリュー7の一端部に接続されている。レバーシブルモータ8は、正転および逆転可能なモータであって、正転と逆転とを瞬時に切り換えることができるものである。
【0030】
レバーシブルモータ8の正転により、オーガスクリュー7が一方向に回転する。このオーガスクリュー7の一方向の回転により、原料が供給管6内を落下口9に向けて送られる。供給管6の他端部に到達した原料は、落下口9から落下する。
【0031】
落下口9から落下する原料は、計量ホッパ3に受け取られる。計量ホッパ3の下部は、下方に先細りとなる円錐状に形成されている。
【0032】
計量ホッパ3の下端部には、ゲートシャッタ10が設けられている。ゲートシャッタ10が開かれると、計量ホッパ3内から原料が排出され、ゲートシャッタ10が閉じられると、その計量ホッパ3内からの原料の排出が停止される。ゲートシャッタ10が閉じられた状態で、落下口9から落下する原料が計量ホッパ3に受け取られることにより、計量ホッパ3内に原料が貯留される。
【0033】
また、計量ホッパ3には、計量ホッパ3内に貯留されている原料の質量を計測するためのロードセル11が設けられている。
【0034】
図2は、計量供給装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0035】
計量供給装置1(供給機2)は、CPU,RAMおよびROMなどを含むマイクロコンピュータからなる制御部21を備えている。
【0036】
制御部21には、ロードセル11の検出信号が入力されるようになっている。
【0037】
そして、制御部21には、給電回路22を介して、レバーシブルモータ8が制御対象として接続されている。給電回路22は、インバータ回路からなる。
【0038】
制御部21は、給電回路22(インバータ回路)のスイッチング素子のオン/オフを制御することにより、レバーシブルモータ8を目標回転速度で正転および逆転させることができる。また、制御部21は、給電回路22を制御することにより、正転または逆転中のレバーシブルモータ8を停止させることができる。
【0039】
図3は、供給機から計量ホッパへの原料の供給のための制御の流れを示すフローチャートである。図4は、図3に示される制御時のレバーシブルモータの回転速度の変化を示す図である。
【0040】
供給機2から計量ホッパ3に原料が供給される際には、まず、レバーシブルモータ8のが所定の正転速度で正転される(ステップS1:モータ正転オン)。このレバーシブルモータ8の正転により、オーガスクリュー7が一方向に回転する。そして、オーガスクリュー7の一方向の回転により、供給管6内を原料が落下口9に向けて送られ、落下口9から計量ホッパ3内に原料が落下する。
【0041】
計量ホッパ3内への原料の供給(落下)が進み、ロードセル11によって計測される原料の質量が予め決められた定量に達すると(ステップS2のYES)、レバーシブルモータ8の目標回転速度が所定の逆転速度に設定される(ステップS3)。これにより、図4に示されるように、正転しているレバーシブルモータ8が減速し、時刻T1でレバーシブルモータ8の回転速度が零になると、その後は、レバーシブルモータ8が逆転方向に増速する。
【0042】
レバーシブルモータ8の回転速度が逆転速度に達し、その逆転速度でのレバーシブルモータ8の逆転が所定時間にわたって続けられると(ステップS4のYES)、レバーシブルモータ8の目標回転速度が零に設定される(ステップS5)。これにより、レバーシブルモータ8は、図4に示されるように、逆転速度から零まで減速する(時刻T2−T3)。
【0043】
なお、レバーシブルモータ8の逆転速度での逆転が続けられる所定時間は、零であってもよい。図4は、その所定時間が零の場合におけるレバーシブルモータ8の回転速度の変化を示す。
【0044】
そして、レバーシブルモータ8の回転速度が零付近になると、電子ブレーキが作動される(ステップS6)。電子ブレーキの作動により、レバーシブルモータ8が完全に停止する。
【0045】
次いで、制御部21のRAMで構成されるカウンタのカウント値Cがインクリメント(+1)される(ステップS7)。
【0046】
そして、電子ブレーキの作動から所定の再逆転待ち時間が経過し(ステップS8のYES)、図4に示される時刻T4になると、カウント値Cが規定回数以上であるか否かが調べられる(ステップS9)。
【0047】
カウント値Cが規定回数未満であれば(ステップS9のNO)、レバーシブルモータ8の目標回転速度が所定の逆転速度に設定される(ステップS3)。これにより、レバーシブルモータ8が再び逆転方向に増速する。
【0048】
レバーシブルモータ8の回転速度が逆転速度に達し、その逆転速度でのレバーシブルモータ8の逆転が所定時間にわたって続けられると(ステップS4のYES)、レバーシブルモータ8の目標回転速度が零に設定される(ステップS5)。これにより、レバーシブルモータ8は、図4に示されるように、逆転速度から零まで減速する(時刻T5−T6)。
【0049】
レバーシブルモータ8の回転速度が零付近になると、電子ブレーキが作動される(ステップS6)。そして、カウント値Cがインクリメント(+1)される(ステップS7)。以後、カウント値Cが規定回数に達するまで、ステップS4〜S9の処理が繰り返される。そして、カウント値Cが規定回数に達すると(ステップS9のYES)、この一連の制御が終了する。
【0050】
以上のように、オーガスクリュー7の駆動源として、正転および逆転の瞬時の切替えが可能なレバーシブルモータ8が採用されている。レバーシブルモータ8への給電のための給電回路22が制御されて、レバーシブルモータ8が正転されると、オーガスクリュー7が一方向に回転し、そのオーガスクリュー7の一方向の回転により、原料が落下口9に向けて搬送される。落下口9に到達した原料は、落下口9から落下し、計量ホッパ3に供給される。計量ホッパ3への原料の供給が停止される際には、給電回路22が制御されて、レバーシブルモータ8の正転が減速され、レバーシブルモータ8に電子ブレーキが作動されることなく、レバーシブルモータ8の逆転が加速された後に減速される。
【0051】
レバーシブルモータ8の正転から逆転に移行する際に、電子ブレーキを作動させないことにより、供給機2に電子ブレーキの作動による振動が生じることを防止できる。そのため、供給機2の振動による落下口9からの原料の落下を防止することができる。
【0052】
また、レバーシブルモータ8の逆転により、オーガスクリュー7が他方向に回転するので、オーガスクリュー7から原料に落下口9へ向かう方向と逆方向の力が作用する。これにより、計量ホッパ3への原料の供給が停止される際に、原料の落下口9へ向かう方向の慣性を軽減することができる。その結果、慣性により落下口9から落下する原料の量(落差量)を減らすことができる。
【0053】
よって、落下口9からの原料の所望しない落下を防止することができ、この供給機2が計量ホッパ3に定量の原料を供給する目的で使用される場合には、原料の供給量を高精度に定量とすることができる。
【0054】
レバーシブルモータ8の逆転が減速された後、レバーシブルモータ8に電子ブレーキが作動される。
【0055】
電子ブレーキの作動により、原料に落下口9へ向かう方向と逆方向の慣性を働かせることができる。そのため、慣性により落下口9から計量ホッパ3に向けて落下する原料の量をさらに減らすことができる。
【0056】
さらに、レバーシブルモータ8の逆転の加速およびその後の減速、ならびに電子ブレーキの作動を含む一連の制御が複数回繰り返される。
【0057】
これにより、原料に落下口9へ向かう方向と逆方向の慣性を複数回働かせることができる。その結果、慣性により落下口9から計量ホッパ3に向けて落下する原料の量をより一層減らすことができる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0059】
たとえば、レバーシブルモータ8の逆転の減速後、電子ブレーキが作動されるとしたが、電子ブレーキは非作動であってもよい。
【0060】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
2 供給機
3 計量ホッパ(供給対象機)
7 オーガスクリュー(スクリュー)
8 レバーシブルモータ
9 落下口
21 制御部(制御手段)
22 給電回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被供給物を落下口から落下させて供給対象機に供給する供給機であって、
前記落下口に向けて延びる軸線を中心に回転可能に設けられ、一方向の回転により被供給物を前記落下口に向けて搬送するスクリューと、
前記スクリューを前記一方向およびその反対の他方向に回転させるための駆動力を発生するレバーシブルモータと、
前記レバーシブルモータへの給電のための給電回路と、
前記給電回路を制御して、前記レバーシブルモータの正転により前記スクリューが前記一方向に回転している状態から、前記レバーシブルモータの正転を減速させ、前記レバーシブルモータに電子ブレーキを作動させることなく、前記レバーシブルモータの逆転を加速させた後に減速させる制御手段とを含む、供給機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記レバーシブルモータの逆転を減速させた後、前記レバーシブルモータに電子ブレーキを作動させる、請求項1に記載の供給機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記レバーシブルモータの逆転の加速およびその後の減速、ならびに電子ブレーキの作動を含む一連の制御を複数回繰り返し実行する、請求項2に記載の供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240787(P2012−240787A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112326(P2011−112326)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】