説明

供給電力制御システムおよび供給電力制御方法

【課題】 予めコンセントを選択しておけば、選択されたコンセントに一括で電力を供給したり停止したりすることができ、電気機器の電源の消し忘れによる電力の無駄な消費を削減することを目的とする。
【解決手段】 本発明の供給電力制御システム100は、コンセント110と、コンセント110への電力の供給を開閉制御する電力制御部132と、電力制御部132を開にしコンセント110への電力の供給を停止する省電力モードと、電力制御部132を閉にしコンセント110に電力を供給する通常モードと、を切り換えるモード切換部134と、オンにするとモード切換部134による電力制御部132の制御を有効にし、オフにするとモード切換部134が省電力モードに切り換えてもコンセント110への電力の供給を維持する第一スイッチ136と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に供給電力を制御する供給電力制御システムおよび供給電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅やオフィスでは、時間帯によって無人になる場合がある。例えば住宅では住人が外出する昼間や、オフィスでは会社員が退社する夜間には無人になることが多い。
【0003】
外出や退社等所定領域が無人になると予想される場合、不要な電力消費を避けるため、照明器具やテレビ、ビデオデッキ、オーディオコンポ等のAV(Audio Visual)機器、冷暖房機器、パーソナルコンピュータ等の電子機器、給湯機器等の電源を切ることが一般的に行われている。
【0004】
しかし、住宅やオフィスでは多種多様の電気機器を利用しているため、機器の全てについて消し忘れがないか否かを確認するのは困難である。
【0005】
そこで、従来からも利用者の外出を検知して電力を調整する技術が提案されている。例えば特許文献1には、燃料電池を有する住宅において、住宅のドアに設けられた錠の外部からの施錠によって利用者の外出を検知し、燃料電池の発電量を減少させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−311271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたような技術では、外出は検知できるものの、燃料電池の発電量の制御であり、外出を検知して、電気機器に供給される電力をオン/オフ制御することには言及していない。
【0007】
一方、住宅やオフィスで利用する電気機器には、冷蔵庫、電話等の常時通電が必要な機器、予約録画等の機能を利用できるビデオデッキ等の待機電力が必要な機器、冷暖房機器のように無人であれば電源を切っても差し支えない機器がある。したがって、外出を検知して、全ての電気機器の電源をオフにしてしまったら、常時通電が必要な機器や待機電力が必要な機器に関しては、不都合を生じてしまうこととなる。
【0008】
また暖房器や加熱器などの発熱する機器に限らず、電気機器は通電により熱を生じるものが多い。そして消し忘れや故障による異常発熱などの理由により、火災を招くおそれがある。またコンセントを長期に亘って挿しっ放しにした場合、堆積した埃によってショート(短絡)を招き、埃が燃えて発火するトラッキング現象が生じる場合がある。このトラッキング現象は火災に発展するおそれがあるが、特に留守中に発生すると対応が遅れる可能性がある。
【0009】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、予めコンセントを選択しておけば、選択されたコンセントに一括で電力を供給したり停止したりすることができる。したがって、電気機器の電源の消し忘れによる電力の無駄な消費を削減できると共に、留守中の火災発生の可能性を低減して安全性を向上させることが可能な供給電力制御システムおよび供給電力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる供給電力制御システムの代表的な構成は、1または複数の電気機器に供給する電力を制御する供給電力制御システムであって、電気機器の電源プラグを挿抜可能であり電気機器に電力を供給するコンセントと、コンセントごとに設けられコンセントへの電力の供給を開閉制御する電力制御部と、電力制御部を開にしコンセントへの電力の供給を停止する省電力モードと、電力制御部を閉にしコンセントに電力を供給する通常モードと、を切り換えるモード切換部と、コンセントごとに設けられオンにするとモード切換部による電力制御部の制御を有効にし、オフにするとモード切換部が省電力モードに切り換えてもコンセントへの電力の供給を維持する第一スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、複数の電力制御部を一括して動作させることができ、モード切換部が省電力モードに切り換えるだけで電力制御部からコンセントへの電力の供給を選択的に停止することが可能となる。換言すれば、モード切換部が省電力モードに切り換えるだけで、特定の電気機器への電力の供給を一括して停止することができ、通常モードに切り換えるだけで電気機器への電力の供給を一括して再開することができる。
【0012】
具体的には、コンセントごとに設けた第一スイッチをオフにして電力制御部の制御を無効にしておけば、モード切換部が省電力モードにしたとしても、コンセントへの電力の供給は停止しない。すなわち、電力の供給を停止すると不都合を生じる電気機器の電源プラグが挿入されたコンセントへの電力の供給を選択的に停止させない(電力の供給を維持する)ことが可能となる。
【0013】
したがって、予め第一スイッチのオンもしくはオフによってコンセントを選択しておけば、選択されたコンセントすなわち第一スイッチがオンになっているコンセントはモード切換部によって一括して電力の供給を停止または再開することができる。
【0014】
上記供給電力制御システムは、さらに、ユーザの操作入力に応じて所定の施設の出入口を開錠もしくは施錠する鍵部と、鍵部が施錠されたか開錠されたかを検知する鍵検知部と、を備え、モード切換部は、鍵検知部が施錠を検知した場合省電力モードに切換え、開錠を検知した場合通常モードに切換えてもよい。
【0015】
鍵部および鍵検知部を備える構成により、施錠するだけでモード切換部が省電力モードに切り換えることができる。したがって、無人となりうる退出時に、無駄な消費電力を削減することができる。また、ユーザによるモード切換部への操作入力が行われない場合であっても、施錠を検知して確実に省電力モードに切り換えることが可能となる。
【0016】
上記鍵検知部による施錠の検知は、施設の最終退出者の操作入力に応じた鍵部の施錠の検知であってもよい。
【0017】
最終退出者の操作入力に応じた鍵部の施錠すなわち無人を検知することとなるため、有人であるのに施錠したためにモード切換部が省電力モードに切り換えるという事態を防止することができる。
【0018】
また、第一スイッチは、電気機器の電源プラグをコンセントから抜くことによりオフになってもよい。
【0019】
電気機器を差し替えた場合において、必ずしも省電力モード時に電源を切って良いものとは限らない。しかし上記構成によれば、電気機器を差し替えた場合には、常時通電される状態となる。これにより、電力の供給が不用意に停止してしまうという事態を防止することができる。
【0020】
上記供給電力制御システムは、第一スイッチがオンになっている場合において、モード切換部が省電力モードから通常モードに切り換えた場合であっても、電力制御部はコンセントから電気機器への電力の供給の停止を維持し、さらに、ユーザの操作入力に応じて電力制御部に対し電気機器への電力の供給を再開させる第二スイッチを備えてもよい。
【0021】
省電力モードであるときに電力の供給を停止していた電気機器は、電力の供給を維持し続ければならないものではないと推定できるため、通常モードに切り換え電力の供給を再開したとしても、待機電力等の無駄な電力を消費するおそれがある。したがって、モード切換部が省電力モードから通常モードに切り換えた場合であっても、電力制御部はコンセントから電気機器への電力の供給を再開しないことによって、電気機器への電力の供給を停止した状態に維持でき、無駄な電力を削減することが可能となる。
【0022】
そして、第二スイッチをオンさせて電力の供給を再開することにより、第一スイッチをオンにしたままで通電させることができる。これにより、次回省電力モードに切り換えられたときには、ふたたび電力の供給を停止させることができる。なお、第二スイッチは、モード切換部が省電力モードに切り換えた場合にオフになる。
【0023】
また、モード切換部と電力制御部との接続もしくは第一スイッチと電力制御部との接続のいずれか一方または両方は電力線通信によって為されてもよい。
【0024】
これにより、電力の供給を行う配線とモード切換部と電力制御部との接続もしくは第一スイッチと電力制御部との接続のいずれか一方または両方を同じ配線にまとめることができる。したがって、配線が複数になり煩雑になることを防ぐことが可能となる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明にかかる供給電力制御方法の代表的な構成は、1または複数の電気機器と、電気機器に電力を供給するコンセントと、コンセントへの電力供給を開閉制御する電力制御部と、電力制御部の開閉動作を制御し省電力モードと通常モードを切り換えるモード切換部と、モード切換部による電力制御部の開閉動作の制御を制御する第一スイッチとを用いた供給電力制御方法であって、モード切換部が省電力モードに切り換える省電力ステップと、コンセントに設けられた第一スイッチがオフであるか否かを判定する第一スイッチ判定ステップと、第一スイッチがオンであるコンセントへの電力の供給を停止する電力供給停止ステップと、第一スイッチがオフであるコンセントへの電力の供給を維持する電力供給維持ステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
上述した供給電力制御システムの技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該供給電力制御方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる供給電力制御システムによれば、予めコンセントを選択しておけば、選択した特定のコンセントに対して一括して電力を供給したり停止したりすることができる。したがって、電気機器の電源の消し忘れによる電力の無駄な消費を削減できると共に、留守中の火災発生の可能性を低減して安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第一実施形態)
【0029】
(供給電力制御システム100)
図1は、第一実施形態にかかる供給電力制御システム100の概略を説明するための説明図である。供給電力制御システム100は、コンセント110と、複数の電気機器120と、システム制御部130と、電力制御部132と、モード切換部134と、鍵部140と、を含んで構成される。
【0030】
火力発電所、原子力発電所、水力発電所等の発電所で発電された電力は、送電線、配電線102を通り、家104やオフィスに配電される。家104等に配電された電力は、配電盤106を介してコンセント110まで供給されている。電気機器120を運転させるために必要な電力は、電気機器120に設けられた電源プラグ122をコンセント110に挿入することで得られる。
【0031】
本実施形態において電気機器120は、電力の供給を常に要する冷蔵庫120aと、待機電力を消費するエアコン120bと、を例示しており、電気機器120にはそれぞれ電源プラグ122が設けられている。また、冷蔵庫120aやエアコン120bといった機器は、利便性のため常に電源プラグ122がコンセント110に挿入された状態で使用されることが通常である。なお、電源プラグ122をコンセント110から抜脱すれば電気機器120への電力の供給が切断されることは言うまでもない。
【0032】
鍵部140は、ユーザの操作入力に応じて開錠もしくは施錠する。本実施形態において、鍵部140は家104の出入口としての玄関のドア108に設けられており、鍵部140が施錠されることにより家102は閉領域となる。本実施形態において所定の施設として家104を例として説明するが、閉領域を形成する空間であればよく、例えば会社の各々の部署を1つの施設としてもよい。
【0033】
鍵検知部142は、鍵部140が施錠されたか開錠されたかを検知する。本実施形態において鍵検知部142による施錠の検知は、最終退出者の操作入力に応じた鍵部140の施錠であり、開錠の検知は、最初入室者の操作入力に応じた鍵部140の開錠である。
【0034】
最終退出者の操作入力に応じた鍵部140の施錠の検知は、例えば、家族全員が鍵を所持し、外出の度に各人が鍵を用いて、鍵部140を施錠し、鍵部140の施錠回数によって為されてもよい。また、最初入室者のよる開錠の検知は、鍵検知部142による最終退出者の検知後、所定時間経過後の初めての開錠によって為されてもよい。
【0035】
最終退出者および最初入出者の検知は、上述した方法に限らず、赤外線センサ等の既存の技術を利用して、家の内部の無人を検知することで為されてもよい。また家人の鍵にICタグ(RFIDタグ)を取り付け、屋内にICタグが検出されるか否かによって判別してもよい。
【0036】
図2は、第一実施形態にかかる供給電力制御システム100の詳細を説明するための説明図であり、特に図2(a)は、供給電力制御システム100のブロック図を、図2(b)は、コンセント110付近の拡大図である。図2(a)に示すように、システム制御部130は、電力制御部132と、モード切換部134と接続されている。電力制御部132は、コントローラ132a、開閉器132b、を含んで構成され、第一スイッチ136はコントローラ132aと接続されている。また、モード切換部134は、鍵検知部142に接続されている。本実施形態において、システム制御部130、電力制御部132、モード切換部134の接続は、電力線114を用いた電力線通信(PLC: Power Line Communication)によって為される。これにより、各部は電力線114から電力を取ると共に信号の送受信が可能となる。したがって、屋内の配線が電力線114のみとなり、配線が煩雑になることを防ぐことが可能となる。
【0037】
なおシステム制御部130、電力制御部132、モード切換部134の信号の送受信は、例えば無線(RFや無線LAN)を用いてもよいし、別途信号線を屋内に設置してもよい。
【0038】
電力制御部132は、コンセント110ごとに設けられ、コントローラ132aが開閉器132bを制御することによって配電盤106からコンセント110への電力の供給を開閉制御する。ここで、開制御とはコンセント110への電力の供給を停止(回路を切断)することであり、閉制御とはコンセント110への電力の供給を行う(回路を接続)ことである。
【0039】
モード切換部134は、動作モードを省電力モードまたは通常モードに切り換え、設定したモードをシステム制御部130へと送信する。システム制御部130は切り換えられたモードに応じて、省電力モードの場合は電力制御部132を開にしてコンセント110への電力の供給を停止し、通常モードの場合は電力制御部132を閉にしてコンセント110に電力を供給する。
【0040】
本実施形態において、モード切換部134は、鍵検知部142が施錠を検知した場合に省電力モードに切換え、開錠を検知した場合に通常モードに切換えている。しかし、ユーザによるモード切換部134の直接的な操作入力に応じてモードを切り換えることでもよい。またモード切換部に双方向通信機能を持たせることにより(例えばHTTPサーバ機能を持たせる)、遠隔地からモード切替の操作を行うことも可能である。
【0041】
第一スイッチ136は、図2(b)に示すようにコンセント110ごとに設けられ、オンにするとモード切換部134による電力制御部132の制御を有効にし、オフにするとモード切換部134が省電力モードに切り換えてもコンセント110からの電力の供給を維持する。
【0042】
上記構成により、コンセント110ごとに設けた第一スイッチ136をオンにして選択したコンセント110は、モード切換部134がモードを切り換えることにより一括して電力供給の停止および再開をすることができる。したがって、エアコン120b等のリモコンからの信号を常に待ち受けるための待機電力を消費する電気機器120への電力の供給を停止することができ、無駄な電力の消費を削減することが可能となる。
【0043】
一方、第一スイッチ136をオフにして電力制御部132の制御を無効にしておけば、モード切換部134が省電力モードに切り替わったとしても、コンセント110への電力の供給は停止しない。すなわち、電力の供給を停止すると不都合を生じる電気機器120例えば冷蔵庫120aの電源プラグ122が挿入されたコンセント110への電力の供給を選択的に停止させない(電力の供給を維持する)ことが可能となる。
【0044】
また、モード切換部134は、鍵検知部142が施錠を検知した場合に省電力モードに切換え、開錠を検知した場合通常モードに切換えるため、鍵部140を施錠するだけでモード切換部134が省電力モードに切り換えることができる。したがって、無人となりうる退出時に、無駄な消費電力を削減することができる。また、ユーザによるモード切換部134への操作入力が行われない場合であっても、施錠を検知して確実に省電力モードに切り換えることが可能となる。
【0045】
さらに、鍵検知部142による施錠の検知は、最終退出者の操作入力に応じた鍵部140の施錠すなわち無人を検知することとなるため、有人であるのに施錠したためにモード切換部134が省電力モードに切り換えるという事態を防止することができる。
【0046】
(供給電力制御方法)
続いて、上述した供給電力制御システム100を用いた供給電力制御方法を説明する。図3は、第一実施形態にかかる供給電力制御方法の流れを示したフローチャートである。
【0047】
まず、鍵検知部142がユーザの操作入力に応じて鍵部140の施錠を検知すると(S200:施錠検知ステップ)、モード切換部134は施錠検知ステップS200での鍵部140の施錠が最終退出者の操作入力に応じたものか否かを検知する(S202:最終検知ステップ)。
【0048】
最終検知ステップS202において、施錠検知ステップS200での施錠が最終退出者の操作入力に応じたものであると検知された場合、モード切換部134は省電力モードに切り換える(S204:省電力ステップ)。モード切換部134からシステム制御部130に設定したモードの情報が送信されると、システム制御部130は各電力制御部132にモードを通知する制御信号を送信する。そして電力制御部132のコントローラ132aは、コンセント110に並設された第一スイッチ136がオンであるか否かを判定する(S206:第一スイッチ判定ステップ)。そして第一スイッチ136がオンであるコンセント110への電力の供給を停止し(S208:電力供給停止ステップ)、第一スイッチ136がオフであるコンセント110への電力の供給を維持する(S210:電力供給維持ステップ)。
【0049】
一方、施錠検知ステップS200において、鍵部140の施錠を検知せず(S200)、鍵検知部142がユーザの操作入力に応じて鍵部140の開錠を検知した場合(S212:開錠検知ステップ)、モード切換部134は開錠検知ステップS212での鍵部140の開錠が最初入室者の操作入力に応じたものか否かを検知する(S214:最初検知ステップ)。
【0050】
最初検知ステップS214において、開錠検知ステップS212での開錠が最初入室者の操作入力に応じたものであると検知された場合、モード切換部134は通常モードに切り換える(S216:通常ステップ)。そして、コンセント110に設けられた第一スイッチ136がオンであるか否かを判定する(S218:第一スイッチ判定ステップ)。第一スイッチ136がオンである場合には、停止していたコンセント110への電力の供給を再開する(S220:電力供給再開ステップ)。
【0051】
以上説明した如く、本実施形態にかかる供給電力制御システム100および供給電力制御方法によれば、特定されたコンセント110への電力制御部132の開閉動作を選択的に一括して制御することができる。換言すれば、モード切換部134が省電力モードに切り換えるだけで、第一スイッチ136をオンにしている特定の電気機器120への電力の供給を一括して停止することができ、通常モードに切り換えるだけで電気機器120への電力の供給を一括して再開することができる。
【0052】
(第二実施形態)
本発明にかかる供給電力制御システムの第二実施形態について説明する。上記第一実施形態においては、第一スイッチ136を設けることによって、コンセントを選択し、選択されたコンセントに一括して電力を供給したり停止したりすることのできる供給電力制御システムおよび供給電力制御方法について説明したが、さらにコンセントの挿抜と第一スイッチ136のオン/オフとを関連させることにより、利便性を向上させることも可能である。
【0053】
図4は、第二実施形態にかかるコンセントおよび第一スイッチを説明するための説明図である。図4に示すように、第一スイッチ300は、掛止部302と、バネ304と、押ボタン306を含んで構成される。上述した供給電力制御システム100と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態において、第一スイッチ300は、押ボタン306が押されている状態がオンとなり、押されていない状態がオフとなる。
【0055】
図4(a)に示すように、電気機器120の電源プラグ122がコンセント110に挿入されている場合、コンセント110を構成するプラグ接続部112は、電源プラグ122によって押し広げられている。第一スイッチ300がオンである場合、第一スイッチ300の掛止部302は、押し広げられたプラグ接続部112の端部に掛止される。したがって、押ボタン306がプラグ接続部112側に引っ張られるため、バネ304は、押ボタン306とコンセント110の表面の間で圧縮される。
【0056】
電気機器120の電源プラグ122をコンセント110から抜脱した場合(図4(b))、コンセント110を構成するプラグ接続部112は、電源プラグ122が挿入されていた場合と比較して収縮することとなる。したがって、第一スイッチ300の掛止部302は、プラグ接続部112との掛止が外れることとなり、バネ304は、押ボタン306とコンセント110の表面の間で伸長する。これにより押ボタン306は押されていない状態となり、第一スイッチ300はオフになる。
【0057】
第一スイッチ300を備えることにより、電気機器120を差し替えた場合(図4(c))すなわち電源プラグ122をコンセント110から1度抜脱した場合には、常時通電される状態となる。すなわち、電気機器120(電機機器)を差し替えた場合において、必ずしも省電力モード時に電源を切って良いものとは限らない。しかし上記構成によれば、電力の供給が不用意に停止してしまうという事態を防止することができる。
【0058】
さらに、電気機器120を差し替えた後、再び第一スイッチ300をオンにする場合には、押ボタン306を押せば、迅速かつ容易に第一スイッチ300をオンにすることが可能となる(図4(d))。
【0059】
本実施形態では、電源プラグ122の抜脱による第一スイッチ300のオフ制御を機械制御としたが、電子制御も好適に利用することができる。その場合、電源プラグ122の挿抜を検知するセンサまたはスイッチを設け、また第一スイッチ300をオン/オフさせる機構またはリレーを設けて、電源プラグ122を脱抜した際には第一スイッチ300をオフするように電気的に制御することができる。
【0060】
(第三実施形態)
本発明にかかる供給電力制御システムの第三実施形態について説明する。上記第一実施形態においては、第一スイッチを設けることによって、コンセントを選択し、選択されたコンセントに一括して電力を供給したり停止したりすることのできる供給電力制御システムおよび供給電力制御方法について説明した。本実施形態では、さらに第一スイッチを制御することにより、利便性を向上させる例を示す。
【0061】
(供給電力制御システム400)
図5は、第三実施形態にかかる供給電力制御部400を構成するシステム制御部402を説明するための説明図であり、特に図5(a)は、システム制御部402のブロック図を、図5(b)は、第三実施形態にかかるコンセント110付近の拡大図である。図5に示すように、電力制御部132のコントローラ132aには、第一スイッチ136に加え、第二スイッチ404を接続している。上述した供給電力制御システム100と機能が実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施形態にかかる供給電力制御システム400は、第一スイッチ136がオンになっている場合において、モード切換部134が省電力モードになったときには第一実施形態と同様に電源の供給を停止する。そして省電力モードから通常モードに切り換えた場合には、基本的な動作として、電力の供給を再開しない。すなわち、留守中に待機電力を停止できるような機器は、在宅中であっても待機電力を停止したままでもよい場合が多いと考えられる。そして上記構成によれば、モード切換部134が通常モードに切り替わった場合であっても、電力供給を停止した状態を維持することができる。
【0063】
この場合において第一スイッチ136をオフすれば電源は供給されるが、それでは次に省電力モードに切り替わるときまでに再び第一スイッチ136をオンしなくてはならならず、操作を忘れてしまうおそれが高い。
【0064】
そこで、モード切換部134が通常モードであって、かつ第二スイッチ404をオンさせるユーザの操作入力があった場合には、電力制御部132に対し電気機器120への電力の供給を再開させる。電源の供給は、次に省電力モードに切り替わるまで維持させる。これにより、第一スイッチ136をオンにしたままで通電させることができる。したがって、次回省電力モードに切り換えられたときには、確実にふたたび電力の供給を停止させることができる。
【0065】
なお、第二スイッチ404は、ユーザの操作入力に応じてオンにされた場合であっても、モード切換部134によって省電力モードに切り換えられた後通常モードに切り換えられても、再度第二スイッチ404がユーザの操作入力に応じてオンにされなければ電力の供給は停止した状態を維持することとなる。第二スイッチ404としては、タクトスイッチなどのプッシュスイッチを好適に用いることができる。
【0066】
(供給電力制御方法)
続いて、上述した供給電力制御システム400を用いた供給電力制御方法を説明する。図6は、第三実施形態にかかる供給電力制御方法の流れを示したフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、ステップS200からS218までは実質的に図3と等しいので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0067】
通常モードに切り換える通常ステップ(S216)の後、第一スイッチ判定ステップS218にて、第一スイッチ136がオンであると判定された場合であっても、コンセント110の電力制御部132は開状態(電力供給停止)を維持し、コンセント110から電気機器120への電力の供給を再開しない(S500:電力停止維持ステップ)。そして、電力制御部132のコントローラ132aは第二スイッチ404がオンにされたか否かを判定し(S502:第二スイッチ判定ステップ)、第二スイッチ404がオンにされれば、電力の供給を再開する(S504:電力供給再開ステップ)。
【0068】
また省電力モードに切り換える省電力ステップ(S204)の後、第一スイッチ判定ステップS206にて、第一スイッチ136がオンであると判定された場合には、電力の供給を停止すると共に(S208)、第二スイッチ404をオフにする(S506)。
【0069】
以上説明した如く、本実施形態にかかる供給電力制御システム400および供給電力制御方法によれば、待機電力を停止可能な機器についてできる限り停止した状態を維持することができ、無駄な電力を削減することが可能となる。また熱をもつような機器の電力を停止させることにより、火災の可能性を低減させることができる。さらにコンセントに供給する電力自体を停止することから、単に機器の電源を切った場合よりも、留守中のトラッキングの可能性を低減して安全性を向上させることができる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、供給電力制御システムを備える所定の施設を家としたが、これに限定されず、オフィス、工場等人の出入があり電力を消費する場所に好適に利用することができる。また、上記実施形態では第一スイッチはコンセントごとに備えているが、回路ごとや部屋ごと等任意の区分ごとに備えてもよい。
【0072】
なお、本明細書の供給電力制御方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、供給電力制御システムおよび供給電力制御方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第一実施形態にかかる供給電力制御システムの概略を説明するための説明図である。
【図2】第一実施形態にかかる供給電力制御システムの詳細を説明するための説明図である。
【図3】第一実施形態にかかる供給電力制御方法の流れを示したフローチャートである。
【図4】第二実施形態にかかるコンセントおよび第一スイッチを説明するための説明図である。
【図5】第三実施形態にかかる供給電力制御部を構成するシステム制御部を説明するための説明図である。
【図6】第三実施形態にかかる供給電力制御方法の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
100、400 …供給電力制御システム
102 …配電線
104 …家
106 …配電盤
108 …ドア
110 …コンセント
112 …プラグ接続部
120 …電気機器
120a …冷蔵庫
120b …エアコン
122 …電源プラグ
130、402 …システム制御部
132 …電力制御部
134 …モード切換部
136、300 …第一スイッチ
140 …鍵部
142 …鍵検知部
302 …掛止部
304 …バネ
306 …押ボタン
404 …第二スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の電気機器に供給する電力を制御する供給電力制御システムであって、
前記電気機器の電源プラグを挿抜可能であり該電気機器に電力を供給するコンセントと、
前記コンセントごとに設けられ該コンセントへの電力の供給を開閉制御する電力制御部と、
前記電力制御部を開にし前記コンセントへの電力の供給を停止する省電力モードと、該電力制御部を閉にし該コンセントに電力を供給する通常モードと、を切り換えるモード切換部と、
前記コンセントごとに設けられオンにすると前記モード切換部による前記電力制御部の制御を有効にし、オフにすると前記モード切換部が省電力モードに切り換えても該コンセントへの電力の供給を維持する第一スイッチと、
を備えたことを特徴とする供給電力制御システム。
【請求項2】
さらに、
ユーザの操作入力に応じて所定の施設の出入口を開錠もしくは施錠する鍵部と、
前記鍵部が施錠されたか開錠されたかを検知する鍵検知部と、
を備え、
前記モード切換部は、前記鍵検知部が施錠を検知した場合省電力モードに切換え、開錠を検知した場合通常モードに切換えることを特徴とする請求項1に記載の供給電力制御システム。
【請求項3】
前記鍵検知部による施錠の検知は、前記施設の最終退出者の操作入力に応じた前記鍵部の施錠の検知であることを特徴とする請求項2に記載の供給電力制御システム。
【請求項4】
前記第一スイッチは、前記電気機器の電源プラグを前記コンセントから抜くことによりオフになることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の供給電力制御システム。
【請求項5】
前記第一スイッチがオンになっている場合において、
前記モード切換部が省電力モードから通常モードに切り換えた場合であっても、前記電力制御部は該コンセントから該電気機器への電力の供給の停止を維持し、
さらに、ユーザの操作入力に応じて前記電力制御部に対し前記電気機器への電力の供給を再開させる第二スイッチを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の供給電力制御システム。
【請求項6】
前記モード切換部と前記電力制御部との接続もしくは前記第一スイッチと前記電力制御部との接続のいずれか一方または両方は電力線通信によって為されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の供給電力制御システム。
【請求項7】
1または複数の電気機器と、該電気機器に電力を供給するコンセントと、該コンセントへの電力供給を開閉制御する電力制御部と、該電力制御部の開閉動作を制御し省電力モードと通常モードを切り換えるモード切換部と、該モード切換部による前記電力制御部の開閉動作の制御を制御する第一スイッチとを用いた供給電力制御方法であって、
前記モード切換部が省電力モードに切り換える省電力ステップと、
前記コンセントに設けられた前記第一スイッチがオフであるか否かを判定する第一スイッチ判定ステップと、
前記第一スイッチがオンである前記コンセントへの電力の供給を停止する電力供給停止ステップと、
前記第一スイッチがオフである前記コンセントへの電力の供給を維持する電力供給維持ステップと、
を含むことを特徴とする供給電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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